JP6756994B1 - 積層造形用粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物焼結体の製造方法 - Google Patents

積層造形用粉末、積層造形物の製造方法及び積層造形物焼結体の製造方法 Download PDF

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【課題】 積層造形法により超硬合金又はサーメットの焼結体を製造する際、造形ステージに粉末を均一かつ平滑な薄層状に敷詰めるように適切な流動性するとともに、緻密でかつ材料組織が均一で寸法精度のよい造形物焼結体を製造可能な積層造形用粉末を提供する。【解決手段】 気孔率が5体積%未満の粒子が70質量%以上である超硬合金又はサーメットの球状合金粒子を70〜95質量%含み、残部が周期律表第4〜6族の金属の炭化物,窒化物及び炭窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のセラミックス粒子と、Co,Ni及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属粒子とからなり、球状合金粒子の平均粒径に対するセラミックス粒子及び金属粒子の平均粒径の比率が0.2より小さい積層造形用粉末。【選択図】 なし

Description

本発明は、積層造形法により超硬合金又はサーメットの焼結体を得るために用いる粉末、それを用いて積層造形物を製造する方法、及びかかる積層造形物を用いて焼結体を製造する方法に関する。
粉末冶金法により焼結素材を作製する方法の一つに、原料粉末に成形助剤を添加した粉末を加圧成形して圧粉体を作製し、この圧粉体を成形加工して焼結する方法がある。焼結後にさらに研削加工や放電加工により加工して最終製品を得る。そのため焼結素材は、研削加工や放電加工の量を最小限にすべく最終製品に近い形状になっているのが望ましい。
しかし、求める形状が複雑になると圧粉体の形成が困難になるため、圧粉体は単純な形状に留めて、研削加工等により焼結素材に複雑形状を付与する場合が多いが、加工に時間を要するためコストが上昇する。加圧成形により出来るだけ最終形状に近い形状の圧粉体を得ようとすると、少量多品種の製品を生産する場合、成形に用いる金型を多数揃えなければならないため、やはりコストが上昇する。
これらを解決する手段として、積層造形法と呼ばれる技術がある。この技術は、三次元CADデータから最終製品の断面層データを作成し、それをもとに材料を積層させて三次元形状の造形物を作製する技術である。この方法によれば、金型を用いることなく、最終製品に近い形状の素材を得ることが可能であることから、世界規模で開発が進んでいる。
代表的な積層造形法の一つである粉末焼結方式積層造形法は、造形ステージに粉末を薄層状に敷詰める工程と、断面層データに基づく断面形状部分を選択的にレーザーや電子ビーム等により加熱・焼結する工程とを、複数回行うことにより三次元造形物焼結体を作製する。
同様に積層造形法の一つであるバインダージェット方式積層造形法は、造形ステージに粉末を均一かつ平滑な薄層状に敷詰める工程と、断面層データに基づく断面形状部分に選択的にバインダーを塗布して必要な形状部分だけを硬化させる工程とを、複数回行って積層造形物を得て、さらにそれを焼結することにより三次元造形物焼結体を作製する。
これらの方法では、造形ステージに粉末を均一かつ平滑な薄層状に敷詰める工程において、粉末に適切な流動性が求められる。
一方、得られる造形物焼結体は内部に気孔が少なく緻密であり、かつ材料組織が均一であることが求められる。しかし、炭化タングステンをコバルト等の金属で結合した超硬合金や、各種金属の炭化物,窒化物,硼化物等を金属で結合したサーメットは、セラミックス成分が高融点であり、少量の結合金属を溶融させて緻密化させる必要があるため、金属材料よりも緻密でかつ材料組織が均一な焼結体を得るのは難しい。
特許文献1は、粉末床溶融結合装置を用いて、セラミックスと有機物のバインダーとを含む粉末の薄層を形成し、かかる薄層の所定の領域にレーザーや電子ビーム等を照射してバインダーを溶融・凝固させて粉末積層造形物を作製し、それを焼結して造形物焼結体を作製する方法を開示している。さらに特許文献1は、流動性が低いと粉末薄層にシワやムラ等が生じ、流動性が高いと造形物の形状や寸法の精度が低下するため、粉末の安息角、Hausner比、圧縮度等の流動性を適正な範囲に調整する必要があることを述べている。しかし特許文献1には、得られる造形物焼結体の材料組織や相対密度については記載されていない。
特許文献2は、粉末焼結方式の積層造形をより高い精度で行うための粉末を開示している。粉末層へのエネルギービーム等の照射により粉末が溶融・凝集し、その周囲に生じた空隙に溶融部分が落ちることにより造形物の寸法精度・表面粗さが悪化したり、内部にボイドが発生したりする。そのため、材料の種類は明記されていないが、中心粒径が異なる2種類の粉末を混合した粉末を用いて粉末間の空隙に由来するガスポロシティを低減させている。しかし、気孔は未だ存在しており(図8D)、材料組織の改善についても不明である。
