JPH0635500B2 - 光沢および物理的強度特性に独特のバランスをもつモノビニリデン芳香族化合物のゴム補強ポリマ−ならびにその製造法 - Google Patents

光沢および物理的強度特性に独特のバランスをもつモノビニリデン芳香族化合物のゴム補強ポリマ−ならびにその製造法

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JPH0635500B2
JPH0635500B2 JP59504269A JP50426984A JPH0635500B2 JP H0635500 B2 JPH0635500 B2 JP H0635500B2 JP 59504269 A JP59504269 A JP 59504269A JP 50426984 A JP50426984 A JP 50426984A JP H0635500 B2 JPH0635500 B2 JP H0635500B2
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    • C08F279/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of monomers having two or more carbon-to-carbon double bonds as defined in group C08F36/00
    • C08F279/02Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers of monomers having two or more carbon-to-carbon double bonds as defined in group C08F36/00 on to polymers of conjugated dienes

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はモノビニリデン芳香族化合物のゴム補強ポリマ
ー、特に光沢および物理的強度の特性のバランスをもつ
ゴム補強ポリマー、ならびに該ゴム補強ポリマー生成物
の製造法に関する。
交差結合ゴムたとえばポリブタジエンの分離した粒子を
スチレンポリマーマトリツクス中に分散させたスチレン
ポリマーの連続マトリツクス相から成るゴム補強ポリマ
ー(便宜上、高衝撃ポリスチレンまたはHIPSと呼
ぶ)は包装、冷蔵庫内張り、家具、家庭用品および玩具
のような種々の商業的用途に使用されている。
このような商業的用途の多くに使用される高衝撃ポリス
チレン製品は非常に良好な光沢および/または半透明性
をもち然も少なくとも最小の強度もしくは強靭性(すな
わち伸びと衝撃強度との組合せ)のような物性を示すこ
とが多くの場合に望ましい。特に、種々の成形条件下で
80%以上の光沢を示し然も純ポリスチレンの少なくと
も2〜3倍のノツチ衝撃強度を示す高衝撃ポリスチレン
を製造することが望ましい。従来はこのような性質の所
望のバランスをもつゴム補強ポリスチレン生成物を製造
することができなかつた。
具体的にいえば、西独特許出願第2613353号には
改良された透明性および通常の方法で製造した高衝撃ポ
リマーに実質的に対応する機械的強度を示すといわれる
高衝撃ポリスチレンの製造法が記載されている。これら
のポリマーの衝撃強度は一般にポリスチレンの衝撃強度
の10〜15倍である。この方法で製造される高衝撃ポ
リスチレンは1ミクロン(μ)未満好ましくは0.2〜0.6μ
の重量平均径をもつ分散ゴム粒子を含む。実施例におい
て、具体化されている高衝撃ポリスチレンは一般に少な
くとも0.3〜0.5μの粒径をもつものとして製造される。
これらの具体化された高衝撃ポリスチレンは比較的良好
な物理的強度特性を示すけれども、それらは所望の光沢
を常に示しているものではない。
またヨーロツパ出願第0069792号にはスチレン・
ジエンブロツクコポリマーを0.07ミクロン以下の直径の
