JPH069169B2 - 耐食性のすぐれたFe‐B‐R系樹脂結合型磁石 - Google Patents

耐食性のすぐれたFe‐B‐R系樹脂結合型磁石

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JPH069169B2
JPH069169B2 JP1253161A JP25316189A JPH069169B2 JP H069169 B2 JPH069169 B2 JP H069169B2 JP 1253161 A JP1253161 A JP 1253161A JP 25316189 A JP25316189 A JP 25316189A JP H069169 B2 JPH069169 B2 JP H069169B2
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宏樹 徳原
幸光 宮尾
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Description

【発明の詳細な説明】 利用産業分野 この発明は、高磁気特性を有しかつすぐれた耐食性、特
に70℃、相対湿度85%の雰囲気に長時間放置した場合の
耐食性にすぐれたFe-B-R系樹脂結合型磁石に係り、磁石
表面に貴金属層、卑金属の無電解めっき層、卑金属の電
解めっき層を積層して、すぐれた密着性を有し、耐食性
試験における初期磁石特性からの劣化が少なく、極めて
安定した磁石特性を有するFe-B-R系樹脂結合型磁石に関
する。
背景技術 近年、樹脂結合型磁石が、従来の焼結磁石では製造不可
能であつた複雑形状や薄肉形状磁石の製造が可能であ
り、インサートやアウトサート等の成型法により、他部
品との一体成形が可能であること、また、成型時の割
れ、欠けが焼結磁石に比較して少なく、寸法精度も良好
で製品歩留りがよく、さらに焼結磁石では方向性による
収縮率の違いにより製造が困難であつたラジアル異方化
が可能である等の利点により、生産量が増大している。
また、樹脂結合型磁石の組成も従来からのフェライト系
磁性粉末、希土類Co系樹性粉末に加え、最近、Fe-B-R系
磁性粉末を用いた樹脂結合型磁石が提案されている。
しかしながら、上記のFe-B-R系樹脂結合型磁石は主成分
として、空気中で酸化し次第に安定な酸化物を生成し易
いR(希土類元素)及びFeを含有するため、磁気回路に組
込んだ場合に、磁石表面に露出した磁性粉末に生成する
酸化物により、磁気回路の出力低下及び磁気回路間のば
らつきを惹起し、また、表面酸化物の脱落による周辺機
器への汚染の問題があつた。
そのため樹脂結合型磁石の耐食性を改善する方法とし
て、樹脂結合型磁石体表面に有機質合成樹脂を被覆する
方法(特開昭63-244709号)、あるいはR-B-Fe系磁性粉
末の粒子表面に無電解、電解めっきを行なう方法(特開
昭64-15301号、特開昭63-244703号)が提案されてい
る。
しかしながら、従来のR-B-Fe系樹脂結合型磁石表面に有
機質合成樹脂を被覆する方法においては、その防錆効果
は不十分であり、温度70℃、相対湿度85%の雰囲気条件
下で500時間以上放置した場合、腐食が発生する。
また、磁性粉末の粒子表面に無電解、電解めっきを行な
う方法においては、その防錆効果は向上するが、めっき
液中に希土類金属、鉄等が溶出し磁性粉末の磁気特性が
劣化するとともに、めっき本来の耐食性を生かすことが
不可能である。
また、樹脂結合型磁石に直接無電解めっき、あるいは電
解めっきを行なう場合は磁石中の磁性粉末が樹脂に覆わ
れているため、均質なめっき層を被着することは困難で
あつた。
発明の目的 この発明は、Fe-B-R系樹脂結合型磁石の耐食性の改善を
目的とし、特に温度70℃、相対湿度85%の雰囲気条件下