特許文献3は、高エネルギービームによる粉末焼結方式の積層造形法において、セラミックスを主成分とする造粒された第1粉末と金属を主成分とする第2粉末との混合物を用いることにより、第2粉末の溶融が先行して焼結が促進され緻密な焼結体が得られることを開示している。しかし実施例では、金属粉末の割合を10質量%とすると気孔率は10%程度であり、気孔率が1%となるには金属粉末の割合を50質量%としており(表1,例2及び5)、緻密な焼結体を得るには金属成分の割合が高くなるため硬度が低下するという問題がある。
特許文献4は、バインダージェット方式の積層造形法に好適な超硬合金又はサーメットの粉末混合物であって、焼結活性を高める多孔質粉末とグリーン体強度を高める細粒の稠密粉末とを含む混合物を開示している。しかし、平均気孔率が10〜40体積%の多孔質粉末を65〜85質量%(実施例では平均気孔率が27%及び29%の多孔質粒子を70質量%)含むと、造形物の焼結後の収縮量が大きくなり、焼結素材の寸法精度が低い。さらに、気孔率が高い多孔質粉末を多く含むと、造形用バインダーが多孔質粉末の粒子内部に吸い込まれるため、粒子を固着保持する実質のバインダー量が減少しグリーン体強度が脆弱になる。
以上のように、複雑形状の焼結体を作製するには積層造形法が有効ではあるものの、超硬合金やサーメットの実用的な組成範囲において、造形物が脆弱でなく正確な形状と寸法を有し、かつ緻密で材料組織が均一な造形物焼結体を得る方法は、未だ開発されていない。
特開2017-127997号 特開2018-123381号 特開2017-115194号 特表2019-513900号
従って、本発明の目的は、積層造形法により超硬合金又はサーメットの焼結体を製造する際、造形ステージに粉末を均一かつ平滑な薄層状に敷詰めるように適切な流動性するとともに、緻密でかつ材料組織が均一で寸法精度のよい造形物焼結体を製造可能な積層造形用粉末を提供することにある。
本発明の別の目的は、かかる積層造形用粉末を使用して積層造形物を製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、かかる積層造形物の焼結体を製造する方法を提供することにある。
すなわち、本発明の一態様は、気孔率が5体積%未満の粒子が70質量%以上である超硬合金又はサーメットの球状合金粒子を70〜95質量%含み、残部が周期律表第4〜6族の金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のセラミックス粒子と、Co、Ni及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属粒子とからなる混合粒子であり、前記球状合金粒子の平均粒径に対する前記混合粒子の平均粒径の比率が0.2より小さい積層造形用粉末である。
球状合金粒子の平均粒径は10〜50μmであるのが好ましく、セラミックス粒子の平均粒径は0.35〜7μmであるのが好ましく、金属粒子の平均粒径は0.6〜3μmであるのが好ましい。Co,Ni及びFeの元素の合計の含有割合は6〜30質量%であるのが好ましい。
前記セラミックス粒子が前記球状合金粒子の硬質相の少なくとも主成分からなり、前記金属粒子が前記球状合金粒子の結合相の少なくとも主成分からなるのが好まし
セラミックス粒子と前記金属粒子を合わせた粉末の粒径分布が単独のピークを有するか、最大ピークの頻度に対する二番目のピークの頻度の比率が0.2未満であるのが好ましい。
本発明の別の態様は、かかる積層造形用粉末を使用して積層造形法により積層造形物を製造する方法である。
本発明のさらに別の態様は、上記の方法により積層造形物を製造し、前記積層造形物を焼結し、必要に応じて加圧焼結を行って積層造形物焼結体を製造する方法である。
本発明は、積層造形用粉末として、超硬合金又はサーメットの球状合金粒子と、セラミックス粒子及び金属粒子の混合粉末とを用いることにより、均一かつ平滑な造形面を有し、高い表面エネルギーを有する粉末からなる造形物(成形体)が得られ、さらに焼結時の収縮量が小さいため造形物焼結体の変形量も小さく、複雑形状でありながら緻密でかつ材料組織が均一な造形物焼結体を寸法精度良く作製でき、複雑形状の最終製品の製造コストを著しく下げることができる。本発明は、特に少量多品種の製品の製造に効果的である。
ブレンダー混合のみで粉砕工程を行わなかった場合のWC粒子とCo粒子の混合粉末の粒度分布を示す。 ボールミル混合した場合のWC粒子とCo粒子の混合粉末の粒度分布を示す。 WC-Co合金粒子粉末の示差熱分析結果を示す。 WC粒子及びCo粒子の混合粉末の示差熱分析結果を示す。 球状合金粒子粉末の外観のSEM写真を示す。 球状合金粒子粉末の断面のSEM写真を示す。 セラミックス粒子・金属粒子混合粉末の外観のSEM写真を示す。
