JPH07109608B2 - マルチプライヤ - Google Patents

マルチプライヤ

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JPH07109608B2
JPH07109608B2 JP5176025A JP17602593A JPH07109608B2 JP H07109608 B2 JPH07109608 B2 JP H07109608B2 JP 5176025 A JP5176025 A JP 5176025A JP 17602593 A JP17602593 A JP 17602593A JP H07109608 B2 JPH07109608 B2 JP H07109608B2
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    • G06G7/00Devices in which the computing operation is performed by varying electric or magnetic quantities
    • G06G7/12Arrangements for performing computing operations, e.g. operational amplifiers
    • G06G7/16Arrangements for performing computing operations, e.g. operational amplifiers for multiplication or division
    • G06G7/164Arrangements for performing computing operations, e.g. operational amplifiers for multiplication or division using means for evaluating powers, e.g. quarter square multiplier

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アナログ信号を乗算す
るマルチプライヤに係り、特に半導体集積回路上に形成
されるバイポーラトランジスタやMOSトランジスタで
構成されるアナログマルチプライヤに関する。
【0002】
【従来の技術】アナログマルチプライヤは、原理的には
図18に示すように、加算器1、第1の減算器2、第1
の2乗回路3、第2の2乗回路4及び第2の減算器5で
構成できることは良く知られている。
【0003】即ち、加算器1と第1の減算器2とには2
つのアナログ信号が並列的に入力するが、一方のアナロ
グ信号の電圧(第1の入力電圧)をV1 、他方のアナロ
グ信号の電圧(第2の入力電圧)をV2 とすると、加算
器1の出力は(V1 +V2)、第1の減算器2の出力は
(V1 −V2)となる。そして、加算器1の出力は第1の
2乗回路3で2乗され、第1の減算器2の出力は第2の
2乗回路4で2乗され、それぞれ第2の減算器5に入力
し(V1 +V2)2 −(V1 −V2)2 なる減算が行われ、
4V12 なる出力電圧V0 が得られる。つまり、出力
電圧V0 は入力電圧V1 と同V2 の積で表され、図18
に示す回路は乗算器(マルチプライヤ)となっているの
である。
【0004】ところで、本出願人は、能力[ゲート幅W
とゲート長Lの比(W/L)]が異なる2つのMOSト
ランジスタからなる差動対の2個で構成した2乗回路を
開発したので、これを図18に示す2乗回路に適用し、
併せて加算器1と第1の減算器2を差動対構成としたマ
ルチプライヤ(図19)を先に出願した(特開平3−2
10683号公報)。図18は同公報の第1図、図19
は同公報の第2図そのものであるが、動作解析の数式中
に誤記があるので、ここで改めて説明する。
【0005】図19において、このマルチプライヤはM
OSトランジスタで構成されるが、加算器6は、能力
(W/L)の等しい4つのMOSトランジスタ(M5
1、M52、M53、M54)と、対トランジスタ(M
51、M52)と同(M53、M54)の対応するもの
を駆動する2つの定電流源I0 とを備え、一方の対トラ
ンジスタ(M51、M52)の両入力端(ゲート)には
第1の入力電圧V1 が印加され、他方の対トランジスタ
(M53、M54)の両入力端(ゲート)には第2の入
力電圧V2 が印加される。
【0006】第1の減算器7は、加算器6と同様構成で
あって、能力(W/L)の等しい4つのMOSトランジ
スタ(M59、M60、M61、M62)と、対トラン
ジスタ(M59、M60)と同(M61、M62)の対
応するものを駆動する2つの定電流源I0 とを備える
が、入力の態様が加算器6とは若干異なる。即ち、一方
の対トランジスタ(M59、M60)の両入力端(ゲー
ト)には第1の入力電圧V1 が加算器6の(M51、M
52)と同相の関係で印加され、他方の対トランジスタ
(M61、M62)の両入力端(ゲート)には第2の入
力電圧V2 が加算器6の(M53、M54)とは逆相の
関係で印加される。
【0007】第1の2乗回路8は、4つのMOSトラン
ジスタ(M55、M56、M57、M58)と、対トラ
ンジスタ(M55、56)と同(M57、M58)の対
応するものを駆動する2つの定電流源I01とを備える
が、M55とM56、M57とM58はそれぞれ能力が
異なる。具体的には、M55、M56、M57、M58
の能力をW5/L5、W6/L6、W7/L7、W8/
L8とすると、(W6/L6)/(W5/L5)=(W
8/L8)/(W7/L7)=k(>1)となってい
る。
【0008】この第1の2乗回路8では、M55とM5
8のゲートが加算器6のM52とM54のドレインに接
続され、M56とM57のゲートが加算器6のM51と
M53のドレインに接続される。
【0009】第2の2乗回路9は、第1の2乗回路8と
同様構成であって、4つのMOSトランジスタ(M6
