JPH09289108A - 密着性のすぐれた電気絶縁性被膜を有するR−Fe−B系永久磁石とその製造方法 - Google Patents

密着性のすぐれた電気絶縁性被膜を有するR−Fe−B系永久磁石とその製造方法

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JPH09289108A
JPH09289108A JP8122625A JP12262596A JPH09289108A JP H09289108 A JPH09289108 A JP H09289108A JP 8122625 A JP8122625 A JP 8122625A JP 12262596 A JP12262596 A JP 12262596A JP H09289108 A JPH09289108 A JP H09289108A
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Japan
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film
permanent magnet
thickness
adhesion
polyimide
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JP8122625A
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Masayuki Yoshimura
吉村  公志
Fumiaki Kikui
文秋 菊井
Masako Suzuki
雅子 鈴木
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Publication date
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 R−Fe−B系永久磁石体表面に、局部的あ
るいは所要面のみに十分な密着性を付与して電気絶縁性
にすぐれたポリイミド被膜を形成し、局部的に電気絶縁
性が求められる電子機器やモーターなどを駆動する場合
に使われるリレー(電磁開閉器)等の用途に適したR−
Fe−B系永久磁石。 【解決手段】 磁石表面をイオンスパッター法等により
清浄化した後、前記磁石体表面にめっき法あるいはイオ
ンプレーティング法等の気相薄膜形成法により、R−F
e−B系永久磁石との密着性の良好な特定膜厚のAl、
Ti、Ni、Zn、Sn、Fe等の金属または合金被膜
による下地金属膜を形成後、下地金属膜上にクロメート
処理を行い、クロメート被膜との密着性およびポリイミ
ド樹脂との密着性の良好なシランカップリング剤を施し
た後、最表面上にポリイミド樹脂を蒸着重合法により形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、R−Fe−B系
永久磁石の改良に係り、R−Fe−B系永久磁石表面に
所定膜厚みの下地金属層を施し、さらに下地金属膜上に
クロメート被膜とシランカップリング剤を積層した後、
シランカップリング被膜上に蒸着重合法によりポリイミ
ド樹脂にて被履した構成により、電子機器やモーターな
どを駆動する場合に使われるリレー(電磁開閉器)等に
おいて、局部的に密着性のすぐれた電気絶縁性が求めら
れる用途に適したR−Fe−B系永久磁石とその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】R−Fe−B系永久磁石は、実用化され
ている磁石の中で最もすぐれた磁気特性を有するが、電
気伝導性があり、かつ耐食性および磁気特性の温度特性
が悪いという欠点があるため、発明者らは、前記磁石の
電気絶縁性、耐熱性、および耐食性改善のため磁石表面
に蒸着重合法により、ポリイミド被膜を被着させること
を知見した。
【0003】しかし、磁石表面にポリイミド被膜を形成
する際、蒸着重合法時およびイミド化処理時に、水を生
成して、ポリイミド被膜の密着性および磁石の耐食性お
よび耐熱性を阻害することを知見し、さらに検討を加え
た結果、発明者は、先に、磁石表面にカーボン膜あるい
は下地金属膜または、下地金属膜がAl膜あるいは、Z
n膜の場合はクロメート被膜を形成後、ポリイミド被膜
を被覆することを提案した(特願平7−43482号、
