JPH0663139B2 - 消臭性アクリル系合成繊維の製造方法 - Google Patents

消臭性アクリル系合成繊維の製造方法

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JPH0663139B2
JPH0663139B2 JP60171671A JP17167185A JPH0663139B2 JP H0663139 B2 JPH0663139 B2 JP H0663139B2 JP 60171671 A JP60171671 A JP 60171671A JP 17167185 A JP17167185 A JP 17167185A JP H0663139 B2 JPH0663139 B2 JP H0663139B2
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acrylic synthetic
washing
fibers
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雅人 大野
隆 松村
俊博 山本
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鐘紡株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は優れた耐洗濯性を有する消臭性アクリル系合成
繊維の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来消臭、脱臭の方法としては、芳香性物質により悪臭
をマスキングする方法、過マンガン酸カリウム等の酸化
剤により悪臭物質を酸化分解する方法、塩類、硝酸、水
酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の中和剤により中和
する方法及び活性炭により悪臭を吸着させる方法等が知
られている。しかしながら、これらの方法のうちマスキ
ング剤による方法は、長期間滞在する場所ではむしろ不
快感を覚える欠点があり、またそのほかの酸化分解中
和、固定化あるいは吸着による方法では悪臭物質に対す
る選択性が大きいという欠点があった。
一方、繊維製品については、繊維に抗菌剤を含有させ、
菌の繁殖を防止することによって悪臭を防止する衛生加
工が知られている。しかしこの方法は間接的な方法であ
るため菌の繁殖以外の原因によって発生した悪臭につい
ては効果がないという欠点があった。また特開昭59−66
号公報にツバキ科植物、特に茶樹、サカキ、山茶花の主
として葉部より抽出した消臭有効成分の稀釈液を用いて
漫潤、塗布、散布などにより繊維製品に添加させること
が開示されている。この方法によると、繊維の表面に消
臭成分が付着しているため、水洗いやドライクリニング
によって容易に消臭有効成分が脱落してしまうという欠
点があった。
本発明者らは上記欠点を改善すべく鋭意研究の結果本発
明を完成したのである。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は優れた耐洗濯性を有し、かつアクリル系
合成繊維の繊維性能、風合いをそのまま保持する消臭性
アクリル系重合繊維の製造方法を提供するにある。
(問題を解決するための手段) 本発明は、アクリル系合成繊維を湿式紡糸して製造する
際に、延伸,水洗後のゲル膨潤状態にある前記繊維にツ
バキ科植物より抽出した消臭有効成分とポリオキシエチ
レン(n=10〜30)アルキルフェニルフォスフェート及
び/又はその塩とを含む乳化液を付与し、次いで乾燥緻
密化を行うことを特徴とする消臭性アクリル系合成繊維
の製造方法である。
本発明に使用するアクリル系合成繊維を形成する重合体
は少なくとも40重量%のアクリロニトリルを含有するも
ので繊維形成能を有するものが好ましい。すなわちアク
リロニトリルを40重量%以上と他のビニル系モノマー、
例えばアクリル酸、メタクリル酸、或いはこれらのアル
キルエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、アリルスルホン酸ソーダ、メタクリルスルホン酸
ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸
ソーダなどを適宜組合せたものを60重量%以下の割合で
共重合せしめたものが挙げられる。
特にアクリロニトリル80重量%以上と20重量%以下のビ
ニル系モノマー及びスルホン酸基含有モノマーの共重合
体、又は塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデン及びスル
