JPH0639990Y2 - 葉書の記載事項隠蔽用粘着シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、葉書の記載内容を隠蔽することを主たる目
的として、その表面に貼着して使用する葉書の記載事項
隠蔽用粘着シートに関する。

［従来の技術］ 最近では、記載内容を受取人以外に見られるのを避ける
文書を封書で郵送するかわりに、受取人が被覆を除去し
て内容を知る事ができる葉書形式のものが利用されるよ
うになった。

この形式の葉書は、表紙としての紙に透明フィルムを剥
離し易い状態にラミネート加工し、透明フィルムの裏面
に粘着剤を塗布した形態にして葉書の記載面に貼付けて
葉書を複層化するもので、受取人が表紙を剥がしとれば
透明フィルムを被覆した文書が現れ、受取人は透明フィ
ルムを透して内容を知ることが出来、開封有無の事実の
確認と保存の保証とが得られる事を特徴としている。

しかし、これらの積層化構造ではコスト高につき、使用
を能率化するにはラミネート加工に加圧接着用の装置を
必要としている。装置を省いて発送者が自ら手作業で積
層できるようにした考案もあるが、作業を上手に仕上げ
るには多少の作業経験と器用さを必要とする。また葉書
表面が光沢のある印画紙のように平滑性にとむ場合には
葉書の表面を損傷することなく上記の透明フィルムを剥
がしとる事が出来るから、期待に反して再加工が可能と
なり、開封有無の事実が必ずしも確認、保証ができると
は言えなくなる。考案者はこの対策としてさきに実願昭
63-62080において葉書の表面に複雑な層形態を必要とせ
ずに普通のラベル同様に貼りつけるだけで済み、受取人
が従来の積層化方法と同様に取り扱いができ、かつ保存
と開封有無の事実を確実に知る事が出来る安価な粘着シ
ートを考案し、実用的に有効であることを確認した。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案は、先願同様に従来の問題点を解消させる事を目
的としているが、さらに先願とは全く異なる構造によっ
て一段と向上した効果を発揮することにある。

［課題を解決するための手段］ 先願は表紙の裏面の全面あるいは一部に接着性の乏しい
無色あるいは着色した透明インキを塗布ないし印刷し、
同じ裏面にさらに透明または着色した粘着剤を塗布形成
した粘着シートであって、台紙に貼り付けた後に表紙を
剥がそうとすれば粘着剤が薄層状をなして台紙面に貼り
ついて残り、表紙に印刷したインキが表紙から剥がれて
粘着剤の表面に残り露出面を覆うようになるから、表紙
を一旦剥がせばもはや再度貼り付ける事が不可能となる
ばかりでなく、台紙に貼り着いた部分を剥がそうとして
も断片化して台紙面に付着残留するため葉書の隠蔽用に
利用して効果が得られるものであった。考案者はこの表
紙と透明インキ層の間に片面を梨地加工した樹脂層を新
たに加えることにより、剥がした後の復元の防止が一段
と向上するばかりでなく、台紙面を被覆するインキ層表
面の筆記適性が良くなると共に表面の光沢が抑制されて
台紙面の文字を一段と見やすくすることができた。以下
本考案を実施例によって説明する。

［実施例］ 第３図は先願の実施例の粘着シートの一部の断面図を示
すものである。

紙あるいはプラスチックフィルムよりなる表紙１の裏面
に接着性の乏しい透明インキ３′を塗布ないし印刷す
る。次に表紙１の裏面にさらに透明の無色あるいは着色
の粘着剤を塗布して粘着剤層４を形成したのち、剥離紙
５を貼合わせて粘着シートとする。

第１図は本考案の実施例の粘着シートの一部の断面図を
示すものである。

紙あるいはプラスチックフィルムよりなる表紙１の裏面
に合成樹脂を全面に塗布して樹脂層２を形成し、層の表
面に梨地処理を施す。この梨地面６の上に接着性の比較
的乏しい透明インキ３を塗布ないし印刷する。次に透明
インキ３層上に先願同様さらに透明の無色あるいは着色
の粘着剤を塗布して粘着剤層４を形成したのち、剥離紙
５を貼合わせて粘着シートとする。

