JP4419652B2 - 研削砥石およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属めっき相中に超砥粒等の砥粒が分散された砥粒層を有して該砥粒層によりワークの研磨や切断等を行う研削砥石およびその製造方法に関するものである。
この種の研削砥石として、本発明の発明者らは、特許文献1、2等において超砥粒とセラミックスのフィラーとを金属結合相(めっき相)中に分散配置してなる砥石本体(砥粒層)を有する電鋳薄刃砥石を提案している。このような電鋳薄刃砥石は、例えばニッケル等のめっき液中に超砥粒とフィラーとを投入して撹拌しつつ、このめっき液中に浸漬された基板を電源の陰極に、陽極板を電源の陽極に接続して通電することにより、電解めっきによって超砥粒とフィラーを含む所定の厚さの砥粒層を基板上に析出させた後、これを基板から剥離することによって製造される。
特開2002−86360号公報 特開2002−187071号公報
ところで、このような研削砥石においては通常、砥粒やフィラーが砥粒層から脱落したりすることにより金属めっき相の摩耗が促進され、これによって金属めっき相に埋没していた砥粒が砥粒層表面に露出して新たな切刃として作用するといった、切刃の自生作用によって安定した切れ味や研削効率を維持するようになっている。また、砥粒やフィラーが脱落した跡に砥粒層に残される窪みは、チップポケットとして作用して切屑の排出や研削液の保持に寄与する。
しかしながら、上述のように金属めっき相によって砥粒が結合した砥粒層を有する研削砥石においては、この金属めっき相による砥粒やフィラーの保持力が高いために金属めっき相がある程度摩耗しなければ砥粒やフィラーが脱落することがなく、例えばワーク材質がアルミナなどの場合には砥粒が摩耗するだけで上述の自生作用が十分に機能しなくなってしまい、切れ味が低下して切断抵抗の増大を招くとともに、特に上述の電鋳薄刃砥石のように極薄の砥粒層自体が砥石の本体を形成している場合には、砥石が破損してしまうおそれもある。また、このように砥粒やフィラーの脱落が促されないことから、上記チップポケットも十分に形成されなくなり、砥粒層表面に切屑が付着して一層の切れ味鈍化や切断抵抗の増大を招いたり、付着した切屑によって切断面の精度が損なわれたりするおそれもある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、金属めっき相によって砥粒が保持された研削砥石においても、切刃の自生作用やこれに伴うチップポケットの形成を確実に促すことができて、切れ味や研削効率を安定的に維持することができ、これにより抵抗の増大や砥石の破損、あるいは研削面の精度劣化等を防ぐことが可能な研削砥石を提供することを目的とし、またそのような研削砥石を確実に製造することが可能な研削砥石の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の研削砥石は、金属めっき相中に砥粒とフィラーとが分散された砥粒層を有する研削砥石であって、上記フィラーを、上記砥粒よりも微細なセラミックス粒子を結合剤によって結合させて造粒した造粒物とし、この造粒物を、1種類の上記セラミックス粒子を用いた造粒物、または互いに異なる上記セラミックス粒子1種ごとにそれぞれ造粒した複数種の造粒物としたことを特徴とするものである。また、本発明の研削砥石の製造方法は、砥粒よりも微細なセラミックス粒子を結合剤によって結合させて造粒物を造粒し、1種類の上記セラミックス粒子を用いた上記造粒物、または互いに異なる上記セラミックス粒子1種ごとにそれぞれ造粒した複数種の上記造粒物をフィラーとして上記砥粒とともにめっき液中に分散して金属めっき相を析出させることにより砥粒層を形成することを特徴とする。
