JPH0660220B2 - エチレン系共重合体の製造法 - Google Patents

エチレン系共重合体の製造法

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JPH0660220B2
JPH0660220B2 JP16550086A JP16550086A JPH0660220B2 JP H0660220 B2 JPH0660220 B2 JP H0660220B2 JP 16550086 A JP16550086 A JP 16550086A JP 16550086 A JP16550086 A JP 16550086A JP H0660220 B2 JPH0660220 B2 JP H0660220B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はエチレンと不飽和カルボン酸を共重合して得ら
れるエチレン系共重合体の製造法に関する。本発明の方
法により得られるエチレン系共重合体は、接着性,印刷
性,低温柔軟性,低温耐衝撃性等の要求される用途に有
効に利用される。
〔従来技術および発明が解決しようとする問題点〕
従来より、ポリエチレンは耐水性,耐薬品性,電気特性
などに優れており、広汎な用途に使用されている。しか
し、化学的に不活性であるため、接着性や印刷性,染色
性に劣るという難点があり、これらの性質を要求される
用途への使用が制限されていた。
そこで、ポリエチレンのこのような性質を改善するた
め、エチレンに不飽和カルボン酸を共重合させることが
提案されている(特公昭44-10275号,同44-2228 号,同
48-37756号)。ところが、従来法においては共重合活性
が低く、不飽和カルボン酸の転化率が低いという問題点
があった。さらに、得られる共重合体中の不飽和カルボ
ン酸の含有率も低いものでしかなかった。
〔問題点を解決うるための手段〕
本発明者らは上記従来の問題点を解消した極めて効率の
良いエチレン系共重合体の製造法を開発すべく鋭意研究
を重ねた。その結果、特定の触媒を用いてエチレンと不
飽和カルボンを共重合させることにより、共重合活性お
よび不飽和カルボン酸の共重合体への転化率を向上させ
ることができ、しかも共重合体中の不飽和カルボン酸含
量を広範囲にコントロールできることを見出し、この知
見に基いて本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は〔A〕遷移金属化合物と〔B〕有機金
属化合物を主成分とする触媒を用い、ルイス酸の存在下
にエチレンと不飽和カルボン酸を共重合してエチレン系
共重合体を製造するにあたり、〔A〕遷移金属化合物と
してクロム化合物を用いるとともに、〔B〕有機金属化
合物として周期律表第I〜V族の有機金属化合物を用い
ることを特徴とするエチレン系共重合体の製造法を提供
するものである。
本発明の方法に用いる触媒は〔A〕遷移金属化合物と
〔B〕有機金属化合物を主成分とするものである。
まず本発明の方法においては〔A〕遷移金属化合物とし
てクロム化合物を用いる。クロム化合物としてはクロム
のカルボン酸塩,クロムアルコキシ化合物,クロムキレ
ート化合物,クロムπ−錯体,クロムアリール化合物お
よびハロゲン化クロムよりなる群から選ばれた少なくと
も一種のものが用いられる。
ここでクロムのカルボン酸塩として通常は一般式Cr(OCO
R2)3,Cr(OCOR2)3・(R3OR4)l,Cr(OCOR2)3・(R5COOR6)
l,Cr(OCOR・R(COOR)l,Cr
(OCOR2)3・〔R9 2CO〕 lあるいは Cr(OCOR2)3・〔(R10C
O)2O〕 l〔式中、R2〜R10はそれぞれ炭素数1〜20
のアルキル基,アルケニル基,ビニル基,シクロアルキ
ル基,アリール基,ハロアルキル基,アラルキル基ある
いは水素原子を示し、lは1以上の実数である。〕で表
わされる化合物が用いられる。具体的には Cr(CH3CO
O)3,Cr(C17H35COO)3などの脂肪族カルボン酸塩、Cr(C6
H5COO)3,Cr(CH3・C6H5COO)3などの芳香族カルボン酸
