JP5739371B2 - 切断用ブレード - Google Patents

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Description

本発明は、例えばガラス、セラミックス等の硬脆材料の切断加工に使用される切断用ブレードに関するものである。
従来、半導体製品などに用いられるガラスやセラミックス等の硬脆材料(被切断材)に溝加工を施したり、切断することによって個片化したりする加工(以下、これらの加工を総じて切断又は切断加工と言う)には、高精度が要求されており、このような切断加工には、円形薄板状のブレード本体を有する切断用ブレードが使用されている。ブレード本体のボンド相には、ダイヤモンドやcBN(立方晶窒化ホウ素)からなる砥粒が分散されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
特許文献1では、ボンド相として金属結合相(メタルボンド相)を用いており、該ボンド相に分散された砥粒が、被切断材に切り込んで切断加工する。ボンド相に保持された砥粒は、切断負荷や摩耗によりブレード本体の切れ刃(外周端縁)から脱落するようになっており、これにより切れ刃が自生発刃して、切断用ブレードの切れ味が確保される。
特開2003−94341号公報
しかしながら、前述した従来の切断用ブレードにおいては、下記の課題があった。
すなわち、ボンド相と砥粒とは材料の違い(性質)により互いに十分な強度で結合されているとは言えず、つまりボンド相における砥粒の保持力は十分とは言えず、砥粒が切断加工に殆んど寄与されることなく早期にボンド相から脱落することがあった。このような砥粒の早期脱落は、工具寿命を短縮させることから好ましくない。
また、特に上記硬脆材料からなる被切断材を切断する場合において、角欠けやチッピング等が発生することがあり、加工品位を向上することに改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ボンド相における砥粒の保持力を高めて工具寿命を延長でき、その一方で砥粒の自生発刃作用を適度に促して鋭い切れ味を維持することもでき、角欠けやチッピング等が抑制されて、高品位で安定した切断加工を行うことができる切断用ブレードを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、円形薄板状のブレード本体を有する切断用ブレードであって、前記ブレード本体は、Cu−Sn、Co及びNiのいずれかを主成分とするボンド相を有し、前記ボンド相には、Tiで被覆された砥粒と、MoSからなるフィラーとが分散され、前記ボンド相には、Ag及び赤リンの少なくともいずれかが含まれていることを特徴とする。
本発明の切断用ブレードによれば、ブレード本体のボンド相は、Cu−Sn、Co及びNiのうちいずれかを主成分としており、このボンド相に、Tiによって被覆された例えばダイヤモンドやcBNからなる砥粒が分散されていることによって、ボンド相における砥粒の保持力が高められている。
具体的には、この切断用ブレードの製作時において、例えばブレード本体素材を焼き固めて(焼結して)ブレード本体とする際、砥粒を被覆するTiと、該Tiの周囲のボンド相とが強く結合して、砥粒がボンド相に強固に保持されるようになっている。
これにより、被切断材に切り込む砥粒が、例えば従来のように十分に切断加工に寄与されることなく早期にボンド相から脱落するようなことが防止される。つまり本発明の切断用ブレードによれば、砥粒が無駄にボンド相から脱落するようなことが抑制されて、工具寿命が延長される。
その一方で、このボンド相には、MoS(二硫化モリブデン)からなるフィラーが分散されており、該フィラーは砥粒やボンド相に比べて軟質であることから、砥粒の自生発刃作用を適度に促すことができるようになっている。
従って、例えばボンド相における砥粒の保持力が高くなり過ぎて、摩耗により切れ味の悪くなった砥粒が切れ刃(刃先)に保持され続けるような事態を回避でき、つまり本発明によれば、鋭い切れ味が維持されるように適度に砥粒が脱落し自生発刃するので、切断の加工品位が安定して高められる。
