JP3081707B2 - メタクリル酸グリシジルの製造方法 - Google Patents

メタクリル酸グリシジルの製造方法

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JP3081707B2 JP04156788A JP15678892A JP3081707B2 JP 3081707 B2 JP3081707 B2 JP 3081707B2 JP 04156788 A JP04156788 A JP 04156788A JP 15678892 A JP15678892 A JP 15678892A JP 3081707 B2 JP3081707 B2 JP 3081707B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリシド−ル(以下、
GDと略)とメタクリル酸メチル(以下、MMAと略)
とのエステル交換反応によってメタクリル酸グリシジル
(以下、GMAと略)を製造する方法に関する。GMA
は分子中に反応性の高い二重結合およびエポキシ基を有
しており、塗料用樹脂原料などに使用される。
【0002】
【従来の技術】GDとMMAとのエステル交換反応によ
ってGMAを製造する方法はこれまでに多く知られてお
り、一般的には、塩基性触媒の存在下、副生するメタノ
−ルを蒸留によって系外に除去しながら反応を行う。
【0003】触媒としてはアルカリ金属化合物(例え
ば、特公昭53−6133/デグッサ)、アルカリ土類
金属化合物(例えば特公昭55−102575/三井東
圧化学)、アミン類(特開昭55−94379/ダイセ
ル化学工業)、ホスフィン類(特公昭47−38421
/日本合成化学工業)などが知られている。
【0004】また、本発明の触媒成分である、メタノ−
ルとMMAとの中間沸点を有する第3級アミンとして、
例えばトリエチルアミンが特開昭55−94379/ダ
イセル化学工業、2頁、第5欄、下から1行目にpkb
3〜8の脂肪族第3級アミンの1例として開示されてい
る。
【0005】一方、本発明のもう一つの成分である、メ
タノ−ルとMMAとの中間沸点を有するメタノ−ルとの
共沸剤として、例えば、n−ヘキサンが特開昭55−1
02575/三井東圧化学、3頁、第7欄、9行目に、
不活性な溶媒の1例として開示されている。しかしなが
ら、本発明において、メタノ−ルの沸点をT1、メタク
リル酸メチルの沸点をT4とした時に、下記の関係式
(1) T1<T2<T3<T4 関係式(1) を満足する、(A)沸点T2を有する、メタノ−ルとの
共沸剤、および、(B)沸点T3を有する、第3級アミ
ンを共存させないで反応させる場合には以下のような欠
点があることがわかった。上記(A)の沸点T2を有す
るメタノ−ルとの共沸剤が存在し、(B)の沸点T3を
有する第3級アミンが存在しない場合(したがって、他
の沸点領域の触媒を使用)には、後の比較例3で示すよ
うに触媒の沸点がMMAよりも高い場合にはGMAの精
製工程でGDが再発生し、製品中に混入し、製品品質を
悪化させるといった欠点がある。
【0006】また、触媒の沸点がメタノ−ルよりも低い
場合には、反応領域である反応液中に存在しないため、
反応が進行しないものと推定される。一方、上記(B)
の沸点T3を有する第3級アミンが存在し、(A)の沸
点T2を有するメタノ−ルとの共沸剤が存在しない場合
には、後の比較例1および比較例2で示すように、触媒
である第3級アミンを反応領域である反応液(缶液)中
に存在させるように(該第3級アミンを留出させないよ
うに)反応を行うと反応は進行するが、GMAとの分離
が困難なMMAへのメタノ−ル付加物が増加(以下LB
1と略、このLB1がGMAの品質を悪化させることは
特開昭55−127381/三井東圧化学、2頁、第6
欄、上から3行目〜10行目に記載されている)し(比
較例1)、また、副生するメタノ−ルを反応領域である
反応液(缶液)から速やかに留出させるように(メタノ
