JP3158326B2 - 多孔質メタルボンド砥石およびその製造方法 - Google Patents

多孔質メタルボンド砥石およびその製造方法

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JP3158326B2 JP17107793A JP17107793A JP3158326B2 JP 3158326 B2 JP3158326 B2 JP 3158326B2 JP 17107793 A JP17107793 A JP 17107793A JP 17107793 A JP17107793 A JP 17107793A JP 3158326 B2 JP3158326 B2 JP 3158326B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、砥粒層部が多孔質で、
かつ砥粒層部と台金部が連続した組織によって一体成形
されたメタルボンド砥石およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般的なメタルボンド砥石は、粉末状の
金属結合剤に砥粒を均一に混合し、得られた混合粉末を
台金とともに型込めした後、これらを圧粉成形および焼
結(あるいはホットプレス)して製造されるものであ
る。
【0003】なお、砥粒層を多孔質とすることによっ
て、砥石の切粉排出性および冷却性を高める手段が従来
より公知である。そのような多孔質メタルボンド砥石を
製造する方法としては、金属結合剤と砥粒の混合粉末を
成形する際の圧力を通常よりも低く抑え、さらに焼結温
度を通常よりも若干低く設定することにより、金属結合
剤の自己焼結作用を抑制し、気孔を残す方法が一般に提
案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のメタ
ルボンド砥石では、材質の異なる砥粒層と台金との間に
組織の不連続面が存在するため、高い研削熱および研削
抵抗が加わった際に砥粒層が台金から剥離し易く、信頼
性に乏しいという問題があった。
【0005】また、従来の多孔質メタルボンド砥石の製
造方法では、比重の異なる結合剤と砥粒とを均一に混合
することが困難であるから、得られた砥粒層の内部で砥
粒が均一に分布しない。また、混合粉末の流動性はあま
り高くないから、成形時の加圧力が部分的に不均一にな
ることが避けられず、気孔の分布密度も不均一になる。
【0006】このため、従来法により得られた多孔質砥
粒層は、部分的な研削性能のばらつきが大きく、安定し
た研削が難しいうえ、この傾向は気孔率を高めるほど顕
著になる。また、多孔質砥粒層中で気孔に隣接した砥粒
は、結合相による保持力が相対的に弱くなるため、脱落
しやすく、研削に寄与しない。しかも、脱落しやすい砥
粒の存在割合は、気孔率を高めると著しく増大する。
【0007】したがって、従来の多孔質メタルボンド砥
石では、気孔率を高めると必然的に研削性能が不安定に
なり、無駄に脱落する砥粒も多くなるため、ほとんど実
用化されて居らず、切粉排出性、冷却性および自生発刃
性等の問題を依然として抱えているのが現状である。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、台金部からの砥粒層部の剥離が防止できるととも
に、高い砥粒保持力を保ったまま気孔率を高めることが
できるメタルボンド砥石およびその製造方法を提供する
ことを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る多孔質メタ
ルボンド砥石は、台金部と砥粒層部同じ原料で同時
一体成形され、これら台金部と砥粒層部はいずれも、
互いにほぼ均等な間隔を空けて3次元的に配置された砥
粒と、これら砥粒を保持する金属結合相とからなり、こ