3、M64、M65、M66)と、対トランジスタ(M
63、64)と同(M65、M66)の対応するものを
駆動する2つの定電流源I01とを備え、M63とM6
4、M65とM66はそれぞれ能力が異なり、具体的に
は第1の2乗回路8における関係と同様となっている。
【0010】この第2の2乗回路9では、M63とM6
6のゲートが第1の減算器7のM60とM62のドレイ
ンに接続され、M64とM65のゲートがM63のドレ
インに接続されると共に、第1の減算器7のM59とM
61のドレインに接続され、更に第1の2乗回路8のM
56のドレインに接続される。
【0011】そして、第1の2乗回路8のM55とM5
7のドレインが第2の2乗回路9のM66とM64のド
レインに接続され一方の出力端を構成し、第1の2乗回
路8のM58のドレインが他方の出力端を構成し、それ
ぞれ第2の減算器10の入力となっている。
【0012】以下、動作を説明する。加算器6では、4
つのMOSトランジスタ(M51、M52、M53、M
54)の能力(W1/L1、W2/L2、W3/L3、
W4/L4)は等しいので、トランスコンダクタンスパ
ラメータもそれぞれ等しい。そこで、M51の能力(W
1/L1)を用いたトランスコンダクタンスパラメータ
α1 は、μn を移動度、COXをゲート酸化膜容量とすれ
ば、α1 =(1/2)μnOX(W1/L1)となるの
で、これを用いてM51,M52,M53,M54のド
レイン電流Id1,同Id2,同Id3,同Id4を表せば数式
1となる。なお、数式1において、VGSi はゲート・ソ
ース間電圧、VTHはスレッショルド電圧である。
【0013】
【数1】Id1=α1(VGS1 −VTH2d2=α1(VGS2 −VTH2d3=α1(VGS3 −VTH2d4=α1(VGS4 −VTH2
【0014】また、Id1+Id2=I0 、Id3+Id4=I
0 、VGS1 −VGS2 =V1 、VGS3−VGS4 =V2 であ
り、Id1−Id2は数式2で表され、Id3−Id4は数式3
で表されるので、差動出力電流(IA −IB)は数式4の
ように求まる。
【0015】
【数2】 Id1−Id2=α11 √[(2I0 /α1 )−V1 2
【0016】
【数3】 Id3−Id4=α12 √[(2I0 /α1 )−V2 2
【0017】
【数4】 IA −IB =(Id1+Id3)−(Id2+Id4) =(Id1−Id2)+(Id3−Id4) =α11 √[(2I0 /α1 )−V1 2] +α12 √[(2I0 /α1 )−V2 2
【0018】つまり、数式2と同3は、MOSトランジ
スタ差動対のトランスファー特性を示し、小信号時には
入力電圧に比例した差動出力電流が得られるのである。
従って、当該加算器6の差動出力電流(IA −IB)も、
数式4から理解できるように2つの入力電圧が小信号時
には直線性の良い加算特性を持つのである。そして、当
該加算器を減算器として用いる場合は第2の入力電圧V
2 の極性を逆にすれば良いのであり、図19における第
1の減算器7はそのようになっていることは前述した通
りである。
【0019】それ故、第1の減算器7では、M59,M
60,M61,M62のドレイン電流をId11 ,I
d12 ,Id13 ,Id14 とすれば、数式2〜同4に対応し
て次の数式5〜同7が得られる。
【0020】
【数5】 Id11 −Id12 =α11 √[(2I0 /α1 )−V1 2
【0021】
【数6】 Id13 −Id14 =−α12 √[(2I0 /α1 )−V2 2
【0022】
【数7】 IC −ID =(Id11 −Id13 )−(Id12 −Id14 ) =(Id11 −Id12 )−(Id13 −Id14 ) =α11 √[(2I0 /α1 )−V1 2] −α12 √[(2I0 /α1 )−V2 2
【0023】従って、加算器6の差動出力電圧VA は数
式8となり、第1の減算器7の差動出力電圧VB は数式
9となる。なお、両式において、RL は図14に示す通
り各トランジスタと電源VDDとの間に介在させた抵抗で
ある。
【0024】
【数8】VA =RL(IA −IB) =RL11 √{(2I0 /α1 )−V1 2} +α12 √{(2I0 /α1 )−V2 2}]
【0025】
【数9】VB =RL(IC −ID) =RL11 √{(2I0 /α1 )−V1 2} −α12 √{(2I0 /α1 )−V2 2}]
【0026】次に第1の2乗回路8では、対トランジス
タ(M55、56)と同(M57、M58)は、前述し
たようにそれぞれ能力がM55:M56=M57:M5
8=1:kの割合であるので、M55の能力(W5/L
5)を用いたトランスコンダクタンスパラメータα2
[α2 =μn (COX/2)(W5/L5)]を用いてM
55,M56,M57,M58のドレイン電流Id5,同
d6,同Id7,同Id8を表せば数式10となる。
【0027】
【数10】Id5=α2(VGS5 −VTH2d6=kα2(VGS6 −VTH2d7=α2(VGS7 −VTH2d8=kα2(VGS8 −VTH2
【0028】又、Id5+Id6=I01、Id7+Id8
01、VGS5 −VGS6 =VGS8 −VGS7=VA であり、
d5−Id6は数式11で表され、Id7−Id8は数式12
で表されるので、差動出力電流(IE −IF)は数式13
のように求まり、入力電圧VA の2乗に比例することが
分かる。
【0029】
【数11】
【0030】
【数12】
【0031】
【数13】
【0032】以上のことは第2の2乗回路9においても
同様であって、差動出力電流(IG−IH)は数式14の
ようになり、入力電圧VB に比例する。
【0033】
【数14】
【0034】そして、第2の減算器10では、2つの2
乗回路の差動出力電流I1(=IE −IF)、同I2(=IG
−IH)を逆相で加算するので、I1 −I2 は数式15と
なり、これに数式8のVA 、数式9のVB を代入すると