本発明の積層造形用粉末は、気孔率が5体積%未満の粒子が70質量%以上である超硬合金又はサーメットの球状合金粒子を70〜95質量%含み、残部が周期律表第4〜6族の金属の炭化物,窒化物及び炭窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のセラミックス粒子と、Co,Ni及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属粒子とからなる混合粒子である。
超硬合金とは、硬質相であるWCを金属相であるCoやNiで結合した合金を意味する。さらに硬質相にはWC相に加え、周期律表第4〜6族の金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物の少なくとも一種が固溶する相があっても良く、例えば(W,Ti)C,(W,Ti)CN,(W,Ti,Nb)C等が挙げられる。結合相としてFe及びCrの少なくとも一種を含んでも良い。また超硬合金の結合相には硬質相を構成する金属元素が固溶している。
サーメットとは、周期律表第4〜6族の金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物の少なくとも一種を含む硬質相と、Co,Ni,Fe及びCrの少なくとも一種を含む結合相とからなる合金を意味する。硬質相の周期律表第4〜6族の金属はTi,Nb及びTaであるのが好ましい。また硬質相は複数の金属の固溶体で構成されていても良く、例えば(Ti,Ta)C,(Ti,Ta)CN,(Ti,Nb)CN,(Nb,Ta)N等が挙げられる。サーメットの結合相には硬質相を構成する金属元素が固溶している。
球状合金粒子は、気孔率が5体積%未満の緻密な粒子を70質量%以上含む。それにより、粉末積層造形物を焼結したときの収縮量を小さくすることができ、寸法精度の高い造形物焼結体が得られる。球状合金粒子中の気孔率5体積%未満の粒子が70質量%未満であると、粉末積層造形物を焼結する際の収縮量は大きくなり、焼結体に変形が生じやすくなる。また球状合金粒子は、気孔率が5体積%未満の緻密な粒子が90質量%以上含むのが好ましく、100質量%であるのがより好ましい。
球状合金粒子中の気孔率5体積%未満の粒子以外の残部粒子の平均気孔率は5〜45体積%であるのが好ましい。残部粒子の平均気孔率が45体積%を超えると焼結する際の収縮量は大きくなり、焼結体に変形が生じる恐れがある。残部の平均気孔率は20体積%以下であるのがより好ましい。また球状合金粒子粉末の平均気孔率は17%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましい。
球状合金粒子は所定の化合物及び金属の混合粉末をスプレードライヤーにて顆粒を作製し、顆粒同士が固着しないようにして焼結を行って作製することができる。アトマイズ法等の粒子製造法により作製しても良い。
球状合金粒子の平均粒径は10〜50μmであるのが好ましい。球状合金粒子の平均粒径がこの範囲内であれば、流動性の低下や造形物焼結体の内部に気孔が多く生じるのを防止できる。なお球状合金粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定器により測定したメジアン径(D50)の値を示す。球状合金粒子の平均粒径は15〜40μmであるのがより好ましく、20〜30μmであるのが特に好ましい。また球状合金粒子は粒径範囲70μmの中に95%以上の粒子が含まれるのが好ましい。球状合金粒子が粒径範囲70μmの中に95%以上の粒子が含まれれば、十分な流動性を確保しつつ内部での気孔の発生を抑えることができる。球状合金粒子は粒径範囲50μmの中に95%以上が含まれるのがより好ましく、粒径範囲40μmの中に95%以上含まれればさらに好ましい。
セラミックス粒子及び金属粒子は形状に制約はなく、球状、針状、板状等でも良く、化合物の塊を粉砕した粉を分級して得た角張った形状の粒子でも良い。また粒子は例えば炭化タングステンで見られる単結晶粒子や多結晶粒子からなる粉末でも良く、これらが凝集した粉末でも良いが、いずれにせよ所定の粒径範囲にあることで効果を発揮する。
本発明の積層造形用粉末は、70〜95質量%の球状合金粒子と、セラミックス粒子と金属粒子の残部からなる。これにより、球状合金粒子の粉末がもつ流動性を生かしつつ、欠点である造形物焼結体の残留気孔を低減することができ、さらに粉末積層造形物の粉末充填密度を高めて気孔の少ない球状合金粒子の効果と相あまって焼結時の収縮量を小さくして焼結変形を小さくすることができる。球状合金粒子が70質量%より少ないと流動性が低くなりすぎて造形物の形状や寸法の精度が低下する。球状合金粒子が95質量%より多いと敷設した粉末層の空隙の比率が増加する。