表紙１に使用する紙やプラスチックフィルムや金属箔
は、印刷業、粘着加工業などで常用される隠蔽性のある
ものを常法によって使用して差し支えない。合成樹脂層
２は表紙１に接着性良好な無色あるいは着色した合成樹
脂材料を塗布あるいは積層使用する。樹脂層の表面には
常法によって梨地処理を施す。透明インキ３も一般に印
刷業に常用されるものが利用できるが、容易に剥離する
処方となるように接着成分の調整をする必要がある。従
って、インキの処方中、ビヒクルを構成する天然樹脂お
よび合成または半合成樹脂の種類としては、接着性が過
剰にならぬように十分な考慮が必要である。

粘着剤層４形成のための粘着剤および剥離紙５は粘着加
工業で常用されるものを常法によって使用する。

第２図は本考案の粘着シートを葉書面を台紙として使用
する実施例を示し、実施後に表紙を一部剥離した状態を
示す断面部分図である。

本考案の粘着シートの使用法は、一般の粘着シートない
しラベルと全く同様で、剥離紙５を取り除いて対象の台
紙７である葉書面に直接貼り着けるだけでよい。

このようにして出来た葉書の表紙１を剥がすと、表紙は
印刷インキ３を粘着剤層４の表面に残して剥がれ、再度
密着状態に復する事がない。それと同時に粘着剤層４は
台紙７の面上に半永久的に残り、粘着剤層４の表面に印
刷インキ３が付着、被覆してフィルム状の層を形成す
る。しかも印刷インキ３の表面には合成樹脂層２の表面
の梨地の凹凸が雌型として転写されて残るため、光を乱
反射させて葉書面の文字、図形等を見易くする上、筆記
具により書き込みも可能になる。さらに葉書面に着いた
粘着剤層４はシートとしての特性を示さず、粘弾性のあ
る流動層にすぎないので、葉書面から剥がそうとすると
粘着剤層表面の透明インキ自体が脆質のために断片化し
て葉書面に付着し、シート状に剥離する事は勿論、葉書
面を損傷することなく付着物を完全に除去することも不
可能となる。

以上の実施例では台紙である葉書面全面に透明インキを
使用した形体を図示したが、必ずしも全面に限定するも
のではない。部分的に印刷すれば、印刷されない部分は
粘着剤塗布によって台紙面に完全に貼着し、受取人が剥
がそうとしてもその部分については不可能である。した
がって表紙の一部を台紙に貼着して併せて保存するには
便利である。また表紙を部分的に剥がして使用するに
は、表紙にあらかじめ印刷部分の周辺に沿ってミシン目
を施しておけばよい。

［考案の効果］ 本考案の粘着シートは、表紙に合成樹脂を塗布して梨地
処理した上に剥離容易な透明インキで印刷ののち、一般
に使用される粘着剤を塗布し剥離紙を貼り合わせるだけ
のきわめて簡単な工程を採るために、記載面保護用の透
明フィルムを積層する必要もなく、作業段階と操作が極
めて容易かつ低コストで実施可能である。

また、このシートを使用するに際しても一般の粘着シー
トやラベルを貼るのと全く変わることなく使用でき、作
業の熟練も不要である。しかも開封事実が復元不可能な
形として残り、確実性が保証でき、証拠隠蔽の余地を全
く許さない開封表示機能が発揮出来る。とくに台紙面を
被覆するインキ層の表面が梨地になるため印字適性が良
くなって手持ちの筆記用具で記入しやすくかつ消えにく
くなる上、表面の光沢が抑えられて台紙面の記載内容が
読み取り易くなる事は、本考案の優れた特徴となる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の粘着シートの断面部分図、第２図は本
考案を葉書を台紙として使用し、表紙を部分的に剥離し
た状態を示す断面部分図、第３図は先願の粘着シートの
断面部分図である。 １……表紙,2……合成樹脂層、 3,3′……透明インキ， ４……粘着剤層,5……剥離紙、 ６……梨地面、７……台紙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】隠蔽性のある表紙の裏面に無色あるいは着
   色した合成樹脂層を全面に設け、かつ該合成樹脂層の表
   面を梨地処理し、次に該梨地処理面上に接着性の比較的
   乏しい無色あるいは着色の透明インキを全面に塗布し、
   さらに透明の無色あるいは透明粘着剤を全面に塗布形成
   し、剥離紙で被覆保護したことを特徴とする葉書の記載
   事項隠蔽用粘着シート。