JPH07102376A - 被覆部材及びその製造方法 - Google Patents

被覆部材及びその製造方法

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JPH07102376A
JPH07102376A JP27120393A JP27120393A JPH07102376A JP H07102376 A JPH07102376 A JP H07102376A JP 27120393 A JP27120393 A JP 27120393A JP 27120393 A JP27120393 A JP 27120393A JP H07102376 A JPH07102376 A JP H07102376A
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JP
Japan
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tungsten
molybdenum
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coated
solid solution
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Application number
JP27120393A
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English (en)
Inventor
Takehiko Hayashi
武彦 林
Akira Ichida
晃 市田
Shigehiko Takaoka
重彦 高岡
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Tokyo Tungsten Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Tungsten Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タングステンでは製造し難かった直径200
mm以上の大型品,または曲げ,絞り加工を施したり,
切削加工による凹凸を有した複雑形状品をモリブテン等
で製造するとともに強度,硬度,耐薬品性,耐溶融金属
性などタングステンに近い特性を得ることができる被覆
部材及びその製造方法を提供する。 【構成】 モリブデンまたはモリブデンを含む合金から
なる基材において直径200mm以上の大型品,または
曲げ,絞り加工を施したり,切削加工による凹凸を有し
た複雑形状品を作製した後,この基材表面部にタングス
テンを溶射法及びCVD法のうちの少なくとも一種の方
法にて被覆し,さらに基材と被覆材であるタングステン
の境界部に,熱処理することによって厚さが少なくとも
5μmのタングステン−モリブデン固溶体層を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,高融点酸化物溶解用ル
ツボ,ロケットガス噴射用ノズル,原子力ヒートパイ
プ,超高温用金属ルツボ等に用いられる耐熱部品に関
し,詳しくは,耐熱性金属の被覆を有する被覆部材およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に,耐熱性金属として用いられる
材料として,タングステン,モリブデンが挙げられる。
【0003】このタングステンは白熱電球用のフィラメ
ントとして知られており,タングステンの細線あるいは
フィラメントを熱処理することで使用時の寿命延長を図
れることがあることも知られている。また,炉内に被処
理物を置き,1800℃以上,時としては2200℃以
上で熱処理する際に,炉内に被処理物を配置させるため
の容器は通常タングステンである。
【0004】また,金属あるいは金属酸化物等の高融点
材料は,ルツボ中で,不活性あるいは真空雰囲気におい
て溶解される。このような場合,金属モリブデンあるい
はモリブデン合金のように,金属モリブデンを含むルツ
ボが使用されている。
【0005】現在,耐熱部品として,高融点酸化物溶解
用ルツボ,ロケットガス噴射用ノズル,原子力ヒートパ
イプ,超高温用金属ルツボ等の比較的大型で複雑形状の
ものが求められている。また,用途に応じて種々の特性
が要求されている。例えば,鋼板への亜鉛メッキに用い
られるロール軸受けは溶融亜鉛に接するため耐蝕性が要
求される。
