JPH07639B2 - α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルまたはその塩酸塩の製法 - Google Patents

α−L−アスパルチル−L−フエニルアラニンメチルエステルまたはその塩酸塩の製法

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JPH07639B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
ンメチルエステルまたはその塩酸塩の製造法に関する。
本発明のα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
メチルエステル(以下、α−APMと略す)は“アスパル
テーム”の慣用名で称される化合物で人工甘味剤として
有用な物質である。しよ糖のおよそ200倍の甘味度を有
し、質的にもしよ糖に類似しており、しかも低カロリー
であるため、ダイエット甘味剤として最近その需要が著
しく増大している。
(従来技術およびその問題点) α−APMの製造法に関しては、既に数多くの方法が開示
されている。
すなわち、(1)アスパラギン酸無水物の塩酸塩とL−
フェニルアラニンメチルエステルを縮合する方法(例え
ば、特公昭51-40069)、(2)N−保護アスパラギン酸
無水物とL−フェニルアラニンメチルエステルを縮合
し、つづいて脱保護する方法(例えば、特開昭46-137
0、特開昭51-113841)、(3)N−保護アスパラギン酸
−β−ベンジルエステルとL−フェニルアラニンメチル
エステルとを縮合剤の存在下に反応し、つづいて脱保護
して製造する方法(特開昭59-130846)、(4)N−カ
ルボキシアスパラギン酸無水物とL−フェニルアラニン
メチルエステルと反応させる方法(特開昭48-96557)な
ど種々の方法がある。
しかしながら、これらの方法はいずれも一方の反応原料
としてL−フェニルアラニンメチルエステルを用いるも
のであり、L−フェニルアラニンをメチルエステル化し
て、アスパラギン酸の活性誘導体との反応につなぐまで
の工程が繁雑である。その上、本発明者らの検討結果に
よれば、このL−フェニルアラニンメチルエステルは遊
離の形態では溶液中で2分子縮合して環化し、2,5−ジ
ベンジルジケトピペラジンに変化し易い化合物であるこ
とがわかつた。このことはα−APM製造において種々の
厄介な問題を引き起す原因になるものである。
したがつて、α−APMの製造に関しては上記欠点のな
い、すなわちL−フェニルアラニンメチルエステルを用
いない方法の開発が望まれている。
ところで、L−フェニルアラニンメチルエステルを用い
ない方法としてはN−ホルミルアスパラギン酸無水物を
氷酢酸中、L−フェニルアラニンと縮合してN−ホルミ
ル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンを製
造し、次に脱ホルミル化してα−L−アスパルチル−L
−フェニルアラニンとしたのち、該化合物をメタノール
中でエステル化する方法(特公昭55-26133号)、および
α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニンをエステ
ル化してα−APMを製造する工程の改良方法(特開昭53-
82752号)が知られている。
しかしながら、前者の方法はエステル化反応を非水系に
近い状態で実施するために反応選択性がなく、目的のエ
ステル化のみならず、アスパラギン酸側のβ−カルボン
酸基へのエステル化やジエステル化反応も多量に起り、
そのためにα−APM収率が低いという欠点がある。ま
た、後者の方法はエステル化反応を水の共存下に行つて
α−APMの選択率を高めているが、α−APM単離収率はた
かだか50〜60%(対α−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニン)であり、収率面で必ずしも十分とは言えな
い。
L−フェニルアラニンメチルエステルを用いない別の方
法として、L−アスパラギン酸−β−メチルエステルの
N−カルボキシ酸無水物とL−フェニルアラニンを縮合
しα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン−β−
メチルエステルを製造し、この化合物をメタノールを含
有する塩酸水溶液中で分子内エステル交換反応させてα
−APMを製造する方法が最近開示された(特開昭59-2251
52号、特開昭59-225153号)。しかしながら、この方法
はアスパラギン酸のβ−メチルエステルを製造するエス
テル化反応が選択性に乏しく収率が低いこと、またこの
ものをホスゲンと反応させて製造されるN−カルボキシ
酸無水物が塩基との接触等により重合し易い性質がある
ため、工業的には取扱が難しいなどの欠点を有する方法
である。
このように従来のα−APMの製造法では中間原料の安定
性、収率あるいは安全性等の点で一長一短があり、必ず
