JP4081599B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルムに関するものである。さらに詳しくは、しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムに適したヘイズを有し、外観が良好で衝撃強度に優れるプロピレン系樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、外観、機械的性質、包装適性等が優れているため、食品包装、繊維包装等の包装分野で広く使用されている。近年、しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムが望まれている。
【0003】
例えば、特開平5−448には、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体、半減期10時間となる分解温度が60℃以上である有機過酸化物、および、ポリエチレンあるいはエチレンと他のα−オレフィン及び/又はラジカル重合性極性不飽和化合物を用いて製造され、半透明性を表わす尺度である霞度が増大された半透明なフィルムが記載されている。しかし、しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムとしては、フィルムの外観と衝撃強度についてさらなる改良が望まれていた。また、上記公報に記載されている半透明なフィルムの製造には、半減期10時間となる分解温度が60℃以上である有機過酸化物を用いるため、その製造方法も複雑であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムに適したヘイズを有し、外観が良好で衝撃強度に優れるポリプロピレン系樹脂樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、
重量割合が一定の範囲にあるプロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分とエチレン含有量が特定の範囲にあり、重量割合が一定の範囲にあるプロピレン−エチレン共重合体成分からなり、前記プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度が特定の範囲にあり、前記プロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分の極限粘度と前記プロピレン−エチレン共重合体成分の極限粘度の比が特定の範囲にあり、メルトフローレートが特定の範囲にあり、重量割合が一定の範囲にあるプロピレン系共重合体と、メルトフローレートが特定の範囲にあり、重量割合が一定の範囲にあるプロピレン系重合体と、メルトフローレートが特定の範囲にあり、重量割合が一定の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンおよび/または密度が特定の範囲にある高密度ポリエチレンを含むポリプロピレン系樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルムが上記の課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
プロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)60〜80重量%とエチレン含有量が20〜50重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分(B)20〜40重量%からなり、
(i)成分(B)の極限粘度([η]B)が2.0〜3.5dl/gであり、
(ii)成分(A)の極限粘度([η]A)と成分(B)の極限粘度の比([η]B/[η]A)が1.3以下であり、メルトフローレートが5g/10分未満であるプロピレン系共重合体(I)30〜60重量%と、メルトフローレートが5g/10分以上であり、プロピレンの単独重合体またはプロピレン系ランダム共重合体であるプロピレン系重合体(II)30〜60重量%と、メルトフローレートが0.1〜2g/10分である高圧法低密度ポリエチレンおよび/または密度が0.940g/cm3以上である高密度ポリエチレン10〜40重量%を含むポリプロピレン系樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルムに係るものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるプロピレン系共重合体(I)とは、プロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)とプロピレン−エチレン共重合体成分(B)からなるポリプロピレン系共重合体であり、好ましくは、第1工程でプロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)を重合し、第2工程でプロピレン−エチレン共重合体成分(B)を重合することによって得られるポリプロピレン系共重合体である。
【0008】
プロピレン系共重合体(I)としては、例えば、プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)共重合体等が挙げられ、好ましくはプロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン)共重合体である。
【0009】
プロピレン系共重合体(I)のプロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)におけるプロピレンの含有量は、90〜100重量%であり、さらに好ましくは95〜100重量%である。
【0010】
プロピレン系共重合体(I)のプロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)には、必要に応じて、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンを共重合させることができ、エチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。炭素数4〜12のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、好ましくは1−ブテンである。
【0011】
本発明に用いられるポリプロピレン系共重合体(I)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分(B)におけるエチレンの含有量は、20〜50重量%であり、好ましくは30〜50重量%である。20重量%未満の場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがあり、50重量%を超えた場合、耐衝撃性が悪化することがある。
【0012】
本発明に用いられるプロピレン系共重合体(I)におけるプロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)の含有量は60〜80重量%であり、プロピレン−エチレン共重合体成分(B)の含有量は20〜40重量%である。(但し、プロピレン系共重合体(I)の全重量を100重量%とする。)好ましくは重合体成分(A)の含有量は60〜75重量%であり、共重合体成分(B)の含有量は25〜40重量%である。
