JPH06322189A - ポリエチレン組成物 - Google Patents

ポリエチレン組成物

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JPH06322189A
JPH06322189A JP5106912A JP10691293A JPH06322189A JP H06322189 A JPH06322189 A JP H06322189A JP 5106912 A JP5106912 A JP 5106912A JP 10691293 A JP10691293 A JP 10691293A JP H06322189 A JPH06322189 A JP H06322189A
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polyethylene
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 押出ラミネート成形に用いるポリエチレン樹
脂の高速成形性すなわちドローダウン性とネックインを
改良する。 【構成】 押出ラミネートに用いられるMFR1〜20
g/10分、密度0.914〜0.924g/cm3 の低
密度ポリエチレン50〜80重量%およびMFR3〜4
0g/10分、密度が0.945g/cm3 以上、HLM
FR/MFRが25以下の高密度ポリエチレン50〜2
0重量%とからなる押出ラミネート用ポリエチレン組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速成形や薄肉成形に
適し、かつ、ネックインが小さくドローダウン性も良好
な押出ラミネート成形に適するポリエチレン組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】押出ラミネート成形では、低密度ポリエ
チレンと高密度ポリエチレンの混合物は耐熱性が優れて
いるため、シリコーンや粘着剤の溶媒を高温で迅速に乾
燥する必要のある剥離紙等の用途に用いられている。こ
の分野では生産性向上の要求から高速成形性すなわちド
ローダウン性に優れ、また製品ロス低減の要求からネッ
クインの小さな樹脂が求められている。
【0003】一般に長鎖分岐を有する低密度ポリエチレ
ンは直鎖状低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンと
比べてドローダウン性、ネックインのバランスに優れて
おり単体で押出ラミネートに用いたり、直鎖状低密度ポ
リエチレンや高密度ポリエチレンのネックイン改良のた
めに混合して押出ラミネート用の樹脂として用いられて
いる。しかし、一般に長鎖分岐を有する低密度ポリエチ
レンに直鎖状低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン
を混合すると、ドローダウン性は良くなるがネックイン
が大きくなり長鎖分岐を有する低密度ポリエチレン単体
と比較した場合、ドローダウン性とネックインのバラン
スは悪くなってしまう。
【0004】この改善策としては、光散乱法によって測
定した直鎖状低密度ポリエチレンの極限粘度〔η〕l
対する低密度ポリエチレンの〔η〕b の割合であるg=
〔η〕b /〔η〕l の値が小さく、かつMFRの値の小
さい、すなわちドローダウンは悪いがネックインは小さ
い低密度ポリエチレンに高密度ポリエチレンや直鎖状低
密度ポリエチレン等のリニアーポリエチレンを適量混合
し、ネックインは悪くなるがドローダウン性を良くして
用いるという方法がある。この方法によれば低密度ポリ
エチレンとリニアーポリエチレンの混合比により高速成
形性とネックインのバランスをとることがある程度でき
るが、やはり低密度ポリエチレン単体に比べてネックイ
ンがかなり大きい状況にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高密度ポリエ
チレンや高密度ポリエチレンと長鎖分岐を有する低密度
ポリエチレンとからなる組成物のドローダウン性、ネッ
クイン等の加工性、耐熱ピンホールや耐熱光沢等の耐熱
性、カールを改良することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、MFRが1
〜20g/10分、密度が0.914〜0.924g/c
3 の低密度ポリエチレン50〜80重量%およびMF
Rが3〜40g/10分、密度が0.945g/cm3
上、HLMFR/MFRが25以下の高密度ポリエチレ
ン50〜20重量%とからなる押出ラミネート用ポリエ
チレン組成物により解決される。
【0007】(1)低密度ポリエチレン 本発明に係る低密度ポリエチレンは、いわゆる高圧法ポ
リエチレンである。
【0008】1000〜3500気圧の高圧下でパーオ
キサイドなどの遊離基発生剤の存在下で重合させて得ら
れるエチレン系重合体(以下、LDPEと呼ぶこともあ
る)は、数10気圧の低圧でZiegler触媒等を用
いて配位アニオン重合させて得られるエチレン重合体ま
たはエチレンとα−オレフィンとの共重合体(以下、L
−LDPEと呼ぶこともある)とは異なり、長鎖分岐の
存在することが知られている。LDPEのこの長鎖分岐
の存在は、溶融時の粘弾性において、長鎖分岐のないL
−LDPEと比較して著しく異なった性質、特に弾性的
な性質を示すことが知られている。そのために、LDP
Eのインフレーション成形時の成膜安定性やラミネート
成形時のネックイン特性に優れることも知られている。
しかし、そのために逆に延伸性においては、L−LDP
Eの方が勝ることが知られている。高圧法LDPEは、
一般にオートクレーブまたはチューブラーリアクターで
製造されるが、いずれのリアクターを用いても得られる
LDPEは長鎖分岐を有する。長鎖分岐の程度は、重合
時の圧力や重合時の温度により異なる。
【0009】長鎖分岐の数や長さは、短鎖分岐のように
13C−NMRを用いても正確に定量化することはできな
い。長鎖分岐の程度または指数は、希薄溶液の光散乱法
より求めた同一分子量の長鎖分岐を有するポリエチレン
と長鎖分岐のない直鎖状のポリエチレンの極限粘度の割
合g(=〔η〕b /〔η〕l )により表わされる。ここ
で〔η〕b は長鎖分岐を有するポリエチレンの極限粘
度、〔η〕l は長鎖分岐を有するポリエチレンと同一の
分子量を有する直鎖状のポリエチレンの極限粘度であ
る。極限粘度〔η〕b 、〔η〕l は、130℃のテトラ
リンの希薄溶液から、濃度ゼロへ外挿した点の
【数1】 で求めた。本発明の低密度ポリエチレンの極限粘度の割
合gは0.1〜0.9であり、好ましくは0.1〜0.
