JPH07114211A - 電子写真用トナー - Google Patents

電子写真用トナー

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Publication number
JPH07114211A
JPH07114211A JP5262594A JP26259493A JPH07114211A JP H07114211 A JPH07114211 A JP H07114211A JP 5262594 A JP5262594 A JP 5262594A JP 26259493 A JP26259493 A JP 26259493A JP H07114211 A JPH07114211 A JP H07114211A
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JP
Japan
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fine particles
toner
polymerizable monomer
monomer
weight
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Pending
Application number
JP5262594A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Okae
寿朗 岡江
Masaki Tsujihiro
昌己 辻廣
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Mita Industrial Co Ltd filed Critical Mita Industrial Co Ltd
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Publication of JPH07114211A publication Critical patent/JPH07114211A/ja
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Priority to US08/740,077 priority patent/US5770342A/en
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒度分布が狭くかつ小粒径化が可能で、しか
も流動性にすぐれる、という懸濁重合法によるトナー粒
子の利点はそのまま保持し、なおかつクリーニングブレ
ードによるクリーニング性にもすぐれた電子写真用トナ
ーを提供する。 【構成】 トナー粒径の1〜30%の一次粒子径を有す
る架橋樹脂微粒子、または同じ一次粒子径を有し、かつ
重合性単量体に対する親和性を高めた難水溶性の無機微
粒子のうちいずれかの微粒子1を、上記重合性単量体に
対して0.1〜100重量%の割合で添加したモノマー
相を懸濁重合してトナー粒子2を製造した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる懸濁重合法に
よって製造された電子写真用トナーに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真用トナーは、スチレン−
アクリル系共重合体等の定着用樹脂と、着色剤としての
カーボンブラックその他の添加剤とを溶融混練し、つい
で粉砕し分級することにより製造される。しかし、かか
る粉砕型のトナーは粒度分布が広いために、帯電を均一
にすることが困難であり、しかも粒径が大きいために、
解像度の高い画像を得るのが困難であった。また得られ
る粒子の形状が不規則であるため、トナーの流動性が概
して低く、ブロッキング等を発生しやすいという問題も
あった。
【0003】そこで近時、懸濁重合法による樹脂粒子の
製造を利用したトナーの製造方法が提案された。この方
法は、上記定着用樹脂の元になる水不溶性の重合性単量
体と、これに可溶な重合開始剤と、カーボンブラックそ
の他の添加剤とを含む液状のモノマー相(油相)を作製
し、それを水等の水性分散媒中に液滴状に懸濁分散させ
つつ加熱して、重合性単量体を重合させる方法である。
【0004】かかる方法によって製造される電子写真用
トナーは粒度分布が狭く、しかも懸濁条件を変更するこ
とでより小粒径化が可能であるため、帯電特性にすぐれ
るとともに、高品質画像が得られるという利点がある。
しかし、懸濁重合法によって得られる電子写真用トナー
は、粒子形状がほとんど球形であるため、流動性にはす
ぐれるもののクリーニング性が悪いという問題があっ
た。つまり、上記のように球形のトナーは、画像形成後
の感光体表面に残留した場合に、当該感光体表面に圧接
させたクリーニングブレードで除去するのが難しいので
ある。
【0005】そこで、クリーニングブレードによるクリ
ーニング性を向上すべく、乳化重合により合成された、
比較的架橋度の低い架橋樹脂の微粒子を、重合性単量体
に対して等倍量ないし5倍量という多量に添加したモノ
マー相を懸濁重合に使用することで、製造されるトナー
粒子を不定形化することが提案された(特開平4−10
0058号公報参照)。
【0006】この技術は、上記架橋樹脂が、その架橋度
の低さゆえに、重合性単量体によって膨潤し、あるいは
重合性単量体に部分的に溶解して、重合性単量体と均一
な相を形成し得ることと、このような性質を有する低架
橋度の架橋性樹脂の微粒子を、上記のようにモノマー相
に多量に添加して膨潤または溶解させると、モノマー相
の粘度が上昇して、懸濁分散時に球形でなく不定形化す
ることを利用したものである。
【0007】また上記技術とは別に、球形のトナー粒子
の表面に突起を形成することで、クリーニングブレード
によるクリーニング性を向上すべく、通常の懸濁重合法
で製造された球形のトナー粒子の表面に、難水溶性の無
機微粒子を物理的、機械的に付着させるか、あるいはト
ナー粒子の表面に打ち込むことも提案されている(特開
平2−162362号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが前者のトナー
は、上記のように多量の架橋樹脂を含有するので、トナ
ーとしての重要な性能の一つである、紙等への定着性が
悪いという問題がある。また上記トナーは不定形化して
いるので、球形で流動性にすぐれるという、懸濁重合法