このような製造方法によって製造され得る本発明の研削砥石においては、砥粒とともに金属めっき相に分散されて保持されるフィラーが、砥粒よりも微細な粒子を結合剤によって結合させた造粒物であるので、砥粒層の表面に露出することにより容易に破砕されて脱落し、金属めっき相から除去されてしまう。従って、こうしてフィラーが脱落した跡の窪みから金属めっき相の摩耗が促されることにより、砥粒も適正に脱落してその自生作用が促されるので、砥石の切れ味や研削効率を安定して維持することができるとともに、砥粒やフィラーの脱落後の窪みをチップポケットとして機能させて確実な切屑排出や研削液の保持を図ることが可能となる。このため、本発明の研削砥石によれば、研削抵抗の増大や砥石の破損等を確実に防ぐとともに加工精度の向上を図ることができる。そして、この造粒物に造粒される上記粒子としてセラミックス粒子を用いることにより、砥粒の自生作用やチップポケットの形成は確実に促しつつも、砥粒層に十分な剛性を確保することができるので、特に上述の電鋳薄刃砥石に本発明を適用した場合に好適である。
また、上述のような微細な粒子を単にめっき液に分散しただけでは、砥粒との分散めっき条件が異なるために該粒子を金属めっき相中に取り込むことはできず、ましてや上記造粒物として金属めっき相中に分散させることはできないが、本発明の研削砥石の製造方法では、この粒子を結合させた造粒物をめっき液中に分散するので、このような造粒物をフィラーとして砥粒と同一条件で均一に金属めっき相中に分散することが可能となる。従って、本発明の製造方法によれば、砥粒層中において部分的に砥粒と造粒物(フィラー)の分布に偏りを有したりすることがなく、上述のような効果を奏功し得る上記本発明の研削砥石を、しかも造粒物を造粒する以外は従来のフィラーを分散した砥石を製造するのと同様の方法で、確実かつ比較的容易に製造することが可能となる。
さらに、本発明の研削砥石においては、上記結合剤として有機バインダーを用いることにより、砥粒層の研削部位では研削熱によってこの結合剤が溶解して造粒物が一層破砕され易くなるので、さらに確実に砥粒の自生やチップポケットの形成を促すことが可能となる。ただし、上記造粒物の平均粒径は砥粒の平均粒径以下であるのが望ましく、すなわちこれとは逆に造粒物が砥粒よりも大きいと、その破砕、脱落によって砥粒よりも大きなチップポケットが形成されてしまうため、金属めっき相の摩耗が促進されすぎたり砥粒層に欠けが生じたりするおそれが生じるなお、これらの構成の少なくとも1つ、望ましくはすべてを採用することは、本発明の研削砥石の製造方法においても効果的である。
図1および図2は、本発明の研削砥石を特許文献1、2のような電鋳薄刃砥石に適用した場合の一実施形態を示すものである。すなわち、この研削砥石1は図1に示すように円環形の薄肉板状をなし、それ自体が図2に示すような砥粒層2によって形成されている。そして、この砥粒層2は、ニッケル等の金属めっき相3に、ダイヤモンド砥粒やcBN砥粒よりなる超砥粒等の砥粒4と粉粒状のフィラー5とが多数分散されて保持された構成とされている。
そして、このフィラー5は、図2に示すように、上記砥粒4よりもさらに粒径の小さい微細な粒子6を結合剤7によって多数結合させることにより造粒した造粒物によって構成されている。ここで、この粒子6は、例えばhBN、SiO、Al等のセラミックスよりなる粒子であり、このうち1種類の粒子を用いてもよく、また互いに異なる粒子1種ごとにそれぞれ造粒した複数種の造粒物をフィラー5として金属めっき相3に分散させたりしてもよい。
また、こうして造粒された造粒物よりなる粉粒状のフィラー5の平均粒径は、砥粒4の平均粒径以下とされており、すなわちこの砥粒4の平均粒径と同等か、砥粒4の平均粒径よりも小さくされている。さらに、微細粒子6を多数結合させて上記造粒物を造粒する際の結合剤7としては、有機バインダーが用いられている。
次に、このような研削砥石を製造するための本発明の研削砥石の製造方法の一実施形態について説明すると、本実施形態ではまず上記微細粒子6を結合剤7によって結合させて造粒し、フィラー(造粒物)5を生成する。ここで、このように微細粒子6を結合剤7によって結合しつつ上述のような粒径の粉粒状の造粒物を造粒するには、例えば流動層に粒子6を充填して流動させつつ、上記有機バインダー等の液状の結合剤7を吹き付けて、該粒子6同士をその粒径が徐々に大きくなるように結合させ、所望の粒径にまで造粒されたところで流動層から取り出して結合剤7を乾燥させればよい。