で長時間放置した場合の初期磁石特性からの劣化が極め
て少なく、安定した高磁石特性を有するFe-B-R系樹脂結
合型磁石の提供を目的とする。
発明の概要 この発明は、密着性にすぐれ、すぐれた耐食性、特に、
温度70℃、相対湿度85%の雰囲気条件下で長時間放置し
た場合においても、その磁石特性が安定したFe-B-R系樹
脂結合型磁石を目的に、永久磁石体の表面処理について
種々研究した結果、特定成分を有するFe-B-R系樹脂結合
型磁石体表面に、貴金属層を介して、無電解めっき法に
よる卑金属とさらにその上に電解めっき法による卑金属
からなる積層された金属層を被着することにより、すぐ
れた密着性と共にすぐれた耐食性と極めて安定した磁石
特性が得られることを知見し、この発明を完成したもの
である。
すなわち、この発明は、R(RはNd、Pr、Dy、Ho、Tbの
うち少なくとも1種あるいはさらに、La、Ce、Sm、Gd、
Er、Eu、Tm、Yb、Lu、Yのうち少なくとも1種からな
る)5.5原子〜30原子%、 B2原子%〜28原子%、 Fe60原子%〜86原子%を主成分とする磁性粉末と、 樹脂とからなる樹脂結合型磁石体表面に、 Pd、Ag、Pt及びAu等から選ばれた少なくとも1種の貴金
属層と、 Ni、Cu、Sn及びCo等から選ばれた少なくとも1種の卑金
属とからなる無電解めっき層と、 さらに、無電解めっき層の表面にNi、Cu、Sn、及びCo等
から選ばれた少なくとも1種の卑金属の電解めっき層か
らなる密着性のすぐれた金属被膜を有し、 温度70℃、相対湿度85%の条件下で1000時間放置したと
きの初期磁石特性からの劣化が5%以下であることを特徴
とする耐食性のすぐれたFe-B-R系樹脂結合型磁石であ
る。
発明の構成と効果 この発明は、 前記組成の樹脂結合型磁石体表面に、 Pd、Ag、Pt及びAu等から選ばれた少なくとも1種の貴金
属コロイドを吸着させるか、 または、Pd、Ag、Pt及びAu等から選ばれた少なくとも1
種の貴金属の薄膜を、公知の気相成膜法にて設けた後、 Ni、Cu、Sn及びCo等から選ばれた少なくとも1種の卑金
属を無電解めっき法により施し、 次いで、前記無電解めっき層上に、Ni、Cu、Sn及びCo等
から選ばれた少なくとも1種の卑金属を電解めっき法に
より施し、 すぐれた密着性を有し、温度70℃、相対湿度85%の条件
下で1000時間放置したときの初期磁石特性からの劣化が
5%以下である耐食性樹脂結合型磁石を得ることを特徴と
する。
さらに、詳述すれば、前記Fe-B-R系樹脂結合型磁石体表
面に、単に無電解めっき法によりNi、Cu、Su、及びCo等
から選ばれた卑金属の少なくとも1種からなる金属層を
被覆した場合は、磁石中の磁性粉末が樹脂に覆われてい
るため、均質なめっき層を被着することが困難であり、
温度70℃、相対湿度85%に100時間放置の耐食性試験条件
で、その磁石特性は劣化し不安定となる。
これに対して、前記樹脂結合型磁石体表面にPd、Ag、P
t、Au等から選ばれた少なくとも1種の貴金属コロイド
を吸着させるか、あるいは前記貴金属の薄膜を設けた、
Ni、Cu、Sn、及びCo等から選ばれた少なくとも1種の卑
金属の無電解めっき層、さらにその上にNi、Cu、Sn、及
びCo等から選ばれた少なくとも1種の卑金属の電解めっ
き層を順次積層したこの発明による場合には、無電解め
っき層の形成によつて、緻密性、密着性にすぐれた均質
な電解めっき層の形成が可能であり、湿気、ガス等の外
部環境の変化に対して、磁石をより完全に保護できるこ
とを知見した。
また、樹脂結合型磁石体表面に、卑金属の電解めっき層
を直接被覆した場合には、磁石中の磁性粉末が樹脂に覆
われているため、電流が均一に流れず、均質な電解めっ
