JPH0621284Y2 - 整畦機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、整畦機に係り、特に泥土を堀り起こして盛り
上げこの盛り上げた土を固める整畦機において、土の堀
り起こしを畦の強度が損なわれないように行なえるよう
にしたものに関する。

従来の技術 田圃には畦を作り、水を堰して蓄えたり、他人の田圃と
の境界にしたり、あるいは農作業のための歩道にするこ
が行なわれている。このような畦は漏水しないこと、人
が歩いても崩れないこと及び高さや幅が変化せず安定し
ていること等が良いものとされている。

このような畦を作るためには、従来、耕耘機で畦際に練
り土を作っておき、つぎにこれまでの畦表面の風化した
土や草を鍬で取り除き、そしてその跡に練り土を載せて
鍬で叩く方法も行なわれている。この方法は練り土が配
向構造となっているため乾くとしっかり固まり最も良い
方法であるが、一度に厚く盛ると乾いたときに大きくひ
び割れを起こして漏水の原因になるため３cm位しか盛れ
ずその調整を行いつつ作業を進めなければならないなど
手間がかかり、農作業の省力化には問題があった。そこ
で上記の練り土を鍬で盛る方法を機械化した整畦機が開
発されたが、これは土と泥を練り上げるものであるの
で、田圃に水が多い時機にしか用いられず、この時機は
例えば春先の短い期間しかないので使用期間が制限され
るという欠点があり、これを改善しようとしてポンプで
水を補給するようにしたものも開発されたが労力がかか
る上に機械の操作も煩わしいものであった。

つぎにこれらの欠点を改善して春秋を通じて使用できる
整畦機が開発された。これはロータで土を堀り起こして
盛り上げこの盛り上げた土を叩き板で叩くものである。
しかしながら、この整畦機は、そのロータの軸がトラク
タの進行方向に設けられ、その回転羽根がトラクタの進
行方向と直角方向に回転して田圃の土と畦の側部及び上
部の一部を堀り起こし、これらの土をロータの上に空洞
を設けて覆った案内溝に沿って持ち上げ、その上端部か
ら上記の削り取られた畦に落下させてその土を叩き板で
叩き固めるものであるので、第４図（イ）に示すように
田圃の土と畦の側面及び上面の一部がロータＲで堀り起
こされた後第４図の（ロ）に示すような新たに作られる
畦は、旧畦の基端部を堀り起こしたものを基礎にするこ
とになって、畦の強度を支える頑丈な地盤の重要な部分
が掘られる結果、この掘られたものに盛り土をして叩き
板で叩くときにその衝撃に耐えることが出来ず、畦を崩
してしまうことがあった。また、この叩き圧に耐えたと
しても、人がそのできあがった畦の上を歩くときにその
重みに耐えず、畦を壊すとうことが起こることもあっ
た。このようなことは、上記した畦の機能を損なうもの
である。

考案が解決しようとする問題点 以上説明したように、従来の整畦機のロータは土を堀り
起こすときに、旧畦の基端部まで堀り起こすため、畦の
強度を減少させるという問題点があり、その改善が望ま
れていた。

問題点を解決するための手段 本考案は、機枠に泥土を堀り起こして旧畦に盛り上げる
ロータと、該ロータにより盛り上げられた泥土を固める
畦固め体を有する整畦機において、上記ロータは旧畦の
基端部を除く畦側の田圃の泥土を堀り起こし旧畦に盛り
上げる田圃土用ロータと、旧畦の基端部を除く先端部の
泥土を堀り起こし旧畦に盛り上げる畦用ロータとを有
し、畦用ロータが泥土を堀り起こす畦側の先端は田圃土
用ロータが泥土を堀り起こす畦側の先端より畦側に突出
していることを特徴とする整畦機を提供するものであ
る。

