JPH073Y2 - 振動式整畦機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、古いやせた畦を所定の畦形状に補整する振動
式整畦機に係るものである。

〔従来の技術〕

従来の整畦機としては、実公昭57−10483号のように畦
上に盛土し、この盛土をクランク機構により昇降する畦
叩き板で連打して叩き固める方式のものが公知である。

このタイプの整畦機は盛土を叩き固めることが確実に行
なわれるので現在実用機としてもっとも多用されている
が、反面畦叩き板を強力に畦面に叩きつける為振動や騒
音が大きい欠点がある。

また、同じタイプの連打式の整畦機であるが、実開昭60
−57905号のように、油圧を利用して畦叩き板を昇降せ
しめる整畦機も公知である。この油圧タイプは叩くスピ
ードは速いが、油圧機構を使用するため高価になり、油
洩れなどの欠点がある。

また、これらの欠点を解決するためのバイブレーション
作用により盛土を押し締め固める振動式整畦機も提案さ
れたがまだ実用し得る性能のものが開発されていない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

出願人は、これらの欠点を解決するために、前記した連
打方式を採用せず、起振動装置を用いて振動板にバイブ
レーションを与え、このバイブレーションによって盛土
の土粒子間の空隙を埋めることにより盛土を押し締め固
める実用に供し得る振動式整畦機を提案するものであ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、これらの欠点を解決したもので、添付図面を
参照にしてその構成を詳述すると次の通りである。

機枠３の前側に盛土装置Ｂを設け、この盛土装置Ｂの後
方に所望の整畦断面に合致する縦断面 状の振動板Ｃを機枠３の後方畦側部に垂設し、この振動
板Ｃ上に起振動装置Ｄを設け、この起振動装置Ｄに機枠
側の適所より動力を分取したフレキシブルシャフト４を
配設し、この起振動装置Ｄ付振動板Ｃを機枠３に設けた
取付板31に畦角部に向けて斜め上方より二等分線方向に
弾圧力が加わる弾圧状態に付設し、振動板Ｃの前縁に上
向きな屈曲壁12を連設し、盛土装置Ｂのロータ24により
はね上げられた泥土を畦上に落下せしめるカバー板35を
畦上方を隠蔽する状態に機枠３に突設したことを特徴と
する振動式整畦機に係るものである。

〔作用〕

盛土装置Ｂのロータ24によりはね上げられた泥土をカバ
ー板35により畦ａ上に盛土する。

そして、機枠３の後方側部に設けた振動板Ｃ上に設けた
起振動装置Ｄにフレキシブルシャフト４により機体側か
ら動力を分取して振動板Ｃにバイブレーションを与え、
同時に機体の荷重を機枠３に設けた取付板31と弾圧機構
33を介して畦角部に向けて斜め上方より二等分線方向に
弾圧力が加わるように振動板Ｃを弾圧状態に設けて加圧
し乍らバイブレーション作用を付加することにより盛土
の土粒子間の間隙を埋め、盛土を強く押し締め固めて所
定の畦ａ形状に整畦する。

〔実施例〕

図示した振動式整畦機は、好適な実施例を示すもので、
畦上面を湾曲凹面状に削取するカッター１と、畦斜面を
斜面に添わせて湾曲凹面状に削取するカッター２とを兼
備した畦削り装置Ａを前進方向に対する機枠３前部に設
け、畦削り装置Ａの後方内側に砕土を畦ａ上に盛土する
盛土装置Ｂを機枠３中程に設け、この盛土装置Ｂの後方
外側に所望の整畦ａ断面に合致する縦断面 状の外側と前後側とを開放状態にした振動板Ｃを機枠３
の後方側部に設け、この振動板Ｃ上に起振動装置Ｄを設
け、この起振動装置Ｄに機体側の適所より動力を分取し
たフレキシブルシャフト４を配設し、起振動装置Ｄ付振
動板Ｃを機枠３に設けた取付板31に弾圧状態に付設し、
振動板Ｃの前縁に上向きな屈曲壁12を連設し、盛土装置
Ｂのロータ24によりはね上げられた泥土を畦上に落下せ
しめるカバー板35を畦上方を隠蔽する状態に機枠３に突
設したものであるが、更に各部の構造を詳述する。

畦削り装置Ａについて説明する。

畦頂面中央線上に位置するように頂面回転軸５を機枠３
の前側左端に配し、この頂面回転軸５に畦頂面に届く長
さの粘り強い材質の線材、例えば頂面削取用ピアノ線７
を突設し、このピアノ線７の回転によりピアノ線７の先
端で畦頂面を湾曲凹面状に削取するようにした場合を図
示している。頂面回転軸５の少し内側側方に斜面回転軸
８を設け、この斜面回転軸８も同様な斜面削取用ピアノ
線９を突設する。