特願平7−70896号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記方法では、被処理
物全面にポリイミド被膜を形成する場合は有効である
が、リレー等の用途により、局部的あるいは所要の面の
みにポリイミド被膜を形成することは、磁石とポリイミ
ド被膜間の密着性が十分でないため、局部的あるいは所
要面の端部より剥離を発生する問題があり、適用が不可
能であった。
【0005】また最近、耐食性有機被膜と永久磁石体の
密着強度を向上させ、耐食性を改善することを目的とし
て、希土類・鉄系永久磁石体表面にクロメート被膜とシ
ランカップリング剤およびポリパラキシリレンの被膜を
積層する技術が提案されている(特公平7−9846
号)。
【0006】しかし、上記に提案されている技術におい
て、確かに耐食性有機被膜と永久磁石体の密着強度は向
上しているが、耐食性有機被膜であるポリパラキシリレ
ンは、ポリイミドに比べて電気絶縁性および耐食性に劣
り、また下地金属膜を介在しないため、密着性および耐
食性が良好ではないという問題があり、この発明の対象
である、局部的あるいは所要の面にきわめて高い電気絶
縁性と良好な耐食性と耐熱性が求められるリレー等の用
途に適用するには、不十分であった。
【0007】この発明は、電子機器やモーターなどを駆
動する場合に使われる局部的に電気絶縁性が求められる
リレー(電磁開閉器)等の用途に適したR−Fe−B系
永久磁石を目的とし、R−Fe−B系永久磁石体表面
に、局部的あるいは所要面のみに十分な密着性を付与し
て電気絶縁性にすぐれたポリイミド被膜を形成したR−
Fe−B系永久磁石とその製造方法の提供を目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、R−Fe−
B系永久磁石体表面に局部的あるいは所要の面のみに、
密着性を向上させてポリイミド被膜を形成する方法など
について種々検討した結果、R−Fe−B系永久磁石体
表面に、下地金属膜を形成した後、前記金属膜にクロメ
ート処理を行い、その後に、前記クロメート被膜と密着
性の良好なシランカップリング剤を施した後、シランカ
ップリング面上にポリイミド樹脂を被着することによ
り、クロメート被膜は、多孔性かつ凹凸状の下地金属被
膜の孔や凹部をクロメート処理により埋めて表面を均一
化し、耐食性を高めるクロムシールとしての役割と下地
金属被膜とシランカップリング剤の反応を促進させ、ひ
いては、ポリイミド被膜の密着性を向上させる役割を兼
ね備え、耐食性向上に寄与し、下地層のクロメート被膜
とシランカップリングおよびシランカップリングとポリ
イミド被膜との密着性を良好にし、局部的あるいは所要
面にすぐれた電気絶縁性、耐食性および耐熱性のすぐれ
たポリイミド樹脂をR−Fe−B系永久磁石表面に被着
できることを知見し、この発明を完成した。
【0009】すなわち、この発明は、主相が、正方晶か
らなるR−Fe−B系永久磁石体表面に、膜厚1.0μ
m〜10μmの下地金属膜を施した後、下地金属膜上は
クロメート被膜と、シランカップリング剤および最表面
に膜厚2.0μm〜10μmのポリイミド被膜を積層し
た密着性のすぐれた電気絶縁性被膜を有するR−Fe−
B系永久磁石であり、また、上記の構成において、下地
金属層は、Al、Ti、Ni、Zn、Su、Feおよび
その合金である密着性のすぐれた電気絶縁性被膜を有す
るR−Fe−B系永久磁石を併せて提案する。
【0010】また、この発明は、上記のR−Fe−B系
永久磁石の製造方法として、主相が、正方晶からなるR
−Fe−B系永久磁石体表面をイオンスパッター法等に
より清浄化した後、前記磁石体表面にめっき法あるいは
イオンプレーティング法、イオンスパッタリング法、蒸
着等の気相薄膜形成法により、該磁石体と密着性の良好
な、膜厚1.0μm〜10μmの下地金属膜を形成後、
クロム酸塩処理してクロメート被膜上にシランカップリ
ング剤を施した後、前記磁石体を真空容器内に収容し
て、蒸着重合法により最表面に膜厚2.0μm〜10μ
mのポリイミド膜層を積層する、密着性のすぐれた電気
絶縁性被膜を有するR−Fe−B系永久磁石の製造方法
を提案する。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明において、清浄化した磁
石表面に設ける下地金属膜の厚みを1.0μm〜10.