棒または球の形体でポリスチレンマトリツクス中に分散
させて製造した透明な耐衝撃スチレン含有ポリマーが記
載されている。この透明樹脂は着色剤と混合したとき非
常に良好な光沢を示すけれども、この生成物の物理強度
特に衝撃強度は多くの用途にこのポリスチレン生成物を
使用するに十分なほど高くはない。
高衝撃ゴム補強ポリスチレンを製造する別の方法は、ゴ
ムを異なつた2種の粒径(双蜂粒径分布)をもつ粒子と
して連続ポリスチレンマトリツクス中に分散させること
から成る。一般に、これらのゴム補強生成物はすぐれた
物性特に衝撃強度を示し、その物性特に衝撃強度は単蜂
粒径分布の分散ゴム相を含むゴム補強生成物の物性特に
衝撃強度よりもすぐれている。然し不幸なことに、これ
らのすぐれた物性はゴム補強生成物の光沢特性の犠性に
おいて達成される。
従来技術において知られているゴム補強ポリスチレン生
成物についての上記の欠点にかんがみ、十分な物理的強
度特性と組合せて改良された光沢特性をもつゴム含有の
ゴム補強ポリスチレンおよびそのようなゴム補強ポリス
チレン生成物の製造法を提供することは依然として非常
に望ましいことである。
それ故、一面において本発明は、1種またはそれ以上の
重合性モノビニリデン芳香族化合物から誘導されたポリ
マーの連続マトリツクス相中にシエル/コア形体をもち
容積平均粒径が0.1〜0.25μである分離したゴム粒子を
分散させて成るゴム補強ポリマーを提供するものであ
る。
ゴム粒子の粒径をその容積平均粒径が0.1〜0.25μであ
るように制御することによつて、ゴム補強生成物が光沢
および物理的強度の特性の予想外に良好なバランスを示
す。具体的にいえば、80%以上の光沢が広範囲の成形
条件にわたつてこのゴム補強生成物によつて示される。
その上、該生成物のノツチ衝撃強度はふつう純ポリスチ
レンの衝撃強度の2〜3倍を越え、該生成物の破断時に
おける伸びは純ポリスチレンの破断時における伸びの少
なくとも5倍、しばしば10〜15倍である。
別の面において本発明は上記のゴム補強ポリマー生成物
の製造法を提供するものであり、その方法は次の諸工程
すなわち、1種またはそれ以上の重合性モノビニリデン
芳香族化合物とゴムとの溶液を塊状重合混合物の相反転
とその後のゴムのサイジングの際にゴムが0.1〜0.25μ
の容積平均粒径をもつシエル/コア形態の粒子として生
成するような条件で塊状重合させる工程、次いで塊状重
合または懸濁重合のいづれかの技術を使用して重合を完
了させる工程、およびその後に重合混合物を未反応モノ
マーを除きシエル/コアゴム粒子の重合アルカジエンを
交差結合させるに十分な条件に付す工程から成る。
この小粒径は、塊状重合工程の前に又は該工程と同時に
ゴム中のブタジエンに芳香族ポリマーの十分なブロツク
を結合させることによつて、および重合混合物の変性た
とえば相反転時のゴム相の粘度と連続相の粘度を一致さ
せることによつて、達成される。具体的にいえば、これ
ら2相の粘度の比は重合の初期相中に生じるモノビニリ
デン化合物のポリマーの分子量を変えることによつて調
節することができ、相反転と次のゴムのサイジングの際
にゴムが望ましい小さい粒径をもつ分離した粒子として
連続マトリツクス相中に容易に分散されるように十分に
高分子量であるのが好ましい。
相反転とゴム粒子のサイジングの後に、塊状重合または
懸濁重合のいづれかの技術を使用して重合を完了させ、
この重合混合物を未反応モノマーを除きゴムを交差結合
させるに十子な条件に付す。具体的にいえば、塊状重合
技術を使用し、所望の転化を得た後に、重合混合物を未
反応モノマーを除きシエル/コア形体のゴムを交差結合
させるに十分な条件に付す。
本発明のゴム補強ポリマーは、そのすぐれたバランスの
物性のために、広範囲の用途特にヘヤ・ドライヤー、玩
具および家具のような小さな家庭用品の射出成形に有用
である。このゴム補強ポリマーはまた共押し出し技術を
使用する光沢層の製造のような押し出し用途にも有用で
