JPH0691538A - メタルボンド砥石の製造方法 - Google Patents
メタルボンド砥石の製造方法Info
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- JPH0691538A JPH0691538A JP23866692A JP23866692A JPH0691538A JP H0691538 A JPH0691538 A JP H0691538A JP 23866692 A JP23866692 A JP 23866692A JP 23866692 A JP23866692 A JP 23866692A JP H0691538 A JPH0691538 A JP H0691538A
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- metal
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 CuーSn系混合物を用いて砥粒層の結合相
を形成することで、砥粒が均一に分散されかつチップポ
ケットの形成容易な砥粒層を効率よく作成する。 【構成】 砥粒の表面に無電解めっき法によりCuメッ
キ層を形成し、次いで摩擦圧接法により前記Cuメッキ
層の表面にCuーSn系混合物からなる圧着被覆層を形
成して金属被覆砥粒を形成した後、この金属被覆砥粒を
台金上に加圧成形および焼結して砥粒層を形成すること
を特徴とするメタルボンド砥石を製造する。
を形成することで、砥粒が均一に分散されかつチップポ
ケットの形成容易な砥粒層を効率よく作成する。 【構成】 砥粒の表面に無電解めっき法によりCuメッ
キ層を形成し、次いで摩擦圧接法により前記Cuメッキ
層の表面にCuーSn系混合物からなる圧着被覆層を形
成して金属被覆砥粒を形成した後、この金属被覆砥粒を
台金上に加圧成形および焼結して砥粒層を形成すること
を特徴とするメタルボンド砥石を製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属被覆砥粒により砥
粒層が形成されたメタルボンド砥石の製造方法に関す
る。
粒層が形成されたメタルボンド砥石の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般にメタルボンド砥石は、砥粒を粉末
の金属結合剤に均一に混合し、この混合粉末を台金とと
もに型込めした後、圧粉成形および焼結して製造され
る。
の金属結合剤に均一に混合し、この混合粉末を台金とと
もに型込めした後、圧粉成形および焼結して製造され
る。
【0003】また、このとき上記砥粒の表面に、予め無
電解メッキ法や蒸着法を用いて薄い金属被覆層を形成す
る場合がある。このような金属被覆砥粒を用いてメタル
ボンド砥石を構成すると、その金属被覆層を通じて研削
時に発生する熱の放熱効果を高めることができるととも
に、金属被覆層の介在で結合相と砥粒との接合強度を増
大させることができるので、砥粒の脱落を低下させ砥石
の寿命を延ばすことができるという利点がある。
電解メッキ法や蒸着法を用いて薄い金属被覆層を形成す
る場合がある。このような金属被覆砥粒を用いてメタル
ボンド砥石を構成すると、その金属被覆層を通じて研削
時に発生する熱の放熱効果を高めることができるととも
に、金属被覆層の介在で結合相と砥粒との接合強度を増
大させることができるので、砥粒の脱落を低下させ砥石
の寿命を延ばすことができるという利点がある。
【0004】しかしながら、上記金属被覆砥粒を用いた
メタルボンド砥石の製造では、砥粒と結合剤を混合して
型込めするときに砥粒を均一に分散させるのが難しく、
焼結後の砥粒層における砥粒の分布に粗密が生じて、砥
石の研削性能が安定しないという問題があった。そこ
で、本発明者らは先に、均質な砥粒層をもち、さらに結
合相と砥粒との接合強度が向上され、かつ製造効率の優
れた金属被覆砥粒およびその製造方法、ならびにメタル
ボンド砥石の製造方法を提供している。
メタルボンド砥石の製造では、砥粒と結合剤を混合して
型込めするときに砥粒を均一に分散させるのが難しく、
焼結後の砥粒層における砥粒の分布に粗密が生じて、砥
石の研削性能が安定しないという問題があった。そこ
で、本発明者らは先に、均質な砥粒層をもち、さらに結
合相と砥粒との接合強度が向上され、かつ製造効率の優
れた金属被覆砥粒およびその製造方法、ならびにメタル
ボンド砥石の製造方法を提供している。
【0005】本発明者らが開示した上記メタルボンド砥
石は、概略、砥粒表面に2種以上の金属層を交互に3層
以上積層してなる被覆層を予め備えた金属砥粒を用いて
構成されるものである。このメタルボンド砥石の製造
は、以下に記載する工程により金属被覆砥粒および砥石
を形成するものである。
石は、概略、砥粒表面に2種以上の金属層を交互に3層
以上積層してなる被覆層を予め備えた金属砥粒を用いて
構成されるものである。このメタルボンド砥石の製造
は、以下に記載する工程により金属被覆砥粒および砥石
を形成するものである。
【0006】(1)砥粒表面に無電解メッキ法によりC
u,Ni,Co,Ag等の薄い金属メッキ層を形成した
金属メッキ砥粒を作成する。
u,Ni,Co,Ag等の薄い金属メッキ層を形成した
金属メッキ砥粒を作成する。
【0007】(2)得られた金属メッキ砥粒の表面に、
Ag,Sn,Zn,Ni,Cu等、このメッキ層よりも
柔軟な材料からなる第1圧着被覆層を摩擦圧接法により
形成する。この場合、円筒ドラム内部に加圧アームと掻
き取りアームとを具備した加圧転動装置に、金属メッキ
砥粒と第1圧着被覆層を形成する金属粉体とを投入して
加圧混練し、各粒子の界面における局所的な発熱と延性
力を利用して金属メッキ層の表面に被覆層を形成する。
Ag,Sn,Zn,Ni,Cu等、このメッキ層よりも
柔軟な材料からなる第1圧着被覆層を摩擦圧接法により
形成する。この場合、円筒ドラム内部に加圧アームと掻