数式16となる。そして、数式16においてV1 の2乗
とV2 の2乗の項を無視すれば、I1 −I2 は数式17
となり、所望の乗算器特性が得られる。
【0035】
【数15】
【0036】
【数16】
【0037】
【数17】
【0038】図20は、RL =5kΩ、I0 =100μ
A、I01=10μA、W1=20μ、L1=5μ、W5
=10μ、L5=5μ、k=5、COX=320オングス
トロームとした場合のシミュレーション結果であり、公
報の第3図と同一である。なお、図20は、第2の入力
電圧V2 をパラメータとした第1の入力電圧V1と差動
出力電流との関係を示すが、V1 とV2 の関係を入れ替
えても全く同一のシミュレーション結果が得られる。
【0039】また、図19は、MOSトランジスタで構
成したが、バイポーラトランジスタで置き換えても同様
の動作をするアナログマルチプライヤが得られる。この
場合には、2乗回路はエミッタサイズの異なるトランジ
スタで差動対を構成することになる。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】ところで、周知のよう
に、半導体集積回路上にトランジスタを構成する場合、
最小の単位が存在し、回路電流の点からその最小の単位
で構成するのが望ましいが、上述したように本出願人に
係るマルチプライヤでは、2乗回路は、2つの差動対の
それぞれが能力が異なる2つのトランジスタで構成され
るので、最小のトランジスタのみでは構成できず、回路
電流が増加するという問題がある。また、この2乗回路
では、各差動対毎に定電流源を備えるので、2つの2乗
回路で都合4つの定電流源が必要となり、回路の簡素化
が望まれる。
【0041】本発明は、このような問題に鑑みなされた
もので、その目的は、回路の簡素化と消費電流の低減が
図れるマルチプライヤを提供することにある。
【0042】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のマルチプライヤは次の如き構成を有する。
即ち、第1発明のマルチプライヤは、出力端が共通接続
されるトランジスタ対の2個が1つの定電流源で駆動さ
れるクァッドリテール回路の2個; を備え、一方のク
ァッドリテール回路では、一方のトランジスタ対の各入
力端は乗算する2信号の正相和電圧と逆相和電圧の対応
するものがそれぞれ印加され、他方のトランジスタ対の
両入力端は共通接続されて一方のトランジスタ対の両入
力端間に印加される電圧の中点電圧が印加され; 他方
のクァッドリテール回路では、一方のトランジスタ対の
各入力端は乗算する2信号の正相差電圧と逆相差電圧の
対応するものがそれぞれ印加され、他方のトランジスタ
対の両入力端は共通接続されて一方のトランジスタ対の
両入力端間に印加される電圧の中点電圧が印加され;
両クァッドリテール回路間では、一方のクァッドリテー
ル回路における一方のトランジスタ対の共通接続出力端
と他方のクァッドリテール回路における他方のトランジ
スタ対の共通接続出力端とが共通接続され、一方のクァ
ッドリテール回路における他方のトランジスタ対の共通
接続出力端と他方のクァッドリテール回路における一方
のトランジスタ対の共通接続出力端とが共通接続され
る; ことを特徴とするものである。
【0043】また、第2発明のマルチプライヤは、出力
端が共通接続されるトランジスタ対の2個が1つの定電
流源で駆動されるクァッドリテール回路の2個; を備
え、一方のクァッドリテール回路では、一方のトランジ
スタ対の一方の入力端は第1の入力電圧が他方の入力端
は第2の入力電圧がそれぞれ印加され、他方のトランジ
スタ対の両入力端は共通接続されて一方のトランジスタ
対の両入力端間に印加される電圧の中点電圧が印加さ
れ; 他方のクァッドリテール回路では、一方のトラン
ジスタ対の一方の入力端は第1の入力電圧が他方の入力
端は第2の入力電圧の逆相電圧がそれぞれ印加され、他
方のトランジスタ対の両入力端は共通接続されて一方の
トランジスタ対の両入力端間に印加される電圧の中点電
圧が印加され; 両クァッドリテール回路間では、一方
のクァッドリテール回路における一方のトランジスタ対
の共通接続出力端と他方のクァッドリテール回路におけ
る他方のトランジスタ対の共通接続出力端とが共通接続
され、一方のクァッドリテール回路における他方のトラ
ンジスタ対の共通接続出力端と他方のクァッドリテール
回路における一方のトランジスタ対の共通接続出力端と
が共通接続される;ことを特徴とするものである。
【0044】また、第3発明のマルチプライヤは、出力
端が共通接続されるトランジスタ対の2個が1つの定電
流源で駆動されるクァッドリテール回路の3個; を備
え、第1のクァッドリテール回路では、一方のトランジ
スタ対の入力端間は第1の入力電圧が印加され、他方の
トランジスタ対の両入力端は共通接続されて一方のトラ
ンジスタ対の両入力端間に印加される電圧の中点電圧が
印加され; 第2のクァッドリテール回路では、一方の
トランジスタ対の入力端間は第2の入力電圧が印加さ
れ、他方のトランジスタ対の両入力端は共通接続されて
一方のトランジスタ対の両入力端間に印加される電圧の
中点電圧が印加され; 第3のクァッドリテール回路で
は、一方のトランジスタ対の一方の入力端は第1の入力
電圧が他方の入力端は第2の入力電圧がそれぞれ印加さ
れ、他方のトランジスタ対の両入力端は共通接続されて
一方のトランジスタ対の両入力端間に印加される電圧の
中点電圧が印加され; 第1のクァッドリテール回路に
おける一方のトランジスタ対の共通接続出力端と第2の
クァッドリテール回路における一方のトランジスタ対の
共通接続出力端と第3のクァッドリテール回路における
他方のトランジスタ対の共通接続出力端とが共通接続さ
れ、第1のクァッドリテール回路における他方のトラン
ジスタ対の共通接続出力端と第2のクァッドリテール回
路における他方のトランジスタ対の共通接続出力端と第
3のクァッドリテール回路における一方のトランジスタ