【0006】ところで,タングステンは,融点が341
0℃と金属中で最も融点が高く,耐熱材料として魅力的
であるが,加工性においてはモリブデンに比較し遥かに
困難であるという欠点がある。
【0007】これに対して,モリブデンは,融点が26
20℃と耐熱材料として他の材料と比較し優越な材料で
あるが,瞬間的または継続的に1800℃以上あるいは
特に2000℃以上の超高温に晒される構造材,部品等
についてはタングステンに比べ劣ることは否めない。
【0008】しかしながら,上記したように,モリブデ
ンはタングステンに比べ加工性に優れ,実用的サイズ,
形状共にタングステンと同様なものが得られている。
【0009】このように,耐熱材料として金属タングス
テン単体ではその加工性の困難さから対処しにくく,タ
ングステンの耐熱性そしてモリブデンの加工性共に有す
る材料が望まれている。
【0010】そこで,モリブデンを基材として,表面に
タングステン被覆を形成することを考えてみる。
【0011】従来において,タングステン被覆の方法と
して,化学的気相析出法(以下CVD法と呼ぶ)または
溶射法が知られている。このうちの前者のCVD法とし
ては,(1)六弗化タングステンガスを水素還元する方
法,(2)塩化タングステンガスを水素還元する方法
(3)塩化タングステンガスを熱分解する方法などが挙
げられる。
【0012】近年の技術動向としては,上記(1)の方
法が緻密なタングステンを得るために適している。なお
CVD法によるタングステン被覆は,精製されたガスか
ら形成されることから一般に高純度のタングステンが得
られる。一方,後者の溶射法はCVD法に比較し,一般
に緻密さではやや劣るが安価に実施できるという利点を
有している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来において,鋼板へ
の亜鉛メッキに用いられるロール軸受けは材料としては
5〜60%Mo−Wが用いられている。また,溶融亜鉛
容器やこの亜鉛溶湯に浸される材料,即ちZn耐食性材
料にも用いられている。このW,Mo合金固溶体は,M
o及びWの中間的特性を示し,Wよりも延性が大きく,
衝撃の強さも増加することが知られている。しかしなが
ら,このMo−W合金を上記ロール軸受等に適用するこ
とは,形状が大きく且つ複雑であるため加工が困難であ
った。
【0014】また,炉内に被処理物を置くための酸化物
焼成用敷板に大型タングステン容器を使用しているが,
処理費のコストダウンを図るには,加工性の悪いタング
ステンでは困難である。
【0015】更に,金属酸化物等の高融点材料を溶解す
るルツボとして,純モリブデン製ルツボを使用した場
合,モリブデンの再結晶温度が約1000℃であるた
め,使用温度が高くなるほど,また使用時間が長くなる
ほど,ルツボを構成するモリブデン結晶粒の粗大化が起
こる。そのため純モリブデン製のルツボは結晶粒界の脆
弱化により,粒界割れが生じ,被溶解物が漏れ出して使
用不能となる欠点を有している。
【0016】また,タングステンの場合,例えば,酸化
物焼成用敷板において□200mm以上,またルツボ形
状においては,直径100〜200mmでも厚み20m
mあるいは60mmと厚いものでは製造は困難を極め,
工業用部材としては採用し難かった。
【0017】ところで,一般に,金属がその特性を発揮
するには,加工材もしくは少なくとも緻密化されたもの
が望ましい。この金属組織の緻密化の観点のみから述べ
れば,ニッケル等の焼結助剤を添加し低温焼結でもタン
グステンを緻密化させる試みは古くから行なわれている
が,前述のモリブデンより劣るものであった。
【0018】そこで,本発明の技術的課題は,タングス
テンでは製造し難かった直径200mm以上の大型品,
または曲げ,絞り加工を施したり,切削加工による凹凸
を有した複雑形状品をモリブテン等で製造するとともに
緻密化することで,強度,硬度,耐薬品性,耐溶融金属
性などタングステンに近い特性を得ることができる被覆
部材及びその製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,機械加
工により形成された所望する形状を有するモリブデンま
たはモリブデンを含む合金からなる基材と,前記基材表
面部にCVD法にて被覆されたタングステン被覆層と,
前記基材と前記被覆層との境界部に形成された厚さが少
なくとも5μmのタングステン−モリブデン固溶体層と
を有し,実用上純タングステンに近い特性を有すること
を特徴とする被覆部材が得られる。
【0020】本発明によれば,前記したいずれかの被覆