5であり、長鎖分岐を有する。
【0010】低密度ポリエチレンのMFR(JIS K
6760に従い、温度190℃、荷重2.16kgで測
定したメルトフローレート)は、1〜20g/10分であ
り、好ましくは3.5〜15g/10分である。低密度ポ
リエチレンのMFRが1g/10分未満では低温高速成形
法と薄肉成形性に劣り、またMFRが20g/10分を超
えると、ネックイン特性のバランスをとることが困難で
ある。
【0011】低密度ポリエチレンの密度は0.914〜
0.924g/cm3 である。低密度ポリエチレンの密
度が0.924g/cm3 を超えるとネックインが大き
くなり好ましくない。また、0.914g/cm3 未満
の低密度ポリエチレンは高圧法で製造することは困難で
ある。
【0012】本押出ラミネート用ポリエチレン組成物中
の低密度ポリエチレンの割合は80〜50重量%であ
り、好ましくは70〜60重量%である。低密度ポリエ
チレンの割合が80重量%を超えると耐熱性に劣り、5
0重量%未満ではネックインが大きくなり好ましくな
い。
【0013】(2)高密度ポリエチレン 本発明に係る高密度ポリエチレンは、クロム酸化物及び
担体からなる触媒、遷移金属化合物及び有機金属化合物
からなる触媒などを用いてエチレン単独重合、エチレン
と、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン
−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンと
の共重合によって得ることができ、重合方法には特に限
定はなく、例えば溶液法、スラリー法などのいずれの方
法を用いても製造することができる。
【0014】高密度ポリエチレンの密度は0.945g
/cm3 以上が必要であり、0.950g/cm3 以上
が好ましい。密度が0.950g/cm3 未満では耐熱
性が劣る。
【0015】高密度ポリエチレンのMFRは3〜40g
/10分であり、好ましくは10〜30g/10分である。
MFRが3g/10分未満では十分な高速成形性を発現す
ることはできないので好ましくない。MFRが40g/
10分を超えると粘度が小さくなり過ぎて溶融膜の安定性
が不安になったり、膜揺れ等のサージングを起こし好ま
しくない。
【0016】高密度ポリエチレンのHLMFR/MFR
は25以下であることが必要であり、15〜25が好ま
しい。HLMFR/MFRが25を超えるとドローダウ
ン性が劣る。ここでHLMFRはJIS K6760に
従い、温度190℃、荷重21.6kgで測定したメル
トフローレートである。また、MFRは同じくJIS
K6760に従い温度190℃、荷重2.16kgで測
定したメルトフローレートである。HLMFR/MFR
は分子量分布の尺度を表わす指数であり、この値が小さ
いことは分子量分布が狭いことを意味する。本発明の高
密度ポリエチレンは、HLMFR/MFRが25以下で
あることが非常に重要である。
【0017】(3)ポリエチレン組成物の製造 本発明の押出ラミネート用ポリエチレン組成物を製造す
るには、低密度ポリエチレン(A)、高密度ポリエチレ
ン(B)を均一に混合することによってその目的を達成
することができるが、ポリエチレン組成物の使用目的に
応じて、一般にポリエチレンの分野に応じて配合されて
いる酸素、光(紫外線)および熱に対する安定剤、難燃
化剤、充填剤、滑剤、加工性改良剤および帯電防止剤の
ごとき添加剤を本発明の組成物が有する特徴(効果)が
そこなわれない範囲ならば添加してもよい。
【0018】本発明の押出ラミネート用ポリエチレン組
成物を製造する方法としては、ポリエチレン系樹脂の分
野において一般に使われているドラムタンブラーおよび
ヘンシェルミキサーのごとき混合機を用いてドライブレ
ンドする方法ならびに押出機、ミキシングロール、ニー
ダー、ロールミル、バンバリーミキサーおよび連続ミキ
サーのごとき混練機を使用して溶融混練りする方法があ
げられる。さらに、あらかじめドライブレンドすること
によって得られる混合物を溶融混練りすることによって
一層均一なポリエチレン組成物を得ることができる(た
とえば、ヘンシェルミキサーを用いてドライブレンド
し、得られる混合物を押出機を使用して溶融混練りす
る)。
【0019】ポリエチレン組成物を製造するさいに溶融
混練りするときの混練り温度は、ポリエチレン組成成分
であるポリエチレンの軟化点以上である。しかし、この
温度が高すぎると、用いられるポリエチレンが熱劣化を
生じるため、混練り温度は通常180〜230℃であ
る。
【0020】
【実施例】以下の実施例、比較例においてラミネート成
形は65mmφのラミネート成形機を用い、基材として
上質紙を用い、成形温度は320℃で行った。ネックイ
ンはダイ幅650mm、ラミネート速度250m/分、
ラミ厚み23μm、エアーギャップ160mmの条件で
成形を行い、ダイ幅とコート幅の差を測定した。ドロー
ダウン性は膜厚一定(13μm)で最大引取速度を測定
