JP5159352B2 - マット調延伸積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、マット調のバラツキが少ない延伸積層フィルムに関する。さらに詳しくは、包装用フィルムとして商品の外観に高級感を持たせることができる程、低光沢性かつ隠蔽性に優れた、マット調を有する延伸積層フィルムに関する。
結晶性ポリプロピレンの延伸フィルムは、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃性、耐寒性などの機械特性、光沢性、透明性などの光学特性、および食品衛生性などに優れており、特に食品包装の分野に広く利用されている。最近では、包装された内容物の差別化、高級感、意匠性を高めることができる包装用フィルムとして、低光沢性かつ隠蔽性に優れた、マット調を有するポリプロピレンの延伸フィルムが好まれるようになってきている。
このようなマット調を有するポリプロピレンの延伸フィルムとしては、たとえば、プロピレン単独重合体とプロピレン・α−オレフィン共重合体とのプロピレン重合体組成物から得られる基層の片面または両面に、プロピレン系重合体とエチレン系重合体とのポリオレフィン組成物から得られる層が積層されてなる二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。前記二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムは、プロピレン系重合体と高圧法ポリエチレンなどの相溶性の悪いエチレン系重合体とを組み合わせることにより、フィルムの低光沢化や隠蔽性の向上を図っている。
しかしながら、上記ポリオレフィン組成物を用いた場合、その一部が押出成形時にダイリップに付着し、いわゆる目ヤニの原因となり、フィルムの厚薄むらやマット調のバラツキが生じるなどの外観不良が引き起こされることがある。このため、フィルムの連続製造に支障をきたし、全体の製造コストを押し上げる要因になっている。
また、上記プロピレン系重合体に対するエチレン系重合体の分散性が充分ではなく、フィルムにおけるマット調のバラツキが生じるという問題もある。
特開2003−276136号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、成形時に目ヤニの発生を防止することができ、厚薄精度が良く、マット調のバラツキが少ないなど外観に優れる延伸積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の延伸積層フィルムは、プロピレン系重合体(A)から形成される基層と、該基層の片面または両面に積層された、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)90〜60重量%とエチレン系重合体(b−2)10〜40重量%とを含む樹脂組成物(B)から形成される層とを有する延伸積層フィルムであって、該プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)が、メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分の範囲にあり、融点が145〜170℃の範囲にあり、下記(1)〜(3)を満たす室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)90〜70重量%と下記(4)〜(6)を満たす室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)10〜30重量%とから構成されることを特徴とする;
(1)Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた分
子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5
(2)Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が0.5モル%未満
(3)Dinsol中のプロピレンの2,1−挿入結合量と1,3−挿入結合量との和が
0.2モル%以下
(4)DsolのGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5
(5)Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.5〜4.0dl/

(6)Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15〜40モル%。
前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)は、メタロセン触媒の存在下で重合されて得られることが好ましい。
前記エチレン系重合体(b−2)は、密度(ASTM D1505)が0.910〜0.970g/cm3の範囲にあることが好ましい。
前記基層の厚みは、フィルム全体の厚みに対して80〜90%の範囲にあることが好ましい。
本発明の延伸積層フィルムは、成形時に目ヤニの発生を防止することができ、厚薄精度が良く、マット調のバラツキが少ないなど外観に優れる。このため、従来延伸フィルムが使用されているあらゆる用途、たとえば、食品包装用フィルムや、日用雑貨品、工業用品などの非食品包装用フィルムに好適に使用できる。
本発明の延伸積層フィルムは、プロピレン系重合体(A)から形成される基層と、該基層の片面または両面に積層された、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを含む樹脂組成物(B)から形成される層(以下、「マット層」ともいう。)とを有する。
〔プロピレン系重合体(A)〕
本発明の延伸積層フィルムを構成する基層は、プロピレン系重合体(A)から形成される。
上記プロピレン系重合体(A)としては、一軸または二軸延伸フィルム用ポリプロピレンとして製造・販売されている従来公知の結晶性ポリプロピレンを用いることができ、通常、プロピレン単独重合体またはプロピレン以外のα−オレフィン由来の構成単位を少量、たとえば10モル%以下、好ましくは5モル%以下の量で含むプロピレン・α−オレフィン共重合体である。前記α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数2〜20のプロピレン以外のα−オレフィンが挙げられる。
上記プロピレン系重合体(A)のMFR(ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)は、通常0.5〜60g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分、特に好ましくは1〜5g/10分の範囲にある。
上記プロピレン系重合体(A)の融点は、通常145〜170℃、好ましくは150〜165℃の範囲にある。
上記プロピレン系重合体(A)のアイソタクチック・インデックス(沸騰n−ヘプタン不溶成分割合)は、通常92.0%以上、好ましくは93.0〜98.0%の範囲にある
