JP5566189B2 - 薄刃ブレード - Google Patents
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Description
特許文献1の薄刃ブレード(電着ブレード)は、ニッケルなどの母体金属にダイヤモンドなどの超砥粒を電着して形成したものである。
すなわち、本発明に係る薄刃ブレードは、WC−Coからなるボンド材に超砥粒が分散されてなる円形薄板状のメタル基材と、該メタル基材の外周縁部に形成された切刃と、を有し、前記メタル基材が軸周りに回転されるとともに、前記切刃で被切断材を切断加工する薄刃ブレードであって、前記メタル基材は、径方向内側に形成された内周部と、該内周部の径方向外側に形成され、前記切刃が形成された外周部と、を備え、前記外周部を構成する外周側ボンド材が、前記内周部を構成する内周側ボンド材よりも低い密度で形成されていることを特徴としている。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、内周部を構成する内周側ボンド材により薄刃ブレードの剛性を確保することができ、外周部を構成する外周側ボンド材は適度な軟らかさで形成されているため自生発刃性を有することができる。結果として、直進性に優れた性能を有する薄刃ブレードを提供することができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、ボンド材の粉末を押し固めた後、焼成することで所望のメタル基材を製造することができるため、容易に製造することができ、歩留まりを向上することができる。また、脆性材料を用いても高品位に加工することができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、外周部の耐摩耗性が確保され、超砥粒が容易に脱落するのを抑制することができる。したがって、所望の自生発刃作用を有した外周部を形成することができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、内周側ボンド材によりメタル基材の剛性を確実に確保することができる。したがって、所望の自生発刃作用を有しつつ、剛性が確保されたメタル基材を提供することができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、一種類のボンド材料を用い、内周側ボンド材により薄刃ブレードの剛性を確保することができ、外周側ボンド材は適度な軟らかさで形成されているため自生発刃性を有することができる。つまり、直進性に優れた性能を有する薄刃ブレードを一種類のボンド材料だけで容易に製造することができる。結果として、歩留まりが向上した高品位な薄刃ブレードを提供することができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、内周部および外周部の少なくともいずれか一方に、ボンド材料と異なる材料のメタル材料が溶浸されているため、よい高品位な薄刃ブレードを提供することができる。
図1は、薄刃ブレードの正面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図3は、図2のB部拡大図である。
図1に示すように、薄刃ブレード10は、軸線Oを中心とした円環形状を有しており、厚さ0.03mm〜0.5mm程度の薄肉板状をなしている。薄刃ブレード10は、円環形状のメタル基材11と、メタル基材11の外周縁に形成された切刃13と、を備えている。メタル基材11は、粉末冶金法にて作製されている。また、薄刃ブレード10には、被切断材を切断など加工するための超砥粒21が配されている。
剛性評価試験1では、上記実施例1におけるベースブレード、発明品1〜3、比較品4,5(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表1に示す。
切断試験1では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、直径3インチ(76.2mm)、厚さ1.0mmのAl203−TiCを用いた。
この切断加工において、直進性は切断加工される部材の切断中における最大曲がり量を計測したものである。また、チッピングの大きさを工具顕微鏡で確認した。さらに、切断加工中に、主軸電流値を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径52mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数30000min−1、送り速度3mm/secとして切断加工を行った。この切断試験1によって得られた直進性、チッピングの大きさ、主軸電流値を表2に示す。
上記の結果より、本発明に係る発明品1〜3は、ベースブレード、比較品4,5と比較して、直進性における最大曲がり量およびチッピングが小さく抑えられるとともに、主軸電流値も小さく、すなわち低い抵抗で切断可能であることが理解される。
切断試験2では、上記の切断試験1の送り速度を10mm/secに変更して切断試験1と同様の試験を行った。表3に、切断試験2の結果を示す。
剛性評価試験2では、上記実施例2におけるベースブレード、発明品1〜3、比較品4(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表4に示す。
切断試験3では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、長さ100mm、幅100mm、厚さ0.7mmのセラミックグリーンシートを用いた。
切断試験3の送り速度を200mm/secとすること、チッピングの代わりにブレードへの切り屑の付着、すなわちダストを目視で測定すること、および摩耗量を測定すること以外は、上記切断試験1と同一の条件で切断加工を行った。
