JP2002187071A - 電鋳薄刃砥石 - Google Patents

電鋳薄刃砥石

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JP2002187071A
JP2002187071A JP2000383498A JP2000383498A JP2002187071A JP 2002187071 A JP2002187071 A JP 2002187071A JP 2000383498 A JP2000383498 A JP 2000383498A JP 2000383498 A JP2000383498 A JP 2000383498A JP 2002187071 A JP2002187071 A JP 2002187071A
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electroformed thin
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Junji Hoshi
純二 星
Yoshitaka Ikeda
吉隆 池田
Masanori Torisaka
昌徳 鳥坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削性能と加工精度を向上させた電鋳薄刃砥
石を提供する。 【解決手段】 砥石本体2を、NiやCo或いはそれら
の合金等からなる金属結合相3内に、ダイヤモンドやc
BN等の超砥粒4と、SiCやh−BN等のセラミック
スのフィラー、その他超砥粒よりも粒径の小さいフィラ
ー5とを分散配置して形成する。砥石本体2に占める金
属結合相3の割合を従来の電鋳薄刃砥石よりも大きくし
て、砥石本体2の密度を、6.8〜8.5g/cm3
範囲内とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子材料や
半導体製品等の被削材を高精度に切断加工するのに用い
られる電鋳薄刃砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電鋳薄刃砥石(ブレー
ド)の一例として、略薄板リング状の砥石本体を有する
電鋳薄刃砥石がある。この電鋳薄刃砥石において、砥石
本体は、NiやCo或いはそれらの合金等からなる金属
めっき相(金属結合相)内にダイヤモンドやcBN等の
超砥粒を分散して形成された厚さ数十μm〜数百μmの
輪環薄板状をなしている。ここで、このような従来の砥
石本体の密度は、6.0〜6.5g/cm3の範囲内に
ある。なお、金属めっき相を構成するNiの比重は8.
9g/cm3、Coの比重は8.7g/cm3である。こ
の電鋳薄刃砥石は、砥石本体の内周側領域(または外周
側領域)を保持されて軸線回りに回転駆動されること
で、外周側領域(または内周側領域)で被削材の切断加
工を行うものである。このような電鋳薄刃砥石は強度と
剛性に優れているために、極薄の砥石の製造が可能であ
り、超精密加工が要求される電子部品材料の切断や溝入
れ加工等に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような電
鋳薄刃砥石は、極薄に形成できる反面、砥石本体が軽い
ために、回転駆動された際の慣性力が小さかった。この
ため、砥石本体が被削材に対して切り込みにくく、切断
性能が低かった。また、このように慣性力が小さいため
に、切断抵抗を受けると砥石本体にぶれやビビリが生じ
やすく、加工精度を向上させることが困難であった。こ
れは特に、電子材料や半導体製品など、きわめて高い加
工精度が要求される被削材を加工する場合に大きな問題
となる。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、切断性能と加工精度を向上させた電鋳薄刃砥
石を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる電鋳薄刃
砥石は、超砥粒を金属結合相中に分散配置してなる砥石
本体を有し、砥石本体の密度が、6.8〜8.5g/c
3の範囲内とされていることを特徴としている。この
ように構成される電鋳薄刃砥石においては、砥石本体の
密度が従来の電鋳薄刃砥石よりも高く設定されており、
回転駆動された際の慣性力が大きいので、砥石本体が被
削材に対して切り込みやすくなる。また、切断抵抗を受
けても砥石本体にぶれやビビリが生じにくくなる。ここ
