JPH07107318B2 - 複合板の折曲げ加工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は複合板の折曲げ加工方法に関し、更に詳細には
複合板を折曲げて製品とする際その折曲げ部の形状保持
並びに強度保持手段を改良した折曲げ加工方法に関す
る。

（従来の技術） 従来、複合板として芯材に樹脂、石綿セメントケイ酸カ
ルシウム板、ガラス繊維補強セメント板又はセラミック
などを使用し、その両面に薄いアルミ板又は鉄板などを
接合したものが知られており、このような複合板はこれ
を加工して例えば建造物の内装又は外装パネル或いは種
々の加工品に供されている。

ところで、この種の複合板から例えば内外装パネルを形
成するには以下のような加工手順が採られる。すなわ
ち、内外装パネルは、第７図（ａ）に示されるような芯
材１の両面に薄い金属板２を接合してなる複合板３の周
囲に一方の金属板側から当該複合板の板厚の１〜２倍程
度の幅のほぼＵ字形若しくはＶ字形で且つ深さが最大で
も他方の金属板が残る程度の溝４を形成し（第７図
（ｂ））、この溝４を中心に折曲げ（第７図（ｃ））、
表面パネル部6aおよび背面周囲に側面パネル部6bを形成
してなる背方開放の箱状パネル部材６を形成し、この箱
状パネル部材６の内側における折曲げ部に第７図（ｄ）
に示されるようにＬ字形の金属補強材７を接着して構成
される。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上述したような従来の内外装パネルには
次のような問題点があった。すなわち、第７図（ｂ）な
いし第７図（ｄ）に示されるような従来の加工手順で
は、切込み溝４を中心に複合板３を折曲げようとしても
折曲げ中心位置が定まらず、従って折曲げる時のちょっ
とした力のかかり方や加工精度のばらつきにより折曲げ
位置にばらつきが最大板厚ｔの範囲で生ずる（第４図お
よび第５図）。例えば1m以上の長い長さに亘ってこのよ
うな折曲げ加工を行なうと、加工後の角部表面の仕上が
りが長さ方向で第４図の状態と第５図の状態とが交互に
現出して所謂「ブレ」を起こすことがあり、結果的に直
線精度が悪い角部となって意匠的に劣悪となる。また、
このような内外装パネルでは第７図（ｄ）から明らかな
ように折曲げ部が表面側の薄い金属板２のみで形成され
ており、特にこの金属板２の折曲げ部裏側は切込み溝４
によって中空状態となっていることから、この折曲げ部
即ち角部に何かがぶつかったり又はたたいたりして力が
加わると第８図に示されるように簡単に変形してしまう
という問題があった。

本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決した複合板
の折曲げ加工方法を提供することにある。

（課題を解決するための手段） すなわち、本発明の要旨は、芯材の両面に薄い金属板を
接合してなる複合板に折曲げ加工を施すに際し、先ず、
一方の前記金属板側から内部の前記芯材にまで切込み溝
を入れ、次いで、直交２外側面を有するＬ字型補強板の
外角部に突出部が備えられたＹ字型補強部材の前記Ｌ字
型補強板の一方の前記外側面を切込み溝形成側の金属板
表面であって切込み溝の一側方に乗せ、かつ、前記突出
部の先端縁が折曲げ中心線上であって切込み溝最深部に
位置するように位置決めすると共に当該Ｌ字型補強板を
仮止めし、次いで、前記突出部の先端縁を支点として折
曲げ加工を行い、切込み溝形成側の金属板表面であって
前記Ｌ字型補強板が仮止めされていない切込み溝の他側
方を前記Ｌ字型補強板の他方の前記外側面に密着させる
ことを特徴とする複合板の折曲げ加工方法に存する。

（作用） 本発明の折曲げ加工方法によると、複合板の切込み溝を
中心にした折曲げは、折曲げ中心線上であって切込み溝
最深部に位置するＹ字型補強部材の突出部の先端縁を支
点として行われるため、所謂「ブレ」を起こすことがな
く、また、この折曲げ部における複合板内部にできる切
込み溝による中空部に補強部材の突出部が位置し、この
突出部の先端が折曲げ部の外側金属板を内部から補強す
る。

（実施例） 以下、本発明の折曲げ加工方法を添付図面に示された実
施例について更に詳細に説明する。

第１図には本発明の一実施例に係る複合板折曲げ加工品
10の一部が示されている。

この複合板折曲げ加工品10は、従来と同様に芯材１の両
面に薄い金属板２を接合してなる複合板から形成され
る。すなわち、複合板折曲げ加工品10は、第２図に示さ
れるように複合板３において折曲げ位置（仮想中心線1
1）に該複合板３の板厚の１〜２倍程の幅のほぼＵ字形
若しくはＶ字形で且つ深さが最大でも外側の金属板２が
残る程度に形成された切込み溝４の折曲げ中心線11で折
曲げて形成された隣接する面材部12a,12bを備える。こ
の折曲げ部13において両面材部12a,12bの内表面にはＬ
字形の補強板（Ｌ字型補強板）14とこれに固着された角
部補強板15とを備える補強部材16が接着剤で取付けられ
る。

この補強部材16において、角部補強板15は、第３図に示
されるように、Ｌ字型補強板14の何れか一の外側面に密
着させてリベット17又は接着剤などで固着された板状部
15aを備え、この板状部15aのＬ字形補強板屈曲部付近に
位置する端部から斜め外方へ突出した突出部15bが該板
状部15aと一体に形成されている。すなわち、補強部材1
6は、直交する２つの外側面を有するＬ字型補強板14の
外角部に突出部15bが備えられたＹ字型補強部材であ
る。この突出部15bの先端は折り返えされてその端縁が
曲面状に形成されている。この突出部15bは複合板折曲
げ加工品10の折曲げ部13内部にできた切込み溝４による
中空部４′内に位置し、その曲面状端縁が外側の金属板
２の裏面に当接している。これにより、複合板折曲げ加
工品10の折曲げ部13に外力が加わっても表面の金属板２
の裏側から突出部15bによって補強されているためつぶ
れなどの変形が容易に起こらず、初期の形状を維持する
ことができる。