の金属結合相は、個々の砥粒の外周をそれぞれ球殻状に
包囲するほぼ一定径の球殻状部分を有するとともに、隣
接しあう球殻状部分は互いの接触面で連続し、さらに砥
粒層部を構成する金属結合相の内部には、砥粒層部全域
に亙って3次元編目状に広がる連続気孔が形成されるこ
とにより、砥粒層部は台金部よりも気孔率の高い多孔質
構造となっていることを特徴とする。
【0010】前記砥粒層部の砥粒含有率は5〜70vo
l%、気孔率は3〜40vol%とされていることが望
ましい。
【0011】一方、本発明に係る多孔質メタルボンド砥
石の製造方法は、砥粒の表面に金属被覆層を形成しその
外径を前記砥粒の粒径の1.2〜4倍とした金属被覆砥
粒を用意し、この金属被覆砥粒をプレス型に充填し、充
填された金属被覆砥粒の台金部となるべき部分を相対的
に高い圧縮比でプレスすることにより台金部を形成する
と同時に、前記金属被覆砥粒の砥粒層部となるべき部分
を台金部よりも相対的に低い圧縮比でプレスすることに
より、3次元編目状に広がる連続気孔を有する砥粒層部
を前記台金部と一体に成形することを特徴としている。
【0012】
【作用】本発明の多孔質メタルボンド砥石によれば、台
金部と砥粒層部が同一の材質から構成されることによ
り、両者の間に境界面が存在せず、しかも熱膨張率がほ
ぼ同等であるから、研削時に砥粒層部が高温になって
も、砥粒層部が台金部から剥離することがない。
【0013】また、砥粒層部内では、個々の砥粒の間隔
が球殻状部分の厚さで規定されるため、砥粒の分布が従
来の砥石に比して均一で、気孔率を高くした場合にも切
れ味のばらつきが少ないうえ、個々の砥粒の外周を球殻
状部分により完全に包囲して各球殻状部分を連結したう
え、これら球殻状部分の間に気孔を形成しているから、
気孔率が高くても球殻状部分により砥粒保持力を高く確
保することができる。したがって、切れ味のばらつきお
よび砥粒脱落頻度の増大を防ぎつつ、気孔率を高めるこ
とができ、良好な切粉排出性および冷却性を得ることが
できる。
【0014】一方、本発明に係る多孔質メタルボンド砥
石の製造方法によれば、台金部と砥粒層部を同一の原料
を用いて同時に形成できるから、台金加工工程が省ける
うえ、型込作業が容易で生産性が高い。さらに、砥粒層
部を台金部よりも気孔率の高い多孔質に形成できるた
め、前記のように優れた性能のメタルボンド砥石が得ら
れる。また、金属被覆砥粒はほぼ球形かつ表面が滑らか
で流動性に優れるから、加圧成形時に砥粒層部および台
金部のそれぞれの内部全域に亙って圧力を均一化でき、
これにより各部の気孔率を均一化することが可能であ
る。
【0015】
【実施例】図1および図2は、本発明に係る多孔質メタ
ルボンド砥石の一実施例を示す平面図および断面拡大図
である。この多孔質メタルボンド砥石1は、円板状の台
金部2とその外周に一体形成された円環状の砥粒層部3
とからなるもので、台金部2の中央には取付孔4が形成
されている。なお、本発明において砥石形状は任意であ
り、従来から使用されている他の砥石形状、すなわちカ
ップ型等であってもよい。
【0016】砥粒層部3は、図3に示すように、互いに
ほぼ均等な間隔を空けて3次元的に配置された砥粒10
と、これら砥粒10を保持する金属結合相11とから構
成されている。砥粒10としては、ダイヤモンドやCB
N等の超砥粒のみならず、SiC、Al23等の一般砥
粒も使用可能である。金属結合相11は、個々の砥粒1
0の外周を球殻状に包囲する球殻状部分11Aを有し、
隣接しあう球殻状部分11Aは、互いの接触部位におい
て連続し、明確な界面はない。これにより、砥粒層部3
の内部には、各球殻状部分11Aの周囲の空隙が連通し
あい、砥粒層全域に亙って3次元編目状に広がった連続
気孔12が形成されている。
