JPH07246562A - メタルボンド砥石およびその製造方法 - Google Patents

メタルボンド砥石およびその製造方法

Info

Publication number
JPH07246562A
JPH07246562A JP6575294A JP6575294A JPH07246562A JP H07246562 A JPH07246562 A JP H07246562A JP 6575294 A JP6575294 A JP 6575294A JP 6575294 A JP6575294 A JP 6575294A JP H07246562 A JPH07246562 A JP H07246562A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
metal bond
pressure
abrasive grains
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6575294A
Other languages
English (en)
Inventor
Junji Hoshi
純二 星
Tsutomu Takahashi
務 高橋
Hidetoshi Okada
英敏 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP6575294A priority Critical patent/JPH07246562A/ja
Publication of JPH07246562A publication Critical patent/JPH07246562A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 研削面への被削材の焼き付きが防止できるメ
タルボンド砥石、およびその製造方法を提供する。 【構成】 金属結合相4中に超砥粒2を分散したメタル
ボンド砥粒層1を具備する。金属結合相4は、20〜9
5wt%のCu、5〜50wt%のSn、および0.5
〜3wt%の酸素を含有する焼結合金で形成されてい
る。超砥粒2は金属結合相4中でほぼ均等な間隔を空け
て3次元的に分散配置され、金属結合相4は、個々の超
砥粒2の外周を球殻状に包囲する球殻状部分4Aを有
し、これら球殻状部分4Aが互いの境界面5で連続して
金属結合相4が構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、研削面への被削材の焼
き付きや固着が防止できるメタルボンド砥石およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的なメタルボンド砥石は、Cuまた
はSnなどの金属粉末に、ダイヤモンドまたはCBN等
の超砥粒を均一に混合し、この混合粉末を台金とともに
型込めした後、これらをプレス成形および焼結して製造
されている。なお、結合相となる焼結金属中の酸素含有
量は、一般に、焼結性を高める観点から少ない方がよい
とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のメタ
ルボンド砥石においては、比較的柔らかい金属やガラス
などの被削材を研削する場合、被削材が砥石の研削面に
層状に焼き付きまたは固着しやすく、短時間で切れ味が
低下して研削抵抗が増し、研削不能に至り、寿命が短い
という欠点があった。
【0004】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、研削面への被削材の焼き付きや固着が防止できるメ
タルボンド砥石、およびその製造方法を提供することを
課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明に係るメタルボンド砥石は、金属結合相中に
超砥粒を分散してなるメタルボンド砥粒層を備えたメタ
ルボンド砥石であって、前記金属結合相は、20〜95
wt%のCu、5〜50wt%のSn、および0.5〜
3wt%の酸素を含有する焼結合金で形成されているこ
とを特徴とする。
【0006】なお、金属結合相は、さらにFe,Ni,
Co,W,Ti,Agから選択される1種または2種以
上の金属を含有してもよい。また、超砥粒は前記金属結
合相中で互いにほぼ均等な間隔を空けて3次元的に分散
配置されるとともに、前記金属結合相は、個々の超砥粒
の外周をそれぞれ球殻状に包囲するほぼ一定径の球殻状
部分を有し、隣接しあう球殻状部分が互いの接触面で連
続して前記金属結合相が構成されていてもよい。
【0007】一方、本発明に係るメタルボンド砥石の製
造方法は、超砥粒の表面に無電解めっき法により金属め
っき層を形成してめっき砥粒を作製するめっき工程と、
前記めっき砥粒を、これらめっき砥粒よりいずれも平均