作用 旧畦の基端部を残すようにして土を堀り起こすようにし
たので、新畦は元の頑丈な地盤により支えられる。

実施例 次に本考案の一実施例を第１図ないし第３図に基づいて
説明する。

第１図中、Ｔはトラクラタ、Ａは整畦機であって、整畦
機Ａは、その機枠１がトラクタＴの後方上部に設けられ
た取付枠ａにリンクｂ、ｃを介して取り付けられている
とともに、トラクタ後方下部両側に設けられた回動自在
のリンクｄ、ｅに回動自在に連結され、さらにこの機枠
１の前方上部とトラクタ後方上部中央が長さを調整自在
にできる調整リンクｆで連結され、これらにより調整リ
ンクｆにより定められた角度に保持された整畦機Ａは図
示省略した油圧装置によって回動する上記取付枠ａを介
して下方に回動でき、またこの油圧装置による取付枠ａ
の上方の回動により元の位置に戻ることができるように
なっている。

上記整畦機Ａは、トラクタの動力取出軸ｇに図示省略し
た自在継手を介して連結された動力伝達軸に減速器２が
連結され、この減速器には上記動力取出軸ｇに対して水
平面上直角の方向よりトラクタの進行方向に対して後方
に７度傾斜し、かつ上記動力取出軸ｇに対して垂直方向
下方に２０度傾斜した伝動軸３が連結され、この伝動軸
に田圃土用ロータ４が取り付けられ、これにより上記動
力伝達軸の回転力が上記伝動軸に上記減速器により減速
かつ方向を変えられ、さらにその回転方向がトラクタの
進行方向に対応する回転方向と逆方向に回転するように
伝達されて田圃土用ロータ４の軸がトラクタの進行方向
とほぼ直角方向に向きかつその回転方向がトラクタの進
行方向に対する回転方向とは逆方向に回転するようにな
っている。

上記田圃土用ロータ４には整畦時に田圃の土を堀り起こ
して順次先端に送り出せるように、その先端包絡面が截
頭円錐状を形成するように回転羽根４ａ、４ａ・・が螺
旋状に取り付けられている。この田圃土用ロータ４の先
端の上方前寄りに位置して畦用ロータ５が設けられてい
る。この畦用ロータは固定軸5aが上記田圃土用ロータ４
の基端側の機枠に設けられた土当て板に突設され、この
軸に回転自在の筒体5bが嵌合され、この筒体に整畦時に
畦の基端部を除く側面部の上部と畦の上面部の手前側一
部を堀り起こすことができるように回転羽根5c、5c・・
が設けられたもので、上記筒体5bがベルト、チェーンの
如き伝動体６により上記田圃土用ロータ４と連結されて
動力を伝達され、上記回転羽根が回転できるようになっ
ている。

なお、１′は上記ロータの上部及び両側を覆う覆い板、
１′ａは畦の上面を走行する車輪を有する上下動板であ
る。

また、上記整畦機Ａには、第２図に示すように上記減速
器２にクランク機構6aを介して水鉄砲の如きプランジャ
ーポンプ７が連結され、このプランジャーポンプには油
圧調整装置7aを介してゴム等からなる可撓性管８が連結
されてこれにピストン装置９が連結されている。

このピストン装置９は、その詳細は図示省略したがスリ
ーブ9aがシリンダーに挿入されたピストンのピストンロ
ッド9bとともに進退可能に設けられ、かつこのスリーブ
とシリンダーとの間にはスプリングが設けられ、これに
より油圧の作用でピストンロッドとともに押し下げられ
たスリーブ9aによりスプリングは圧縮されるが、その油
圧の解放によりその弾性力が作用してスリーブ9aが押し
上げられるようになっている。このピストン装置９は第
１図及び第２図に示すように、支持枠10に前後方向回動
自在に支持され、かつ畦叩き板復帰機構11によりその回
動範囲が制限されてその元の位置に復帰できるようにな
っている。

上記ピストンロッド9bには畦叩き板12（畦固め体）が取
り付けられている。すなわちこの畦叩き板12は畦の芯部
に向かって進退できるように位置決めされて上記ピスト
ンロッドに回動自在になるように軸支されている。