対の共通接続出力端とが共通接続される; ことを特徴
とするものである。
【0045】なお、上記各マルチプライヤがバイポーラ
トランジスタで構成される場合は、クァッドリテール回
路を構成する4個のトランジスタはそれぞれエミッタに
ダイオードまたは抵抗が挿入されることもある。
【0046】
【作用】次に、前記の如く構成される本発明のマルチプ
ライヤの作用を説明する。本発明では、クァッドリテー
ル回路(quadritail cell)により2乗特性を近似もしく
は2乗特性を実現する。ここに、クァッドリテール回路
は、同一能力のトランジスタの4個を1つの定電流源で
駆動するものである。従って、2つまたは3つのクァッ
ドリテール回路においては定電流源はそれぞれ1個であ
り、その個数を半減でき回路の簡素化が図れる。また、
同一特性のトランジスタを用いるので、最小のトランジ
スタのみで構成でき回路電流を大幅に低減できる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。前述したように、先に本出願人が提案したマルチ
プライヤでは、2つの2乗回路は、それぞれ、能力(W
/Lやエミッタサイズ)が異なるトランジスタの対によ
り構成し、また2個の定電流源を必要としていたので問
題があった。そこで、能力の等しいトランジスタで、1
個の定電流源を用いた2乗回路の構成を検討するが、そ
の際に参考となるものが特公平3−47770号公報で
開示されているバイポートランジスタ構成の両波整流回
路である。両波整流回路は、粗い考え方としては2乗回
路に大雑把には近似できるからである。
【0048】図1は、上記特公平3−47770号公報
に記載の回路である。ここではバイポーラトランジスタ
2乗回路と称することとする。この2乗回路は、4個の
能力の等しいバイポーラトランジスタ(Q1、Q2、Q
3、Q4)を1個の定電流源I0 で駆動するが、Q1と
Q2のベース同士が共通接続され、これを基準にしてQ
3のベースとの間に一方の入力電圧(1/2)VINが印
加され、Q4のベースとの間に他方の入力電圧−(1/
2)VINが印加されている。そして、Q1とQ2、Q3
とQ4はそれぞれコレクタ同士が共通接続され、それぞ
れ共通接続出力端を構成している。
【0049】図1において、Q1とQ2のコレクタ電流
をIC1、IC2とすると、Q1とQ2のベースは共通の直
流電圧でバイアスされているので、数式18が成立す
る。なお、数式18において、IS はQ1とQ2の飽和
電流、VBEはQ1とQ2のベース・エミッタ間電圧、V
T は熱電圧である。VT は、ボルツマン定数k、絶対温
度T、単位電子電荷qを用いて、VT =kT/qと表さ
れる。
【0050】
【数18】IC1=IC2=IS exp(VBE/VT
【0051】また、Q3とQ4のベースにはQ1及びQ
2のベース電圧を中心に±VINの入力電圧が印加される
ので、Q3のコレクタ電流IC3とQ4のコレクタ電流I
C4は数式19となる。
【0052】
【数19】IC3=IS exp [(VBE+VIN/2)/VT] IC4=IS exp [(VBE−VIN/2)/VT]
【0053】そして、IC1+IC2=IR 、IC3+IC4
L 、αF を直流増幅率とすると、IR +IL =αF
0 となる。従って、IR は数式20、IL は数式21と
求まる。
【0054】
【数20】
【0055】
【数21】
【0056】図2は、このIR とIL 及びIL −IR
図示したものであるが、上記特公平3−47770号公
報の第3図と全く同一となっていることが分かる。要す
るに、図2は、入力電圧VINが小さい値であれば、具体
的には入力電圧VINの範囲として3VT 程度に限定して
考えればほぼ2乗特性とみなせることを示し、図1に示
す回路はマルチプライヤの2乗回路として利用できるこ
とを示している。
【0057】そこで、本出願人は、図1に示すように、
出力端が共通接続されるトランジスタ対(Q1、Q2)
と同(Q3、Q4)の2個が1つの定電流源I0 で駆動
される回路を「クァッドリテール回路」と称することと
し、これの2個を用いてマルチプライヤの中心をなす2
つの2乗回路を構成するのである。このクァッドリテー
ル回路はMOSトランジスタでも構成できるが(図
5)、まずバイポーラトランジスタ構成のクァッドリテ
ール回路の2回路を組み合わせた2乗回路を図3を参照
して説明する。
【0058】図3は、前記図18(具体的には前記図1
9)に示したマルチプライヤにおける第1及び第2の2
乗回路として用いる本発明の第1実施例回路である。図
3において、図中上段のクァッドリテール回路(Q3、
Q4、Q5、Q6、I0)は、前記図19の第1の減算器
7の出力を受ける第2の2乗回路9に対応し、図中下段
のクァッドリテール回路(Q9、Q10、Q11、Q1
2、I0)は、前記図19の加算器6の出力を受ける第1
の2乗回路8に対応している。
【0059】即ち、図中上段のクァッドリテール回路
(Q3、Q4、Q5、Q6、I0 )では、コレクタ同士
が共通接続されるQ3とQ4において、Q4のベースに
減算器の正相出力(V1 −V2)が印加され、Q3のベー
スに減算器の逆相出力である[−(V1 −V2)]が印加
される。一方、コレクタ同士が共通接続されるQ5とQ
6において、Q5とQ6のベースは共通接続され、一方
の抵抗R2 を介してQ3のベースに、他方の抵抗R2
介してQ4のベースにそれぞれ接続され、一定の直流バ
イアス(Q3とQ4のベースに印加される電圧の中点電
圧)を得るようになっている。
【0060】同様に、図中下段のクァッドリテール回路
(Q9、Q10、Q11、Q12、I0)では、コレクタ
同士が共通接続されるQ9とQ10において、Q10の
ベースに加算器の正相出力(V1 +V2)が印加され、Q
9のベースに加算器の逆相出力[−(V1 +V2)]が印
加される。一方、コレクタ同士が共通接続されるQ11
とQ12において、Q11とQ12のベースは共通接続