部材において,前記基材は,少なくとも直径200mm
の大型品,曲げ又は絞り加工を施した加工品,切削加工
による凹凸を有した複雑形状品の内の少なくとも一種で
あることを特徴とする被覆部材が得られる。
【0021】本発明によれば,モリブデンまたはモリブ
デンを含む合金からなる基材において直径200mm以
上の大型品,または曲げ,絞り加工を施したり,切削加
工による凹凸を有した複雑形状品を作製した後,前記基
材表面部にタングステンをCVD法にて被覆し,さらに
前記基材と被覆材であるタングステンの境界部に,熱処
理することによって厚さが少なくとも5μmのタングス
テン−モリブデン固溶体層を形成することを特徴とする
被覆部材の製造方法が得られる。
【0022】即ち,本発明においては,モリブデンまた
はモリブデンを含む合金からなる基材へのタングステン
被覆の方法としては,CVD法を用いている。
【0023】本発明者らは,この方法にて表面状態の滑
らかなタングステン被覆が安定して得られることを確認
しており,金属不純物ベースで6Nの純度のタングステ
ンが得られた。具体的には,水素ガスに対し六弗化タン
グステンを1/3〜1/10の割合にて供給し,減圧下
で被覆される基材を400〜1000℃に加熱すること
により金属タングステンが得られるものである。
【0024】また,本発明によれば,前記被覆部材の製
造方法において,前記加熱処理は,1600〜2200
℃の真空雰囲気中を含む非酸化性雰囲気中で行われるこ
とを特徴とする被覆部材の製造方法が得られる。
【0025】即ち,本発明においては,靭性,延性を持
ち,タングステン被覆層と基材であるモリブデンとの剥
離強度を極めて強固に保持させるために,タングステン
をモリブデンに被覆した後,一旦真空雰囲気にて160
0〜2200℃好ましくは1800〜2200℃の高温
にて加熱処理しタングステンとモリブデンの境界層もし
くは被覆したタングステンの全層にて固溶層を生成させ
るたものである。ここで,加熱処理を1600〜220
0℃好ましくは1800〜2200℃と限定したのは,
1600℃以下の温度においては固溶層の形成が殆ど見
られず,また,1600〜1800℃においては固溶層
形成速度が非常に遅いから好ましくなく,一方,220
0℃以上の超高温になるとモリブデンの蒸発が発生する
ため好ましくないからである。
【0026】また,本発明においては,加熱処理は,真
空雰囲気中以外にも,アルゴン,窒素等の不活性雰囲気
や還元雰囲気などの非酸化性雰囲気においてもそれぞれ
固溶層の生成は可能である。このようにして得られた被
覆部材は被覆したタングステンと母材であるモリデブン
の境界層もしくは被覆したタングステンの全層にて固溶
層となっていることから,被覆材と母材の密着性の向上
が見られる。また耐熱材料として優れていると共に,金
属であることからセラミックスや黒鉛と異なり機械的強
度も大きく,耐衝撃性や耐磨耗性にも優れている。
【0027】また,本発明によれば,機械加工により形
成された所望する形状を有するモリブデンまたはモリブ
デンを含む合金からなる基材と,前記基材表面部に溶射
法にて被覆された第1のタングステン被覆層と,前記第
1のタングステン被覆層上にCVD法にて被覆された第
2のタングステン被覆層と,前記基材と前記第1のタン
グステン被覆層との境界部に形成された厚さが少なくと
も5μmタングステン−モリブデン固溶体層とを有し,
実用上純タングステンに近い特性を有することを特徴と
する被覆部材が得られる。
【0028】本発明によれば,前記したいずれかの被覆
部材の製造方法において,前記基材は,直径200mm
以上の大型品,曲げ又は絞り加工を施した加工品,切削
加工による凹凸を有した複雑形状品の内の少なくとも一
種であることを特徴とする被覆部材が得られる。
【0029】本発明によれば,モリブデンまたはモリブ
デンを含む合金からなる基材をにおいて直径200mm
以上の大型品,または曲げ,絞り加工を施したり,切削
加工による凹凸を有した複雑形状品を作製した後,前記
基材表面部にタングステンを溶射法にて被覆し,さらに
CVD法にてタングステンを被覆し,さらに前記基材と
被覆材であるタングステンの境界部に,加熱処理するこ
とによって厚さが少なくとも5μmのタングステン−モ
リブデン固溶体層を形成することを特徴とする被覆部材
の製造方法が得られる。
【0030】本発明によれば,前記被覆部材の製造方法
において,前記熱処理は,1600〜2200℃の真空
雰囲気中を含む非酸化性雰囲気中で行われることを特徴