ある。
本発明のゴム補強ポリマーは1種またはそれ以上のモノ
ビニリデン芳香族化合物から誘導される。代表的なモノ
ビニリデン芳香族化合物としてスチレン;アルキル置換
スチレンたとえばα−アルキルスチレン(例としてα−
メチルスチレンおよびα−エチルスチレン);および環
置換スチレン(例としてビニルトルエン特にp−ビニル
トルエン、o−エチルスチレンおよび2,4−ジメチル
スチレン);環置換ハロスチレンたとえばクロロ−スチ
レン、2,4−ジクロロスチレンまで;およびハロ基と
アルキル基の両者で置換されたスチレンたとえば2−ク
ロロ−4−メチルスチレン;ビニルアンスラセン;およ
びそれらの混合物があげられる。一般にポリマーマトリ
ツクスは好ましくはスチレンまたはスチレンとα−メチ
ルスチレンとの混合物(有利にはスチレンとα−メチル
スチレンとの合計重量を基準にして15〜40重量%の
α−メチルスチレン)から誘導される。最も好ましく
は、ポリマーマトリツクスはスチレンから誘導される。
本発明のゴム補強ポリマーの製造に使用するゴムは一般
にはASTM試験D3418−82によつて測定して0
℃以下の好ましくは−20℃以下のガラス転移点をもつ
アルカジエンのホモポリマーまたはコポリマーである。
好ましいアルカジエンは1,3−共役ジエンたとえばブ
タジエン、イソプレン、ピペリレン、クロロプレンなど
である。
上述の共役ジエンのホモポリマーを使用することができ
るけれども、相反転時の塊状重合混合物のゴム成分は、
ブロツク中に化学的に結合した又はアルカジエンポリマ
ーにグラフトした枝としてのモノビニリデン芳香族化合
物ポリマーの比較的高含量を含む。それ故、共役ジエン
とモノビニリデン芳香族化合物(たとえばスチレン)と
のコポリマーが多くの場合に本発明の実施におけるゴム
として使用するのに好ましい。このようなコポリマーの
うちの好ましいものは、重合形体で少なくとも55重量
%更に好ましくは65〜85重量%のアルカジエン好ま
しくはブタジエンと重合形体で45重量%までの更に好
ましくは15〜35重量%のモノビニル芳香族化合物好
ましくはスチレンとから成るブロツクコポリマーまたは
グラフトコポリマーである。好ましいコポリマーはAB
(BA)配列〔Aは重合したモノビニリデン芳香族化
合物のブロツクを表わし、Bは重合した共役ジエンのブ
ロツクを表わし、nは0〜5の整数、最も好ましくは0
である〕のモノビニリデン芳香族化合物と共役ジエンと
のブロツクコポリマーである。
ゴムは補強ポリマー生成物が十分な量の重合アルカジエ
ンを含んでいて該生成物が光沢および物理的強度の特性
の所望のバランスを示すような量で有利に使用される。
具体的にいえば、ゴム補強ポリスチレン生成物中の重合
アルカジエンの量が増大するにつれて、物理的強度も増
大し、それと共に光沢特性が失なわれる。重合アルカジ
エンの量は従つてゴム補強ポリマー生成物の所望の物性
に依存するけれども、ゴム補強ポリマーは該ポリマーの
全重量を基準にして3〜25重量%の重合アルカジエン
を含み、5〜15重量の重合アルカジエンを含むのが好
ましい。
本発明のゴム補強ポリマーにおいて、ゴムは単蜂粒径分
布をもち容積平均粒径が0.1〜0.25μでありシエル/コ
ア形体をもつ分離した粒子としてポリスチレンマトリツ
クス中に分散している。好ましくはゴムは0.1〜0.2μ更
に好ましくは0.15〜0.19μの容積平均粒径をもつ。ここ
に示す粒径はゴム補強ポリマーの分散ゴム中に存在する
すべての吸感を含めて粒子の直径であり、電子顕微鏡技
術のような通常の技術を使用して測定される。
本発明の実施において、ゴム補強ポリマーは所望量のゴ
ムをモノビニリデン芳香族化合物にとかし、えられた溶
液を重合モノビニリデン芳香族化合物中に分散された所
望の粒径と形体をもつゴム粒子が生成するに十分な条件
で塊状重合することによつてえられる。一般に、モノマ
ー/ゴム溶液中でモノビニリデン芳香族化合物を塊状重
合させるための連続法が有利に使用される。