0μmに限定した理由は、1.0μm未満では十分なる
高い耐食性は得られず、10.0μmを越えると効果的
には問題ないが、下地膜としてコスト上昇を招来して、
実用的でなく好ましくないので、下地金属膜厚は1.0
μm〜10.0μmとする。好ましい金属膜厚は6μm
〜8μmである。
【0012】また、下地金属膜の成膜方法は、電解めっ
き法や無電解めっき法などのめっき法あるいはイオンプ
レーティング法、イオンスパッタリング法、蒸着等の気
相薄膜形成法でよい。この発明において、下地金属膜に
は、R−Fe−B系永久磁石との密着性の良好なAl、
Ti、Ni、Zn、Sn、Feおよびその合金が好まし
い。
【0013】この発明において、クロメート被膜は、R
−Fe−B系永久磁石体をクロム酸塩処理として、塗装
の下地処理等に一般に用いられているクロム酸含有処理
溶液に浸漬もしくは、スプレー処理して得られる。被膜
の膜厚は10nm〜100nmである。
【0014】この発明において、シランカップリング処
理は、下地金属膜上にクロメート被膜を有する永久磁石
体を、シランカップリング剤またはその溶液中に浸漬し
た後、大気乾燥する。シランカップリング剤膜厚は5n
m〜200nmである。また、シランカップリング剤
は、クロメート被膜等の酸化物被膜との間で、縮合反応
し、強固に密着するものであり、ビニル基またはγ基を
持つ種々のシランカップリング剤が選択できるが、好ま
しくは、下記化学式で示す γ−グリシドプロピルトリ
メトキシシランが良い。
【0015】
【化1】
【0016】この発明においてポリイミド樹脂の厚みを
2.0μm〜10μmに限定した理由は、2.0μm未
満では被覆が十分でなく、耐食性にすぐれた被膜が得ら
れず、10μmを越えると効果上は問題ないが、製造コ
スト上昇を招来するので実用的でなく、好ましくない。
【0017】さらに、この発明において、蒸着重合法
は、真空度1Pa〜10-3Paの真空容器でポリイミド
膜の原料となる2種類のモノマーを200℃〜250℃
で加熱蒸着して、ポリアミック酸膜を形成後、常圧下、
280℃〜380℃でイミド化処理を行って、ポリイミ
ド膜を生成するすることが好ましい。
【0018】この発明において、蒸着重合する真空容器
の真空度を1Pa〜10-3Paに限定した理由は、1P
aを越えると重合反応が不均一となり膜質が劣化し、ま
た、10-3Pa未満ではモノマーの蒸発がきわめて少な
く、安定した重合反応が生じないので好ましくないこと
による。さらに、蒸着重合時の基板磁石の温度は、15
0℃〜200℃に設定するのが好ましく、150℃未満
では磁石基板との密着が十分でなく、200℃を越える
と磁石基板上での蒸着重合反応がすみやかに進行しない
ため、基板磁石の温度は150℃〜200℃に設定する
とよい。
【0019】この発明において、蒸着重合に用いる2種
類の原料モノマーは、芳香族カルボン酸二無水物、芳香
族ジアミンであり、芳香族カルボン酸二無水物としては
ピロメリット酸二無水物等があり、芳香族ジアミンとし
てはジアミノジフェニルエーテル、p−フェニルジアミ
ン等が用いられる。また、真空容器内で2種類の原料モ
ノマーを200℃〜250℃で加速蒸着する理由は、2
00℃未満では蒸発量が十分でなく、250℃を越える
と蒸発速度が大きすぎて膜厚制御が難しく、好ましくな
いことによる。
【0020】また、この発明において、ポリイミド樹脂
を生成するイミド化温度は、280℃未満ではイミド化
反応が十分に進行せず、シランカップリング剤との密着
性が十分でなく、380℃を越えるとポリイミド樹脂が
劣化して脆くなり亀裂等が生じて剥離を発生するため2
80℃〜380℃とする。
【0021】この発明の永久磁石に用いる希土類元素R
は、組成の10原子%〜30原子%を占めるが、Nd、
Pr、Dy、Ho、Tbのうち少なくとも1種、あるい
はさらに、La、Ce、Sm、Gd、Er、Eu、T
m、Yb、Lu、Yのうち少なくとも1種を含むものが
好ましい。また、通常Rのうち1種をもって足りるが、
実用上は2種以上の混合物(ミッシュメタル、ジジム
等)を入手上の便宜等の理由により用いることができ
る。なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、工業
上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を含有するも
のでも差支えない。