き取りアームとを具備した加圧転動装置に、金属メッキ
砥粒と第1圧着被覆層を形成する金属粉体とを投入して
加圧混練し、各粒子の界面における局所的な発熱と延性
力を利用して金属メッキ層の表面に被覆層を形成する。
【0008】(3)次いで、第1圧着被覆層とは異なる
材料からなる第2圧着被覆層を上記同様に形成する。
材料からなる第2圧着被覆層を上記同様に形成する。
【0009】(4)以下同様に第3圧着被覆層,第4圧
着被覆層,…を順次構成する。これにより、例えば、金
属メッキ層をCuとして、各圧着被覆層がCu,Sn,
Cu,…(もしくは、Sn,Cu,Sn,…)である金
属被覆砥粒を得る。
着被覆層,…を順次構成する。これにより、例えば、金
属メッキ層をCuとして、各圧着被覆層がCu,Sn,
Cu,…(もしくは、Sn,Cu,Sn,…)である金
属被覆砥粒を得る。
【0010】(5)次ぎに、この金属被覆砥粒を台金と
ともに型込めし、圧粉成形および焼結してメタルボンド
砥石を構成する。
ともに型込めし、圧粉成形および焼結してメタルボンド
砥石を構成する。
【0011】このような工程で製造される金属被覆砥粒
ならびにメタルボンド砥石によれば、砥粒と結合剤を混
合する従来法に比べ、予め金属被覆砥粒を作成しこれに
より砥粒層を形成するので、砥粒層における砥粒の分布
密度が均一となり研削面全面が一定な切れ味をもつ均質
な研削性能を有し、さらに、無電解メッキ法が適用でき
ない金属によっても圧着被覆層を形成できるため各種材
料の選択が可能であるうえ、金属メッキ砥粒の表面に作
成する圧着被覆層を短時間で形成でき、生産性を高める
ことができる(特願平3ー155760参照)。
ならびにメタルボンド砥石によれば、砥粒と結合剤を混
合する従来法に比べ、予め金属被覆砥粒を作成しこれに
より砥粒層を形成するので、砥粒層における砥粒の分布
密度が均一となり研削面全面が一定な切れ味をもつ均質
な研削性能を有し、さらに、無電解メッキ法が適用でき
ない金属によっても圧着被覆層を形成できるため各種材
料の選択が可能であるうえ、金属メッキ砥粒の表面に作
成する圧着被覆層を短時間で形成でき、生産性を高める
ことができる(特願平3ー155760参照)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、砥石による
研削は、研削時に砥粒層の表面に順次砥粒が露出し、か
つ露出した各砥粒との間にチップポケットが形成される
わけであるが、このチップポケットがより深く、より滑
らかな孔に形成されることが研削性能にとって重要であ
り、一方、砥粒の結合相との接合強度を増大させて砥粒
の脱落を低下させることが研削性能の向上とともに砥石
の寿命を延ばすことにおいて重要となる。
研削は、研削時に砥粒層の表面に順次砥粒が露出し、か
つ露出した各砥粒との間にチップポケットが形成される
わけであるが、このチップポケットがより深く、より滑
らかな孔に形成されることが研削性能にとって重要であ
り、一方、砥粒の結合相との接合強度を増大させて砥粒
の脱落を低下させることが研削性能の向上とともに砥石
の寿命を延ばすことにおいて重要となる。
【0013】この意味においても上述の金属被覆砥粒な
らびにメタルボンド砥石で、金属メッキ砥粒の表面に、
係るメッキ層よりも柔軟な材料からなる圧着被覆層を形
成するのは効果的である。しかしながら、圧着被覆層を
多層に設けて焼結し、低融点金属層を融解して各層の界
面を消失させ、ほぼ均一な組成の結合相を形成するの
で、当初砥粒の表面に形成する金属メッキ層と、後に形
成する圧着被覆層との材料組成について、砥粒の接合強
度およびチップポケットを形成するうえでの柔軟性の観
点から、そのバランスを考慮して選択する必要がある。
らびにメタルボンド砥石で、金属メッキ砥粒の表面に、
係るメッキ層よりも柔軟な材料からなる圧着被覆層を形
成するのは効果的である。しかしながら、圧着被覆層を
多層に設けて焼結し、低融点金属層を融解して各層の界
面を消失させ、ほぼ均一な組成の結合相を形成するの
で、当初砥粒の表面に形成する金属メッキ層と、後に形
成する圧着被覆層との材料組成について、砥粒の接合強
度およびチップポケットを形成するうえでの柔軟性の観
点から、そのバランスを考慮して選択する必要がある。
【0014】例えば上記メタルボンド砥粒およびメタル
ボンド砥石にあって、Cu金属めっき層の表面にCu,
Sn,…圧着被覆層を順次交互に形成するときに、Cu
圧着被覆層ではCuの低延性度から被覆性に欠けるた
め、Cu圧着被覆層の形成効率が低いという問題があ
り、また、Sn圧着被覆層では被覆性には富むが、逆に
加圧転動装置内でSnの付着物が多く発生し、これが脱
落したときに粗大粉が混入して圧着被覆層を形成しにく
くなるという問題があった。
ボンド砥石にあって、Cu金属めっき層の表面にCu,
Sn,…圧着被覆層を順次交互に形成するときに、Cu
圧着被覆層ではCuの低延性度から被覆性に欠けるた
め、Cu圧着被覆層の形成効率が低いという問題があ
り、また、Sn圧着被覆層では被覆性には富むが、逆に
加圧転動装置内でSnの付着物が多く発生し、これが脱
落したときに粗大粉が混入して圧着被覆層を形成しにく
くなるという問題があった。
【0015】それゆえ、さらに加圧転動装置にて分級を
おこなう必要があり、そのため収率の低下を来たすう
え、Sn粉末の投入量を調整しなければならず圧着被覆
層全体での組成を一定に保つのが難しいという問題があ
った。また、摩擦圧接を繰り返して金属めっき砥粒の表
面に圧着被覆層を多層に形成するのに、加圧転動装置へ
Cu粉とSn粉とを交互に投入しなければならないとい
う手間もあった。
おこなう必要があり、そのため収率の低下を来たすう
え、Sn粉末の投入量を調整しなければならず圧着被覆
層全体での組成を一定に保つのが難しいという問題があ
った。また、摩擦圧接を繰り返して金属めっき砥粒の表
面に圧着被覆層を多層に形成するのに、加圧転動装置へ