塩、および上記カルボン酸塩の無水カルボン酸付加物,
エステル付加物,エーテル付加物,ケトン不可物があげ
られる。これら付加物には、無水酢酸,無水プロピオン
酸,無水酪酸,無水イソ酪酸,無水吉草酸,無水イソ吉
草酸などの無水脂肪酸,無水安息香酸,無水トルイル
酸,無水桂皮酸,無水フタル酸,無水マレイン酸などの
無水芳香族酸;ギ酸メチル,ギ酸エチル,ギ酸プロピ
ル,ギ酸ブチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピ
ル,酢酸ブチル,酢酸ヘキシル,酢酸オクチル,酢酸ベ
ンジル,酢酸ビニル,酢酸フェニル,酢酸ベンジル,酢
酸シクロヘキシル,プロピオン酸メチル,プロピオン酸
エチル,プロピオン酸プロピル,プロピオン酸ブチル,
プロピオン酸オクチル,プロピオン酸フェニル,プロピ
オン酸ベンジル,酪酸メチル,酪酸エチル,酪酸プロピ
ル,酪酸ブチル,酪酸アミル,酪酸オクチル,吉草酸メ
チル,吉草酸エチル,吉草酸プロピル,吉草酸ブチル,
アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチ
ル,アクリル酸2エチルヘキシル,メタクリル酸メチ
ル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル,クロル
酢酸メチル,ジクロロ酢酸エチル,クロトン酸エチル,
ピバリン酸エチル,マレイン酸ジメチル,シクロヘキサ
ンカルボン酸エチルなどの脂肪酸エステル;安息香酸メ
チル,安息香酸エチル,安息香酸プロピル,安息香酸ブ
チル,安息香酸オクチル,安息香酸シクロヘキシル,安
息香酸ベンジル,トルイル酸メチル,トルイル酸エチ
ル,エチル安息香酸エチル,アニス酸エチルなどの芳香
族エステル;メチルエーテル,エチルエーテル,イソプ
ロピルエーテル,n−ブチルエーテル,アミルエーテ
ル,テトラヒドロフラン,アニソール,ジフェニルエー
テルなどのエーテル,アセトン,メチルエチルケトン,
メチルイソブチルケトン,アセトフェノン,ベンゾフェ
ノン,ベンゾキノンなどのケトンをあげることができ
る。
次に、クロムアルコキシ化合物として通常は一般式 Cr(OR11)4-m X1 m ……〔I〕 で表わされる化合物が用いられる。この一般式〔1〕中
のR11は炭素数1〜20のアルキル基,アルケニル基,
シクロアルキル基,アリール基あるいはアラルキル基を
示す。R11の具体例としてはメチル基,エチル基,n−
プロピル基,i−プロピル基,n−ブチル基,i−ブチ
ル基,t−ブチル基,ヘキシル基,2−エチルヘキシル
基,フェニル基などが挙げられる。またX1はハロゲン
原子、つまり塩素,臭素,沃素などを示す。mは0≦m
<4を満たす実数である。
上記一般式〔I〕で表わされる化合物の具体例として
は、テトラメトキシクロム,テトラエトキシクロム,テ
トラ−n−ブトキシクロム,テトラ−i−ブトキシクロ
ム,テトラ−t−ブトキシクロム,テトラヘキシルオキ
シクロム,テトラステアリルオキシクロム,テトラフェ
ノキシクロム,トリエトキシクロムモノクロリド,ジエ
トキシクロムジクロリド,トリ−n−ブトキシクロムモ
ノクロリド,トリ−t−ブトキシクロムモノクロリドな
どが挙げられる。
また、前記クロムキレート化合物は、具体的には式 Cr
(acac)3で表わされるクロムトリスアセチルアセテトナ
ート,Cr(mbd)3で表わされるクロムトリス(2−メチル
−1,3−ブタンジオネート),Cr(bd)3で表わされる
クロムトリス(1,3−ブタンジオネート)などがあげ
られる。ここで(acac)はアセチルアセトナート基を示
し、クロムトリスアセチルアセトナートは、 の構造式で表わされる。また、(mbd) は2−メチル−
1,3−ブタンジオネート基を示し、クロムトリス(2
−メチル−1,3−ブタンジオネート)は の構造式で表わされる。さらに(bd)は1,3−ブタンジ
オネート基を示し、クロムトリス(1,3−ブタンジオ
ネート)は、 の構造式で表わされる。
クロムπ−錯体としては、(cp)2Cr ((cp)はシクロペン