重合は米国特許第2,727,884号に記載されてい
るような1種またはそれ以上の実質的に線状の層流もし
くはいわゆるプラグ−フロー型の反応器中で好ましく行
なわれ、部分重合生成物の一部の循環を含んでもよく含
まなくてもよい。一般に、プラグ−フロー型の反応器を
使用する塊状重合法において、初期のポリマー生成の際
に、初期重合して存在するモノビニリデン芳香族モノマ
ーは溶液から折出して、ゴム/モノマー溶液の連続相中
に分散したモノマー中溶解ポリマーから成る不連続相を
形成する。究極的に、十分量のモノマーが重合して不連
続相が連続相になり、ゴムが連続相中に分散した不連続
相を形成する。この現象を「相反転」と呼び、この用語
は一般に、モノビニリデン芳香族ポリマーがゴムの連続
相中に分散した不連続相から、重合混合物中に明瞭な連
続相または不連続相が存在しない点を通つて、ゴムを分
散させた連続ポリマー相に転化することを意味する。
最後のゴム補強生成物中のゴムの粒径と形体は、相反転
時およびその直後の重合混合物の特性、ゴムの重合アル
カジエンに化学的に結合した重合モノビニリデン芳香族
化合物の量と分子量、および相反転時のモノビニリデン
芳香族ポリマー相およびゴム状成分相の粘度、にかなり
な程度依存する。これらの重合特性がゴム粒子の粒径と
形体に及ぼす一般的様子はDie Angewandte Makromole
kulare Chemie58/59(1977)、pp175−1
98のAdolf Echteの報文“Teilchenbildungbei der
Herstellung Von Kautschukmodifiziertem Polyst
yrol”に記載されている。
一般に、所望の形体のものを得るためには、相反転時の
またはその付近における(好ましくは相反転時におけ
る)重合アルカジエンに結合する重合モノビニリデン芳
香族化合物ポリマー(この結合モノビニリデン芳香族ポ
リマーはブロツクまたはグラフトとしてゴム中に存在す
るモノビニリデン芳香族ポリマーを含む)の量およびひ
きつづく重合過程中に重合アルカジエンにグラフトする
モノビニリデン芳香族ポリマーの量は重合アルカジエン
とこれに結合する重合モノビニリデン芳香族化合物との
合計重量を基準にして少なくとも30重量%である。相
反転時にゴム粒子中にある又はゴム粒子上にグラフトし
たこの結合ポリマーの量を測定するために任意の好適な
方法を使用しうるけれども、結合ポリマーの量は相反転
時に重合混合物の試料を抽出し、次いで選択抽出技術を
使用して(たとえばメチルエチルケトンとアセトンとの
混合物を用いて遊離ポリスチレンをまず抽出して)重合
アルカジエンに結合しているモノビニリデン芳香族ポリ
マーを測定し、そしてその後に残存物質のゴム骨格をO
を使用して破壊することによつて容易に測定され
る(G.Locatelli and G.Ries ,Die Angew.Makro
m.Chem.26(1972)pp117−127参照)。
好ましくは相反転時の重合アルカジエンに結合している
モノビニリデン芳香族ポリマーの量は、上記の選択抽出
技術を使用してグラフト含量を測定したとき、重合アル
カジエンとこれに結合したモノビニリデン芳香族ポリマ
ーとの合計重量を基準にして少なくとも35重量%、一
般には40重量%以上である。一般に、相反転時の結合
モノビニリデン芳香族ポリマーと重合アルカジエンとの
合計重量の70重量%未満更に好ましくは60重量%未
満がモノビニリデン芳香族ポリマーである。
ゴム補強生成物の製造にはじめに使用するゴムはこれら
の量の結合したモノビニリデン芳香族ポリマーを含むこ
とができる。この場合、追加量のモノビニリデン芳香族
を重合アルカジエンにグラフトさせることは必ずしも必
要ではないけれども、このような追加のグラフト化は一
般に好ましい。それ故、グラフト化のほとんど起らない
熱重合(すなわちグラフト促進開始剤を使用しない重
合)を行なつて所望粒径のゴムを製造することもできる
が、一般には通常の熱重合技術を使用して達成せられる
