JPH0697882B2 - 振動式整畦機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、古いやせた畦を所定の畦形状に補整する振動
式整畦機に係るものである。

〔従来の技術〕

従来の整畦機としては、実公昭57−10483号のように畦
上に盛土し、この盛土をクランク機構により昇降する畦
叩き板で連打して叩き固める方式のものが公知である。

このタイプの整畦機は盛土を叩き固めることは確実で現
在実用機としてもっとも多用されているが、畦叩き板を
強力に畦面に叩きつける為振動や騒音が大きい欠点があ
る。

また、同じタイプの連打式の整畦機であるが、実開昭60
−57905号のように、油圧を利用して畦叩き板を昇降せ
しめる整畦機も公知である。この油圧タイプは叩くスピ
ードは速いが、油圧機構を使用するため高価になり、油
洩れなどの欠点がある。

また、特開昭60−98903号のように前処理として畦面を
削土する整畦機も公知であるが、この整畦機は前記した
叩き固め方式のもので、畦上面のみを削除する構成を採
用し、畦斜面は削取しないから畦斜面の雑草は除去でき
ない。盛土のためのローターが畦際を削土しても雑草付
の削土が畦上面に盛り上げられるため振動式整畦機にお
いては良好に締め固めることができない。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明は、これらの欠点を解決するために、前記した連
打方式を採用せず、起振動装置を用いて振動板に畦角部
の斜め上方より機体荷重をかけて弾圧し乍らバイブレー
ションを与え、前処理により畦上面の雑草も畦斜面の雑
草も除去して新しい土面を露出せしめ、この露出土面上
の盛土をバイブレーションによって押し固め盛土の土粒
子間の空隙を埋めることにより確固に盛土を締め固める
本発明の振動式整畦機を開発したものである。

〔課題を解決するための手段〕

添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。

機枠３の前側の畦ａ側に畦ａ上面の角部寄りと畦ａ斜面
の上部寄りとを削土する畦削り装置Ａを設け、機枠３の
後方の畦ａ側に所望の整畦断面に合致する の振動板Ｃを設け、この振動板Ｃ上に起振動装置Ｄを設
け、この起振動装置Ｄの振動体34に機枠３側から動力を
分取して伝達するフレキシブルシャフト４を配設し、振
動板Ｃを畦角部の斜め上方より畦角部の内角二等分線Ｙ
−Ｙ方向に、機体荷重をかけて押圧する弾圧装置Ｊを機
枠３に突設し支持装置Ｋに設け、振動板Ｃの前側にして
畦ａ際寄りに盛土装置Ｂを設け、機枠３の後方中程に接
地支承部Ｆを垂設したことを特徴とする振動式整畦機に
係るものである。

〔作用〕

機枠３の前方一側に設けた畦削り装置Ａにより畦上面の
角部寄りと畦斜面の上部寄りとを削土して雑草を除去し
て土面を露出せしめ、盛土装置Ｂにより盛り上げた盛土
とのなじみを良くする。

盛土装置Ｂにより畦際の泥土を掘り起こして畦上に盛土
し、畦上面と畦斜面に当接した の振動板Ｃに起振動装置Ｄによりバイブレーションを与
え、支持装置Ｋと起振動装置Ｄとの間に設けた弾圧装置
Ｊにより機体の荷重を振動板Ｃにかけ畦角部の斜め上方
から畦角部の内角二等分線Ｙ−Ｙ方向に弾圧押圧し乍ら
バイブレーション作用により畦ａ上の盛土の土粒子間の
間隙を埋め、所定の畦ａ形状に締め固める。