した。加工性の評価はネックインが55mm以下、ドロ
ーダウン性が300m/分以上を○、この条件を満足し
ないものは×とした。
【0021】耐熱性は耐熱ピンホールと耐熱光沢で評価
した。耐熱ピンホールは、120℃のオーブン中で30
秒間熱処理し、熱処理後にピンホールの数を数え、A4
サイズ中に5個以下であれば○、5個を超えるものは×
とした。耐熱光沢は、115℃および120℃のオーブ
ン中で30秒間熱処理し、120℃熱処理後でも表面光
沢度の変化がないものは○、115℃で表面光沢に変化
がないものは△、115℃で表面光沢度が変化したもの
は×とした。
【0022】実施例1〜3 高密度ポリエチレンとして、チーグラー触媒を用い、エ
チレン単独重合を行い、MFRが8.3g/10分、密度
が0.960g/cm3 、HLMFR/MFRが22の
ものを使用し、低密度ポリエチレンとして、MFR12
g/10分、密度0.917g/cm3 の高圧法低密度ポ
リエチレン(昭和電工(株)製ショウレックスL21
1)をそれぞれ表1に示す割合でドライブレンドしたの
ち、40mmφの押出機を用いてペレタイズしてポリエ
チレン組成物を得た。このポリエチレン組成物を用いて
ラミネート成形したが、結果は表1に示すように加工
性、耐熱性ともに良好であり、カールも良好であった。
【0023】実施例4 高密度ポリエチレンとして、チーグラー触媒を用い、エ
チレン単独重合を行い、MFRが40g/10分、密度が
0.958g/cm3 、HLMFR/MFRが23のも
のを使用し、低密度ポリエチレンとして、MFR5g/
10分、密度0.917g/cm3 の高圧法低密度ポリエ
チレン(昭和電工(株)製ショウレックスL150)を
用いた以外は実施例3と同様の操作をした。結果は表1
に示すとおり良好であり、カールも良好であった。
【0024】実施例5 高密度ポリエチレンとして、チーグラー触媒を用い、エ
チレン単独重合を行い、MFRが4g/10分、密度が
0.962g/cm3 、HLMFR/MFRが19のも
のを使用し、低密度ポリエチレンとして、MFR3.5
g/10分、密度0.922g/cm3 の高圧法低密度ポ
リエチレン(昭和電工(株)製ショウレックスL13
3)を用いた以外は実施例1と同様の操作をした。結果
は表1に示すとおり良好であり、カールも良好であっ
た。
【0025】比較例1 実施例1で使用した低密度ポリエチレンのみを用いて、
ラミネート成形したが、表1に示すとおり加工性は良好
であったが、耐熱が不良であった。
【0026】比較例2 MFR8g/10分、密度0.965g/cm3 、HLM
FR/MFR31の高密度ポリエチレン(昭和電工
(株)製ショウレックスF6080)を用いた以外は実
施例1と同様の操作を行った。結果は表1に示すとおり
不良であった。
【0027】比較例3、4 MFR50g/10分、密度0.960g/cm3 、HL
MFR/MFRが20、またはMFR1g/10分、密度
0.961g/cm3 、HLMFR/MFRが22の高
密度ポリエチレンを35重量%、MFR5g/10分、密
度0.917g/cm3 の低密度ポリエチレン(昭和電
工(株)製ショウレックスL150)を65重量%用い
て実施例1と同様の操作を行ったが、表1に示すとお
り、いずれも加工性が不良であった。
【0028】比較例5 MFR20g/10分、密度0.927g/cm3 低密度
ポリエチレンを用いた以外は実施例3と同様の操作を行
ったが膜厚のムラが大きくラミネート成形ができなかっ
た。
【0029】比較例6 MFR0.5g/10分、密度0.920g/cm3 の低
密度ポリエチレン(昭和電工(株)製ショウレックスF
042)を用いた以外は実施例5と同様の操作を行った
が、表1に示すとおり、ネックインが大きく加工性が不
良であった。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明で得られる押出ラミネート用ポリ
エチレン組成物はドローダウン性、ネックイン等の加工
性、耐熱ピンホール、耐熱光沢等の耐熱性、カールに優
れていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 邦明 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社川崎樹脂研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MFRが1〜20g/10分、密度が0.
    914〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン5
    0〜80重量%と、MFRが3〜40g/10分、密度が
    0.945g/cm3 以上、HLMFR/MFRが25
    以下の高密度ポリエチレン50〜20重量%とからなる
    押出ラミネート用ポリエチレン組成物。
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