球状合金粒子の平均粒径に対するセラミックス粒子及び金属粒子の平均粒径の比率を0.2より小さくすることにより、粉末積層造形物の粉末充填密度を高めて焼結時の収縮量を小さくして焼結変形を小さくすることができる。ここでセラミックス粒子及び金属粒子の平均粒径とは、セラミックス粒子及び金属粒子全体の粒径の平均値である。セラミックス粒子及び金属粒子の平均粒径は、球状合金粒子の平均粒径と同様に、レーザー回折式粒度分布測定器により測定したメジアン径(D50)の値を示す。粒径の比率が0.2以上になると敷設した粉末層の空隙の比率が増加し焼結体の気孔を低く抑えることができない。また十分な流動性を得るために、粒径の比率は0.007より大きいのが好ましい。
セラミックス粒子は、周期律表第4〜6族の金属の炭化物,窒化物及び炭窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる。その組成は超硬合金及びサーメットの硬質相と同様であるのが良く、周期律表第4〜6族の金属はW,Ti,Nb及びTaであるのが好ましく、複数の金属の固溶体で構成されていても良く、例えば(W,Ti)C,(W,Ti)CN,(W,Ti,Nb)CN,(Ti,Ta)C,(Ti,Ta)CN,(Ti,Nb)CN,(Nb,Ta)N等が挙げられる。
セラミックス粒子及び金属粒子は、予め、乾式又は湿式での混合により混合粉末とするのが良い。混合方法は、乾式の場合には乾式ボールミル等が良く、凝集が少ない粉末の場合にはブレンダー等でも良い。湿式の場合にはボールミル,アトライター,ジェットミル等を用いても良い。これらの装置で混合した粉末スラリーを乾燥して混合粉末が得られる。この混合粉末と球状合金粒子粉末とをブレンダー等で混合して、積層造形用粉末を得る。
セラミックス粉末や金属粉末には粒子凝集体が含まれる場合が多いため、凝集している場合にはこれを解砕することで、粉末充填密度を高めたり、セラミックス粒子と金属粒子の混合粉末の反応性を高めたりすることができる。それにより、気孔の発生抑止等の効果を十分に発揮するとともに、造形物焼結体中の組織材料の分布を均一にすることができる。
図1(a) 及び図1(b) は、凝集のあるセラミックス粉末と金属粉末をブレンダーのみで混合した場合(図1(a))と、ボールミルを用いて各粉末の凝集を解砕し混合した場合(図1(b))の粒度分布を示す。粒度分布はレーザー回折式粒度分布測定器(日機装株式会社製MT3300EX)にて測定した。図1(b) に示すように、凝集を解砕することにより粉末の粒度分布が単一のピークをもつ分布になることが分かる。これにより粉末造形物中のセラミックス粒子と金属粒子が互いに近接した粉末配置となり、反応性が高まる。また解砕・混合後の粒度分布でピークが複数ある場合であっても最大ピークの頻度に対する第二のピークの頻度の比率が0.2未満であれば、同様の効果を発揮することができる。最大ピークに対する第二のピークの頻度が0.2を超えると粉末の解砕が十分でないなどのため内部気孔発生の原因となる。
セラミックス粉末と金属粉末との混合粉末は、既述の方法で混合して乾燥させて使用しても良く、その乾燥した混合粉末をプレス成形して緻密な圧粉体としたのちに粉砕して分級して使用しても良い。圧粉体を粉砕・分級した粉末は元のセラミックス粉末及び金属粉末と比べて平均粒径が大きくなる場合もあるが、球状合金粒子の平均粒径に対する比率が0.2より小さい範囲であれば、セラミックス粒子と金属粒子がより密接に接触するため、緻密な焼結体が得られるとともに、良好な反応性が得られる。
本発明の積層造形用粉末に用いるセラミックス粒子は、単結晶又は多結晶でも良く、金属粉末と解砕・混合する際に容易に解砕できる程度に結合した凝集体、解砕・混合する際に解砕できなくても液相焼結の過程で単独粒子として分離するような凝集体のいずれでも良い。セラミックス粉末を構成する単結晶及び多結晶の粒子、また凝集体の平均粒径を0.35〜7μmにすることで焼結体の焼結性や材料特性を高めることができる。複数の種類のセラミックス粒子を含む場合、各種類のセラミックス粒子を別個に調製し、それらを混合した粉末でも良い。
金属粒子はCo,Ni及びFeのうち一種以上を含む元素を主成分とする。金属粒子は合金でも良く、単独元素の金属粒子の混合粉末でも良い。金属粒子の平均粒径を0.6〜3μmにすることで焼結体の焼結性や材料特性を高めることができる。特にセラミックス粉末と解砕・混合した粉末とすることにより、焼結体の組織材料の分布をより均一にすることができる。Co,Ni及びFeの元素の合計の含有割合が6〜30質量%であるのが好ましい。
このような微細なセラミックス粉末及び金属粉末を含む積層造形用粉末を、例えばバインダージェット方式等による積層造形法による複雑形状の造形物の作製に用いると、超硬合金粒子からなる積層造形用粉末よりも充填密度の高い造形物を得ることができる。またセラミックス粉末と金属粉末の混合粉末を用いているので、得られる焼結体の組織材料の分布も均一にすることができる。