とする被覆部材の製造方法が得られる。
【0031】また,本発明においては,溶射法において
金属タングステン被覆を得ている。具体的には流動性の
優れた平均粒径40〜200μmのタングステン粉末を
用い,非酸化性雰囲気において大気圧下好ましくは減圧
下でプラズマ溶射することで形成する。さらに,本発明
においては,溶射した上にCVD法による緻密化したタ
ングステン被覆も生成することができる。
【0032】ここで,本発明において用いる溶射法は,
CVD法に比較し,一般に緻密さではやや劣るが安価に
実施できることから,基材表面にタングステン厚膜が必
要である場合,溶射法で厚膜を形成した後,最表面に更
にCVD法タングステン薄膜を形成することは経済的に
効果がある。
【0033】ここで,本発明においては,タングステン
−モリブデン固溶体は,タングステン層とモリブデン層
との境界層に形成され,組成がタングステン層とモリブ
デン層のうちの一方から他方に向かうに従って,漸次増
加又は減少するように連続的に変化しているものであ
る。このタングステン−モリブデン固溶体は,タングス
テン層及びモリブデン層を研削等により除去することで
取り出すことができる。
【0034】更に,本発明を具体的に説明する。
【0035】前述したように,鋼板への亜鉛メッキに用
いられるロール軸受けは,溶融亜鉛に接するため耐蝕性
が要求されるため,材料としては5〜60%Mo−Wが
用いられているが,形状が大きく且つ複雑であるため加
工が困難である。そこで本発明により,モリブデンでほ
ぼ所定の形状のものを作製し,上述した方法にて表面を
タングステンで被覆,熱処理を行なえば,耐蝕性を上げ
生産コストの低減に寄与することができる。ここで,タ
ングステンの細線あるいはフィラメントを熱処理するこ
とで,使用時の寿命延長を図れることは知られている。
1800℃以上,時として2200℃以上で熱処理する
際に,炉内に被処理物を配置させるための容器は通常タ
ングステンである。
【0036】また,酸化物焼成用敷板のように炉内に被
処理物を配置させるための容器を,タングステンに比較
して加工しやすいモリブデンにて大型容器を作製し,本
発明によりその表面にCVD法にてタングステンを被覆
する。この際タングステン−モリブデン固溶層の生成
は,細線あるいはフィラメントの熱処理時においてなる
ため,特別な固溶層生成のための熱処理は不要である。
【0037】また,本発明によりルツボ表面にCVD法
等によって,緻密なタングステンを被覆することによっ
て,結晶粒界割れによる被溶解物の漏れは解消できる。
なお,モリブデン表面にタングステンを被覆した後,そ
の境界に固溶層を生成させないでも表面のタングステン
層に粒界割れが発生しないため有用であるが,さらなる
境界面における密着性の向上および結晶粒の粗大化の抑
制が図れるため固溶層生成処理を行なうことが有効であ
る。
【0038】
【実施例】以下,本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0039】(実施例1)600℃に加熱されたモリブ
デン板基材上に,水素ガスに対し六弗化タングステンガ
スを1/4の割合にて供給し厚さ200μmのタングス
テン膜を形成した。図1,2はこれを真空雰囲気にて2
150℃,1時間,加熱処理する前後の試料破断面の走
査電子顕微鏡写真である。また図3,4は各々加熱処理
前後のタングステン,モリブデン界面におけるEPMA
によるタングステン,モリブデンの線分析結果を示す図
である。これらよりタングステン,モリブデン界面にお
いてタングステン−モリブデン固溶体が生成されてお
り,固溶体層において,組成が傾斜化されていることが
わかった。またタングステン−モリブデン界面が不明瞭
になっており密着性の向上が達成されていた。
【0040】(実施例2)600℃に加熱した純モリブ
デン製ルツボに,水素ガスに対し六弗化タングステンガ
スを1/4の割合にて供給し,CVD法にて厚さ100
μmのタングステン被覆を形成した。このタングステン
被覆モリブデンルツボ中にて金属酸化物を2000℃に
て200時間溶解した際のルツボ外壁の状態を図6の電
子顕微鏡写真に示した。比較のために,純モリブデン製
ルツボ中にて金属酸化物を2000℃にて,200時間
溶解した場合,ルツボ外壁にて図5の電子顕微鏡写真に
示すような亀裂が発生した。
【0041】このように,本発明の実施例2に係るタン
グステン被覆純モリブデン製ルツボは,タングステン被
覆をしない純モリブデン製ルツボ場合に比べ亀裂が発生