−ルを積極的に留出させ、反応液中に存在させないよう
に)反応を行うと反応が進行しにくい(比較例2)とい
った欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、それぞ
れ、独立して従来技術に開示された上記(A)の沸点T
2を有するメタノ−ルとの共沸剤、または、上記(B)
の沸点T3を有する第3級アミンの単独使用はGDとM
MAとのエステル交換反応によってGMAを製造する際
に欠点があった。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、GDとMMAとのエス
テル交換反応によってGMAを製造する方法に於いて、
前記従来技術の有する欠点を克服し、高い反応速度でG
MAが得られ、GMAとの分離が困難なLB1の副生が
少なく、GMAの精製工程でもGDの再発生によるGM
A品質の低下(発生したGDのGMAへの混入による)
のないGMAの製造方法を開発することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
「グリシドールとメタクリル酸メチルとを出発原料と
し、両者のエステル交換反応によって、メタクリル酸グ
リシジルを製造する方法に於いて、メタノールの沸点を
T1、メタクリル酸メチルの沸点をT4とした時に、下
記の関係式(1) T1<T2<T3<T4 関係式(1) を満足する、 (A)沸点T2を有する、メタノールとの共沸剤、およ
び (B)沸点T3を有する、第3級アミンの存在下に反応
を行うことを特徴とするメタクリル酸グリシジルの製造
方法」である。
【0010】本発明は、以下の考察、および実験結果か
ら生み出された。
【0011】(ア)反応の際、ポイントとなることは反
応によって副生するメタノ−ルを速やかに留出させ、反
応領域である反応液(缶液)中のメタノ−ル濃度を低く
保つことである。反応液(缶液)中に存在するメタノ−
ルはエステル交換触媒である塩基性物質の触媒作用でメ
トキシアニオンを生じ、GMAやMMAのメアクリル二
重結合に付加してしまい、GMAやMMAのメタノ−ル
付加物を副生してしまう。
【0012】このことは、GMAの収率の悪化や、MM
Aの使用率の悪化の原因となるばかりか、MMAへのメ
タノ−ル付加物(LB1)はGMAと沸点が近いためG
MAの精製を困難にする。さらに、エステル交換反応は
平衡反応であり、生成系の一成分であるメタノ−ルが、
いつまでも高い濃度で反応領域に残存することは特に反
応の後半に於いて、反応の進行を阻害する。
【0013】このことは、従来技術でも指摘され、ま
た、このような観点からメタノ−ルとの共沸剤の使用が
開示されている(例えば、特開昭55−127381/
三井東圧化学、2頁、第5欄、下から3行目〜第6欄下
から2行目)。
【0014】(イ)一方、エステル交換触媒は、これま
でに多くの種類が知られていることを先に述べた。MM
Aよりも高沸点を有する触媒を使用した場合には次のこ
とが推定される。反応中はこの触媒が反応領域である反
応液(缶液)中に確実に存在するために触媒として有効
に作用する。しかし、MMAよりも高沸点を有する触媒
は反応終了後の蒸留精製工程でMMAよりも沸点が高い
という性質のため反応液からMMAを蒸留除去し、さら
に、GMAを製品として留出させる段階でも、まだ、反
応液(缶液)中に少量かも知れないが残存する。
【0015】この時の反応液(缶液)の状態は低いMM
A濃度と高いGMA濃度、ある程度の濃度の高沸点アル
コ−ル(例えば、GMAのエポキシ基にメタノ−ルや、
GDが開環付加した水酸基含有物質)、およびある程度
の濃度のMMAよりも高沸点を有する触媒が存在するこ
とになる。
【0016】したがって、GMAと前記高沸点アルコ−
ルとがMMAよりも高沸点を有する触媒によりエステル
交換反応を起こし、高沸点アルコ−ルとメタクリル酸と
のエステルが生成するのと同時にGDが発生し、このG
Dが留出したGMAに混入して製品の品質を悪化させる
(このことは比較例3で確認された)。
