JPH0655423B2 - 偏平二重壁構造体のブロー成形方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はブロー成型の分野で使用されるもので、偏平二
重壁構造体のブロー成型方法及び装置に関する。

従来の技術 従来のブロー成形は、第９図及び第１０図のようにブロ
ーヘッド(ヘ)から押し出し垂下させたパリソン(ロ)を一対
の割型(1)(1)で挾んで型締めした後にパリソン(ロ)内に
気体を吹き込み、パリソン(ロ)を膨らませて出来るだけ
割型(1)(1)のキャビティ(1a)(1a)に密接させて成形して
いた。

発明が解決しようとする問題点 併し、従来のブロー成形方法で偏平二重壁構造のものを
成形しようとすると製法上の弱点となるのは、金型壁面
に同時圧着するうえでパリソン肌の平滑さと張力のある
膨らみで金型壁面に圧着させることが難かしいという点
であった。その詳細を以下に示す。

成形品の外観品質上の問題 型締め後に対向しているキャビテイ(1a)(1a)相互の巾
(L)が狭いため、割型(1)(1)内でパリソン(ロ)を充分に膨
らませることが出来ない。型締め工程でパリソンは偏平
化されるが、パリソン(ロ)のキャビティ(1a)の表面に対
する接触は均一でなく、パリソンの固化むらによる凹凸
(ニ)の発生、所謂先当り現象により平滑むらを生ずる。
固化部分と熔融部分が発生し冷却の不均一から表面状態
を悪くするからである。特に結晶性樹脂では影響が大き
く、このため金型温度を７０℃〜９０℃と高めざるを得
なくなり、成形品として完成させるサイクルと離型后の
成形品の変形防止に大きな支障となっている。また、割
型(1)のキャビティ(1a)全面に対するパリソン(ロ)の同時
圧着のためには、型締め後の割型(1)内のパリソン(ロ)が
張力のある緊張状態であることが必要であり、この条件
を充足するために、パリソンの上下端をピンチ部(1b)(1
b)によって締め付け、型締めによる押しつけでパリソン
を緊張状態に保つようにするが、型締め前にパリソン
(ロ)の内圧が低く、キャビティ(1a)の表面への圧着が不
足する。そして内包する気体の量によっては第１０図に
示す如くパリソン(ロ)が破断(ホ)して内圧を失い、しぼん
だまゝキャビティ(1a)(1a)表面に接し、成形品には先当
り現象に基因したアバタ状の凹凸(ニ)と、スエルによる
パリソンの縦皺跡が縦縞模様として残り外観品質を大き
く損ねていた。

ピンチ部外観の問題 ブロー成形品に於いてはピンチ部(1b)は不可欠の構造
で、上、下のみでなく、成品形状によっては全周の場合
もあり、このためピンチ部の強度と外観性は重要な課題
であり、有効な方法が研究されている。併し、外観性即
ちピンチ部脇にでる一条乃至二条の皺・スリガラス状の
肌荒れについては対策がなく、人目につく表面をさけて
パーテングを設定する立場にとどまっている。ピンチ部
の皺と肌荒れはピンチ部に対応するパリソンのボリュー
ムが、成品内部とバリ逃げ部に向って押しつぶされるこ
とでおきるが、有効な解決策が無いのが現状であった。

本発明は、従来の問題を解決するため、割型による型締
め終了前に、パリソンに吹き込みを保持させ、パリソン
がキャビティに密接する状態で型締めを行って成形する
ことによってパリソンの破裁や先当り現象をなくし、ブ
ロー成形による偏平二重壁構造体の成形品に外観及びピ
ンチ部外観の向上を計ることを目的とした発明である。

問題点を解決するための手段 本発明は、一対の割型(1)(1)の外周に、外枠(2)(2)を気
密に摺動自在に嵌合し、割型(1)(1)の間に垂下させたパ
リソン(ロ)を、割型(1)(1)による型締め終了前に外枠(2)
(2)をシリンダ(4)(4)によって摺動させ、外枠(2)(2)が
互いに気密に接合した状態で、パリソン(ロ)内に吹き込
みを行い、その吹込み圧(ハ)によってパリソン(ロ)を張力
のある膨脹状態にしてキャビティ(1a)(1a)に密接させつ
つ型締めを行い、パリソン(ロ)の端部を割型(1)(1)のピ
ンチ部(1b)(1b)によって圧着して一体化した後に離型す
るものである。