。プロピレン系重合体(A)のアイソタクチック・インデックスが前記範囲にあると、積層フィルムの延伸性が損なわれないため好ましい。
上記プロピレン系重合体(A)は、従来公知の固体状チタン触媒成分またはメタロセン触媒成分を含むオレフィン重合用触媒を用いて、従来公知の方法により製造することができる。
本発明において、上記プロピレン系重合体(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防雲剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤などが挙げられる。
〔樹脂組成物(B)〕
本発明の延伸積層フィルムを構成するマット層は、樹脂組成物(B)から形成され、該延伸積層フィルムにマット調を付与する層である。前記樹脂組成物(B)は、後述するプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを含む。
上記樹脂組成物(B)におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の含有量は、90〜60重量%、好ましくは80〜65重量%の範囲にある。前記共重合体(b−1)の含有量が前記範囲を上回ると、延伸積層フィルムのマット感が不足することがある。また、前記共重合体(b−1)の含有量が前記範囲を下回ると、延伸積層フィルムの剛性、機械的強度などが低下するおそれがある。
また、上記樹脂組成物(B)におけるエチレン系重合体(b−2)の含有量は、10〜40重量%、好ましくは20〜35重量%の範囲にある。エチレン系重合体(b−2)の含有量が前記範囲にあると、延伸積層フィルムに良好なマット調を付与することができる。
上記樹脂組成物(B)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを、従来公知の方法で混合することにより得られる。たとえば、予めプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを別個に重合し、機械的に混合する方法、混合した後溶融混練する方法などが挙げられる。なお、溶融混練においては、二軸押出機にて混練するとマット感の安定性が良好となるため好ましい。
本発明においては、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)を用いることにより、該共重合体(b−1)に対する上記エチレン系重合体(b−2)の分散性が向上する。このため、マット調のバラツキが少ない延伸積層フィルムが製造可能となる。
<プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)>
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)は、メルトフローレート(MFR、ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分の範囲にあり、融点が145〜170℃、好ましくは155〜165℃の範囲にあり、室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)90〜70重量
%と、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)10〜30重量%とから構成される。ここ
で、前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)におけるMFR、融点、室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の重量分率、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)の重量分率は、前記範囲内において必要に応じて適宜変更することができる。
さらに、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)において、上記Dinsolが要件(1)〜(3)を満たし、上記Dsolが要件(4)〜(6)を満たす。
(1)Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた分
子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5
(2)Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が0.5モル%未満
(3)Dinsol中のプロピレンの2,1−挿入結合量と1,3−挿入結合量との和が
0.2モル%以下
(4)DsolのGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5
(5)Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.5〜4.0dl/

(6)Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15〜40モル%。
以下、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)が備える上記要件(1)〜(6)について詳細に説明する。
≪要件(1)≫
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)のGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.5、好まし
くは1.5〜3.0の範囲にある。DinsolのMw/Mnを前記範囲に調節するためには
、前記共重合体(b−1)を製造する際に用いる触媒として、後述するメタロセン触媒を用いることが好ましい。
insolのMw/Mnが上記範囲にあると、積層フィルムの延伸性が改善され、ブリー
ドアウトの発生が抑制される。DinsolのMw/Mnが上記範囲を超えると、上記共重合
体(b−1)が低分子量成分を過剰に含むため、本発明の延伸積層フィルムからブリードアウトが発生するおそれがある。また、DinsolのMw/Mnが上記範囲を下回ると延伸
条件が狭くなりすぎ安定した延伸が出来なくなるおそれがある。
本発明においては、Dinsolにおいて好適なMw/Mnの値を示すプロピレン・エチレ
ンブロック共重合体(b−1)を用いるので、延伸性が良好でブリードアウトが少ないという特徴を有する延伸積層フィルムを得ることができる。
≪要件(2)≫
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)中のエチレンに由来する骨格の含有量は、0.5モル%未満である。Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が0.5モル%以上であると、前記共重合体(b−1)の融点が低くなり、本発明の延伸積層フィルムの高温における剛性が低下するおそれがある。
≪要件(3)≫
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)中のプロピレンの2,1−挿入結合量と1,3−挿入結合量との和は、0.