粒径が小さいCu粉末およびSn粉末を主原料とする混
合粉末と混合し、酸素存在下において加圧転動運動を加
え、機械的な摩擦圧接作用によって前記金属めっき層上
に前記各金属の混合粉末を圧着させることにより、前記
めっき砥粒の外周に圧着被覆層を形成して金属被覆砥粒
を作製し、しかもその過程で前記混合粉末に酸素を含有
させる圧着被覆工程と、前記金属被覆砥粒を圧粉成形お
よび焼結、あるいはホットプレスすることにより前記圧
着被覆層を結合させ、20〜95wt%のCu、5〜5
0wt%のSn、および0.5〜3wt%の酸素を含有
する焼結合金とし、これによりメタルボンド砥粒層を形
成する成形工程とを具備することを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明に係るメタルボンド砥石によれば、金属
結合相が20〜95wt%のCu、5〜50wt%のS
n、および0.5〜3wt%の酸素を含有する焼結合金
で形成されているため、金属結合相の被削材に対する濡
れ性および反応性が低い。これにより、研削中に被削材
が砥石研削面に焼き付くことが少ない。
【0009】また、本発明に係るメタルボンド砥石の製
造方法によれば、圧着被覆工程において、機械的な摩擦
圧接作用によりめっき砥粒上に各金属の混合粉末を圧着
させながら、前記混合粉末に酸素を含有させるので、酸
素含有量が内部までほぼ均一な圧着被覆層を形成するこ
とができる。このような圧着被覆層を有する金属被覆砥
粒を成形・焼結することにより、全域に亙って酸素含有
量がほぼ一様な金属結合相が形成できるから、研削によ
り金属結合相が漸次磨耗していく場合にも、被削材に対
する金属結合相の濡れ性および反応性は常に低く保た
れ、長時間に亙って安定した焼き付きや固着防止効果が
得られる。
【0010】
【実施例】次に、本発明に係るメタルボンド砥石および
その製造方法の実施例を詳細に説明する。図1は第1実
施例のメタルボンド砥石のメタルボンド砥粒層1を示す
断面拡大図である。本発明はこのメタルボンド砥粒層1
の構造に特徴を有するものであるから、砥粒層1のみに
より砥石が構成されていてもよいし、適当な砥石基体に
砥粒層1が固定されていてもよい。本発明では砥石の形
状も限定されず、従来使用されているいかなる形式およ
び形状の砥石にも適用可能である。
【0011】メタルボンド砥粒層1は、ダイヤモンドま
たはCBN等の超砥粒2を、金属結合相4中において、
互いにほぼ均等な間隔を空けて3次元的に分散配置して
なるもので、金属結合相4は、個々の超砥粒2の外周を
それぞれ球殻状に包囲するほぼ一定径の球殻状部分4A
を有し、これら球殻状部分4Aが互いの接触面で連続す
ることにより金属結合相4が構成されている。また、球
殻状部分4Aは、超砥粒2の外周に直接形成された薄い
金属めっき層3と、その外周に設けられた燒結合金層と
により構成されている。ただし、金属めっき層3とその
外周の焼結合金層とは明瞭な境界を有するものではな
く、実際には相互に拡散しあうことにより境界が不明瞭
になっていてもよい。球殻状部分4Aの境界面5も同様
である。
【0012】金属結合相4は、Cuを20〜95wt
%、より好ましくは35〜70wt%、Snを5〜50
wt%、より好ましくは10〜30wt%、および酸素
を0.5〜3wt%、より好ましくは1〜2wt%それ
ぞれ含有している。これら元素以外に、Fe,Ni,C
o,W,Ti,Agから選択される1種または2種以上
の金属を望ましくは50wt%以下含有してもよいし、
その他少量の不可避不純物や、必要に応じては添加元素
またはフィラーを含んでいてもよい。なお、金属めっき
層3の金属結合相4中に占める割合は小さいので、金属
結合相4の組成は焼結合金層の組成と考えてよい。
【0013】金属めっき層3は、燒結金属層と超砥粒2
との接合性を高めるために形成されたもので、無電解め
っき法(場合によってはさらに電解めっきを行ってもよ
い)により超砥粒2の外周面に形成されている。金属め
っき層3の材質としてはCu,Ni,Co,Ag等、特
に好適にはCuが選択され、その厚さは製造上の理由か
ら2〜20μm程度とされている。
【0014】金属結合相4中のSn含有量が5wt%よ
り少ないと焼結性が不足する問題を生じ、50wt%を
越えると金属結合相4が脆弱化して砥石として使用でき
なくなる。一方、金属結合相4中のCuの含有量が20
wt%より少ないと脆弱化して砥石を成形できない問題
を生じ、95wt%を越えると焼結が困難になるという
問題を生じる。
【0015】金属結合相4中における酸素原子の存在形
態は明らかではないが、Cu,Sn等の酸素固溶金属相
または金属酸化物として存在するものと考えられ、酸素
原子の分布は、焼結合金層の全域に亙ってほぼ均一であ
ることが望ましい。金属結合相4中の酸素含有量が0.