次いで、こうして造粒されたフィラー5を砥粒4とともにニッケル等のめっき液に投入し、必要に応じて撹拌しながら、これら砥粒4およびフィラー5を分散しつつ沈降させるとともに金属めっき相3を析出させて、分散めっきにより砥粒層2を形成する。ここで、この金属めっき相3の析出が電解めっき法による場合には、上記めっき液を保持しためっき槽内に、砥粒層2を形成する台座面を上向きにした金属製の台座または基板と陽極板とを浸漬し、それぞれ電源の陰極と陽極に接続して通電することにより上記台座面上に金属めっき相3を析出させつつ、砥粒4およびフィラー5を沈降させて該金属めっき相3中に分散させる。そして、所望の厚みの砥粒層2が形成されたなら、これを台座または基板ごとめっき槽から取り出して台座面から剥離等により取り外し、台座面側の金属めっき相3を電解により溶出させて砥粒4を露出させた後、所定の寸法に成型する。
従って、このように製造される上記構成の研削砥石1(電鋳薄刃砥石)によってワークを研削(切断)すると、微細粒子6を結合して造粒した造粒物よりなるフィラー5は、砥粒層2の表面に露出したところで、結合した粒子6が崩れるように破砕されて砥粒層2から脱落し、その跡には金属めっき相3に窪みが生じてチップポケットが形成される。そして、このチップポケットからさらに金属めっき相3の摩耗が促進されるため、砥粒4も適度に摩耗したところで脱落することとなり、これによってさらに金属めっき相3が摩耗して埋没していた砥粒4が露出し、新たな切刃が自生させられる。
このため、上記構成の研削砥石1によれば、常に新たな砥粒4を砥粒層2の表面に露出させて連続的な切刃の自生を促すことができ、これにより上記実施形態のような電鋳薄刃砥石に適用した場合の切れ味や研削効率を良好に維持して研削抵抗の増大を防ぐことが可能となり、特に上記電鋳薄刃砥石などにおいて破損が生じたりするのを防止することができる。また、このようにフィラー5の破砕、脱落やこれに伴う砥粒4の脱落によってチップポケットも滞りなく連続して形成されるので、このチップポケットを介して切屑を円滑に排出することができ、砥粒層2の表面に切屑付着が生じたり、こうして付着した切屑によってワークの加工面精度が損なわれたりするのを防ぐことができる。さらに、研削液(クーラント)を供給しながら研削を行う湿式研削では、こうして形成されたチップポケットによって研削液を保持して確実に研削部位に供給することが可能となるので、研削液の潤滑作用により一層の抵抗の低減を図ることができるとともに、研削部位の冷却や切屑のさらに円滑な排出を促すことができる。
また、本実施形態では、このフィラー(造粒物)5を造粒する際に上記微細粒子6を結こうする結合剤7として有機バインダーが用いられており、かかる有機バインダーは、当該研削砥石1がワークを研削(切断)する際に発生する研削熱によって溶融して除去されてしまう。このため、砥粒層2の研削部位に近い部分ではフィラー5がより破砕されやすくなり、その脱落やこれに伴う金属めっき相3の摩耗が一層促進されるので、さらに効果的に砥粒4の自生を促して切れ味や研削効率の向上を図ることができる。その一方で、研削部位から離れた部分ではこのような熱の影響を受けないため、例えば上記電鋳薄刃砥石のように砥粒層2そのものが砥石1を構成している場合でも、その剛性等に支障を来すようなことはない。しかも、本実施形態では、このフィラー5を構成する上記微細粒子4としてhBN、SiO、Al等の硬質なセラミックス粒子が用いられているので、フィラー5を金属めっき相3に分散すること自体によって砥粒層2の剛性が損なわれたりすることもなく、電鋳薄刃砥石として一層好適な研削砥石1を提供することができる。