で、砥石本体の密度が6.8g/cm3よりも低いと、
砥石本体が軽すぎて回転駆動された際の慣性力が小さく
なってしまう。また、砥石本体において金属結合相を構
成する金属の比重、例えばNiの比重は8.9g/cm
3、Coの比重は8.7g/cm3であり、超砥粒の比重
はこれら金属結合相を構成する金属の密度よりも低いの
で、砥石本体の密度を8.5g/cm3以上にするため
には、砥石本体に含まれる超砥粒の量を極端に少なくし
なければならず、電鋳薄刃砥石の切断性能が低下してし
まう。このため、砥石本体の密度は、6.8〜8.5g
/cm3の範囲内とされる。
【0006】砥石本体の密度が上記範囲内とされる電鋳
薄刃砥石は、例えば砥石本体中に占める金属結合相の割
合を高めるか、または金属結合相自体の密度を高めるこ
とで製造される。そして、砥石本体中に占める金属結合
相の割合を高めた場合には、切断加工時に砥石本体が摩
耗しやすくなって超砥粒の脱落が促進されるので、電鋳
薄刃砥石の自生発刃作用を高めて切れ味を持続させるこ
とができる。また、砥石本体の表面に露出する砥粒が少
なくなって超砥粒と被削材との接触面積が小さくなるの
で、超砥粒と被削材との接触圧を高めて、電鋳薄刃砥石
の切れ味を向上させることができる。一方、金属結合相
自体の密度を高めた場合には、砥石本体の剛性が向上す
るので、切断抵抗を受けても砥石本体にぶれやビビリが
より生じにくくなる。
【0007】また、この電鋳薄刃砥石において、砥石本
体の金属結合相のめっき硬度がビッカース硬さで550
よりも小さいと、被削材の切断時に発生する切屑に対し
ての耐磨耗性がなく、砥石寿命が極端に短くなる。一
方、金属結合相のめっき硬度がビッカース硬さで700
よりも大きいと、金属結合相の伸びがなく、砥石本体が
割れやすくなる。このため、砥石本体の金属結合相のめ
っき硬度は、ビッカース硬さで550〜700の範囲内
とすることが好ましい。
【0008】そして、この電鋳薄刃砥石は、例えば砥石
本体を、超砥粒と、超砥粒よりも細かなフィラーを金属
結合相中に分散配置した構成とし、金属結合相中に超砥
粒とフィラーとを1:2〜2:1の体積割合で分散配置
した構成としてもよい。このように、金属結合相中に、
超砥粒に加え、さらに超砥粒よりも細かなフィラーが分
散配置されていることで、砥石本体のじん性が高められ
ることとなる。ここで、金属結合相中において、超砥粒
に対するフィラーの体積割合が1:2よりも大きいと、
超砥粒の量が少なすぎて電鋳薄刃砥石の切断性能が低下
してしまう。一方、超砥粒に対するフィラーの体積割合
が2:1よりも小さいと、フィラーの量が少なすぎてフ
ィラーのもたらす効果が小さくなってしまう。このた
め、砥石本体の金属結合相中には、超砥粒とフィラーと
を1:2〜2:1の体積割合で分散配置することが好ま
しい。また、フィラーとしては、電鋳薄刃砥石の寿命を
確保する観点から、フィラー自体の耐磨耗性が高いセラ
ミックスのフィラーを用いることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下より、本発明の一実施の形態
にかかる電鋳薄刃砥石について、図1を用いて説明す
る。図1は本実施形態にかかる電鋳薄刃砥石を示す部分
縦断面図、図2は本実施形態にかかる電鋳薄刃砥石の製
造装置を概略的に示す正断面図である。本実施の形態の
電鋳薄刃砥石1は、略薄板リング状の砥石本体2を有し
ている。この砥石本体2は、NiやCo或いはそれらの
合金等からなる金属結合相3内に、ダイヤモンドやcB
N等の超砥粒4と、SiCやh−BN等のセラミックス
のフィラー、その他超砥粒よりも粒径の小さいフィラー
5とを分散配置して形成された厚さ数十μm〜数百μm
の輪環薄板状をなしており、全体が砥粒層とされてい
る。そして、砥石本体2の密度は、6.8〜8.5g/
cm3の範囲内とされている。本実施の形態では、フィ
ラー5としては、電鋳薄刃砥石1の寿命を確保する観点
から、フィラー自体の耐磨耗性が高いセラミックスのフ
ィラーを用いている。また、図1では、フィラー5をブ
ロック状のものとして図示しているが、フィラー5の形
状や大きさは一例であって、例えば球型、もしくは繊維
状であってもよい。
【0010】この電鋳薄刃砥石1は、砥石本体2におい
て、めっき液中の超砥粒とフィラーの量とこれらの比を
制御することで、その密度が6.8〜8.5g/cm3
の範囲内に設定されている。さらに、砥石本体2には、
超砥粒4と、超砥粒4よりも粒径の小さいフィラー5と