【0017】特公昭57−42073/日本油脂、2
頁、第3欄、19行目〜22行目には、MMAよりも高
沸点を有する触媒を蒸留精製工程に持ち込まれることの
ないように、析出した触媒を濾過によって除去し、GM
Aを製品化蒸留する方法が開示されている。しかしなが
ら、この特許公報には蒸留生成工程でのGDの再発生に
ついて何等記載がなく、また、後の比較例3で示したよ
うにGDの再発生が認められ、濾過操作では触媒の除去
が完全でないことを示唆している。
【0018】塩基性物質の除去という観点からイオン交
換樹脂の使用、抽出、中和など、これまでに知られた方
法が利用可能と思われるが操作が繁雑になり好ましくな
いことは言うまでもない。
【0019】一方、蒸留生成工程での触媒成分の残留に
基づく前記の欠点を回避するためにはMMAよりも沸点
の低い触媒(例えば、トリエチルアミン)の使用が好ま
しいが、トリエチルアミンは、やはり、前述したように
従来技術に開示されている。しかしながら、MMAより
も沸点の低い触媒の場合、当然、その沸点は反応時に副
生するメタノ−ルの沸点と近くなり、両者の蒸留分離性
は十分でない。
【0020】したがって、触媒を、反応領域である反応
液(缶液)中に存在させるように(該触媒を留出させな
いように)反応を行った場合には反応は進行するが、副
生するメタノ−ルの反応液(缶液)からの留出除去が不
十分となり、メタノ−ルのMMAやGMAへの付加物が
多量に副生してしまうことになる(後の比較例1で確認
された)。
【0021】また、副生するメタノ−ルを速やかに系外
に留出させる(加熱気味に蒸留する)ように反応を行う
ことによってGMAとの分離が困難なLB1(MMAへ
のメタノ−ル付加物)の副生はある程度抑制することが
できるが、触媒も同時に反応領域である反応液(缶液)
から留出してしまい、反応そのものが進行しなくなる
(後の比較例2で確認された)。
【0022】(ハ)以上から、従来技術でそれぞれ、別
々に開示されたメタノ−ルとMMAとの中間の沸点を有
するメタノ−ルの共沸剤とメタノ−ルとMMAとの中間
の沸点を有する第3級アミン触媒とをメタノ−ルの沸点
をT1、メタクリル酸メチルの沸点をT4とした時に下
記の関係式(1) T1<T2<T3<T4 関係式(1) を満足するような特別な沸点関係の(A)沸点T2を有
するメタノ−ルとの共沸剤、および(B)沸点T3を有
する第3級アミンとして、共存させて反応することによ
って前述した問題点を解決できると結論した。このよう
な系では、反応中は蒸留塔内でメタノ−ルとの共沸剤が
メタノ−ルと第3級アミンとの中間に存在し、両者を効
率良く分離、すなわち、メタノ−ルは塔頂へ、第3級ア
ミンは反応液(缶液)へと分離する。
【0023】その結果、反応も十分進行する(触媒は反
応液中に存在する)し、同時に反応液(缶液)中でのメ
タノ−ルのMMAやGMAへの付加反応も抑制され(反
応液中にはメタノ−ル濃度が低い)る。さらに、蒸留精
製工程では反応液(缶液)からMMAを留出除去する際
には、該第3級アミンはMMAよりも沸点が低いため反
応液(缶液)からより早く留出除去されており、後のG
MA留出時に残留触媒によるGDの再発生もない(後の
実施例で確認された)。
【0024】以下に本発明のメタクリル酸グリシジルの
製造方法について詳細に説明する。 <メタノ−ルとの共沸剤>メタノ−ルとMMAとの中間
沸点を有するメタノ−ルとの共沸剤としてはn−ヘキサ
ン、c−ヘキサンおよびベンゼンなどがあげられる。価
格、安全性を考慮するとn−ヘキサンが好ましい。しか
し、これらの共沸剤を混合使用しても構わない。また、
他の沸点領域を有する溶媒、共沸剤を使用しても構わな
い。
【0025】本発明のメタノ−ルとMMAとの中間沸点
を有するメタノ−ルとの共沸剤の濃度は反応液中の濃度
で0.1〜80重量%、好ましくは5〜50%である。
【0026】<第3級アミン>上記のメタノ−ルとの共
沸剤とMMAとの中間沸点を有する第3級アミンはエス