のトナーの特質の一つが失われ、粉砕法トナーと同様に
流動性が悪いという問題もある。
【0009】また後者のトナーは、無機微粒子がトナー
粒子と一体化していないため、比較的容易に脱落してク
リーニング性が悪化したり、あるいは脱落した無機微粒
子が形成画像に悪影響を及ぼしたりするという問題があ
る。本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであっ
て、粒度分布が狭くかつ小粒径化が可能で、しかも流動
性にすぐれる、という懸濁重合法によるトナー粒子の利
点はそのまま保持し、なおかつクリーニングブレードに
よるクリーニング性にもすぐれた電子写真用トナーを提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、重合性単量体に溶解しない微粒子を
モノマー相中に添加して懸濁重合を行うことで、トナー
粒子の表面に、上記微粒子による突起を多数形成して異
形化することを検討した。この方法によって形成される
トナーは、基本的に球形であるため流動性にすぐれる
上、表面に多数の突起が形成されて異形化されるためク
リーニング性にもすぐれ、しかも上記突起は、重合性単
量体の重合物によりトナー粒子と一体化されるため、容
易に脱落しないことが期待される。
【0011】しかし、上記の技術によってトナー粒子の
表面に突起を形成することに関して具体的な研究が行わ
れたとの報告は今のところなく、したがって、突起形成
に適した微粒子についてもほとんど検討されていないの
が現状である。たとえば突起形成のための微粒子とし
て、前述した難水溶性の無機微粒子を使用した場合に
は、当該無機微粒子が、重合性単量体より親水性が高
く、かつ重合性単量体との親和性が低いため、モノマー
相に十分に分散させておいても、懸濁操作によってモノ
マー相を水性分散媒中に液滴状に懸濁分散させた際に
は、当該無機微粒子は液滴表面に残留せず、水性分散媒
中に容易に移動してしまう。このため、重合後のトナー
粒子表面には無機微粒子が全く存在しないか、あるいは
ごく僅かしか存在せず、したがって、トナー粒子の表面
に、確実に突起を形成できないのである。
【0012】そこで本発明者らは、トナー粒子の表面に
突起を形成するために最適な微粒子の種類、配合量、粒
径等についてさらに検討を行った結果、本発明を完成す
るに至った。すなわち本発明の電子写真用トナーは、重
合性単量体を含有するとともに、トナー粒径の1〜30
%の一次粒子径を有する架橋樹脂微粒子、または同じ一
次粒子径を有し、かつ重合性単量体に対する親和性を高
めた難水溶性の無機微粒子を、上記重合性単量体に対し
て0.1〜100重量%の割合で含有するモノマー相
を、水性分散媒中に液滴状に懸濁分散させた状態で、重
合性単量体を重合させてなり、その表面に上記架橋樹脂
微粒子または無機微粒子による多数の突起が形成された
ことを特徴とするものである。
【0013】以下に本発明を説明する。本発明におい
て、トナー粒子の表面に突起を形成するために用いられ
る架橋樹脂微粒子としては、従来公知の種々の架橋樹脂
からなる微粒子が、いずれも使用可能であるが、とくに
重合性単量体の重合温度条件下で、当該重合性単量体に
膨潤または溶解しない程度の架橋度を有するものが好適
に採用される。
【0014】上記架橋樹脂の具体例としては、これに限
定されるものではないが、たとえばジビニルベンゼン等
のジビニル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルイソ
フタレート、ジアリルアジペート、ジアリルグリコレー
ト、ジアリルマレエート、ジアリルセバケート等のジア
リル化合物;トリアリルホスフェート、トリアリルアコ
ニテート、トリアリルシアヌレート、トリメリット酸ア
リルエステル、ピロメリット酸アリルエステル等のトリ
アリル化合物;1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレン
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、
ポリプロピレングリコールジアクリレート、ブチレング
リコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート等の
ジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリア
クリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等
のトリアクリレート化合物;1,6−ヘキサンジオール
ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメ
タクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート等
のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパント
リメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロ
ールメタンテトラアクリレート、N,N,N′,N′−
テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン
のアクリル酸エステル等のポリ(メタ)アクリレート化
合物;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等の
アリル−アクリル系化合物;N,N′−メチレンビスア
クリルアミド、N,N′−メチレンビスメタクリルアミ
ド等のアクリルアミド化合物;ポリウレタンアクリレー
ト、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレー
ト、ポリエステルアクリレート等のプレポリマーなど、
2官能〜多官能の重合性単量体を重合させたものがあげ
られる。これら重合性単量体は、それぞれ単独で使用さ
れる他、2種以上を共重合させることもできる。また重
合体の架橋度をあまり下げない範囲であれば、トナー粒
子の原料である重合性単量体(後述)を共重合させこと
もできる。
【0015】上記の重合性単量体から架橋樹脂微粒子を
製造する方法についてはとくに限定されないが、後述す
るように、微粒子の粒径は、トナー粒径の1〜30%と
いう微細なものであり、しかもトナー表面の突起の大き