しも効率のよい製造法がないのが現状である。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、前記のようなα−APM製造技術の現状を
鑑み、また前述したような溶液中での安定性に問題のあ
るL−フェニルアラニンメチルエステルを用いずに、さ
らに効率よくα−APMを製造する方法を鋭意検討した。
とくに、α−APMの製造技術は前述のように一般に原料
からα−APMに至るまでの工程が長いことを考慮して、
できるだけ工程を簡素化して効率よくα−APMを製造す
る方法について検討を重ねた。
本発明者らは、先にN−ホルミル−L−アスパラギン酸
無水物とL−フェニルアラニンとの縮合が水溶媒中で不
純物の副生をほとんど伴うことなく、しかも縮合生成物
はβ−異性体(N−ホルミル−β−L−アスパルチル−
L−フェニルアラニン)よりもα−異性体(N−ホルミ
ル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン)が
圧倒的に多く生成することを見出し、α−APM製造のた
めの重要な中間体であるN−ホルミル−α−アスパルチ
ル−L−フェニルアラニンの改良された製造法を見出
し、既に出願した(特願昭59-264618号)。
さらに、この知見をもとにしてα−APMの製造法を鋭意
検討し、N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物とL
−フェニルアラニンとを水中で反応させたのち、縮合生
成物を反応系より単離することなく、該反応混合物を連
続的にα−APMまで一つの反応器で行える方法を見出す
に至つた。原料から目的のα−APMまで多段の反応工程
を一つの反応器で行う場合には、一般的には各反応に付
随する種々の夾雑物が、目的の反応および最終のα−AP
Mの品質に望ましくない影響を及ぼすことが考えられ
る。とくにN−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物と
L−フェニルアラニンとの縮合に際して、目的のα−異
性体のほかに20%以上の収率でβ−異性体が副生し、し
かもまたこの縮合反応混合物中にはN−ホルミル−L−
アスパラギン酸無水物が、単に水と反応して開環したN
−ホルミル−L−アスパラギン酸および場合によつては
未反応のL−フェニルアラニンなどを含有し、比較的複
雑な系を形成していることが多い。それにも拘わらず、
本発明者らの検討結果によれば、N−ホルミル−L−ア
スパラギン酸無水物とL−フエニルアラニンとを水中で
反応させて得られた反応混合物をメタノールの存在下に
塩酸と接触させることにより、縮合生成物の脱ホルミル
化反応およびエステル化反応が温和な条件下に進行し、
しかも反応によつて生成した種々の化合物のうちα−AP
Mのみが、種々の夾雑物の影響を受けることなく塩酸塩
として系外に析出してくることがわかり、これらの知見
に基づいて本発明を完成するに至つた。
すなわち、本発明はN−ホルミル−L−アスパラギン酸
無水物とL−フェニルアラニンを水中、pH7〜12の範囲
で縮合したのち、生成したN−ホルミル−α−L−アス
パルチル−L−フェニルアラニンを単離することなく、
引きつづき該反応混合物を塩酸酸性としメタノールの存
在下に塩酸と接触させ、析出したα−APM塩酸塩を分離
し、必要に応じて該塩酸塩を中和することからなるα−
APMまたはその塩酸塩の製造法である。
本発明の方法ではN−ホルミル−L−アスパラギン酸無
水物を原料として用いる。原料のN−ホルミル−L−ア
スパラギン酸無水物は公知の製造方法、例えば、L−ア
スパラギン酸をギ酸および無水酢酸と反応させることに
よつて容易に製造することができる。
本発明の方法は、まず第1にN−ホルミル−L−アスパ
ラギン酸無水物とL−フェニルアラニンを水中pH7〜12
の範囲で縮合し、N−ホルミル−α−L−アスパルチル
−L−フェニルアラニンを生成させる。
N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物の使用量はL
−フェニルアラニンに対して理論量以上用いれば良く、
とくに過剰に用いる必要はない。
本発明の方法において使用する溶媒の水の量は、縮合反
応後引きつづいて実施するα−APM製造反応に際して濃
縮操作を省略できる点でL−フェニルアラニンに対して
10重量倍以下、好ましくは8重量倍以下を用いるのがよ
い。勿論10重量倍を越える水中で縮合反応を実施しても
反応上は特に問題はないが、反応後濃縮操作が必要とな
る。
反応の方法は水にL−フェニルアラニンおよびアルカリ
を装入して溶解または懸濁した液中にN−ホルミルアス
パラギン酸無水物を少量づつ連続的にまたは分割して装
入する。この際反応溶液のpHは7〜12の範囲に保つよう
にアルカリ水溶液を滴下して調整する。初めにL−フェ
ニルアラニンを溶解または懸濁させるのに用いるアルカ
リおよび反応時のpH調整用のアルカリとしては、リチウ