5wt%未満であると、焼き付きや固着の防止効果が得
られず、3wt%より多いと金属結合相4の強度が不足
して十分な砥粒保持力が得られない。
【0016】球殻状部分4Aの平均外径、すなわち超砥
粒2の離間ピッチは、超砥粒2の平均粒径の1.2〜4
倍、より好ましくは1.5〜2倍とされており、これに
より超砥粒2の集中度は、50〜250程度に設定され
ていることが望ましい。超砥粒2の集中度が50未満で
あると切刃密度が不足して切れ味が低下し、250より
大の砥石は金属結合相4による砥粒保持力が不足して製
造困難である。
【0017】上記構成からなるメタルボンド砥石によれ
ば、金属結合相4が20〜95wt%のCu、5〜50
wt%のSn、および0.5〜3wt%の酸素を含有す
る焼結合金で形成されているため、被削材に対する金属
結合相4の濡れ性および反応性が低い。これにより、研
削中に被削材が砥石研削面に焼き付くことが防止でき、
切れ味の早期低下を防ぐことが可能で、砥石寿命の延長
が図れる。しかも、金属結合相4の全域に亙って上記組
成が保たれているので、金属結合相4が漸次磨耗してい
っても焼き付き防止作用が変化せず、長期に亙って安定
した効果が得られる。
【0018】また、個々の超砥粒2の間隔が球殻状部分
4Aの厚さで規定されているため、研削面における超砥
粒2の分布が従来の砥石に比して均一で、切れ味のばら
つきが少ないうえ、研削精度のばらつきも低減できる。
【0019】なお、図1の例ではメタルボンド砥粒層1
がほぼ無気孔であったが、その代わりに、図2に示すよ
うに、球殻状部分4Aの境界面5に沿って独立気孔6が
形成されていてもよい。このような独立気孔6の大きさ
や存在量は、メタルボンド砥粒層1を成形する際の条件
によりある程度調整可能である。メタルボンド砥粒層1
内に独立気孔6を形成する場合、その気孔率は5〜30
vol%であることが望ましい。この範囲であれば、金
属結合相4の強度をほとんど低下することなく、研削面
からの切粉排出性や、研削液による砥石の冷却性を高め
ることができ、結果的に切れ味をいっそう向上すること
が可能である。
【0020】次に、上記メタルボンド砥石の製造方法の
実施例を図3および図4を用いて説明する。この方法で
はまず、図3(a)に示すような超砥粒2を用意し、無
電解めっき法によりその外周面に金属めっき層3を形成
し、図3(b)に示すようなめっき砥粒10を作製す
る。金属めっき層3の好適な厚さは先に述べたように製
造上の理由から2〜20μm程度である。2μm未満で
は圧着被覆層11の形成が困難になり、20μmより厚
いとコスト的に無駄が生じることによる。
【0021】金属めっき層3は無電解めっき法のみによ
って形成することも可能であるが、必要に応じては、無
電解めっき後にさらに電解めっきを施して金属めっき層
3を厚肉化してもよい。なお、超砥粒2の形状は、後述
する加圧攪拌中のめっき砥粒10の転がり性を向上し、
圧着被覆層11の均一形成を容易にするため、球状に近
い方が好ましいが、極端な鱗片状でない限り、不定形の
砥粒を用いても圧着被覆層11は十分形成可能である。
【0022】次に、めっき砥粒10の外周に厚い圧着被
覆層11を形成して、図3(c)に示すような金属被覆
砥粒12を作製する(圧着被覆工程)。具体的には、め
っき砥粒10と、これらめっき砥粒10よりいずれも平
均粒径が小さいCu粉末、Sn粉末、並びに必要に応じ
てFe,Ni,Co,W,Ti,Agから選択される1
種または2種以上の金属粉末とを混合し、この混合物に
酸素存在下で加圧転動運動を加え、機械的な摩擦圧接作
用によって金属めっき層3上に金属粉末を圧着させる。
同時に、その過程で金属粉末の一部の固溶酸素量を増大
させ、または/および金属粉末の一部を酸化させ、圧着
被覆層11内に酸素固溶金属相または/および金属酸化
物を生成させる。酸素存在雰囲気としては空気中でよい
が、他の酸化性ガスを適度に不活性ガスで希釈して使用
してもよい。
【0023】図4は上記圧着被覆工程で使用する加圧転
動装置の一例を示す。図中符号20は軸線を水平にして
設置された円筒状のドラムであり、軸線を中心として駆
動機により回転される。ドラム20の内部には、軸線に
沿って固定シャフト21が配置され、このシャフト21