2モル%以下、好ましくは0.1モル%以下である。前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)を製造する際に、プロピレンとエチレンとの共重合性が低い場合には、Dinsol中のプロピレンの2,1−挿入結合量と1,3−挿入結合量との和が前記範囲
を超える場合がある。その結果、室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)中に含まれる後
述するプロピレン・エチレン共重合体ゴム(β)成分の組成分布が広くなり、本発明の延伸積層フィルムの低温における耐衝撃性が低下するなどの不具合が発生することがある。
≪要件(4)≫
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の室温n−デカンに可溶な部分
(Dsol)のGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜3.5、好ましく
は1.2〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5の範囲にある。DsolのMw/Mn
を前述のように狭くするためには、前記共重合体(b−1)を製造するに、後述するメタロセン触媒を用いることが好ましい。
solのMw/Mnが上記範囲を超えると、Dsol中に低分子量の後述するプロピレン・
エチレン共重合体ゴム(β)成分が多く含まれることになり、本発明の延伸積層フィルムの耐衝撃性が低下する、保管時にブロッキングが発生するなどの不具合が生ずるおそれがある。
≪要件(5)≫
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)の135℃デカリン中における極限粘度[η]は、1.5〜4.0dl/g、
好ましくは1.5dl/gを超え3.5dl/g以下であり、より好ましくは1.8〜3.5dl/g、さらに好ましくは2.0〜3.0dl/gの範囲にある。前記共重合体(b−1)の製造において、後述するメタロセン触媒を用いると、Dsolの極限粘度[η]
が1.5dl/gを超えるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)を製造することが極めて容易であり、特にDsolの極限粘度[η]が1.8dl/g以上のプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)を製造する際には好適である。
また、Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が4.0dl/gを超える
場合には、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)を製造する際に、超高分子量またはエチレンに由来する骨格を過剰に含むプロピレン・エチレン共重合体ゴムが微量に副生していることがある。この微量に副生したプロピレン・エチレン共重合体ゴムは、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)中に不均一に存在するため、該共重合体(b−1)に対するエチレン系重合体(b−2)の分散性が低下し、本発明の延伸積層フィルムのマット調が低下する、耐衝撃性が低下する、フィッシュアイなどが発生するなどの外観不具合が生ずることがある。
≪要件(6)≫
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)中のエチレンに由来する骨格の含有量は、15〜40モル%、好ましくは15
〜35モル%の範囲にある。Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が前記範囲を下
回ると、本発明の延伸積層フィルムの耐衝撃性が低下するおそれがある。また、Dsol
におけるエチレンに由来する骨格の含有量が前記範囲を超えると、本発明の延伸積層フィルムの透明性が低下するおそれがある。
≪プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)の製造方法≫
本発明において用いられるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)は、たとえば、二つ以上の反応装置を直列に連結した重合装置を用い、好適にはメタロセン触媒の存在下に、『重合工程1』でプロピレンを単独重合またはプロピレンと少量のエチレンとを共重合してプロピレン系重合体(α)を製造後、『重合工程2』でプロピレンとエチレンとを共重合してプロピレン・エチレン共重合体ゴム(β)を製造して得られる。
本発明の延伸積層フィルムが良好かつバラツキの少ないマット調を有するのは、以下の理由によると考えられる。
上述のようにメタロセン触媒を用いると、重合性が良いため、『重合工程2』において効率よくプロピレン・エチレン共重合体ゴム(β)を製造することができる。また、『重合工程1』および『重合工程2』を通じて、エチレン単独重合体や、エチレン由来の構成単位を多量に含有するプロピレン・エチレン共重合体ゴムはほとんど発生しない。このた
め、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)は、『重合工程2』で製造されるプロピレン・エチレン共重合ゴム(β)が、『重合工程1』で製造されるプロピレン系重合体(α)中に均一に微分散した構造を有する。
このようなプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)に、マット調を付与するために用いられるエチレン系重合体(b−2)を添加すると、該共重合体(b−1)が上述の均一かつ微分散した構造を有することから、樹脂組成物(B)中における該エチレン系重合体(b−2)の分散性が極めて向上するのである。
また、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)中には、密度や分子量を制御することができないエチレン系重合体成分はほとんど含まれない。このため、樹脂組成物(B)中には、密度や分子量を制御することができるエチレン系重合体(b−2)のみが主として含まれる。
このように、エチレン系重合体(b−2)がプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)中に極めて均一に微分散した樹脂組成物(B)をマット層として用いることにより、マット調のバラツキが少ない延伸積層フィルムが製造可能となったと考えられえる。
−重合工程1(以下、単に[工程1]ともいう。)−