ム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属の水
酸化物、酸化物、炭酸塩または重炭酸塩、あるいはカル
シウムまたはマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水
酸化物、酸化物、炭酸塩または重炭酸塩などが多用され
る。勿論、原料の無水物に対して不活性なトリエチルア
ミンで代表される有機塩基を用いても問題はない。反応
液のpHが12を越える強アルカリ性条件下ではN−ホルミ
ル−L−アスパラギン酸無水物の水による開環反応が増
大し、そのためにN−ホルミル−L−アスパラギン酸無
水物の使用量が増加すると同時にβ−異性体以外の副生
物の生成も起るので好ましくない。また、反応時のpHが
酸性側に片寄ると反応が緩慢になり無水物の水による開
環反応が優先的に起り易くなり好ましくない。
反応温度はN−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物の
水により加水分解反応を抑制する意味で30℃以下、さら
に好ましくは20℃以下である。下限については特に制限
はないが工業的見地より−20℃以上である。尚この縮合
反応に際して反応に不活性で且つ水と混和性の有機溶媒
を併用することもできる。
上記のようにしてN−ホルミル−L−アスパラギン酸無
水物とL−フェニルアラニンとの水中での縮合反応によ
りN−ホルミル−α−L−アスパチル−L−フェニルア
ラニンが主生成物として生成するが、前述のようにその
異性体であるN−ホルミル−β−L−アスパルチル−L
−フェニルアラニンも一部副生する。その生成比は75:2
0〜80:20であり、目的物とβ−異性体とを併せての総合
収率は、通常、L−フェニルアラニンに対して95%以上
である。ここに生成したN−ホルミル−α−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニンは本発明においては単離
せずに、反応混合物をそのまま用いて、次のα−APM製
造反応を行う。
したがつて、本発明の方法は、N−ホルミル−α−L−
アスパルチル−L−フェニルアラニンを含有する前記反
応混合物から一つの反応器でα−APMを製造するもの
で、基本的には該反応混合物を塩酸酸性とし、メタノー
ル存在下に塩酸と接触させることにより生成したα−AP
Mを塩酸塩として系外に析出させる。
前述の縮合反応混合物を塩酸酸性とするには、反応混合
物中に塩化水素を導入するかまたは濃塩酸を添加する。
そしてここに得られた混合物をメタノールの存在下に塩
酸と接触させることにより脱ホルミル化反応とエステル
化反応が進行し、結果としてα−APMが生成し、これが
塩酸塩として系外に析出してくる。
メタノールの使用量は縮合反応によつて生成したN−ホ
ルミル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
に対して少なくとも1当量以上、好ましくは出発原料の
L−フェニルアラニンに対して1当量以上用いるのが良
い。メタノール使用量の上限については、あまり過剰に
用いると反応系のメタノール濃度が高くなり、反応によ
つて生成したα−APM塩酸塩の溶解度が上がり、α−APM
塩酸塩が析出しにくくなると同時に生成したα−APMが
さらにエステル化され、α−L−アスパルチル−L−フ
ェニルアラニンジメチルエステルの副生が増加して好ま
しくない。
したがつて、通常はL−フェニルアラニンに対して6モ
ル以下、また 〔(メタノール)/(メタノール+HCl+H2O)〕×100で
規定される濃度として30重量%以下が好ましい。メタノ
ールは前記縮合反応混合物を塩酸酸性にする前に添加し
てもよいし、あるいは塩酸酸性とした後で添加してもよ
い。
接触させる塩酸は出発原料のL−フェニルアラニンに対
して1〜10当量の範囲の量で使用するのがよい。また本
発明は反応によつて生成したα−APMを塩酸塩として遂
次系外に析出させることによつてα−APMの高い収率を
達成できるものであり、α−APM塩酸塩を析出し易くす
るために接触時の反応系の塩酸濃度も重要な因子であ
る。塩酸濃度としては〔(HCl)/(HCl+H2O)〕×100で規定
される濃度として3〜33重量%、好ましくは5〜30重量
%である。
塩酸濃度が低すぎると目的のエステル化反応が起りにく
くなる。また塩酸濃度が高すぎると、生成したα−APM
塩酸塩の溶解度が上がり系外に析出しにくくなり、α−
APM収率が低下する。
本発明の方法において、縮合反応混合物と塩酸とを接触
させる温度は0℃乃至反応混合物の沸点、好ましくは0
〜60℃である。低すぎると脱ホルミル化及びエステル化
反応が進行しにくくなり完応完結まで著しく長時間を要
し工業的には好ましくなく、また高すぎる場合にはペプ
チド結合の解裂等の望ましくない副反応が誘起されて、
同じく好ましくない。
尚、本発明の方法においては、縮合反応混合物を塩酸と
接触させる際に縮合反応に用いたアルカリと塩酸との中
和により相当する無機塩が生成するが、接触時に系外に
