JPH0649745U - 内燃機関用ピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストン本体とシリンダ内壁との間の潤滑、
燃焼ガスの吹抜け防止、オイルの劣化防止、及びオイル
消費量の低減が図れる内燃機関用ピストンを提供する。 【構成】 ピストン本体１のクラウン部１Ａ内にクーリ
ングチャンネル部２を形成し、スカート部１Ｂの外周部
のピストンピン孔５を挟んで両側にリング溝７ａ、７ｂ
を形成し、これらのリング溝７ａ、７ｂにシールリング
８ａ、８ｂを挿入してシールリング８ａ、８ｂ間にオイ
ル溜り部１８を形成すると共に、ピストン本体１に、ク
ーリングチャンネル部２とオイル溜り部１８を連通させ
るオイル供給路９を形成し、かつピストンピン孔５とピ
ストンピン６との嵌合部にオイル逃し路１１を形成し
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は内燃機関用ピストンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、内燃機関用ピストンには、特開昭６４−８３４１号公報に記載されたも のがある。このピストンでは、ピストン本体を構成するスカート部の外周部のピ ストンピン孔を挟んで両側にリング溝を形成し、該リング溝に潤滑リングを挿入 してオイル溜り部を形成すると共に、ピストンピン孔に嵌合されたピストンピン と、該ピストンピンに一端部が嵌合された連接棒と、該連接棒の他端部に連結さ れたクランク軸とに連続する供給流路を各々形成し、これらの供給流路を介して ポンプによりオイルを前記オイル溜り部に供給できるようにしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記ピストンでは、オイル溜り部に供給充填されたオイルによ ってシリンダ内壁とピストン本体との間の潤滑を行うと同時に、燃焼室側からク ランク室側へ燃焼ガスが吹き抜けるのを防止することができる反面、オイル溜り 部にオイルが供給されるだけで、オイルを循環させておらず、しかも、燃焼室側 からオイル溜り部に燃焼ガスが侵入することから、オイル溜り部に充填されたオ イルは侵入した燃焼ガスにより劣化される。このため、オイルによる潤滑性能は 早期に低下する。また、ピストン本体がシリンダ内壁上を摺動する際、オイルが 潤滑リングにより掻き取られることなくシリンダ内壁に付着残留することから、 燃焼室に入ったとき、シリンダ内壁に付着したオイルが混合気とともに燃焼され る。このため、オイルの消費量が多くなる。

【０００４】 この考案は上記課題を解決するためになされたもので、ピストン本体とシリン ダ内壁との間の潤滑、燃焼ガスの吹抜け防止、オイルの劣化防止、及びオイル消 費量の低減が図れる内燃機関用ピストンを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案に係る内燃機関用ピストンは、ピストン 本体のクラウン部内にクーリングチャンネル部を形成し、スカート部の外周部の ピストンピン孔を挟んで両側にリング溝を形成し、該リング溝にシールリングを 挿入して該シールリング間にオイル溜り部を形成すると共に、前記ピストン本体 に、前記クーリングチャンネル部とオイル溜り部を連通させるオイル供給路を形 成し、かつ前記ピストンピン孔と該ピストンピン孔に嵌合されたピストンピンと の嵌合部にオイル逃し路を形成したものである。

【０００６】

【作用】

上記構成により、機関の運転時、オイルがオイルジェット等によりピストン本 体１の内側に吹き付けられ、オイルの一部はクーリングチャンネル内に流入した 後、オイル供給路を経てオイル溜り部に供給充填される。オイル溜り部に充填さ れたオイルはオイル逃し路を経てピストン本体の内側に漸次排出される。このよ うに、オイルは機関の運転中絶えず循環して、オイル溜り部に滞留することがな い。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面を参照して詳述する。

【０００８】 図１は内燃機関用ピストンのピストンピン未装着状態をピストンピン孔と直角 方向に見た右半分断面の正面図、図２は同ピストンのピストンピン未装着状態を ピストンピン孔の中心線方向に見た右半分断面の正面図、図３は同ピストンのピ ストンピン装着状態をピストンピン孔と直角方向に見た正断面図である。

【０００９】 ピストン本体１はクラウン部１Ａとスカート部１Ｂとで構成されている。 クラウン部１Ａの冠面部１ａ内には環状のクーリングチャンネル部２が、冠面 部１ａの下面部には導入孔３が各々形成され、該導入孔３を介して前記クーリン グチャンネル部２がピストン本体１の内側に開口している。

【００１０】 また、スカート部１Ｂには一対のピンボス部４が形成され、該ピンボス部４に はピストンピン孔５が形成され、該ピストンピン孔５にはピストンピン６の端部 が嵌合されている。前記スカート部１Ｂの外周部の前記ピストンピン孔５を挟ん で両側にはリング溝７ａ、７ｂが形成され、リング溝７ａにはシールリング８ａ が、リング溝７ｂにはシールリング８ｂが各々挿入され、これらのシールリング ８ａ、８ｂ間にオイル溜り部１８が形成されている。