しないことがわかった。また,このタングステン被覆純
モリブデン製ルツボは,被覆したタングステンと基材で
あるルツボの境界部にタングステン−モリブデン固溶体
層が生じていることが確認された。
【0042】(実施例3)実施例1にて加熱処理したタ
ングステン被覆モリブデン材を695℃にてカドミウム
(Cd)0.1重量%・鉛(Pb)14ppm・残り亜
鉛(Zn)からなる溶湯に506時間浸漬した。図7〜
9は,溶融亜鉛接触部であるタングステン層の表面部断
面の研磨後の金属組織を示すEPMAによる面分析結果
であり,各々試料断面研磨後の走査電子顕微鏡写真およ
びタングステン,亜鉛イメージ像である。これより溶融
亜鉛はタングステン中に入り込むことはなく,被覆タン
グステンが溶融亜鉛対策として優れていたことが確認さ
れた。
【0043】(実施例4)内径4mm,外径6mm,長
さ600mmの純モリブデン製熱電対保護管を用いて1
800〜2100℃に加熱された溶解金属中の温度を測
定した際,表面の磨耗や亀裂が発生した。純モリブデン
製熱電対保護管表面に平均粒径45μmのタングステン
粉末を用いてアルゴン雰囲気中にて溶射を行ない,厚さ
約100μmのタングステンを被覆した。その後,実施
例1と同様にCVD法にて,約50μmのタングステン
を被覆した。これを用い,1800〜2100℃に加熱
された溶融金属中の温度を測定した場合,表面の亀裂は
見られず,表面磨耗も殆ど見られなかった。また被覆し
たタングステンと基材であるモリブデンとの境界部には
タングステン−モリブデン固溶体層が生じていることが
確認された。
【0044】
【発明の効果】以上,説明したように,本発明において
は,製造が困難である大型および複雑形状タングステン
を,比較的加工が容易なモリブデンその他の基材上にC
VD法や溶射法によりタングステンを被覆することによ
り,タングステンに類似した特性を有するものとして容
易に作製することができる。さらに基材がモリブデンで
ある場合,加熱処理することにより,基材であるモリブ
デンと被覆材であるタングステンの境界部にタングステ
ン−モリブデン固溶体層が形成され,密着性の向上が達
成される。
【0045】また,本発明においては,モリブデン基材
の代わりに多孔質タングステンを考えた場合,この多孔
質タングステンの空孔を損なわずに表層に緻密なタング
ステンを被覆したいとき,上述と同様にCVD法にてタ
ングステン被覆したり,タングステンを溶射した後更に
より緻密なタングステンをCVD法にて被覆することに
より達成でき,これは高融点金属を蒸発させる容器など
への展開が考えられる。
【0046】また,本発明においては,モリブデン基材
上にCVD法にて直接タングステンを被覆するかまたは
溶射した上にCVD法にてタングステンを被覆し,更に
加熱処理することにより,タングステン,モリブデン界
面にタングステン−モリブデン固溶層の形成を図り,密
着性の向上がなる。上記材料はタングステンに近い硬
度,引っ張り強度,耐蝕性などの特性を持つ。
【0047】また,本発明においては,比較的加工が容
易な基材を用いて大型および複雑形状品を加工した後,
その表面部にCVD法によりタングステンを被覆するこ
とにより,製造が困難である純タングステンからなる大
型品,複雑形状品の代用品を容易に作製することができ
工業化が容易である。
【0048】更に,本発明においては,タングテン層及
びモリブデン層の界面に形成された固溶体は,タングス
テンよりも延性があり,衝撃強さも強く,セラミック焼
成用ボート等のWとかなり特性が近似したものをMo並
のサイズで供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るCVDタングステン被覆
モリブデン材の加熱処理前の破断面の金属組織を示す電
子顕微鏡写真である。
【図2】図1のCVDタングステン被覆モリブデン材の
加熱処理後の破断面の金属組織を示す電子顕微鏡写真で
ある。
【図3】図1のCVDタングステン被覆モリブデン材の
加熱処理前における電子線線分析結果を示す図である。
【図4】図1のCVDタングステン被覆モリブデン材の
加熱処理後における電子線線分析結果を示す図である。
【図5】比較例に係る純モリブデン製ルツボ外壁の金属
酸化物溶解後における亀裂の金属組織を示す電子顕微鏡
写真である。
【図6】本発明の実施例に係るCVDタングステン被覆
モリブデンルツボ外壁の金属酸化物溶解後の金属組織の
状態を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】図6のCVDタングステン被覆モリブデン材の
