JPH1128622A - 表面改質方法及び表面改質工具 - Google Patents

表面改質方法及び表面改質工具

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JPH1128622A
JPH1128622A JP9196364A JP19636497A JPH1128622A JP H1128622 A JPH1128622 A JP H1128622A JP 9196364 A JP9196364 A JP 9196364A JP 19636497 A JP19636497 A JP 19636497A JP H1128622 A JPH1128622 A JP H1128622A
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JP
Japan
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steel
coating
processing
tool
quenching
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JP9196364A
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English (en)
Inventor
Koji Morita
浩二 守田
Manabu Yasuoka
学 安岡
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Nachi Fujikoshi Corp
Original Assignee
Nachi Fujikoshi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CVDのように特殊薬品を使用せず、窒化物
等の反応条件を整えるための前処理やガス供給条件等の
設定が容易な工具用鋼の表面改質方法及び表面改質工具
を提供。 【解決手段】 合金鋼、ダイス鋼もしくは高速度鋼の基
材表面に、融点が800℃以上の元素(例えば、周期律
表のIVa、Va、VIa族の遷移金属又はB)を真空
蒸着、スパッタリング、イオンプレ−ティング又は放電
被覆処理等で被覆した後、真空熱処理にて処理中又は処
理の一部において少なくとも窒素又は炭化水素雰囲気で
加熱恒温処理し、さらに、焼入、焼戻し、基材表面を改
質する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は基材表面の改質に
関し、特に、高速度鋼等の工具用鋼の表面改質方法及び
表面改質工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工具用鋼は、耐摩耗性及び靱性、
耐熱性等を得るために、一般に、塩浴炉、雰囲気炉又は
真空熱処理を用いて焼入、焼き戻しが行われる。一方、
焼入、焼き戻し後に、さらに基材表面を改質するため
に、例えば、耐摩耗性や切削寿命等の向上のため物理蒸
着法(以下PVDという)で高速度鋼のドリル等にTi
Nなどを被覆する方法が知られている。また、高速度鋼
やダイス鋼といった硬質材料では窒化や浸炭処理が行わ
れている。
【0003】さらに、化学蒸着法(以下CVDという)
やTD処理によれば、より高い耐摩耗性、特に密着性が
得られる。なお、この場合は、処理温度が1000℃以
上と高いので、焼入、焼き戻しはCVDやTD処理後に
行われるのが一般である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、窒化や浸炭に
おいては耐摩耗性は高まるがPVD、CVD及びTD処
理に比較すると耐摩耗性が低いという問題があった。ま
た、PVDは低温処理(550 ℃以下) であるためCVD
より密着性に劣る傾向があり、また、窒化物等の反応条
件を整えるための前処理やガス供給条件等の設定が困難
であるという問題があった。さらに、CVDやTD処理
といったものは被覆する物質により特殊薬品を使用する
必要があり、CVDやTD処理はこの特殊薬品の使用に
より被覆膜材の種類が限定される他、特殊な設備とな
り、設備コストもかかり、処理温度が高く、エネルギー
消費も多い。また、特殊薬品を使用するため取扱いが困
難であるという問題があった。
【0005】本発明の課題は、かかる問題点に鑑みて、
CVDのように特殊薬品を使用せず、窒化物等の反応条
件を整えるための前処理やガス供給条件等の設定が容易
な工具用鋼の表面改質方法及び表面改質工具を提供する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
鋭意研究の結果、PVDにおいては、TiN等の複合膜
を基体上に生成するための条件は複雑で条件設定等が困