ピアノ線７・９の先端は回転方向に向けて折曲した方が
望ましい。

また、回転軸５・８に回転筒10・11を付設し、回転筒10
・11から数本のピアノ線７・９を突設するようにしても
良い。

要は畦頂面と畦斜面とを湾曲凹面状に削取できるなら
ば、その他の設計でも良い。

畦削り装置Ａを覆うカバー体58をくさり59等で吊下して
も良い。

盛土装置Ｂについて説明する。

畦削り装置Ａの後方内側に位置するように、ローター軸
13を機枠３の中程前後方向に架設し、このローター軸13
の前側に田んぼの泥土表面に届く長さの砕土刀14を放射
状に突設し、この砕土刀14の回転により砕土刀14の先端
で田んぼの泥土を確実に砕細し、砕土刀14の後方に先端
を前側に湾曲せしめた盛土刀15を放射状に突設し、この
盛土刀15の回転により砕土を確実に掻き上げ、畦上面と
畦斜面に形成されている湾曲凹部６・６′に確実に盛土
するようにした場合を示している。

砕土刀14,盛土刀15は、ローター軸13に取付盤16・17を
介して設けても直接付設しても良いが、その形状は盛土
を良好にする為に色々と設計する。この盛土を良好にす
る為には砕土刀14と盛土刀15により掻き上げられた泥土
を畦ａ上に落下せしめるカバー装置Ｈを設ける。

カバー装置Ｈについて説明する。

振動板Ｃの前側には屈曲壁12を立設して土の掻き込みを
良好にしているが、この屈曲壁12の上側縁（図中左側）
に畦ａ方向前方に側方遮閉板18を一体に延長突設する。

この側方遮閉板18は別体にして機枠３より垂設した支持
腕などにより支持せしめても良い。

図面は、この側方遮閉板18の上方に土戻し板30を立設し
た場合を図示している。

また、機枠３の畦ａ上前後方向に架設した主腕19より畦
ａ上方を隠蔽するカバー板35を水平方向に且つ調節金具
35′により角度傾斜調節自在に突設し、このカバー板35
の先端に可撓カバー35″を垂設し、土戻し板30との間を
閉塞した場合を図示している。畦削り装置Ａの中心部後
方にして盛土装置Ｂの後方外側に所望の整畦ａ断面に合
致する縦断面 状の振動板Ｃを機枠３の後方側部に設け、この振動板Ｃ
上に起振動装置Ｄを設ける。

機枠３の一側にして畦削り装置Ａの略中心部後方に主腕
19を前後方向に架設し、この主腕19の後端部に状の支
持板20を下向きに付設し、この支持板20に取付角筒21を
スライド自在に設け、この取付角筒21の下端に起振動装
置Ｄを付設し、この起振動装置Ｄを介して振動板Ｃを取
付角筒21の下部に連設した場合を図示している。

図面の取付角筒21のスライド構造を詳述する。主腕19の
後端部に上方より貫挿した締付ボルト23に締付ナット22
を螺着し、この締付ナット22の廻動により昇降せしめる
締付ボルト23の下端に、支持板20の下面に位置せしめた
ナット体を固定し、ナット体の上面に突設したガイドピ
ン25を支持板20に穿設したガイド孔26に嵌挿せしめる。

取付角筒21内に設けたハンドル27により回動する螺杆28
を前記ナット体に螺着し、ハンドル27の回動により取付
角筒21を昇降せしめる。

図面の取付角筒21は、角筒ではなく、チャンネル型に形
成した場合を図示しているが、支持板20と対向する面に
は、ガイドピン25に係合するガイド長窓29が長さ方向に
開設されている。

取付角筒21を固定する為には、締付ナット22を回し、締
付ボルト23を引き上げることにより、ナット体を取付角
筒21壁を介して支持板20の下面に圧着して締付固定す
る。

また、起振動装置Ｄについて詳述する。

取付角筒21の下部に取付板31を付設し、この取付板31の
周囲に取付ボルト32（図面は四本採用した場合を図示し
ている。）を垂下し、この取付ボルト32にコイルバネを
採用した弾圧機構33の上部を付設し、この弾圧機構33の
下端に起振体34を吊下する。

起振体34内には常法の通り振動を起生する構造が内備さ
れるが、例えば半円体状の分銅板を回転せしめ、この回
転により弾圧機構33が伸縮並びに振れ動して起振体34が
振動する。

動力伝達機構Ｅについて説明する。

走行車37（トラクター）の動力取出軸38より自在継手39
を介して機枠３の図中右側前後方向に架設した主軸40を
駆動し、主軸40と並設した第１回転軸41をチェーン駆動
する。

図中符号42・43はスプロケットギヤー、44はチェーンで
ある。

第１回転軸41に第２回転軸45を並設し、第２回転軸45の
スプロケットギヤー46を前記チェーン44の下方移送部に
当接して第２回転軸45を主軸40と反対回転せしめる。