バインダージェット方式の積層造形では、粉末薄層の所定の場所に高分子化合物からなるバインダーを吐出して粉末粒子間を満たし固化させて強度を持たせるが、本発明のような球状合金粉末とそれより粒度の小さいセラミックス粒子及び金属粒子の混合粉末とを用いた場合には各粒子の隙間はさらに小さくなり、各粒子の接点は増加し、吐出されたバインダーがその粒子間接点に浸透・凝固して強固に固定する。積層造形用粉末の粒子の気孔率が大きいと、バインダーが粒子内に吸収されてしまうため多量のバインダーを必要とするが、本発明の積層造形用粉末の主成分の一つである球状合金粒子は気孔率が5体積%未満の粒子を70質量%以上含むため、吐出されたバインダーを粒子内にほとんど吸収されず、少量のバインダーで造形が可能である。さらにセラミックス粒子や金属粒子が球状だけでなく針状等の粒子も含むと、それらの粒子群と高分子化合物バインダーからなる粉末造形物の強度はさらに高まり、微細形状を有した粉末造形物の造形が終了してパウダーベッドから取り出す際にも部分的に破損することもない。
粉末造形物の焼結方法は、一般的な積層造形物を焼結する方法であれば適用できるが、加圧成形した超硬合金やサーメットの圧粉体と同様に、真空焼結炉にて焼結可能であり、脱脂工程を経て所定の焼結温度で焼結するのが好ましい。焼結工程は、減圧雰囲気での焼結工程のみであっても良く、さらなる品質・強度の向上を目指して、加圧焼結工程を加えても良い。
本発明の積層造形用粉末は、この焼結工程において、特徴的な効果を発揮することで緻密な焼結体を得ることができる。本発明の積層造形用粉末を構成するセラミックス粒子は球状合金粒子の硬質相の少なくとも主成分からなり、金属粒子は球状合金粒子の結合相の少なくとも主成分からなるのが好ましい。例えば球状合金粒子がWC-0.4Cr3C2-12Co合金粒子である場合、セラミックス粒子としてWC粒子及びCr3C2粒子を用い、金属粒子としてCo粒子を用いるのが望ましい。セラミックス粒子と金属粒子の混合比は、超硬合金又はサーメットの組成比と同程度であるのが好ましい。またセラミックス粒子として主成分であるWC粒子のみを用いても良い。
WC粒子とCo粒子の混合粉末成形体を還元雰囲気で高温に保持すると、約1300℃以上でWCとCoとの共晶反応によりCoの液相が発生し、WCとCoは濡れ角が小さいためCo液相はWC粒子間に浸透すると同時に、粉末成形体は急速に緻密化し焼結が進行する。
単位体積当たりの粉末の表面エネルギーは粒子径が小さいほど(単位体積当たりの表面積が大きいほど)大きくなり焼結の駆動力となり、粉末が持つ高い表面エネルギーを低減させるような原子の移動により粉末成形体は焼結される。また粉末の充填密度が大きい場合にも単位体積当たりの表面積が大きくなるため焼結の駆動力となることを意味する。
さらにその粉体が、例えばWC-Co合金粒子であればその焼結の駆動力は合金粒子の表面エネルギーとなるが、WC粒子とCo粒子の混合粉末であれば異種物質粒子の混合粉末であるためWC-Co合金粒子の粉末と比較して高い表面エネルギーをもつ粉末となる。このためWC-Co球状合金粒子からなる粉末にWC粒子とCo粒子の混合粉末を加えた粉末を用いて積層造形を行った場合、より高い表面エネルギーを有する成形体は優れた焼結性を示し緻密な焼結体が得られる。
WC-Co系合金では合金に含まれる炭素量に応じて液相が発生する温度は変化し、低炭素合金の液相出現温度は1357℃であり、高炭素合金の液相出現温度(1298℃)と比較して60℃程度高い温度でWC-Co共晶反応による液相が発生する(鈴木壽編著、超硬合金と焼結硬質材料 基礎と応用、丸善株式会社、p.96参照)。
積層造形用粉末として球状WC-Co合金粒子のみを用いる場合、上記の液相出現温度(1298〜1357℃)においてWC-Co合金粒子内でCo液相が発生し、隣接する球状WC-Co合金粒子との接触点へCo液相が流動して合金粒子間にネックが発生する。さらに球状合金粒子内のCo液相の流動とWC粒子群の再配列によりネックは成長し隣接する球状WC-Co合金粒子が単一の粒子として合体することで緻密化が進行する。
積層造形用粉末としてWC粒子及びCo粒子の混合粉末を用いる場合でも1298〜1357℃での共晶反応による液相発生及び緻密化は生じるが、液相発生以下の温度域であってもCo粒子からWC粒子へCo原子が拡散移動したり、それによりWC粒子がCo相により被覆されたり、そのCo相へのW原子やC原子が固溶したり、それに伴い微細なWC粒子がCo相に溶解したり粗大なWC粒子へ析出したりする現象が活発に生じる。つまり、WC粒子及びCo粒子の混合粉末を用いると、液相発生以下の温度であっても固相状態での緻密化、つまり固相焼結が生じうる。
その挙動を具体的に述べる。1000℃程度ではCo粒子の凝集やわずかな成長しか観察されないが、1250℃程度では微細なWC粒子の消滅とそれによる比較的大きなWC結晶粒子の成長、またWCに対するCoの濡れ性がよいことによるWC粒子群への浸透・被覆が起き、複数のWC粒子を含むWC-Co合金小粒子が多数形成される。