シタジエニル基を示す)で表わされるビスシクロペンタ
ジエニルクロム,(C6H6)2Cr で表わされるビスベンゼン
クロム,(2C6H5)(C6H6)Crで表わされるジフェニルベン
ゼンクロム,式 で表わされるジヘキサメチルベンゼンクロム,式 で表わされるπ−シクロペンタジエニルブロモクロミウ
ムアセチルアセテート,式 で表わされるπ−シクロペンタジエニル(ベンゼン)ク
ロミウム,式 で表わされるπ−シクロペンタジエニル−π−シクロヘ
プタジエニルクロミウムなどの芳香環π−錯体,トリス
(η−アリル)クロム,テトラキス(η−アリル)クロ
ムなどのπ−アリル錯体などがあげられる。
さらに、クロムアリール化合物としては、ジフェニルク
ロム,トリフェニルトリス(テトラヒドロフラン)クロ
ムなどがあげられる。
次に前記ハロゲン化クロムとして好ましいものは一般式
CrX2 n(式中、X2はハロゲン原子を示し、nは2または
3を示す。)で表わされるものである。具体的には三塩
化クロム,三臭化クロム,三沃化クロム,二塩化クロ
ム,二臭化クロム,二沃化クロム等が挙げられる。
本発明では〔A〕遷移金属化合物として上記の中から選
ばれた一種または二種以上のクロム化合物を用いること
が好ましい。
次に本発明の方法において〔B〕有機金属化合物として
周期律表第I〜V族の有機金属化合物を用いる。
ここで周期律表第I〜V族の有機金属化合物としては一
般式 R12 kMX3 i-k ……〔II〕 で表わされる化合物が用いられる。この一般式〔II〕中
のR12は炭素数1〜20のアルキル基,アルケニル基,
シクロアルキル基,アリール基あるいはアラルキル基を
示す。R12の具体例としてはメチル基,エチル基,n−
プロピル基,i−プロピル基,n−ブチル基,i−ブチ
ル基,ヘキシル基,2−エチルヘキシル基,フェニル基
などが挙げられる。またMはリチウム,ナトリウム,カ
リウム,マグネシウム,亜鉛,カドミウム,アルミニウ
ム,ホウ素,ガリウム,ケイ素,スズ,アンチモンある
いはビスマスを示す。さらにX3はハロゲン原子、つまり
塩素,臭素,沃素などを示す。iはMの原子価であり、
通常は1〜5の実数である。kは0<k≦iの実数であ
って、種々の値を示す。
上記一般式〔II〕で表わされる化合物の具体例として
は、メチルリチウム,エチルリチウム,プロピルリチウ
ム,ブチルリチウム等のアルキルリチウムなど、ジエチ
ルマグネシウム,エチルブチルマグネシウム,ジノルマ
ルブチルマグネシウム,エチルクロロマグネシウムなど
のアルキルマグネシウム、ジメチル亜鉛,ジエチル亜
鉛,ジプロピル亜鉛,ジブチル亜鉛などのジアルキル亜
鉛,トリメチルガリウム,トリエチルガリウム,トリプ
ロピルガリウム,トリブチルガリウムなどのアルキルガ
リウム化合物、トリエチルホウ素,トリプロピルホウ
素,トリブチルホウ素などのアルキルホウ素化合物、テ
トラエチルスズ,テトラプロピルスズ,トリブチルクロ
ロスズ,テトラフェニルスズ,トリフェニルクロロスズ
などのアルキルスズ化合物等か挙げられる。また、Mが
アルミニウムである場合の化合物の例としては様々なも
のがあり、具体的にはトリメチルアルミニウム,トリエ
チルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,ト
リイソブチルアルミニウム,トリオクチルアルミニウム
等のトリアルキルアルミニウム化合物およびジエチルア
ルミニウムモノクロリド,ジエチルアルミニウムモノブ
ロミド,ジエチルアルミニウムモノアイオダイド,ジイ
ソプロピルアルミニウムモノクロリド,ジイソブチルア
ルミニウムモノクロリド,ジオクチルアルミニウムモノ
クロリド等のジアルキルアルミニウムモノハライドある
いはメチルアルミニウムセスキクロリド,エチルアルミ
ニウムセスキクロリド,エチルアルミニウムセスキブロ
ミド,ブチルアルミニウムセスキクロリドなどのアルキ
ルアルミニウムセスキハライドが好適であり、またこれ
らの混合物も好適なものとしてあげられる。さらに、ア
ルキルアルミニウムと水の反応により生成するアルキル
基含有アルミノキサンも用いることができる。
