JPH0547539Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、土の付着し易い箇所の部材に動物の
毛皮の被覆層を設けた整畦機に関する。

従来の技術 田圃には畦を作り、水を堰して蓄えたり、他人
の田圃との境界にしたり、あるいは農作業のため
の歩道にすることが行われている。

このような畦を作るために整畦機が開発され
た。この整畦機はロータで土を掘り起こして盛り
上げ、この盛り上げた土を畦叩き板で叩くもので
ある。この整畦機は、ロータを畦に平行に設けた
ものと、畦に直交するように設けたものと２通り
あるが、いずれもロータの上及び側部にカバーが
設けられ、このカバーの先端に土逸出防止板が設
けられ、ロータにより掘り起こされた土が周囲に
飛び散らずに、畦の所定の場所に盛られるように
工夫されている。特にロータを畦に平行に設けた
ものは、ロータで掘り起こされた土は持ち上げら
れてカバーとの間に保持されてから畦に落とされ
るので、このカバーが必須の構成部分となる。こ
のようにして盛られた土は畦叩き板で叩き固めら
れる。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、これらのカバー、畦叩き板が鉄
板で作られているときは、特に粘着質の土が付着
し易く、これらに土が付着すると土が効果的に畦
に盛られなかつたり、畦が十分に叩き締められな
いことになつて、畦の質及び作業性の点で問題に
なる。

これらのカバー、畦叩き板のうち後者について
は布、プラスチツク、ゴムをその内面に張つたも
のがすでに知られており、さらにこれを改善した
ものもすでに提案したが、カバー等についてはそ
の工夫がなされていない。

問題点を解決するための手段 本考案は、上記問題点を解決するために、機枠
に泥土を掘り起こして旧畦に盛り上げる土起こし
ロータと、該土起こしロータにより盛り上げられ
た泥土を叩き固める畦叩き板を有する整畦機にお
いて、上記土起こしロータの機枠側に土当て板を
設け、該土当て板に該土起こしロータの上方及び
畦上方を覆う覆い部を設け、該覆い部に土逸出防
止板を上下動自在に設け、当該土逸出防止板に畦
上面に接地する複数の車輪を設け、ピストンとシ
リンダからなる油圧ポンプとピストンとシリンダ
からなるピストン装置をそれぞれ上記機枠に設
け、上記油圧ポンプと上記ピストン装置を可撓性
管により連結し、上記畦叩き板を上記ピストン装
置により動作させ、上記土当て板、覆い部及び土
逸出防止板の上記土起こしロータに対面する内面
に毛ばだつている側を表側にした動物の毛皮の被
覆層を設けたことを特徴とする整畦機を提供する
ものである。

作 用 畦叩き板の畦叩き面及び土起こしロータと対面
する部材の内面に動物の毛皮の被覆層を設けたの
で、土が付着しない。

実施例 次に本考案の一実施例を第１図及び第２図に基
づいて説明する。

第１図中、Ｔはトラクタ、Ａは整畦機であつ
て、整畦機Ａは、その機枠が主機枠１とこれに後
述のピストン装置を取り付ける部材とからなり、
主機枠１がトラクタＴの後方上部に設けられた取
付枠ａにリンクｂ，ｃを介して取り付けられてい
るとともに、トラクタ後方下部両側に設けられた
回動自在のリンクｄ，ｅに回動自在に連結され、
さらにこの主機枠１の前方上部とトラクタ後方上
部中央が長さを調節自在にできる調整リンクｆで
連結され、これらにより調整リンクｆにより定め
られた角度に保持された整畦機Ａは図示省略した
油圧装置によつて回動する上記取付枠ａを介して
下方に回動でき、またこの油圧装置による取付枠
ａの上方への回動により元の位置に戻ることがで
きるようになつている。

上記整畦機Ａは、トラクタＴの動力取出軸ｇに
図示省略した自在継手を介して連結された動力伝
達軸に減速器が連結され、この減速器には伝動軸
が連結され、この伝動軸にロータＲが取り付けら
れ、これらにより上記動力伝達軸の回転力が上記
伝動軸に、上記減速器により減速かつ方向を変え
られ、さらにその回転方向がトラクタの進行方向
に対応する回転方向と逆方向に回転するように伝
達され、これによりロータＲの軸がトラクタの進
行方向とほぼ直角方向に向きかつその回転方向が
トラクタの進行方向に対する回転方向とは逆方向
に回転するようになつている。

このようにしてロータＲにより掘り起こされた
土は畦の方向に送り出されるが、ロータＲの基端
側には土当て板１ａが設けられ、さらにこの土当
て板１ａの上端にはロータＲの上側を覆うように
して水平面よりやや下方位置にロータカバー１ｂ
が主機枠１に対して回動自在に連結された腕片１
ｃ，１′ｃにより回動自在に設けられている。

このロータカバー１ｂの先端円弧部にはその前
後両端に断面コの字状の案内桟２，２′がその開
放側を相対して溶接等により取り付けられ、これ
ら一対の案内桟に土逸出防止板３が遊嵌されて上
下動自在に設けられ、この下端には畦の上面を走
行する車輪４ａ，４ｂ，４ｃが回転自在に軸支さ
れている。なお、土逸出防止板３には突起３ａ，
３ｂが設けられ、上記一対の案内桟２，２′の側
壁に設けられた案内孔２ａ，２′ａに係合されて
土逸出防止板３とともにこの案内孔を移動し、そ
の下端に当接して土逸出防止板３が下方に抜けな
いようになつている。