【0017】この実施例では、前記球殻状部分11A
が、個々の超砥粒10の外周面に直接形成された金属め
っき層(図示略)と、この金属めっき層の外周に形成さ
れた圧着被覆層(図示略)とから構成されている。これ
らの層の界面、および球殻状部分11A同士の界面は焼
結により相互拡散しあい、明確な境界面は実際には存在
しない。
【0018】前記金属めっき層は、圧着被覆層と超砥粒
10との接合性を高めるために形成されたもので、無電
解めっき法(場合によってはさらに電解めっきを行って
もよい)により超砥粒10の外周面に形成されている。
金属めっき層の材質としては、Cu,Ni,Co,Ag
等のように無電解めっき法により形成しやすい金属が選
択される。
【0019】圧着被覆層の材質としては、Cu,Sn,
Ag,Co,Fe,Zn,Ni,Pb,In,Cr等が
例示できるが、これら以外の金属種でも、後述する摩擦
圧接条件を適正に設定することにより使用可能である。
また、この圧着被覆層3の内部に、炭化ホウ素(B
4C)粒子,SiCウィスカー等のフィラーを分散さ
せ、金属結合相11の強度を高めてもよい。ただし、球
殻状部分11Aは必ずしも二層構造になっていなくても
よく、一層構造であっても、三層構造以上であってもよ
い。
【0020】砥粒層部3の気孔率は3〜40vol%、
より好ましくは5〜30vol%とされる。気孔率3v
ol%未満では切粉排出性および冷却性向上効果が低下
する一方、40vol%より大では砥粒層の強度が低下
し、研削に耐えなくなる。また、砥粒層部3の砥粒含有
率は5〜70vol%であることが望ましい。この範囲
内であれば、前記気孔率と相まって、切れ味および切粉
排出性が良好である。
【0021】本発明の砥石では、台金部2も砥粒層部3
と同じ原料で形成され、同様の組織となっている。すな
わち、台金部2は、図4に示すように互いに均等な間隔
を空けて3次元的に配置された砥粒10と、これら砥粒
10を保持する金属結合相11とから構成され、金属結
合相11は個々の砥粒10の外周を球殻状に包囲する球
殻状部分11Aを有する。
【0022】しかし、台金部2内の隣接しあう球殻状部
分11Aは互いにほぼ隙間無く接合されており、これら
の間には気孔が存在しないか、存在しても砥粒層部3よ
りも気孔率が小さい。台金部2の気孔率は5vol%以
下程度が好ましい。これよりも気孔率が高くなるように
プレスすると、プレス圧が小さくなって厚さ方向の精度
が出ない。また、台金部2の強度が不足して研削盤への
台金セット時の締め付けに対する強度が不足する。な
お、台金部2と砥粒層部3との間には明確な界面は存在
せず、徐々に気孔率が変化する連続組織となっている。
【0023】上記構成からなる多孔質メタルボンド砥石
によれば、台金部2と砥粒層部3が同一の材質から構成
され、砥粒層部3と台金部2との間に急激な組織的また
は構造的な境界面が存在しないうえ、熱膨張率がほぼ同
等であるから、研削時に砥粒層部3が高温になっても、
あるいは大きな研削負荷がかかっても、砥粒層部3と台
金部2の間から剥離したり割れたりすることがない。
【0024】また、砥粒層部3内では、個々の砥粒10
の間隔が球殻状部分11Aの厚さで規定されるため、砥
粒10の分布が従来の砥石に比して均一で、気孔率を高
くした場合にも切れ味のばらつきが少ない。さらに、個
々の砥粒10の外周を球殻状部分11Aにより完全に包
囲して各球殻状部分を連結したうえ、これら球殻状部分
11Aの間に連続気孔12を形成しているから、気孔率
が高くても球殻状部分11Aにより砥粒保持力を高く確
保することができる。したがって、切れ味のばらつきお
よび砥粒脱落頻度の増大を防ぎつつ、気孔率を高めるこ
とができ、良好な切粉排出性および冷却性を得ることが
できる。
【0025】また、連続気孔12は砥粒層部3の全域に