ホン酸基含有モノマーを20〜60重量%含有する共重合体
が好ましい。また前記アクリル系重合体が酢酸セルロー
ズ、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合
体、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等
の樹脂を含有していても良い。特に前記アクリル系重合
体に酢酸セルローズを2〜30重量%を含有したものが好
ましい。
本発明の湿式紡糸に使用するアクリル系重合体の溶媒は
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルオキシド、アセトン、塩化亜鉛水溶液、ロダン塩
水溶液、濃硝酸等の有機、無機溶媒が挙げられるが、特
に湿式紡糸時にボイドの多発傾向にある有機溶媒が好ま
しい。
上記重合体溶液を通常の凝固浴にて湿式紡糸後、水洗に
より脱溶媒後のゲル膨潤状態のアクリル系繊維に消臭有
効成分を付与し、次いで乾燥緻密化することによって消
臭有効成分を繊維内部に含有せしめるのである。
本発明の消臭有効成分としてはハラバノール、フラボノ
ール類とその他多数の有機高分子物質を中心としたもの
で、ツバキ科植物、クスノキ科値物の生葉またはその乾
燥物からアルコール系有機溶媒、ケント系有機溶媒、水
またはそれらの混合溶媒によって熱抽出し精製したもの
等が挙げられる。抽出原料としては、例えば茶樹、山茶
花、椿、サカキ、ヒサカキ等のツバキ科植物、月桂樹、
肉桂、クスノキ等のクスノキ科植物の生葉もしくはその
乾燥物が好ましい。特にツバキ科植物の茶樹の生葉もし
くはその乾燥物は入手が容易でかつ安全性が高いために
好適である。この抽出精製物は次の様に固定されてい
る: 紫外線吸収スペクトルで276±2mμ(1000倍水溶液)に
極大吸収を示し、沸点180〜200℃(200mmHg)であり、
かつその20wt%プロピレングリコール溶液が 屈折率:▲n20 ▼=1.418±0.02 旋光度:▲α20 ▼=0.007±0.002 比 重:▲d20 20▼=1.025±0.02 である。
本発明の消臭有効成分の付与方法は特に限定されない
が、プロピレングリコールを含む水溶液又は非イオン
系、アニオン系、又はカチオン系の界面活性剤を含む乳
化液で付与するのが好ましい。
特に消臭効果の向上及び乾燥緻密化時の膠着防止のため
には、ポリオキシエチレン(n=10〜30)アルキルフェ
ニルエーテルフォスフェート及び/又はその塩を含む乳
化液が好ましい。ポリオキシエチレン(n=10〜30)ア
ルキルフェニルエーテルフォスフェート及び/又はその
塩とは、ポリオキシエチレン(n=10〜30)オクチルフ
ェニルエーテルフォスフェート、ポリオキシエチレン
(n=10〜30)ノニルフェニルエーテルフォスフェー
ト、ポリオキシエチレン(n=10〜30)ドデシルフェニ
ルエーテルフォスフェート、及びそれぞれのソーダ塩、
カリウム塩、アンモニウム塩を言う。
本発明の方法において乾燥緻密化する条件は特に限定さ
れないが、ローラー式乾燥機を使う場合その表面温度は
120℃〜160℃、又乾熱乾燥の場合120〜180℃の熱風乾燥
機で行う。乾燥時間は1分〜7分が好ましい。更に、乾
燥緻密化後に繊維用油剤を付与したり、100〜135℃で湿
熱処理を行うことは、消臭性アクリルの耐洗濯向上及び
紡績性、編立性が著しく向上するので特に好ましい。
(発明の効果) 本発明の方法によると、通常のアクリル系合成繊維の繊
維性能、風合いをそのまま保持するとともに、洗濯によ
る消臭効果の低下もほとんどないのである。
本発明によって得られた繊維は通常のアクリル系合成繊
維、ポリエステル、ナイロン、木綿、レーヨン、羊毛等
他の繊維と混合して使用することも可能で、消臭性能を
有する、毛布、カーペット、マット、靴下、シーツ、ふ
とん綿等幅広い用途に使用することが出来るため産業上
極めて有意義なものである。
(実施例) 以下実施例によって本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中(%)とあるのは「重量%」を意味す
る。
実施例1 茶葉より抽出精製し、紫外線吸収スペクトルで277mμ
(1000倍水溶液)に極大吸収を示し、沸点180〜200℃
(20mmHg)であり、かつ屈折率▲n20 ▼=1.421、旋
光度▲α20 ▼=0.008、比重▲d20 20▼=1.028である
消臭有効成分のプロピレングリコール20%溶液で水で希
釈して5%溶液を得た。
AN/MA/SMAS=90.7/8.5/0.8なるアクリル系重合体90