この切断試験3によって得られた直進性、ダストの付着、主軸電流値、摩耗量を表5に示す。
また、表5に示すように、各サンプル品に付着するダストは、ベースブレードおよび比較品4に多少の付着が認められた。しかしながら、発明品1〜3には、ダストの付着が認められなかった。
また、摩耗量については、比較品4、発明品3、発明品2、発明品1、ベースブレードの順で小さくなっていることが理解できる。つまり、低密度の外周部が大きいほど、強度が若干低くなるため、ブレード側面からの摩耗が進行していると理解できる。
剛性評価試験3では、上記実施例3におけるベースブレード(溶浸なし)、発明品1〜3(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表6に示す。
切断試験4では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、長さ100mm、幅100mm、厚さ1.0mmのAl203を用いた。
この切断加工において、直進性は切断加工される部材の切断中における最大曲がり量を計測したものである。また、チッピングの大きさを工具顕微鏡で確認した。さらに、切断加工中に、主軸電流値を測定した。そして、切断加工中の外周部の摩耗量を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径52mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数21000min−1、送り速度10mm/secとして切断加工を行った。この切断試験4によって得られた直進性、チッピングの大きさ、主軸電流値、摩耗量を表7に示す。
また、チッピングについては、ベースブレード、発明品1,2はほぼ同じ大きさになっており、発明品3は小さくなっていることが理解される。
また、摩耗量については、ベースブレード、発明品1、発明品2、発明品3の順で小さくなっていることが理解できる。
つまり、Cuを溶浸すると、切断品位を劣化させることなくブレードの剛性を向上させることができ、かつ、ブレードの長寿命化を図ることができる。
切断試験5では、上記の切断試験4の送り速度を30mm/secに変更して切断試験4と同様の試験を行った。表8に、切断試験5の結果を示す。
また、摩耗量については、ベースブレード、発明品1、発明品2、発明品3の順で小さくなっていることが理解できる。
つまり、Cuを溶浸すると、送り速度を上げても切断試験4と略同一の性能を発揮することができる。
切断試験6では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、長さ100mm、幅100mm、厚さ1.0mmの水晶を用いた。
この切断加工において、チッピングの大きさを工具顕微鏡で確認した。さらに、切断加工中に、主軸電流値を測定した。そして、切断加工中の外周部の摩耗量を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径52mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数21000min−1、送り速度10mm/secとして切断加工を行った。この切断試験6によって得られたチッピングの大きさ、主軸電流値、摩耗量を表9に示す。
また、主軸電流値は、ベースブレードおよび発明品1〜3でほぼ同じ結果になっていることが理解される。
さらに、摩耗量については、ベースブレード、発明品1、発明品2、発明品3の順で小さくなっていることが理解できる。
つまり、Alを溶浸すると、切断品位を劣化させることなくブレードの剛性を向上させることができ、かつ、ブレードの長寿命化を図ることができる。
例えば、本実施形態では、メタル基材11として、一種類のメタル材料(WC−Co)を用い、粉末冶金法にて形成した場合の説明をしたが、さらに、内周側15および外周側17に用いたボンド材料と異なるメタル材料を溶浸してもよい。このように構成することにより、よい高品位な薄刃ブレード10を提供することができる。
また、本実施形態では、外周部のみに気孔を形成した場合の説明をしたが、内周部に気孔が形成されていてもよい。この場合は、内周部の気孔密度が外周部の気孔密度よりも小さくなっていれば、略同一の作用効果を得ることができる。
Claims (6)
- WC−Coからなるボンド材に超砥粒が分散されてなる円形薄板状のメタル基材と、
該メタル基材の外周縁部に形成された切刃と、を有し、
前記メタル基材が軸周りに回転されるとともに、前記切刃で被切断材を切断加工する薄刃ブレードであって、
前記メタル基材は、径方向内側に形成された内周部と、該内周部の径方向外側に形成され、前記切刃が形成された外周部と、を備え、
前記外周部を構成する外周側ボンド材が、前記内周部を構成する内周側ボンド材よりも低い密度で形成されていることを特徴とする薄刃ブレード。 - 前記メタル基材が、粉末冶金法にて作製されていることを特徴とする請求項1に記載の薄刃ブレード。
- 前記外周部が、前記外周側ボンド材の真比重の60%以上になるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄刃ブレード。
- 前記外周部の径方向肉厚が、前記メタル基材の径方向肉厚の1/3以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄刃ブレード。
- 前記外周側ボンド材と前記内周側ボンド材とが同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄刃ブレード。
- 前記内周部および前記外周部の少なくともいずれか一方に、前記ボンド材と異なるメタル材料が溶浸されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の薄刃ブレード。
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