き層の被着が不可能な上、樹脂結合型磁石体の表面から
磁性粉末がめっき液中に溶出し、磁石体内部からの腐食
が進むが、少なくとも1種の卑金属の無電解めっき層を
被覆し、次いで少なくとも1種の卑金属の電解めっき層
を被覆することにより、緻密性、密着性にすぐれた均質
な電解めっき層の被着が可能となり、かかるめっき液中
への溶出が防止され、磁石体内部からの腐食がなくなる
ことを知見した。
すなわち、樹脂結合型磁石体表面の貴金属層、電解めっ
き層、及び電解めっき層は、以下の効果を有する。
貴金属層 無電解めっき時のめっき層析出開始の促進及び析出開始
の均一化作用により、析出量の均一化を促す。
無電解めっき層(中間層) 電解めっき時に樹脂結合型磁石体に均一な電気が流れ、
均一な電解めっき層を被着させるための通電層であり、
かつ電解めっき液が侵入して、磁性粉末の腐食を極力抑
制する阻止層。
電解めっき層(最外層) コストの安い電解めっきの厚付けにより、緻密且つ、頑
固な保護膜を形成し、密着性のよい長期耐食性を確保す
る。
発明の好ましい実施態様 この発明において、樹脂結合型磁石体表面のPd、Ag、P
t、Au等から選ばれた少なくとも1種からなる貴金属層
は、非水系又は水系溶媒に分散しているコロイドが吸着
したものでも、真空蒸着法やイオンスパツター法、イオ
ンプレーテイング法等の公知の気相成膜法にて薄膜形成
したものでもよい。また、前記貴金属厚みは10Å〜100
Åが好ましい。
この発明において、樹脂結合型磁石体表面に貴金属コロ
イドを吸着させる方法は、Pd、Ag、Pt、Au等から選ばれ
た少なくとも1種からなる貴金属コロイドを非水液媒ま
たはpH6.0〜9.0の中性水液媒中に分散させ、液媒中に前
記樹脂結合型磁石体を浸漬する方法、あるいは金属コロ
イドが分散している液媒を樹脂結合型磁石体表面に塗布
する方法が好ましい。
この発明において、貴金属コロイドが分散している非水
液媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化
水素類、トリクロロトリフルオロエタン、クロロホル
ム、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸
エチル等が好ましい。
また、貴金属コロイドが分散している中性水液媒として
は、塩化パラジウム等の貴金属塩を水溶性分散剤の存在
下で、塩化すず、ヒドラジン等の水溶性還元剤で還元し
て得られる粒径20〜50Åの貴金属が均一に分散している
溶液を使用することができる。
水溶性分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム等の陰イオン性界面活性剤を使用することがで
きる。
中性水液媒のpHは6.0〜9.0が好ましく、pH6.0未満で
は、樹脂結合型磁石体表面に露出した磁性粉末が腐食さ
れ、pH9.0を越えると、貴金属が安定して分散した液媒
が得られない。
また、この発明において、Ni、Cu、Sn、及びCo等から選
ばれた少なくとも1種の卑金属層は、無電解めっき法に
て、10μm以下の厚みに被着されるのが好ましく、さら
に好ましくは2〜7μm厚みであり、無電解めっき法は
公知のいずれの方法であつても利用できる。
無電解めっき法によるNiまたはCoの被着の場合には、還
元剤として使用する次亜リン酸ナトリウム、ジメチルア
ミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム等に由来する14wt
%以下のPまたは7wt%以下のB、もしくは14wt%以下のP
および7wt%以下のBが不可避的に含有されるが、Cuまた
はSnの無電解めっき層には、使用する還元剤の関係で前
記PまたはBは含有しない。
無電解めっき液のpHは、6.0〜6.0〜9.5が好ましく、pH
