JPH06340584A - t−ブチル(メタ)アクリレートの製造法 - Google Patents
t−ブチル(メタ)アクリレートの製造法Info
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- JPH06340584A JPH06340584A JP5130597A JP13059793A JPH06340584A JP H06340584 A JPH06340584 A JP H06340584A JP 5130597 A JP5130597 A JP 5130597A JP 13059793 A JP13059793 A JP 13059793A JP H06340584 A JPH06340584 A JP H06340584A
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- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract
応を極力抑制して転化率および選択率を高めることによ
り、収率を向上させる。 【構成】 触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
のアルコラートで、かつその使用量が反応成分であるメ
チル(メタ)アクリレートとt−ブタノールの合計モル
数に対して0.1ないし3.0モル%である。反応系の
水分は前記反応成分の合計量に対して1000ppm 以下
である。しかも、メチル(メタ)アクリレートに対する
t−ブタノールのモル比が1ないし10である。また、
溶媒として、沸点が40ないし250℃であるエーテル
化合物、芳香族炭化水素などからなる溶剤のうち、少な
くとも1種を用いるのが好ましい。そして、メチル(メ
タ)アクリレートとt−ブタノールとの反応により生成
するメタノールを反応系から除去させることより、t−
ブチル(メタ)アクリレートを製造する。
Description
レートとt−ブタノールとのエステル交換反応によるt
−ブチル(メタ)アクリレートの製造法に関する。さら
に詳しくは、特定の強アルカリ触媒、所定の水分、およ
び特定の原料モル比で反応を行うことにより、副反応を
抑え、高収率でt−ブチル(メタ)アクリレートを得る
ための製造法に関する。
クリル系塗料の構成成分として現在工業的に利用されて
いるエステル化合物であり、他の有機化合物との相溶性
が良いこと、吸湿性が低いこと、得られる重合体の耐熱
性が良いことなどから今後広範な用途が期待されてい
る。また最近では、副反応の少ないアニオン重合用のモ
ノマー成分として、ブロック共重合体の製造にも注目が
集められている。
条件下では原料であるt−ブタノールが不安定で、アル
カリ性条件下ではt−ブタノールの反応性が低い。その
ため、t−ブチル(メタ)アクリレートは、カルボン酸
とアルコールを用いるエステル化法や、エステルとアル
コールとのエステル交換法のような一般的なエステル化
合物を合成する方法では得られ難いことが広く知られて
いる。
リル酸とイソブチレンとの付加反応による方法が用いら
れている。例えば、特開昭63−135352号公報に
は、スルホン酸基含有イオン交換樹脂存在下、メタクリ
ル酸とイソブチレンとを反応させるにあたり、原料中の
イソブチレンの使用量と反応転化率を限定することによ
り、高純度高収率でt−ブチルメタクリレートを製造す
る方法が開示されている。
の工業的製造法としては、反応装置の材質に対する腐蝕
性が低いことから、アルカリ触媒存在下でのエステル交
換法に改良努力が払われている。例えば、特公昭61−
37268号公報には、強アルカリ触媒の存在下に重合
抑制剤を使用したメチルメタクリレートとグリシドール
とのエステル交換法が開示されている。この場合、グリ
シドールに対するメチルメタクリレートのモル比が5な
いし10であり、生成するメタノールがメチルメタクリ
レートとの共沸により反応中直ちに留去される。
は、各種アルコールのメタクリル酸エステルの製造にお
いて、リチウム化合物、例えばリチウムアルコキシドと
カルシウム化合物、例えば酸化カルシウムからなる触媒
系を用いる方法が開示されている。また、特開平2−1
04559号公報には、ナトリウムアルコラートを触媒
として用いるエステル交換法に於いて、反応後、酸で中
和してから蒸留することによりメタクリル酸のエステル
を得る精製法が開示されている。
リル酸エステルの製造法においては、留去される低級ア
ルコールに、その他の成分の混入が少なくなるように、