作 用 本発明は上述のように構成したので、第３図のようにブ
ローヘッド(ヘ)からパリソン(ロ)を押し出し、一対の割型
(1)(1)の間に垂下した状態で、第４図のようにシリンダ
ー(4)(4)を作動させてピストンロッド(4a)(4a)を押し出
して外枠(2)(2)を割型(1)(1)に沿って摺動させて外枠
(2)(2)を互いに接近させ、これと並行してブローヘッド
(ヘ)の中央部から気体吹出し用の針(ト)を外枠(2)(2)の周
縁(2b)(2b)の切欠部(2c)(2c)を通じて少くとも割型(1)
(1)のピンチ部(1b)より下方の位置まで垂下させる（第
４図）。これと並行して更に外枠(2)(2)を摺動させて突
き当て、パリソン(ロ)の上下端部分を挾む。この段階で
は、対向した割型(1)(1)の間には、外枠(2)(2)の内面(2
a)(2a)とキャビティ(1a)(1a)とバリ逃げ部(1c)(1c)とに
よって連続した空間(3)が形成され、また外枠(2)(2)と
パリソン(ロ)と針(ト)相互及びパリソン(ロ)内部並びに空
間(3)は気密に保たれる（第５図）。この状態で気体を
針(ト)を通じてパリソン(ロ)内に吹き込むと、パリソン
(ロ)は次第に膨らみ袋状となり、やがて張力のある緊脹
状態となってパリソン(ロ)外周全面はキャビティに直接
密着する（第６図）。次いで割型(1)(1)の型締めを行い
ピンチ部(1b)(1b)に対向した部分のパリソン(ロ)の一体
化を行う。更にバリ逃げ部(1c)(1c)に於けるパリソン
(ロ)(ロ)の端部も一体化される。この間外枠(2)(2)は突き
当り状態を保ち、連結した空間(3)に膨んだパリソン(ロ)
に対する吹込圧による破断(ホ)の発生を防止している。
樹脂特有の熱転動性の低さから割型(1)(1)に接しないパ
リソン(ロ)の内面は熔融状態にあり、ピンチ部の融着は
完全となる。割型(1)(1)は外枠(2)の内面(2a)に接し乍
ら型閉じ完了迄に移動するが、外枠(2)(2)の内面(2a)(2
a)に膨んでいたパリソン(ロ)は型閉じの進行に伴いバリ
逃げ部(1c)の空間に収納される。ピンチ部(1c)(1c)の圧
着は、パリソン(ロ)がキャビティ(1a)(1a)の表面に確実
に押しつけられているので、ピンチ部(1b)(1b)・パリソ
ン(ロ)のボリュームの移動でもパリソンの表層の動きは
なく、該部分に於ける皺の発生又は肌荒れがおきない。
従って、ピンチ部(1b)(1b)で押しつぶされるパリソン
(ロ)のボリュームは圧着線に沿って盛りあがり従来のピ
ンチ部(1b)(1b)の内面のＶノッチ現象はおきずまた、外
枠(2)(2)の内面(2a)(2a)部分に膨らんでいたパリソン
(ロ)は型締めの進行に伴い、バリ逃げ部(1c)(1c)の空間
に押し込まれる。吹込みと型による冷却が進み、賦形が
完成すればエア抜き後シリンダー(4)(4)を作動して外枠
(2)(2)を引き放し、これと並行して割型(1)(1)の型開き
を行い成形品を取り出し、成形品の本体とバリ部を分離
し完成する。

実施例 本発明の実施例を図面について説明すると、(1)(1)は左
右一対の割型取付板(5)(5)に夫々設置した左右一対の割
型で、この割型(1)(1)の外周に気密に摺動する外枠(2)
(2)を嵌合し、該外枠(2)(2)の上方の周縁(2b)(2b)には
外枠(2)(2)を密接させた時に針(ト)を出入させることが
出来る孔を形成する切欠部(2c)(2c)を形成する。〔第５
図(A)(B)〕と共に前記外枠(2)(2)を摺動させるシリンダ
ー(4)(4)と該シリンダー(4)(4)のピストンロッド(4a)(4
a)を割型(1)と外枠(2)に架設する。前記割型(1)(1)の互
いに対向する内側には、成形しようとする偏平二重壁構
造体(イ)の外形面を象った形のキャビティ(1a)(1a)を刻
設し、キャビティ(1a)(1a)を区切るピンチ部(1b)(1b)と
該ピンチ部(1b)(1b)の周囲にバリ逃げ部(1c)(1c)を形成
する。

図中(ヘ)はパリソン(ロ)を押し出すブローヘッド、(ト)は
前記ブローヘッド(ヘ)から昇降動する気体吹込み用の針
である。

効 果 依って本発明によれば、割型による型締め終了前に、割
型に気密に嵌合した外枠を摺動して互いに接合させてパ
リソンの両端部を挾んで予め気密にしまた、外枠の内面
とキャビテイとバリ逃げ部とによって連続した空間を形
成し、この状態でパリソンに吹き込みを行い、割型を互
いに接近させて型締めを行い、それによってパリソンの
外面がキャビティに確実に密接し、ピンチ部に対向して
いるパリソンはピンチ部によって一体化されて密着し、
またバリ逃げ部に対向している部分のパリソンの上端部
と下端部も密着し、パリソンの張力ある緊張状態を充分
保持しつつ型締めを行うことが出来るので、キャビティ
の巾の狭い偏平形状構造体の成形を行う場合でも、パリ
ソンの皺をのばし、又肌は平滑化され、金型壁面には吹
込み圧でパリソンが同時圧着するので、従来偏平形状物
の成形に見られる先当り現象・縦縞模様がなく型転写性
が向上し、外観品質を一段と向上できる。更に、ピンチ
部も、内面のＶノッチ・外面の皺（ブロー成形品の強度
上の弱点部）をなくすことが出来、ピンチ部の外観性も
向上する。