6.0未満では樹脂結合型磁石体表面に露出した磁性粉末
が腐食され、pH9.5を越えると卑金属の析出が起らな
い。
無電解めっき層上に設ける卑金属層は、周知の電解めっ
き法による被着方法にて、5〜50μmの厚みに被着され
るが好ましく、更に好ましくは10〜25μmの厚みであ
る。
この発明によるFe-B-R系樹脂結合型磁石は異方性磁石及
び等方性磁石を包含するものである。すなわち、以下に
示す圧縮成型、射出成型、押し出し成型、圧延成型、樹
脂含浸法等、公知のいずれの製造方法であつてもよい。
圧縮成型の場合は、 等方性磁石 磁性粉末に熱硬化性樹脂、カツプリング
剤、滑剤等を添加混練した後、圧縮成型後加熱し、樹脂
を硬化して得られる。
異方性磁石 異方性磁性粉末に熱硬化性樹脂、カツプリ
ング剤、滑剤等を添加混練した後、磁界中で、圧縮成型
後加熱し、樹脂を硬化して得られる。
射出成型、押し出し成型、圧延成型の場合は、等方性磁
石、磁性粉末に熱可塑性樹脂、カツプリング剤、滑剤等
を添加混練した後、射出成型、押し出し成型、圧延成型
のいずれかの方法で成型して得られる。
異方性磁石 異方性磁性粉末に熱可塑性樹脂、カツプリ
ング剤、滑剤等を添加混練した後、磁界中で、射出成
型、押し出し成型、圧延成型のいずれかの方法で成型し
て得られる。ただし、押し出し成型、圧延成型の場合
は、磁性粉末の形状により、無磁界中でも異方化が可能
である。
樹脂含浸法においては、 磁性粉末を圧縮成型後、必要に応じて熱処理した後、熱
硬化性樹脂を含浸し、加熱して樹脂を硬化させて得る
(等方性磁石)、あるいは異方性磁性粉末を用い成型を
磁界中で行なう(異方性磁石) また、 磁性粉末を圧縮成型後、必要に応じて熱処理し
た後、熱可塑性樹脂を含浸して得る(等方性磁石)、あ
るいは異方性磁性粉末を用い成型を磁界中で行なう(異
方性磁石)。
この発明において、樹脂結合型磁石中の磁性粉末の充填
率は、前記製造方法により異なるが、70〜99.5wt%であ
り、残部0.5〜30wt%が樹脂その他である。圧縮成型法の
場合、磁性粉末の充填率は95〜99.5wt%、射出成型の場
合、90〜95wt%、樹脂含浸法の場合、96〜99.5wt%が好ま
しい。
また、磁性粉末の粒度、特性は特に限定しないが、平均
粒度は300μm以下が好ましく、さらには100μm以下が
好ましく、その保磁力は3KOe以上が好ましい。
この発明によるFe-B-R系樹脂結合型磁石を構成する磁性
粉末は、下記方法等の公知のいずれの方法で得られたも
のであつてもよい。
溶体急冷法により得られたリボンを粉砕し、更に必要
に応じて熱処理して得られた磁性粉末 母合金溶湯をアトマイズ法によ粉末化し、更に必要に
応じて熱処理して得られた磁性粉末 インゴツトをH2雰囲気で熱処理して粉砕した後、脱H2
処理して得られ、更に必要に応じて熱処理して得られた
磁性粉末 直接還元拡散によつて得られた反応生成物を粉砕、洗
浄後熱処理して得られた磁性粉末 焼結体あるいはインゴツトを粉砕し、必要に応じて熱
処理して得られた磁性粉末 上記磁性粉末にスパツター等にて希土類金属を表面に
被着させ、熱処理して得られた磁性粉末 上記磁性粉末をプラズマジェットなどで加熱した後、
急冷して得る磁性粉末 配向成型体を粉砕し、熱処理して得られた磁性粉末 上記磁性粉末を熱間加工、粉末圧延、ホツトプレス、
ダイアップセットにより異方化した磁性粉末 磁性粉末の成分限定理由 この発明の樹脂結合型磁石に用いる磁性粉末の希土類元
素Rは、組成の5.5原子%〜30原子%を占めるが、Nd、P
r、Dy、Ho、Tbのうち少なくとも1種、あるいはさら
に、La、Ce、Sm、Gd、Er、Eu、Tm、Yb、Lu、Yのうち少
なくとも1種を含むものが好ましい。
また、通常Rのうち1種をもって足りるが、実用上は2