量よりも過剰のモノビニリデン芳香族ポリマーを重合の
初期段階中に重合アルカジエンにグラフトさせることが
必要な及び/または望ましいことである。このような場
合には、モノビニリデン芳香族化合物の重合を開始しう
る及びポリマーをゴムにグラフトさせうる開始剤を使用
する。このような開始剤の代表的なものとして過エステ
ルのようなパーオキサイドたとえばt−ブチルパーオキ
シベンゾエートおよびt−ブチルパーオキシアセテー
ト;ジベンゾイルパーオキサイド;ジラウロイルパーオ
キサイド;1,1−ビスt−ブチルパーオキシシクロヘ
キサン;1,3−ビスt−ブチルパーオキシ−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン;ジクミルパーオキサイ
ド;光化学開始剤などがあげられる。ポリマーのグラフ
ト化および重合の開始を促進する開始剤の効率は重合温
度および開始剤とゴムの濃度に依存するけれども、好ま
しい開始剤は一般にベンゾイルパーオキサイド、t−ブ
チルパーオキシベンゾエート、1,1−ビスt−ブチル
パーオキシシクロヘキサンおよびt−ブチルパーオキシ
アセテートである。
開始剤を最も有利に使用する濃度は所望水準のグラフト
化、および塊状重合実施条件に依存する。一般に、1つ
又はそれ以上の実質的に線状の流れもしくはプラグ−フ
ローの型の反応器中で重合を行なうゴム補強ポリマーの
好ましい製法において、芳香族モノマーの100万部当
り50〜2000重量部好ましくは100〜1000重
量部の開始剤が使用される。
分散ゴム粒子の粒径は相反転中の及びその後のゴム粒子
の安定化までの剪断(すなわち剪断応力および剪断速
度)に依存し、剪断の量が大きいほど粒径は小さくな
る。粒径に及ぼす剪断効果の一般的記述は米国特許第
3,243,481号およびFreeguard のBritish Po
lymer Journal 6(1974)pp205−208に見
出される。重合混合物の剪断は通常の手段によつてたと
えば適当な攪拌装置によつて達成しうる。
本発明の実施において、剪断はゴム補強生成物中のゴム
粒子が0.1〜0.25μの容積平均粒径を示すように保持さ
れる。この粒径を達成するのに必要な剪断は使用する特
定の装置および重合混合物の特性に依存し、簡単な実験
を使用して当業者によつて確定することができる。
最低の剪断速度を使用して望ましく小さいゴム粒子を得
るためには、相反転時のゴム含有相の粘度およびモノビ
ニリデン芳香族ポリマー相の粘度を一致させるのが有利
である。具体的にいえば、たとえばモノビニリデン芳香
族ポリマーの分子量を増大させることによつてポリマー
相の粘度をゴム相の粘度に関連して調節するようにモノ
ビニリデン芳香族ポリマーの分子量を調節し、それによ
つてモノマー相の粘度を増大させてこの粘度を相転化時
のゴム相の粘度により密接に一致させるのが一般に有利
である。
開始剤の使用はモノビニリデン芳香族ポリマーの分子量
に影響するけれども、望ましい分子量を示すポリマーを
得るためには1つ又はそれ以上の他の重合条件を変化さ
せることがしばしば必要である。たとえば相反転前に鎖
転移剤を利用するときはその種類と量は生成モノビニリ
デン芳香族ポリマーの分子量に影響を及ぼす。たとえば
分子量の増大は重合系の鎖転移剤の濃度を減少させるこ
とによつてえられる。それ故、多くの操作において重合
は望ましく高い分子量のポリマーがえられるように十分
に低い濃度の鎖転移剤を使用して有利に行なわれる。有
利には、初期のゴム/モノマー溶液は鎖転移剤を含ま
ず、鎖転移剤は相反転の後においてのみ、あるいは相反
転前に加えるとしても十分な量のモノマーが重合した後
においてのみ、加える。好ましくは、重合混合物は相反
転前には鎖転移剤を含まない。
2官能性重合開始剤たとえばジパーオキサイドを組合せ
て又はグラフト促進/重合開始剤として使用してモノビ
ニリデン芳香族ポリマーの分子量を増大させることがで
きる。また、モノビニリデン芳香族ポリマーの分子量の