[工程1]では、通常、重合温度0〜100℃、重合圧力0〜5MPaゲージ圧で、プロピレンを単独で重合、またはプロピレンとエチレンとを共重合させる。[工程1]では、プロピレンを単独で重合し、またはプロピレンに対してエチレンのフィード量を少量として共重合することによって、得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)のDinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量を0.5モル%未満とすることができ
る。なお、[工程1]における重合は単段重合であっても多段重合であってもよい。
−重合工程2(以下、単に[工程2]ともいう。)−
[工程2]では、通常、重合温度0〜100℃、重合圧力0〜5MPaゲージ圧で、プロピレンとエチレンとを共重合させることにより、[工程2]で製造されるプロピレン・エチレン共重合体ゴム(β)がDsolの主成分となるようにする。
上記のようにすることにより、Dinsolに係る要件(1)〜(3)は、[工程1]にお
ける重合条件の調整によって、Dsolに係る要件(4)〜(6)は、[工程2]における
重合条件の調整によって、充足させることができる。
また、本発明において用いられるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)が満足すべき物性については、後述するメタロセン触媒の化学構造により決定されることが多い。具体的には、要件(1)DinsolのGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)、
要件(3)Dinsol中のプロピレンの2,1−挿入結合量と1,3−挿入結合量との和、
要件(4)DsolのGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)、およびプロピレン・エ
チレンブロック共重合体(b−1)の融点については、主として、[工程1]および[工程2]において好ましく用いられるメタロセン触媒を適切に選択することによって調節することができる。
さらに、要件(2)Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量については、[工程
1]におけるエチレンのフィード量などによって調整することができる。要件(5)Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]については、[工程2]における水素な
どの分子量調節剤のフィード量などによって調節することができる。要件(6)Dsol
のエチレンに由来する骨格の含有量については、[工程2]におけるエチレンのフィード量などによって調節することができる。
また、[工程1]と[工程2]とで製造する重合体の量比を調整することによって、DinsolとDsolとの組成比、およびプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)のMFRを適切に調節することができる。
また、本発明において用いられるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)は、上記[工程1]で製造されるプロピレン系重合体(α)と、上記[工程2]で製造されるプロピレン・エチレン共重合体ゴム(β)とを、メタロセン触媒の存在下で個別に製造した後に、溶融混練などの物理的手段を用いてブレンドして製造してもよい。
≪メタロセン触媒≫
本発明において好適に使用されるメタロセン触媒は、メタロセン化合物と、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、必要に応じて粒子状担体とからなるメタロセン触媒であり、好ましくはアイソタクチックまたはシンジオタクチック構造などの立体規則性重合をさせることのできるメタロセン触媒を挙げることができる。
(メタロセン化合物)
上記メタロセン化合物の中では、本願出願人による国際出願(WO01/27124号パンフレット)に例示されている以下に示すような架橋性メタロセン化合物が用いられる。
Figure 0005159352
上記一般式[I]において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10
11、R12、R13、R14は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、
1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基などを挙げることができる。
ケイ素含有基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。
上記一般式[I]において、置換基R5〜R12は隣接する置換基と相互に結合して環を
形成してもよい。このような置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基などを挙げることができる。
上記一般式[I]において、シクロペンタジエニル環に置換するR1、R2、R3、R4は水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、上述の炭化水素基を例示することができる。さらに好ましくはR3が炭素数1〜20の炭化水素基である。
上記一般式[I]において、フルオレニル環に置換するR5〜R12は炭素原子数1〜2
0の炭化水素基であることが好ましい。炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、上述の炭化水素基を例示することができる。
上記一般式[I]において、シクロペンタジエニル環とフルオレニル環とを架橋するYは周期律表第14族元素であることが好ましく、より好ましくは炭素、ケイ素、ゲルマニウムであり、さらに好ましくは炭素原子である。このYに置換するR13、R14は炭素原子数1〜20の炭化水素基が好ましい。これらは相互に同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、上述の炭化水素基を例示することができる。さらに好ましくは、R14は炭素数6〜20のアリール(
aryl)基である。アリール基としては、上述の環状不飽和炭化水素基、環状不飽和炭
化水素基の置換した飽和炭化水素基、ヘテロ原子含有環状不飽和炭化水素基を挙げることができる。このような置換基としては、フルオレニリデン基、10−ヒドロアントラセニリデン基、ジベンゾシクロヘプタジエニリデン基などが好ましい。
また、上記一般式[I]で表されるメタロセン化合物は、R1、R4、R5またはR12
ら選ばれる置換基と架橋部のR13またはR14とが互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式[I]において、Mは好ましくは周期律表第4族遷移金属であり、さらに好ましくはTi、Zr、Hfである。また、Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子