亙って連続しているため、研削液が砥粒層部3の内部ま
で進入することができ、砥粒層部3の冷却性が高いう
え、砥粒層部3を通して研削液を供給する用途にも使用
可能である。
【0026】さらに、台金部3は硬質な砥粒10を含む
ため、台金部3の強度は、砥粒を含まない通常の金属よ
りも高めることができ、また振動減衰能が高く、このた
め高精度な加工が可能である。また、台金部では外表面
に金属層が存在するためフランジ等を傷めることもな
い。
【0027】さらにまた、上記砥石では、砥粒10の外
周を金属めっき層で被覆したうえ、そのうえに圧着被覆
層を形成しているので、これらの層を、焼結時に硬質の
金属間化合物を形成する物質で形成しておくことによ
り、層の界面に硬質の金属間化合物層を形成し、この金
属間化合物層により砥粒保持力をさらに高めることが可
能となる。具体的な組み合せとしては、CuとSn,C
uとTi,NiとSn,NiとTi,CuとZn,Ni
とAl,AlとCuなどが好適である。
【0028】次に、上記のメタルボンド砥石の製造方法
を説明する。この方法ではまず、無電解めっき法等によ
り砥粒10の外周に金属めっき層を形成してめっき砥粒
を得る。さらに電解めっきを施して金属めっき層を厚肉
化してもよい。砥粒10の形状は、後述する加圧攪拌中
の砥粒10の転がり性を向上し、圧着被覆層の均一形成
を容易にするため、球状に近い方が好ましいが、極端な
鱗片状でない限り、不定形の砥粒を用いても圧着被覆層
は十分形成可能である。
【0029】得られためっき砥粒を金属結合剤粉末と混
合し、図5に示すような装置を用いて混合粉末に加圧転
動運動を加え、金属めっき層の上に所望の厚さを有する
圧着被覆層を摩擦圧接法によって形成する。
【0030】図5に示す加圧転動装置の構成を説明する
と、図中符号15は軸線を水平にして設置された円筒状
のドラムであり、軸線を中心として駆動器により回転さ
れる。ドラム15の内部には、軸線に沿って固定シャフ
ト16が配置され、このシャフト16には下向きに加圧
アーム17、およびその回転方向後方側の斜め下方に延
びる掻き取りアーム18がそれぞれ固定されている。ド
ラム15内にめっき砥粒と金属結合剤粉末を投入した
後、蓋(図示略)で塞ぐことにより、ドラム15内はほ
ぼ密閉される。
【0031】加圧アーム17の下端には、ドラム15の
内面と平行な円弧状をなす加圧板19が固定され、この
加圧板19とドラム15内面との間には、一定の間隙が
形成されている。一方、掻き取りアーム18の下端は刃
先状に形成され、ドラム15内面に付着した粉体を掻き
落とす構成となっている。
【0032】圧着被覆を行なうには、めっき砥粒と金属
結合剤粉末とを所定の割合でドラム15に入れる。使用
する金属粉末の平均粒径は0.1〜50μmであること
が望ましい。0.1μm未満では金属粉末の粒子数が大
きく、被覆と同時に金属粉末同士の凝集が起こり、圧着
被覆層の形成が困難である。逆に、50μmより大で
は、めっき砥粒が中心核になりにくく、金属粉末同士の
圧着凝集が起こり好ましくない。
【0033】金属粉末としては、金属めっき層を構成す
る金属よりも柔軟な材質を選択することが好ましい。そ
の方が、これら金属粉末がめっき砥粒に固着しやすく、
圧着被覆層の形成が容易に行なえる。また、金属粉末と
しては、単一種の金属を使用するだけでなく、2種以上
の金属粉末を混合して使用することも可能である。
【0034】めっき砥粒と金属粉末との混合比は、形成
すべき圧着被覆層3の厚さに応じて決定されるが、効率
良く圧着被覆層を形成するには、粉末の体積比で めっき砥粒量: 金属粉末量=100: 1〜1:1 程度が好ましい。1回の圧接被覆では被覆厚さが足りな
い場合には、途中で金属粉末を追加して圧着被覆を続行
すればよい。
【0035】上記の混合粉末をドラム15に入れて蓋を