さらに、本実施形態においては造粒された造粒物よりなるフィラー5の平均粒径が、砥粒4の平均粒径以下とされており、すなわち砥粒4の平均粒径よりも大きくなることがないので、上述のようにこのフィラー5が破砕、脱落して形成されるチップポケットも、砥粒4の大きさを越えるようなことがない。このため、本実施形態によれば、フィラー5の脱落によって砥粒層2に極端に大きなチップポケットが形成されてしまい、これにより必要以上に金属めっき相3の摩耗が促進されて砥粒4が脱落するのに伴い砥石の寿命が著しく短縮されてしまうような事態を防ぐことができる。
一方、本実施形態の研削砥石1の製造方法においては、上述のように流動層等によって予めフィラー5を造粒しておくことにより、後の製造工程は従来のフィラーを分散させた電解めっき法等による研削砥石の製造方法と同様に製造することができる。この点、従来の製造方法を用いるにしても、単にめっき液に微細粒子6を砥粒4とともに分散しただけでは、粒子6が砥粒4よりも微細であるために粒子6の沈降速度が砥粒4の沈降速度よりも遅くなってしまうなどの分散めっき条件の相違により、粒子6を金属めっき相3に取り込むことができなくなり、またたとえ粒子6を取り込むことができたとしても造粒物が形成されることがないために上述の効果を得ることはできない。
ところが、これに対して本発明による上記構成の製造方法によれば、微細粒子6を結合させて造粒することにより個々の粒子6よりは粒径の大きくなった造粒物をフィラー5としてめっき液中に分散して砥粒4とともに金属めっき相3に取り込むので、砥粒4とフィラー(造粒物)5との分散めっき条件に著しい相違が生じるのを防ぐことができ、従ってこれら砥粒4とフィラー5とが金属めっき相3に偏りなく均一に分散した砥粒層2を形成することができる。このため、上記フィラー5の破砕、脱落による金属めっき相3の摩耗が砥粒層2において部分的に異なったりするのを防ぐことができて、一層円滑かつ安定した切断や研削を行うことが可能な研削砥石を製造することが可能となる。
なお、このように微細粒子6を造粒してフィラー5を造粒物としてめっき液中に分散しても、その粒径が砥粒4の平均粒径に対してあまりにも小さすぎると、上記分散めっき条件に相違が生じることが避けられず、上記効果を確実に奏することが困難となるおそれがある。このため、こうして粒子6から造粒されるフィラー(造粒物)5の平均粒径は、砥粒4の平均粒径以下であるにしても、この砥粒4の平均粒径の30%以上程度であることが望ましい。
平均粒径5μmのhBN粒子を流動層に充填して流動させつつ、有機バインダーを結合剤として吹き付けることにより上記粒子を結合させて造粒し、これを40℃で1昼夜乾燥させて粉状の造粒物を得た。この造粒物の平均粒径は20μmであった。次いで、この造粒物をフィラーとして20/30μmのダイヤモンド砥粒とともにスルファミン酸ニッケルめっき液中に投入し、電解めっき法によって平面状の台座上面に所望の厚みの砥粒層が形成されるまで分散めっきを行った。
そして、所望の厚みの砥粒層が形成された後に台座ごとめっき槽から取り出し、次いで砥粒層を台座から取り外してめっき原板を得た。さらにこのめっき原板の台座面側のニッケルめっき相を電解により溶出させてダイヤモンド砥粒を1/3程度露出させ、外径65mm、厚さ0.2mmの円板状の砥石を得た。このときの砥粒層中におけるダイヤモンド砥粒の含有率は25vol%、フィラー(造粒物)の含有率は10vol%であった。さらに、この円板状砥石に内外径加工を施して成型し、外径58mm、内径40mmの円環薄肉板状の電鋳薄刃砥石を製造した。これを実施例1とする。
また、比較のため、上記フィラーを投入しない以外は実施例1と同様の製造方法により、20/30μmのダイヤモンド砥粒のみがニッケルめっき相に分散された砥粒層を有する実施例1と同寸法の電鋳薄刃砥石を製造した。これを比較例1とする。なお、この比較例1においても、砥粒層中におけるダイヤモンド砥粒の含有率は25vol%である。
そして、これら実施例1および比較例1の電鋳薄刃砥石により、外部からクーラント(研削液)を供給する湿式研削によってワークの切断試験を行い、2ラインごとの切断抵抗を、電鋳薄刃砥石を取り付けた加工機のスピンドルを回転させるモーターの負荷電流(A)として測定した。この結果を表1に示す。ただし、この切断試験において、