が、1:2〜2:1の体積割合で金属結合相3中に分散
配置されている。また、砥石本体2の金属結合相3のめ
っき硬度は、ビッカース硬さで550〜700の範囲内
とされている。
【0011】この電鋳薄刃砥石1は、砥石本体2を図示
しない砥石軸に固定される。この状態で、電鋳薄刃砥石
1を砥石軸の軸線まわりに回転させつつ砥石本体2の外
周面で被削材を切断(研削)加工する。
【0012】このように構成される電鋳薄刃砥石1は、
図2に概略的に示す砥石製造装置10を用いて製造され
る。砥石製造装置10は、攪拌機が配設されためっき槽
11を有している。めっき槽11内には、非導電性の台
座12が略水平に配置され、台座12上にはステンレス
製の平面基板13が載置され、めっき槽11内の平面基
板13の上方には、平面基板13と平行にして陽極板1
4が配置されている。平面基板13の上面には、製造す
べき電鋳薄刃砥石1の砥石本体2の原型形状をなす部分
を残してマスキングが施されている。この砥石製造装置
10により、電解めっきによって電鋳薄刃砥石1の製造
を行う場合には、平面基板13を電源の陰極に、陽極板
14を電源の陽極に接続し、めっき液として、超砥粒4
とフィラー5が、これらの総量でめっき液に対して4g
/Lの割合で、しかも超砥粒4とフィラー5とが1:2
〜2:1の割合で投入されためっき液M(めっき液硬度
Hv550〜700)を攪拌機によって攪拌しながら通
電する。そして、平面基板13のマスキングを施さなか
った部分に、超砥粒4とフィラー5とを含む所定の厚さ
の砥粒層15を析出させた後、これを平面基板13から
剥離させ、洗浄及び整形を経て、砥石本体2に占める金
属結合相3の割合が65〜85vol%とされ、超砥粒
4とフィラー5とが1:2〜2:1の体積割合で金属結
合相3中に分散配置された円環状の電鋳薄刃砥石1を得
る。ここで、経験的に、めっき液中に大きさの異なる2
種類以上の粒子を投入すると、めっき液中に大きさの揃
った粒子を投入した場合に比べて、各粒子の析出量が小
さくなることが出願人によって確かめられている。
【0013】このような電鋳薄刃砥石1では、砥石本体
2の密度が6.8〜8.5g/cm 3の範囲内とされて
おり、従来の電鋳薄刃砥石に比べて、回転駆動された際
の慣性力が大きくなっている。ここで、砥石本体2の密
度が6.8g/cm3よりも低いと、砥石本体2が軽す
ぎて回転駆動された際の慣性力が小さくなってしまう。
また、超砥粒4及びフィラー5の比重は金属結合相3を
構成する金属の密度よりも低いので、砥石本体2の密度
を8.5g/cm3以上にするためには、砥石本体2に
含まれる超砥粒4及びフィラー5の量を極端に少なくし
なければならず、電鋳薄刃砥石1の切断性能及び後述す
るフィラー5の効果が低下してしまう。このため、砥石
本体の密度は、6.8〜8.5g/cm3の範囲内とさ
れる。
【0014】また、砥石本体2の金属結合相3のめっき
硬度がビッカース硬さで550よりも小さいと、被削材
の切断時に発生する切屑に対しての耐磨耗性がなく、砥
石寿命が極端に短くなる。一方、金属結合相3のめっき
硬度がビッカース硬さで700よりも大きいと、金属結
合相3の伸びがなく、砥石本体2が割れやすくなる。こ
のため、砥石本体2の金属結合相3のめっき硬度は、ビ
ッカース硬さで550〜700の範囲内とすることが好
ましい。
【0015】そして、砥石本体2が、超砥粒4と、超砥
粒4よりも細かなフィラー5を金属結合相3中に分散配
置した構成とされているので、砥石本体2のじん性が高
められることとなる。ここで、金属結合相3中におい
て、超砥粒4に対するフィラー5の体積割合が1:2よ
りも大きいと、超砥粒4の量が少なすぎて電鋳薄刃砥石
1の切断性能が低下してしまう。一方、超砥粒4に対す
るフィラー5の体積割合が2:1よりも小さいと、フィ
ラー5の量が少なすぎてフィラー5のもたらす効果が小
さくなって、砥石本体2のじん性が低下してしまう。こ
のため、砥石本体2の金属結合相3中には、超砥粒4と
フィラー5とを1:2〜2:1の体積割合で分散配置す
ることが好ましい。また、フィラー5としては、電鋳薄
刃砥石1の寿命を確保する観点から、フィラー自体の耐
磨耗性が高いセラミックスのフィラーを用いることが好
ましい。
【0016】このように構成される電鋳薄刃砥石1によ
れば、砥石本体2の密度が従来の電鋳薄刃砥石よりも高
く設定されており、回転駆動された際の慣性力が大きい
ので、被削材に対して砥石本体2が切り込みやすくなっ