または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。jは1〜4の整数であり、jが2以上のときは、Qは互いに同一でも異なっていてもよい。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、炭化水素基の具体例としては、上述した炭化水素基などが挙げられる。
アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルホネート基などが挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類などが挙げられる。
Qは少なくとも1つがハロゲン原子または炭化水素基であることが好ましい。
このような架橋メタロセン化合物としては、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル-シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ
フェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル-シクロペンタジエニル)(2,
7−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチル-シクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブ
チルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(メチル)(フェニル)メチレン(3−tert−ブチル−5−メチル-シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロベン
ゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド(下記式[II]参照。)などが好ましく挙げられる。
Figure 0005159352
(有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物、粒子状担体)
上記メタロセン化合物ととともに用いられる有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、およびメタロセン化合物と反応してイオン対を形成することのできる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、ならびに必要に応じて用いられる粒子状担体は、本出願人による上記公報(WO01/27124号パンフレット)または特開平11−315109号公報中に開示された化合物を制限無く使用することができる。
〔エチレン系重合体(b−2)〕
上記エチレン系重合体(b−2)としては、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素数3以上、好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上のα−オレフィンとの共重合
体などを用いることができる。前記α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらは、通常、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンと呼ばれる重合体であり、これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記エチレン系重合体(b−2)は、密度(ASTM D1505)が、通常0.910〜0.970g/cm3、好ましくは0.915〜0.960g/cm3の範囲にあり、MFR(ASTM D1238、190℃、荷重2.16kg)が、通常0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲にあることが、延伸積層フィルムに良好なマット調を付与する点で好ましい。なお、エチレン系重合体(b−2)の密度が前記範囲より低すぎたり、MFRが高すぎると、延伸積層フィルムに良好なマット感を付与出来ないことがある。また、エチレン系重合体(b−2)の密度が上記範囲より高すぎたり、MFRが小さすぎると、エチレン系重合体(b−2)が樹脂組成物(B)中で微分散せず、良好なマット調を付与出来ないばかりか、フィッシュアイ等が急増することがある。
上記エチレン系重合体(b−2)は、通常、高圧法またはチーグラー系触媒もしくはメタロセン系触媒を用いて製造される。
本発明において、上記樹脂組成物(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防雲剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤などが挙げられる。
〔延伸積層フィルム〕
本発明の延伸積層フィルムは、プロピレン系重合体(A)から形成される基層と、該基層の片面または両面に積層された、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを含む樹脂組成物(B)から形成されるマット層とを有する。本発明の延伸フィルムは、基層の厚みがフィルム全体の厚みに対して、通常80〜90%の範囲にある。
さらに、本発明の延伸積層フィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で以下に記載する層を有してもよく、また、該フィルム表面に表面処理を施してもよい。
(低温ヒートシール層)
本発明の延伸積層フィルムは、低温ヒートシール性を必要とする用途においては、本発明の目的を損なわない範囲で低温ヒートシール層を有してもよい。前記低温ヒートシール層は、たとえば、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの結晶性または低結晶性共重合体、プロピレンとエチレンまたは炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリブテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの低融点のポリマー、またはこれらの混合物から形成される。
(ガスバリアー層)
本発明の延伸積層フィルムは、ガスバリアー性を必要とする用途においては、本発明の目的を損なわない範囲でガスバリアー層を有してもよい。前記ガスバリアー層は、たとえば、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニリデン系重合体などを積層すること、あるいは、金属またはその酸化物、シリカなどを蒸着することにより形成される。
(その他の処理)
本発明の延伸積層フィルムは、他の物質との接着性を必要とする用途においては、該フ