この動力はフレキシブルシャフト４により機枠３側の駆
動動力を適所より分取して振動体34を作動させて振動板
Ｃに振動を付加する。

この際、機枠３の後方中程に垂設した接地支承部Ｆで機
枠３を支持し、沈下防止と直進を確保する。

〔実施例〕

図示した振動式整畦機は好適な実施の一例を示したもの
で、機枠３の前側の畦側に畦上面の角部寄りと畦斜面の
上部寄りとを削土する畦削り装置Ａを設け、機枠３の後
方の畦側に所望の整畦断面に合致する の振動板Ｃを設け、この振動板Ｃ上に起振動装置Ｄを設
け、この起振動装置Ｄの振動体34に機枠３側から動力を
分取して伝達するフレキシブルシャフト４を配設し、振
動板Ｃを畦角部の斜め上方より畦角部の内角二等分線Ｙ
−Ｙ方向に、機体荷重をかけて押圧する弾圧装置Ｊを機
枠３に突設し支持装置Ｋに設け、振動板Ｃの前側にして
畦際寄りに盛土装置Ｂを設け、機枠３の後方中程に接地
支承部Ｆを垂設したものであるが、更に各部の構造を詳
述する。

畦削り装置Ａについて説明する。

畦頂面中央線上に位置するように頂面回転軸５を機枠３
の前側に配し、この頂面回転軸５に畦頂面に届く長さの
粘り強い材質の線材、例えば頂面削取用ピアノ線７を突
設し、このピアノ線７の回転によりピアノ線７の先端で
畦頂面から畦角部にかけて湾曲凹面状に削取するように
した場合を図示している。

頂面回転軸５の少し内側側方に斜面回転軸８を設け、こ
の斜面回転軸８も同様な斜面削取用ピアノ線９を突設
し、畦斜面の畦角部寄りを湾曲凹面状に削取する。

ピアノ線７・９の先端は回転方向に向けて折曲した方が
望ましい。

また、回転軸５・８に回転筒10・11を付設し、回転筒10
・11から数本のピアノ線７・９を突設するようにしても
良い。要は畦頂面と畦斜面とを湾曲凹面状に削取できる
ならば、その他の設計でも良い。畦削り装置Ａを覆うカ
バー体58をくさり59等で吊下しても良い。

盛土装置Ｂについて説明する。

畦削り装置Ａの後方内側に位置するように、ローター軸
13を機枠３の中程前後方向に架設し、このローター軸13
の前側に田んぼの泥土表面に届く長さの砕土刀14を放射
状に突設し、この砕土刀14の回転により砕土刀14の先端
で田んぼの泥土を確実に砕細し、砕土刀14の後方に先端
を前側に湾曲せしめた盛土刀15を放射状に突設し、この
盛土刀15の回転により砕土を確実に掻き上げ、畦上面と
畦斜面に形成されている湾曲凹部６・６′に確実に盛土
するようにした場合を示している。砕土刀14,盛土刀15
は、ローター軸13に取付盤16・17を介して設けても直接
付設しても良いが、その形状は盛土を良好にする為に色
々と設計する。

この盛土を良好にする為には砕土刀14と盛土刀15により
掻き上げられた泥土を畦ａ上に落下せしめるカバー装置
Ｈを設ける。

カバー装置Ｈについて説明する。

振動板Ｃの前側には立上がり壁12を立設して土の掻き込
みを良好にしているが、この立上がり壁12の上側縁（図
中左側）に畦ａ方向前方に側方遮閉板18を一体に延長突
設する。この側方遮閉板18は別体にして機枠３より垂設
した支持腕などにより支持せしめても良い。図面は、こ
の側方遮閉板18の上方に土戻し板30を立設した場合を図
示している。

また、機枠３の畦ａ上前後方向に架設した主腕19より畦
ａ上方を隠蔽するカバー板35を水平方向に且つ調節金具
35′により角度傾斜調節自在に突設し、このカバー板35
の先端に可撓カバー35″を垂設し、土戻し板30との間を
閉塞した場合を図示している。

振動板Ｃ並びに起振動装置Ｄについて説明する。

畦削り装置Ａの中心部後方にして盛土装置Ｂの後方外側
に所望の整畦ａ断面に合致する の振動板Ｃを機枠３の後方側部に設け、この振動板Ｃ上
に振動体34を設けた起振動装置Ｄを付設する。