テル交換反応の触媒に相当する。このようなアミンとし
てはトリエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、
ジメチルブチルアミン、N−メチルピペリジンおよびN
−エチルピロリジンなどがあるが、工業的な入手のし易
さからトリエチルアミンが好ましい。しかし、これらの
第3級アミンを混合使用しても構わない 。<反応形式>反応は、反応して副生するメタノ−ルを
共沸剤との共沸で反応液(缶液)から直ちに、留出させ
ながら除去していくようにする。蒸留塔を具備した反応
蒸留装置が使用され、連続式でもバッチ式でも良い。蒸
留塔は棚段塔でも充填塔でも、どちらでも良く、メタノ
−ルと第3級アミンとの分離に必要な高さ(或いは理論
段数)が有ればよい。
【0027】<重合禁止および防止>本反応はラジカル
重合に対する重合禁止剤の少なくとも1種の存在下に行
われる。この方面で一般に知られているヒドロキノン、
p−メトキシフェノ−ル、3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシトルエンおよびフェノチアジンなどが使用
される。重合禁止剤の使用量は反応系全体の0.01〜
0.5重量%の範囲である。付加的に空気、酸素、また
は不活性ガス稀釈酸素を系に導入することは重合防止の
観点から好ましい。
【0028】<仕込み比率>原料であるMMAとGDと
のモル比率(MMA/GD)は1.1〜10、好ましく
は、1.5〜5の範囲である。10より大きい場合はG
MAの収率は良いが、装置が大きくなり、過剰のMMA
の回収コストが高くなる。1.1より小さい場合はGM
Aの収率が悪化する。
【0029】触媒である、第3アミンとGDとのモル比
率(アミン/GD)は0.0001〜0.1、好ましく
は、0.01〜0.05の範囲である。
【0030】メタノ−ルとの共沸剤の濃度は反応液中の
1〜80、好ましくは、10〜50重量t%の範囲であ
る。
【0031】<反応温度>反応温度は30〜120、好
ましくは、40〜100℃の範囲で行われる。
【0032】<反応圧力>反応圧力は反応温度で反応液
が沸騰するように設定する。通常50〜500Tor
r、好ましくは、100〜300Torrである。
【0033】以下に比較例および実施例を挙げて本発明
を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限
定されるものではない。
【0034】比較例1 実段10段のオ−ルダ−ショ−蒸留塔(内径4cm、ガ
ラス製)を具備する3リットルの丸底フラスコに、MM
A2000g(20.0モル)、メタノ−ルとMMAと
の中間沸点を有する触媒としてトリエチルアミン4.0
4g(0.040モル)および重合禁止剤としてp−メ
トキシフェノ−ルおよび3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシトルエンを各2.5gづつフラスコに張り込
んだ。
【0035】塔頂を200Torrの減圧とし、反応液
中にキャピラリ−チュ−ブを通じて空気を0.1リット
ル/Hの速度でバブリングさせた。
【0036】フラスコをオイルバスで加熱し、反応液を
沸騰させ、全還流とした(MMAが還流しており、塔頂
温度は72〜74℃になる)。次いで、GD296g
(4.0モル)をフラスコに接続された滴下ロ−トから
2時間かけて沸騰を続ける反応液に滴下した(触媒/G
D/MMAのモル比率=1/100/500)。
【0037】GDの滴下開始後、しばらくして塔頂部に
メタノ−ルが溜まってくる(少量のMMAを含むメタノ
−ル[メタノ−ル/MMAの共沸混合物]が還流するた
め、塔頂温度が42〜44℃に下がることでわかる)。
【0038】その後、反応液中のトリエチルアミンが留
出しないように、すなわち、蒸留塔の中段の温度が42
℃から50℃となるように管理し、塔頂よりメタノ−ル
を少量のMMAと共に留出させた。GD滴下開始後6時
間目にはメタノ−ルの発生は殆どなくなった。次いで、