には下向きに加圧アーム22が固定され、その下端に
は、ドラム20の内面と平行な円弧状をなす加圧板23
が固定され、この加圧板23とドラム20内面との間に
は、一定の間隙が形成されている。また、加圧アーム2
2よりドラム回転方向後方側には、斜め下方に延びる掻
き取りアーム24が固定され、その下端は刃先状に形成
され、ドラム20内面に付着した粉体を掻き落とす作用
を果たす。
【0024】圧着被覆を行なうには、めっき砥粒10と
前記金属粉末とを所定の割合でドラム20に入れ、その
開口部を蓋(図示略)で塞ぐことにより、ドラム20を
密閉する。なお、使用する金属粉末の平均粒径は0.1
〜50μmであることが望ましい。0.1μm未満では
圧着被覆と同時に金属粉末同士の凝集が起こり易くな
り、圧着被覆層の形成が困難になる。逆に、50μmよ
り大では、めっき砥粒10が中心核になりにくく、金属
粉末同士の圧着凝集が起こり好ましくない。
【0025】ドラム20内に投入するめっき砥粒10と
金属粉末との混合比は、形成すべき圧着被覆層3の厚さ
に応じて決定されるが、効率良く圧着被覆層を形成する
には体積比で、 めっき砥粒量:金属粉末量=10:1〜1:5 程度が好ましい。1回の圧接被覆では被覆厚さが足りな
い場合には、途中で金属粉末を追加して圧着被覆を続行
すればよい。
【0026】混合粉末をドラム20に投入した状態でド
ラム20を回転させると、混合粉体が加圧板23とドラ
ム20の隙間で加圧され、粒子同士の衝突および摩擦に
よって各粒子の界面に局所的な発熱および衝撃力、延性
力が生じ、めっき砥粒10の表面に金属粉末が団子状に
固着する。
【0027】ドラム20の内面に付着した粉体は掻き取
りアーム24で粉砕され、未付着の金属粉末は再び加圧
板23でめっき砥粒10の表面に団子状に固着される。
この作業を一定時間繰り返すことにより、金属粉末はめ
っき砥粒10の表面に順次圧着被覆され、球殻状の圧着
被覆層11が形成され、金属被覆砥粒12となる。
【0028】次に、得られた金属被覆砥粒12を、周知
のプレス装置により圧粉成形したうえで加熱炉により焼
結するか、あるいは周知のホットプレス装置によりホッ
トプレスし、所望の砥石形状に成形する(成形工程)。
この時の成形条件は、所望の気孔率に応じて実験的に適
宜設定すべきである。
【0029】上記構成からなる砥石製造方法によれば、
圧着被覆工程において、機械的な摩擦圧接作用によりめ
っき砥粒10上に金属粉末を圧着させながら、金属粉末
の一部に酸素を固溶または/および金属粉末の一部を酸
化させるので、酸素含有量が内部までほぼ均一な圧着被
覆層11を形成することができる。このような圧着被覆
層11を有する金属被覆砥粒12を成形・焼結すること
により、全域に亙って酸素含有量がほぼ一様な金属結合
相4が形成できるから、研削により金属結合相4が漸次
磨耗していく場合にも、被削材に対する金属結合相4の
濡れ性および反応性は常に低く保たれ、長時間に亙って
安定した焼き付き防止効果を奏するメタルボンド砥石が
容易に製造できる。
【0030】なお、上述した砥石製造方法において、圧
着被覆層11を形成するための金属粉末に各種フィラー
を添加しても良い。その場合には、成形後の砥石に、フ
ィラー種に応じた機能を付与することが可能である。例
えば、フィラーとしてカーボン粉を金属粉末に混合して
おくことにより、金属結合相4中に5〜20wt%程度
のカーボン粒子を添加すれば、得られた砥石を研削に使
用した際に研削面に徐々にカーボン粉が供給されるた
め、潤滑性向上による研削抵抗の削減および砥粒の自生
発刃作用の促進による切れ味向上を図ることができる。
【0031】同様に圧着被覆層11の一部または全てに
SiCやAl23等の硬質粒子を添加しておけば、金属
結合相4中に硬質粒子を分散させ、個々の超砥粒2の周
囲に均一に配置することができるから、超砥粒2の保持
力を高めるなどの機能を効果的に付与することが可能で
ある。
【0032】
【実験例】次に、実験例を挙げて本発明の効果を実証す
る。 (実験例1)粒度#200/230(75/63μm)
のCBN砥粒に、無電解めっき法によりCuを約5μm
の厚さにめっきした。このめっき砥粒と、平均粒径5μ