増大は他の重合条件を一定に保ちながら、たとえば重合
開始剤の同一濃度および同一活性を保ちながら、重合温
度を低下することによつても達成される。
重合を行なう諸条件は相関関係があるので、重合反応の
1つの変化は所望のゴム補強生成物を得るためにはしば
しば1つ又はそれ以上の他の変化を必要とする。たとえ
ば相反転前に重合温度を低下して芳香族ポリマーの分子
量を増大させようとするときは、所望量の転化率を達成
するためには相反転後に高い重合温度を使用することが
一般に必要である。重合の諸条件のこれらの相関関係お
よび所望の生成物を得るために必要な重合条件の変化は
当業者にとつて周知であり、簡単な実験技術を使用して
決定することができる。
モノマー、ゴムおよび開始剤の他に、塊状重合混合物は
任意に然し有利には、有機液体反応希釈剤を含む。ここ
に有利に使用される反応希釈剤として、重合性モノマー
および該モノマーから製造されるポリマーと溶液を形成
し然も使用する重合条件において沸とうしない通常液体
の有機物質があげられる。代表的な有機液体希釈剤とし
て芳香族および不活性置換芳香族の炭化水素たとえばト
ルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、キシレンなど;飽
和または不活性置換飽和の脂肪族で5個またはそれ以上
の炭素原子の直鎖または分枝鎖をもつものたとえばヘプ
タン、ヘキサン、オクタンなど;ならびに脂環族または
不活性置換脂環族の炭化水素で5個または6個の炭素原
子をもつものたとえばシクロヘキサンなど;をあげるこ
とができる。このような有機液体希釈剤のうちで好まし
いものは不活性置換芳香族であり、エチルベンゼンおよ
びキシレンが最も好ましい。一般に、反応希釈剤は重合
混合物の反応を改良し該混合物の粘度を調節するのに十
分な量で使用される。このような量は使用するゴム、モ
ノマーおよび希釈剤ならびに重合装置および所望の重合
度に依存して変化する。また、ある種の希釈剤たとえば
エチルベンゼンは限られた程度であるが鎖転移剤として
働くので、この効果は使用量決定の際の考慮しなければ
ならない。一般に、反応希釈剤を使用する場合、それは
ゴム、モノマーおよび希釈剤の合計重量を基準にして2
〜30重量%の濃度で通常は使用される。
一般に、可塑剤または潤滑剤もゴム補強ポリマーの調製
に多くの場合有利に使用される。可塑剤または潤滑剤は
ゴム補強ポリマー生成物の諸性質たとえば流れおよび熱
に対する耐性に影響を及ぼし、最も有利に使用される可
塑剤の種類と量は適宜えらばれる。代表的な可塑剤また
は潤滑剤としてブチルステアレート、鉱油またはジオク
チルフタレートがあげられる。鉱油は最も好ましい可塑
剤である。可塑剤はゴム補強ポリマー生成物の全重量を
基準にして15重量%までの濃度で、好ましくは1〜1
8重量%、更に好ましくは1〜7重量%の濃度で有利に
使用されている。可塑剤は重合の任意の中間段階におい
て加えることができ、あるいはまたモノマー/ゴム溶液
の供給流と共に加えることもできる。
また、塊状重合混合物は有利にはある種の付加物質たと
えば抗酸化剤(例としてアルキル化フエノールたとえば
ジ−tブチル−p−クレゾールまたはホスフアイトたと
えばトリス−ノニルフエニルホスフアイト)または離型
剤たとえばステアリン酸亜鉛を含むことができる。離型
剤を使用する場合、それは好ましくは相反転後において
のみ加える。
重合を最も有利に行なう温度は使用する特定の成分特に
開始剤に依存するが、一般には60〜190℃の間で変
化する。一般に、相反転前には60〜160℃の温度が
使用され、相反転後には100〜190℃の温度が使用
される。このような昇温での塊状重合はモノマーからポ
リマーへの所望の転化率がえられるまでつづける。一般
に、重合の流れに加えたモノマー類(すなわち供給物お
よびリサイクル流を含む任意の追加の流れに加えたモノ
マー)の55〜90重量%好ましくは60〜85重量%
がポリマーへ転化するのが望ましい。所望量のモノマー