原料アルコールに対して過剰の原料(メタ)アクリル酸
エステルを用いるのが一般的となっている。アルカリ触
媒存在下でのt−ブチルエステルの合成に関しては、シ
ンセシス(Synthesis)、1972年、第49頁には、
重合性二重結合を含まないビシクロ〔4,1,0〕ヘプ
タン−7,7−ジカルボン酸メチル−t−ブチルエステ
ルの例が報告されている。この際には、反応するメトキ
シカルボニル基に対して当量のカリウムアルコラートを
用いるというような多量の強アルカリの存在下に反応を
行わなければならない。
でのエステル交換法による(メタ)アクリル酸エステル
の合成の場合には、エステル交換反応のみならず、カル
ボニル基と共役する二重結合へのアルコールの付加反応
およびアニオン重合による副生物が生成し大きな問題と
なっている。これらの二重結合への副反応は、金属アル
コラートのような強塩基触媒を用いたとき特に著しくな
るため、塩基度の弱い触媒を用いて選択性を上げるため
の研究開発が活発に行われている。
シアン化アルカリおよびシアン酸アルカリを用いる方法
が、特開昭53−105417号公報にはβ−ジケトン
と金属とのキレート化合物を用いる方法が開示されてい
る。また、特公昭57−42073号公報には脂肪酸の
金属塩を用いる方法が、特開昭54−61117号公報
には水酸化リチウムを用いる方法が、特開昭55−12
7381号公報には無機弱酸の金属塩を用いる方法が、
特開昭56−77242号公報には水酸化ナトリウムお
よび水酸化カリウムを用いる方法が開示されている。さ
らにまた、特開昭55−127380号公報にはアルカ
リ金属ハロゲン化物を用いる方法が、特開平1−258
642号公報にはチタンアルコラートとフェノール化合
物との組み合わせの触媒系を用いる方法が開示されてい
る。
触媒を用いる方法の最大の欠点はその腐蝕性にあり、反
応装置の材質として最も汎用的なステンレス鋼が利用で
きず、通常高価なガラスライニングの装置が必要とな
る。また、酸性触媒の触媒活性は高くないため必要とさ
れる使用量が多くなり、後処理が複雑になるとともに、
その工程で収率の大幅な低下を来すという問題がある。
従って、アルカリ触媒を用いるエステル交換法は依然興
味ある製造法といえる。
ルカリ触媒を用いて得ようとする際には、前述のような
二重結合に対する副反応が起きやすくなるという問題が
ある。この副反応を抑えるために、触媒の反応活性を低
下させてエステル交換の選択性を高めようとすれば、例
えば前記特開昭61−50940号公報に記載されてい
るように、反応性の低いt−ブタノールの場合には、メ
タクリル酸メチルとのエステル交換反応は起こらなくな
る。
「シンセシス」に示されているように、強アルカリ触媒
を多量に用いることもできるが、この場合、二重結合に
対する反応が優先し、エステル交換反応生成物を好まし
い収率で得ることができなくなるという問題がある。
してなされたものである。すなわち、この発明の目的は
触媒の活性を維持し、副反応を極力抑制して転化率およ
び選択率を高めることにより、収率を向上させることが
できるt−ブチル(メタ)アクリレートの製造法を提供
することにある。
に、請求項1に記載の発明ではメチル(メタ)アクリレ
ートとt−ブタノールとの反応により生成するメタノー
ルを反応系から除去させることよりなるt−ブチル(メ
タ)アクリレートの製造法において、触媒がアルカリ金
属又はアルカリ土類金属のアルコラートで、かつその使
用量が反応成分であるメチル(メタ)アクリレートとt
−ブタノールの合計モル数に対して0.1ないし3.0
モル%であり、水分が前記反応成分の合計量に対して1
000ppm 以下で、しかもメチル(メタ)アクリレート
に対するt−ブタノールのモル比が1ないし10である
ことを特徴とする。
1に記載の発明において、沸点が40ないし250℃で
あるエーテル化合物、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素
および有機リン化合物からなる溶剤のうち、少なくとも
1種を用いることを特徴とする。
なお、この発明では、アクリルとメタクリルを(メタ)
アクリルと総称する。この発明に用いられる触媒とは、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどからなるアル
カリ金属又はアルカリ土類金属のアルコラートのことを
いい、反応系内においてアルコールと反応してアルコラ
ートになるものをすべて含む。そのうち、入手の容易性
からアルカリ金属アルコラートが特に好ましい。例え
ば、リチウム、ナトリウムおよびカリウムからなる金属