ィルム表面をイミン、ウレタンなどの接着剤でアンカー処理してもよいし、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを積層してもよい。
また、本発明においては、必要に応じて延伸積層フィルムの片面または両面に対し、コロナ処理、火炎処理などの表面処理を施してもよい。
<延伸積層フィルムの製造>
本発明の延伸積層フィルムは、プロピレン系重合体(A)と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)およびエチレン系重合体(b−2)を含む樹脂組成物(B)と、必要に応じて設けるヒートシール層などを形成する上述の組成物とを、たとえば共押出しにより積層フィルムまたはシートへと成形した後、該積層フィルムまたはシートを一軸または二軸延伸することにより得ることができる。
なお、二軸延伸の方法としては、公知の逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法などが挙げられる。二軸延伸の条件は、公知の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造条件、たとえば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度を100〜155℃、縦延伸倍率を4〜7倍の範囲、横延伸温度を145〜190℃、横延伸倍率を6〜11倍の範囲に設定することができる。また、同時二軸延伸法では、延伸温度を145〜190℃、縦延伸倍率を5〜10倍、横延伸倍率を5〜10倍の範囲に設定することができる。
このようにして製造される本発明の延伸積層フィルムの具体的態様としては、(1)プロピレン系重合体(A)から形成される基層と、該基層の片面に積層された、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを含む樹脂組成物(B)から形成されるマット層からなる二層構造の延伸積層フィルム、(2)プロピレン系重合体(A)から形成される基層と、該基層の両面に積層された、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを含む樹脂組成物(B)から形成されるマット層からなる三層構造の延伸積層フィルム、(3)(1)または(2)のフィルムの片面または両面に上述のヒートシール層を積層して得られる延伸積層フィルム、(4)(1)または(2)のフィルムの片面または両面に上述のガスバリアー層を積層して得られる延伸積層フィルム、などが挙げられる。
本発明によれば、延伸積層フィルムのマット層を構成する樹脂組成物(B)として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)とエチレン系重合体(b−2)とを用いることで、該共重合体(b−1)に対する該重合体(b−2)の分散性が格段に向上し、得られる延伸積層フィルムにバラツキの少ないマット調を付与することができる。したがって、本発明の延伸積層フィルムは、おにぎり・すし類、米菓類、キャンデー、菓子パンなどの食品包装用フィルムを始め、日用雑貨品、工業用品などの非食品包装用フィルムに好適に使用できる。
次に、本発明を実施例の基づき詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における物性の測定方法は以下のとおりである。
<m1> メルトフローレート(MFR)
MFRは、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従って測定した。なお、エチレン系重合体のMFRは「190℃、荷重2.16kg」にて測定した。
<m2> 融点(Tm)
示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製)を用いて測定を行った。ここで測定した第3stepにおける吸熱ピークを融点(Tm)と定義した。
(測定条件)
第1step:10℃/分で240℃まで昇温し、10分間保持する。
第2step:10℃/分で60℃まで降温する。
第3step:10℃/分で240℃まで昇温する。
<m3> 室温n−デカン可溶部量(D sol
最終生成物のサンプル5gにn−デカン200mlを加え、145℃で30分間加熱溶解した。約3時間かけて、20度まで冷却させ、30分間放置した。その後、析出物(以下、室温n−デカン不溶部:Dinsol)を濾別した。濾液を約3倍量のアセトン中に入れ
、n−デカン中に溶解していた成分を析出させた(析出物(A))。前記析出物(A)とアセトンとを濾別し、析出物(A)を乾燥した。なお、濾液側を濃縮乾固しても残渣は認められなかった。
n−デカン可溶部量は、以下の式によって求めた。
n−デカン可溶部量(重量%)=〔析出物(A)重量/サンプル重量〕×100。
<m4> Mw/Mn測定〔重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)〕
ウォーターズ社製GPC−150C Plusを用い以下の様にして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HTおよびTSKgel GMH6−HTLであり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株))および酸化防止剤としてBHT(和光純薬工業(株))0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試
料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、Mw<1000、およびMw>4×106につ
いては東ソー(株)製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミ
カル社製を用いた。
<m5> エチレンに由来する骨格の含有量
insol、Dsol中のエチレンに由来する骨格濃度を測定するために、サンプル20〜30mgを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(2:1)溶液0.6mlに溶解後、炭素核磁気共鳴分析(13C−NMR)を行った。プロピレン、エチレンの定量はダイアッド連鎖分布、
Figure 0005159352
を用い、以下の計算式(Eq−1)および(Eq−2)により求めた。
Figure 0005159352
<m6> 極限粘度[η]
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求
めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)。
<m7> 2,1−挿入結合量、1,3−挿入結合量の測定