さらに、このようなMoSからなるフィラーがブレード本体の外周端縁(切れ刃)に露出していることによって、該フィラーがあたかも潤滑剤のごとく作用して、被切断材を切断して生じた切り粉(切屑)が該ブレード本体の側面等に付着しにくくされているとともに良好に排出されやすくなり、またこれにより、被切断材を切断する際の切断抵抗が低減されて、角欠けやチッピング等が抑制され、高品位な切断加工が安定して持続される。
このように、本発明によれば、ボンド相における砥粒の保持力を高めて工具寿命を延長でき、その一方で砥粒の自生発刃作用を適度に促して鋭い切れ味を維持することもでき、角欠けやチッピング等が抑制されて、高品位で安定した切断加工を行うことができるのである。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記フィラーの体積は、前記砥粒のTiの体積に対して4倍以上75倍以下であるとともに、前記ブレード本体全体の体積に対して20vol%以下であることとしてもよい。
この場合、フィラーの体積が、砥粒を被覆するTiの体積に対して4倍以上75倍以下であるので、前述したボンド相における砥粒の保持力及び自生発刃作用をともに確保でき、またブレード本体の耐摩耗性及び剛性が十分に確保されることになる。
具体的に、フィラーの体積が、砥粒のTiの体積に対して4倍未満である場合には、砥粒の自生発刃作用を十分に促すことができず、切れ味が安定しないおそれがある。また、フィラーの体積が、砥粒のTiの体積に対して75倍を超える場合には、フィラーの体積比率が大きくなって、砥粒の保持力が十分に確保できなくなり、砥粒が早期にボンド相から脱落したり、ブレード本体の耐摩耗性や剛性が低減するおそれがある。
また、ブレード本体全体の体積に対するフィラーの体積比率が20vol%以下であるので、該ブレード本体の耐摩耗性及び剛性が十分に確保されて、高品位な切断加工を安定して維持することができる。
すなわち、ブレード本体全体の体積に対するフィラーの体積比率が20vol%を超える場合には、フィラーの割合が大きくなって、砥粒の保持力が十分に確保できなくなったり、ブレード本体の耐摩耗性や剛性が低減するおそれがある。
尚、ブレード本体全体の体積に対するフィラーの体積比率は1vol%以上であることが好ましく、これにより、砥粒の自生発刃作用を十分に促して切れ味を安定的に高めることができる。さらに望ましくは、ブレード本体全体の体積に対するフィラーの体積比率は3vol%以上である。
また、本発明の切断用ブレードにおいて、前記フィラーの平均粒径が、15μm以下であることとしてもよい。
この場合、フィラーの平均粒径が15μm以下と小さいため、該フィラーが、ボンド相における砥粒の均一な分散を妨げるようなことが抑制される。従って、前述したフィラーによる効果が得られつつ、砥粒がボンド相に均一に分散されて、切断用ブレードの品質及び性能(切れ味など)が安定する。
具体的に、フィラーの平均粒径が15μmを超える場合は、該フィラーが、ボンド相における砥粒の均一な分散を妨げるおそれがある。
本発明の切断用ブレードによれば、ボンド相における砥粒の保持力を高めて工具寿命を延長でき、その一方で砥粒の自生発刃作用を適度に促して鋭い切れ味を維持することもでき、角欠けやチッピング等が抑制されて、高品位で安定した切断加工を行うことができる。
本発明の一実施形態に係る切断用ブレードを示す側面図である。 図1におけるA−A断面である。 図2におけるB部の拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係る切断用ブレード10について、図面を参照して説明する。
本実施形態の切断用ブレード10は、半導体デバイス(電子材料部品)に用いられる例えばガラス、セラミックス、石英等の硬脆材料を被切断材とした精密切断加工に使用されるものである。
図1に示されるように、切断用ブレード10は、中心軸Oを中心とした円形薄板状をなし、厚さ0.03〜0.5mm程度とされたブレード本体1を有している。尚、図2においては説明のため、ブレード本体1の厚さ(すなわち円形をなすブレード本体1において中心軸O方向を向く両側面1B、1B間の距離、図3参照)が、実際より厚く示されているが、ブレード本体1は前述のように極薄板状とされている。また、ブレード本体1の中央部には、このブレード本体1の中心軸Oを中心とした円形をなし、該ブレード本体1を厚さ方向(図2における左右方向)に貫通する取付孔4が形成されており、このためブレード本体1は、厳密には円環薄板状を呈している。