支持装置Ｋについて説明する。

機枠３の一側にして畦削り装置Ａの略中心部後方に主腕
19を前後方向に架設し、この主腕19の後端部に状の支
持板20を下向きに付設し、この支持板20に取付角筒21を
スライド自在に設け、この取付角筒21の下端に起振動装
置Ｄを付設し、この起振動装置Ｄを介して振動板Ｃを取
付角筒21の下部に連設した場合を図示している。図面の
取付角筒21のスライド構造を詳述すると、主腕19の後端
部に上方より貫挿した締付ボルト23に締付ナット22を螺
着し、この締付ナット22の廻動により昇降せしめる締付
ボルト23の下端に、支持板20の下面に位置せしめたナッ
ト体を固定し、ナット体の上面に突設したガイドピン25
を支持板20に穿設したガイド孔26に嵌挿せしめる。取付
角筒21内に設けたハンドル27により回動する螺杆28を前
記ナット体に螺着し、ハンドル27の回動により取付角筒
21を昇降せしめる。図面の取付角筒21は、角筒ではな
く、チャンネル型に形成した場合を図示しているが、支
持板20と対向する面には、ガイドピン25に係合するガイ
ド長窓29が長さ方向に開設されている。取付角筒21を固
定する為には、締付ナット22を回し、締付ボルト23を引
き上げることにより、ナット体を取付角筒21壁を介して
支持板20の下面に圧着して締付固定する。

また、起振動装置Ｄ並びに弾圧装置Ｊについて詳述す
る。

取付角筒21の下部に上面板31を付設し、この上面板31の
周囲に取付ボルト32（図面は四本採用した場合を図示し
ている。）を垂下し、この取付ボルト32にコイルバネ33
の上部を付設し、このコイルバネ33の下端に振動体34を
吊下する。

振動体34内には常法の通り振動を起生する構造が内備さ
れるが、例えば半円体状の分銅板が回転せしめられ、こ
の回転によりコイルバネ33が伸縮並びに振れ動して振動
体34が振動する。

動力伝達機構Ｅについて説明する。

走行車37（トラクター）の動力取出軸38より自在継手39
を介して機枠３の図中右側前後方向の架設した主軸40を
駆動し、主軸40と並設した第１回転軸41をチェーン駆動
する。図中符号42・43はスプロケットギヤー、44はチェ
ーンである。第１回転軸41に第２回転軸45を並設し、第
２回転軸45のスプロケットギヤー46を前記チェーン44の
下方移送部に当接して第２回転軸45を主軸40と反対回転
せしめる。主軸40には、過大な負荷がかかった際、走行
車37からの動力伝達を切るトルクリミッター47を設けた
方が望ましい。第２回転軸45の一端に設けたプーリー48
と，畦削り装置Ａの駆動軸49に設けたプーリー50とにＶ
ベルト51を懸環して駆動軸49に動力を分取する。駆動軸
49よりチェーン駆動により頂面回転軸５と斜面回転軸８
を回転せしめる。図中符号52・53・54はスプロケットギ
ヤー、55はガイドスプロケットギヤー、56はチェーンで
ある。第２回転軸45の他端よりクラッチ機構を内装した
クラッチ部57を介して可撓パイプを被覆したフレキシブ
ルシャフト４を延長し、先端を起振動装置Ｄの振動体34
内に設けた回転軸60に動力を分取する。第１回転軸41に
伝達された動力は、ローター軸13へチェーン駆動により
伝達される。図中符号61・62はスプロケットギヤー、63
はチェーンである。各軸の回転数の選定や伝達方法など
は、適宜最良な状態に設計する。