mのCu粉末およびSn粉末を、図4の装置に投入し、
ドラム20を回転させて圧着被覆層を形成した。圧着被
覆条件は、加圧板23とドラム20とのクリアランス:
1.0mm、ドラム回転数:1200rpm、ドラム内
雰囲気:空気、処理時間:1時間とした。得られた金属
被覆砥粒中のCBN体積率は25vol%だった。また
圧着被覆層中のCuとSnの割合は、85wt%Cu−
15wt%Snであった。
【0033】次に、金属被覆砥粒をプレス成形したう
え、650℃の窒素雰囲気下で30分焼結し、外径20
0mm、厚さ20mm、砥粒層研削面の幅3mm、砥粒
層の厚さ3mm、内径75mmのカップ型砥石を作製し
た。得られた金属結合相中の酸素含有率を酸素・窒素・
水素分析装置で測定したところ1.2wt%であった。
【0034】(比較例1)一方、実験例1と同じCBN
砥粒および金属粉末を、実験例1と同じ体積率になるよ
うに調合し、混合機で均一に混合したうえ、後は全く同
一の条件で同一形状のカップ型砥石を作製した。得られ
た金属結合相中の酸素含有率を酸素・窒素・水素分析装
置で測定したところ、0.3wt%であった。
【0035】(研削試験)上記実験例1および比較例1
の各カップ型砥石を用いて、下記条件で研削試験を行な
い、研削比と研削抵抗をそれぞれ測定した。 使用機械:立軸ロータリー研削盤 砥石周速:1300m/min テーブル送り:15rpm 切り込み:30μm 研削液:ソリュブル50倍液 被削材:SKD−11(HRC45)
【0036】その結果を表1に示す。なお表中の研削比
は、被削材を300cm3加工した時点での次式の値で
ある。 研削比=(被削材研削量(cm3))/(砥石磨耗量
(cm3)) また、研削抵抗は、300cm3加工の時点での値であ
る。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかなように、実験例1の研削
比は比較例1の18倍もの値を示しており、砥石の磨耗
が顕著に低減された。また、研削抵抗が62%程度にま
で低減できた。これは、砥石研削面への被削材の焼き付
きが少なく、被削材の焼き付きに起因する砥粒層の異常
磨耗や研削抵抗の上昇が防止できたことによる。また、
図5は実験例1の研削試験後の研削面を示す写真、図6
は比較例1の研削試験後の研削面を示す写真である。こ
れらの写真の比較から明らかなように、実験例1の砥石
では研削面への被削材の付着が殆ど見られない。
【0039】(実験例2)粒度#270/325(53
/45μm)のダイヤモンド砥粒に、無電解めっき法に
よりCuを約3μmの厚さにめっきした。このめっき砥
粒と、平均粒径3μmのCu粉末および平均粒径5μm
のSn粉末を、図4の装置に投入し、ドラム20を回転
させて圧着被覆層を形成した。圧着被覆条件は、加圧板
23とドラム20とのクリアランス:0.5mm、ドラ
ム回転数:1500rpm、ドラム内雰囲気:空気、処
理時間:1時間とした。得られた金属被覆砥粒中のダイ
ヤモンド体積率は20vol%だった。また圧着被覆層
中のCuとSnの割合は、80wt%Cu−20wt%
Snであった。
【0040】次に、金属被覆砥粒をプレス成形したう
え、600℃の窒素雰囲気下で30分焼結し、外径20
0mm、厚さ10mm、砥粒層の厚さ3mm、内径5
0.8mmのストレート型砥石を作製した。得られた金
属結合相中の酸素含有率を酸素・窒素・水素分析装置で
測定したところ、1.6wt%であった。
【0041】(比較例2)一方、実験例2と同じダイヤ
モンド砥粒および金属粉末を、実験例2と同じ体積率に
なるように調合し、混合機で均一に混合したうえ、後は
全く同一の条件で同一形状のストレート型砥石を作製し
た。得られた金属結合相中の酸素含有率を酸素・窒素・
水素分析装置で測定したところ、0.4であった。
【0042】(研削試験)上記実験例2および比較例2
の各ストレート型砥石を用いて、下記条件で研削試験を
行ない、研削比と研削抵抗をそれぞれ測定した。 使用機械:岡本平面研削盤「PSG52DXNC」(商
品名) ホイール周速:1500m/min テーブル送り:10m/min 切り込み:150μm クロス送り量:5μm 研削液:ソリュブル50倍液 被削材:ソーダガラス 結果を表2に示す。表中の研削比および研削抵抗は表1