特に図示しないが、切断用ブレード10は、ブレード本体1がフランジを介して切断装置の主軸に取り付けられて、中心軸O回りに回転されつつ該中心軸Oに垂直な方向に送り出されることにより、該ブレード本体1においてフランジより径方向外側に突出された外周端縁(切れ刃)で被切断材を切断する。
図3に示されるように、ブレード本体1の切れ刃は、該ブレード本体1の厚さと等しい極小さな幅の外周面1Aと、該ブレード本体1の中心軸O方向を向く両側面1Bにおける外周端縁と、外周面1A及び側面1Bの交差稜線部分であるエッジ部とによって形成されている。
そして、ブレード本体1は、Cu−Sn、Co及びNiのいずれかを主成分とするボンド相2を有し、該ボンド相2には砥粒3及びフィラー5が分散されている。また、このボンド相2には、Ag及び赤リン(P)の少なくともいずれかが含まれている。
砥粒3は、ダイヤモンド砥粒及びcBN砥粒の少なくともいずれかからなり、特に図示しないが、該砥粒3の外面(表面)は、Tiで被覆されている。砥粒3を被覆するTiは、例えば膜状、層状、粒状等に形成されていて、該砥粒3の外面全体を覆っていることが好ましいが、例えば砥粒3外面の一部以上を覆っていることとしても構わない。
砥粒3の平均粒径は、例えば5〜65μm程度とされている。ボンド相2において、複数の砥粒3同士は、互いの間隔が均一となるように分散保持されている。
フィラー5は、MoS(二硫化モリブデン)からなる。フィラー5の平均粒径は、15μm以下とされている。図3に示される例では、フィラー5は粒状をなしている。
また、フィラー5の体積は、砥粒3を被覆するTiの体積に対して4倍以上75倍以下とされている。また、フィラー5の体積は、ブレード本体1全体の体積に対して20vol%以下とされている。
以上説明した本実施形態の切断用ブレード10によれば、ブレード本体1のボンド相2は、Cu−Sn、Co及びNiのうちいずれかを主成分としており、このボンド相2に、Tiによって被覆されたダイヤモンドやcBNからなる砥粒3が分散されていることによって、ボンド相2における砥粒3の保持力が高められている。
具体的には、この切断用ブレード10の製作時において、例えばブレード本体1素材を焼き固めて(焼結して)ブレード本体1とする際、砥粒3を被覆するTiと、該Tiの周囲のボンド相2とが強く結合して、砥粒3がボンド相2に強固に保持されるようになっている。
これにより、被切断材に切り込む砥粒3が、例えば従来のように十分に切断加工に寄与されることなく早期にボンド相2から脱落するようなことが防止される。つまり本実施形態の切断用ブレード10によれば、砥粒3が無駄にボンド相2から脱落するようなことが抑制されて、工具寿命が延長される。
その一方で、このボンド相2には、MoS(二硫化モリブデン)からなるフィラー5が分散されており、該フィラー5は砥粒3やボンド相2に比べて軟質であることから、砥粒3の自生発刃作用を適度に促すことができるようになっている。
従って、例えばボンド相2における砥粒3の保持力が高くなり過ぎて、摩耗により切れ味の悪くなった砥粒3が切れ刃(刃先)に保持され続けるような事態を回避でき、つまり本実施形態によれば、鋭い切れ味が維持されるように適度に砥粒3が脱落し自生発刃するので、切断の加工品位が安定して高められる。
さらに、このようなMoSからなるフィラー5がブレード本体1の外周端縁(切れ刃)に露出していることによって、該フィラー5があたかも潤滑剤のごとく作用して、被切断材を切断して生じた切り粉(切屑)が該ブレード本体1の側面1B等に付着しにくくされているとともに良好に排出されやすくなり、またこれにより、被切断材を切断する際の切断抵抗が低減されて、角欠けやチッピング等が抑制され、高品位な切断加工が安定して持続される。