て切断性能が向上する。また、このように砥石本体2の
慣性力が大きいので、切断抵抗を受けても砥石本体2に
ぶれやビビリが生じにくくなり、被削材の加工精度を向
上させることができる。
【0017】そして、本実施の形態では、電鋳薄刃砥石
1は、砥石本体2中に占める金属結合相3の割合を、従
来の電鋳薄刃砥石よりも高めることで製造されており、
切断加工時に砥石本体2が摩耗しやすくなっている。こ
れにより、超砥粒4の脱落が促進されるので、電鋳薄刃
砥石1の自生発刃作用を高めて切れ味を持続させること
ができる。また、砥石本体2の表面に露出する超砥粒4
が少なくなって超砥粒4と被削材との接触面積が小さく
なるので、超砥粒4と被削材との接触圧を高めて、電鋳
薄刃砥石1の切れ味を向上させることができる。さら
に、砥石本体2の金属結合相3のめっき硬度はビッカー
ス硬さで550〜700の範囲内とされているので、砥
石本体2の耐磨耗性が向上して寿命が延び、また金属結
合相3に適度な伸びが残されて、砥石本体2に割れが生
じにくくなる。そして、砥石本体2が、超砥粒4と、超
砥粒4よりも細かなフィラー5を金属結合相3中に分散
配置した構成とされているので、砥石本体2のじん性が
高められることとなる。また、フィラー5として、フィ
ラー自体の耐磨耗性が高いセラミックスのフィラーを用
いているので、砥石本体2の過度の摩耗が抑えられて、
電鋳薄刃砥石1の寿命が確保される。
【0018】ここで、上記実施の形態では、電鋳薄刃砥
石1として、砥石本体2中に占める金属結合相3の割合
を、従来の電鋳薄刃砥石よりも高めることで、砥石本体
2の密度を従来の電鋳薄刃砥石よりも高く設定した例を
示したが、これに限られることなく、例えば金属結合相
3自体の密度を高めることによって砥石本体2の密度を
高めてもよい。この場合には、砥石本体2の剛性が向上
するので、切断抵抗を受けてもぶれやビビリがより生じ
にくくなる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の電鋳薄刃砥石と従来の電鋳薄
刃砥石、及び比較例として本発明の電鋳薄刃砥石とは砥
石本体の金属結合相のめっき硬度のみを変えた電鋳薄刃
砥石のそれぞれについて、被削材を変えて切断試験を二
度行った。これら各電鋳薄刃砥石は、超砥粒として東名
ダイヤモンド工業製のダイヤモンド粒(IMM20/3
0μm)を用いたものであり、砥石製造装置10におい
て、めっき液Mとしてスルファミン酸ニッケル溶液を用
い、電解めっき条件として液温50°C、陰極電流密度
5A/dm2として形成した。
【0020】従来例の電鋳薄刃砥石は、めっき液M中に
ダイヤモンド粒のみを2g/Lの割合で投入して製造し
たものであって、砥石本体の密度は6.4g/cm3
あった。これに対し、実施例による電鋳薄刃砥石は、め
っき液M中に、ダイヤモンド粒に加えて、ダイヤモンド
粒よりも粒径の小さいセラミックスフィラーを、これら
の総量でめっき液Mに対して4g/Lの割合で投入し、
2種類の電鋳薄刃砥石を製造した。本試験では、本発明
にかかる電鋳薄刃砥石として、めっき液M中にダイヤモ
ンド粒とSiCフィラーとを体積比で1:1の割合で投
入して製造した実施例1と、めっき液M中にダイヤモン
ド粒とhBNフィラーとを体積比で1:2の割合で投入
して製造した実施例2の二種類を用意した。これら従来
例及び実施例1、2は、めっき液硬度Hv600のめっ
き液を使用して形成した。そして、比較例の電鋳薄刃砥
石は、めっき液M中のめっき金属の濃度、めっき液Mへ
のダイヤモンド粒及びフィラーの投入量等の条件は実施
例1と同一の条件とし、めっき液として、めっき液硬度
Hv450のめっき液を用いて形成した。ここで、前記
のように、めっき液中に大きさの異なる2種類以上の粒
子を投入すると、めっき液中に大きさの揃った粒子を投
入した場合に比べて、各粒子の析出量が小さくなるの
で、実施例1、2及び比較例は、従来例よりも砥石本体
中に占める金属結合相の割合が高くなっている。
【0021】これら実施例1、2、従来例、及び比較例
の電鋳薄刃砥石の砥石本体の密度を測定した。従来例で
は、密度は6.4g/cm3であるのに対し、実施例1
では6.9g/cm3、実施例2では8.3g/cm
3と、ともに従来例よりも密度が高かった。また、比較
例の密度は、実施例1と同じく6.9g/cm3であっ
た。
【0022】第1の切断試験では、実施例1、2、従来
例、及び比較例を、それぞれ外径58mm、内径40.