200Torrの減圧のまま全留出に切り替え、約60
0g留出させることにより蒸留塔内に溜まったメタノ−
ルを系外へ追い出した。再び、全還流に切り替え、冷却
を行い、反応液を分析した結果、以下の成績を得た。な
お、成績の指標は下記の計算式によった。
【0039】GD転化率=反応したGD/仕込んだGD
[モル%] GMA収率=生成したGMA/仕込んだGD[モル%] LB1副生率=生成したLB1/生成したGMA[モル
%] GD転化率=98.2% GMA収率=90.8% LB1副生率=3.36% この例は、前記(B)の沸点T3を有する第3級アミン
だけを使用し、(A)の沸点T2を有するメタノ−ルと
の共沸剤を使用しない場合に相当し、第3級アミンを反
応領域である反応液(缶液)中に存在させるように(該
第3アミンを留出させないように)反応を行うことによ
って反応は進行するが、GMAの収率が悪化したりGM
Aとの分離が困難なLB1(MMAへのメタノ−ル付加
物)が多量に副生してしまうことを示している。
【0040】比較例2 反応によって副生するメタノ−ルを反応液から速やかに
留出させるために、反応中の蒸留塔中段の温度が60℃
以下とならないように管理し、塔頂に溜まったメタノ−
ルを速やかに留出させ(その結果、塔頂温度は、60〜
70℃となり、メタノ−ルと共に多量のMMAが留出し
た)、留出液と同容積のMMAをフラスコに接続された
滴下ロ−トから反応液に補充した以外は比較例1と同じ
実験を繰り返した。その結果、GD滴下開始後6時間の
反応では以下の成績を得た。
【0041】GD転化率=52.2% GMA収率=39.8% LB1副生率=0.93% この例は前記(B)の沸点T3を有する第3級アミンだ
けを使用し、(A)の沸点T2を有するメタノ−ルとの
共沸剤を使用しない場合に相当し、副生するメタノ−ル
を速やかに系外に留出させるように反応を行うことによ
ってGMAとの分離が困難なLB1(MMAへのメタノ
−ル付加物)の副生はある程度抑制することができる
が、反応が進行しにくいことを示している。
【0042】この反応では、反応後の反応液中のトリエ
チルアミン量が仕込み量の約1/20に減少しており、
反応中にトリエチルアミンの大部分がMMAを主成分と
する留出液と共に系外へ留出してしまつた。
【0043】比較例3 触媒のトリエチルアミンを、酢酸カリウム3.92g
(0.04モル)に変え、n−ヘキサンを新たに、75
0gを仕込み、留出液を80mリットルのデカンタ−に
導き、デカンタ−で分液した上相(n−ヘキサン相)を
塔頂へ還流させた以外は比較例1と同じ実験を繰り返し
た。また、GD滴下前の全還流時はn−ヘキサンが還流
するため、塔頂温度は40〜42℃であり、反応中は副
生したメタノ−ルが塔頂へ上がるため塔頂温度が最低3
1℃まで低下した点も異なる。
【0044】なお、反応後、反応液を冷却した際に固形
物(メタクリル酸カリウムと推定される)が析出したの
で、濾過によって固形物を除去した。
【0045】その結果、GD滴下開始後6時間の反応で
は以下の成績を得た。
【0046】GD転化率=98.5% GMA収率=93.5% LB1副生率=0.31% またこの時の反応液組成は以下の通りであった。
【0047】MMA=62.1重量% GD = 0.28重量% LB1= 0.10重量% GMA=33.4重量% このようにして得られたGMA粗液を用い、以下のよう
に製品化蒸留を行った。 実段3段のオ−ルダ−ショ−
蒸留塔(内径4cm、ガラス製)を具備する1リットル
の丸底フラスコに前記のGMA粗液1000g(内、G
D=2.8g、GMA=334gを含む)を仕込み、塔
頂圧力2Torr、還流比率1〜2でGMAを留出させ
た。その結果、GMA純度94.9%の製品留分が25
0g(回収率=71%)得られたが、この中には4.1
重量%のGD(10.2gに相当)が含まれていた。
【0048】これは、製品蒸留中にGDが約3.6倍に
増加して、製品中に混入したこと、製品中の不純物5.