した後、ドラム15を回転させると、混合粉体が加圧板
19とドラム15の隙間で加圧され、粒子同士の衝突お
よび摩擦によって各粒子の界面に局所的な発熱および衝
撃力、延性力が生じ、めっき砥粒の表面に金属粉末が団
子状に固着する。
【0036】ドラム15の内面に付着した粉体は掻き取
りアーム18で粉砕され、未付着の金属粉末は再び加圧
板19でめっき砥粒の表面に団子状に固着される。この
作業を一定時間繰り返すことにより、金属粉末はめっき
砥粒の表面に順次圧着被覆され、球殻状の圧着被覆層が
形成される。
【0037】次に、こうして得られた金属被覆砥粒を、
例えば図6に示すプレス装置の下型20のパンチ孔21
内に充填し、上パンチ22を降下させて圧粉成形、ある
いはホットプレスする。圧粉成形した場合は、後に焼結
を行う。その際の成形条件は、所望の気孔率に応じて適
宜設定される。
【0038】下型20は、円柱状コア23と、円環状の
内側コア24および外側コア25と、枠板部26とから
構成されたものである。一方、上パンチ22は内パンチ
27および外パンチ28とから構成され、内側コア24
と内パンチ27の間で台金部2が成形され、外側コア2
5と外パンチ28の間で砥粒層部3が成形されるように
なっている。なお、各部形状は砥石形状に応じて任意に
変更してよい。
【0039】台金部2を成形する部分(内側コア24と
内パンチ27の間)における金属被覆砥粒の充填厚さT
1、同部分のプレス後の厚さT2、砥粒層部3を成形す
る部分(外側コア25と外パンチ28の間)における金
属被覆砥粒の充填厚さT3、同部分のプレス後の厚さT
4とした場合、 T2/T1 < T4/T3 となるように設定されている。これにより、両部分を同
時にプレスしつつも、砥粒層部3の圧縮比を台金部2よ
り低く抑え、より多孔質に形成することを可能にしてい
る。具体的な圧縮比は、砥粒径や砥粒形状によって金属
被覆砥粒のかさ密度が変化するために特定できないが、
各部の所望の気孔率に反比例した値とする。
【0040】この実施例では、成形後の砥粒層部3の厚
みが台金部2よりも大きい(1A1R型という)ため、
円柱状コア23,内側コア24および外側コア25,枠
板部26を相互に固定しても上記のような不均圧プレス
は可能であるが、必要に応じては、内側コア24および
外側コア25をそれぞれ、枠板部26および円柱状コア
23に対して独立駆動可能とし、砥石形状に拘らずT
1,T2,T3およびT4を任意に設定可能としてもよ
い。さらに、内パンチ27および外パンチ28を独立駆
動可能としてもよい。
【0041】図6のプレス装置を用いた砥石成形方法を
図7ないし図11に示す。この方法ではまず、図7に示
すように内側コア24および外側コア25の上端を揃え
て降下させ、パンチ孔21に金属被覆砥粒を均一充填す
る。次いで、図8に示すように上パンチ22を降下させ
たのち、あるいは降下させると共に図9に示すように内
側コア24を上昇させる。すると図10に示すように台
金部2は高い圧縮比、砥粒層部3は低い圧縮比で成形さ
れるから、図11に示すように内側コア24および外側
コア25で圧粉成形体1Aを突き出す。後は、通常通り
に焼結すればよい。
【0042】図12ないし図16は砥粒層部3と台金部
2の厚さが等しい円環状(1A1型という)の砥石を成
形する方法を示す図である。この装置の上パンチ22の
下端面は段差の無い平坦面である。この方法では図12
に示すように、まず内側コア24を外側コア25よりも
低い位置に降下させた状態で、金属被覆砥粒の粉末Pを
パンチ孔21に充填し、図13に示すように上パンチ2
2を降下させる。次いで図14に示すように内側コア2
4を外側コア25と同じ高さまで上昇させ、図15に示
すように台金部2を高い圧縮比、砥粒層部3を低い圧縮