【0013】
重合体成分(A)の含有量が80重量%を超えた場合(すなわち、共重合体成分(B)の含有量が20重量%未満の場合)、衝撃強度が低いことがあり、
重合体成分(A)の含有量が60重量%未満の場合(すなわち、共重合体成分(B)の含有量が40重量%を超えた場合)、フィルムがべたつくことがある。
【0014】
本発明に用いられるプロピレン系共重合体(I)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分(B)の極限粘度([η]B)としては、2.0〜3.5dl/gであり、より好ましくは2.2〜3.5dl/gであり、さらに好ましくは2.4〜3.5dl/gである。共重合体成分(B)の極限粘度([η]B)が2.0dl/g未満の場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがある。
【0015】
本発明に用いられるプロピレン系共重合体(I)におけるプロピレン−エチレン共重合体成分(B)の極限粘度([η]B)とプロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られる重合体成分(A)の極限粘度([η]A)の比([η]B/[η]A)は1.3以下であり、好ましくは0.5〜1.3であり、より好ましくは0.6〜1.2である。1.3を超えた場合、フィッシュが発生して外観が悪化することがある。
【0016】
本発明に用いられるプロピレン系共重合体(I)のメルトフローレートは、5g/10分未満であり、好ましくは0.1g/10分以上5g/10分未満であり、より好ましくは0.2〜4g/10分である。共重合体(I)のメルトフローレートが5g/10分以上の場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがある。
【0017】
本発明に用いられるプロピレン系重合体(II)は、プロピレンの単独重合体またはプロピレン系ランダム共重合体である。プロピレン系ランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。好ましくはプロピレン単独重合体である。α−オレフィンとしては、炭素数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、好ましくは1−ブテンである。
【0018】
本発明に用いられるプロピレン系重合体(II)のメルトフローレートは5g/10分以上であり、好ましくは5〜30g/10分であり、より好ましくは7〜25g/10分である。重合体(II)のメルトフローレートが5g/10分未満の場合、樹脂組成物の流動性が低く加工性が悪化することがある。
【0019】
本発明で用いられるプロピレン系共重合体(I)およびプロピレン系重合体(II)の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の触媒を用いて、公知の重合方法により製造される。
公知の触媒としては、例えば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分等からなるTi−Mg系触媒、前記固体触媒成分に有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分を組み合わせた触媒系、および、メタロセン系触媒等が挙げられ、好ましくはマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に有機アルミニウム化合物および電子供与性化合物を組み合わせた触媒系であり、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報等に記載された触媒系である。
【0020】
公知の重合方法としては、例えば、不活性炭化水素溶媒を用いるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒で行なう液相重合法、気相重合法、および、それらを連続的に行う液相−気相重合法等が挙げられ、好ましくは気相重合法である。
必要に応じて、ポリプロピレンの残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
【0021】
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレンの密度は、0.910〜0.935g/cm3であり、好ましくは0.910〜0.930g/cm3である。密度が0.910g/cm3未満の場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがあり、0.935g/cm3を超えた場合、衝撃強度が低下することがある。
【0022】
本発明で用いられる高密度ポリエチレンとは、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体またはエチレン−α−オレフィン共重合体である。
エチレン−α−オレフィン共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、前述のプロピレン系共重合体(I)および前述のポリプロピレン系重合体(II)で用いられる炭素数4〜12のα−オレフィンと同様のものが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体のα−オレフィン含有量は、通常、0.1〜10モル%であり、好ましくは0.1〜5モル%である。
【0023】
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。
高密度ポリエチレンとして、好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体である。
【0024】
高密度ポリエチレンの密度は、0.940g/cm3以上であり、通常は0.970g/cm3以下である。好ましくは0.950〜0.970g/cm3である。
【0025】
高密度ポリエチレンの製造方法は、特に限定されるものではなく、一般に公知の重合触媒と公知の重合方法を用いる製造方法が挙げられる。
公知の重合触媒としては、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒等が挙げられ、公知の重合方法としては、例えば、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法等が挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンのメルトフローレートは、0.1〜2g/10分であり、好ましくは0.1〜1.5g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合、フィッシュアイが発生し、外観が悪化することがあり、2g/10分を超えた場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがある。