ところで、上述した実施例の複合板折曲げ加工品10は複
合板３から次のようにして形成される。すなわち、前述
したように切込み溝４が形成された複合板３には、図２
に示されるように、補強部材（Ｙ字型補強部材）16が取
り付けられる。補強部材16はＬ字型補強板14の一方の外
側面、例えば、角部補強板15の板状部15aが固着されて
いない方の外側面を切込み溝形成側の金属板２表面であ
って切込み溝４の一側方に乗せ、かつ、15bの先端縁が
折曲げ中心線11上であって切込み溝最深部に位置するよ
うに正確に位置決めされると共に接着剤などで仮止めさ
れる。そして、この複合板３は切込み溝４を中心に第２
図でみて折曲げ中心線11より右側の面材部12bが矢印18
で示されるように折曲げられる。この時、切込み溝４の
最深部はほとんど外表面側となる薄い金属板２のみであ
るが、ここに突出部15bの曲面状先端縁がほぼ当接して
位置しているため、この先端縁を支点として金属板２が
折曲がられる。そして、面材部12bの内側表面、すなわ
ち、切込み溝形成側の金属板２表面であって補強部材16
のＬ字型補強板14が仮止めされていない切込み溝４の他
側方が、Ｌ字型補強板14の他方の外側面、この場合、先
に固着された角部補強板15の板状部15a表面に密着され
る。更に、この時点で、板状部15a表面が接着剤により
面部材12bの内側表面に接合されて加工品10となる。

このように折曲げ部13の外側金属板12に対する変形を防
止するための突出部15bを備える補強部材16を用いて複
合板３を折曲げることは次のような利点がある。すなわ
ち、上述した実施例の複合板折曲げ加工品10のように折
曲げ加工前に第２図に示される如く補強部材16を複合板
３の表面に乗せて固定し、これにより突出部15bを切込
み溝４内に位置させてその曲面状先端縁を折曲げ中心11
線上であって切込み溝４の最深部にあてがうことによ
り、外側の金属板２がこの突出部15b先端縁を支点とし
て折曲がるため、折曲げられた面材部12bが設計通りの
位置となり、折曲げ角部の直線性も確保され、精度、美
観共に優れた複合板折曲げ加工品とすることができる。

なお、前述した実施例の複合板折曲げ加工品における補
強部材16は第３図に示されるようにＬ字形の補強板14と
角部補強板15とが別体に形成され、これらをリベット17
又は接着剤で接合したものであったが、第６図に示され
るように補強板14の角部から一体的に突出部を形成した
ものでもよい。このような一体の補強部材はアルミなど
の押出金属形材を利用することができる。

更に、折曲げ部13内の中空部４′内に硬化型の接着剤等
を充填すればコーナー部の強度がより向上する。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の折曲げ加工方法によれ
ば、折曲げ角部の直線性も確保され、精度、美観共に優
れた複合板折曲げ加工品を容易に製作することができ、
しかも、折曲げ部の外側金属板がその裏側から突出部に
よって補強されているため当該部分に外力が加わっても
角部の変形などが起らず硬度および強度面で優れた複合
板折曲げ加工品を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る複合板折曲げ加工品を
示す断面図、第２図は第１図に示される複合板折曲げ加
工品の形成過程を示す断面図、第３図は補強部材を示す
部分的な斜視図、第４図および第５図は従来の方法で複
合板折曲げ加工品を形成した場合の悪い例をそれぞれ示
す複合板折曲げ部の断面図、第６図は補強部材の他の具
体例を示す第３図と同様な斜視図、第７図（ａ）は複合
板を示す断面図、第７図（ｂ）は切込み溝が形成された
複合板を示す断面図、第７図（ｃ）は切込み溝を中心に
複合板を折曲げて示す断面図、第７図（ｄ）は従来の複
合板折曲げ加工品を示す断面図、第８図は第７図（ｄ）
に示された従来の複合板折曲げ加工品の折曲げ角部に外
力が加わって変形した状態を示す断面図である。 １…芯材、２…金属板、３…複合板、４…切込み溝、10
…複合板折曲げ加工品、11…折曲げ中心線、12a,12b…
面材部、13…折曲げ部、14…補強板、15…角部補強板、
15b…突出部、16…補強部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】芯材の両面に薄い金属板を接合してなる複
   合板に折曲げ加工を施すに際し、先ず、一方の前記金属
   板側から内部の前記芯材にまで切込み溝を入れ、次い
   で、直交２外側面を有するＬ字型補強板の外角部に突出
   部が備えられたＹ字型補強部材の前記Ｌ字型補強板の一
   方の前記外側面を切込み溝形成側の金属板表面であって
   切込み溝の一側方に乗せ、かつ、前記突出部の先端縁が
   折曲げ中心線上であって切込み溝最深部に位置するよう
   に位置決めすると共に当該Ｌ字型補強板を仮止めし、次
   いで、前記突出部の先端縁を支点として折曲げ加工を行
   い、切込み溝形成側の金属板表面であって前記Ｌ字型補
   強板が仮止めされていない切込み溝の他側方を前記Ｌ字
   型補強板の他方の前記外側面に密着させることを特徴と
   する複合板の折曲げ加工方法。