JP2587807B2 - 炭化物皮膜の形成方法および同皮膜を有する物品 - Google Patents

炭化物皮膜の形成方法および同皮膜を有する物品

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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は浸炭性ガス雰囲気中で金
属珪化物を溶射することにより基材の表面に金属炭化物
を含む被膜を形成する方法および該皮膜を有する物品に
関する。
【0002】
【従来の技術】TiC、ZrC、TaCおよびNbCで
示される金属炭化物は硬くて合金化されにくく、かつ溶
融金属に侵食されにくいために、対摩耗性材料または耐
食性材料として広く使用されている。しかしこれらの炭
化物は溶融点が高い反面、脆いために構造用材料に成形
することは困難であり、単独で使用されることはなく、
専ら基材への皮膜として用いられている。皮膜の形成法
としてはPVD(物理蒸着法)、CVD(化学蒸着法)
が多く用いられている。また炭素鋼を基材として雰囲気
処理を行い、該雰囲気中の金属元素と炭素鋼中の炭素を
反応させて、基材の表面に炭化物を析出させる一種のC
VDも実用化されている。さらにTiC、ZrCなどの
炭化物粉末の溶射により被覆する方法も試みられてい
る。
【0003】しかしながらいずれの方法においても問題
点が十分に解決されてはいない。すなわち、たとえばC
VD、PVDにおいては形成される皮膜の厚さは通常マ
イクロメーター(μm)オーダーに過ぎず、厚い皮膜が
要求される需要には対応できない。厚さが制約される理
由は、(1)形成される皮膜は一般に緻密ではあるが、
内部応力が存在するために一定の厚さ以上では亀裂ある
いは剥離の発生などを引き起こすためや、(2)CV
D、PVDとも基材の温度上昇が不可避であり、場合に
よっては1000℃にも達するために一定の厚さ以上で
は基材と皮膜炭化物との熱膨張差により亀裂あるいは剥
離が生ずるため、などである。さらに融点の低いアルミ
ニウム合金には上述の方法の適用は困難であり、高強度
の鋼やチタン合金などもその特性を変えることなく処理
することは難しい。さらに気密室または気密容器中で雰
囲気を一定に保持して処理を行う必要があるために、処
理される基材の大きさ、形状は限定され、大規模な工業
設備あるいは大型構造物への適用は制約される。また成
膜速度は比較的遅く、さらに気密室への基材の搬入、搬
出のために処理を一時中断する必要があり、連続操作を
可能とするためには、処理室より大気中に移行する間に
数多くの副室を設けた気密維持機構が必要となる。
【0004】一方、溶射法においては、TiC、ZrC
は、融点が高く、かつ高硬度で比較的脆いために、緻密
な実用に絶える皮膜は得ることが難しい。したがって、
融点の低いCoなどの金属バインダを加えて実施される
こともあるが、耐摩耗性および溶融金属に対する耐侵食
性は低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
問題点を解決して、需要に対応できる厚さで、亀裂、剥
離のないTiC、VC、ZrC、NbCおよびTaCな
どの金属炭化物皮膜をアルミニウムなどの低融点合金上
にも形成することができる炭化物皮膜の形成方法および
同皮膜を有する物品を開発して、提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は斯かる課題を
解決するために、周期律表の4族および5族に属する高
融点金属(例えばTi、ZrおよびV、Nb、Ta)の
珪化物が比較的低温で溶解し、炭化水素ガス(例えばア
セチレン、プロピレン、メタン、プロパン、ブタン)と
反応して金属炭化物を生成することに着目し、鋭意研究
の結果、該高融点金属の珪化物を上述の炭化水素ガスの
少なくとも1種を含む浸炭性ガス雰囲気中で溶射するこ
とにより、亀裂、剥離の発生しない皮膜を基材の熱特性
を変えることなく、形成することが可能であることを見
出して本発明を達成することができたのである。
【0007】すなわち、本発明は組成がMSi2 (ただ
しMはTi、V、Zr、Nb、Taから選ばれた少なく
とも1種の金属元素)で表わされる金属珪化物を原料と
し、浸炭ガス雰囲気中で溶射して、原料珪化物を炭化物
に変え、基材の表面に炭化物を含む皮膜を形成させる方
法を提供する。
【0008】本発明方法においては、浸炭性雰囲気ガス