さを一定にすべく、上記微粒子は粒度分布がシャープで
ある必要があり、そのような微粒子を製造する方法とし
ては、上記重合性単量体を、当該単量体は溶解するがそ
の重合体は溶解しない媒質中に、分散安定剤等とともに
溶解し、攪拌下で重合させる、いわゆる分散重合法が好
適に採用される。
【0016】塊状の架橋樹脂を粉砕、分級する粉砕法で
は、上記のように微細でかつ粒度分布のシャープな微粒
子を製造するのは難しい。また乳化重合法製造される微
粒子は、一般に、分散重合法のものより粒径が小さくな
る傾向があるため、製造される微粒子の粒径が前記範囲
を下回って使用できないおそれもあるが、粒径によって
は使用可能である。
【0017】上記架橋樹脂微粒子は、以上で説明したよ
うにある程度の架橋度を有し、懸濁重合時のモノマー相
中で膨潤したり溶解したりせず、モノマー相とはっきり
相分離したものである。またたとえば分散重合法で製造
されたものは、分散安定剤に起因する親水性基を有して
いる等、上記架橋樹脂微粒子はいずれのものも、ある程
度の親水性を有している。
【0018】このため、上記架橋樹脂微粒子を含むモノ
マー相を水性分散媒中に液滴状に懸濁分散させた際に
は、親水性と、重合性単量体への親和性との適度なバラ
ンスにより、架橋樹脂微粒子は、液滴表面に移動はする
がそこからさらに水性分散媒中に移動してしまうことは
なく、液滴表面に止まって、硬化後のトナー粒子表面
で、当該トナー粒子と一体化した突起を確実に形成する
ことができる。
【0019】上記架橋樹脂微粒子の一次粒子径は、本発
明では、トナー粒径の1〜30%に限定される。架橋樹
脂微粒子の一次粒子径が上記範囲未満では、トナー粒子
の表面に形成される突起が小さすぎて、クリーニングブ
レードによるクリーニング性を向上することができな
い。一方、架橋樹脂微粒子の一次粒子径が上記範囲を超
えた場合には、トナー粒子の表面に形成される突起が大
きすぎてトナー粒子が不定形化し、トナーの流動性が低
下してしまう。
【0020】また上記架橋樹脂微粒子のモノマー相への
配合量は、重合性単量体に対して0.1〜100重量%
に限定される。架橋樹脂微粒子の配合量が上記範囲未満
では、トナー粒子の表面に形成される突起が少なすぎ
て、クリーニングブレードによるクリーニング性を向上
することができない。一方、架橋樹脂微粒子の配合量が
上記範囲を超えた場合には、モノマー相の粘度が高くな
りすぎて、形成されるトナー粒子が不定形化し、トナー
の流動性が低下してしまう。
【0021】上記架橋樹脂微粒子と同様に、本発明にお
いて突起を形成するために使用される難水溶性の無機微
粒子の具体例としては、これに限定されるものではない
が、たとえば第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、水
酸化アルミニウムおよび二酸化ケイ素(シリカ)等の、
従来公知の種々の化合物があげられる。これらは単独で
使用される他、2種以上を併用することもできる。
【0022】上記無機微粒子の、重合性単量体への親和
性を高めるには種々の方法が考えられるが、とくに、上
記無機微粒子をカップリング剤で処理する方法や、ある
いは無機微粒子を重合性単量体によってグラフト化処理
する方法が、簡単でしかも効果的であるため、好適に採
用される。カップリング剤としては、たとえばチタネー
トカップリング剤、シランカップリング剤、アルミニウ
ムカップリング剤等の、従来公知の種々のカップリング
剤の1種あるいは2種以上がいずれも使用可能である。
【0023】カップリング剤の添加量はとくに限定され
ないが、通常は、無機微粒子100重量部に対して、
0.1〜10重量部程度であるのが好ましい。カップリ
ング剤の添加量が上記範囲未満では、無機微粒子の重合
性単量体への親和性を十分に向上できないおそれがあ
り、逆に上記範囲を超えた場合には、トナーの帯電特性
に影響するおそれがある。
【0024】一方、重合性単量体としては、トナー粒子
の原料である重合性単量体と同一または異なるものが使
用され、トナー粒子の原料である重合性単量体と異なる
ものを使用する場合には、上記トナー粒子の原料である
重合性単量体およびその重合体との相溶性にすぐれた重
合体を形成しうるものが好適に使用される。重合性単量
体の具体例としては、後述するトナー粒子の原料である
重合性単量体の中から、上記の条件を満たすものが選択
される。
【0025】重合性単量体によるグラフト化処理の程度
は、本発明ではとくに限定されないが、無機微粒子の表
面が、当該無機微粒子100重量部に対して、0.1〜
5重量部程度の重合体で覆われるように処理するのが好
ましい。重合体の割合が上記範囲未満では、無機微粒子
の重合性単量体への親和性を十分に向上できないおそれ
があり、逆に上記範囲を超えた場合には、無機微粒子の
重合性単量体への親和性が高くなりすぎて、無機微粒子
がトナー粒子内部に取り込まれてしまい、表面に露出し
ないおそれがある。
【0026】無機微粒子の、上記カップリング剤や重合
性単量体による処理は、懸濁重合法によるトナー粒子の
製造工程に先立って行うこともできるが、トナー粒子の
製造工程、とくにモノマー相の製造時に行うのが、作業
効率等の点で好ましい。具体的には、カップリング剤に
よる処理の場合、重合性単量体に、無機微粒子と、カー
ボンブラックその他の添加剤とを配合してモノマー相を
作製する際に、所定量のカップリング剤を添加して、モ
ノマー相の作製と同時に無機微粒子を処理するのがよ
い。
【0027】また重合性単量体で無機微粒子をグラフト
化処理する場合には、重合性単量体中に無機微粒子を分
散させて処理を行った後、そこへ、カーボンブラックそ
の他の添加剤を配合し、さらに必要に応じて上記と同じ
または異なる重合性単量体を加えてモノマー相を作製す
るのがよい。上記のごとくカップリング剤や重合性単量
体で処理した無機微粒子は、先の架橋樹脂微粒子と同様
に、親水性と、重合性単量体への親和性との適度なバラ
ンスにより、液滴表面に移動はするがそこからさらに水
性分散媒中に移動してしまうことはなく、液滴表面に止
まって、硬化後のトナー粒子表面で、当該トナー粒子と
一体化した突起を確実に形成することができる。
【0028】上記無機微粒子の一次粒子径は、本発明で
は、先に説明した架橋樹脂微粒子の場合と同じ理由で、
トナー粒径の1〜30%に限定される。また上記無機微
粒子のモノマー相への配合量も、先に説明した架橋樹脂
微粒子の場合と同じ理由で、重合性単量体に対して0.