0mm、厚み0.3mmとし、被削材として、長さ10
0mm、厚さ3mmのセラミックス(チタン酸バリウ
ム)のグリーンシート(生材)を用い、各電鋳薄刃砥石
を保持する主軸(砥石軸)の回転数は30000/mi
n、送り速度200mm/sec、切り込みは3.05
mmとし、クーラントとして水を用いて、100回の切
断を行った。この切断試験の結果を以下の表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1は、本試験において各電鋳薄刃砥石の
1回目の切断と100回目の切断について、各電鋳薄刃
砥石を回転駆動する主軸に供給される電流値(A)を示
したものである。主軸に供給される電流値の大きさは、
主軸にかかる負荷の大きさ、すなわち被削材を切断する
際に電鋳薄刃砥石に生じる抵抗の大きさを反映してい
る。
【0025】従来例は、1回目の切断では、主軸に供給
される電流値は2.4Aである。そして、35回目の切
断では、主軸に供給される電流値は6.6Aとなり、切
断を繰り返すにつれて切断抵抗が増加していることがわ
かる。また、36回目の切断の際に砥石本体2が破損し
た。これに対し、実施例1は、1回目の切断では、主軸
に供給される電流値は2.2Aであり、従来例よりも良
好な数値を得ることができた。そして、100回目の切
断では、主軸に供給される電流値は5.1Aとなり、従
来例よりも良好な数値を得ることができた。また、切断
を繰り返しても、切断抵抗の増加は従来例よりもはるか
に緩やかであった。同様に、実施例2は、1回目の切断
では、主軸に供給される電流値は2.2Aであり、従来
例よりも良好な数値を得ることができた。そして、10
0回目の切断では、主軸に供給される電流値は4.8A
となり、従来例よりも良好な数値を得ることができた。
また、切断を繰り返しても、切断抵抗の増加は従来例よ
りもはるかに緩やかであった。比較例は、1回目の切断
では、主軸に供給される電流値は2.2Aであり、切断
初期の電流値は低く、また100回目の切断でも、主軸
に供給される電流値は4.8Aと低いものの、切断を繰
り返した場合の切り幅の変化が大きく、また切断を繰り
返すにつれて砥石本体の先端形状がV字形状となり、ブ
レード摩耗が大きいことがわかった。
【0026】第2の切断試験では、実施例1、2、従来
例、及び比較例を、それぞれ外径56mm、内径40.
0mm、厚み0.15mmとし、被削材として、長さ7
0mm、幅50mm、厚さ1mmのガラスエポキシ基板
を用い、各電鋳薄刃砥石を保持する主軸(砥石軸)の回
転数は30000/min、送り速度300mm/se
c、切り込みは1.05mmとし、クーラントとして水
を用いて、20回の切断を行った。この切断試験の結果
を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2は、本試験において各電鋳薄刃砥石の
1回目の切断と20回目の切断について、各電鋳薄刃砥
石を回転駆動する主軸に供給される電流値(A)を示し
たものである。主軸に供給される電流値の大きさは、主
軸にかかる負荷の大きさ、すなわち被削材を切断する際
に電鋳薄刃砥石に生じる抵抗の大きさを反映している。
【0029】従来例は、1回目の切断では、主軸に供給
される電流値は2.5Aである。そして、20回目の切
断では、主軸に供給される電流値は5.3Aとなり、切
断を繰り返すにつれて切断抵抗が増加していることがわ
かる。これに対し、実施例1は、1回目の切断では、主
軸に供給される電流値は2.3Aであり、従来例よりも
良好な数値を得ることができた。そして、20回目の切
断では、主軸に供給される電流値は3.0Aとなり、従
来例よりも良好な数値を得ることができた。また、切断
を繰り返しても、切断抵抗の増加は従来例よりもはるか
に緩やかであった。同様に、実施例2は、1回目の切断
では、主軸に供給される電流値は2.3Aであり、従来
例よりも良好な数値を得ることができた。そして、20
回目の切断では、主軸に供給される電流値は2.7Aと
なり、従来例よりも良好な数値を得ることができた。ま
た、切断を繰り返しても、切断抵抗の増加は従来例より
もはるかに緩やかであった。比較例は、1回目の切断で
は、主軸に供給される電流値は2.3Aであり、切断初
期の電流値が低く、そして、20回目の切断では、主軸
に供給される電流値は2.9Aと低いものの、切断を繰
り返した場合の切り幅の変化が大きく、また切断を繰り
返すにつれて砥石本体の先端形状もV字形状となり、ブ
レード摩耗が大きいことがわかった。
【0030】以上の試験結果から理解できるように、本