である炭化水素と酸素の反応を熱源としたフレーム溶射
法、高速酸素フレーム溶射法および爆発溶射法などの各
種溶射法が適用される。また作動ガスの少なくとも一部
に炭化水素ガスを使用したプラズマ溶射法も適用され
る。
【0009】なお本発明に供される浸炭性雰囲気ガスで
ある炭化水素ガスはアセチレン、プロピレン、メタン、
プロパンおよびブタンよりなる群から選ばれた少なくと
も1種のガスよりなるものであることができる。なお本
発明による皮膜形成法に溶射法が使用される理由は次の
通りである。
【0010】(1)基材を冷却することが可能であり、
基地は実質的には低温に保たれる。したがって100μ
m以上の皮膜の形成ができる。
【0011】(2)溶射法はCVD、PVDと比較し
て、成膜速度が速く、かつ通常大気中で処理を行うこと
ができる。したがって大型の構造部材などにも容易に適
用でき、生産性に優れている。
【0012】本発明の方法で得られた炭化物皮膜を表面
に有する物品は、少なくとも皮膜の直下部分すなわちそ
の上に皮膜が形成される外周表面部分が金属質の物品で
ある。それより内側の部分は必ずしも金属質でなくても
よい。
【0013】この目的に使用できる金属類にはSUS4
03のようなステンレス鋼のほかアルミニウムのような
比較的融点の低い金属も包含される。
【0014】外周表面に本発明の炭化物皮膜を有する物
品は耐溶融金属性特に耐溶融亜鉛性に優れている。した
がって、溶融金属特に溶融亜鉛と接触して用いられる機
械部品や構造部材などの用途に好適である。
【0015】
【作用】本発明において使用される高融点金属としてた
とえばTiを選んだ場合、溶射時における挙動は次のよ
うなものであると考えられる。
【0016】TiSi2 はアセチレンと反応して高融点
化合物TiCとなり、次の反応式にしたがってSiを分
離する。
【0017】 2TiSi2 +C2 2 → 2TiC+4Si+H2 分離したSiは溶射時に急冷されてガラス層として存在
するか、高温における蒸気圧が比較的高いために揮発す
ることも考えられる。また溶射法が爆発溶射の場合は反
応ガス中の酸素と化合してSiOガスが発生するために
揮散は著しく加速される。
【0018】したがって形成される皮膜は分離した金属
Siを含まないため熱歪による亀裂、剥離のない溶融金
属に侵食されにくい皮膜が形成されるのである。以下実
施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
【実施例1】アセチレンと酸素の爆発を利用した爆発溶
射法によりTiSi2 を原料として一辺50mmの正方
形、厚さ10mmのステンレス鋼製試験片に溶射ガス条
件をAからEに変えて皮膜を形成した。次いでこの皮膜
の結晶組成をX線回折法により調べた。その結果を図1
に示す。同図より溶射ガス条件によりTiCに対応する
ピークの大きさは異なるが、いずれの試料からもTiC
の含有が認められた。なおTiSi2 のピークは未反応
部に対応する。また単体Siも多少認められるが僅かで
ある。さらに各皮膜につき、炭素含有量を燃焼法により
測定し、これに対応するTiC量を算出した。これらの
結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】さらにTiの場合と全く同じ試験方法によ
りZrSi2 、NbSi2 を原料として溶射皮膜を作成
し、X線回折を行って、各々につきZrC、NbCの同
定を行った。なおZrC皮膜についてのみ炭素含有量を
測定してZrCへの換算量を算出した。その結果を図
2、図3および表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】以上の結果によりTiSi2 、ZrSi2
およびNbSi2 のいずれの場合でもTiC、ZrCお
よびNbC形態の炭化物が認められた。
【0024】
【比較例】MoSi2 、CrSi2 を原料とした実施例
1と全く同じ条件で同一方法により溶射皮膜を作成し、
X線回折を行ったが、Mo2 C、Cr3 2 で示される
炭化物の生成は図4、図5に示すように認められなかっ
た。すなわち高融点金属のうち、4族、5族の金属(T
i、V、Zr、Nb、Ta)には本発明による方法が適
用され得るが、6族に属する金属(Mo、Cr)には適
用され得ないことが分かった。
【0025】
【実施例2】図6に示す装置を用い、先端を半球状に加
工したSUS403を母材とする直径20mmの棒状試