Cu粉とSn粉とを交互に投入しなければならないとい
う手間もあった。
【0016】すなわち本発明は、金属被覆砥粒により製
造された砥石の上記利点を生かしつつ、メタルボンド砥
石の砥粒層における砥粒の接合と結合相の材料分布に着
目して好適な材料組成を特定したうえ、チップポケット
が容易に形成されかつ砥粒の接合強度が大きく研削性能
に優れるとともに、さらに生産性の向上を図ることので
きるメタルボンド砥石の製造方法を提供するものであ
る。
造された砥石の上記利点を生かしつつ、メタルボンド砥
石の砥粒層における砥粒の接合と結合相の材料分布に着
目して好適な材料組成を特定したうえ、チップポケット
が容易に形成されかつ砥粒の接合強度が大きく研削性能
に優れるとともに、さらに生産性の向上を図ることので
きるメタルボンド砥石の製造方法を提供するものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】以下、上記課題を解決す
るための手段を図面を参照して説明する。
るための手段を図面を参照して説明する。
【0018】はじめに、本発明に係るメタルボンド砥石
の製造方法の第1の方法を示す。図2は金属被覆砥粒の
作成モデルを示す図であり、まず、これに使用する砥粒
10にCuめっき層11を形成する。このCuめっき層
11は、図3に示す圧着被覆層14の形成を容易にする
ものであり、無電解メッキ法により砥粒10の表面に薄
いCuメッキを施して形成する。
の製造方法の第1の方法を示す。図2は金属被覆砥粒の
作成モデルを示す図であり、まず、これに使用する砥粒
10にCuめっき層11を形成する。このCuめっき層
11は、図3に示す圧着被覆層14の形成を容易にする
ものであり、無電解メッキ法により砥粒10の表面に薄
いCuメッキを施して形成する。
【0019】上記砥粒10には、ダイヤモンドやCBN
等の超砥粒、あるいはSiC,Al2O3等の一般砥粒を
使用する。また、砥粒10の形状は、加圧攪拌中の砥粒
の転がり性を良好にし、圧着被覆層を均一に形成するた
めに、球状に近いものが好ましいが、極端な鱗片状でな
ければ不定形であっても圧着被覆層は十分形成可能であ
る。この砥粒10の平均粒径は使用目的によっても異な
るが、製造上の理由から10〜500μm程度で、とく
に30〜200μmが好ましい。これは、10μm未満
では圧着被覆層を形成するときに核になりにくく、50
0μmよりも大きいと摩擦圧接作用による被覆が困難な
ためである。
等の超砥粒、あるいはSiC,Al2O3等の一般砥粒を
使用する。また、砥粒10の形状は、加圧攪拌中の砥粒
の転がり性を良好にし、圧着被覆層を均一に形成するた
めに、球状に近いものが好ましいが、極端な鱗片状でな
ければ不定形であっても圧着被覆層は十分形成可能であ
る。この砥粒10の平均粒径は使用目的によっても異な
るが、製造上の理由から10〜500μm程度で、とく
に30〜200μmが好ましい。これは、10μm未満
では圧着被覆層を形成するときに核になりにくく、50
0μmよりも大きいと摩擦圧接作用による被覆が困難な
ためである。
【0020】また、上記Cuメッキ層11の厚さは、砥
粒10の平均粒径にもよるが、0.1μmより薄いと圧
着被覆層の形成が困難となり、他方20μmより厚いと
無電解メッキに要する時間が増すのみで生産性が低下す
ることから、0.1〜20μmがよく、とくに1〜5μ
m程度が望ましい。
粒10の平均粒径にもよるが、0.1μmより薄いと圧
着被覆層の形成が困難となり、他方20μmより厚いと
無電解メッキに要する時間が増すのみで生産性が低下す
ることから、0.1〜20μmがよく、とくに1〜5μ
m程度が望ましい。
【0021】こうして得られたCuメッキ層11表面
に、図3に示すようなCuーSn系混合物からなる圧着
被覆層14を形成する。この圧着被覆層14を形成する
には、図1に示す加圧転動装置にCuメッキ砥粒12と
ともに、図2に示すCu粉末とSn粉末との混合粉体1
3を適宜投入してゆく。この混合粉体13のCu粉末や
Sn粉末は、平均粒径が0.1〜50μmで、かつ砥粒
10の平均粒径の1〜30%程度のものがよい。これ
は、0.1μm未満あるいは1%未満ではこれら金属粉
末の粒子数が多く、被覆と同時に金属粉末間での凝縮が
起こって圧着被覆層の形成が困難となり、また50μm
あるいは30%よりも大きな粒径でも、Cuメッキ砥粒
12が核になりにくく金属粉末同士の圧着凝縮が起こる
からである。
に、図3に示すようなCuーSn系混合物からなる圧着
被覆層14を形成する。この圧着被覆層14を形成する
には、図1に示す加圧転動装置にCuメッキ砥粒12と
ともに、図2に示すCu粉末とSn粉末との混合粉体1
3を適宜投入してゆく。この混合粉体13のCu粉末や
Sn粉末は、平均粒径が0.1〜50μmで、かつ砥粒
10の平均粒径の1〜30%程度のものがよい。これ
は、0.1μm未満あるいは1%未満ではこれら金属粉
末の粒子数が多く、被覆と同時に金属粉末間での凝縮が
起こって圧着被覆層の形成が困難となり、また50μm
あるいは30%よりも大きな粒径でも、Cuメッキ砥粒
12が核になりにくく金属粉末同士の圧着凝縮が起こる
からである。
【0022】この場合、上記圧着被覆層14を形成する
Cu粉末とSn粉末の混合粉末13の混合比は体積比で
以下の比率とするのがよい。 Cu粉末:Sn粉末=95:5〜10:90 これは、Cu粉末の比率がこれよりも高いと圧着被覆層
14の形成効率が低下するうえ、砥粒層でのチップポケ
ットの形成が好ましくなく、またSn粉末の比率がこれ
よりも高いと、結合相内でSn粉末同士が凝縮して粗大
粒子が生成しやすいためである。
Cu粉末とSn粉末の混合粉末13の混合比は体積比で
以下の比率とするのがよい。 Cu粉末:Sn粉末=95:5〜10:90 これは、Cu粉末の比率がこれよりも高いと圧着被覆層
14の形成効率が低下するうえ、砥粒層でのチップポケ
ットの形成が好ましくなく、またSn粉末の比率がこれ
