JP2014004674A - 砥石の製造方法および砥石 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】cBN砥粒1に第1被覆層2を成形した後に、第1被覆層2の外側に第1被覆層2より小さな圧力で塑性変形する第2被覆層3を形成することにより被覆粒子4を製造する。
この被覆砥粒4を用いて所定形状に加圧成形する際の圧力を、第2被覆層3を塑性変形させる圧力以上の圧力とする。この加圧により、第2被覆層3は変形流動し、第1被覆層2同士が接触し、流動した第2被覆層3は被覆砥粒4の隙間に移動した構造の成形物6を成形する。
これを焼結することで、cBN砥粒1は第1被覆層2の外形半径の大きさで決まる所定の距離を隔てて分散し、その間に空孔が所望の密度で配置された構造を備えた砥石を製造できる。
【選択図】図3
Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、添加物の分布場所と分布密度を所望の値にでき、さらに、空孔の密度を所望の値にできる砥石の製造方法および砥石の提供を目的とする。
前記被覆砥粒を、所定形状に充填した後に、前記外被覆層が変形する以上の圧力で加圧して成形物を製造する加圧成形工程と、
前記成形物を焼結する焼結工程からなることである。
前記被覆砥粒を所定形状に充填した後に、前記外被覆層が変形する以上の圧力で加圧して成形物を製造し、
前記成形物を焼結して製造することである。
第1実施形態として、第2被覆層が第1被覆層より小さな圧力で変形する場合の説明をする。
はじめに、被覆工程の詳細を説明する。
図1において、第1被覆層2は、粒径数μm以下のガラス粉末とポリアクリル酸アンモニウム塩などのバインダーと可塑剤としてポリエチレングリコールなどを混合したものであり、cBN砥粒1(砥粒)に付着させて形成する。
次に、第1被覆層2と構成材料は同じであるが可塑剤であるポリエチレングリコールの量が第1被覆層2に含まれる量より多く配合された第2被覆層3を、第1被覆層2の上に付着させて被覆砥粒4を形成する。
この被覆砥粒4は以下の特性を備えている。第2被覆層3は、第1被覆層2より可塑性が大きく、被覆砥粒4に第2被覆層3が塑性変形する圧力以上の圧力を加えると、第2被覆層3は大きく塑性変形する。一方、第1被覆層2は変形しないか、したとしても変形量は小さい。
被覆砥粒4を所望の形状をした金型に充填すると、図2に示すように、各被覆砥粒4は第2被覆層3の外周で互いに接触し、被覆粒子4の粒径と形状に応じた所定の隙間5を備えた状態となる。
次に、押し型を介して加圧して成形物6を成形する(図3参照)。加圧力は第2被覆層3が塑性変形する最低の圧力より大きな圧力であればよいが、ここではさらに、第1被覆層2の塑性変形する最低の圧力より小さな圧力とする。こうすることで、図3に示すように、成形物6は、第2被覆層3が塑性変形して第1被覆層2の外周で互いに接触した組織となる。この時、接触部の第2被覆層3は隙間5を埋めるように流動し、隙間5の体積を減少させる。この減少の度合いは第2被覆層3の厚さを調整することで制御できる。例えば、被覆砥粒4の形状が球に近い場合は、第2被覆層3を備えないとき、つまり第2被覆層3の厚さがゼロのときの隙間の体積比率は25%程度となる。第2被覆層3の厚さを第1被覆層2の外形半径の6%程度の厚さとしたときの隙間の体積比率は0%となる。この2つの条件の間で、第2被覆層3の厚さを選定することで25%以下の所望の隙間の体積比率を備えた成形物6を製造できる。
成形物6を成形後バインダーと可塑剤の揮発温度以上の所定温度で脱脂処理する。
また、可塑剤としてポリエチレングリコールを配合した例を示したが、グリセリン、プロピレングリコールなどを可塑剤として用いてもよい。
加圧力を第1被覆層が変形する圧力より大きくしてもよい、この場合は第1被覆層、第2被覆層共に変形するが、第1被覆層の変形量は小さいので、同様の効果を期待できる。
第2被覆層の変形として塑性変形の例を示したが、割れや破砕による変形でもよい。
また、cBN砥粒1に換えてダイヤモンド砥粒を用いてもよい。
第2実施形態について説明する。これは、第1被覆層と第2被覆層の構成材料を異ならせることで所望の材料が所望の場所に分布した砥石の構造を実現するものである。
図5において、第1被覆層12は、粒径数μm以下のガラス粉末とポリアクリル酸アンモニウム塩などのバインダーと可塑剤としてポリエチレングリコールなどを混合したものであり、cBN砥粒11に付着させて形成する。
次に、第1被覆層12の上に、粒径数μm以下のガラス粉末とムライト、アルミナ、酸化チタン、珪酸ジルコニウム等の粒径数μm以下の硬質粒子の混合粉と、上記バインダーと、第1被覆層2に含まれる量より多くの上記可塑剤が配合された第2被覆層13を形成する。