料1上にチタン珪化物を原料として形成した皮膜2(T
iC−TiSi2 )を厚さ0.12mm溶射被覆し、こ
れを炉体5内に配備した黒鉛るつぼ6内においてヒータ
ー4により470℃に保たれている溶融亜鉛浴3中に2
00時間浸漬した。
【0026】別に比較材として、上記のものと同じ材質
形状および寸法の棒状試料1上に、WC−Coサーメッ
トを上記と同じ厚さに溶射被覆して得た比較用試料を前
記同様200時間浸漬した。比較試験の結果は表3に示
す通りであった。この表からわかるように、本発明方法
により形成した皮膜は200時間経過後も亜鉛との反応
および亜鉛の付着は全く認められなかった。一方、比較
材は100時間経過した時点で亜鉛と反応し、亜鉛が強
固に付着していた。
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明の開発により、アルミニウムなど
の低融点金属の表面にも亀裂、剥離のない、耐摩耗性に
優れ、かつ溶融金属に侵食されにくい高融点金属炭化物
皮膜を100μm以上の厚さに形成することができるよ
うになった。また皮膜形成法が溶射法であるために、気
密室または気密容器のような大規模な装置を必要としな
いために、大型構造材への被覆も容易にできるために、
例えば連続亜鉛めっき装置の溶融亜鉛浴、各種ロール類
へも容易に利用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】TiSi2 を原料とし、溶射ガスの条件をAか
らEに変えて得られた皮膜のX線回折チャート
【図2】ZrSi2 を原料として溶射条件をA、B、D
に変えて得られた皮膜のX線回折チャート
【図3】原料をNbSi2 に変えて得られた皮膜のX線
回折チャート
【図4】原料をMoSi2 に変えて得られた皮膜のX線
回折チャート
【図5】原料をCrSi2 に変えて得られた皮膜のX線
回折チャート
【図6】基材表面に皮膜を形成した棒状試料を、炉内で
一定温度に保持された溶融亜鉛浴中に所定時間浸漬する
状況を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 棒状試料 2 皮膜 3 溶融亜鉛浴 4 ヒーター 5 炉体 6 黒鉛るつぼ

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成がMSi2 で表わされる金属珪化物
    を原料として、浸炭性雰囲気ガス中、溶射法により基材
    表面に金属炭化物を含む被覆を形成することを特徴とす
    る炭化物皮膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 MがTi、V、Zr、NbおよびTaか
    らなる群より選ばれた少なくとも1種の金属である請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 溶射法が炭化水素ガスと酸素の反応を熱
    源としたフレーム溶射法、高速酸素フレーム溶射法また
    は爆発溶射法である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 溶射法がプラズマ溶射法であり、作動ガ
    スの少なくとも一部に炭化水素ガスを用いる請求項1記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 炭化水素ガスがアセチレン、プロピレ
    ン、メタン、プロパンおよびブタンからなる群より選ば
    れた少なくとも1種のガスよりなる請求項3または請求
    項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 組成がMSi2 で表わされる金属珪化物
    を原料として、浸炭性雰囲気ガス中において溶射法によ
    り形成された炭化物を含む皮膜を基材表面に有している
    ことを特徴とする物品。
  7. 【請求項7】 耐溶融金属性に優れる請求項6記載の物
    品。
  8. 【請求項8】 耐溶融亜鉛性に優れる請求項7記載の物
    品。
  9. 【請求項9】 MがTi、V、Zr、NbおよびTaか
    らなる群より選ばれた少なくとも1種の金属である請求
    項6〜8のいずれかに記載の物品。
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