更に、またキャビティの巾に制約されず、型枠巾を規格
化し、ダイスの標準化が可能であり、キャビティの形状
に制約されることなく、型枠巾による取り付け芯のセン
ター化が可能となり、型交換のための時間が短縮され
る。また、キャビティとパリソンとの間の真空化を計っ
てパリソンをキャビティに密接させてブロー成形を行う
特願昭和６３年第１７２３９３号に示すブロー成形方法
とも併用出来るので、ブロー成形方法の利用範囲を広め
ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すもので、第１図は本発明によ
り成形した偏平二重壁構造体の斜視図、第２図は第１図
の｜｜線断面図である。第３図は割型及び外枠を開いた
間隙に、ブローヘッドより押し出したパリソンを垂下し
た状態を示した本装置の側面図である。第４図は、外枠
が前進して突き当ってパリソンの上下両端部及び針を挾
み、キャビティとバリ逃げ部が連結して居り且つ吹込成
形加圧に適した空間を構成した状態を示した要部を破裁
した側面図で、パリソンは吹込圧が加わり袋形状に膨み
キャビティ面に押しつけられつつある。第５図(A)は外
枠によってパリソン及び針を挾んでいる部分の拡大断面
図、第５図(B)は第５図(A)のＣＣ線横断平面図、第６図
は第４図のＡＡ線横断平面図で、膨んだパリソンの一側
面がキャビティに圧接されつつある状態を示している。
第７図は割型が閉じられ、ピンチ部によってパリソンが
圧着され一体化した状態を示した要部を破裁した側面
図、第８図は第７図のＢＢ線横断平面図で、ピンチ部に
於けるパリソンが圧着されて一体化したことを示してい
る。第９図は従来の成型方法及び装置の横断平面図で、
キャビティによってパリソンが押されている状態を示し
ている。第１０図は第９図に於いて、パリソンに破裁を
生じ、また内圧がなくなってしぼみ、先当り現象を生じ
た状態を示した横断平面図である。 符号： １……割型、５……割型取付板 1a……キャビティ 1b……ピンチ部、イ……偏平二重壁構造体 1c……バリ逃げ部、ロ……パリソン ２……外枠、ハ……吹込み圧 2a……内面、ニ……凹凸 2b……周縁、ホ……破断 2c……切欠部、ヘ……ブローヘッド ３……空間、ト……針 ４……シリンダ、チ……バリ 4a……ピストンロッド、Ｌ……巾（キャビティ間）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対の割型(1)(1)の間にパリソン(ロ)を配
   置し、前記割型(1)(1)による型締め終了前に、割型(1)
   (1)の外周に摺動自在に気密に嵌合した外枠(2)(2)を摺
   動させて、前記外枠(2)(2)が互いに気密に接合し且つ割
   型(1)(1)の間にパリソン(ロ)を膨らませるのに適した空
   間(3)を保有させた状態でパリソン(ロ)内に吹込みを行
   い、その吹込み圧(ハ)によってパリソン(ロ)を張力のある
   膨脹状態にして割型(1)(1)内のキヤビティ(1a)に密接さ
   せつつ型締めを行い、割型(1)(1)のピンチ部(1b)(1b)に
   よって圧着して一体化して成型したことを特徴とする偏
   平二重壁構造体のブロー成形方法。
2. 【請求項２】割型(1)(1)の型締め終了前に外枠(2)(2)を
   摺動させて互いに密接させることによって、割型(1)(1)
   内のキヤビティ(1a)(1a)を区切るピンチ部(1b)(1b)の外
   周に設けたバリ逃げ部(1c)(1c)が、キヤビティ(1a)(1a)
   と外枠(2)(2)の内面(2a)(2a)と共に連続した空間(3)を
   形成したことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   偏平二重壁構造体のブロー成形装置。
3. 【請求項３】気密に接合させた外枠(2)(2)に気密に内接
   しつつ摺動する割型(1)(1)の型締めによって縮小するバ
   リ逃げ部(1c)(1c)の容積を、型締め終了時に於いても、
   バリ逃げ部(1c)(1c)に内包されるパリソン(ロ)の体積よ
   り大きくしたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の偏平二重壁構造体のブロー成形装置。
4. 【請求項４】割型(1)(1)による型締め終了前に、シリン
   ダ(4)の作動によって互いに気密に接合する外枠(2)(2)
   を、割型(1)(1)の外周に気密に摺動自在に嵌合し、型締
   め終了前に、割型(1)(1)のキヤビティ(1a)(1a)とバリ逃
   げ部(1c)(1c)と摺動させて接合した外枠(2)(2)とによっ
   て、連続し且つパリソン(ロ)を膨らませるのに適した空
   間(3)を形成するようにしたことを特徴とする偏平二重
   壁構造体のブロー成形装置。