【００１１】 前記ピストン本体１には複数本のオイル供給路９が形成され、該オイル供給路 ９を介して前記クーリングチャンネル部２が前記オイル溜り部１８に連通してい る。前記オイル供給路９は、スカート部１Ｂがシリンダ内壁１０に最も接触する 側（スラスト側及び反スラスト側）でオイル溜り部１８に開口するように設ける ことが好ましい。

【００１２】 また、前記ピストンピン孔５と前記ピストンピン６との嵌合部には、ピストン ピン６の軸心方向に沿う複数本のオイル逃し路１１が形成されている。このオイ ル逃し路１１は、図示するようにピストンピン孔５の内面に形成した溝で設けて も良いが、ピストンピン６の外側面に形成した溝で設けても良い。尚、ピストン ピン６が円筒状である場合、該ピストンピン６の両端はオイル流入を防止するた めに遮蔽板６ａで閉塞される。

【００１３】 更に、前記ピストン本体１の外周部の、シールリング８ａ、８ｂよりクラウン 部１Ａ側（実施例ではクラウン部１Ａ）にはコンプレッションリング溝１２とオ イルリング溝１３が形成され、該オイルリング溝１３は前記シールリング８ａと 前記コンプレッションリング溝１２との間に配置されている。そして、コンプレ ッションリング溝１２にはコンプレッションリング１４が、オイルリング溝１３ にはオイルリング１５が各々挿入されている。

【００１４】 以上の構成において、ピストン本体１はシリンダボア１０に挿入されて、シー ルリング８ａ、８ｂとコンプレッションリング１４とオイルリング１５がシリン ダ内壁１０ａに当接する。これによって、シリンダボア１０内が燃焼室１６とク ランク室１７に隔成される。

【００１５】 機関の運転時、オイルジェット等によりオイルがピストン本体１の内側に吹き 付けられ、オイルの一部は導入孔３からクーリングチャンネル２内に流入した後 、オイル供給路９を経てオイル溜り部１８に供給充填される。オイル溜り部１８ に充填されたオイルはオイル逃し路１１を経てピストン本体１の内側に漸次排出 される。このように、オイルは機関の運転中絶えず循環しており、オイル溜り部 １８に滞留することがない。

【００１６】 また、クーリングチャンネル２内に流入したオイルにより、ピストン本体１の 冠面部１ａ及びトップランド部１ｂが冷却され、オイル溜り部１８に充填された オイルにより、ピストン本体１とシリンダ内壁１０ａとの間が潤滑されると共に 、燃焼室１６からクランク室１７への燃焼ガスの吹抜けが防止される。燃焼ガス の吹抜け防止は前段でコンプレッションリング１４により行われていることから も、ほぼ完全になる。

【００１７】 更に、オイル溜り部１８に充填されたオイルの一部がシリンダ内壁１０ａに付 着残留するが、このオイルはオイルリング１５により燃焼室１６に入る手前で掻 き取られる。

【００１８】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は、ピストン本体のクラウン部内にクーリングチャンネル 部を形成し、スカート部の外周部のピストンピン孔を挟んで両側にリング溝を形 成し、該リング溝にシールリングを挿入して該シールリング間にオイル溜り部を 形成すると共に、前記ピストン本体に、前記クーリングチャンネル部とオイル溜 り部を連通させるオイル供給路を形成し、かつ前記ピストンピン孔と該ピストン ピン孔に嵌合されたピストンピンとの嵌合部にオイル逃し路を形成したため、機 関の運転中オイルを循環させることができる。従って、オイル溜り部に充填され たオイルの滞留を防止することができるから、ピストン本体とシリンダ内壁との 間の潤滑、及び燃焼ガスの吹抜け防止がより確実に図れると共に、オイル溜り部 に侵入した燃焼ガスによるオイルの劣化防止が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例になる内燃機関用ピストン
のピストンピン未装着状態をピストンピン孔と直角方向
に見た右半分断面の正面図である。

【図２】同ピストンのピストンピン未装着状態をピスト
ンピン孔の中心線方向に見た右半分断面の正面図であ
る。

【図３】同ピストンのピストンピン装着状態をピストン
ピン孔と直角方向に見た正断面図である。

【符号の説明】

１ ピストン本体 １Ａ クラウン部 １Ｂ スカート部 ２ クーリングチャンネル部 ５ ピストンピン孔 ６ ピストンピン ７ａ、７ｂ リング溝 ８ａ、８ｂ シールリング ９ オイル供給路 １１ オイル逃し路 １５ オイルリング １８ オイル溜り部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピストン本体のクラウン部内にクーリン
   グチャンネル部を形成し、スカート部の外周部のピスト
   ンピン孔を挟んで両側にリング溝を形成し、該リング溝
   にシールリングを挿入して該シールリング間にオイル溜
   り部を形成すると共に、前記ピストン本体に、前記クー
   リングチャンネル部とオイル溜り部を連通させるオイル
   供給路を形成し、かつ前記ピストンピン孔と該ピストン
   ピン孔に嵌合されたピストンピンとの嵌合部にオイル逃
   し路を形成したことを特徴とする内燃機関用ピストン。