よりも高いと、結合相内でSn粉末同士が凝縮して粗大
粒子が生成しやすいためである。
【0023】また、加圧転動装置内におけるCuメッキ
砥粒12とCu−Sn系混合粉体13との混合比は、圧
着被覆層の形成効率から体積比で以下の範囲がよい。 Cuメッキ砥粒:混合粉末=100:1〜1:1
砥粒12とCu−Sn系混合粉体13との混合比は、圧
着被覆層の形成効率から体積比で以下の範囲がよい。 Cuメッキ砥粒:混合粉末=100:1〜1:1
【0024】一方、図1に示される加圧転動装置は、中
心軸が水平に設けられた円筒状のドラム1が、この中心
軸に沿って配置された固定シャフト2を中心に回転自在
に支持されたもので、固定シャフト2には、下方に向け
て伸長されドラム1の内面との間で粉体を加圧する加圧
アーム3、およびこの回転アーム3よりも回転方向後方
に伸長されドラム1内面に付着した粉体を掻き取る、掻
き取りアーム4が各々取り付けられている。尚、符号5
は、ドラム1の内面と平行な円弧状をなす加圧板5で、
加圧アーム3の先端に取り付けられ、ドラム1の内面と
は一定の間隙を保持している。
心軸が水平に設けられた円筒状のドラム1が、この中心
軸に沿って配置された固定シャフト2を中心に回転自在
に支持されたもので、固定シャフト2には、下方に向け
て伸長されドラム1の内面との間で粉体を加圧する加圧
アーム3、およびこの回転アーム3よりも回転方向後方
に伸長されドラム1内面に付着した粉体を掻き取る、掻
き取りアーム4が各々取り付けられている。尚、符号5
は、ドラム1の内面と平行な円弧状をなす加圧板5で、
加圧アーム3の先端に取り付けられ、ドラム1の内面と
は一定の間隙を保持している。
【0025】この加圧転動装置のドラム1に、まず、上
記Cuメッキ砥粒12とCu粉末とSn粉末の混合粉末
13を上記所定の比率で投入する。そして、ドラム1を
回転させると、これら粉体が加圧板5とドラム1との間
で加圧され、粉体に転動運動が加えられつつ互いに擦り
合わされる。このような粉体同士の衝突および摩擦によ
って、Cuメッキ砥粒12と金属粒子の界面に局所的な
発熱や延性力が生じ、まずCuメッキ層11の表面に軟
質なSn粒子塑性変形を起こして固着する。そして、同
時に混在しているCu粒子が塑性変形を起こすか、もし
くはその形状を維持したままSn層に取り込まれてゆ
き、次第にCu−Sn混合層が形成される。
記Cuメッキ砥粒12とCu粉末とSn粉末の混合粉末
13を上記所定の比率で投入する。そして、ドラム1を
回転させると、これら粉体が加圧板5とドラム1との間
で加圧され、粉体に転動運動が加えられつつ互いに擦り
合わされる。このような粉体同士の衝突および摩擦によ
って、Cuメッキ砥粒12と金属粒子の界面に局所的な
発熱や延性力が生じ、まずCuメッキ層11の表面に軟
質なSn粒子塑性変形を起こして固着する。そして、同
時に混在しているCu粒子が塑性変形を起こすか、もし
くはその形状を維持したままSn層に取り込まれてゆ
き、次第にCu−Sn混合層が形成される。
【0026】こうして、一方で加圧されドラム1の内面
に付着した粉体は、他方で掻き取りアーム4で粉砕され
る。この操作を一定時間おこなうことにより、Cuメッ
キ砥粒12の表面にさらにCuーSn系混合圧着被覆層
14が形成されるとともに球形化が進行する。
に付着した粉体は、他方で掻き取りアーム4で粉砕され
る。この操作を一定時間おこなうことにより、Cuメッ
キ砥粒12の表面にさらにCuーSn系混合圧着被覆層
14が形成されるとともに球形化が進行する。
【0027】このようにして金属被覆砥粒を形成した
後、得られた金属被覆砥粒を台金とともに型込めし、圧
粉成形および焼結する。すると、個々の金属被覆砥粒の
圧着被覆層14を形成するSn粒子が溶融し、また他の
金属被覆砥粒との接触界面に存在するSn圧着被覆層1
4も溶融するため、圧着被覆層14内および各金属被覆
砥粒間で拡散反応が進み、各金属被覆砥粒の圧着被覆層
14,14が相互に強固に結合した結合相が形成され
る。尚、上記圧粉成形および焼結には、ホットプレス法
等も含まれる。また、成形・焼結は大気中でも可能であ
るが、不活性あるいは還元性雰囲気下がより好ましい。
後、得られた金属被覆砥粒を台金とともに型込めし、圧
粉成形および焼結する。すると、個々の金属被覆砥粒の
圧着被覆層14を形成するSn粒子が溶融し、また他の
金属被覆砥粒との接触界面に存在するSn圧着被覆層1
4も溶融するため、圧着被覆層14内および各金属被覆
砥粒間で拡散反応が進み、各金属被覆砥粒の圧着被覆層
14,14が相互に強固に結合した結合相が形成され
る。尚、上記圧粉成形および焼結には、ホットプレス法
等も含まれる。また、成形・焼結は大気中でも可能であ
るが、不活性あるいは還元性雰囲気下がより好ましい。
【0028】こうして得られたメタルボンド砥石によれ
ば、図4に示すように、各砥粒10間の間隔がその砥粒
層の全域に亙ってほぼ等しく、砥粒10の分布密度が均
一であるため、砥石研削面の砥粒10の露出密度が均一
で粗密がなく、研削面全体に亙って切れ味が一定となり
良好な被削材面粗さが得られるという、金属被覆砥粒を
用いて形成したメタルボンド砥石の優れた性質を有する
とともに、さらに研削性能と耐久性能とを向上すること
が可能となる。
ば、図4に示すように、各砥粒10間の間隔がその砥粒
層の全域に亙ってほぼ等しく、砥粒10の分布密度が均
一であるため、砥石研削面の砥粒10の露出密度が均一
で粗密がなく、研削面全体に亙って切れ味が一定となり
良好な被削材面粗さが得られるという、金属被覆砥粒を
用いて形成したメタルボンド砥石の優れた性質を有する
とともに、さらに研削性能と耐久性能とを向上すること
が可能となる。
【0029】すなわち、各砥粒10間の結合相における
Cu,Snの組成分布が、当初Cuめっき層11を形成
しているから各砥粒10の周辺でCu濃度が高く、砥粒
10から離間するに従いSn濃度の高い分布となってお