このように、本実施形態によれば、ボンド相2における砥粒3の保持力を高めて工具寿命を延長でき、その一方で砥粒3の自生発刃作用を適度に促して鋭い切れ味を維持することもでき、角欠けやチッピング等が抑制されて、高品位で安定した切断加工を行うことができるのである。
また、フィラー5の体積が、砥粒3を被覆するTiの体積に対して4倍以上75倍以下であるので、前述したボンド相2における砥粒3の保持力及び自生発刃作用をともに確保でき、またブレード本体1の耐摩耗性及び剛性が十分に確保されることになる。
具体的に、フィラー5の体積が、砥粒3のTiの体積に対して4倍未満である場合には、砥粒3の自生発刃作用を十分に促すことができず、切れ味が安定しないおそれがある。また、フィラー5の体積が、砥粒3のTiの体積に対して75倍を超える場合には、フィラー5の体積比率が大きくなって、砥粒3の保持力が十分に確保できなくなり、砥粒3が早期にボンド相2から脱落したり、ブレード本体1の耐摩耗性や剛性が低減するおそれがある。
また、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率が20vol%以下であるので、該ブレード本体1の耐摩耗性及び剛性が十分に確保されて、高品位な切断加工を安定して維持することができる。
すなわち、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率が20vol%を超える場合には、フィラー5の割合が大きくなって、砥粒3の保持力が十分に確保できなくなったり、ブレード本体1の耐摩耗性や剛性が低減するおそれがある。
尚、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率は1vol%以上であることが好ましく、これにより、砥粒3の自生発刃作用を十分に促して切れ味を安定的に高めることができる。さらに望ましくは、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率は3vol%以上である。
また、フィラー5の平均粒径が15μm以下と小さいため、該フィラー5が、ボンド相2における砥粒3の均一な分散を妨げるようなことが抑制される。従って、前述したフィラー5による効果が得られつつ、砥粒3がボンド相2に均一に分散されて、切断用ブレード10の品質及び性能(切れ味など)が安定する。
具体的に、フィラー5の平均粒径が15μmを超える場合は、該フィラー5が、ボンド相2における砥粒3の均一な分散を妨げるおそれがある。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、ボンド相2にMoSからなるフィラー5が分散されているとしたが、ボンド相2には、MoSからなるフィラー5以外の他のフィラー(例えばWCからなるフィラーなど)が、該フィラー5とともに分散されていても構わない。すなわち、ボンド相2に分散される複数種類のフィラーの中に、少なくともMoSからなるフィラー5が含まれていればよい。
また、前述の実施形態では、ボンド相2に、Ag及び赤リンの少なくともいずれかが含まれていることとしたが、本発明とは技術思想が異なる参考例では、これらAg及び赤リンがボンド相2に含まれていなくても構わない。前述の実施形態のように、ボンド相2にAg及び赤リンの少なくともいずれかが含まれることにより、該ボンド相2の脆性を低減できるとともに延性を向上させることができ、例えば被切断材との接触によって砥粒3が衝撃を受けた際に、このボンド相2が衝撃を緩和するように作用して、ブレード本体1の破損等を抑制できる。
また、前述の実施形態では、切断用ブレード10が、被切断材として例えばガラス、セラミックス、石英等の硬脆材料の切断に使用されると説明したが、それ以外の電子部品材料からなる被切断材を切断することとしてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[MoSフィラーの平均粒径に関する切断品位確認試験]
この実施例では、ボンド相2に分散されるMoSからなるフィラー5の平均粒径と、切断品位(角欠け、最大チッピング量、主軸電流値(つまり切断抵抗の大きさ))との関係について、確認を行った。