がポリマーに転化した後に、この重合混合物を次いでゴ
ムを交差結合させ未反応モノマーを除くに十分な条件に
付す。このような交差結合ならび未反応モノマー、任意
の反応希釈剤(使用した場合)、および他の揮発性物質
の除去は通常の脱揮発物技術、たとえば反応混合物を脱
揮発物室に導入し、モノマーその他の揮発物を真空下で
昇温たとえば200〜300℃でフラツシュ除去し、そ
してそれらを該室から除くことによつて、有利に行なわ
れる。
所望のゴム補強生成物を得るための連続塊状重合法の別
法として、塊状重合技術と懸濁重合技術との組合せを使
用することができる。このような技術を使用して、重合
混合物を相反転とそれにつづく粒子の寸法安定化まで塊
状重合させる。部分重合した生成物は次いで重合開始剤
を含む水性媒質中で追加モノマーと共に又は追加モノマ
ーなしで懸濁させ、次いで重合を完了させる。ゴム補強
コポリマーは次いで酸性化、遠心分離または過によつ
て水性媒質から分離する。回収生成物は次いで水洗して
から乾燥する。
次の実施例は本発明の利点を説明するためのものであつ
て、本発明の範囲を限定するものと解すべきではない。
これらの実施例において、すべての部および%は他に特
別の記載のない限り重量基準である。
実 施 例 1. シエル/コア型の形体のゴムを含むポリスチレンマトリ
ツクスから成るスチレンのゴム補強ポリマーを、米国特
許第2,727,884号に実質的に記載されているよ
うな数個のプラグ−フロー型反応器を使用して製造す
る。これらの反応器をシリーズにつなぎ、それぞれの反
応器に可変速攪拌機および加熱と冷却の手段を備える。
第1反応器の頂部に30%ポリスチレン−70%ポリブ
タジエンのブロツクコポリマーゴム10%、エチルベン
ゼン8%、精製鉱油1.6%、t−ブチルパーオキシベン
ゾエート(グラフト促進開始剤)0.02%およびスチレン
(残余%)から成る溶液を連続的に加える。重合温度を
115〜175℃に調節し、その他の条件を相反転時に
望ましく小さい粒径をもつシエル/コア形体のゴム粒子
が生成するように調節する。相反転の時点において、ゴ
ム成分は重合ブタジエンとこれに化学的に結合したポリ
スチレンとの合計重量を基準にして40%以上のポリス
チレンをポリブタジエンに結合させて成るものである。
スチレンの83%がポリマーに転化するまで重合をつづ
ける。生成混合物を次いで最後の反応器の底部から放出
させて脱揮発物器に通し、そこでゴムを更に交差結合さ
せ且つ残存モノマーとエチルベンゼンを重合混合物から
除いて重合プロセスにリサイクルさせる。このゴム補強
ポリスチレンを試料No.1と呼ぶ。
ポリマーに転化したスチレンモノマーの量が36%であ
るときに流れに0.02%の鎖転移剤を加える以外は試料N
o.1の製造に使用した上記の技術を使用して、ゴム補強
ポリスチレン生成物を製造する。えられたゴム補強ポリ
スチレン生成物を試料No.2と呼ぶ。
比 較 例 A 初期供給物がゴムを含まない以外は実施例1に述べた技
術を使用してポリスチレン(ゴム補強剤を含まず)を製
造する。この「一般用」のポリスチレンを試料No.Aと
呼ぶ。
比 較 例 B 1,3−ブタジエンのホモポリマー(バイエル社から入
手のBuuaR 55)をゴムとして使用し、そして0.05%
のt−ブチルパーベンゾエート開始剤を使用する以外は
実施例1に述べた技術を使用してゴム補強ポリスチレン
を製造する。これらの配合を使用して製造したゴム補強
ポリスチレン生成物を試料No.Bと呼ぶ。もとのゴムに
重合モノビニリデン芳香族ブロツクが存在しなかつたた
め及び相転化前に重合ブタジエンにモノビニリデン芳香
族の十分なグラフトが存在しなかつたため(すなわちゴ
ム成分がポリブタジエンに化学的に結合した重合スチレ
ンを30%未満しか含んでいないものであるため)、生
成したゴム粒子はシエル/コア形体を示さなかつた。
比 較 例 C 初期のモノマー/ゴム溶液が0.1%の鎖転移剤および僅