ならびにアルカリ金属の水素化物は、反応系内で速やか
にアルコールと反応し、アルカリ金属アルコラートとな
る。また、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムとア
ルコールを反応させ、脱水することにより、アルカリ金
属アルコラートを得ることができる。これらのアルカリ
金属アルコラートのうちで、カリウムアルコラートが反
応転化率および選択率の面で最も優れており好ましい。
なお、アルカリ金属のアルコラートとアルカリ土類金属
のアルコラートを併用してもよい。
ル(メタ)アクリレートおよびt−ブタノールの合計モ
ル数に対して0.1ないし3.0モル%であり、好まし
くは0.5ないし2.0モル%である。0.1モル%よ
りも少ない場合には反応は進行せず、3.0モル%を越
える場合には(メタ)アクリル酸エステルの二重結合へ
のアルコールの付加、重合などの副反応が著しくなり不
適当である。
計量に対して1000ppm以下、好ましくは700p
pm以下の状態で行う必要がある。水分量が1000p
pmを越える場合には、触媒が不活性化し反応が進行し
なくなる。特に、反応初期の水分量が重要であり、触媒
量を増やしてもその効果が小さく実用的でなくなる。な
お、t−ブタノールは吸湿性があり、放置すると水分を
吸収するため、取扱いに注意が必要である。
(メタ)アクリレートとの割合は、前記メチル(メタ)
アクリレートに対するt−ブタノールのモル比率が1な
いし10であり、1.2ないし5の範囲であることが好
ましい。t−ブタノールのモル比が1よりも少ないとメ
チル(メタ)アクリレートの重合が顕著になって収率が
著しく低下し、10を越えた場合には反応系内の水分含
有量の低減、工程における原料の損失、釜効率、反応速
度などの面において主に経済的に不適当である。
点が40ないし250℃の範囲内にあり反応系内におい
て不活性な溶剤を用いることができる。例えば、その例
としてn−ヘキサンのような脂肪族炭化水素、シクロヘ
キサン、デカリンのような脂環式炭化水素、ベンゼン、
トルエン、キシレン、テトラリンのような芳香族炭化水
素、1,2−ジメトキエタン、テトラヒドロフランのよ
うなエーテル化合物、ジクロロメタン、1,1−ジクロ
ロエタンのような有機塩素化合物、ニトロベンゼンのよ
うな芳香族ニトロ化合物、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、トリエチルホスフェートなどの有機リン化合物、ジ
メチルスルホキシドなどの有機硫黄化合物等があげられ
る。これらの溶剤が1種又は2種以上混合して用いられ
る。
香族炭化水素、脂環式炭化水素および有機リン化合物は
選択率を高めるために役立つ。また、沸点が40ないし
90℃の範囲内にある溶剤は留出物中におけるt−ブタ
ノール、メチル(メタ)アクリレートおよびt−ブチル
(メタ)アクリレートの割合を少なくでき、生成するメ
タノールを効率的に留出するのに役立つ。また、90℃
以上の溶剤は反応温度が上がることにより、メタノール
の留出速度を高めることができるなどの利点がある。特
に好ましい溶剤は、テトラヒドロフランおよびベンゼン
である。
キサンのような脂肪族炭化水素およびジクロロメタン、
1,1−ジクロロエタンのような有機塩素化合物では、
反応転化率が上がらず、ジメチルスルホキシドのような
金属イオンを溶媒和しやすい有機硫黄化合物の場合に
は、転化率が上がってもアニオン重合が著しくなり、選
択率が顕著に低下するので好ましくない。また特に、こ
の発明のような強アルカリ条件下では、1,2−ジクロ
ロエタンのような1,2−置換塩素物では脱塩化水素反
応が起こり、エステル交換反応が起こらなくなる。
(メタ)アクリル酸エステルのラジカル重合を抑えるた
めに、フェノチアジン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモ
ノメチルエーテルなどの通常用いられる重合禁止剤また
は抑制剤を用いることが好ましく、酸素又は空気流下に
反応を行うとさらに効果的である。
としては、原料仕込み時に一度に添加してもよいが、反
応中、間欠的あるいは連続的に添加することができる。
反応温度は、生成メタノールを反応系外に除去する場合
には、反応溶液の還流温度となるが、反応系内にモレキ
ュラーシーブなどのメタノール捕捉剤を混入する場合に
はメタノールはこの捕捉剤に捕捉される。また、反応系
外に除去された留分は、モレキュラーシーブ、塩化カル
シウムなどのメタノール捕捉剤を用いて、メタノールを