析出していれば接触の途中で分離することも可能であ
る。
本発明においては反応によつて生成したα−APMは塩酸
塩として系外に析出する。従つて反応後は必要に応じて
反応混合物を冷却後過することによりα−APM塩酸塩
が単離される。ここに単離されたα−APM塩酸塩は水
中、懸濁または溶液状態で水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウムまたはアンモニア等のアル
カリで中和することにより遊離のα−APMに変換するこ
とができる。
(実施例) 以下実施例により本発明を詳細に説明する。
尚、実施例中の高速液体クロマトグラフィの分析条件は
次の通りである。
高速液体クロマトグラフィーでの分析条件 カラム:YMCpackA-312 6mmφ×150mm (充填剤:ODS) 移動相:0.005M/l ヘプタンスルホン酸ナトリウム水溶
液:メタノール=65:35(体積比) (リン酸でpH=2.5に調整) 流量:1ml/min 検出器:紫外分光光度計 実施例1 66gの水中に固形の水酸化ナトリウム5.0gを加えて溶か
し、さらにL−フェニルアラニン19.8g(0.12モル)を
装入して溶解し、0℃に冷却した。
つぎにこの溶液中にN−ホルミル−L−アスパラギン酸
無水物18.8g(0.13モル)を0〜5℃で30分間で徐々に
装入した。この際45%水酸化ナトリウム水溶液を滴下し
て反応液のpHを9〜11に保つた。その後同温度で1時間
反応させた。反応液の一部をとり高速液体クロマトグラ
フィーにて分析の結果、N−ホルミル−α−L−アスパ
ルチル−L−フェニルアラニンとN−ホルミル−β−L
−アスパルチル−L−フェニルアラニンの生成比は75.
4:24.6であり、また両者併せての総合収率は96.8%(対
L−フェニルアラニン)であつた。
この反応混合物中にメタノール14.4g加え、ついで26.8g
の塩化水素を55℃以下の温度で導入し、さらに50〜55℃
で1時間反応させた。その後25℃に冷却し20〜25℃で4
日間反応させた。反応混合物を5℃以下に冷却し0〜5
℃で3時間かきまぜたのち析出しているα−APM塩酸塩
を過し、冷水で洗浄することにより白色のα−APM塩
酸塩の湿ケーキを得た。この湿ケーキを高速液体クロマ
トグラフィーにて分析の結果19.3gのα−APMを含有して
いた。収率54.7%(対L−フェニルアラニン) 実施例2 実施例1で得られたα−APM塩酸塩の湿ケーキを水200ml
に懸濁させ20〜25℃で20%炭酸ナトリウム水溶液で中和
した(pH=5.0)。その後5℃に冷却し同温度で1時間
かきまぜてから析出している結晶を過し、冷水で洗浄
後真空乾燥することによつて遊離のα−APMを得た。収
量17.4g このものを高速液体クロマトグラフィーにて分析の結
果、α−APM以外に不純物は検出されなかつた。また比
旋光度は以下の通りであつた。
▲〔α〕20 D▼=16.07 (C=4、5規定ギ酸) 実施例3 フレーク状水酸化カリウム7.0gを110gの水に溶かしさら
にL−フェニルアラニン19.8g(0.12モル)を装入して
溶解し0℃に冷却した。この水溶液中にN−ホルミルア
スパラギン酸無水物18.8g(0.13モル)を0〜5℃で30
分間で徐々に装入した。この間50%水酸化カリウム水溶
液16.0を同時に滴下して反応液のpHを8〜11に保つた。
その後同温度でさらに1時間攪拌した。反応液の一部を
とり高速液体クロマトグラフィーにて分析の結果、N−
ホルミル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
ンとN−ホルミル−β−L−アスパルチル−L−フェニ
ルアラニンの生成比は77:23であり、また両者併せての
総合収率は98.9%であつた。この反応混合物中にメタノ
ール19.2gを加え、ついで40.2gの塩化水素を55℃以下の
温度で導入し、さらに50〜55℃で30分間反応させた。そ
の後室温まで冷却し室温でさらに5日間反応させた。
反応後、反応混合物を5℃以下に冷却し0〜5℃で3時
間かきまぜたのち析出しているα−APM塩酸塩を過し
冷水で洗浄することにより白色のα−APM塩酸塩を得
た。高速液体クロマトグラフィーにて分析の結果17.4g
のα−APMを含有していた。収率49.3g(対L−フェニル
アラニン) 実施例4 水酸化ナトリウム5.0gを66gの水に溶かしさらにL−フ
ェニルアラニン19.8g(0.12モル)を装入して溶解し−
5℃に冷却した。つぎにこの水溶液中にN−ホルミル−
L−アスパラギン酸無水物18.8g(0.13モル)を10℃以
下の温度で保つておよそ1時間で少しづつ装入した。こ
の間30%水酸化ナトリウム水溶液(19.0g)を滴下して
反応液のpHを8〜11に保つた。その後同温度で1時間反
応させた。反応液の一部をとり高速液体クロマトグラフ
ィーにて分析の結果N−ホルミル−α−L−アスパルチ
ル−L−フェニルアラニンとN−ホルミル−β−L−ア
スパルチル−L−フェニルアラニンの生成比は76.1:24.