1〜100重量%に限定される。本発明の電子写真用ト
ナーは、重合性単量体と、上記特定粒径、特定配合量の
架橋樹脂微粒子または無機微粒子とを含むモノマー相
を、水性分散媒中に懸濁分散させて球形の液滴状に造粒
し、これを−30〜90℃、特に30〜80℃の温度で
0.1〜50時間程度重合させることで製造される。な
おこのとき、酸素による重合の停止反応を抑制するため
に反応系内を不活性ガスで置換することが好ましい。
【0029】かくして得られる本発明の電子写真用トナ
ーTは、図1に示すように、重合性単量体の重合物から
なるほぼ球状のトナー粒子2の表面に、当該重合物によ
ってトナー粒子2と一体化された状態で、多数の微粒子
(架橋樹脂微粒子または無機微粒子)1により多数の突
起が形成されて異形化されることで構成されている。上
記本発明の電子写真用トナーの粒径はとくに限定されな
いが、高解像度の画像を得るために、中心粒径が10μ
m前後、粒度分散が1.50以下の範囲内であるのが望
ましい。
【0030】上記本発明の電子写真用トナーを懸濁重合
法にて製造する際に使用する水性分散媒としては、水、
または水を主体とする、モノマー相と相溶しない混合溶
媒があげられ、とくに水が最も好適に採用される。上記
水性分散媒には、モノマー相液滴の分散性を安定させる
目的で、分散安定剤を配合するのが好ましい。分散安定
剤としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子
や、前記難水溶性の無機微粒子があげられるが、トナー
の耐環境安定性、流動性、あるいは帯電特性等を考慮す
ると、トナー粒子の表面に取り込まれて当該表面を吸湿
性にするおそれのある水溶性高分子よりも、難水溶性の
無機微粒子が好適に採用される。分散安定剤として使用
する無機微粒子は、その性格上、モノマー相にとりこま
れない必要があり、未処理のものが好適に採用される。
【0031】分散安定剤としての無機微粒子の添加量
は、従来と同程度でよい。また水性分散媒には、モノマ
ー相の良好な分散状態を得るため、界面活性剤を配合す
るのが好ましい。界面活性剤は、泡の噛み込み等を防止
するため、モノマー相添加後に添加するのがよい。界面
活性剤としては、アニオン系、カチオン系あるいはノニ
オン系の従来公知の種々の界面活性剤が使用できるが、
目的とするトナーの粒径が10μm以下であることを考
慮すると、懸濁分散能力にすぐれている必要があり、ま
た製造後のトナーの特性に影響を与えないためには、ト
ナーから除去しやすいことが望ましい。界面活性剤は、
モノマー相および水性分散媒の比率等に応じて適宜の割
合で添加される。
【0032】モノマー相は、少なくとも重合性単量体
と、前述した架橋樹脂微粒子、または重合性単量体に対
する親和性を高めた難水溶性の無機微粒子と、着色剤
と、電荷制御剤とを含んでいればよく、その他の成分に
ついてはとくに限定されない。種々の添加剤(いうまで
もなくモノマー相に可溶で水性分散媒に不溶のもの)を
添加することもできる。
【0033】モノマー相を構成する重合性単量体として
は、ラジカル重合性の種々の重合性単量体を使用するこ
とができる。このような重合性単量体としてはたとえば
モノビニル芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニルエ
ステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ジオレフィ
ン系単量体、モノオレフィン系単量体、ハロゲン化オレ
フィン系単量体、ポリビニル系単量体等の従来公知の種
々の化合物を使用することができる。
【0034】モノビニル芳香族単量体としては、下記一
般式(1) :
【0035】
【化1】
【0036】(式中、R1 は水素原子、低級アルキル基
またはハロゲン原子、R2 は水素原子、低級アルキル
基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ
基、ビニル基、スルホ基、ナトリウムスルホナト基、カ
リウムスルホナト基またはカルボキシル基を表す。)で
表されるモノビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチ
レン、o,m,p−クロロスチレン、p−エチルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム、ジビニルベンゼン
などがあげられる。
【0037】アクリル系単量体としては、下記一般式
(2) :
【0038】
【化2】
【0039】(式中、R3 は水素原子または低級アルキ
ル基、R4 は水素原子、炭素数12までの炭化水素基、
ヒドロキシアルキル基、ビニルエステル基またはアミノ
アルキル基を表す。)で表されるアクリル系単量体、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−
エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル
酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキ
シアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸ブチ
ル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシ
メタクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、
γ−N,N−ジエチルアミノアクリル酸プロピル、エチ
レングリコールジメタクリル酸エステル、テトラエチレ
ングリコールジメタクリル酸エステルなどがあげられ
る。
【0040】ビニルエステル系単量体としては、下記一
般式(3) :
【0041】
【化3】
【0042】(式中、R5 は水素原子または低級アルキ
ル基を表す。)で表されるビニルエステル系単量体があ
げられ、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルなどがあげられる。ビニルエーテル系単量体とし
ては、下記一般式(4) :
【0043】
【化4】
【0044】(式中、R6 は炭素数12までの1価の炭
化水素基を表す。)で表されるビニルエーテル系単量体
があげられ、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチ
ルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェ
ニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテルなどがあ
げられる。ジオレフィン系単量体としては、下記一般式
(5) :
【0045】
【化5】
【0046】(式中、R7 ,R8 およびR9 は同一また
は異なって、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン
原子を表す。)で表されるジオレフィン系単量体があげ
られ、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンな
どがあげられる。モノオレフィン系単量体としては、下
記一般式(6) :
【0047】
【化6】
【0048】(式中、R10,R11は同一または異なっ
て、水素原子または低級アルキル基を表す。)で表され
るモノオレフィン系単量体があげられ、例えばエチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチ
ルペンテン−1などがあげられる。ハロゲン化オレフィ
ン系単量体としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデ
ンなどがあげられる。
【0049】さらにポリビニル単量体としては、たとえ
ばジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリシアヌ
レートなどがあげられる。これらは単独で使用できる
他、2種以上を併用することもできる。たとえば、最も
一般的なスチレン−アクリル系の定着用樹脂を含むトナ
ーを製造する場合には、重合性単量体としてスチレンと
アクリル系単量体とを併用すればよい。
【0050】モノマー相には、上記重合性単量体の重合
を開始させる重合開始剤が添加される。重合開始剤とし
ては、水性分散媒に不溶で、かつ重合性単量体との相溶
性のあるものが好ましく、たとえばアゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾ
ビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,
2′−アゾビス−(2−メチルプロピオニトリル)、
2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、
1,1′−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニ
トリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビ
ス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;クメ
ンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシ
ド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ
ド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物
が使用できるほか、紫外線や可視光線の照射による重合
を行う場合には、従来公知の光重合開始剤を使用するこ
ともできる。これらは単独で使用される他、2種以上を
併用することもできる。
【0051】重合開始剤の使用量は、重合性単量体10
0重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは
0.01〜0.5重量部の範囲である。なおγ線、加速
電子線等を用いて重合を開始させることも可能であり、
この場合には重合開始剤を使用しなくてもよい。また、
紫外線と各種光増感剤とを組合せて重合を開始してもよ
い。
【0052】着色剤としては、これに限定されるもので
はないが、たとえば 〈黒色〉カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.