具体的には、粒度#1000の砥粒がボンド相2に分散された、外径:53mm、内径(取付孔4の直径):40mm、厚さ:0.08mmのブレード本体を有する切断用ブレードを複数製造した。そして、これら切断用ブレードのうち、前述の実施形態に準ずるように、Tiで被覆された砥粒3とMoSからなるフィラー5とがボンド相2に分散されたものにおいて、該フィラー5の平均粒径をそれぞれ5μm、10μm、15μm、20μmとしたものを、この順に実施例1〜4とした。一方、Tiが被覆されていない従来の砥粒を用いるとともに、MoSフィラー5の平均粒径を10μmとした切断用ブレードを、比較例1とした。尚、これら実施例1〜4及び比較例1の切断用ブレードにおいて、ブレード本体全体の体積に対するMoSフィラー5の体積比率(含有率)は、すべて10vol%とした。また、Tiで被覆された砥粒3を用いてはいるが、MoSフィラー5を用いていない切断用ブレードを用意し、これを比較例2とした。
また切断条件については、ワーク(被切断材):石英(100mm×100mm×t0.5mm)、フランジ:φ49.6mm、主軸回転数:20000min−1、送り速度:5mm/secとした。そして、ワークを切断して得られたチップにおける角欠けの有無、最大チッピング量及び主軸電流値について確認した。尚、前記角欠けの有無とは、矩形状に切り欠かれたチップにおける四隅のいずれか1つ以上に、折損(欠け)が有るか否かであり、前記最大チッピング量とは、切断加工によって、チップ内へ向けて意図せずカーフ端面から切り欠かれたチッピングのうち、最も大きいものの切り欠き量(深さ)である。結果を表1に示す。
Figure 0005739371
表1に示されるように、ボンド相2にTiで被覆された砥粒3とMoSフィラー5とが分散された実施例1〜4は、これら砥粒3及びフィラー5のいずれかを備えていない比較例1、2に比べて、最大チッピング量が小さくなって加工品位が高められていた。その中でも、MoSフィラー5の平均粒径が15μm以下とされた実施例1〜3については、角欠けが見受けられず、また最大チッピング量が12μm以下、主軸電流値は2.5A以下となって、優れた加工品位が得られることがわかった。
[MoSフィラーの体積比率に関する切断品位確認試験A]
この実施例では、砥粒3を被覆するTiの体積及びブレード本体1全体の体積に対する、MoSフィラー5の体積比率と、切断品位(チップの裏面角欠け、チップ表面・裏面における各最大チッピング量、主軸電流値)との関係について、確認を行った。
具体的には、粒度#800のTiコーティングダイヤモンド砥粒3(以下、Tiコーティング砥粒3という)がボンド相2に分散された、外径:58mm、内径:40mm、厚さ:0.1mmのブレード本体を有する切断用ブレードを複数製造した。また、ブレード本体全体の体積に対して、砥粒3の体積比率(含有率)は6.25vol%とし、砥粒3を被覆するTiの体積比率は0.25vol%とした。そして、これら切断用ブレードのうち、ブレード本体1全体の体積に対するMoSフィラー5の体積比率を0.75vol%、1.0vol%、5.0vol%、10vol%、15vol%、17.5vol%、20vol%、25vol%としたものを、この順に実施例5〜12とした。尚、上記フィラー5の平均粒径は、すべて5μmとした。一方、上記Tiコーティング砥粒3を用いてはいるが、MoSフィラー5を用いていない切断用ブレードを用意し、これを比較例3とした。
また切断条件については、ワーク(被切断材):アルカリガラス(100mm×100mm×t0.5mm)、フランジ:φ52mm、主軸回転数:15000min−1、送り速度:10mm/secとした。そして、ワークを切断して得られたチップにおける裏面角欠けの有無、チップ表面・裏面の各最大チッピング量及び主軸電流値について確認した。結果を表2に示す。
Figure 0005739371