このようにロータＲに対面する周囲の構成部材
である土当て板１ａ、ロータカバー１ｂ、土逸出
防止板３のそれぞれの土に接触する側面には野牛
（バツフアロー）の毛皮が毛ばだつている方を表
側にして貼着されて被覆層Ｆが形成されている。

また、上記整畦機Ａには、図示省略したが上記
減速器にカム又はクランクを介してプランジヤー
ポンプが連結され、このプランジヤーポンプには
ゴム等からなる可撓性管５が連結され、これにピ
ストン装置６が連結されている。

このピストン装置３は、詳細は図示省略した
が、断面四角筒のスリーブ６′ａがシリンダにに
内挿されたピストンのピストンロツド６ａに固着
されて一体に進退し、かつシリンダの端部を拡大
して形成した上記スリーブ６′ａ内面を摺動させ
て案内しかつ廻り止めする四角の案内対とこのス
リーブの間にはスプリングが設けられ、油圧の作
用でスリーブ６′ａが下降したときは圧縮され、
油圧が解放されたときはこのスプリングの弾性力
によりスリーブ６′ａが持ち上げられるようにな
つている。

このピストン装置６のピストンロツド６ａには
整畦板としての畦叩き板７が設けられ、畦の上面
及び側面を同時に叩くことができるほぼへの字状
に形成されている。この畦叩き板７は畦の上面及
び側面に接触した状態で畦の芯部すなわち上面及
び側面の法線の交点に向かう方向に設けられた上
記ピストンロツド６ａに回動自在に取り付けられ
ている。そしてこの畦叩き板の叩き面には野牛の
ような毛皮７ａが貼着されている。

なお、上記ピストン装置６は上下移動装置８及
び横方向移動装置９によりその位置の調整がで
き、また、畦後方に対して回動自在で自動復帰可
能に設けられている。１０は尾輪である。

次に本実施例の作用を説明する。

まず、第１図に示すように、整畦機Ａをトラク
タＴに連結して田圃に入り、動力取出軸ｇを駆動
し、ロータＲ及び畦叩き板７を動作させる。

ロータＲの回動羽根が畦の一方側面及び田圃の
表層土に侵入できるように整畦機全体の高さを調
整するとともに、畦叩き板７の高さを畦の高さに
合わせる。

この状態で、トラクタＴを畦に平行に進行させ
ると、ロータＲの回転羽根は畦の一方側面を削る
とともに、田圃の表層土を掘り起こし、これらの
削つたり掘り起こした土を畦に盛り上げる。この
ようにして盛られた土は畦叩き板７により叩き固
められる。

この際、土当て板１ａ、ロータカバー１ｂ、土
逸出防止板３にはロータＲで掘り起こされた土が
接触するが、これらには毛皮の被覆層Ｆが設けら
れているので、土は付着することなく畦に盛られ
る。特に付着し易い粘着質の濡れ土が付着するこ
となく畦に盛られる効果は大きい。この毛皮の濡
れ土に対する作用について、毛ばだつている部分
は空気保持性が良いため、これに関連した作用に
よるものか、あるいは毛に油気があるためではな
いかとも考えられるが、詳細は明らかではない。

なお、上記のロータは例えば畦だけを掘り起こ
すものと田圃の土だけを掘り起こし畦に盛るよう
に複数にしたものでも良く、また、このロータは
畦に対して平行でも良く、さらにはロータでなく
鋤のようなものでも良い。

また、上記は整畦機をトラクタで牽引し、その
動力を利用して畦叩き板を動作させたが、整畦機
に原動機を搭載して自走式にし、その動力を利用
して畦叩き板を動作させても良いことは当然であ
る。

また、上記は野牛の毛皮を用いたが、他の動物
の毛皮も使用できる。

考案の効果 本考案によれば、土起こしロータが対面する部
材の内面に動物の毛皮の被覆層を設けたので、土
起こしロータで掘り起こされた土はこの部材内面
に付着することなく、畦に盛られ、所定の整畦作
業を良く行うことができる。特に、この整畦作業
を粘着質の濡れ土に対しても良く行うことがで
き、降雪地帯の春先の水気の多い田圃の整畦を良
く行うことができる効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の整畦機の一実施例の使用状態
の斜視図、第２図はその一部の拡大斜視図であ
る。 図中、Ａは整畦機、１は主機枠、Ｒはロータ、
１ａは土当て板、１ｂはロータカバー、３は土逸
出防止板、７ａ，Ｆは毛皮の被覆層である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機枠に泥土を掘り起こして旧畦に盛り上げる土
   起こしロータと、該土起こしロータにより盛り上
   げられた泥土を叩き固める畦叩き板を有する整畦
   機において、上記土起こしロータの機枠側に土当
   て板を設け、該土当て板に該土起こしロータの上
   方及び畦上方を覆う覆い部を設け、該覆い部に土
   逸出防止板を上下動自在に設け、当該土逸出防止
   板に畦上面に接地する複数の車輪を設け、ピスト
   ンとシリンダからなる油圧ポンプとピストンとシ
   リンダからなるピストン装置をそれぞれ上記機枠
   に設け、上記油圧ポンプと上記ピストン装置を可
   撓性管により連結し、上記畦叩き板を上記ピスト
   ン装置により動作させ、上記土当て板、覆い部及
   び土逸出防止板の上記土起こしロータに対面する
   内面に毛ばだつている側を表側にした動物の毛皮
   の被覆層を設けたことを特徴とする整畦機。