JP2006289888A - プロピレン系フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Tダイを通して、プロピレン系樹脂を押し出すプロピレン系フィルムの製造方法であって、ダイのリップ口のエッジ部にセラミックス材料が溶射されてなるセラミックス溶射部を有するTダイを用いるプロピレン系フィルムの製造方法。
また、上記のセラミックス材料がタングステンカーバイドを含む材料であるプロピレン系フィルムの製造方法。
そして、上記のセラミックス溶射部の厚みが、50〜300μmであるプロピレン系フィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は、
Tダイを通して、プロピレン系樹脂を押し出すプロピレン系フィルムの製造方法であって、ダイのリップ口のエッジ部にセラミックス材料が溶射されてなるセラミックス溶射部を有するTダイを用いるプロピレン系フィルムの製造方法に係るものである。
セラミックス材料としては、ジルコニア、炭化チタン、クロムカーバイド、タングステンカーバイド等を含む材料が挙げられる。好ましくは、異物(メヤニ)の発生を抑制する効果や、リップ清掃時の耐キズ付き性の観点から、プロピレン系樹脂との親和性が小さく、剛性と靭性に優れるタングステンカーバイドである。
巾広Tダイへセラミックス材料をコーティングするという観点から、上記セラミックス材料の溶射方法が、好ましい。
セラミックス材料の溶射方法として、特に好ましくは、セラミックス材料とダイの母材との接着性を向上させるという観点から、アセチレンと酸素の混合ガスの爆発によって生じる高温、高速のガス流を利用する爆発溶射法である。
また、上記セラミックス溶射部の範囲として、好ましくは、ダイの長手方向全幅で、かつ、樹脂流路面およびダイ出口面ともにリップ口のエッジ部から5〜30mmである。
また、セラミックス溶射部の溶射面の表面は、ダイラインを防止するのために、好ましくは、研磨されている表面であり、より好ましくは、表面粗さRaが0.005〜0.20μmである。
炭素原子数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、好ましくは、1−ブテンである。
重合に用いられる触媒としては、公知の触媒が挙げられ、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、または、メタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒である。
フェノール系安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(IRGANOX 1010)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(IRGANOX 1076)等が挙げられる。
ホファイト系安定剤としては、例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、炭素原子数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステル、ソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステル等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。
通常、プロピレン系フィルムは、押出機によって溶融混練した樹脂をTダイから押し出し、チルロールにてフィルム状に伸張・冷却固化して、製造する。
上記エアーチャンバーの役割は、フィルムをチルロールへ密着させることにあり、エアーチャンバー以外にバキュームチャンバーやエアーナイフ、または、それらを組合せた装置等が使用できる。
なお、本明細書および実施例に記載されている測定値の測定方法、および、Tダイの構造を、以下のとおり、説明する。
(1)プロピレン系共重合体中のA成分、B成分の含有量(単位:重量%)
A成分およびB成分の重合時の物質収支から、A成分の含有量(PA)、およびB成分の含有量(PB)を求めた。
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。A成分、B成分の極限粘度([η]A、[η]B)
第1工程のA成分の重合終了後に測定した極限粘度[η]Aと、第2工程の重合終了後に測定した極限粘度([η]AB)および、A成分の含有量(PA)、B成分の含有量(PB)から、次式によりB成分の極限粘度([η]B)を決定した。
[η]A×(PA/100)+[η]B×(PB/100)=[η]AB
プロピレン系共重合体の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って求め、下式(1)によりB成分中のエチレン含有量を求めた。
EB=(ET−EA×PA)/PB 式(1)
(但し、ET、EAおよびEBは、それぞれプロピレン系共重合体の全体、A成分およびB成分におけるエチレン含有量を表し、PAおよびPBはA成分およびB成分の含有量を示す。)
エチレン含有量はIRスペクトル測定を行い、高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616頁に記載されている(i)ランダム共重合体に関する方法に従って求めた。
1−ブテン含有量はIRスペクトル測定を行い、高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の619頁に記載の方法に従って求めた。
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
G.P.C.(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により、下記条件で測定した。なお分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
田辺プラスチックス機械製40mm押出機にモデルTダイ(セラミックス溶射ダイ、硬質クロムメッキダイ)を設置し、設定温度240℃、押出量20kg/hrで2時間連続運転した後のダイリップ口の状態を目視観察し、以下の基準に従って評価した。
5点:ダイリップ口に全くメヤニ付着が見られなかった。
4点:ダイリップ口の一部に僅かなメヤニ付着が認められた。
3点:ダイリップ口の一部にメヤニ付着が認められた。
2点:ダイリップ口の全面にメヤニ付着が認められた。
1点:ダイリップ口の全面に酷いメヤニ付着が認められた。