球状WC-Co合金粉末にWC粒子及びCo粒子の混合粉末を加えて使用したとき、10〜50μmの球状WC-Co合金粒子の間隙にそれより小さいWC粒子とCo粒子を存在させることで、液相焼結が開始する前に球状合金粒子の間隙を埋めるようにWC粒子・Co粒子から形成させたWC-Co合金小粒子群を形成させることで、大きな間隙のない造形物焼結体を得ることができる。
WC-Co合金球状粒子粉末と、WC粒子及びCo粒子の混合粉末(WC・Co粒子混合粉末)をそれぞれについて、株式会社リガク製示差熱分析装置TG8120を用いて熱重量(Thermo Gravimeter:TG)及び示差熱(Differential Thermal:DT)同時測定(以下「TG-DTA」と記す。)をN2フロー雰囲気(300 Pa)で室温〜1350℃(昇温速度:4℃/分)まで行った。そのうち600〜1350℃の結果を図2及び図3に示す。WC-Co合金球状合金粉末を加熱した場合(図2)と比較して、WC粒子及びCo粒子の混合粉末を加熱した場合(図3)には、1200〜1270℃付近にWC粒子及びCo粒子の固相焼結に起因すると思われる発熱のピークが認められる。
これは、先に述べたように、WCに対するCoの濡れ性がよいため、CoがWC粒子表面に拡散してWC粒子を被覆して、それとともにWC粒子群を凝集させてWC-Co合金小粒子群を形成させてWC粒子とCo粒子が有していた表面エネルギーを低減させたことによる余剰エネルギー放出によるものと考えられた。また、これはWC-Co合金球状粒子粉末よりもWC粒子及びCo粒子の混合粉末のほうが焼結に対して活性であることを示していて、粒度の異なる複数種類のWC-Co合金粉末からなる粉末を用いるよりも、WC-Co球状合金粒子にWC粒子とCo粒子を加えた混合粉末を用いたほうがより焼結性に対して有効であることを確認した。
粉末造形物が焼結により緻密化する際には球状合金粒子間に存在する空隙をいかに粉末造形体の外に排除するかが重要となるが、本発明の積層造形用粉末を用いた粉末造形物においては空隙排除の主な経路となるWC・Co粒子混合粉末部分での、1200℃以上液晶出現温度(約1300℃)以下での固相焼結つまり表面エネルギーに起因する駆動力が緻密な焼結体が形成し得たことがわかった。
本発明の積層造形用粉末は、特にバインダージェット方式の積層造形法で優れた効果を発揮するが、エネルギービームを用いた粉末焼結方式の積層造形法であっても従来粉末と比較して緻密な焼結体をえることができる。
本発明の積層造形用粉末を用いて作製した超硬合金又はサーメットの焼結素材は、耐摩耗工具、耐摩耗金型、耐摩耗部品は勿論のこと、切削工具、都市土木工具用の素材として用いることができる。また超硬合金が有する高弾性率・高熱伝導率を必要特性とするような部品・構造物にも用いることができる。
本発明は、具体的には以下のように実施できるが、これに限定するものではない。本発明の積層造形用粉末を構成する球状合金粒子は以下のように作製することができる。所定の超硬合金又はサーメットの原料となる各種粉末と、有機溶剤と、パラフィン等の結合剤とをアトライター又はボールミルに投入して粉砕・混合し、得られたスラリーをスプレードライヤーにて乾燥して粒径15〜70μm程度の顆粒を作製する。この顆粒粉末を窒素又は水素雰囲気中で室温〜650℃の温度で脱脂処理し、真空中又は非酸化性雰囲気中で1280℃以上1400℃以下の温度で液相焼結を行って球状合金粒子を作製する。球状合金粒子は各種のアトマイズ法により作製しても良い。
本発明の積層造形用粉末を構成するセラミックス粒子及び金属粒子は、それぞれを乾式ボールミルやブレンダー等で混合しても良く、有機溶剤を溶媒としてアトライター又はボールミルで混合粉砕し、得られたスラリーを乾燥させて作製しても良い。このセラミックス粒子と金属粒子の混合粉末と球状合金粒子の粉末とをブレンダー等で混合して積層造形用粉末が得られる。
この積層造形用粉末を用い、例えばバインダージェット方式の積層造形装置により造形物を製造する。積層造形装置は、ホッパーより積層造形用粉末をパウダーベッドに1層あたり50〜100μm薄く敷詰め、その薄層に造形物の断面形状となるようにバインダーを塗布し、その後赤外線ヒーターでバインダーを熱硬化させる。この工程を複数回行うことにより三次元造形体を製造する。本発明の積層造形用粉末は、粉末を敷詰める工程の際、敷詰め時の圧縮圧力を負荷されるが、強度があり容易に粒子の形状が崩れないので、複数回の造粒粉末の再利用が可能である。得られた造形体を真空又は窒素雰囲気中で200℃の温度で乾燥させてさらに硬化させた後、造形部以外の余分な粉末を除去し、所望の造形物が得られる。