ワーク:純度96%のアルミナ焼結板(厚さ0.5mm、幅20mm、長さ50mm)、
加工機:東京精密製 A−WD−100A、
ダイシングテープ:デンカ製 UHP−1525M3、
クーラント:市水
であり、回転数20000rpm、送り速度5mm/sec、切込み深さはワーク厚さ+0.05mmで、ワークをその長手方向に切断した。従って1ラインの切断長さは50mmである。
Figure 0004419652
この表1の結果より、比較例1の電鋳薄刃砥石では2ライン切断時で既に実施例1による10ライン切断時よりもモーターの負荷電流が増大しており、これに伴い切削抵抗も増大していることが認められ、さらに切断を続けたところ4ラインまでで破損してその後の切断は不可能であった。また、この破損した比較例1の砥石外周の研削部位(刃先)を工具顕微鏡で調べたところ、ダイヤモンド砥粒が脱落せずに摩耗しているだけの砥粒の目潰れが生じていた。これに対して、本発明に係わる実施例1の電鋳薄刃砥石では、切断ライン数が増えるに従って負荷電流も漸増傾向ではあるものの、比較例1よりは十分に小さく、従って切断抵抗も小さく安定しており、また10ライン切断後の刃先部分を工具顕微鏡で調べても、十分な砥粒の突き出し量が確保されていた。
次に、平均粒径10μmのSiO粒子を流動層で流動させつつ、有機バインダーを結合剤として吹き付けることにより結合させて造粒し、これを40℃で1昼夜乾燥させて平均粒径40μmの粉状の造粒物を得た。この造粒物をフィラーとして50/70μmのダイヤモンド砥粒とともにスルファミン酸ニッケルめっき液中に投入して、電解めっき法により台座上面に所望の厚みの砥粒層が形成されるまで分散めっきを行った。さらに、所望の厚みに形成された砥粒層を台座ごとめっき槽から取り出して台座からも取り外し、こうして得られためっき原板の台座面側のニッケルめっき相を電解溶出させてダイヤモンド砥粒を1/3程度露出させ、外径100mm、厚さ0.3mmの円板状の砥石を得た。このときの砥粒層中におけるダイヤモンド砥粒の含有率は20vol%、フィラー(造粒物)の含有率は15vol%であった。そして、この円板状砥石を内外径加工して、外径78mm、内径40mmの円環薄肉板状の電鋳薄刃砥石を製造した。これを実施例2とする。
また、この実施例2に対する比較例2として、やはり上記フィラーを投入しない以外は実施例2と同様の製造方法により、50/70μmのダイヤモンド砥粒のみを20vol%の含有率でニッケルめっき相に分散した砥粒層を有する実施例2と同寸法の電鋳薄刃砥石を製造した。そして、これら実施例2および比較例2の電鋳薄刃砥石によって湿式研削によりワークの切断試験を行い、今度は100ラインごとの切断抵抗をやはり加工機のモーター負荷電流(A)として測定した。この結果を表2に示す。ただし、この切断試験においては、
ワーク:BGAタイプの樹脂パッケージ(厚さ1.2mm)、
加工機:東京精密製 A−WD−100A、
ダイシングテープ:デンカ製 UHP−1525M3、
クーラント:市水
であり、回転数20000rpm、送り速度100mm/sec、切込み深さはワーク厚さ+0.05mmで、1ラインの切断長さは70mmであった。
Figure 0004419652
この表2の結果より、比較例2の電鋳薄刃砥石では総じてモーターの負荷電流が大きく、漸増傾向であるとともに、特に400ラインを超えたところで著しく増大しており、従って切削抵抗も大きいことが認められる。これに対して実施例2では、300ライン切断くらいまでは負荷電流および切削抵抗も漸増傾向であるものの、その後は安定しており、しかも総じて比較例2よりも小さい負荷電流すなわち切削抵抗であった。さらに、切断後のワークを評価したところ、比較例2により切断されたワークでは切断面の上面側より下面側の方が切断幅が大きい台形状に切断されていたのに対し、実施例2により切断されたワークでは上下面の切断幅の差が殆どなく、高精度の切断加工がなされていた。