【0022】Rは、R−Fe−B系永久磁石における必
須元素であって、10原子%未満では結晶構造がα−鉄
と同一構造の立方晶組織となるため、高磁気特性、特に
高保磁力が得られず、30原子%を越えるとRリッチな
非磁性相が多くなり、残留磁束密度(Br)が低下して
すぐれた特性の永久磁石が得られない。よって、Rは1
0原子%〜30原子%の範囲が望ましい。
【0023】Bは、上記系永久磁石における必須元素で
あって、2原子%未満では菱面体構造が主相となり高い
保磁力(iHc)は得られず、28原子%を越えるとB
リッチな非磁性相が多くなり、残留磁束密度(Br)が
低下するため、すぐれた永久磁石が得られない。よっ
て、Bは2原子%〜28原子%の範囲が望ましい。
【0024】Feは、上記系永久磁石において必須元素
であり、65原子%未満では残留磁束密度(Br)が低
下し、80原子%を越えると高い保磁力が得られないの
で、Feは65原子%〜80原子%の含有が望ましい。
また、Feの一部をCoで置換することは、得られる磁
石の磁気特性を損うことなく、温度特性を改善すること
ができるが、Co置換量がFeの20%を越えると、逆
に磁気特性が劣化するため好ましくない。Coの置換量
がFeとCoの合計量で5原子%〜15原子%の場合
は、(Br)は置換しない場合に比較して増加するた
め、高磁束密度を得るために好ましい。
【0025】また、R、B、Feの他、工業的生産上不
可避的不純物の存在を許容でき、例えば、Bの一部を
4.0wt%以下のC、2.0wt%以下のP、2.0
wt%以下のS、2.0wt%以下のCuのうち少なく
とも1種、合計量で2.0wt%以下で置換することに
より、永久磁石の製造性改善、低価格化が可能である。
さらに、Al、Ti、V、Cr、Mn、Bi、Nb、T
a、Mo、W、Sb、Ge、Sn、Zr、Ni、Si、
Zn、Hf、のうち少なくとも1種は、R−Fe−B系
永久磁石に対してその保磁力、減磁曲線の角型性を改善
あるいは製造性の改善、低価格化に効果があるため添加
することができる。なお、添加量の上限は、磁石材料の
(BH)maxを20MGOe以上とするには、(B
r)が少なくとも9kG以上必要となるため、該条件を
満す範囲が望ましい。
【0026】また、この発明の永久磁石は平均結晶粒径
が1〜80μmの範囲にある正方晶系の結晶構造を有す
る化合物を主相とし、体積比で1%〜50%の非磁性相
(酸化物相を除く)を含むことを特徴とする。この発明
による永久磁石は、保磁力iHc≧1kOe、残留磁束
密度Br>4kG、を示し、最大エネルギー積(BH)
maxは、(BH)max≧10MGOeを示し、最大
値は25MGOe以上に達する。
【0027】
【実施例】16Nd−1Dy−75Fe−8B組成の鋳
造インゴットを粉砕し、微粉砕後に成形、焼結、熱処理
後に径20mm×7mm寸法の円板状の磁石体試験片を
得た。その磁気特性を表1に示す。真空容器内を1×1
-3Pa以下に真空排気し、Arガス圧10Pa、−5
00Vで15分間表面スパッターを行って、磁石体表面
を清浄化した後、表2に示すイオンプレーティング条件
にて、磁石体表面に表2に示すTi、Al、Zn、S
n、Feの下地金属被膜層を形成した。なお、Ni下地
被膜層は電気めっき法にて形成した。
【0028】次に、アルサーフ600N(日本ペイント
製)の3%溶液に50℃に5分間浸漬し、100℃で大
気乾燥して、膜厚20nmのクロメート被膜を得、つい
でγ−グリシドプロピルトリメトキシシランで3分間の
浸漬処理し、150℃で30分間乾燥して、膜厚10n
mのシランカップリング被膜を得た。
【0029】その後、得られた永久磁石を真空容器に収
容し、真空容器内を1×10-2Paの真空度に設定し、
1つの蒸発源としてピロメリット酸二無水物を220℃
で加熱するとともに、もう1つの蒸発源としてジアミノ
ジフエニルエーテルを210℃で加熱して、さらに磁石
基板を170℃に加熱して、1.5時間処理を行い、原
料モノマーを磁石表面に蒸着重合させてポリアミック酸
被膜を生成させた。
【0030】次に常圧下、窒素雰囲気で300℃で1時
間加熱してイミド化処理を行い、ポリイミド樹脂膜を生
成させることにより、ポリイミド樹脂膜を8μm厚に形
成した。こうして得られたポリイミド樹脂膜を表面に有
する永久磁石体を耐食性試験前後の磁気特性ならびに体
積抵抗率測定用の試験片とした。ここで、体積抵抗率と
は、電気絶縁性を評価するものであり、下記(1)式か
ら求める。