の場合と同じである。
【0043】
【表2】
【0044】表2に示すように、実験例2の研削比は比
較例2の約2倍であり、砥石の磨耗が顕著に低減され
た。また、研削抵抗も若干低減できた。被削材がガラス
の場合には砥石研削面へのガラス切粉の固着が激しく、
そのために砥粒層の異常磨耗が生じやすいが、実験例2
の砥石では切粉排出性が向上され、砥石研削面へのガラ
ス切粉の固着が低減され、それに起因する砥粒層の異常
磨耗を防止することができた。
【0045】(実験例3)粒度#140/170(10
6/90μm)のダイヤモンド砥粒に、無電解めっき法
によりCuを約10μmの厚さにめっきした。このめっ
き砥粒と、平均粒径10μmのCu粉末およびSn粉末
を、図4の装置に投入し、ドラム20を回転させて圧着
被覆層を形成した。圧着被覆条件は、加圧板23とドラ
ム20とのクリアランス:0.5mm、ドラム回転数:
1000rpm、ドラム内雰囲気:空気、処理時間:1
時間とした。得られた金属被覆砥粒中のダイヤモンド体
積率は25vol%だった。また圧着被覆層中のCuと
Snの割合は、80wt%Cu−20wt%Snであっ
た。
【0046】次に、金属被覆砥粒をプレス成形したう
え、600℃の窒素雰囲気下で30分焼結し、外径20
0mm、厚さ10mm、砥粒層の厚さ3mm、内径5
0.8mmのストレート型砥石を作製した。得られた金
属結合相中の酸素含有率を酸素・窒素・水素分析装置で
測定したところ、0.8wt%であった。
【0047】(比較例3)一方、実験例3と同じダイヤ
モンド砥粒および金属粉末を、実験例3と同じ体積率に
なるように調合し、混合機で均一に混合したうえ、後は
全く同一の条件で同一形状のストレート型砥石を作製し
た。得られた金属結合相中の酸素含有率を酸素・窒素・
水素分析装置で測定したところ、0.2wt%であっ
た。
【0048】(研削試験)上記実験例3および比較例3
の各ストレート型砥石を用いて、下記条件で研削試験を
行ない、研削開始からの研削抵抗の変化を記録した。結
果を表3に示す。 使用機械:円筒研削盤 ホイール周速:1500m/min テーブル送り:10m/min 切り込み:50μm 研削液:ソリュブル50倍液 被削材:98%アルミナ 被削材回転数:30rpm
【0049】
【表3】
【0050】表3に示すように、比較例3では研削開始
直後から漸次研削抵抗が上昇していき、やがて研削不能
に陥ったのに対し、実験例3では最後まで研削抵抗が殆
ど変化しなかった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るメタ
ルボンド砥石によれば、金属結合相が20〜95wt%
のCu、5〜50wt%のSn、および0.5〜3wt
%の酸素を含有する焼結合金で形成されているため、金
属結合相の被削材に対する濡れ性および反応性が低い。
これにより、研削中に被削材が砥石研削面に焼き付いた
り固着することが防止できる。
【0052】また、本発明に係るメタルボンド砥石の製
造方法によれば、圧着被覆工程において、機械的な摩擦
圧接作用によりめっき砥粒上に各金属の混合粉末を圧着
させながら混合粉末に酸素を含有させるので、酸素含有
量が内部までほぼ均一な圧着被覆層を形成することがで
きる。このような圧着被覆層を有する金属被覆砥粒を成
形・焼結することにより、全域に亙って酸素含有量がほ
ぼ一様な金属結合相が形成できるから、研削により金属
結合相が漸次磨耗していく場合にも、被削材に対する金
属結合相の濡れ性および反応性は常に低く保たれ、長時
間に亙って安定した焼き付き防止効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメタルボンド砥石の一実施例を示
す断面拡大図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す断面拡大図である。
【図3】本発明に係るメタルボンド砥石の製造方法の一
実施例の説明図である。
【図4】同実施例の圧着被覆工程で使用する加圧転動装
置を示す概略図である。
【図5】実験例1のメタルボンド砥石の研削試験後の研
削面の拡大写真である。
【図6】比較例1のメタルボンド砥石の研削試験後の研