され、一方の抵抗R2を介してQ9のベースに、他方の
抵抗R2 を介してQ10のベースにそれぞれ接続され、
一定の直流バイアス(Q9とQ10のベースに印加され
る電圧の中点電圧)を得るようになっている。
【0061】そして、両クァッドリテール回路間では、
Q3とQ4のコレクタ同士とQ11とQ12のコレクタ
同士とが共通接続されて一方の差動出力端を構成し、Q
5とQ6のコレクタ同士とQ9とQ10のコレクタ同士
とが共通接続されて他方の差動出力端を構成している。
差動出力端は前記第2の減算器10に接続される。
【0062】以上の構成において、Q3,Q4,Q5,
Q6のコレクタ電流をIC3,IC4,IC5,IC6とし、Q
9,Q10,Q11,Q12のコレクタ電流をIC9,I
C10,IC11 ,IC12 すると、IC3+IC4は数式22、
C5+IC6は数式23、IC9+IC10 は数式24、I
C11 +IC12 は数式25となる。従って、差動出力電流
ΔI(すなわち、ΔI=(IC3+IC4+IC11 +IC12)
−(IC5+IC6+IC9+IC10))は数式26と求まる。
【0063】
【数22】
【0064】
【数23】
【0065】
【数24】
【0066】
【数25】
【0067】
【数26】
【0068】図4は、数式26において、一方の入力電
圧(V2)をパラメータとして計算した差動出力電流ΔI
と他方の入力電圧(V1)との関係図であるが、入力電圧
1がほぼ1.5VT 以下の範囲では2乗特性が得られ
ることが解る。
【0069】次に、図5はMOSトランジスタ構成のク
ァッドリテール回路を示す。これは図1のバイポーラト
ランジスタ(Q1〜Q4)をMOSトランジスタ(M1
〜M4)で置換したものであるが、同様にこの回路も2
乗回路として動作する。
【0070】図5において、M1,M2,M3,M4の
ドレイン電流をID1,ID2,ID3,ID4とすると、IR
=ID1+ID2、IL =ID3+ID4であり、またI0 =I
R +IL である。また、トランスコンダクタンスパラメ
ータを示す記号として、前述した先の出願ではα1 やα
2 を用いたが、ここではβを用いるとする。そうする
と、ID1とID2は数式27と表せる。
【0071】
【数27】ID1=ID2=β(VGS−VTH2
【0072】そして、M3のゲートには電圧VINが印加
され、M4のゲートには電圧−VINが印加されているの
で、ID3とID4は数式28と表せる。
【0073】
【数28】ID3=β(VGS+VIN/2−VTH2D4=β(VGS−VIN/2−VTH2
【0074】従って、IR とIL は数式29のようにな
り、2乗特性を示すことが分かる。
【0075】
【数29】IR =I0 /2−(β/4)VIN 2L =I0 /2+(β/4)VIN 2
【0076】実際に、入出力特性は図6に示すようにな
り、│VIN│≦√(2I0 /3β)の範囲を動作領域と
する場合は理想的な2乗特性が得られることが示されて
いる。要するに、図1に示すバイポーラ構成のクァッド
リテール回路では2乗特性を近似的に得られるが、図5
に示すMOSクァッドリテール回路では2乗特性を正確
に実現できるのである。このMOSクァッドリテール回
路の2つを組み合わせた2乗回路を図7に示す。
【0077】図7は、前記図18(具体的には前記図1
9)に示したマルチプライヤにおける第1及び第2の2
乗回路として用いる本発明の第2実施例回路である。図
7において、図中左側のクァッドリテール回路(M1、
M2、M3、M4、I0)は、前記図19の加算器6の出
力を受ける第1の2乗回路8に対応し、図中右側のクァ
ッドリテール回路(M5、M6、M7、M8、I0)は、
前記図19の第1の減算器7の出力を受ける第2の2乗
回路9に対応している。
【0078】即ち、図中左側のクァッドリテール回路
(M1、M2、M3、M4、I0)では、M1とM2、M
3とM4は、それぞれドレイン同士が共通接続され、M
1とM2の共通接続ゲートを基準として、M3のゲート
には加算器の正相出力(V1 +V2)が印加され、M4の
ゲートには加算器の逆相出力[−(V1 +V2)]が印加
される。M1とM2の共通接続ゲートは中点電圧でバイ
アスされる。
【0079】同様に、図中右側のクァッドリテール回路
(M5、M6、M7、M8、I0)では、M5とM6及び
M7とM8は、それぞれ、ドレイン同士が共通接続さ
れ、M5とM6の共通接続ゲートを基準として、M7の
ゲートには減算器の正相出力(V1 −V2)が印加され、
M8のゲートには減算器の逆相出力[−(V1 −V2)]
が印加される。M5とM6の共通接続ゲートは中点電圧
でバイアスされる。
【0080】そして、両クァッドリテール回路間では、
M1とM2のドレイン同士とM7とM8のドレイン同士
とが共通接続されて一方の差動出力端を構成し、M3と
M4のドレイン同士とM5とM6のドレイン同士とが共
通接続されて他方の差動出力端を構成している。差動出
力端は前記第2の減算器10に接続される。
【0081】以上の構成において、│V1 ±V2 │≦
(1/2)√(2I0 /3β)の範囲において差動出力
電流ΔIは、ΔI=4βV12 となり、入力電圧V2
をパラメータとした差動出力電流ΔIと入力電圧V1
の関係は図8のようになり、利得特性は図9のようにな
る。
【0082】以上は、図18に示す広く知られたマルチ
プライヤを前提とした構成例であるが、次に、図18に
おける加算器1と第1の減算器2を不要としたマルチプ
ライヤについて検討する。これは原理的には図10に示
すように、2つの2乗回路(11、12)と減算器13
とで構成される。2乗回路(11、12)は、前述した
「クァッドリテール回路」であり、同様に、V0 =(V
1 +V2)2 −(V1 −V2)2 =4V12が成立する
が、図18における加算器1と第1の減算器2が不要と
なる理由は次の通りである。
【0083】即ち、11と12の各2乗回路は差動入力
動作をするので、V1 とV2 の2入力信号の差電圧(V