部、酢酸セルロース10部の混合重合体の23%DMF溶液を2
5℃50%のDMF水溶液中に紡糸し、通常の延伸、水洗工程
を経た後のゲル膨潤状態の繊維に、上記溶液を付与後ロ
ーラー式乾燥機を用い150℃で乾燥緻密化を行った。次
に繊維用油剤を付与し、機械クリンプを付与した後、湿
熱120℃でクリンプセットを行った。
この繊維より丸編布を作製して、洗濯テストを行い、洗
濯後のトリメチルアミン除去率を求めた。比較のため、
通常のアクリル繊維の丸編布に上記5%溶液を含浸した
後、乾燥した丸編布について同様に洗濯試験を行った。
上記結果の示す様に、ゲル膨潤状態にて付与した繊維は
耐洗濯性が良好であった。
〔洗濯条件〕
市販小型電機洗濯機使用 中性洗剤 1g/ 浴 比 1:100 温度×時間 40℃×5分間 水 洗 10分間 乾 燥 80℃×1時間 〔トリメチルアミン除去率測定法〕 350cm密閉容器にサンプル(35cm×20cm)を各1枚入
れ、さらに、1%トリメチルアミン1mlを加えて密閉し
た。そして、24時間放置後、ヘッドスペースガス1mlを
とり、ガスクロ分析を行なった。同様にして、空試験
(1%−トリメチルアミン1mlのみ)を行ない、除去率
を求めた。
実施例2 アクリロニトリル(AN)/メチルアクリレート(MA)/
メタリルスルホン酸ソーダ(SMAS)=91.4/8.0/0.6な
るアクリル系重合体の20%のジメチルホルムアミド(DM
F)溶液を20℃58%DMF水溶液中に紡糸し、通常の延伸水
洗工程を経た後のゲル膨潤状態の繊維に、実施例1で得
られた消臭有効成分の5%溶液に、ポリオキシエチレン
(n=12)ノニルフェニルエーテルフォスフェートカリ
塩を、1%添加した液を付与後、ローラー式乾燥機を用
い140℃で乾燥緻密化を行った。次に繊維用油剤を付与
し、機械クリンプを付与した後、湿熱125℃でクリンプ
セットを行った。
この繊維より丸編布を作製して、実施例1と同様洗濯0
回及び5回後のトリメチルアミン除去率を求めた結果、
洗濯0回で92.3%洗濯5回で75.3%と良好なる耐洗濯性
を示した。
実施例3 AN/塩化ビニリデン(Vcl)/アリルスルホン酸ソー
ダ(SAS)=56.0/4.20/2.0なるアクリル系重合体の24
%DMF溶液を15℃、55%DMF水溶液中に紡糸し通常の延伸
水洗工程を経た後のゲル膨潤状態の繊維に、実施例1と
同様の消臭有効成分の10%溶液にポリオキシエチレン
(n=10)オクチルフェニルエーテルフォスフェートを
1%添加し、苛性カリでPH5に調整した液を投与後、ロ
ーラー式乾燥機を用い145℃で乾燥緻密化を行った。次
に通常の繊維油剤を付与し、機械クリンプを付与後湿熱
115℃でクリンプセットを行った。
この繊維より丸編布を作製して実施例1と同様洗濯0回
及び5回後のトリメチルアミン除去率を求めた結果、洗
濯0回で97.8%洗濯5回で80.4%と良好なる耐洗濯性を
示した。
比較例2 ポリオキシエチレン(n=16)ノニルフェニルエーテル
サルフェートソーダ塩60%、エトキシジグライコール40
%の乳化剤混合物をポリオキシエチレン(n=12)ノニ
ルフェニルエーテルフォスフェートカリ塩に加えて用い
る以外、実施例2と同様にして消臭性アクリル系繊維を
製造した。しかしながら、得られた繊維は実施例2に比
べ粘着性を生じ紡績性に劣るものであった。
比較例3 茶葉より抽出精製した消臭有効成分に代えてアスコルビ
ン酸鉄を用いる以外、実施例2と同様にして消臭性アク
リル系繊維を製造した。しかしながら、乾燥緻密化の工
程で熱により繊維に着色が生じた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 13/295 // D06M 101:28

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系合成繊維を湿式紡糸して製造す
    る際に、延伸,水洗後のゲル膨潤状態にある前記繊維に
    ツバキ科植物より抽出した消臭有効成分とポリオキシエ
    チレン(n=10〜30)アルキルフェニルエーテルフォス
    フェート及び/又はその塩とを含む乳化液を付与し、次
    いで乾燥緻密化を行うことを特徴とする消臭性アクリル
    系合成繊維の製造方法。
JP60171671A 1985-08-02 1985-08-02 消臭性アクリル系合成繊維の製造方法 Expired - Lifetime JPH0663139B2 (ja)

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