No. 50415B)、ランプブラック(C.I.No. 7
7266)、オイルブラック、アゾオイルブラック、 〈赤色〉デュポンオイルレッド(C.I.No. 2610
5)、ローズベンガル(C.I.No. 45435)、オ
リエントオイルレッド♯330(C.I.No. 605
0)、〈黄色〉クロームイエロー(C.I.No. 140
90)、キノリンイエロー(C.I.o.47005)、 〈緑色〉マラカイトグリーンオクサレート(C.I.N
o. 42000)、 〈青色〉カルコオイルブルー(C.I.No. azoec
ブルー3)、アニリンブルー(C.I.No. 5040
5)、メチレンブルークロライド(C.I.No. 520
1)、フタロシアニンブルー(C.I.No. 7416
0)、ウルトラマリンブルー(C.I.No. 7710
3)、 等があげられる。これらは単独で使用される他、2種以
上を併用することもできる。着色剤は、重合性単量体1
00重量部あたり1〜20重量部の割合で使用するのが
好ましい。
【0053】電荷制御剤は、トナーの摩擦帯電性を制御
するために配合されるもので、正電荷制御用と負電荷制
御用の2種がある。正電荷制御用の電荷制御剤として
は、塩基性窒素原子を有する有機化合物、例えば塩基性
染料、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミ
ノ化合物、アミノシラン類等や、上記各化合物で表面処
理された充填剤等があげられる。
【0054】負電荷制御用の電荷制御剤としては、ニグ
ロシンベース(CI5045)、オイルブラック(CI26150
)、ボントロンS、スピロンブラック等の油溶性染
料;スチレン−スチレンスルホン酸共重合体等の電荷制
御性樹脂;カルボキシ基を含有する化合物(例えばアル
キルサリチル酸金属キレート等)、金属錯塩染料、脂肪
酸金属石鹸、樹脂酸石鹸、ナフテン酸金属塩等があげら
れる。
【0055】電荷制御剤は、重合性単量体100重量部
に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重
量部の割合で使用される。またトナーにオフセット防止
効果を付与するために、オフセット防止剤を配合するこ
ともできる。オフセット防止剤としては、脂肪族系炭化
水素、脂肪族金属塩類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル
類もしくはその部分ケン化物、シリコーンオイル、各種
ワックス等があげられる。中でも、重量平均分子量が1
000〜10000程度の脂肪族系炭化水素が好まし
い。具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポ
リエチレン、パラフィンワックス、炭素原子数4以上の
オレフィン単位からなる低分子量のオレフィン重合体、
シリコーンオイル等の1種または2種以上の組み合わせ
が適当である。
【0056】オフセット防止剤は、重合性単量体100
重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5
〜8重量部の割合で使用される。上記各成分の他にモノ
マー相に添加することができる成分としては、たとえば
磁性体粉末や架橋剤等があげられる。磁性体粉末を添加
すると、1成分系現像剤としての磁性トナーが得られ
る。
【0057】磁性体は、磁場によってその方向に強く磁
化される物質であって、化学的に安定なものが望まし
く、粒径は1μm以下、とくに0.01〜1μm程度の
微粉末であるのがよい。代表的な磁性体としては、コバ
ルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、マグネシウ
ム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、
カルシウム、セレン、チタン、タングステン、バナジウ
ムのような金属、またはその化合物(酸化物等)、合
金、あるいは混合物等があげられる。
【0058】磁性体粉末の配合量は、重合性単量体10
0重量部に対して20〜300重量部、好ましくは50
〜150重量部の割合で使用するのがよい。架橋剤は、
定着用樹脂を架橋させて、電子写真用トナーの機械的あ
るいは熱的特性を改善するために配合されるもので、た
とえば前記架橋樹脂粒子のところで例示した2官能〜多
官能の重合性単量体が、好ましいものとしてあげられ
る。
【0059】架橋剤は、重合性単量体100重量部に対
して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量
部の割合で使用される。その他、安定剤等の種々の添加
剤を、適宜の割合で配合してもよい。
【0060】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づき説
明する。実施例1 〈架橋樹脂微粒子の合成〉窒素置換した1リットルのセ
パラブルフラスコ内に、媒質としてのメタノールの50
0重量部と、重合性単量体としてのジビニルベンゼンの
50重量部と、分散安定剤としてのポリメタクリル酸の
6重量部と、重合開始剤としての2,2′−アゾビスイ
ソブチロニトリルの5重量部とを仕込んで分散重合用の
連続相を作製し、これを、回転数100r.p.m.で攪拌し
つつ65℃に加熱して18時間重合反応させた後、得ら
れた重合粒子をろ別した。そしてこの重合粒子をメタノ
ールで数回洗浄し、乾燥させて、架橋樹脂微粒子を得
た。得られた架橋樹脂微粒子の一次粒子径は、製造され
た電子写真用トナーTの電子顕微鏡(後述)から計測し
たところ、1.2μmであった。 〈電子写真用トナーの製造〉カーボンブラックの5重量