か0.012%のt−ブチルパーオキシベンゾエート開始剤
(使用した他の重合条件では所望のゴム粒径を与えなか
つた)を含んでいた以外は実施例1に述べた技術を使用
してゴム補強ポリスチレンを製造する。特に、供給物中
に鎖転移剤が存在するため、相反転時のポリマー相の粘
度は望ましく小粒径のゴム粒子を生成させるほど十分に
高くなかつた。このようにして製造したゴム補強ポリス
チレンを試料No.Cと呼ぶ。
実 施 例 D ヨーロツパ出願公報第0069792号の技術によつて
ゴム補強ポリスチレンを製造する。このゴム補強ポリス
チレン生成物を試料No.Dと呼ぶ。
このようにして製造した諸試料の分散ゴム相の粒径と形
体、アイゾツド衝撃強度、引つ張り降伏点、および破断
時の伸びを測定する。これらの結果を下記の表に示す。
上記の表のデータによつて実証されるように、分散ゴム
粒子が0.1〜0.25μの容積平均粒径とシエル/コア形体
をもつ本発明のゴム補強ポリスチレン生成物は、光沢お
よび物理的強度の特性の異常で独特のバランスを示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1種またはそれ以上の重合性モノビニリデ
    ン芳香族化合物から誘導されたポリマーの連続マトリツ
    クス相中にシエル/コア形体をもち容積平均粒径が0.
    1〜0.25ミクロンである分離したゴム粒子を分散さ
    せて成ることを特徴とするゴム補強ポリマー。
  2. 【請求項2】ゴム補強ポリマーが該ゴム補強ポリマーの
    全重量を基準にして3〜25重量%の重合アルカジエン
    を含む請求の範囲第1項記載のゴム補強ポリマー。
  3. 【請求項3】分散ゴム粒子が0.1〜0.2ミクロンの
    容積平均粒径をもつ請求の範囲第2項記載のゴム補強ポ
    リマー。
  4. 【請求項4】ゴム補強ポリマーが該ゴム補強ポリマーの
    全重量を基準にして5〜15重量%の重合アルカジエン
    を含み、分散ゴム粒子が0.15〜0.19ミクロンの容積平
    均粒径をもつ請求の範囲第3項記載のゴム補強ポリマ
    ー。
  5. 【請求項5】1種またはそれ以上の重合性モノビニリデ
    ン芳香族化合物から誘導されたポリマーの連続マトリツ
    クス相中にシエル/コア形体をもち容積平均粒径が0.1
    〜0.25ミクロンである分離したゴム粒子を分散させて成
    るゴム補強ポリマーの製造法であって、次の諸工程すな
    わち、1種またはそれ以上の重合性モノビニリデン芳香
    族化合物とゴムとの溶液を、有機液体反応希釈剤以外の
    鎖転移剤の不存在下に重合条件を制御して塊状重合して
    塊状重合混合物の相反転とその後のゴムのサイジングの
    際にゴムが0.1〜0.25ミクロンの容積平均粒径をもつシ
    エル/コア形体の粒子として生成させる工程、次いで塊
    状重合または懸濁重合のいづれかの技術を使用して重合
    を完了させる工程、およびその後に重合混合物を未反応
    モノマーを除き且つシエル/コアゴム粒子の重合アルカ
    ジエンを交差結合させるに十分な条件に付す工程から成
    ることを特徴とするゴム補強ポリマーの製造法。
  6. 【請求項6】相反転時において、重合アルカジエンとこ
    れに結合する重合性モノビニリデン芳香族化合物との合
    計重量を基準にして少なくとも30重量%の重合モノビ
    ニリデン芳香族化合物が重合アルカジエンにブロツクま
    たはグラフトとして結合している請求の範囲第5項記載
    の方法。
JP59504269A 1983-11-23 1984-11-16 光沢および物理的強度特性に独特のバランスをもつモノビニリデン芳香族化合物のゴム補強ポリマ−ならびにその製造法 Expired - Lifetime JPH0635500B2 (ja)

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