13C−NMRを用いて、特開平7−145212号公報に記載された方法に従って、プロピレンの2,1−挿入結合量、および1,3−挿入結合量を測定した。
<m8> フィルムのヘイズ(曇り度)、その分散(σ)
フィルムのマット調のバラツキの指標として、ヘイズの分散(σ)を検証した。フィルムのヘイズ(曇り度)の測定数=60(1サンプル(200mm×250mm)につき12点測定し、5サンプルを測定)にて、平均値および分散を算出した。なお、フィルムの透明性の指標となるヘイズは、ASTM D1003に準拠して測定した。
<m9> 目視評価
目視にてフィルムのマット感を評価した。10人中9人以上の評価者がマット感が良好と回答した場合を「良」、マット感が不足あるいは一般的なOPPフィルムの範疇と回答した場合を「不(マット感小)」、マット感の濃淡ムラが大きいと回答した場合を「不(ムラ大)」と評価した。
<m10> 目ヤニ発生量
キャスト成形を連続3時間実施し、ダイリップ部に付着した目ヤニを目視にて確認した。なお、プライムポリプロF300SP(プライムポリマー社製 MFR=3.0、ホモポリプロピレン)を単独で製膜した際のダイリップ部への目ヤニ付着量(目視)を基準とした。前記基準に比べてダイリップ部への目ヤニ付着量が少し多い場合を「小」、明らかに多い場合を「多」と評価した。
〔製造例1〕プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)の製造
(1)固体触媒担体の製造
1L枝付フラスコにSiO2300gをサンプリングし、トルエン800mLを入れ、
スラリー化した後、5L4つ口フラスコへ移液をし、トルエン260mLを加えた。メチルアルミノキサン(以下、「MAO」ともいう。)のトルエン溶液(10重量%溶液)を2830mL加え、室温下で30分間攪拌した。1時間かけて110℃まで昇温し、4時間反応させた。反応終了後、室温まで降温した。冷却後、上澄みトルエン液を除去し、再びトルエンを加え、置換率が95%になるまで、置換を行った。
(2)固体触媒の製造(担体への金属触媒成分の担持)
グローブボックス内にて、5Lの4つ口フラスコに[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライドを2.0g秤取した。フラスコを外へ出し、トルエン0.46Lと上記(1)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4L
とを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られた[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド/MAO/SiO2/トルエンスラリ
ーはn−ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5Lとした。この操作は、室温で行った。
(3)前重合触媒の製造
上記(2)で調製した固体触媒成分404g、トリエチルアルミニウム218mL、ヘ
プタン100Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを1212g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液を除去し、ヘプタンで2回洗浄した。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で4g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は固体触媒成分1g当りポリエチレンを3g含んでいた。
(4)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を2NL/時間、上記(3)で製造した前重合触媒を固体触媒成分として3.5g/時間、トリエチルアルミニウム2.3mL/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合を行なった。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPaGであった。
得られたスラリーを内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、さらに重合を行った。プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.2モル%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPaGで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器に気固分離して得られた重合体を送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.52(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるように、プロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPaGで重合を行った。
得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例2〕プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1b)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例1と同様の方法でプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1b)を製造した。
(1)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、製造例1(3)で製造した前重合触媒を固体触媒成分として6.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3mL/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPaGであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.09モル%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPaGで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器に気固分離して得られた重合体を送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.10(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPaGで重合を行った。