1 −V2)はV1 とV2 とを差動入力対の各端子に印加す
ることで得られ、和電圧(V1 +V2)はV1 とV2 の逆
相−V2 とを差動入力対の各端子に印加することで得ら
れるからである。
【0084】逆相信号を得るには一般には逆相増幅器が
必要であるが、加算器や減算器よりも逆相増幅器の方が
構成が簡単であるので、加算器や減算器を削除できるこ
との意義は大きいと言える。以下、図10に示すマルチ
プライヤの2乗回路の具体的構成を説明する(図11、
図12)。
【0085】図11は、バイポーラトランジスタ構成の
クァッドリテール回路の2個を用いた2乗回路を示し、
図3に対応するものである。以下、異なる部分を中心に
説明する。図11において、Q1とQ2は定電流源I01
で駆動される差動対を構成し、入力信号V1 が差動入力
として与えられ、正相出力V1 と逆相出力−V1 とを発
生するが、そのうち正相出力V1 のみがQ3のベースと
Q9のベースとに与えられる。
【0086】また、Q7とQ8は定電流源I01で駆動さ
れる差動対を構成し、入力信号V2が差動入力として与
えられ、正相出力V2 と逆相出力−V2 とを発生する
が、正相出力V2 はQ4のベースに与えられ、逆相出力
−V2 はQ10のベースに与えられる。
【0087】その結果、各2乗回路では、差動入力形式
となっているので、等しい値の2本の抵抗R2 で分圧さ
れる中点電圧が、Q5とQ6の共通接続ベース及びQ1
1とQ12の共通接続ベースに印加される。
【0088】従って、Q3〜Q6の2乗回路では、Q5
とQ6の共通接続ベースの中点電圧を基準とすれば、差
動入力電圧[±(1/2)(V1 −V2)] は+(1/2)
(V1−V2)がQ3のベースに印加され、−(1/2)(V
1 −V2)がQ4のベースに印加される。
【0089】また、Q9〜Q12の2乗回路では、Q1
1とQ12の共通接続ベースの中点電圧を基準とすれ
ば、差動入力電圧[±(1/2)(V1 +V2)] は、+
(1/2)(V1 +V2)がQ9のベースに印加され、−
(1/2)(V1 +V2)がQ10のベースに印加される。
【0090】図3の各2乗回路の入力態様とを比較する
と、図11では入力電圧の符号が何れも逆となってい
る。しかし、2乗回路では入力電圧の符号の正負に拘ら
ず出力は同一極性となるので問題はない。むしろ注目す
べきは、図11では入力電圧が図3での入力電圧の丁度
半分となっていることである。
【0091】即ち、図3の回路の特性は図4に示される
通り、ほぼ1.5VT 以下を動作範囲とするが、図11
の回路では入力電圧が半分になるのであるから、動作範
囲は2倍の3VT まで拡大するのである。
【0092】なお、図11の回路の差動出力電流ΔI
は、前記数式26から数式30となる。
【0093】
【数30】
【0094】次いで図12は、MOSトランジスタ構成
のクァッドリテール回路の2個を用いた2乗回路を示
し、図7に対応するものである。以下、異なる部分を中
心に説明する。図12において、M3のゲート及びM7
のゲートには入力電圧V1 が印加される。従って、M3
のゲートとM7のゲートは共通接続されると図示してあ
る。また、M4のゲートには入力電圧V2 の逆相電圧−
2 が印加され、M8のゲートには入力電圧V2 が印加
される。
【0095】そして、M1とM2の共通接続ゲートとM
3のゲートとの間及びM1とM2の共通接続ゲートとM
4のゲートとの間はそれぞれ抵抗R1 を介して接続さ
れ、またM5とM6の共通接続ゲートとM7のゲートと
の間及びM5とM6の共通接続ゲートとM8のゲートと
の間はそれぞれ抵抗R1 を介して接続されるので、M1
とM2の共通接続ゲートには中点電圧(1/2)(V1
2)が印加され、M5とM6の共通接続ゲートには中点
電圧(1/2)(V1 +V2)が印加される。
【0096】図12の回路では、│V1 ±V2 │≦√
(2I0 /3β)の範囲において、差動出力電流ΔI
は、ΔI=2βV12 となる。動作入力電圧範囲が2
倍に拡大することは前述した。
【0097】次に、前述したようにクァッドリテール回
路は2乗回路として利用できるのでこれの3個を用いて
も同様にマルチプライヤを構成できる(図13)。図1
3において、15,16,17の各2乗回路におけるγ
はトランスコンダクタンス定数であるが、第1の2乗回
路15は、差動入力端間に第1の入力電圧V1 が印加さ
れ、第2の2乗回路16は、差動入力端間に第2の入力
電圧V2 が印加され、第3の2乗回路17では、差動入
力端間に第1の入力電圧V1 と第2の入力電圧V2 との
差電圧が印加される。
【0098】そして、第1の2乗回路15の正相出力端
と第2の2乗回路16の正相出力端と第3の2乗回路1
7の逆相出力端とが共通接続され、また第1の2乗回路
15の逆相出力端と第2の2乗回路16の逆相出力端と
第3の2乗回路17の正相出力端とが共通接続され、両
共通接続出力端間に差動出力電流ΔIが得られる。
【0099】この差動出力電流ΔIは、数式31に示す
ように、第1の入力電圧V1 と第2の入力電圧V2 との
積となるので、図13に示す回路はマルチプライヤとな
っていることが解る。図14と図15に具体的な構成例
を示してある。
【0100】
【数31】 ΔI=γV1 2+γV2 2−γ(V1 −V2)2 =2γV12
【0101】なお、図13では、第1の2乗回路15と
第2の2乗回路16の逆相入力端を共通に接続してある
が、それを接続しないフローティング方式とすることも
できる。その場合には、第1実施例に係るマルチプライ
ヤ(図18を前提とする図3と図7)及び第2実施例に
係るマルチプライヤ(図10を前提とする図11と図1
2)で必要であった差動入力信号を不要にできる利点が
ある。
【0102】また、クァッドリテール回路の差動出力電
流には、直流成分が含まれないので図13に示すように
奇数個の2乗回路でマルチプライヤを構成しても出力に
はオフセット電流は現れない。従って、出力端にオフセ