発明にかかる実施例1、2の電鋳薄刃砥石によれば、従
来例の電鋳薄刃砥石に比べて砥石本体の密度が高いの
で、被削材に対して砥石本体が切り込みやすくなって切
断抵抗を低減することができる。また、金属結合相3の
ビッカース硬さが600である実施例1の電鋳薄刃砥石
は、金属結合相3のビッカース硬さが450である比較
例の電鋳薄刃砥石に比べて摩耗しにくく、長寿命である
ことがわかる。
【0031】なお、上記実施形態において、本発明によ
る電鋳薄刃砥石は外周刃による切断を行う外周刃切断用
の砥石について説明したが、これに限られることなく、
内周刃切断用の砥石とすることもできる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる電
鋳薄刃砥石によれば、砥石本体の密度が従来の電鋳薄刃
砥石よりも高く設定されており、回転駆動された際の慣
性力が大きいので、被削材に対して砥石本体が切り込み
やすくなって切断性能が向上する。また、このように砥
石本体の慣性力が大きいので、切断抵抗を受けても砥石
本体にぶれやビビリが生じにくくなり、被削材の加工精
度を向上させることができる。
【0033】そして、砥石本体の金属結合相のめっき硬
度をビッカース硬さで550〜700の範囲内とするこ
とで、砥石本体の耐磨耗性が向上して寿命が延び、また
金属結合相に適度な伸びが残されるので、砥石本体に割
れが生じにくくなる。また、砥石本体を、金属結合相中
に、超砥粒と、超砥粒よりも細かなフィラーを分散配置
した構成とすることで、砥石本体のじん性が高められる
こととなる。さらに、フィラーとして、フィラー自体の
耐磨耗性が高いセラミックスのフィラーを用いること
で、電鋳薄刃砥石の寿命を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態にかかる電鋳薄刃砥石
を示す部分縦断面図である。
【図2】 本発明の一実施の形態にかかる電鋳薄刃砥石
を製造する砥石製造装置の構成を概略的に示す正断面図
である。
【符号の説明】
1 電鋳薄刃砥石 2 砥石本体 3 金属結合相 4 超砥粒 5 フィラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥坂 昌徳 福島県いわき市泉町黒須野字江越246−1 三菱マテリアル株式会社いわき製作所内 Fターム(参考) 3C063 AA02 AB02 BB02 BB04 BB19 BC02 BG07 CC12 EE10 EE31 FF23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超砥粒を金属結合相中に分散配置してな
    る砥石本体を有し、 該砥石本体の密度が、6.8〜8.5g/cm3の範囲
    内とされていることを特徴とする電鋳薄刃砥石。
  2. 【請求項2】 前記砥石本体の金属結合相のめっき硬度
    がビッカース硬さで550〜700の範囲内とされてい
    ることを特徴とする請求項1記載の電鋳薄刃砥石。
  3. 【請求項3】 前記砥石本体には、前記超砥粒よりも細
    かなフィラーが分散配置されており、前記超砥粒と前記
    フィラーとを1:2〜2:1の体積割合で前記金属結合
    相中に分散配置してなることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の電鋳薄刃砥石。
  4. 【請求項4】 前記フィラーが、セラミックスのフィラ
    ーであることを特徴とする請求項3記載の電鋳薄刃砥
    石。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101158303B1 (ko) * 2009-10-05 2012-06-19 이화다이아몬드공업 주식회사 고경도 고취성재료 가공용 다이아몬드 공구
JP2018130812A (ja) * 2017-02-17 2018-08-23 株式会社ディスコ 切削ブレード及び切削装置
CN113226643A (zh) * 2018-12-18 2021-08-06 3M创新有限公司 具有不同成型磨料颗粒的磨料制品

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JP2018130812A (ja) * 2017-02-17 2018-08-23 株式会社ディスコ 切削ブレード及び切削装置
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