接地支承部Ｆについて説明する。

機枠３の後部中程に支承筒64を縦設し、支承筒64の頂部
を雌螺子部65に形成し、この雌螺子部65にハンドル66を
付した螺杆67を螺着し、螺杆67の下部に設けたスライド
板68を支承筒64内にスライド自在に設け、コイルバネ69
を介して支承筒64内に昇降体70を嵌着し、ハンドル66の
回動により昇降体70を弾圧状態で昇降せしめる。この昇
降体70の下端に設けた軸受71をはさんで、一側に直進さ
せる土切円盤72を支軸72′に対して回転自在に、他側に
泥土に没入することを防止する接地ソリ板73を支軸73′
に対して前後揺動自在に設ける。

バランスウェート調整装置Ｇを説明する。

機枠３の後側部図中右側に角パイプ74を桟巾方向に設
け、この角パイプ74にウェート杆75を引き出し収納自在
に設け、このウェート杆75に固定螺子76付のウェート77
を左右スライド自在に付設する。

図面の支持装置Ｉは、左右の連結板78・79,上方の連結
アーム80の三点支持により走行車37の後部に本機を連結
し、走行車37側の左右の昇降アーム81・82を油圧などに
よって擺動することにより、連結杆24・36を介して左右
の連結板78・79を引き上げ、本機を昇降せしめるように
した場合を図示している。

〔発明の効果〕

本発明は上述のように、機枠前面に畦上面の角部寄りと
畦斜面の土部寄りとを削り取る畦削り装置を設けて盛土
するところの雑草を除去して新しい土面を露出せしめて
から盛土装置により畦上に盛土するから盛土が新しい土
面となじみ易くなり、この盛土を所望の整畦断面に合致
する の振動板により機体荷重をかけて弾圧装置により押圧
し、且つ振動板に設けた起振動装置により振動板に振動
を付加し、このバイブレーション作用と前記した機体荷
重を畦角部の斜め上方より畦角部の内角二等分線方向に
かけて連続的に盛土を締め固めて行くもので、在来のよ
うに盛土を叩き固めるのではなく、機体の荷重をかけ乍
らバイブレーションを加えることにより粒土間の空隙を
埋めて土質を緻密にして締め固めるものであるから極め
て堅牢な畦に成形し得ることになり、在来の連打式の整
畦機に比して振動も少なく、騒音も小さい上堅牢な畦を
体裁良く仕上げ得る振動式整畦機となる。

この際、振動板上の起振動装置に設けた振動体への動力
分取は機体側の動力伝達機構の適所からフレキシブルシ
ャフトを介して振動体を駆動せしめるから機枠外に振動
板が位置していても簡単に動力分取ができ、構成が簡易
でコスト安になり、機枠の後方中程に接地支承部を垂設
して機体が沈下することを防止すると共に直進を遂行せ
しめるから安定良く整畦作業を行い得る実用性秀れた振
動式整畦機となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図は本発明
品の使用状態を示す斜視図、第２図は畦削り装置の正面
図、第３図は背面図、第４図は平面図、第５図は接地支
承部の拡大断面図である。Ａ…畦削り装置、ａ…畦、Ｂ
…盛土装置、Ｃ…振動板、Ｄ…起振動装置、Ｆ…接地支
承部、Ｊ…弾圧装置、Ｋ…支持装置、３…機枠、４…フ
レキシブルシャフト、34…振動体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠の前側の畦側に畦上面の角部寄りと畦
   斜面の上部寄りとを削土する畦削り装置を設け、機枠の
   後方の畦側に所望の整畦断面に合致する の振動板を設け、この振動板上に起振動装置を設け、こ
   の起振動装置の振動体に機枠側から動力を分取して伝達
   するフレキシブルシャフトを配設し、振動板を畦角部の
   斜め上方より畦角部の内角二等分線方向に、機体荷重を
   かけて押圧する弾圧装置を機枠に突設し支持装置に設
   け、振動板の前側にして畦際寄りに盛土装置を設け、機
   枠の後方中程に接地支承部を垂設したことを特徴とする
   振動式整畦機。