ットをキャンセルするための付加回路が不要となる利点
もある。
【0103】図14は、バイポーラトランジスタ構成の
マルチプライヤを示す。図中上段の第1のクァッドリテ
ール回路(Q1、Q2、Q3、Q4、I0 )が第1の2
乗回路15に対応し、図中中段の第2のクァッドリテー
ル回路(Q5、Q6、Q7、Q8、I0 )が第2の2乗
回路16に対応し、図中下段の第3のクァッドリテール
回路(Q9、Q10、Q11、Q12、I0 )が第3の
2乗回路17に対応する。
【0104】バイポーラトランジスタで構成されるクァ
ッドリテール回路の2乗特性は、図2に示すようになっ
ているので、2乗回路とみなせる動作入力電圧範囲は一
意的に定まる。従って、バイポーラトランジスタで構成
した図13のマルチプライヤとしての動作入力電圧範囲
は、図11に示すマルチプライヤよりも狭くなる。
【0105】また、図15は、MOSトランジスタ構成
のマルチプライヤを示す。接続関係は図14と同様であ
るので再述はしないが、MOSトランジスタで構成され
るクァッドリテール回路の2乗特性は、図6に示すよう
に、MOSトランジスタのゲート幅Wとゲート長Lの比
(W/L)と定電流源の値I0 とによって決まる。従っ
て、MOSトランジスタで構成した図13のマルチプラ
イヤにおいて同一定電流源で駆動し、尚且つ動作入力電
圧範囲を図11に示すマルチプライヤと同等に確保する
には、比(W/L)を小さくする必要がある。具体的に
は、ゲート幅Wを狭くするかゲート長Lを長くするので
ある。
【0106】次に、以上説明したように本発明の3種類
のマルチプライヤでは、クァッドリテール回路(2乗回
路)はバイポーラトランジスタ構成のものとM0Sトラ
ンジスタ構成のものとに分けられるが、バイポーラトラ
ンジスタ構成の場合の動作入力電圧範囲の拡大方法を図
16と図17に示してある。
【0107】図16は、各トランジスタのエミッタに直
列接続したn個のダイオード(D11〜D1n、D21
2n、D31〜D3n、D41〜D4n)を挿入した場合を示
す。この場合には、2乗回路としてみなし得る動作入力
電圧範囲は、図2に示すクァッドリテール回路に対して
n倍に拡大される。
【0108】従って、バイポーラトランジスタ構成のク
ァッドリテール回路の3個(図14)を用いたマルチプ
ラィヤ(図13)において、クァッドリテール回路を図
2に示すものから図16に示すものに変更すれば、マル
チプライヤの動作入力電圧範囲をn倍に拡大できる。但
し、動作電源電圧は、凡そ(0.6×n)V高くなる。
【0109】図17は、各トランジスタのエミッタに抵
抗RE を挿入した場合を示す。この方法は良く知られて
いるように、エミッタ抵抗RE と定電流源I0 との積に
ほぼ見合う分だけ動作入力電圧範囲を拡大できる。この
とき、クァッドリテール回路で2乗特性を近似している
ので、図17の構成では2乗特性を良好にするエミッタ
抵抗RE と定電流源I0 との積RE0 が存在するが、
多少の誤差を許容すれば、実用的な値としては、RE
0 はほぼ10VT 程度である。従って、動作入力電圧範
囲は凡そ5倍程度に拡大される。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマルチプ
ライヤによれば、2乗特性を近似もしくは正確に実現で
きるクァッドリテール回路の2個または3個でもって新
規構成のアナログマルチプライヤを提供できる効果があ
る。ここに、クァッドリテール回路は、同一能力のトラ
ンジスタの4個を1つの定電流源で駆動するものであ
る。従って、2つまたは3つのクァッドリテール回路に
おいては定電流源はそれぞれ1個であり、その個数を半
減でき回路の簡素化が図れる。また、同一特性のトラン
ジスタを用いるので、最小のトランジスタのみで構成で
き回路電流を大幅に低減できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるクァッドリテール回路のバイポ
ーラトランジスタ構成の回路図である。
【図2】バイポーラトランジスタ構成クァッドリテール
回路の入出力特性図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るマルチプライヤ(2
個の2乗回路を備えるマルチプライヤの一構成例であっ
て本出願人の先の出願で前提とするマルチプライヤ)で
用いる2乗回路の第1実施例回路図である。
【図4】第1実施例回路の入出力特性図である。
【図5】本発明におけるクァッドリテール回路のMOS
トランジスタ構成の回路図である。
【図6】MOSトランジスタ構成クァッドリテール回路
の入出力特性図である。
【図7】本発明の第1実施例に係るマルチプライヤで用
いる2乗回路の第2実施例回路図である。
【図8】第2実施例回路の入出力特性図である。
【図9】第2実施例回路の利得特性図である。
【図10】本発明の第2実施例に係るマルチプライヤ
(2個の2乗回路を備えるマルチプライヤの他の構成
例)の原理構成ブロック図である。
【図11】本発明の第2実施例に係るマルチプライヤ
(図10)で用いる2乗回路の第3実施例回路図であ
る。
【図12】本発明の第2実施例に係るマルチプライヤ
(図10)で用いる2乗回路の第4実施例回路図であ
る。
【図13】本発明の第3実施例に係るマルチプライヤ
(3個の乗算回路を備えるマルチプライヤ)の原理構成
ブロック図である。
【図14】本発明の第3実施例に係るマルチプライヤ
(図13)で用いる2乗回路の第5実施例回路図であ
る。
【図15】本発明の第3実施例に係るマルチプライヤ
(図13)で用いる2乗回路の第6実施例回路図であ
る。
【図16】クァッドリテール回路の各トランジスタのエ
ミッタにダイオードを挿入した回路例である。
【図17】クァッドリテール回路の各トランジスタのエ
ミッタに抵抗を挿入した回路例である。
【図18】本出願人の先の出願で前提とするマルチプラ
イヤ(2個の2乗回路を備えるマルチプライヤの一構成
例)の構成ブロック図である。