り、研削時により深くかつ滑らかなチップポケットが容
易に形成されるうえ、砥粒10と結合相との接合強度が
より大きく、砥粒10の脱落を低減させることができる
のである。
Cu,Snの組成分布が、当初Cuめっき層11を形成
しているから各砥粒10の周辺でCu濃度が高く、砥粒
10から離間するに従いSn濃度の高い分布となってお
り、研削時により深くかつ滑らかなチップポケットが容
易に形成されるうえ、砥粒10と結合相との接合強度が
より大きく、砥粒10の脱落を低減させることができる
のである。
【0030】さらに、Cuめっき層11の表面に摩擦圧
接法により圧着被覆層14を形成するに際し、Cu粉末
に超延性金属であって被覆性の良好なSn粉末を所定混
合比で混合した、CuーSn系混合粉体を当初から用い
ているため、摩擦圧接により形成する被覆層を多層にす
る必要がなく生産性に優れている。またこのCuーSn
系混合粉体は極めて被覆性に優れているうえ、加圧転動
装置内でのSn粗大粉の発生がないので分級の必要がな
く、したがって収率の低下がなく、また圧着被覆層14
において一定の組成を得ることができる。
接法により圧着被覆層14を形成するに際し、Cu粉末
に超延性金属であって被覆性の良好なSn粉末を所定混
合比で混合した、CuーSn系混合粉体を当初から用い
ているため、摩擦圧接により形成する被覆層を多層にす
る必要がなく生産性に優れている。またこのCuーSn
系混合粉体は極めて被覆性に優れているうえ、加圧転動
装置内でのSn粗大粉の発生がないので分級の必要がな
く、したがって収率の低下がなく、また圧着被覆層14
において一定の組成を得ることができる。
【0031】次に、本発明に係るメタルボンド砥石の製
造方法の第2の方法を示す。まず、上述のCuめっき砥
粒12のCuめっき層11に代えて、Niめっき層を形
成する。そして上述同様にCuーSn系混合物からなる
圧着被覆層14を形成して金属被覆砥粒を得る。このよ
うな金属被覆砥粒によるメタルボンド砥石の製造では、
砥粒10の表面に形成するめっき層にNiを用いるの
で、めっき性に優れているとともに、作製する砥粒層に
おいて砥粒10を強固に固定でき、砥粒10の脱落を防
止して砥石の寿命をさらに延ばすことができる。
造方法の第2の方法を示す。まず、上述のCuめっき砥
粒12のCuめっき層11に代えて、Niめっき層を形
成する。そして上述同様にCuーSn系混合物からなる
圧着被覆層14を形成して金属被覆砥粒を得る。このよ
うな金属被覆砥粒によるメタルボンド砥石の製造では、
砥粒10の表面に形成するめっき層にNiを用いるの
で、めっき性に優れているとともに、作製する砥粒層に
おいて砥粒10を強固に固定でき、砥粒10の脱落を防
止して砥石の寿命をさらに延ばすことができる。
【0032】また、本発明に係るメタルボンド砥石の製
造方法の第3は、上記第2の方法において、CuーSn
系混合物からなる圧着被覆層14を形成した後、さらに
同様の摩擦圧接法によりSn溶着層を形成して金属被覆
砥粒とし、この金属被覆砥粒によりメタルボンド砥石を
製造する方法である。この場合、圧着被覆層14に含ま
れるSn粉体の量を予め、最外層に形成するSn溶着層
に相当するだけ減量しておくのが好ましい。この圧着被
覆層14を形成するためのCu粉とSn粉との混合比は
体積比で以下の比率が好ましい。 Cu粉体:Sn粉体=97:3〜15:85 これは、各金属被覆砥粒を加圧焼結したときに、低融点
金属である最外層のSn溶着層が溶融してある程度圧着
被覆層14内に取り込まれるが、圧着被覆層14の組成
においてSn配分が全体に高くなることで結合相の強度
が不要に低下するのを防ぐためである。
造方法の第3は、上記第2の方法において、CuーSn
系混合物からなる圧着被覆層14を形成した後、さらに
同様の摩擦圧接法によりSn溶着層を形成して金属被覆
砥粒とし、この金属被覆砥粒によりメタルボンド砥石を
製造する方法である。この場合、圧着被覆層14に含ま
れるSn粉体の量を予め、最外層に形成するSn溶着層
に相当するだけ減量しておくのが好ましい。この圧着被
覆層14を形成するためのCu粉とSn粉との混合比は
体積比で以下の比率が好ましい。 Cu粉体:Sn粉体=97:3〜15:85 これは、各金属被覆砥粒を加圧焼結したときに、低融点
金属である最外層のSn溶着層が溶融してある程度圧着
被覆層14内に取り込まれるが、圧着被覆層14の組成
においてSn配分が全体に高くなることで結合相の強度
が不要に低下するのを防ぐためである。
【0033】このように、最外層にSn溶着層を形成す
ると、結合相内はCuとSnとの濃度バランスが各砥粒
10の周辺でCu濃度が高く、砥粒10と他の砥粒10
とのほぼ中間点ではSn濃度の比較的高い濃度分布とな
っており、チップポケットが形成されやすくかつ、砥粒
自体は強固に保持される砥粒層とすることができる。
ると、結合相内はCuとSnとの濃度バランスが各砥粒
10の周辺でCu濃度が高く、砥粒10と他の砥粒10
とのほぼ中間点ではSn濃度の比較的高い濃度分布とな
っており、チップポケットが形成されやすくかつ、砥粒
自体は強固に保持される砥粒層とすることができる。
【0034】
【実施例】本発明に係るメタルボンド砥石の製造方法に
ついて実施例とその効果を説明する。
ついて実施例とその効果を説明する。
【0035】(実施例1)まずダイヤモンド粉末(粒径
40〜60μm)に無電解Cuめっきを施してダイヤモ
ンド粉と同重量のCuめっき層を形成し、図5に示され
るCuめっき砥粒を作製した。
40〜60μm)に無電解Cuめっきを施してダイヤモ
ンド粉と同重量のCuめっき層を形成し、図5に示され
るCuめっき砥粒を作製した。
【0036】このCuめっきダイヤモンド砥粒60gを
図1に示される加圧転動装置に投入し、さらに図6に示
されるCuーSn混合粉末(Cu粉末の平均粒径5μ
m,Sn粉末の平均粒径5μm)を200g投入して軽
く混合した後、加圧アーム3とドラム1との間隙を3m