難であるが、金属単体やボロン等の高融点材料の被覆は
容易であり、処理時間も短縮できる。また、これらの炭
化物や窒化物であっても基材との反応を伴わない場合に
はスパッタイオンプレ−ティングやア−クイオンプレ−
ティング等により大量に処理できる。また、熱処理にお
いては真空熱処理もしくは燃焼法を使用しない雰囲気熱
処理によれば、表面の酸化による化合物形成がなく、恒
温処理による表面膜の拡散処理ができる。また、このと
きの表面膜は密着性の確保として自然の状態で剥離する
というようなものでなく、また昇温による剥離がない程
度の密着性でよい。これらの性質を利用すれば、反応と
拡散を分離して基材表面を改質できることを知得した。
【0007】この知得により、本発明においては、合金
鋼、ダイス鋼もしくは高速度鋼の基材表面に、融点が8
00℃以上の元素を被覆した後、処理中又は処理の一部
において少なくとも窒素又は炭化水素雰囲気で加熱恒温
処理し、さらに、焼入、焼戻しすることによって上記課
題を解決した。また、融点が800℃以上の元素は、周
期律表のIVa(4a)、Va(5a)、VIa(6
a)族の遷移金属又はB(ボロン)がよい。また、加熱
恒温処理前の被覆処理は真空蒸着、スパッタリング、イ
オンプレ−ティング又は放電被覆処理のいずれかを用
い、被覆処理後は真空熱処理にて行う。
【0008】かかる方法によれば、基材表面に金属単体
やボロン等の高融点材料を被膜された基材を真空熱処理
もしくは燃焼法を使用しない雰囲気熱処理で熱処理する
ことにより、表面に酸化物を形成することなく膜の物質
を浸透拡散させると同時に表面に鋼材の持つ炭素の拡散
によって基材表面に周期律表のIVa、Va、VIa族
の遷移金属又はBの窒化物、炭化物、窒炭化物、窒酸化
物、炭酸化物又は窒炭酸化物等が形成される。
【0009】さらに、また、本発明の表面改質工具は、
合金鋼、ダイス鋼もしくは高速度鋼の基材表面に融点が
800℃以上の元素を被覆した後、処理中又は処理の一
部において少なくとも窒素又は炭化水素雰囲気で加熱恒
温処理、焼入、焼戻し処理により、元素が基材内部に浸
透されるようにした。
【0010】また、さらに本発明の表面改質工具は、被
覆条件、熱処理条件により、基材内部に浸透された改質
に留まらず、被覆された被覆膜も熱処理中に反応させ、
加熱恒温処理、焼入、焼戻し処理により、基材表面に窒
化物、炭化物、窒炭化物、窒酸化物、炭酸化物又は窒炭
酸化物が表面被覆層を形成するようにした。
【0011】なお、周期律表のIVa族はTi,Zr,
Hf等、Va族はV,Nb,Ta等、VIa族はCr,
Mo,W等の遷移金属である。また、真空熱処理等の温
度制御技術も2〜3℃のレベルのものが適している。真
空熱処理においては、10-2Torr以下の圧力が好ま
しく、また、真空熱処理温度として800℃以上では脱
炭の可能性もあるので分圧法を使用するとよい。なお、
分圧法では通常設備の安全性や冷却に加圧冷却を行う関
係から窒素を用いることが多いが、アンモニアやアルコ
−ルもしくはアセチレン等の炭化水素成分を使用しても
良い。これらを使用する場合には1〜100Torrの
範囲において使用するのが妥当である。
【0012】表面に被覆する物質の膜厚は1〜50μm
程度で適正な温度及び保持時間ならびに熱処理条件を選
ぶことによって比較的良い表面改質状態と僅かに残留す
る硬質物質が表面に得られる。放電被覆法の場合は放電
加工機などを用いて電極材料を転移させるのが特徴であ
るがこれらは溶液中の炭化水素系分子の転移により表面
被覆膜内に炭素が含有されるのでその効果と相まった効
果が期待できる。
【0013】
【実施例】
(実施例1)本発明の実施例について説明する。第一の
実施例においては、蒸発源にVを使用してイオンプレ−
ティングを用いてSKH57テストピ−スにコ−ティン
グを行い34μmのV単体を被覆し、二室型真空炉によ
り焼入れを行い三室真空炉により焼戻しを行った。表1
に熱処理条件を示す。
【0014】
【表1】
【0015】この処理により、表面被覆及び加熱恒温処
理なしで、同条件の焼入れ、焼き戻しした基材表面の固
さがHv870であるのに対して、本発明の第一実施例
においては表面硬さはHv1230を得られた。また、
図1はX線回析プロフィルを示す図であるが、図1に示
すように基材には含まれない炭化物の形成が得られた。
【0016】(実施例2)本発明の第二の実施例におい
ては、放電加工機によりW電極棒を用いて放電処理を行
ってW及び炭化物を含む11μmの被覆膜を形成した
上、表2に示す熱処理条件にて被覆されたSKH51テ
ストピ−スを二室型真空炉により焼入れを行い三室真空
炉により焼戻しを行った。
【0017】
【表2】
【0018】その結果、表面被覆及び加熱恒温処理なし
で、同条件の焼入れ、焼き戻しした基材表面の固さがH