これらの中でも特にアルミニウム化合物,スズ化合物,
マグネシウム化合物が好適に用いられる。
本発明の方法においては、上記〔A〕遷移金属化合物と
して用いるクロム化合物と、〔B〕有機金属化合物とし
て用いる周期律表I〜V族の有機金属化合物の使用比率
は特に制限はないが、通常は前者中のクロム原子に対し
て後者中の金属原子を0.1〜5000(モル比)、好
ましくは1〜1000(モル比)の割合とすればよい。
本発明の方法においては、上記の触媒を用い、ルイス酸
の存在下にエチレンと不飽和カルボン酸を共重合するこ
とによりエチレン系共重合体を製造する。
ここでルイス酸としては極性基の孤立電子対と錯体形成
可能なルイス酸化合物、例えば周期律表第I〜V族ある
いはVIII族のハロゲン化化合物などが挙げられる。特に
アルミニウム,ホウ素,亜鉛,スズ,マグネシウム,ア
ンチモンなどのハロゲン化化合物、例えば塩化アルミニ
ウム,臭化アルミニウム,エチルアルミニウムジクロリ
ド,エチルアルミニウムセスキクロリド,ジエチルアル
ミニウムクロリド,トリエチルアルミニウム,トリメチ
ルアルミニウム,三塩化ホウ素,塩化亜鉛,四塩化ス
ズ,アルキルスズハライド,塩化マグネシウム,五塩化
アンチモン,三塩化アンチモンなどが好ましいが、特に
好ましくは塩化アルミニウム,臭化アルミニウム,エチ
ルアルミニウムジクロリドなどである。
また、エチレンと共重合させる不飽和カルボン酸は特に
制限はないが、通常一般式 で表わされる化合物が用いられる。この一般式〔III〕
中のRは水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の
アルキル基,アルケニル基,シクロアルキル基,アリー
ル基あるいはアラルキル基を示し、pは0〜20の整数
を示す。
上記一般式〔III〕で表わされる不飽和カルボン酸の具
体例としては、アクリル酸,メタクリル酸,α−クロロ
アクリル酸,3−ブテン酸,4−ペンテン酸,6−ヘプ
テン酸,8−ノネン酸,10−ウンデセン酸等を挙げる
ことができ、これらを単独であるいは二種以上を混合し
て用いることができる。
上記の如き不飽和カルボン酸のエチレンに対する使用割
合は、目的とする共重合体に要求される物性に応じて任
意に選定すればよい。
また、前述のルイス酸と不飽和カルボン酸の使用割合
は、不飽和カルボン酸1に対して、ルイス酸30以下
(モル比)、好ましくは0.2〜5(モル比)である。
重合の形式は特に制限はなく、スラリー重合,溶液重
合,気相重合等のいずれも可能であり、また連続重合,
非連続重合のいずれも可能である。この場合,重合溶媒
としては脂肪酸炭化水素,脂環族炭化水素,芳香族炭化
水素,ハロゲン化炭化水素が用いられる。具体的にはペ
ンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカン,ドデ
カン,シクロヘキサン,ベンゼン,トルエン,キシレ
ン,エチルベンゼン,クロルベンゼン,二塩化エチレ
ン,灯油などが用いられる。重合条件としては反応圧力
は常圧〜100kg/cm2G、好ましくは常圧〜30kg/c
m2Gであり、反応温度は−80〜200℃、好ましくは
−50〜80℃である。なお、反応時間は任意である
が、通常1分間〜10時間の間で適宜選定すればよい。
重合に際しての分子量調節は公知の手段、例えば水素等
により行なうことができる。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、〔A〕遷移金属化合物としてク
ロム化合物を用い、〔B〕有機金属化合物として周期律
表第I〜V族の有機金属化合物を用いることにより、高
活性で収率良く共重合を行なうことが可能であり、また
不飽和カルボン酸の共重合体への転化率を向上させるこ
とができる。しかも、不飽和カルボン酸の仕込み量、あ
るいはルイス酸の種類を変えることにより、共重合体中
の不飽和カルボン酸含量を広範囲にコントロールするこ
とができる。
さらに本発明の方法により得られるエチレン系共重合体
は、エチレン系単独重合体に比し、印刷性や接着性が改
良されるほか、低温柔軟性,低温耐衝撃性,耐曲げクラ