【0027】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるプロピレン系共重合体(I)、プロピレン系重合体(II)、高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンの重量割合は、ロピレン系共重合体(I)が30〜60重量%であり、プロピレン系重合体(II)が30〜60重量%であり、高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンが10〜40重量%である。好ましくはプロピレン系共重合体(I)が35〜55重量%であり、プロピレン系重合体(II)が35〜55重量%であり、高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンが10〜30重量%である。
【0028】
プロピレン系共重合体(I)が30重量%未満の場合、インパクトが低下することがあり、60重量%を超えた場合、流動性が低く加工性が悪化することがある。プロピレン系重合体(II)が30重量%未満の場合、流動性が低く加工性が悪化することがあり、60重量%を超えた場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがある。高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンが10重量%未満の場合、艶消し効果が不充分である(ヘイズが低い)ことがあり、40重量%を超えた場合、流動性が低く、加工性が悪化することがある。
【0029】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されるものではなく、通常用いられる溶融混練する方法が挙げられ、好ましくは、プロピレン系共重合体(I)を少なくとも1回以上溶融混練する方法である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法で用いられるプロピレン系共重合体(I)、プロピレン系重合体(II)、高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンをブレンドする方法としては、例えば、プロピレン系共重合体(I)、プロピレン系重合体(II)、高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンを溶融ブレンドする方法、プロピレン系共重合体(I)、プロピレン系重合体(II)、高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンのそれぞれのペレットを製膜時にペレットブレンドする方法等が挙げられる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法で用いられる混練方法としては、公知の混練機を使用する方法が挙げられ、混練機としては、例えば、単軸混練押出機、多軸混練押出機やバンバリーミキサー等が挙げられる。
【0030】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加しても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
その他の樹脂としては、オレフィン系樹脂、エチレンとα−オレフィンの共重合体であるエラストマー等が挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、均一系触媒(例えば、メタロセン触媒等)で製造されたものであっても良い。さらに、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
【0031】
本発明のフィルムは単層フィルムでもあってもよく、本発明のフィルムからなる層を少なくとも1層含む多層フィルムであってもよい。また、本発明のフィルムは未延伸フィルムであってもよく、本発明のポリプロピレン系フィルムを延伸した延伸フィルムであってもよい。好ましくは、未延伸フィルムである。
【0032】
本発明のフィルムの製造方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、通常用いられるインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等を用いて単独で製膜する方法や多層フィルムの少なくとも1層として製膜する方法が挙げられる。多層フィルムの製造方法としては、例えば、共押し出し加工法、押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。
【0033】
本発明のフィルムの用途としては、特に制限されるものではなく、包装用途等が挙げられ、例えば、食品、繊維、雑貨等の包装用途が挙げられる。好ましくは、しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムである。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で用いたポリプロピレンおよび樹脂組成物の物性の測定および評価は下記の方法に従って行った。
(1)プロピレン系共重合体の成分(A)および成分(B)の含有量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体の成分(A)および成分(B)の重合時の物質収支から、成分(A)の含有量(PA)、成分(B)の含有量(PB)を求めた。
【0035】
(2)プロピレン系共重合体の成分(B)のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン系共重合体の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って求め、下式(1)により成分(B)のエチレン含量を求めた。
EB=(ET−EA×PA)/PB 式(1)
(ただし、ET、EAおよびEBは それぞれプロピレン系共重合体の全体、成分(A)および成分(B)におけるエチレン含有量を表し、PAおよびPBは成分(A)および成分(B)の含有量を示す。)
【0036】
(3)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(3−1)成分(A)、成分(B)の極限粘度([η]A、[η]B)
第一工程の重合終了時にサンプリングした成分(A)の極限粘度[η]Aと第二工程の重合終了後に得られた共重合体の全体の極限粘度[η]T、および、成分(A)の含有量(PA)と成分(B)の含有量(PB)を用いて、下式(2)から成分(B)の極限粘度[η]Bを算出した。
[η]A×PA/100 + [η]B×PB/100 = [η]T 式(2)
【0037】
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
ポリプロピレンのメルトフローレートはJIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
ポリエチレンのメルトフローレートはJIS K6730に従って測定した。
【0038】
(5)密度(単位:g/cm3)
ポリエチレンの密度はJIS K7112に従って測定した。
【0039】
(6)ヘイズ(単位:%)
JIS K7105に従って測定した。
【0040】
(7)衝撃強度(単位:kg−cm/mm)
0℃において、東洋精機製フィルムインパクトテスターを使用して、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、フィルムの衝撃強度を測定した。