m、ドラム1の回転数600r.p.mとして60分間の
摩擦圧接を施し金属被覆砥粒を得た。
図1に示される加圧転動装置に投入し、さらに図6に示
されるCuーSn混合粉末(Cu粉末の平均粒径5μ
m,Sn粉末の平均粒径5μm)を200g投入して軽
く混合した後、加圧アーム3とドラム1との間隙を3m
m、ドラム1の回転数600r.p.mとして60分間の
摩擦圧接を施し金属被覆砥粒を得た。
【0037】得られた金属被覆砥粒は図7に示されるよ
うに球形化し、良好な流動性を示した。また湿式分析に
よりその組成比を測定すると、重量比で次のとおりであ
った。 ダイヤ:Cu:Sn=12:48:40
うに球形化し、良好な流動性を示した。また湿式分析に
よりその組成比を測定すると、重量比で次のとおりであ
った。 ダイヤ:Cu:Sn=12:48:40
【0038】そして、この金属被覆砥粒を用いて、φ=
141mm×t=6mmの低炭素鋼に厚さ5mmの砥粒
層を形成した。これには先ず、台金を金型内にセットし
た後、上記得られた金属被覆砥粒を充填し、常温下で5
ton/cm2の圧力にて5分間コールドプレスを施し
た。次にホットプレスによりシリンダーストローク制御
を行いながら、温度600°C、0.3ton/cm2
の圧力にて窒素雰囲気中で1時間の焼結処理を施して気
孔率10%のメタルボンド砥石を作成した。
141mm×t=6mmの低炭素鋼に厚さ5mmの砥粒
層を形成した。これには先ず、台金を金型内にセットし
た後、上記得られた金属被覆砥粒を充填し、常温下で5
ton/cm2の圧力にて5分間コールドプレスを施し
た。次にホットプレスによりシリンダーストローク制御
を行いながら、温度600°C、0.3ton/cm2
の圧力にて窒素雰囲気中で1時間の焼結処理を施して気
孔率10%のメタルボンド砥石を作成した。
【0039】(実施例2)実施例1と同様のダイヤモン
ド粉末に無電解Niめっきを施してダイヤモンド粉と
(同重量)のNiめっき層を形成し、Niめっきダイヤ
モンド砥粒を作成した。
ド粉末に無電解Niめっきを施してダイヤモンド粉と
(同重量)のNiめっき層を形成し、Niめっきダイヤ
モンド砥粒を作成した。
【0040】このNiめっきダイヤモンド砥粒60gを
上記同様に加圧転動装置に投入し、さらに実施例1と同
様のCuーSn混合粉末を200g投入した後、加圧ア
ーム3とドラム1との間隙を3mm、ドラム1の回転数
600r.p.mにて60分間の摩擦圧接をを施して金属
被覆砥粒を得た。このとき得られた金属被覆砥粒の組成
比は重量比で次のとおりであった。 ダイヤ:Ni:Cu:Sn=12:12:36:40
上記同様に加圧転動装置に投入し、さらに実施例1と同
様のCuーSn混合粉末を200g投入した後、加圧ア
ーム3とドラム1との間隙を3mm、ドラム1の回転数
600r.p.mにて60分間の摩擦圧接をを施して金属
被覆砥粒を得た。このとき得られた金属被覆砥粒の組成
比は重量比で次のとおりであった。 ダイヤ:Ni:Cu:Sn=12:12:36:40
【0041】そして、この金属被覆砥粒を用いて、実施
例1と同様に台金に厚さ5mmの砥粒層を形成した。台
金上にこの砥粒層を形成するときの加圧,焼結条件は、
コールドプレスでは、常温下で5ton/cm2の圧力
にて5分間、ホットプレスではシリンダーストローク制
御を行いながら、温度600°C、0.3ton/cm
2の圧力にて、同様に窒素雰囲気中で1時間の焼結処理
であった。またこのメタルボンド砥石の気孔率は10%
であった。
例1と同様に台金に厚さ5mmの砥粒層を形成した。台
金上にこの砥粒層を形成するときの加圧,焼結条件は、
コールドプレスでは、常温下で5ton/cm2の圧力
にて5分間、ホットプレスではシリンダーストローク制
御を行いながら、温度600°C、0.3ton/cm
2の圧力にて、同様に窒素雰囲気中で1時間の焼結処理
であった。またこのメタルボンド砥石の気孔率は10%
であった。
【0042】(実施例3)実施例2と同様のダイヤモン
ド粉末に無電解Niめっきを施してダイヤモンド粉と
(同重量)のNiめっき層を形成し、Niめっきダイヤ
モンド砥粒を作成した。
ド粉末に無電解Niめっきを施してダイヤモンド粉と
(同重量)のNiめっき層を形成し、Niめっきダイヤ
モンド砥粒を作成した。
【0043】このNiめっきダイヤモンド砥粒60gを
実施例2と同様に加圧転動装置に投入し、さらにCuー
Sn混合粉末を150g投入した。このときのCuーS
n系混合粉末の混合比は次の通りである。 Cu粉末:Sn粉末=70:30
実施例2と同様に加圧転動装置に投入し、さらにCuー
Sn混合粉末を150g投入した。このときのCuーS
n系混合粉末の混合比は次の通りである。 Cu粉末:Sn粉末=70:30
【0044】そして図1の加圧転動装置にて加圧アーム
3とドラム1との間隙を3mm、ドラム1の回転数60
0r.p.mにて60分間の摩擦圧接をを施した後、さら
にSn粉末60gを投入し、回転数600r.p.mにて
30分間の摩擦圧接をを施して最外層にSn溶着層をも
つ金属被覆砥粒を得た。この得られた金属被覆砥粒の組
成比は重量比で次のとおりであった。 ダイヤ:Ni:Cu:Sn=12:12:36:40
3とドラム1との間隙を3mm、ドラム1の回転数60
0r.p.mにて60分間の摩擦圧接をを施した後、さら
にSn粉末60gを投入し、回転数600r.p.mにて
30分間の摩擦圧接をを施して最外層にSn溶着層をも
つ金属被覆砥粒を得た。この得られた金属被覆砥粒の組
成比は重量比で次のとおりであった。 ダイヤ:Ni:Cu:Sn=12:12:36:40
【0045】次いで、この金属被覆砥粒を用いて、実施
例1,2と同様に台金に厚さ5mmのダイヤモンド砥粒
層を形成した。台金上にこの砥粒層を形成するときの加
圧,焼結条件は、コールドプレスでは、常温下で5to
n/cm2の圧力にて5分間、ホットプレスではシリン
ダーストローク制御を行いながら、温度600°Cの下