9でありまた両者併せての総合収率は97.4%(対L−フ
ェニルアラニン)であつた。
この反応混合物中にメタノール8.3gを加え、ついで、3
5.9gの塩化水素を55℃以下の温度で導入し、さらに50〜
55℃で1時間反応させたのち30℃に冷却して同温度でさ
らに7日間反応させた。反応後実施例1と同様に処理す
ることによりα−APM20.5gを含有するα−APM塩酸塩を
得た。収率53.6%(対L−フェニルアラニン) (発明の効果) 本発明の方法はその溶液中での安定性に問題のあるL−
フェニルアラニンメチルエステルを用いることなく、L
−フェニルアラニンを直接使用できる利点がある。
その上、このL−フェニルアラニンを原料として一つの
反応器で最終目的物であるα−APMまでを製造できる。
従来、中間体を単離してα−APMを製造する種々の方法
があるが、これらに比較して原料的に高価なL−フェニ
ルアラニンの損失もなく、また作業性の点からも極めて
効率の良いα−APMの製造法である。しかも、N−ホル
ミル−L−アスパラギン酸無水物とL−フェニルアラニ
ンの縮合時に副生するβ−異性体は、メタノール存在下
での塩酸との接触により脱ホルミルならびにエステル化
され種々の化合物を生成するが、α−APM塩酸塩の析出
に悪影響を及ぼすことなく、これらは析出したα−APM
塩酸塩を分離したあとの母液に全て移行する。したがつ
て、この母液を加水分解すれば、出発原料のL−フェニ
ルアラニンおよびL−アスパラギン酸としてそれぞれが
比較的高い濃度で回収されることになり、そのため加水
分解後これらの物質を単離するに際してエネルギー的に
損失の大きい濃縮操作が不要になるなどの副次的特徴も
持ち併せる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物
    とL−フェニルアラニンを水中pH7〜12の範囲で縮合し
    たのち、生成したN−ホルミル−α−L−アスパルチル
    −L−フェニルアラニンを単離することなく、引きつづ
    き反応混合物を塩酸酸性としメタノールの存在下に塩酸
    と接触させ、析出したα−L−アスパルチル−L−フェ
    ニルアラニンメチルエステル塩酸塩を分離することを特
    徴とするα−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
    メチルエステル塩酸塩の製造法。
  2. 【請求項2】N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物
    とL−フェニルアラニンとの水中での縮合反応をL−フ
    ェニルアラニンに対して10重量倍以下の水を用いて行う
    特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物
    とL−フェニルアラニンを水中pH7〜12の範囲で縮合し
    たのち、生成したN−ホルミル−α−L−アスパルチル
    −L−フェニルアラニンを単離することなく、引きつづ
    き反応混合物を塩酸酸性としメタノールの存在下に塩酸
    と接触させ、析出したα−L−アスパルチル−L−フェ
    ニルアラニンメチルエステル塩酸塩を分離し、次いで該
    塩酸塩を中和することを特徴とするα−L−アスパルチ
    ル−L−フェニルアラニンメチルエステルの製造法。
  4. 【請求項4】N−ホルミル−L−アスパラギン酸無水物
    とL−フェニルアラニンとの水中での縮合反応をL−フ
    ェニルアラニンに対して10重量倍以下の水を用いて行う
    特許請求の範囲第3項記載の方法。
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