このようにして畦叩き板12はピストン装置９とともに畦
の後方に回動され、自らは進退自在及び回動自在に形成
されているが、整畦時に畦の高さに合わせるには、支持
枠10に取り付けられれたスライダ13を固定軸14、14′に
沿ってねじ杆15により上下動することにより行う。これ
らのスライダ等の上下動機構部は取付板16に取り付けら
れ、この取付板は水平位置調整板17に取り付けられてい
る。なお、18は田圃土用ロータ４が堀り起こした窪地の
壁面に沿って走行する尾輪である。

次に本実施例の作用を説明する。

まず第１図に示すように整畦機ＡをトラクタＴに取り付
けて田圃に入り、動力取出軸ｇを駆動し田圃土用ロータ
４及び畦用ロータ５を動作させるとともに、畦叩き板12
を動作させる。そして田圃土用ロータ４の回転羽根が田
圃の表層土に侵入できるように整畦機全体の高さを調整
する。

この状態でトラクタＴを畦に平行に進行させると、第３
図（イ）に示すように田圃土用ロータ４の回転羽根４ａ
は田圃の表層土を堀り起こし、畦用ロータ５の回転羽根
５ａは畦の側面上部及び上面の手前側を堀り起こす。そ
してこれらの堀り起こされた土は先端側に送り出されて
畦に盛られ、あるいはその位置で後方に盛り上げられ
る。このようにして盛られた土は反復振動する畦叩き板
12により叩き固められて、第３図（ロ）に示すように新
たな畦ができあがる。

この際、第３図（イ）、（ロ）に示すように旧畦の田圃
の地盤と接する基端部はそのまま残されて土が盛られる
ので、盛られた土が叩かれるときもその衝撃に畦は耐え
ることができるのみならず、できあがった畦の上を人が
歩いても損傷する等の事故を少なくできる。

上記は畦用ロータ５は堀り起こす前の田圃の地盤から上
の畦の先端を堀り起こしたが、畦のさらに先端のみを堀
り起こすようにしても良い。

また、上記畦用ロータ５は田圃土用ロータ４の後方に位
置させることもでき、これを田圃土用ロータと同方向、
逆方向のいずれの観点でも使用できる。

また、上記はロータは畦に対して直角であったが、畦に
平行でも良い。

また、上記整畦機に原動機を搭載して自走式にし、その
動力を利用して上記と同様に畦叩き板を動作させても良
いことは当然である。

考案の効果 以上説明したように、本考案によれば、土起こし体を田
圃土用ロータと、畦用ロータにより構成し、これらを旧
畦の基端部が残るように設けたので、畦の強度は旧畦の
頑丈な部分で支えることができ、整畦時の畦叩き圧の衝
撃にも耐えることができるとともに、人の歩行にも耐
え、畦の必要条件をよりよく充足できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の整畦機の使用状態の斜視図、
第２図はその一部を切欠した背面図、第３図はこの実施
例の作用説明図、第４図は本考案の出願前の整畦機を用
いた場合の第３図に相当する説明図である。 図中、Ａは整畦機、１は機枠、４は田圃土用ロータ、５
は畦用ロータ、12は畦叩き板である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠に泥土を堀り起こして旧畦に盛り上げ
   るロータと、該ロータにより盛り上げられた泥土を固め
   る畦固め体を有する整畦機において、上記ロータは旧畦
   の基端部を除く畦側の田圃の泥土を堀り起こし旧畦に盛
   り上げる田圃土用ロータと、旧畦の基端部を除く先端部
   の泥土を堀り起こし旧畦に盛り上げる畦用ロータとを有
   し、該畦用ロータが泥土を堀り起こす畦側の先端は該田
   圃土用ロータが泥土を堀り起こす畦側の先端より畦側に
   突出していることを特徴とする整畦機。