除去したのち、反応系内に戻すことができる。
外に除かれた場合には、新たに反応系内に原料、特にt
−ブタノールを追加すると、メチル(メタ)アクリレー
トの転化率およびt−ブチル(メタ)アクリレートの選
択率を高めるのに効果的である。この際、反応系内のt
−ブタノールとメチル(メタ)アクリレートとの割合
は、メチル(メタ)アクリレートに対するt−ブタノー
ルのモル比を1ないし10、好ましくは1.2ないし5
であることが効果的である。また、反応は通常、常圧下
に実施されるが、場合によっては減圧下に行ってもよ
く、その場合500ないし760mmHgの範囲が好ま
しい。減圧下に行うと還流温度を下げることができる効
果があり、好ましくない副反応を少なくできる場合があ
る。
的に説明する。なお、実施例中に記載されているt−ブ
チル(メタ)アクリレートの転化率、選択率および収率
は以下のように定義し、各モル数はガスクロマトグラフ
により求めた。
タ)アクリレートのモル数/(原料のメチル(メタ)ア
クリレートのモル数−留出したメチル(メタ)アクリレ
ートのモル数)×100 選択率(モル%):生成したt−ブチル(メタ)アクリ
レートのモル数/反応したメチル(メタ)アクリレート
のモル数×100 収率(モル%):転化率(モル%)×選択率(モル%)
/100 (実施例1)還流分配装置を備えたウイドマー精留塔、
温度計および攪拌装置を備えた500mlのフラスコを
油浴に設置した。前記フラスコに、予めモレキュラーシ
ーブ4A(和光純薬(株)製)を5重量%添加し一夜放
置して、合計水分量を1000ppm以下に調整したt
−ブタノール148.0g(2.0モル)およびメチル
メタクリレート50.0g(0.5モル)ならびにカリ
ウムt−ブチラート1.12g(0.01モル、t−ブ
タノールとメチルメタクリレートの合計量に対して0.
4モル%)、さらに重合抑制剤としてフェノチアジン
0.19gを入れた。
た原料t−ブタノールおよびメチルメタクリレートの水
分含有量は、それぞれ0.07重量%および0.001
重量%であるため、系内の水分量は反応成分の合計量に
対して526ppmになる。また、メチルメタクリレー
トに対するt−ブタノールのモル比は4である。そし
て、これを加熱しフラスコ内の溶液温度を85ないし8
7℃になるように調整しながら6.5時間反応を行っ
た。
8ないし81℃になるように適当に還流比を調整しなが
ら、反応により生成するメタノールを、メチルメタクリ
レートおよびt−ブタノールとの共沸により留去させ
た。なお、反応時の塔頂温度は80ないし81℃であっ
た。反応終了後、留出物の重量は39.2gであり、反
応液の分析より求めたメチルメタクリレートの転化率は
64.1モル%、t−ブチルメタクリレートの選択率お
よび収率は、それぞれ71.8モル%および46.0モ
ル%となった。
カリウムブチラートを0.4モル%用い、水分量を10
00ppm 以下にし、かつメチルメタクリレートに対する
t−ブタノールのモル比を4とした。そのため、転化率
および選択率を高めることができ、従って収率を向上さ
せることができる。また、留出物の重量は、39.2g
であり、その組成はメタノールが12.4重量%、t−
ブタノールが79.0重量%、メチルメタクリレートが
8.1重量%およびt−ブチルメタクリレートが1.1
重量%であった。 (実施例2ないし6)t−ブタノール、メチルメタクリ
レート、カリウムt−ブチラートおよびフェノチアジン
の使用量を表1のように変える以外は、実施例1に準じ
て反応および分析を行った。その結果を実施例2ないし
6として表1に示した。表1中、原料比はメチルメタク
リレートに対するt−ブタノールのモル数を示す。ま
た、t-BuOKのモル%はt−ブタノールとメチルメタクリ
レートの合計モル数に対するt-BuOKのモル数の割合を示
す。反応系内の水分量は、実施例2で303ppm 、実施
例3で303ppm 、実施例4で526ppm 、実施例5で
526ppm 、実施例6で630ppm であった。
媒の種類と量、水分量及びメチルメタクリレートに対す
るt−ブタノールのモル比を所定値に設定したことか
ら、転化率、選択率及び収率の向上を図ることができ
る。 (比較例1ないし4)t−ブタノール、メチルメタクリ
レート、カリウムt−ブチラートおよびフェノチアジン
の使用量を表2のように変える以外は、実施例1に準じ
て反応及び分析を行い、その結果を比較例1ないし4と
して表2に示した。なお、反応系内の水分量は、比較例
1では196ppm 、比較例2では526ppm 、比較例3