部と、上記架橋樹脂微粒子の20重量部とを、下記の各
成分とともにボールミルで十分に混合、分散させた後、
重合開始剤としての2,2′−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)の2重量部を加えて懸濁重合用の
モノマー相を作製した。
【0061】 成 分 重量部 ・重合性単量体 スチレン 80 2−エチルヘキシルメタクリレート 20 ・電荷制御剤 スチレンスルホン酸ナトリウム 1 ・離型剤 低分子量ポリプロピレン 1 ・架橋剤 ジビニルベンゼン 1 つぎに上記モノマー相の100重量部と精製水の400
重量部とを、懸濁安定剤としての第三リン酸カルシウム
の5重量部、およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムの0.1重量部とともに、特殊機化工業社製のTK
ホモミキサーを用いて、回転数7000r.p.m.で20分
間攪拌して、液滴の平均粒径が10μmの懸濁液を作製
した。
【0062】つぎにこの懸濁液を、窒素雰囲気下、回転
数100r.p.m.で攪拌しつつ70℃に加熱して10時間
重合反応させた後、得られた重合粒子をろ別した。そし
てこの重合粒子を精製水で数回洗浄し、乾燥させて、平
均粒径10μmの電子写真用トナーを得た。得られた電
子写真用トナーTを電子顕微鏡にて観察したところ、図
3(a) に示すようにほぼ球形のトナー粒子2で、しかも
その表面の数カ所に架橋樹脂の微粒子1による突起が形
成されて異形化されていることが確認された。
【0063】比較例1 架橋樹脂微粒子を全く配合しなかったこと以外は、実施
例1と同様にして、懸濁重合により、平均粒径10μm
の電子写真用トナーを得た。得られた電子写真用トナー
を電子顕微鏡にて観察したところ、図3(b) に示すよう
に突起のないほぼ球形のトナー粒子2′であることが確
認された。
【0064】比較例2 重合性単量体としてのスチレンの70重量部と、ブチル
メタクリレートの30重量部と、架橋剤としてのエチレ
ングリコールジメタクリレートの2重量部とを混合し、
この溶液を、過硫酸カリウムを重合開始剤とするソープ
フリー乳化重合法によって乳化重合させて、平均粒径が
2μmの、比較的架橋度の低い架橋樹脂微粒子を得た。
【0065】そしてこの架橋樹脂微粒子の200重量部
を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、懸濁重
合により、平均粒径10μmの電子写真用トナーを得
た。得られた電子写真用トナーを電子顕微鏡にて観察し
たところ、図3(c) に示すように不定形のトナー粒子
2″であることが確認された。上記各実施例、比較例で
作製した電子写真用トナーを、それぞれフェライトキャ
リヤと混合して、トナー濃度3重量%の2成分現像剤を
作製し、この2成分現像剤を、静電式複写機〔三田工業
(株)製の型番DC−1205〕に用いて、下記の試験
方法により、電子写真用トナーのクリーニング性、定着
性を評価した。
【0066】クリーニング性試験 図4に示すように、A3版の白紙5に、幅30mm、マ
ンセル値N2.0の短冊6を貼りつけたものを原稿とし
て、上記静電式複写機に転写用の紙を供給せずに複写操
作を行い、クリーニング工程が終了する前にスイッチを
切って複写機を停止させて、感光体ドラムを取り出し
た。
【0067】つぎに図5に示すように、感光体ドラム7
の表面の、上記原稿に対応するトナー像中、短冊6に対
応する部分8のうち、図中一点鎖線で示すクリーニング
ブレード当接位置より、感光体ドラム7の回転方向(図
中白矢印で示す)の下流側の、クリーニングブレードに
よってクリーニングされた部分8a(破線で示す)の表
面にセロハン粘着テープを貼りつけた。
【0068】つぎに、上記セロハン粘着テープを感光体
ドラム7の表面から剥離して白紙の表面に貼りつけた
後、その濃度を反射濃度計(東京電色社製のTC−6
D)を用いて測定して、クリーニング性を評価した。な
お、感光体ドラムの表面にトナーが全く残留していない
場合の濃度は0.10〜0.14であり、濃度が0.2
以上になるとトナーが残留しているものと判定した。
【0069】結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1の結果より明らかなように、球形でし
かも表面に突起が形成されていない比較例1の電子写真
用トナーはクリーニング性が非常に悪く、感光体ドラム
の表面に多量に残留していることかわかった。また球形
でなく不定形である比較例2の電子写真用トナーは、比
較例1のものに比べればクリーニング性はよいが、感光
体ドラムの表面にわずかに残留していることがわかっ
た。これに対し実施例1の電子写真用トナーはクリーニ
ング性にすぐれ、感光体ドラムの表面にほとんど残留し
ていないことがわかった。
【0072】定着性試験 上記静電式複写機に、今度は転写用の紙を供給して、ク
リーニング性試験で用いたのと同じ原稿を複写した後、
複写画像の、前記短冊に対応する黒べた部分9を切り取
って、図6(a) に示すように台紙10の表面に貼りつけ
た。つぎに、同図(b) に示すように、一端にピッカー1
1を取り付けた粘着テープ(リンレイ社製の白色ツイー
ドテープ)12を、その粘着面を下にして、上記黒べた
部分9の上に載せた状態で、定着率評価試験機(三田工
業社製)の加圧ローラ(自重1467g、幅150m
m、直径40mm、周速9.68mm/秒)に通すこと
により、上記加圧ローラの重みによって、黒べた部分9
の表面に粘着テープ12を貼りつけて、定着性試験用の
サンプルを得た。なお図において符合11aは、ピッカ