比で成形したうえ、図16に示すように内側コア24お
よび外側コア25を上げて圧粉成形体1Aを突き出す。
【0043】プレス装置のさらに他の例を図17ないし
図20に示す。この方法は、ホットプレスを行う場合に
使用されるものである。図17に示すように下型30の
パンチ孔30Aの内部に外枠32を配置し、この外枠3
2の内側に金属被覆砥粒粉末Pを充填する。次いで、図
18に示すように、外パンチ33を外枠32の内側に配
置し(プレスはしない)、外パンチ33の内側に粉末P
を追加充填する。粉末Pに接触する各部は、予めホット
プレス温度に予熱されている。
【0044】次に、図19に示すように外パンチ33の
内側に内パンチ34を配置して、外パンチ33と円柱状
コア31の間を封止し、これら外パンチ33および内パ
ンチ34の上端をプランジャー35でプレスする。外パ
ンチ33と内パンチ34の高さは等しく、このため図2
0に示すように、粉末は同一高さにプレスされる。その
後、ホットプレスが完了した1A1型砥石を取り出す。
なお、砥石形状は任意に変更可能である。
【0045】圧粉成形した場合、焼結処理する前に酸化
性雰囲気下で加熱する工程を設け、成形体の気孔内面に
薄い酸化膜を形成してもよい。このような酸化膜を形成
すると、焼結工程において圧着被覆層の自己焼結が進行
して気孔が塞がる現象を予防できる。また、前記酸化膜
形成は圧粉成形後に行われるので、圧着被覆層の相互接
触部には酸化膜が形成されず、球殻状部分11Aの連結
を阻害することはない。
【0046】上記構成からなる多孔質メタルボンド砥石
によれば、台金部2と砥粒層部3を同一の原料を用いて
同時に形成できるから、台金加工工程が省け、型込作業
も容易で生産性が高いうえ、砥粒層部3を台金部2より
も気孔率の高い多孔質に形成できるため、前記のように
優れた性能のメタルボンド砥石が得られる。また、金属
被覆砥粒はほぼ球形かつ表面が滑らかで流動性に優れる
から、加圧成形時に砥粒層部3および台金部2のそれぞ
れの内部全域に亙って圧力を均一化でき、これにより各
部の気孔率を均一化することが可能である。
【0047】
【実験例】
(金属被覆砥粒の作成)40〜60μmのダイヤモンド
砥粒30gに無電解Cuめっきを施し、60gのめっき
砥粒を作った。このめっき砥粒と、平均粒径5μmの銅
粉50g、平均粒径5μmのすず粉10gを図5の容器
に投入し、1500rpmにて1時間摩擦圧接した。こ
れを3回繰り返して、平均粒径約100μの金属被覆砥
粒を得た。
【0048】(実験例1)得られた金属被覆砥粒を用
い、図7ないし図11に示す方法で1A1R型砥石を作
成した。砥石の寸法は、外径100mm×内径60mm
×砥粒層部厚さ3mm×台金部厚さ2.5mmとした。
金型材質はダイス鋼である。図8の一次圧縮工程でのプ
レス圧は40ton(0.8ton/cm2 )、図9の
二次圧縮工程でのプレス圧は150ton(3.0to
n/cm2 )とした。プレス後に圧粉成形体を焼結し
た。焼結条件は、600℃×2時間、H2+N2雰囲気下
とした。焼結後に砥粒層の側面をラッピングして3mm
厚とした。この時の砥粒層の気孔率は15Vol%、気
孔を除く固体部組成はダイヤ15Vol%、結合剤85
Vol%であった。また、台金部はほぼ無気孔であっ
た。
【0049】(実験例2)前記金属被覆砥粒を用い、図
12ないし図16に示す方法で1A1型砥石を作成し
た。砥石の寸法は、外径100mm×内径60mm×厚
さ3mmとした。金型材質はダイス鋼である。図13の
一次圧縮工程でのプレス圧は50ton(1.0ton
/cm2 )、図14の二次圧縮工程でのプレス圧は15
0ton(3.0ton/cm2 )とした。プレス後に
圧粉成形体を焼結した。焼結条件は、前記同様に600
℃×2時間、H2+N2雰囲気下とした。焼結後にラッピ