種以上の混合物(ミッシュメタル、ジジム等)を入手上
の便宜等の理由により用いることができる。
なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業上入
手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するもので
も差支えない。
Rは、上記系樹脂結合型磁石粉末における、必須元素で
あつて、5.5原子%未満では、高磁気特性、特に高保磁
力が得られず、30原子%を越えると、残留磁束密度(Br)
が低下して、すぐれた特性の樹脂結合型磁性粉末が得ら
れない。よつて、希土類元素は、5.5原子%〜30原子%
の範囲とする。好ましくは、5.5原子%〜15原子%の範
囲である。
Bは、この発明による樹脂結合型磁性粉末における、必
須元素であつて、2原子%未満では、高い保磁力(iHc)
は得られず、20原子%を越えると、残留磁束密度(Br)が
低下するため、すぐれた樹脂結合型磁性粉末が得られな
い。よつて、Bは、2原子%〜20原子%の範囲とする。
好ましくは、2原子%〜15原子%の範囲である。
Feは、上記系樹脂結合型磁性粉末において、必須元素で
あり、60原子%未満では残留磁束密度(Br)が低下し、86
原子%を越えると、高い保磁力が得られないので、Feは
60原子%〜86原子%の含有とする。
また、この発明の樹脂結合型磁性粉末において、Feの一
部をCoで置換することは、得られる磁石の磁気特性を損
うことなく、温度特性を改善することができるが、Co置
換量がFeの70%を越えると、逆に保磁力が劣化するた
め、好ましくない。Coの置換量がFeとCoの合計量で5原
子%〜15原子%の場合は、(Br)は置換しない場合に比較
して増加するため、高磁束密度を得るために好ましい。
また、この発明の樹脂結合型磁性粉末は、R,B,Feの他、
工業的生産上不可避的不純物の存在を許容でき、酸素は
2.5wt%程度まで、Caは1.0wt%程度まで許容できる。
また、Bの一部を4.0原子%以下のC、3.5原子%以下の
P、2.5原子%以下のS、3.5原子%以下のCuのうち少な
くとも1種、合計量で4.0原子%以下で置換することに
より、得られる樹脂結合型磁性粉末の製造性改善、低価
格化が可能である。
また、下記添加元素のうち少なくとも1種は、Fe-B-R系
樹脂結合型磁性粉末に対してその保磁力、減磁曲線の角
型性を改善あるいは製造性の改善、低価格化に効果があ
るため添加することができる。
9.5原子%以下のAl、4.5原子%以下のTi、 9.5原子%以下のV、8.5原子%以下のCr、 8.0原子%以下のMn、5.0原子%以下のBi、 9.5原子%以下のNb、9.5原子%以下のTa、 9.5原子%以下のMo、9.5原子%以下のW、 2.5原子%以下のSb、7原子%以下のGe、 3.5原子%以下のSn、9.5原子%以下のZr、 9.0原子%以下のNi、9.0原子%以下のSi、 1.1原子%以下のZn、9.5原子%以下のHf、 7.0原子%以下のGa、7.0原子%以下のIn のうち少なくとも1種を添加含有、但し、2種以上含有
する場合は、その最大含有量は当該添加元素のうち最大
値を有するものの原子%以下を含有させることにより、
樹脂結合型磁性粉末の高保磁力化が可能になる。
実施例 以下に、実施例によりこの発明を説明する。なお、めっ
き層厚み等は、ICAP575型発光プラズマ分光分析計を用
いて測定した 実施例1 組成(原子%)が81Fe-13Nd-6Bである超急冷法で作つた
合金粉末を100μm以下に粉砕した後、エポキシ樹脂を3
wt%加えて混練し、所定の形状に圧縮成型した。これを1
50℃で1時間キュアー処理した後、着磁して樹脂結合型
磁石を得た。