v830であるのに対して、本発明の第二実施例におい
ては表面硬さはHv1150を得られた。また、図示し
ないが、X線回析プロフィルにおいても、第一実施例と
同様に、炭化タングステン(WC)の他基材には含まれ
ないタングステンの炭化物等(WCX )のX線回析ピー
クが得られた。なお、本発明においては、工具用鋼につ
いて述べたが、他の表面被覆材料にも適用できることは
いうまでもない。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明においては、
基材表面に、融点が800℃以上の元素を被覆した後、
窒素又は炭化水素雰囲気で加熱恒温処理し、さらに、焼
入、焼戻しするようにしたので、窒化物等の反応条件を
整えるための前処理やガス供給条件等の設定が容易な工
具用鋼の表面改質方法及び表面改質工具を提供するもの
となった。
【0020】また、融点が800℃以上の元素を、IV
a、Va、VIa族の遷移金属又はBとするので、耐摩
耗性、長寿命を要求される工具鋼の表面改質に適する。
【0021】加熱恒温処理前の被覆処理を真空蒸着、ス
パッタリング、イオンプレ−ティング又は放電被覆処理
等を用いるので、種々の被膜が可能で、設備も簡単で、
処理温度も低く、エネルギー消費も少ない。特に、CV
Dのような特殊薬品を使用しないので取扱いが簡単であ
る。また、真空熱処理により酸化被膜の形成を阻止しよ
り強度の高い被膜を形成できる。
【0022】かかる方法によって構成された表面改質工
具は、被膜との密着性に優れ、また、被膜がない場合で
も表面が改質されており、耐摩耗性が高く、長寿命であ
る。さらに、条件を設定し被膜を形成するようにすれ
ば、より耐摩耗性が高く、長寿命の表面改質工具を提供
するものとなった。
【0023】さらに、加熱恒温処理時の分圧下の雰囲気
体を制御することにより、基材表面に傾斜組成を形成さ
せることができ、表面の被覆膜としてより硬質の膜を形
成させることができるという効果を奏するものとなっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の基材と本発明の第一実施例のX線回析プ
ロフィルを示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金鋼、ダイス鋼もしくは高速度鋼の基
    材表面に、融点が800℃以上の元素を被覆した後、処
    理中又は処理の一部において少なくとも窒素又は炭化水
    素雰囲気で加熱恒温処理し、さらに、焼入、焼戻しする
    ことを特徴とする表面改質方法。
  2. 【請求項2】 前記融点が800℃以上の元素は、周期
    律表のIVa、Va、VIa族の遷移金属又はBである
    ことを特徴とする請求項1記載の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱恒温処理前の被覆処理は真空蒸
    着、スパッタリング、イオンプレ−ティング又は放電被
    覆処理のいずれかを用いて行い、被覆処理後は真空熱処
    理にて行うことを特徴とする請求項1又は2記載の表面
    改質方法。
  4. 【請求項4】 合金鋼、ダイス鋼もしくは高速度鋼の基
    材表面に融点が800℃以上の元素を被覆した後、処理
    中又は処理の一部において少なくとも窒素又は炭化水素
    雰囲気で加熱恒温処理、焼入、焼戻し処理により、前記
    元素が基材内部に浸透されていることを特徴とする表面
    改質工具。
  5. 【請求項5】 前記加熱恒温処理、焼入、焼戻し処理に
    より、基材表面に窒化物、炭化物、窒炭化物、窒酸化
    物、炭酸化物又は窒炭酸化物が表面被覆層として形成さ
    れていることを特徴とする請求項4記載の表面改質工
    具。
JP9196364A 1997-07-08 1997-07-08 表面改質方法及び表面改質工具 Pending JPH1128622A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104294031A (zh) * 2014-10-14 2015-01-21 洛阳Lyc轴承有限公司 一种高温轴承钢套圈高压气淬工艺

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104294031A (zh) * 2014-10-14 2015-01-21 洛阳Lyc轴承有限公司 一种高温轴承钢套圈高压气淬工艺
CN104294031B (zh) * 2014-10-14 2016-05-18 洛阳Lyc轴承有限公司 一种高温轴承钢套圈高压气淬工艺

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