ッチ性,透明性が改良されたものである。
〔実施例〕
次に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本
発明の範囲を超えない限り、これに限定されるものでは
ない。
実施例1 (1) クロム触媒成分の調製 アルゴン置換した200mlのフラスコに、直径5〜1
0mmのステンレス球10個を入れ、つぎにステアリン酸
クロム3.6g(4ミリモル)とトルエン100mlを
入れて、室温で撹拌しながら10時間ボールミル粉砕し
た。ついで、これにトルエンを加えて全量を200ml
とした。この結果、黒紫色のゲル状をなすクロム触媒含
有成分を得た。
(2) 共重合体の製造 アルゴン置換した内容積500mlの耐圧ガラス容器
に、トルエン300mlとアクリル酸0.34ml(5
ミリモル)およびルイス酸としてエチルアルミニウムジ
クロリド10ミリモルを加え、20℃において5分間撹
拌し反応させた。ついで、これに上記(1)で調製したク
ロム触媒成分0.01ミリモルと、ジエチルアルミニウ
ムモノクロリド1ミリモルを加え、エチレンを連続的に
導入し、内圧を2kg/cm2Gに保持して20℃において
3時間共重合反応を行なった。反応終了後、エチレンを
脱圧して生成物をメタナールに投入して沈澱させた。得
られた固体を濾別回収し、塩酸・メタノール混合液で脱
灰洗浄して可溶分を除去した後、アセトン抽出を5時間
行ない、非晶質重合体を除去した。さらに抽出残物を、
80℃で2時間減圧乾燥することにより、白色の共重合
体6.6gを得た。触媒活性(重合活性)は12.7kg
/g・クロムであった。
つぎに、この共重合体の赤外線吸収スペクトル分析の結
果、1580cm-1の位置にカルボン酸アルミニウム塩の
カルボニル基による吸収,1700cm-1の位置にカルボ
ン酸のカルボニル基による吸収,さらに1730cm-1
位置にカルボン酸メチルエステルのカルボニル基による
吸収が認められた。この共重合体を濃塩酸で8時間煮沸
処理したところ、1700cm-1の位置にのみ、カルボン
酸のカルボニル基による吸収が認められた。このほか、
1160cm-1の位置にエーテル結合による吸収も認めら
れた。これら吸収より共重合体中のアクリル酸の含有量
を算出したところ、1.8モル%(4.5重量%)であ
り、またアクリル酸の共重合体への転化率は86%であ
った。
また、この共重合体の融点を示差熱分析により測定した
ところ130℃であった。さらに核磁気共鳴(NMR)
スペクトル分析によると、長鎖アルキル分岐の吸収は認
められず、以上のことから、アクリル酸がエチレン重合
鎖中に結晶を乱す形で導入されているものと考えられ
る。以上の結果を第1表に示す。
実施例2 ルイス酸として、エチルアルミニウムジクロリドに代
え、ジエチルアルミニウムクロリド10ミリモルを用い
たほかは、実施例1の(2)と同様の操作をして共重合体
8.0gを得た。結果を第1表に示す。
実施例3 ルイス酸として、エチルアルミニウムジクロリドに代
え、三塩化アルミニウム20ミリモルを用いたほかは、
実施例1の(2)と同様の操作をして重合体0.9gを得
た。結果を第1表に示す。
実施例4 ルイス酸として、エチルアルミニウムジクロリドの使用
量を40ミリモルとし、かつアクリル酸使用量を1.3
6g(20ミリモル)としたほかは、実施例1の(2)と
同様の操作をして重合体4.5gを得た。結果を第1表
に示す。
実施例5 (1) クロム触媒成分の調製 アルゴン置換した300mlのフラスコに、酢酸クロム
−水塩〔Cr(CH3COO)3・H2O〕を1.1g(4.45ミリ
モル)と、無水酢酸40ml,酢酸40mlを入れ、撹
拌しながら還流下に20時間反応し、ついで減圧下に酢
酸と無水酢酸を留去して緑色の固体を得た。つぎに、ア
ルゴン気流下,120℃において48時間乾燥させ、降
温してトルエンを加え、200mlの触媒スラリーを得
た。スラリー中の固体物質は、Cr(CH3COO)3・(CH3CO)2O
で表わされる酢酸クロム無水酢酸塩であった。
(2) 共重合体の製造 クロム触媒成分として、上記(1)で調製したものを0.