この造形物を、真空中、窒素又はアルゴン雰囲気中で、例えば1400〜1500℃の温度、30〜60分の保持時間で焼結を行い、緻密な焼結体が得られる。焼結体に使用上問題となるような大きさの気孔がある場合には、例えば温度1330〜1600℃、圧力0.5〜100 MPa、Ar,N2等の不活性ガス雰囲気下で加圧焼結を実施しても良い。
以下、本発明の積層造形用粉末と、それを用いた積層造形物とその焼結体の製造について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
(実施例1)
前記のようにして作製した積層造形用粉末を用いて粉末造形物を作製した。粉末の組成が表1に示す値となるように球状合金粒子をスプレードライヤーによる造粒及び真空焼結により作製し、球状合金粒子の組成に対応する質量比で原料粉末を混合してセラミックス粒子及び金属粒子の混合粉末を作製し、それらを表1に示す比率に配合して積層造形用粉末を得た。これらに用いた原料粉末は、WC(1.5μm),Cr3C2(1.1μm),Co(1.7μm),Ni(2.5μm),TaC(1.6μm),TiC(1.4μm),ZrCN(2.0μm),TiC0.5N0.5(1.3μm),TiC0.8N0.2(1.3μm),NbC(1.6μm),ZrC(2.3μm),Fe(3.9μm)である(括弧内は平均粒径を示す。)。表1中の発明品1〜4及び比較品1〜4に使用した球状合金粒子の外観及び断面を株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-4800にて撮影したSEM写真を図4(a) 及び図4(b) に示し、セラミックス粒子・金属粒子混合粉末の外観のSEM写真を図5に示す。
これらの粉末造形物を発明品1〜7及び比較品1〜4は1450℃、発明品8及び9は1400℃、発明品10〜13は1500℃の温度にて焼結し、さらに発明品9を除く各試料は加圧焼結を行って試料を得た。各発明品及び各比較品の相対密度を完全に緻密な場合の密度に対する作製した試料の体積と質量から求めた密度の比として求め、抗折力を24×8×4(mm)の試験片を用いてスパン間距離を20 mmとし、三点曲げにより求めた。得られた結果を表1に示す。積層造形用粉末として球状合金粒子のみを用いた比較品1とセラミックス粒子・金属粒子混合粉末の比率が5質量%よりも少ない比較品2は、加圧焼結しても緻密化は十分でなかった。セラミックス粒子・金属粒子混合粉末の比率が30質量%よりも多い比較品3及び4は流動性が十分でないため、積層造形時に粉末を薄層に敷設することができなかった。発明品1〜13はいずれも薄層に敷設可能であり、緻密で実用可能な強度を有する焼結体を得ることができた。また加圧焼結を行わなかった発明品9も相対密度が>99%で抗折力が2.4 GPaと緻密で実用可能な強度を有する焼結体であった。
表1(続き)
※1: 加圧焼結時の圧力。
※2: 薄層を敷設できないため、試料作製せず。
※3: 加圧焼結なし。
(実施例2)
粒径がそれぞれ1.5μm,1.1μm及び1.7μmであるWC粒子,Cr3C2粒子及びCo粒子を用いて、組成がWC-0.4Cr3C2-12Co(質量%)となるように種々の温度で焼結して気孔率の異なる3種類の球状合金粒子A1,A2及びA3を作製した。球状合金粒子A1は気孔率0.5体積%及び平均粒径28μmであり、球状合金粒子A2は気孔率4.6体積%及び平均粒径35μmであり、球状合金粒子A3は気孔率38体積%及び平均粒径40μmであった。さらに、球状合金粒子A1,A2及びA3と同組成のセラミックス粒子の粉末(WC粒子粉末及びCr3C2粒子粉末)と金属粒子の粉末(Co粒子粉末)の混合粉末Bを調製した。
球状合金粒子A1,A2及びA3及びセラミックス粒子・金属粒子混合粉末Bを表2に示す質量比で混合して発明品14〜17及び比較品5及び6の積層造形用粉末を作製した。それらの積層造形用粉末を用いて積層造形した後乾燥し、各発明品及び比較品の100×50×0.5(mm)の造形体を10枚作製した。それらの造形体を粉末床から取り出したときの状態を調べて造形体強度を以下の通り評価した。評価結果を表2に示す。
〇・・・欠けや破損(割れ)がない。
△・・・一部の素材に欠けがある。
×・・・一部の素材に破損(割れ)がある。
同様に、各発明品及び比較品の100×50×10(mm)の造形体を10枚作製し、それらの造形体を焼結して得られた焼結体の100×50(mm)の面を10μm研削したあとの焼結表面残存率を調べて、形状安定性を以下の通り評価した。
〇・・・残存率が10%未満
△・・・残存率が10%以上30%未満
×・・・残存率が30%以上
さらに実施例1と同様に各発明品及び比較品の焼結体相対密度及び抗折力を求めた。評価結果を表2に示す。
球状合金粒子全体に対して気孔率38体積%の球状合金粒子A3を50%使用(積層造形用粉末全体に対して40%)した比較品5では造形体にやや欠けが認められた。また球状合金粒子全体に対してA3を100%使用(積層造形用粉末全体に対して80%)した比較品6では一部の素材に破損が認められた。また比較品5及び6はいずれも相対密度が97%以下と低かった。