で、0.3ton/cm2の圧力にて、同様に窒素雰囲
気中で1時間の焼結処理を施した。またこのときのメタ
ルボンド砥石の気孔率は10%であった。
例1,2と同様に台金に厚さ5mmのダイヤモンド砥粒
層を形成した。台金上にこの砥粒層を形成するときの加
圧,焼結条件は、コールドプレスでは、常温下で5to
n/cm2の圧力にて5分間、ホットプレスではシリン
ダーストローク制御を行いながら、温度600°Cの下
で、0.3ton/cm2の圧力にて、同様に窒素雰囲
気中で1時間の焼結処理を施した。またこのときのメタ
ルボンド砥石の気孔率は10%であった。
【0046】(比較例)一方、比較例として、ダイヤモ
ンド粉末、Cu粉末、Sn粉末を混合の後、上記同様に
コールドプレとホットプレスとを施して、実施例1と同
形状、同組成、同気孔率のメタルボンド砥石を作製し
た。そして、上述の各実施例に示したメタルボンド砥石
と比較例のメタルボンド砥石について、トルーイング,
ドレッシングを施した後、以下の研削条件にてガラス研
削試験をおこなった。
ンド粉末、Cu粉末、Sn粉末を混合の後、上記同様に
コールドプレとホットプレスとを施して、実施例1と同
形状、同組成、同気孔率のメタルボンド砥石を作製し
た。そして、上述の各実施例に示したメタルボンド砥石
と比較例のメタルボンド砥石について、トルーイング,
ドレッシングを施した後、以下の研削条件にてガラス研
削試験をおこなった。
【0047】(研削試験条件) 砥石形状 ;IAI型 (φ=150mm×t=6m
m) 研削様式 ;平面研削 被削材 ;ガラス 試験機 ;平面研削盤(岡本5E) 周速度 ;1500m/min テーブル送り;1m/min 切込み ;1mm ピッチ送り ;8mm/パス 研削液 ;JE220
m) 研削様式 ;平面研削 被削材 ;ガラス 試験機 ;平面研削盤(岡本5E) 周速度 ;1500m/min テーブル送り;1m/min 切込み ;1mm ピッチ送り ;8mm/パス 研削液 ;JE220
【0048】この結果、図8に示されるように、比較例
に対し、実施例1は2.5倍以上、実施例2、3は3倍
前後の研削比であった。また、被削材除去量(cc)と
被削材(ガラス)との関係を表1に示す。これらの比較
によれば実施例1〜3の砥石は、比較例の砥石に比べて
チッピングが1/2と小さいことがわかる。
に対し、実施例1は2.5倍以上、実施例2、3は3倍
前後の研削比であった。また、被削材除去量(cc)と
被削材(ガラス)との関係を表1に示す。これらの比較
によれば実施例1〜3の砥石は、比較例の砥石に比べて
チッピングが1/2と小さいことがわかる。
【0049】
【表1】
【0050】また、実施例1〜3のメタルボンド砥石を
使用した場合の被削材の研削面における面粗度を比較例
によるものとで比べると、表2に示すように、実施例1
〜3の砥石は研削量にあまり影響されず、面粗さが一定
でその度合いも小さいである。
使用した場合の被削材の研削面における面粗度を比較例
によるものとで比べると、表2に示すように、実施例1
〜3の砥石は研削量にあまり影響されず、面粗さが一定
でその度合いも小さいである。
【0051】
【表2】
【0052】ちなみに、図9は実施例1のメタルボンド
砥石を気孔率をゼロで焼結した場合の砥石の外周の表面
を示し、図10は比較例のメタルボンド砥石を気孔率を
ゼロで焼結した場合の砥石の外周の表面をそれぞれ示す
拡大写真の模写図であり、これらの比較では実施例の方
がより均一な砥粒の分散状態となっている。
砥石を気孔率をゼロで焼結した場合の砥石の外周の表面
を示し、図10は比較例のメタルボンド砥石を気孔率を
ゼロで焼結した場合の砥石の外周の表面をそれぞれ示す
拡大写真の模写図であり、これらの比較では実施例の方
がより均一な砥粒の分散状態となっている。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のメタルボ
ンド砥石の製造方法によれば、金属被覆砥粒を製造する
ときに、当初からCuーSn系混合物からなる圧着被覆
層を形成するので、Cu粉とSn粉とを多層に積層する
手間がなく極めて簡便に圧着被覆層を形成することがで
きるとともに、砥粒表面のめっき層に対し柔軟な結合相
を形成するため、砥石を使用したときにより深く滑らか
なチップポケットを形成することができるとともに、砥
粒の結合相との高い接合強度を得ることができ、砥粒の
脱落を低下することができる。
ンド砥石の製造方法によれば、金属被覆砥粒を製造する
ときに、当初からCuーSn系混合物からなる圧着被覆
層を形成するので、Cu粉とSn粉とを多層に積層する
手間がなく極めて簡便に圧着被覆層を形成することがで
きるとともに、砥粒表面のめっき層に対し柔軟な結合相
を形成するため、砥石を使用したときにより深く滑らか
なチップポケットを形成することができるとともに、砥
粒の結合相との高い接合強度を得ることができ、砥粒の
脱落を低下することができる。
【0054】また、CuーSn系混合物からなる圧着被
覆層としたので、被覆性に優れ形成効率が高め得ると同
時に、製造時でのSn粉体の凝縮による粗大粉の混入も
なく、したがって摩擦圧接操作において分級をおこなう
必要がなく、また圧着被覆層での組成を安定化させるこ
とができるとともに収率の向上を図ることができる。
覆層としたので、被覆性に優れ形成効率が高め得ると同
時に、製造時でのSn粉体の凝縮による粗大粉の混入も
なく、したがって摩擦圧接操作において分級をおこなう
必要がなく、また圧着被覆層での組成を安定化させるこ
とができるとともに収率の向上を図ることができる。
【0055】さらに、砥粒表面にNiめっき層を形成し
て金属被覆砥粒を作成すると、Niの優れためっき性に
より砥粒層内で砥粒を強固に固定でき、砥粒の脱落を防
止して砥石の寿命をさらに延ばすことができる。
て金属被覆砥粒を作成すると、Niの優れためっき性に
より砥粒層内で砥粒を強固に固定でき、砥粒の脱落を防