磁石の磁石特性は、(BH)max=7.7(MGOe)、 Br=5.9(kG)、iHc=15.0(kOe)であつた。
この磁石を、粒径が約20Åのパラジウムコロイドが分散
しているトルエン中に10分間浸漬した後、分散媒のトル
エンを蒸発させ、パラジウムコロイドを表面に吸着させ
た樹脂結合型磁石を得た。
さらに、Ni濃度0.1mol/、次亜リン酸ナトリウム0.15m
ol/、クエン酸ナトリウム0.2mol/、リン酸アンモニ
ウム0.5mol/で、pHが8.5のニツケル無電解めっき液を
用意し、このニッケル無電解めっき液に、前記のパラジ
ウムコロイドを表面に吸着したFe-B-Nd系樹脂結合型磁
石を、80℃で60分間浸漬した後、水洗乾燥した。
得られた樹脂結合型磁石はニッケル無電解めっき層の金
属光沢を有しており、Pd層厚は60Å、Pを含むNi層厚は
3μmであつた。
次に、表面に無電解めっき層が形成されている上記樹脂
結合型磁石を、硫酸ニッケル240g/l、塩化ニッケル45g/
l、ホウ酸30g/lを含むpH4.5のニッケル電気めっき液中
に浸漬し、次いで、陰極電流密度2.0A/dm2となるように
45分間電流を流して電気めっきを行なつた後、水洗、乾
燥して電解めっき層を生成させた。
得られた樹脂結合型磁石は、表面にニッケル電解めっき
層の金属光沢を有しており、無電解めっき層と電解めっ
き層のNiめっき層厚は総和で18μmであつた。
その後、得られた3層被膜を有するこの発明の樹脂結合
型磁石を、温度70℃、相対湿度85%の条件下で耐酸化性
試験し、1000時間後の磁石特性を測定した。その結果を
第1表に示す。
実施例2 実施例1と同一組成、同一製造条件にて得られた樹脂結
合型磁石に、真空度0.05Torrの雰囲気でイオンスパッタ
法によりPdPt合金膜を50Å厚みに被着した。
続いて、PdPt合金膜で被覆した前記樹脂結合型磁石を、
実施例1のNi無電解めっき条件と同一条件にて無電解め
っきを行なつた。生成したニッケル無電解めっき層厚は
2.7μmであり、金属光沢を有していた。
次に、表面にニッケル無電解めっき層が形成されている
前記樹脂結合型磁石を用い、実施例1と同一の組成及び
条件下で電解めっきを行ない、ニッケル電解めっき層を
生成させた。
得られた樹脂結合型磁石は、表面にニッケル電解めっき
層の金属光沢を有しており、無電解めっき層と電解めっ
き層のニッケルめっき層厚は総和で18μmであつた。
その後、得られた3層被膜を有するこの発明の樹脂結合
型磁石を、温度70℃、相対湿度85%の条件下で耐酸化性
試験し、1000時間後の磁石特性を測定した。その結果を
第1表に示す。
実施例3 組成(原子%)が81Fe-13Nd-6Bである超急冷法で作つた
合金粉末を100μm以下に粉砕した後、ナイロン6樹脂
を6wt%加えて混練した後、250℃で射出成型した。
得られた樹脂結合型磁石の磁石特性は、 (BH)max=4.7(MGOe)、Br=4.6(kG)、iHc=13.0(kOe)で
あつた。
この磁石を用いて、実施例1と同一条件にてその表面に
パラジウムコロイドを吸着させた。Pd層厚は55Åであつ
た。
次いで、前記パラジウムコロイドを表面に吸着した樹脂
結合型磁石に、実施例1のNi無電解めっき条件と同一条
件にて無電解めっきを行なつた。生成したニッケル無電
解めっき層厚は2.9μmであり、金属光沢を有してい
た。
次に、表面にニッケル無電解めっき層が形成されている
前記樹脂結合型磁石を用い、実施例1と同一の組成及び
条件で電解めっきを行なつて、ニッケル電解めっき層を
生成させた。
得られた樹脂結合型磁石は、表面にニッケル電解めっき
層の金属光沢を有し、無電解めっき層と電解めっき層の
ニッケルめっき総厚は18μmであつた。
その後、得られた3層被膜を有するこの発明の樹脂結合