表2に示されるように、ボンド相2にTiコーティング砥粒3のみならず、MoSフィラー5が分散された実施例5〜12は、該フィラー5を備えていない比較例3に比べて、チップ表面・裏面の最大チッピング量が小さくなって加工品位が高められており、また、主軸電流値も小さくなって切断抵抗が低減されていることが確認された。その中でも、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率が1〜20vol%である実施例6〜11については、チップ表面の最大チッピング量が24μm以下、チップ裏面の最大チッピング量が39μm以下、主軸電流値は2.9A以下となって、良好な加工品位が得られた。さらに、フィラー5の体積が砥粒3を被覆するTiの体積に対して4倍以上75倍以下とされた実施例6〜10においては、チップ裏面の角欠けが見受けられず、またチップ表面の最大チッピング量が20μm以下、チップ裏面の最大チッピング量が31μm以下となって、優れた加工品位が得られることがわかった。
[MoSフィラーの体積比率に関する切断品位確認試験B]
この実施例でも、上述した[MoSフィラーの体積比率に関する切断品位確認試験A]とは異なる設定にて、砥粒3を被覆するTiの体積及びブレード本体1全体の体積に対する、MoSフィラー5の体積比率と、切断品位(チップの裏面角欠け、チップ表面・裏面における各最大チッピング量、主軸電流値)との関係について、確認を行った。
具体的には、粒度#600のTiコーティング砥粒3がボンド相2に分散された、外径:58mm、内径:40mm、厚さ:0.15mmのブレード本体を有する切断用ブレードを複数製造した。また、ブレード本体全体の体積に対して、砥粒3の体積比率(含有率)は6.25vol%とし、砥粒3を被覆するTiの体積比率は0.75vol%とした。そして、これら切断用ブレードのうち、ブレード本体1全体の体積に対するMoSフィラー5の体積比率を2.25vol%、3.0vol%、7.5vol%、15vol%、20vol%、25vol%としたものを、この順に実施例13〜18とした。尚、上記フィラー5の平均粒径は、すべて10μmとした。一方、上記Tiコーティング砥粒3を用いてはいるが、MoSフィラー5を用いていない切断用ブレードを用意し、これを比較例4とした。
尚、切断条件については、上述した確認試験Aと同様とした。結果を表3に示す。
Figure 0005739371
表3に示されるように、ボンド相2にTiコーティング砥粒3のみならず、MoSフィラー5が分散された実施例13〜18は、該フィラー5を備えていない比較例4に比べて、チップ表面・裏面の最大チッピング量が小さくなって加工品位が高められていた。その中でも、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率が20vol%以下である実施例13〜17については、チップ表面の最大チッピング量が31μm以下、チップ裏面の最大チッピング量が52μm以下となって、良好な加工品位が得られた。さらにその中でも、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積比率が3vol%以上であり、またフィラー5の体積が砥粒3を被覆するTiの体積に対して4倍以上とされた実施例14〜17においては、チップ裏面の角欠けが見受けられず、またチップ表面の最大チッピング量が28μm以下、チップ裏面の最大チッピング量が39μm以下、主軸電流値は2.4A以下となって、優れた加工品位が得られることがわかった。
1 ブレード本体
2 ボンド相
3 砥粒
5 フィラー
10 切断用ブレード

Claims (3)

  1. 円形薄板状のブレード本体を有する切断用ブレードであって、
    前記ブレード本体は、Cu−Sn、Co及びNiのいずれかを主成分とするボンド相を有し、
    前記ボンド相には、Tiで被覆された砥粒と、MoSからなるフィラーとが分散され
    前記ボンド相には、Ag及び赤リンの少なくともいずれかが含まれていることを特徴とする切断用ブレード。
  2. 請求項1に記載の切断用ブレードであって、
    前記フィラーの体積は、前記砥粒のTiの体積に対して4倍以上75倍以下であるとともに、前記ブレード本体全体の体積に対して20vol%以下であることを特徴とする切断用ブレード。
  3. 請求項1又は2に記載の切断用ブレードであって、
    前記フィラーの平均粒径が、15μm以下であることを特徴とする切断用ブレード。
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