ングして厚さ3mmの砥石とした。このときの砥粒層の
気孔率は10Vol%、気孔を除く固体部組成はダイヤ
15Vol%、結合剤85Vol%であった。また、台
金部はほぼ無気孔であった。
【0050】実験例2の1A1型砥石の台金部の組織、
砥粒層部の組織をそれぞれ走査型電子顕微鏡で撮影し
た。図21は200倍に拡大した台金部の組織、図22
は同倍率の砥粒層部の組織の写真である。いずれの組織
も均質であるが、砥粒層部の組織は多孔質構造になって
いることがわかる。
【0051】(比較例1)砥粒と結合剤を混合し型込め
する従来法により、実験例1および2と同組成かつ同形
状の砥石の製作を試みたが、いずれもプレス後の型から
の取り出し時に砥粒層となる多孔質部と台金部となる無
気孔部との界面で亀裂を生じ、砥石とならなかった。
【0052】(比較例2)そこで比較例2として、従来
法により、実施例1および2の砥石の砥粒層の固体部と
同じ組成比で、砥粒層部と台金部がいずれも無気孔であ
る一体成形砥石を作成した。プレス焼結後、砥石両面に
ラッピング加工を行い、砥石の寸法を外径100mm×
内径60mm×厚さ3mmの1A8型(砥粒層部と台金
部とが同一材質であるため)とした。
【0053】実験例1、2および比較例2の砥石を用い
て以下の研削試験を実施した。結果を表1に示す。 (研削試験条件) 被削材:ソーダガラス 試験材:岡本63A 切込み:3mm テーブル送り:100mm/min 切断ピッチ:5mm 研削液:JE220 総研削距離:10m
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多孔質メ
タルボンド砥石によれば、台金部と砥粒層部が同一の材
質から構成されることにより、両者の間に境界面が存在
せず、しかも熱膨張率がほぼ同等であるから、研削時に
砥粒層部が高温になっても、砥粒層部が台金部から剥離
することがない。
【0056】また、砥粒層部内では、個々の砥粒の間隔
が球殻状部分の厚さで規定されるため、砥粒の分布が従
来の砥石に比して均一で、気孔率を高くした場合にも切
れ味のばらつきが少ないうえ、個々の砥粒の外周を球殻
状部分により完全に包囲して各球殻状部分を連結したう
え、これら球殻状部分の間に気孔を形成しているから、
気孔率が高くても球殻状部分により砥粒保持力を高く確
保することができる。したがって、切れ味のばらつきお
よび砥粒脱落頻度の増大を防ぎつつ、気孔率を高めるこ
とができ、良好な切粉排出性および冷却性を得ることが
できるため、研削抵抗および被削材の加工損傷の低減を
図ることができる。
【0057】一方、本発明に係る多孔質メタルボンド砥
石の製造方法によれば、台金部と砥粒層部を同一の原料
を用いて同時に形成できるから、型込作業が容易で生産
性が高いうえ、砥粒層部を台金部よりも気孔率の高い多
孔質に形成できるため、前記のように優れた性能のメタ
ルボンド砥石が得られる。また、金属被覆砥粒はほぼ球
形かつ表面が滑らかで流動性に優れるから、加圧成形時
に砥粒層部および台金部のそれぞれの内部全域に亙って
圧力を均一化でき、これにより各部の気孔率を均一化す
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔質メタルボンド砥石の一実施
例を示す平面図である。
【図2】同砥石の断面図である。
【図3】同砥石の砥粒層部の断面拡大図である。
【図4】同砥石の台金部の断面拡大図である。
【図5】金属被覆砥粒の製造方法を示す説明図である。
【図6】同砥石の成形に使用されるプレス装置を示す断
面図である。
【図7】前記プレス装置への粉末充填工程を示す断面図
である。
【図8】前記プレス装置による一次圧縮工程を示す断面
図である。
【図9】前記プレス装置による二次圧縮工程を示す断面
図である。