流動層において平均粒径5μmのAl粒子を流動させつつ、有機バインダーを結合剤として結合させて造粒し、これを40℃で1昼夜乾燥させて平均粒径20μmの粉状の造粒物を得た。この造粒物をフィラーとして6/12μmのダイヤモンド砥粒とともにスルファミン酸ニッケルめっき液中に投入して分散し、電解めっき法により台座上面に所望の厚みの砥粒層が形成されるまで分散めっきを行い、こうして砥粒層が形成された台座をめっき槽から取り出してさらに砥粒層を台座から取り外すことにより、めっき原板を得た。次いで、このめっき原板の台座面側のニッケルめっき相を電解により溶出させてダイヤモンド砥粒を1/3程度露出させ、外径65mm、厚さ0.15mm、ダイヤモンド砥粒の含有率25vol%、フィラー(造粒物)の含有率5vol%の円板状の砥石を得た。そして、この円板状砥石に内外径加工を施し、外径54mm、内径40mmの円環薄肉板状の電鋳薄刃砥石を製造した。これを実施例3とする。
一方、これに対する比較例3として、上記フィラーを投入しない以外は実施例3と同様の製造方法により、6/12μmのダイヤモンド砥粒のみがニッケルめっき相に分散された砥粒層(ダイヤモンド砥粒含有率25vol%)を有する実施例3と同寸法の電鋳薄刃砥石を製造した。そして、これら実施例3および比較例3の電鋳薄刃砥石によって湿式研削によりワークに溝入れ加工試験を行い、溝10ラインごとの抵抗(加工機モーター負荷電流(A))を測定した。この結果を表3に示す。ただし、この加工試験においては、
ワーク:石英ガラス円板(厚さ1.0mm、直径3インチ)、
加工機:東京精密製 A−WD−10A、
ダイシングテープ:デンカ製 UHP−1525M3、
クーラント:市水
であり、砥石回転数18000rpm、送り速度10mm/sec、切込み深さ(溝深さ)0.5mmであった。また、1ラインの溝長さは平均60mmであった。
Figure 0004419652
この表3の結果より、比較例3の電鋳薄刃砥石では、10ライン溝入れ時には実施例3よりやや大きな程度の負荷電流であったのが、20ライン溝入れ時には著しく上昇し、その後に破損を生じて加工が不可能となった。また、この破損した比較例3の砥石の研削部位を工具顕微鏡で調べたところ、刃先部分にワークの切屑であるガラス粉末の付着が顕著に認められた。これに対して、本発明に係わる実施例3の電鋳薄刃砥石では、20ライン溝入れ後は50ラインまで負荷電流は略一定であり、従って切削抵抗も増大することなく安定傾向を示しており、しかも50ライン溝入れ後の砥石の刃先部分を工具顕微鏡で調べたところでも、切屑等の付着は何等認められなかった。
本発明の一実施形態の研削砥石1を示す図である。 図1に示す実施形態の砥粒層2を拡大した概略図(模式図)である。
符号の説明
1 研削砥石
2 砥粒層
3 金属めっき相
4 砥粒
5 フィラー(造粒物)
6 粒子
7 結合剤

Claims (4)

  1. 金属めっき相中に砥粒とフィラーとが分散された砥粒層を有する研削砥石であって、上記フィラーが、上記砥粒よりも微細なセラミックス粒子を結合剤によって結合させて造粒した造粒物であり、この造粒物は、1種類の上記セラミックス粒子を用いた造粒物、または互いに異なる上記セラミックス粒子1種ごとにそれぞれ造粒した複数種の造粒物であることを特徴とする研削砥石。
  2. 上記結合剤が、有機バインダーであることを特徴とする請求項1に記載の研削砥石。
  3. 上記造粒物の平均粒径が、上記砥粒の平均粒径以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研削砥石。
  4. 砥粒よりも微細なセラミックス粒子を結合剤によって結合させて造粒物を造粒し、1種類の上記セラミックス粒子を用いた上記造粒物、または互いに異なる上記セラミックス粒子1種ごとにそれぞれ造粒した複数種の上記造粒物をフィラーとして上記砥粒とともにめっき液中に分散して金属めっき相を析出させることにより砥粒層を形成することを特徴とする研削砥石の製造方法。
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