止して砥石の寿命をさらに延ばすことができる。
【0056】そして、金属被覆砥粒を作成する際にCu
ーSn系混合物からなる圧着被覆層を形成した後さらに
Sn溶着層を形成すると、砥粒層の結合相内はCuとS
nとの濃度バランスが各砥粒の周辺で比較的Cu濃度が
高く、砥粒と砥粒との間でSn濃度が高い濃度分布とな
り、さらにチップポケットが形成されやすくかつ、砥粒
自体は強固に保持される砥粒層を得ることができる。
ーSn系混合物からなる圧着被覆層を形成した後さらに
Sn溶着層を形成すると、砥粒層の結合相内はCuとS
nとの濃度バランスが各砥粒の周辺で比較的Cu濃度が
高く、砥粒と砥粒との間でSn濃度が高い濃度分布とな
り、さらにチップポケットが形成されやすくかつ、砥粒
自体は強固に保持される砥粒層を得ることができる。
【図1】加圧転動装置の構成を示す断面図である。
【図2】金属めっき砥粒とCuーSn混合粉体との混合
状態を示す説明図である。
状態を示す説明図である。
【図3】摩擦圧接により得られる金属被覆砥粒を示す説
明図である。
明図である。
【図4】金属被覆砥粒により形成される砥粒層の組織を
示す説明図である。
示す説明図である。
【図5】実施例にて得られた金属めっき砥粒の模写図で
ある。
ある。
【図6】実施例にて使用したCuーSn混合粉末を示す
模写図である。
模写図である。
【図7】実施例にて得られた金属被覆砥粒の模写図であ
る。
る。
【図8】実施例と比較例との研削性能を示すグラフであ
る。
る。
【図9】実施例の砥石の砥粒分散状態を示す模写図であ
る。
る。
【図10】比較例の砥石の砥粒分散状態を示す模写図で
ある。
ある。
1 ドラム 2 固定シャフト 3 加圧アーム 4 掻き取りアーム 5 加圧板 10 砥粒 11 めっき層 12 金属めっき砥粒 13 CuーSn系混合物(混合粉末) 14 圧着被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 弘明 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内 (72)発明者 長田 正信 福島県いわき市泉町黒須野字江越246−1 三菱マテリアル株式会社いわき製作所内
Claims (3)
- 【請求項1】 砥粒の表面に無電解めっき法によりCu
メッキ層を形成し、次いで摩擦圧接法により前記Cuメ
ッキ層の表面にCuーSn系混合物からなる圧着被覆層
を形成して金属被覆砥粒を形成した後、この金属被覆砥
粒を台金上に加圧成形および焼結して砥粒層を形成する
ことを特徴とするメタルボンド砥石の製造方法。 - 【請求項2】 砥粒の表面に無電解めっき法によりNi
メッキ層を形成し、次いで摩擦圧接法により前記Niメ
ッキ層の表面にCuーSn系混合物からなる圧着被覆層
を形成して金属被覆砥粒を形成した後、この金属被覆砥
粒を台金上に加圧成形および焼結して砥粒層を形成する
ことを特徴とするメタルボンド砥石の製造方法。 - 【請求項3】 砥粒の表面に無電解めっき法によりNi
メッキ層を形成し、次いで摩擦圧接法により前記Niメ
ッキ層の表面にCuーSn系混合物からなる圧着被覆層
を形成した後、さらにこの圧着被覆層の表面に摩擦圧接
法によりSn溶着層を形成して金属被覆砥粒を形成した
後、この金属被覆砥粒を台金上に加圧成形および焼結し
て砥粒層を形成することを特徴とするメタルボンド砥石
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23866692A JPH0691538A (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | メタルボンド砥石の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23866692A JPH0691538A (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | メタルボンド砥石の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0691538A true JPH0691538A (ja) | 1994-04-05 |
Family
ID=17033521
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23866692A Withdrawn JPH0691538A (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | メタルボンド砥石の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0691538A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011158834A1 (ja) * | 2010-06-15 | 2011-12-22 | 新日本製鐵株式会社 | ソーワイヤ |
-
1992
- 1992-09-07 JP JP23866692A patent/JPH0691538A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011158834A1 (ja) * | 2010-06-15 | 2011-12-22 | 新日本製鐵株式会社 | ソーワイヤ |
US8707944B2 (en) | 2010-06-15 | 2014-04-29 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Saw wire |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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