【0041】
実施例1
住友化学工業株式会社製 AD630G2(プロピレン系共重合体、[η]A=2.8dl/g、[η]B=2.8dl/g、[η]B/[η]A=1.0、成分(A)含量=79重量%、成分(B)含量=21重量%、成分(B)中のエチレン含量 36重量%) 100重量部に水酸化カルシウム 0.01重量部、イルガノックス1010(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製) 0.20重量部、Eオイル100(理研ビタミン社製) 0.05重量部をあらかじめ混合して、溶融混練してペレットを得た。得られたペレットのMFRは0.60g/10分であった。
得られたペレット 45重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3(ポリプロピレン単独重合体、MFR=7.5g/10分) 45重量%、京葉ポリエチレン社製E8084(高密度ポリエチレン、密度:0.959g/cm3、MFR=1.0g/10分) 10%をドライブレンドして、幅400mmのコートハンガー式Tダイを備えたφ50mm押出機を用いて、樹脂温度250℃、吐出量12Kg/hrで押出し、チルロール温度40℃、ライン速度20m/min、エアーチャンバー冷却方式で冷却し厚みが30μmであるフィルムを作成し、評価した。結果を表1に示した。
【0042】
実施例2
実施例1で得られたペレット 45重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 45重量%、京葉ポリエチレン社製E8040(高密度ポリエチレン、密度=0.957g/cm3、MFR=0.40g/10分) 10重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0043】
実施例3
実施例1で得られたペレット 45重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 45重量%、京葉ポリエチレン社製E9810(高密度ポリエチレン、密度=0.956g/cm3、MFR=0.11g/10分) 10重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0044】
実施例4
実施例1で得られたペレット 45重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 45重量%、住友化学工業株式会社製F101−1(高圧法低密度ポリエチレン、密度=0.922g/cm3、MFR=0.30g/10分) 10重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0045】
実施例5
実施例1で得られたペレット 40重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 40重量%、住友化学工業株式会社製F101−1(高圧法低密度ポリエチレン、密度=0.922g/cm3、MFR=0.30g/10分) 20重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0046】
比較例1
実施例1で得られたペレット 50重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 50重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0047】
比較例2
実施例1で得られたペレット 45重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 45重量%、住友化学工業株式会社製FS150C(直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン−1−ブテン共重合体)、密度=0.923g/cm3、MFR=0.80g/10分) 10重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0048】
比較例3
実施例1で得られたペレット 45重量%、住友化学工業株式会社製FLX80E3 45重量%、京葉ポリエチレン社製E3001Y(高密度ポリエチレン、密度=0.950g/cm3、MFR=0.04g/10分) 10重量%をドライブレンドして実施例1と同様にフィルムを作成して、評価した。結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
本発明の要件を満足する実施例1〜5は、外観が良好で衝撃強度に優れ、
しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムに適したヘイズを有することが分かる。
これに対して、本発明の要件である高圧法低密度ポリエチレンおよび/または高密度ポリエチレンを用いなかった比較例1は、ヘイズが低いことが分かる。また、本発明の要件である高圧法低密度ポリエチレン、または、密度が0.940g/cm3以上である高密度ポリエチレンのいずれをも用いなかった比較例2は、ヘイズが低いことが分かる。そして、本発明の要件である高密度ポリエチレンのMFRを満足しない比較例3は、フィッシュアイが発生し、外観が悪いことが分かる。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によって、しっとり感があり、高級感のある外観を有する艶消しフィルムに適したヘイズを有し、外観が良好で衝撃強度に優れるポリプロピレン系樹脂樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなるフィルムを得ることができる。
Claims (5)
- プロピレンを主体とする単量体成分を重合して得られ、プロピレンの含有量が90〜100重量%である重合体成分(A)60〜80重量%とエチレン含有量が20〜50重量%であるプロピレン−エチレン共重合体成分(B)20〜40重量%からなり、
(i)成分(B)の極限粘度([η]B)が2.0〜3.5dl/gであり、
(ii)成分(A)の極限粘度([η]A)と成分(B)の極限粘度の比([η]B/[η]A)が1.3以下であり、メルトフローレートが5g/10分未満であるプロピレン系共重合体(I)30〜60重量%と、メルトフローレートが5g/10分以上であり、プロピレンの単独重合体またはプロピレン系ランダム共重合体であるプロピレン系重合体(II)30〜60重量%と、メルトフローレートが0.1〜2g/10分である高圧法低密度ポリエチレンおよび/または密度が0.940g/cm3以上である高密度ポリエチレン10〜40重量%を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。 - プロピレン系共重合体(I)を少なくとも1回以上溶融混練することを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とするフィルム。
- 未延伸フィルムであることを特徴とする請求項3記載のフィルム。
- 艶消しフィルムであることを特徴とする請求項3または4に記載のフィルム。
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