図1に用いたセラミックス溶射ダイを示した。
母材:SUS304
樹脂流路:硬質クロムメッキのメッキ厚みは30μm、最大粗さRaは0.05μmであった。タングステンカーバード溶射は、プラクスエア工学(株)の爆発溶射法にて実施し、タングステンカーバイド溶射部のリップエッジ部のRは11μm、最大粗さRaは0.05μm、溶射厚みは0.1mmであった。
溶射範囲:流路面は6mm×94mm、ダイ出口面は4mm×94mmであった。
ダイ形状:ダイ巾は94mm、流路巾は38mm、ランド長さは10mm、ダイリップ間隙は1.5mmであった。
図2に用いた硬質クロムメッキダイを示した。
母材:SUS304
樹脂流路:硬質クロムメッキのメッキ厚みは30μm、最大粗さRaは0.05μm、リップエッジ部のRは0.07mmであった。
ダイ形状:ダイ巾は94mm、流路巾は8mm、ランド長さは10mm、ダイリップ間隙は1.5mmであった。
(1)プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体
住友化学社製 住友ノーブレンTW140XG(プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン含有量:2.2重量%、1−ブテン含有量:4.5重量%)100重量部に、チバスペシャリティーケミカルズ社製Irg1010を0.125重量部を加えてヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。この際、ペレットの分子量分布Mw/Mnは3であった。
日産丸善社製の商品名G2502なる高密度ポリエチレンを用いた。
住友化学社製 住友ノーブレンRW140XG(プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン含有量:4重量%)100重量部に対し、富士シリシア化学(株)社製シリカ、商品名サイリシア420を2.3重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製Irg1010を0.15重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製Irg168を0.1重量部、加えてヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。
住友化学社製 AD640G(プロピレン系共重合体、プロピレン単独重合体部分(A成分)の極限粘度[η]A=3.0dl/g、プロピレンとエチレンとの共重合体部分(B成分)の極限粘度[η]B=3.3dl/g、A成分の含有量79重量%、B成分の含有量21重量%、B成分中のエチレン含有量が43重量%であった。
このブロック共重合体粉末100重量部に対し、水酸化カルシウム粉末0.01重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製Irg1010を0.2重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製Irg168を0.05重量部、チバスペシャリティーケミカルズ社製Irg3114を0.075重量部およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサンを適量加えヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。この際、230℃で測定したペレットのメルトフローレートは2g/10minであった。
住友化学社製 住友ノーブレンRW140XG(プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン含有量:4重量%)100重量部に対し、ステアリン酸カルシウムを5重量部、住友化学社製スミライザーGPを5重量部を加えてヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。
プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体91.7重量部、高密度ポリエチレン1.5重量部、アンチブロッキング剤MB6.8重量部からなるプロピレン系樹脂組成物について、セラミック溶射ダイを用いたメヤニ評価を行った。
プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体91.7重量部、高密度ポリエチレン1.5重量部、アンチブロッキング剤MB6.8重量部からなるプロピレン系樹脂組成物について、硬質クロムメッキダイを用いたメヤニ評価を行った。
ポリプロピレンブロック共重合体98.5重量部、ステアリン酸カルシウムMB1.5重量部からなるプロピレン系樹脂組成物について、セラミック溶射ダイを用いたメヤニ評価を行った。
ポリプロピレンブロック共重合体98.5重量部、ステアリン酸カルシウムMB1.5重量部からなるプロピレン系樹脂組成物について、硬質クロムメッキダイを用いたメヤニ評価を行った。
これに対して、本発明の要件を満足しない硬質クロムメッキダイを用いた比較例1および2は、ダイのリップ口を囲むリップ部に付着する異物(いわゆる、メヤニと呼ばれる異物等)の発生が抑制されていないことが分かる。
Claims (3)
- Tダイを通して、プロピレン系樹脂を押し出すプロピレン系フィルムの製造方法であって、ダイのリップ口のエッジ部にセラミックス材料が溶射されてなるセラミックス溶射部を有するTダイを用いるプロピレン系フィルムの製造方法。
- セラミックス材料がタングステンカーバイドを含む材料である請求項1記載のプロピレン系フィルムの製造方法。
- セラミックス溶射部の厚みが、50〜300μmである請求項1記載のプロピレン系フィルムの製造方法。
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JP2010530913A (ja) * | 2007-06-22 | 2010-09-16 | エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 特に高い耐候性および高いuv保護作用を有するpmma/pvdfフィルム |
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2005
- 2005-04-14 JP JP2005116590A patent/JP2006289888A/ja active Pending
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