ー11に取り付けられたはく離用の紐である。
【0073】つぎに上記サンプルを、定着率評価試験機
のサンプル固定台上に載せ、台紙10の、図において右
側の一端をサンプル固定台の固定具で固定し、かつピッ
カー11の紐11aを定着率評価試験機の巻き上げギア
に取り付けた後、紐11aを、上記巻き上げギアの回転
によって図(c) に白矢印で示す方向に引っ張って、粘着
テープ12を、1mm/秒の速度で180°はく離し
た。
【0074】そして、黒べた部分9の、粘着テープ12
を貼付しはく離した部分の画像濃度D2 を、前記反射濃
度計を用いて測定して、その測定値と、粘着テープ12
を貼付する前の同じ部分の画像濃度D1 の測定値とか
ら、下記式により、定着率を求め、定着性を評価した。 定着率(%)=D2 /D1 ×100 結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2の結果より明らかなように、架橋樹脂
を多量に含有する比較例2の電子写真用トナーは定着率
が極端に低いことから、定着性が非常に悪いことがわか
った。これに対し実施例1の電子写真用トナーは、架橋
樹脂を一切含まない比較例1と同等の定着率を有し、定
着性にすぐれていることがわかった。実施例2 難水溶性の無機微粒子としてのシリカ粉末の10重量部
を、300重量部のメタノール中に分散させつつ、上記
シリカ粉末に対して2重量%のチタネート系カップリン
グ剤を添加して室温で3時間攪拌して、シリカ粉末をカ
ップリング処理した後、遠心分離によりシリカ粉末を分
離して乾燥させた。カップリング処理したシリカ粉末の
一次粒子径は、製造された電子写真用トナーTの電子顕
微鏡から計測したところ、0.5μmであった。
【0077】つぎに上記シリカ粉末の5重量部と、カー
ボンブラックの5重量部とを、下記の各成分とともにボ
ールミルで十分に混合、分散させた後、重合開始剤とし
ての2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)の2重量部を加えて懸濁重合用のモノマー相を作
製した。 成 分 重量部 ・重合性単量体 スチレン 80 2−エチルヘキシルメタクリレート 20 ・離型剤 低分子量ポリプロピレン 1 ・架橋剤 ジビニルベンゼン 1 つぎにこのモノマー相を、水性分散媒としての精製水に
静かに加え、しばらく放置して界面の様子を観察したと
ころ、図2(a) に白抜きの矢印で示すように、微粒子
(シリカ粉末)1がモノマー相3から水性分散媒(精製
水)4に沈降する際に、その2〜3個が凝集し、かつそ
の周りにモノマー相3の一部を引き込んで油滴31とし
て沈降するのが観察された。このことから、カップリン
グ処理したシリカ粉末は、重合性単量体に対する親和性
が向上していることが確認された。
【0078】つぎに上記モノマー相の100重量部と精
製水の400重量部とを、懸濁安定剤としての第三リン
酸カルシウムの5重量部、およびドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムの0.1重量部とともに、特殊機化工
業社製のTKホモミキサーを用いて、回転数8000r.
p.m.で20分間攪拌して、液滴の平均粒径が10μmの
懸濁液を作製した。
【0079】つぎにこの懸濁液を、窒素雰囲気下、回転
数100r.p.m.で攪拌しつつ80℃に加熱して10時間
重合反応させた後、得られた重合粒子をろ別した。そし
てこの重合粒子を精製水で数回洗浄し、乾燥させて、平
均粒径10μmの電子写真用トナーを得た。得られた電
子写真用トナーTを電子顕微鏡にて観察したところ、実
施例1とほぼ同様の形状であることが確認された。
【0080】実施例3 重合性単量体としてのスチレンの80重量部中に、難水
溶性無機微粒子としてのシリカ粉末の5重量部を混合分
散させつつ、重合開始剤としての2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)の0.6重量部を
加えて、窒素雰囲気下、回転数200r.p.m.で攪拌しつ
つ70℃に加熱して1時間重合反応させて、グラフト化
させた。グラフト化処理したシリカ粉末の一次粒子径
は、製造された電子写真用トナーTの電子顕微鏡から計
測したところ、0.6μmであった。
【0081】つぎに、上記グラフト化されたシリカ粉末
の分散液と、カーボンブラックの5重量部とを、下記の
各成分とともにボールミルで十分に混合、分散させた
後、重合開始剤としての2,2′−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)の2重量部を加えて懸濁重合
用のモノマー相を作製した。 成 分 重量部 ・重合性単量体 2−エチルヘキシルメタクリレート 20 ・離型剤 低分子量ポリプロピレン 1 ・架橋剤 ジビニルベンゼン 1 つぎにこのモノマー相を、水性分散媒としての精製水に
静かに加え、しばらく放置して界面の様子を観察したと
ころ、実施例2と同様に、図2(a) に示すように、微粒
子(シリカ粉末)1の2〜3個が凝集し、かつその周り
にモノマー相3の一部を引き込んで油滴31として沈降
するのが観察され、このことから、グラフト化処理した
シリカ粉末も、重合性単量体に対する親和性が向上して
いることが確認された。
【0082】つぎに上記モノマー相の100重量部と精
製水の400重量部とを、懸濁安定剤としての第三リン
酸カルシウムの5重量部、およびドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムの0.1重量部とともに、特殊機化工
業社製のTKホモミキサーを用いて、回転数8000r.