では526ppm 、比較例4では630ppm であった。
ートに対するt−ブタノールのモル比が1.0より小さ
い場合には、メチルメタクリレートのアニオン重合が起
こるため、t−ブチルメタクリレートを得ることができ
ない。一方、比較例4に示したように、このモル比が1
0を越える場合には、転化率が低く、選択率も高くない
ため、収率は低い。また、カリウムt−ブチラートの添
加量が0.1モル%に満たない場合(比較例2)には反
応が起こらず、3.0モル%を越える場合(比較例3)
には選択率および収率が著しく低下する。 (比較例5)水0.292gを系内に添加して、水分量
を2000ppmに調整する以外は、実施例1に準じて
反応を行ったところ、t−ブチルメタクリレートを得る
ことができなかった。通常、t−ブタノールの試薬瓶を
開封し放置しておくと約1重量%もの水分を含むように
なる。このように、反応初期に系内に存在する水分量が
この発明を実施するには重要であることがわかる。 (実施例7ないし19)t−ブタノール55.5g
(2.0モル)、メチルメタクリレート50.0g
(0.5モル)、カリウムt−ブチラート1.12g
(0.01モル)およびフェノチアジン0.19gなら
びに溶剤として、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエ
タン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ベンゼン、
1,2−ジメトキシエタン、トルエン、ジメチルスルホ
キシド、デカリン、テトラリンまたはヘキサメチルホス
ホルアミド50gを用いる以外は、実施例1に準じて反
応および分析を行い、その結果を実施例7ないし19と
して表3に示した。
の合計量に対する系内の水分量は373ppmである。
また、表4には留出物の重量とその組成を示した。な
お、表3及び4において、実施例12のベンゼンは15
0g使用した。また、実施例16のDMSOはジチメル
スルホキシドを表し、3.5時間反応をして終了した。
さらに、実施例19のHMPAはヘキサメチルホスホル
アミドを表す。
フランおよび1,2−ジメトキシエタンのようなエーテ
ル化合物、ベンゼン、デカリンのような芳香族炭化水
素、テトラリンのような脂環式炭化水素およびヘキサメ
チルホスホルアミドのような有機リン化合物は選択率を
高めるのに役立つ。また、沸点40ないし90℃の範囲
の溶剤は留出物中におけるt−ブタノール、メチルメタ
クリレートおよびt−ブチルメタクリレートの割合を少
なくでき、生成するメタノールを効率的に留出するのに
役立つ。さらに、沸点が90℃以上の溶剤は、反応温度
が上がることによりメタノールの留出速度を高めること
ができる。特に、好ましい溶剤はテトラヒドロフランお
よびベンゼンであることがわかる。
でもn−ヘキサンのような脂肪族炭化水素およびジクロ
ロメタン、1,1−ジクロロエタンのような有機塩素化
合物では、反応転化率が上がらない。ジメチルスルホキ
シドのような金属イオンを溶媒和しやすい有機硫黄化合
物の場合には転化率が上がってもアニオン重合反応が著
しくなり、選択率が顕著に低下する。また特に、この発
明のような強アルカリ条件下では1,2−ジクロロエタ
ンのような1,2−置換塩素物では脱塩化水素反応が起
こり、エステル交換反応が起こらなくなる。 (実施例20)還流冷却塔、モレキュラーシーブ4A
(和光純薬(株)製)を80g充填した長さ15cm、直
径3cmのガラス管、温度計及び攪拌装置を備えた500
mlのフラスコを油浴に設置した。前記反応装置では、
加熱により気化した溶液が、還流冷却塔で冷却され液体
となった後、モレキュラーシーブを充填したガラス管内
を通過してフラスコ内に戻るように、還流冷却塔および
ガラス管を配置した。前記フラスコに予めレキュラーシ
ーブ4A(和光純薬(株)製)を5重量%添加し、一夜
放置して合計水分量を1000ppm以下(反応成分の
合計量に対する水分量は526ppm)に調整したt−
ブタノール148.0g(2.0モル)およびメチルメ
タクリレート50.0g(0.5モル)、ならびにカリ
ウムt−ブチラート1.12g(0.01モル)、さら
に重合抑制剤としてフェノチアジン0.19gを入れ
た。そして、これを加熱しフラスコ内の溶液温度を85
ないし87℃になるように調整しながら6.5時間反応
を行った。
メタクリレートおよびt−ブタノールと共沸して還流冷
却塔で冷却された後、モレキュラーシーブを充填したガ
ラス管を通過する際に捕捉した。反応終了後、反応液の
分析より求めたメチルメタクリレートの転化率は68.