溶融亜鉛浸積後の表面部断面状態の金属組織を示す電子
顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例に係るCVDタングステン被覆
モリブデン材の溶融亜鉛浸積後の表面部断面の金属組織
のタングステン分布を示すタングステン面分析写真であ
る。
【図9】図8のCVDタングステン被覆モリブデン材の
亜鉛溶湯浸積後の表面部断面における金属組織の亜鉛分
布を示す亜鉛面分析写真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械加工により形成された所望する形状
    を有するモリブデンまたはモリブデンを含む合金からな
    る基材と,前記基材表面部にCVD法にて被覆されたタ
    ングステン被覆層と,前記基材と前記被覆層との境界部
    に形成された厚さが少なくとも5μmのタングステン−
    モリブデン固溶体層とを有し,実用上純タングステンに
    近い特性を有することを特徴とする被覆部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の被覆部材において,前記
    基材は,少なくとも直径200mmの大型品,曲げ又は
    絞り加工を施した加工品,切削加工による凹凸を有した
    複雑形状品の内の少なくとも一種であることを特徴とす
    る被覆部材。
  3. 【請求項3】 モリブデンまたはモリブデンを含む合金
    からなる基材において直径200mm以上の大型品,ま
    たは曲げ,絞り加工を施したり,切削加工による凹凸を
    有した複雑形状品を作製した後,前記基材表面部にタン
    グステンをCVD法にて被覆し,さらに前記基材と被覆
    材であるタングステンの境界部に,熱処理することによ
    って厚さが少なくとも5μmのタングステン−モリブデ
    ン固溶体層を形成することを特徴とする被覆部材の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の被覆部材の製造方法にお
    いて,前記熱処理は,1600〜2200℃の真空雰囲
    気を含む非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする
    被覆部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 機械加工により形成された所望する形状
    を有するモリブデンまたはモリブデンを含む合金からな
    る基材と,前記基材表面部に溶射法にて被覆された第1
    のタングステン被覆層と,前記第1のタングステン被覆
    層上にCVD法にて被覆された第2のタングステン被覆
    層と,前記基材と前記第1のタングステン被覆層との境
    界部に形成された厚さが少なくとも5μmタングステン
    −モリブデン固溶体層とを有し,実用上純タングステン
    に近い特性を有することを特徴とする被覆部材。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の被覆部材の製造方法にお
    いて,前記基材は,直径200mm以上の大型品,曲げ
    又は絞り加工を施した加工品,切削加工による凹凸を有
    した複雑形状品の内の少なくとも一種であることを特徴
    とする被覆部材。
  7. 【請求項7】 モリブデンまたはモリブデンを含む合金
    からなる基材をにおいて直径200mm以上の大型品,
    または曲げ,絞り加工を施したり,切削加工による凹凸
    を有した複雑形状品を作製した後,前記基材表面部にタ
    ングステンを溶射法にて被覆し,さらにCVD法にてタ
    ングステンを被覆し,さらに前記基材と被覆材であるタ
    ングステンの境界部に,加熱処理することによって厚さ
    が少なくとも5μmのタングステン−モリブデン固溶体
    層を形成することを特徴とする被覆部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の被覆部材の製造方法にお
    いて,前記熱処理は,1600〜2200℃の真空雰囲
    気を含む非酸化性雰囲気中で行われることを特徴とする
    被覆部材の製造方法。
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