p.m.で20分間攪拌して、液滴の平均粒径が10μmの
懸濁液を作製した。
【0083】そしてこの懸濁液を使用したこと以外は、
前記実施例2と同様にして、平均粒径10μmの電子写
真用トナーを得た。得られた電子写真用トナーを電子顕
微鏡にて観察したところ、実施例1,2とほぼ同様の形
状であることが確認された。比較例3 チタネート系カップリング剤により第三リン酸カルシウ
ムを処理しなかったこと以外は、前記実施例2と同様に
して、懸濁重合用のモノマー相を作製した。
【0084】つぎにこのモノマー相を、水性分散媒とし
ての精製水に静かに加え、しばらく放置して界面の様子
を観察したところ、図2(b) に示すように、微粒子(シ
リカ粉末)1は、そのままの形でモノマー相3から水性
分散媒(精製水)4に沈降するのが観察された。このこ
とから、カップリング処理していないシリカ粉末は、重
合性単量体に対する親和性が悪いことが確認された。
【0085】つぎに上記モノマー相を用いて、実施例
2,3と同様にして懸濁重合を行い、平均粒径10μm
の電子写真用トナーを得た。得られた電子写真用トナー
を電子顕微鏡にて観察したところ、比較例1と同様に突
起のないほぼ球形であり、このことから、未処理のシリ
カ粉末を使用したのでは、トナー粒子の表面に突起を形
成できないことが確認された。
【0086】上記各実施例、比較例で作製した電子写真
用トナーを、それぞれフェライトキャリヤと混合して、
トナー濃度3重量%の2成分現像剤を作製し、この2成
分現像剤を、静電式複写機〔三田工業(株)製の型番D
C−1205〕に用いて、前記クリーニング試験を行
い、クリーニング性を評価した。結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】表3の結果より明らかなように、球形でし
かも表面に突起が形成されていない比較例3の電子写真
用トナーはクリーニング性が非常に悪く、感光体ドラム
の表面に多量に残留していることがわかった。これに対
し実施例2,3の電子写真用トナーはいずれもクリーニ
ング性にすぐれ、感光体ドラムの表面にほとんど残留し
ていないことがわかった。
【0089】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
所定の一次粒子径を有する架橋樹脂微粒子、または同じ
一次粒子径を有し、かつ重合性単量体に対する親和性を
高めた難水溶性の無機微粒子を、上記重合性単量体に対
して所定の割合で配合したモノマー相を用いて、懸濁重
合法によりトナー粒子を製造しているので、粒度分布が
狭くかつ小粒径化が可能で、しかも流動性にすぐれる、
という懸濁重合法によるトナー粒子の利点はそのまま保
持し、しかも表面に突起が形成されて異形化されている
ため、クリーニングブレードによるクリーニング性にも
すぐれた電子写真用トナーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用トナーを示す断面図であ
る。
【図2】同図(a) はモノマー相と水性分散媒との界面
で、重合性単量体に対する親和性を高める処理をした無
機微粒子を沈降させた際の様子を示す概略図、同図(b)
は上記処理をしていない無機微粒子を沈降させた際の様
子を示す概略図である。
【図3】同図(a) は、本発明の実施例1で作製した電子
写真用トナーの外観を示す正面図、同図(b) は、比較例
1で作製した電子写真用トナーの外観を示す正面図、同
図(c) は、比較例2で作製した電子写真用トナーの外観
を示す正面図である。
【図4】本発明の実施例、比較例で作製した電子写真用
トナーのクリーニング性を評価するため、静電式複写機
に使用する原稿像の正面図である。
【図5】上記原稿像を用いて電子写真用トナーのクリー
ニング性を評価すべく、静電式複写機から取り出した感
光体ドラムを示す斜視図である。
【図6】同図(a) 〜(c) は、本発明の実施例、比較例で
作製した電子写真用トナーの定着性を評価する方法を、
順を追って説明する図である。
【符合の説明】
1 微粒子 2 トナー粒子 T 電子写真用トナー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合性単量体を含有するとともに、トナー
    粒径の1〜30%の一次粒子径を有する架橋樹脂微粒子
    を、上記重合性単量体に対して0.1〜100重量%の
    割合で含有するモノマー相を、水性分散媒中に液滴状に
    懸濁分散させた状態で、重合性単量体を重合させてな
    り、表面に上記架橋樹脂微粒子による多数の突起が形成
    されたことを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】重合性単量体を含有するとともに、トナー
    粒径の1〜30%の一次粒子径を有する、重合性単量体
    に対する親和性を高めた難水溶性の無機微粒子を、上記
    重合性単量体に対して0.1〜100重量%の割合で含
    有するモノマー相を、水性分散媒中に液滴状に懸濁分散
    させた状態で、重合性単量体を重合させてなり、表面に
    上記無機微粒子による多数の突起が形成されたことを特
    徴とする電子写真用トナー。
JP5262594A 1993-10-20 1993-10-20 電子写真用トナー Pending JPH07114211A (ja)

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US08/740,077 US5770342A (en) 1993-10-20 1996-10-24 Electrophotographic toner and method of producing the toner

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