【0031】
【数1】
【0032】また、ポリイミド樹脂膜を表面に有する永
久磁石体から寸法10mm×10mm×7mmの直方体
形状の上下2面にポリイミド樹脂を有する試験片に切出
し、得られた切出し試験片と切出し以前の試験片を温度
80℃、相対湿度90%の条件下で1000時間放置後
に、ポリイミド膜形成面の表面発錆状況と磁気特性を測
定し、その測定結果を表3に表す。
【0033】比較例1 実施例1と同一組成の磁石体試験片を実施例1と同一条
件にてクロメート処理およびシランカップリングを施し
た後、表面に実施例1と同一条件にてポリイミド樹脂膜
を8μm厚に形成した。その後、実施例1と同一の温度
80℃、相対湿度90%の条件下で1000時間放置
後、ポリイミド膜形成面の表面発錆状況と磁気特性を測
定し、その結果を表3に示す。
【0034】比較例2 実施例1と同一組成の磁石体試験片を実施例1と同一条
件にてTiの下地金属被膜層を6.0μm形成し、実施
例1と同一条件にて、シランカップリング剤を施した
後、表面にポリイミド樹脂膜を8μm厚に形成した。そ
の後、実施例1と同一の温度80℃、相対湿度90%の
条件下で1000時間放置後、ポリイミド膜形成面の表
面発錆状況と磁気特性を測定し、その結果を表3に示
す。
【0035】比較例3 実施例1と同一組成の磁石体試験片を実施例1と同一条
件にてTiの下地金属被膜層を6.0μm形成し、実施
例1と同一条件にて、クロメート処理を施した後、表面
にポリイミド樹脂膜を8μmに形成した。その後、実施
例1と同一の温度80℃、相対湿度90%の条件下で1
000時間放置後のポリイミド膜形成面の表面発錆状況
と磁気特性を測定し、その結果を表3に示す。
【0036】比較例4 実施例1と同一組成の磁石体試験片を実施例1と同一条
件にてクロメート処理を施した後、実施例1と同一条件
にて、シランカップリング剤を施し、表面にポリパラキ
シリレンを真空蒸着により8μm厚に形成した。その
後、実施例1と同一の温度80℃、相対湿度90%の条
件下で1000時間放置前後の体積抵抗率を測定し、そ
の結果を表4に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】この発明は、磁石表面をイオンスパッタ
ー法等により清浄化した後、前記磁石体表面にめっき法
あるいはイオンプレーティング法等の気相薄膜形成法に
より、R−Fe−B系永久磁石との密着性の良好な特定
膜厚のAl、Ti、Ni、Zn、Sn、Fe等の金属ま
たは合金被膜による下地金属膜を形成後、下地金属膜上
にクロメート処理を行い、クロメート被膜との密着性お
よびポリイミド樹脂との密着性の良好なシランカップリ
ング剤を施した後、最表面上にポリイミド樹脂を蒸着重
合法により形成することにより、実施例に示すごとく、
目的とする密着性にすぐれた電気絶縁性被膜が得られ、
特に局部的に電気絶縁性が求められるリレーに使用可能
な高性能R−Fe−B系永久磁石が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主相が正方晶からなるR−Fe−B系永
    久磁石体表面に、膜厚1.0μm〜10μmの下地金属
    膜を施した後、下地金属膜上にクロメート被膜とシラン
    カップリング剤および最表面に膜厚2.0μm〜10μ
    mのポリイミドの被膜を積層したことを特徴とする密着
    性のすぐれた電気絶縁性被膜を有するR−Fe−B系永
    久磁石。
  2. 【請求項2】 請求項1において、下地金属層は、A
    l、Ti、Ni、Zn、Sn、Feおよびその合金であ
    ることを特徴とする密着性のすぐれた電気絶縁性被膜を
    有するR−Fe−B系永久磁石。
  3. 【請求項3】 主相が正方晶からなるR−Fe−B系永
    久磁石体表面を清浄化した後、めっき法あるいは気相成
    膜法により前記磁石体面に膜厚1.0μm〜10.0μ
    mの下地金属膜を形成後、前記金属膜にクロム酸塩処理
    を施し、クロメート被膜上にシランカップリング剤を積
    層した後、さらに前記磁石体を真空容器内に収容して蒸
    着重合法により、膜厚2.0μm〜10μmのポリイミ
    ド膜層を形成する密着性のすぐれた電気絶縁性被膜を有
    するR−Fe−B系永久磁石の製造方法。
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