【図19】本出願人の先の出願で提案したマルチプライ
ヤの構成ブロック図である。
【図20】本出願人の先の出願で提案したマルチプライ
ヤで用いる2乗回路の入出力特性図である。
【符号の説明】
Q1〜Q12 バイポーラトランジスタ M1〜M8 MOSトランジスタ I0 ,I01 定電流源 V1 ,V2 ,VIN 入力電圧

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出力端が共通接続されるトランジスタ対
    の2個が1つの定電流源で駆動されるクァッドリテール
    回路の2個; を備え、一方のクァッドリテール回路で
    は、一方のトランジスタ対の各入力端は乗算する2信号
    の正相和電圧と逆相和電圧の対応するものがそれぞれ印
    加され、他方のトランジスタ対の両入力端は共通接続さ
    れて一方のトランジスタ対の両入力端間に印加される電
    圧の中点電圧が印加され; 他方のクァッドリテール回
    路では、一方のトランジスタ対の各入力端は乗算する2
    信号の正相差電圧と逆相差電圧の対応するものがそれぞ
    れ印加され、他方のトランジスタ対の両入力端は共通接
    続されて一方のトランジスタ対の両入力端間に印加され
    る電圧の中点電圧が印加され; 両クァッドリテール回
    路間では、一方のクァッドリテール回路における一方の
    トランジスタ対の共通接続出力端と他方のクァッドリテ
    ール回路における他方のトランジスタ対の共通接続出力
    端とが共通接続され、一方のクァッドリテール回路にお
    ける他方のトランジスタ対の共通接続出力端と他方のク
    ァッドリテール回路における一方のトランジスタ対の共
    通接続出力端とが共通接続される; ことを特徴とする
    マルチプライヤ。
  2. 【請求項2】 出力端が共通接続されるトランジスタ対
    の2個が1つの定電流源で駆動されるクァッドリテール
    回路の2個; を備え、一方のクァッドリテール回路で
    は、一方のトランジスタ対の一方の入力端は第1の入力
    電圧が他方の入力端は第2の入力電圧がそれぞれ印加さ
    れ、他方のトランジスタ対の両入力端は共通接続されて
    一方のトランジスタ対の両入力端間に印加される電圧の
    中点電圧が印加され; 他方のクァッドリテール回路で
    は、一方のトランジスタ対の一方の入力端は第1の入力
    電圧が他方の入力端は第2の入力電圧の逆相電圧がそれ
    ぞれ印加され、他方のトランジスタ対の両入力端は共通
    接続されて一方のトランジスタ対の両入力端間に印加さ
    れる電圧の中点電圧が印加され; 両クァッドリテール
    回路間では、一方のクァッドリテール回路における一方
    のトランジスタ対の共通接続出力端と他方のクァッドリ
    テール回路における他方のトランジスタ対の共通接続出
    力端とが共通接続され、一方のクァッドリテール回路に
    おける他方のトランジスタ対の共通接続出力端と他方の
    クァッドリテール回路における一方のトランジスタ対の
    共通接続出力端とが共通接続される; ことを特徴とす
    るマルチプライヤ。
  3. 【請求項3】 出力端が共通接続されるトランジスタ対
    の2個が1つの定電流源で駆動されるクァッドリテール
    回路の3個; を備え、第1のクァッドリテール回路で
    は、一方のトランジスタ対の入力端間は第1の入力電圧
    が印加され、他方のトランジスタ対の両入力端は共通接
    続されて一方のトランジスタ対の両入力端間に印加され
    る電圧の中点電圧が印加され; 第2のクァッドリテー
    ル回路では、一方のトランジスタ対の入力端間は第2の
    入力電圧が印加され、他方のトランジスタ対の両入力端
    は共通接続されて一方のトランジスタ対の両入力端間に
    印加される電圧の中点電圧が印加され; 第3のクァッ
    ドリテール回路では、一方のトランジスタ対の一方の入
    力端は第1の入力電圧が他方の入力端は第2の入力電圧
    がそれぞれ印加され、他方のトランジスタ対の両入力端
    は共通接続されて一方のトランジスタ対の両入力端間に
    印加される電圧の中点電圧が印加され;第1のクァッド
    リテール回路における一方のトランジスタ対の共通接続
    出力端と第2のクァッドリテール回路における一方のト
    ランジスタ対の共通接続出力端と第3のクァッドリテー
    ル回路における他方のトランジスタ対の共通接続出力端
    とが共通接続され、第1のクァッドリテール回路におけ
    る他方のトランジスタ対の共通接続出力端と第2のクァ
    ッドリテール回路における他方のトランジスタ対の共通
    接続出力端と第3のクァッドリテール回路における一方
    のトランジスタ対の共通接続出力端とが共通接続され
    る; ことを特徴とするマルチプライヤ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
    マルチプライヤにおいて; 前記クァッドリテール回路
    はバイポーラトランジスタで構成され; 4個のトラン
    ジスタはそれぞれエミッタに少なくとも1個のダイオー
    ドが挿入されて1つの定電流源で駆動される; ことを
    特徴とするマルチプライヤ。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
    マルチプライヤにおいて; 前記クァッドリテール回路
    はバイポーラトランジスタで構成され; 4個のトラン
    ジスタはそれぞれエミッタに抵抗が挿入されて1つの定
    電流源で駆動される; ことを特徴とするマルチプライ
    ヤ。
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