1重量%の内殆どがGD(4.1重量%)であることを
示す。 この例は、前記(A)の沸点T2を有するメタ
ノ−ルとの共沸剤を使用し、(B)の沸点T3を有する
第3級アミンを使用しない場合(本例では、MMAより
も高沸点を有する酢酸カリウムを使用)に相当し、反応
時の成績(GMA収率、LB1副生率)は問題ないが、
GMAの精製工程でGDが再発生し、製品中に混入して
製品の品質を悪化させる欠点があることを示している。
【0049】実施例1 触媒の酢酸カリウムを、トリエチルアミン4.04g
(0.04モル)に変えた以外は比較例3と同じ実験を
繰り返した。なお、反応後、反応液を冷却した際に固形
物は析出しなかった。
【0050】その結果、GD滴下開始後6時間の反応で
は以下の成績を得た。
【0051】GD転化率=97.6% GMA収率=94.9% LB1副生率=0.30% またこの時の反応液組成は、以下の通りであった。
【0052】MMA=61.9重量% GD =0.45重量% LB1=0.10重量% GMA=34.1重量% このようにして得られたGMA粗液を用い、比較例3と
同様にGMAの製品化蒸留を行った。
【0053】その結果、GMA純度98.9%の製品留
分が272g(回収率=79%)得られた。この中に
は、0.11重量%(0.30gに相当)のGDが含ま
れていた。この例は前記(A)の沸点T2を有するメタ
ノ−ルとの共沸剤および(B)の沸点T3を有する第3
級アミンの両方を使用することによって反応時の成績
(GMA収率、LB1副生率)も問題なく、かつ、GM
Aの精製工程に於けるGDの再発生による製品の品質を
悪化もないことを示している。
【0054】実施例2 n−ヘキサンの代わりにc−ヘキサン300gを使用
し、GDを一括添加した以外は実施例1と同じ実験を繰
り返した。但し、塔頂圧力を160Torrとした点が
異なる。また、GD滴下前の全還流時はc−ヘキサンが
還流するため、塔頂温度は33〜37であり、反応中は
副生したメタノ−ルが塔頂へ上がるため、塔頂温度が最
低29℃まで低下した点も異なる。
【0055】その結果、GD添加後6時間の反応では以
下の成績を得た。
【0056】GD転化率=99.0% GMA収率=94.2% LB1副生率=0.14% 表1に上記の比較例および実施例の結果をまとめる。
【0057】 表1 比較例1 比較例2 比較例3 実施例1 実施例2 触媒 TEA TEA KOAc TEA TEA 共沸剤 なし なし n−H n−H c−H GD転化率 98.2 52.2 98.5 97.6 99.0 GMA収率 90.8 39.8 93.5 94.9 94.2 LB1副生率 3.36 0.93 0.31 0.30 0.14 蒸留精製時の GD再発生 − − 有り なし − 但し、第1表中の略号、TEAはトリエチルアミン、K
OAcは酢酸カリウム、n−Hはn−ヘキサン、c−H
はシクロヘキサンを表し、数値の単位はモル%である。
【0058】
【発明の効果】グリシド−ルとメタクリル酸メチルとの
エステル交換反応によって、メタクリル酸グリシジルを
製造する際に、本発明の、特定の沸点範囲にある、
(A)メタノ−ルとの共沸剤、および、(B)3級アミ
ン触媒の両方を使用することによって優れた反応成績が
得られ、また、蒸留精製の際も、高純度の製品が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−39423(JP,A) 特開 昭55−94379(JP,A) 特開 昭60−130577(JP,A) 特開 昭49−135914(JP,A) 特開 昭55−127381(JP,A) 特公 昭57−42073(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 301/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリシドールとメタクリル酸メチルとを
    出発原料とし、両者のエステル交換反応によって、メタ
    クリル酸グリシジルを製造する方法に於いて、メタノー
    ルの沸点をT1、メタクリル酸メチルの沸点をT4とし
    た時に、下記の関係式(1) T1<T2<T3<T4 関係式(1) を満足する、(A)沸点T2を有するメタノールとの共
    沸剤、および(B)沸点T3を有する第3級アミンの存
    在下に反応をおこなうことを特徴とするメタクリル酸グ
    リシジルの製造方法。
  2. 【請求項2】 第3級アミンがトリエチルアミンである
    請求項1に記載のメタクリル酸グリシジルの製造方法。
  3. 【請求項3】 メタノールとの共沸剤がn−ヘキサンお
    よび/またはシクロヘキサンである請求項1または請求
    項2に記載のメタクリル酸グリシジルの製造方法。
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