01ミリモル用いたほかは、実施例1の(2)と同様の操
作をして共重合体5.1gを得た。結果を第1表に示
す。
実施例6 ルイス酸として三塩化アルミニウムを20ミリモル用い
たほかは、実施例5と同様にして共重合体1.2gを得
た。結果を第1表に示す。
実施例7 (1) クロム触媒成分の調製 アルゴン置換した200mlのフラスコに、クロムトリ
スアセチルアセトナート2.1g(6ミリモル)を入
れ、これにトルエン200mlを加えて溶解させた。
(2) 共重合体の製造 クロム触媒成分として上記(1)で調製したものを0.0
1ミリモル用いたほかは、実施例1の(2)と同様にし
て、共重合体6.3gを得た。結果を第1表に示す。
実施例8 ルイス酸として、三塩化アルミニウムを20ミリモル用
いたほかは実施例7と同様にして共重合体0.8gを得
た。結果を第1表に示す。
実施例9 (1) クロム触媒成分の調製 アルゴン置換した200mlのフラスコに、ビスシクロ
ペンタジエニルクロム1.22g(6.7ミリモル)と
トルエン200mlを加えて溶解させた。得られた溶液
をクロム触媒成分として以下の反応を用いた。
(2) 共重合体の製造 クロム触媒成分として上記(1)で調製したものを0.0
1ミリモル用いたほかは、実施例1の(2)と同様にして
共重合体4.9gを得た。結果を第1表に示す。
実施例10 (1) クロム触媒成分の調製 アルゴン置換した200mlのフラスコに、三塩化クロ
ム0.95g(6ミリモル)を入れ、ついで直径5〜8
mmのステンレス球10個を入れ、これにトルエン150
mlを加えて、室温で撹拌下に24時間ボールミル粉砕
し、クロム含有スラリーを取出した。得られたクロム含
有スラリーをクロム触媒成分として以下の反応を用い
た。
(2) 共重合体の製造 クロム触媒成分として上記(1)で調製したものを0.0
1ミリモル用いたほかは、実施例1の(2)と同様にして
共重合体1.5gを得た。結果を第1表に示す。
実施例11 ルイス酸としてトリエチルアルミニウム10ミリモルを
用いたほかは、実施例1の(2)と同様にして共重合体
4.2gを得た。結果を第1表に示す。
実施例12 ルイス酸としてトリメチルアルミニウム10ミリモルを
用いたほかは、実施例1の(2)と同様にして共重合体
3.8gを得た。結果を第1表に示す。
比較例1 クロム触媒成分に代えて、三塩化チタンを0.01ミリ
モル用いたほかは、実施例1の(2)と同様にして共重合
体0.5gを得た。結果を第1表に示す。
比較例2 クロム触媒成分に代えて、三塩化バナジウムを0.01
ミリモル用いたほかは、実施例1の(2)と同様にして共
重合体0.3gを得た。結果を第1表に示す。
比較例3 クロム触媒成分に代えて、バナジウムトリスアセチルア
セトナートを0.01ミリモル用いたほかは、実施例1
の(2)と同様にして共重合体1.5gを得た。結果を第
1表に示す。
比較例4 ルイス酸として三塩化アルミニウム10ミリモルを用い
たほかは、比較例3と同様にして共重合体0.2gを得
た。結果を第1表い示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の方法で用いる触媒の調製工程を表し
た図面である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】〔A〕遷移金属化合物と〔B〕有機金属化
    合物を主成分とする触媒を用い、ルイス酸の存在下にエ
    チレンと不飽和カルボン酸を共重合してエチレン系共重
    合体を製造するにあたり、〔A〕遷移金属化合物として
    クロム化合物を用いるとともに、〔B〕有機金属化合物
    として周期律表第I〜第V族の有機金属化合物を用いる
    ことを特徴とするエチレン系共重合体の製造法。
  2. 【請求項2】クロム化合物が、クロムのカルボン酸塩,
    クロムアルコキシ化合物,クロムキレート化合物,クロ
    ムπ−錯体,クロムアリール化合物およびハロゲン化ク
    ロムよりなる群から選ばれた少なくとも一種のものであ
    る特許請求の範囲第1項記載の製造法。
  3. 【請求項3】不飽和カルボン酸が、 一般式 〔式中、R1は水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜2
    0のアルキル基,アルケニル基,シクロアルキル基,ア
    リール基あるいはアラルキル基を示し、pは0〜20の
    整数を示す。〕 で表わされる化合物である特許請求の範囲第1項記載の
    製造法。
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