表2(続き)
(実施例3)
表3に示す平均粒径の球状合金粒子(平均粒径A),WC粒子(平均粒径Bc)及びCo粒子(平均粒径Bm)を用いて積層造形用粉末を作製し、実施例1と同様に通常焼結及び加圧焼結を行って試料を作製した。発明品19〜21に用いた積層造形物用粉末の組成をWC−1.0Cr3C2−0.3VC−12Co(質量%)とし、その他の積層造形物用粉末の組成をWC−12Co(質量%)とした。また、発明品21はセラミックス粒子を平均粒径0.45μmのWC、金属粒子を平均粒径0.8μmのCoとしてボールミルで粉砕混合した混合粉末をプレス成形したのち、粉砕・分級して得た混合粉末の小塊をセラミックス粒子・金属粒子混合粉末として用いた。その分級で得た粉末の平均粒径をBcmとする。各発明品及び比較品の積層造形用粉末における球状合金粒子の含有割合を75質量%とし、セラミックス粒子・金属粒子の混合粉末の含有割合を25質量%とし、実施例1及び2と同様に、球状合金粒子の組成とセラミックス粒子・金属粒子混合粉末の組成を同じにした。球状合金粒子の平均粒径Aに対するセラミックス粒子・金属粒子の混合粉末の平均粒径(Bc+Bm)の比(Bc+Bm)/Aと、得られた焼結体の相対密度及び抗折力を表3に示す。
これらの積層造形用粉末を用いて粉末造形物を作製し、1450℃の温度にて焼結し、さらに加圧焼結(加圧圧力100 MPa)を行って焼結体を得た。球状合金粒子径に対するセラミックス粒子・金属粒子の径の比率が0.2を超えた比較品7は粉末の流動性が低く積層造形時に良好な粉末薄層を形成することができないため試料を得ることができなかった。発明品22は球状合金粒子径が50μmを超え、発明品30はセラミックス粒子であるWCの粒径が7μmを超えるため完全に緻密な焼結体は得られなかったが、実用には十分な材料強度が得られた。
※1:混合粉末をプレス・粉砕・分級して得た粉末の平均粒径Bcm(μm)
表3(続き)
※2:積層造形時に良好な粉末薄層を形成できず。
本発明の方法は、複雑形状の粉末冶金製品の製造コストを著しく下げることができ、特に、少量多品種の製品に効果があることから、金型等の業界のコスト削減に大きく寄与するものである。

Claims (9)

  1. 気孔率が5体積%未満の粒子が70質量%以上である超硬合金又はサーメットの球状合金粒子を70〜95質量%含み、
    残部が周期律表第4〜6族の金属の炭化物,窒化物及び炭窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1種のセラミックス粒子と、Co,Ni及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属粒子とからなり、
    前記球状合金粒子の平均粒径に対する前記セラミックス粒子及び前記金属粒子の平均粒径の比率が0.2より小さいことを特徴とする積層造形用粉末。
  2. 前記球状合金粒子の平均粒径が10〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載の積層造形用粉末。
  3. 前記セラミックス粒子の平均粒径が0.35〜7μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層造形用粉末。
  4. 前記金属粒子の平均粒径が0.6〜3μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層造形用粉末。
  5. 前記セラミックス粒子が前記球状合金粒子の硬質相の少なくとも主成分からなり、前記金属粒子が前記球状合金粒子の結合相の少なくとも主成分からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層造形用粉末。
  6. Co,Ni及びFeの元素の合計の含有割合が6〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層造形用粉末。
  7. 前記セラミックス粒子及び前記金属粒子の混合粉末の粒径分布が単独のピークを有するか、最大ピークの頻度に対する二番目のピークの頻度の比率が0.2未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層造形用粉末。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の積層造形用粉末を使用して積層造形法により作製することを特徴とする積層造形物の製造方法。
  9. 請求項に記載の方法により積層造形物を製造し、前記積層造形物を焼結し、必要に応じて加圧焼結を行うことを特徴とする積層造形物焼結体の製造方法。
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