3モル%、t−ブチルメタクリレートの選択率および収
率は、それぞれ72.6モル%および49.6モル%と
なった。このように、メタノールの除去にモレキュラー
シーブを用いた場合でも、t−ブチルメタクリレートを
得ることができる。 (実施例21)反応中、予めモレキュラーシーブ4A
(和光純薬(株)製)を5重量%添加し、一夜放置して
合計水分量を1000ppm以下(t−ブタノールに対
する水分量は700ppm)に調整したt−ブタノール
37.0g(0.50モル)を連続的に滴下した以外
は、実施例1に準じて反応を行った。反応終了後、留出
物の重量は41.7gであり、反応液の分析より求めた
メチルメタクリレートの転化率は69.5モル%、t−
ブチルメタクリレートの選択率および収率は、それぞれ
78.3モル%及び54.4モル%となった。このよう
に、新たに反応系内にt−ブタノールを追加すると、転
化率および選択率を高めることができることは明らかで
ある。 (実施例22および23)触媒として、カリウムt−ブ
トキシドの代わりに、水素化ナトリウムおよびリチウム
メチラートを用いる以外は実施例9に準じて反応および
分析を行い、その結果を実施例22および23として表
5に示した。
にも、水素化ナトリウムおよびリチウムメチラートを用
いてもこの発明の方法を実施できることは明らかであ
る。しかし、実施例9との比較より、収率の面でカリウ
ム−t−ブチラートより劣ることがわかる。
チル(メタ)アクリレートの製造方法によれば、触媒の
活性を維持し、副反応を極力抑制して転化率および選択
率を高めることにより、従来エステル交換法では合成し
難いと思われていたt−ブチル(メタ)アクリレートを
高い収率で得ることができるという優れた効果を奏す
る。従って、この発明の製造方法は、工業的に非常に有
用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 メチル(メタ)アクリレートとt−ブタ
ノールとの反応により生成するメタノールを反応系から
除去させることよりなるt−ブチル(メタ)アクリレー
トの製造法において、 触媒がアルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコラー
トで、かつその使用量が反応成分であるメチル(メタ)
アクリレートとt−ブタノールの合計モル数に対して
0.1ないし3.0モル%であり、水分が前記反応成分
の合計量に対して1000ppm 以下で、しかもメチル
(メタ)アクリレートに対するt−ブタノールのモル比
が1ないし10であることを特徴とするt−ブチル(メ
タ)アクリレートの製造法。 - 【請求項2】 沸点が40ないし250℃であるエーテ
ル化合物、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素および有機
リン化合物からなる溶剤のうち、少なくとも1種を用い
ることを特徴とする請求項1に記載のt−ブチル(メ
タ)アクリレートの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5130597A JPH06340584A (ja) | 1993-06-01 | 1993-06-01 | t−ブチル(メタ)アクリレートの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2017226619A (ja) * | 2016-06-22 | 2017-12-28 | 株式会社クラレ | (メタ)アクリル酸エステル化合物の製造方法 |
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CN112295600A (zh) * | 2020-11-24 | 2021-02-02 | 先尼科化工(上海)有限公司 | 一种用于制备叔烷基酯的催化剂 |
-
1993
- 1993-06-01 JP JP5130597A patent/JPH06340584A/ja active Pending
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