主軸40には、過大な負荷がかかった際、走行車37からの
動力伝達を切るトルクリミッター47を設けた方が望まし
い。

第２回転軸45の一端に設けたプーリー48と，畦削り装置
Ａの駆動軸49に設けたプーリー50とにＶベルト51を懸環
して駆動軸49に動力を分取する。駆動軸49よりチェーン
駆動により頂面回転軸５と斜面回転軸８を回転せしめ
る。

図中符号52・53・54はスプロケットギヤー、55はガイド
スプロケットギヤー、56はチェーンである。

第２回転軸45の他端よりクラッチ機構を内装したクラッ
チ部57を介して可撓パイプを被覆したフレキシブルシャ
フト４を延長し、先端を起振動装置Ｄの起振体34内に設
けた回転軸60に動力を分取する。

第１回転軸41に伝達された動力は、ローター軸13へチェ
ーン駆動により伝達される。

図中符号61・62はスプロケットギヤー、63はチェーンで
ある。

各軸の回転数の選定や伝達方法などは、適宜設計変更す
れば良い。

接地支承部Ｆについて説明する。

機枠３の後部中程に支承筒64を縦設し、支承筒64の頂部
を雌螺子部65に形成し、この雌螺子部65にハンドル66を
付した螺杆を螺着し、螺杆の下部に設けたスライド板を
支承筒64内にスライド自在に設け、コイルバネを介して
支承筒64内に昇降体70を嵌着し、ハンドル60の回動によ
り昇降体70を弾圧状態で昇降せしめる。

この昇降体70の下端に設けた軸受をはさんで、 一側に直進させる土切り円盤72を回転自在に、他側に泥
土に没入することを防止するソリ板73を前後揺動自在に
設ける。

バランスウェート調整装置Ｇを説明する。

機枠３の後側部図中右側に角パイプ74を桟巾方向に設
け、この角パイプ74にウェート杆75を引き出し収納自在
に設け、このウェート杆75に固定螺子76付のウェート77
を左右スライド自在に付設する。

図面の支持装置Ｉは、左右の連結板78・79、上方の連結
アーム36の三点支持により走行車37の後部に本機を連結
し、走行車37側の左右の昇降アーム67・68を油圧などに
よって擺動することにより、連結杆69・71を介して左右
の連結板78・79を引き上げ、本機を昇降せしめるように
した場合を図示している。

〔考案の効果〕

本考案は上述のように、機枠の前側に盛土装置を設け、
この盛土装置の後方外側に所望の整畦断面に合致する縦
断面 状の外側と前後側とを開放状態にした振動板を機枠の後
方側部に設け、この振動板上に起振動装置を設け、この
起振動装置に機枠側の適所より動力を分取したフレキシ
ブルシャフトを配設し、この起振動装置付振動板を機枠
に設けた取付板に弾圧状態に付設し、振動板の前縁に上
向きな屈曲壁を連設し、盛土装置のロータによりはね上
げられた泥土を畦上に落下せしめるカバー板を畦上方を
隠蔽する状態に機枠突設したから盛土装置のロータによ
りはね上げられた泥土はカバー板により振動板の前縁に
設けた上向きな屈曲壁の前側に盛土され、振動板により
バイブレーションが付与される。

この際、機枠に設けた取付板に弾圧機構を介して起振動
装置付の振動板に機枠の荷重を畦角部に向けて斜め上方
より二等分線方向に弾圧力をかけ乍らバイブレーション
作用を付加するから過剰な盛土を振動板の開放端より押
し出し乍ら残りの盛土を強く押し締め固めるからくずれ
ない丈夫な畦に整形できる。

また、起振動装置への動力の分取はフレキシブルシャフ
トを介して行うから従来の叩き方式の整畦板のように激
しい叩き振動が機体側に伝わり機体を損傷することもな
く耐久的に使用される振動式整畦機となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は本案品
の斜視図、第２図は平面図、第３図は要部の拡大断面
図、第４図は畦削り装置の正面図である。 ａ…整畦、Ｂ…盛土装置、Ｃ…振動板、Ｄ…起振動装
置、３…機枠、４…フレキシブルシャフト、12…屈曲
壁、24…ロータ、31…取付板、35…カバー板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠の前側に盛土装置を設け、この盛土装
   置の後方に所望の整畦断面に合致する縦断面 状の振動板を機枠の後方畦側部に垂設し、この振動板上
   に起振動装置を設け、この起振動装置に機枠側の適所よ
   り動力を分取したフレキシブルシャフトを配設し、この
   起振動装置付振動板を機枠に設けた取付板に畦角部に向
   けて斜め上方より二等分線方向に弾圧力が加わる弾圧状
   態に付設し、振動板の前縁に上向きな屈曲壁を連設し、
   盛土装置のロータによりはね上げられた泥土を畦上に落
   下せしめるカバー板を畦上方を隠蔽する状態に機枠に突
   設したことを特徴とする振動式整畦機。