削面の拡大写真である。
【符号の説明】
1 メタルボンド砥粒層 2 超砥粒 3 金属めっき層 4 金属結合相 4A 球殻状部分 5 境界面 6 独立気孔 10 めっき砥粒 11 圧着被覆層 12 金属被覆砥粒 20 ドラム 23 加圧板 24 掻き取りアーム

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属結合相中に超砥粒を分散してなるメタ
    ルボンド砥粒層を備えたメタルボンド砥石であって、 前記金属結合相は、20〜95wt%のCu、5〜50
    wt%のSn、および0.5〜3wt%の酸素を含有す
    る焼結合金で形成されていることを特徴とするメタルボ
    ンド砥石。
  2. 【請求項2】前記金属結合相は、さらにFe,Ni,C
    o,W,Ti,Agから選択される1種または2種以上
    の金属を含有することを特徴とする請求項1記載のメタ
    ルボンド砥石。
  3. 【請求項3】前記超砥粒は前記金属結合相中で互いにほ
    ぼ均等な間隔を空けて3次元的に分散配置されるととも
    に、前記金属結合相は、個々の超砥粒の外周をそれぞれ
    球殻状に包囲するほぼ一定径の球殻状部分を有し、隣接
    しあう球殻状部分が互いの接触面で連続して前記金属結
    合相が構成されていることを特徴とする請求項1または
    2記載のメタルボンド砥石。
  4. 【請求項4】前記球殻状部分相互の境界には独立気孔が
    形成され、これにより前記メタルボンド砥粒層の気孔率
    が5〜30vol%とされていることを特徴とする請求
    項3記載のメタルボンド砥石。
  5. 【請求項5】前記球殻状部分の平均外径は、前記超砥粒
    の平均粒径の1.2〜4倍とされていることを特徴とす
    る請求項3または4記載のメタルボンド砥石。
  6. 【請求項6】超砥粒の表面に無電解めっき法により金属
    めっき層を形成してめっき砥粒を作製するめっき工程
    と、 前記めっき砥粒を、これらめっき砥粒よりいずれも平均
    粒径が小さいCu粉末およびSn粉末を主原料とする混
    合粉末と混合し、酸素存在下において加圧転動運動を加
    え、機械的な摩擦圧接作用によって前記金属めっき層上
    に前記各金属の混合粉末を圧着させることにより、前記
    めっき砥粒の外周に圧着被覆層を形成して金属被覆砥粒
    を作製し、しかもその過程で前記混合粉末に酸素を含有
    させる圧着被覆工程と、 前記金属被覆砥粒を圧粉成形および焼結、あるいはホッ
    トプレスすることにより前記圧着被覆層を結合させ、2
    0〜95wt%のCu、5〜50wt%のSn、および
    0.5〜3wt%の酸素を含有する焼結合金とし、これ
    によりメタルボンド砥粒層を形成する成形工程とを具備
    することを特徴とするメタルボンド砥石の製造方法。
JP6575294A 1994-03-09 1994-03-09 メタルボンド砥石およびその製造方法 Withdrawn JPH07246562A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6575294A JPH07246562A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 メタルボンド砥石およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6575294A JPH07246562A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 メタルボンド砥石およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07246562A true JPH07246562A (ja) 1995-09-26

Family