しかし、本実施形態の被覆砥粒においては、cBN砥粒11の周囲はガラスのみであるため、焼成時に軟化したガラスが十分に流動してcBN砥粒11の全面に密着する。このため、このビトリファイドボンド砥石19は、図7に示すように、cBN砥粒11の全面に密着したガラス層17と、cBN砥粒11から離れた部分ではガラスに添加粒子が混在する混合層18から成るボンド層が形成され、混合層18の中に空孔7が分散した構造を備えている。
すなわち、本実施形態のビトリファイドボンド砥石19は、cBN砥粒11と密着性が良いため砥粒保持力が強いガラス層17と、硬質粒子を含むため耐磨耗性が高い混合層18の2層構造から成るボンド層を備えている。
また、cBN砥粒11に換えてダイヤモンド砥粒を用いてもよい。
第1被覆層の組成が異なる以外は第2実施形態と同じなので、製造方法については被覆工程のみについて説明する。
図8に模式的に示すように、被覆砥粒24はcBN砥粒21の外側にガラス粉末と、cBN粉末と、ポリアクリル酸アンモニウム塩などのバインダーと、可塑剤としてポリエチレングリコールなどを混合した第1被覆層22を備える。第1被覆層22の外側にガラスと硬質粒子(添加物)と、上記バインダーと、第1被覆層2に含まれる量より多くの上記可塑剤が配合された第2被覆層23を備えている。
結果として、高能率研削において第2実施形態よりもさらに消耗の少ないビトリファイドボンド砥石27を実現できる。
次に、第1被覆層32の上に、粒径数μm以下のガラス粉末とムライト、アルミナ、酸化チタン、珪酸ジルコニウム等の粒径数μm以下の硬質粒子と、上記バインダーと、可塑剤としてポリエチレングリコールの混合物を接着後乾燥させて第2被覆層33を形成する。
さらに、第2被覆層33の上に、第2被覆層33と構成材料は同じであるが可塑剤であるポリエチレングリコールの量が第2被覆層33に含まれる量より多く配合された第3被覆層34を、第2被覆層33の上に付着させて被覆砥粒35を形成する。
その後バインダーと可塑剤の揮発温度以上の所定温度で脱脂処理する。
さらに、cBN砥粒31同士は第1被覆層32の外形半径の大きさで決まる所定の距離を隔ててボンド層38に分散し、ボンド層38の中に隙間5を元に生じた空孔7が所望の比率で分散配置された構造を備えている。
すなわち、cBN砥粒31と密着性が良いため砥粒保持力が強いが耐摩耗性に劣るガラス層37の厚さを薄くすることで、添加粒子が混在しているため耐磨耗性の高いボンド層38をcBN砥粒31にできるだけ接近させ摩耗に弱い部分を少なくし、結果として耐磨耗性の高いビトリファイドボンド砥石39を実現している。
Claims (11)
- 砥粒の外側に第1被覆層を成形した後に、前記第1被覆層の外側に前記第1被覆層より小さな圧力で変形する少なくも1層の外被覆層を形成して被覆砥粒を製造する被覆工程と、
前記被覆砥粒を、所定形状に充填した後に、前記外被覆層が変形する以上の圧力で加圧して成形物を製造する加圧成形工程と、
前記成形物を焼結する焼結工程からなる砥石の製造方法。 - 前記外被覆層の厚さを調整することで、前記砥石における空孔の密度を調整する請求項1に記載の砥石の製造方法。
- 前記第1被覆層に含まれる可塑剤の量が、前記外被覆層に含まれる可塑剤の量より少ない請求項1または請求項2に記載の砥石の製造方法。
- 前記第1被覆層が、ガラスを含み、前記ガラスの軟化点以上の温度で焼結して成形される請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の砥石の製造方法。
- 前記第1被覆層がガラスから成り、前記外被覆層がガラスと添加物の混合物から成る請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の砥石の製造方法。
- 前記第1被覆層がガラスとcBN粒から成り、前記外被覆層がガラスのみまたはガラスと添加物の混合物から成る請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の砥石の製造方法。
- cBNまたはダイヤモンドの砥粒に第1被覆層を成形した後に、前記第1被覆層の外側に前記第1被覆層より小さな圧力で変形する少なくも1層の外被覆層を形成して被覆砥粒を製造し、
前記被覆砥粒を所定形状に充填した後に、前記外被覆層が変形する以上の圧力で加圧して成形物を製造し、
前記成形物を焼結して製造する砥石。 - 前記第1被覆層が、ガラスを含み、前記ガラスの軟化点以上の温度で焼結して成形される請求項7に記載の砥石。
- 前記第1被覆層がガラスから成り、前記外被覆層がガラスと添加物の混合物から成る請求項7または請求項8に記載の砥石。
- 前記第1被覆層がガラスとcBN粒から成り、前記外被覆層がガラスのみまたはガラスと添加物の混合物から成る請求項7または請求項8に記載の砥石。
- 前記外被覆層の厚さを調整することで、空孔の密度を調整する請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の砥石。
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