【図10】前記プレス装置による型開き工程を示す断面
図である。
【図11】前記プレス装置による圧粉成形体突き出し工
程を示す断面図である。
【図12】本発明の他の砥石製造方法におけるプレス装
置への粉末充填工程を示す断面図である。
【図13】前記プレス装置による一次圧縮工程を示す断
面図である。
【図14】前記プレス装置による二次圧縮工程を示す断
面図である。
【図15】前記プレス装置による型開き工程を示す断面
図である。
【図16】前記プレス装置による圧粉成形体突き出し工
程を示す断面図である。
【図17】本発明の他の砥石製造方法におけるホットプ
レス装置への粉末充填工程を示す断面図である。
【図18】前記ホットプレス装置のセット方法を示す断
面図である。
【図19】前記ホットプレス装置による一次圧縮工程を
示す断面図である。
【図20】前記ホットプレス装置による二次圧縮工程を
示す断面図である。
【図21】実験例2の砥石の台金部の組織を200倍に
拡大した顕微鏡写真である。
【図22】実験例2の砥石の砥粒層部の組織を200倍
に拡大した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 多孔質メタルボンド砥石 2 台金部 3 砥粒層部 10 砥粒 11 金属結合相 11A 球殻状部分 12 連続気孔 20 プレス型 21 プレス孔 22 パンチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 弘明 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平5−116073(JP,A) 特開 平5−92370(JP,A) 特開 昭61−103768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24D 3/10 B24D 3/00 330 B24D 3/00 340

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 台金部と砥粒層部同じ原料で同時に
    一体成形され、これら台金部と砥粒層部はいずれも、互
    いにほぼ均等な間隔を空けて3次元的に配置された砥粒
    と、これら砥粒を保持する金属結合相とからなり、この
    金属結合相は、個々の砥粒の外周をそれぞれ球殻状に包
    囲するほぼ一定径の球殻状部分を有するとともに、隣接
    しあう球殻状部分は互いの接触面で連続し、さらに砥粒
    層部を構成する金属結合相の内部には、砥粒層部全域に
    亙って3次元編目状に広がる連続気孔が形成されること
    により、砥粒層部は台金部よりも気孔率の高い多孔質構
    造となっていることを特徴とする多孔質メタルボンド砥
    石。
  2. 【請求項2】前記砥粒層部の砥粒含有率は5〜70vo
    l%、気孔率は3〜40vol%とされていることを特
    徴とする請求項1記載の多孔質メタルボンド砥石。
  3. 【請求項3】砥粒の表面に金属被覆層を形成しその外径
    を前記砥粒の粒径の1.2〜4倍とした金属被覆砥粒を
    用意し、この金属被覆砥粒をプレス型に充填し、充填さ
    れた金属被覆砥粒の台金部となるべき部分を相対的に高
    い圧縮比でプレスすることにより台金部を形成すると同
    時に、前記金属被覆砥粒の砥粒層部となるべき部分を台
    金部よりも相対的に低い圧縮比でプレスすることによ
    り、3次元編目状に広がる連続気孔を有する砥粒層部を
    前記台金部と一体に成形することを特徴とする多孔質メ
    タルボンド砥石の製造方法。
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