ID=13296077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6575294A Withdrawn JPH07246562A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 メタルボンド砥石およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07246562A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004001165A (ja) * 2002-04-11 2004-01-08 Showa Denko Kk 金属被覆研削材、金属被覆研削材を用いた砥石および金属被覆研削材の製造方法
US7157152B2 (en) * 2002-06-13 2007-01-02 Nihon New Chrome Co., Ltd. Copper-tin-oxygen alloy plating
US7867625B2 (en) 2002-06-13 2011-01-11 Nihon New Chrome Co., Ltd. Copper-tin-oxygen alloy plating
JP2014004674A (ja) * 2012-06-01 2014-01-16 Jtekt Corp 砥石の製造方法および砥石

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004001165A (ja) * 2002-04-11 2004-01-08 Showa Denko Kk 金属被覆研削材、金属被覆研削材を用いた砥石および金属被覆研削材の製造方法
US7157152B2 (en) * 2002-06-13 2007-01-02 Nihon New Chrome Co., Ltd. Copper-tin-oxygen alloy plating
US7867625B2 (en) 2002-06-13 2011-01-11 Nihon New Chrome Co., Ltd. Copper-tin-oxygen alloy plating
JP2014004674A (ja) * 2012-06-01 2014-01-16 Jtekt Corp 砥石の製造方法および砥石

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4173573B2 (ja) 多孔質砥粒砥石の製造方法
CA2272258C (en) Abrasive tool
JPH072307B2 (ja) メタルボンドダイヤモンド砥石
JPS6121187B2 (ja)
JPH09103965A (ja) 多孔質超砥粒砥石とその製造方法
KR100407227B1 (ko) 복합본드숫돌 및 수지결합상을 보유하는 숫돌
JP3791254B2 (ja) 複合ボンド砥石
JPH07246562A (ja) メタルボンド砥石およびその製造方法
JP2987485B2 (ja) 超砥粒砥石及びその製造方法
JP3006933B2 (ja) 超砥粒研削砥石
JP3052603B2 (ja) 多孔質メタルボンド砥石
JP3513547B2 (ja) 単結晶ダイヤモンド又はダイヤモンド焼結体研磨用砥石及び同研磨方法
JP7261246B2 (ja) 高硬質脆性材用メタルボンド砥石
JPS6339381B2 (ja)
JPH10296636A (ja) メタルボンド砥石
JP3751160B2 (ja) 硬質素材の砥粒緻密化構造
JPH071339A (ja) 多孔質メタルボンド砥石およびその製造方法
JP2002059367A (ja) メタルボンドダイヤモンド砥石及びその製造方法
JP3035644B2 (ja) 金属被覆砥粒、その製造方法、およびメタルボンド砥石の製造方法
JPH0775972A (ja) 多孔質メタルボンド砥石の製造方法
JPH0679633A (ja) メタルボンド砥石及びその製造方法
JP2000326234A (ja) バリ取り用超砥粒ホイール
JPH05177548A (ja) Al基メタルボンド砥石
JP2931128B2 (ja) メタルボンド砥石の遠心焼成法
JP2003089064A (ja) ロータリツルーア及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010605