型磁石を、温度70℃、相対湿度85%の条件下で耐酸化性
試験し、1000時間後の磁石特性を測定した。その結果を
第1表に示す。
比較例1 実施例1と同一組成、同一製造条件にて得られた樹脂結
合型磁石に、エポキシ樹脂を約20μm塗装し、150℃で
1時間の焼け付けを行なつた。
その後、実施例1と同一条件の耐酸化性試験を行ない、
その耐酸化性及び1000時間後の磁石特性を測定し、測定
結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1と同一組成、同一製造条件にて得られた樹脂結
合型磁石に、アクリル樹脂を約20μm塗装し、150℃で
1時間の焼き付けを行なつた。
その後、実施例1と同一条件の耐酸化性試験を行ない、
その耐酸化性及び1000時間後の磁石特性を測定し、測定
結果を第1表に示す。
比較例3 実施例1と同一組成、同一製造条件にて得られた樹脂結
合型磁石を用い、実施例1におけるニッケル電解めっき
液と同一組成で、通電時間を60分間で形成した以外は実
施例1と同一条件で表面に電解めっきによるニッケルめ
っき層(層厚20μm)を有する樹脂結合型磁石を得た。
その後、実施例1と同一条件の耐酸化性試験を行ない、
その耐酸化性及び1000時間後の磁石特性を測定し、測定
結果を第1表に示す。
比較例4 実施例3と同一組成、同一製造条件にて得られた樹脂結
合型磁石に、エポキシ樹脂を約20μm塗装し、150℃で
1時間の焼き付けを行なつた。
その後、実施例1と同一条件の耐酸化性試験を行ない、
その耐酸化性及び1000時間後の磁石特性を測定し、測定
結果を第1表に示す。
比較例5 実施例3と同一組成、同一条件にて得られた樹脂結合型
磁石に、アクリル樹脂を約20μm塗装し、150℃で1時
間の焼き付けを行なつた。
その後、実施例1と同一条件の耐酸化性試験を行ない、
その耐酸化性及び1000時間後の磁石特性を測定し、測定
結果を第1表に示す。
比較例6 実施例3と同一の樹脂結合型磁石表面に、比較例3と同
一条件の電解めっきによるニッケルめっき層(層厚20μ
m)を被覆した後、実施例1と同一条件の耐酸化性試験
を行ない、その耐酸化性及び1000時間後の磁石特性を第
1表に示す。
発明の効果 この発明によるFe-B-R系樹脂結合型磁石は、実施例の如
く、無電解めっき層を介して電解めっき層を形成してい
るため、緻密性、密着性にすぐれた均質な金属めっき層
の形成が可能となり、苛酷な耐食試験条件、特に、温度
70℃、相対湿度85%の条件下で、1000時間放置した後、
その磁石特性の劣化は初期磁石特性の5%以下の低下に
すぎず、現在、最も要求されている高性能かつ安価な樹
脂結合型磁石として極めて適している。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】R(RはNd、Pr、Dy、Ho、Tbのうち少なく
    とも1種あるいはさらに、La、Ce、Sm、Gd、Er、Eu、T
    m、Yb、Lu、Yのうち少なくとも1種からなる)5.5原子
    %〜30原子%、 B2原子%〜28原子%、 Fe60原子%〜86原子%を主成分とする磁性粉末と、 樹脂とからなる樹脂結合型磁石体表面に、 Pd、Ag、Pt及びAu等から選ばれた少なくとも1種の貴金
    属層と、 Ni、Cu、Sn及びCo等から選ばれた少なくとも1種の卑金
    属とからなる無電解めっき層と、 さらに、無電解めっき層の表面にNi、Cu、Sn、及びCo等
    から選ばれた少なくとも1種の卑金属の電解めっき層か
    らなる金属被膜を有したことを特徴とする耐食性のすぐ
    れたFe-B-R系樹脂結合型磁石。
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