得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1b)を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例3〕プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1c)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例1と同様の方法でプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1c)を製造した。
(1)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、製造例1(3)で製造した前重合触媒を固体触媒成分として6.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3mL/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPaGであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.09モル%になるように重合器へ供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPaGで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器に気固分離して得られた重合体を送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.10(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.9MPaGで重合を行った。
得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1c)を、80℃で真空乾燥した。
〔製造例4〕プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1d)の製造
重合方法を以下の様に変えた以外は、製造例1と同様の方法でプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1d)を製造した。
(1)本重合
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを30kg/時間、水素を1NL/時間、製造例1(3)で製造した前重合触媒を固体触媒成分として6.2g/時間、トリエチルアルミニウム2.3mL/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPaGであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が0.09モル%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.0MPaGで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの挟み込み管に移送し、ガス化させ、気固分離を行った後、480Lの気相重合器に気固分離して得られた重合体を送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.20(モル比)、水素/エチレン≒0(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.0MPaGで重合を行った。
得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1d)を、80℃で真空乾燥した。
以上の製造例1〜4で得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)〜(b−1d)の組成および物性を表1に示す。
Figure 0005159352
[実施例1]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)70重量部とエチレン系重合体(
b−2)(MFR=3.0g/10分、密度(ASTM D1505=0.923g/cm3)30重量部とを配合しタンブラーにて混合した後、30mmφの2軸押出機で23
0℃で溶融混錬し、ペレットを得た。
上記ペレットを用いて押出機で230℃に溶融しTダイより押し出し、チルロール温度30℃、引取り速度1.0m/分にて引取り厚さ0.65mmのシートを作成した。その際、プライムポリプロF300SP(プライムポリマー製 MFR=3.0g/10分、ホモポリプロピレン)を基層(なお、シート断面積比で基層の厚みがシート全体の厚みに対して85%となるように押出量を調整した。)とする共押出を行った。前記シートを1辺80mmの正方形に裁断した後、2軸延伸機を用いて153℃の延伸温度にて5×7(MD×TD)に逐次2軸延伸を延伸速度10m/分にて行い、厚さ18μmの延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
[実施例2]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)に替えてプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1b)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
[実施例3]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)に替えてプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1c)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
[実施例4]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)に替えてプロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1d)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
[比較例1]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1b)/エチレン系重合体(b−2)の配合重量割合を95部/5部としたこと以外は実施例2と同様にして、延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
[比較例2]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1b)/エチレン系重合体(b−2)の配合重量割合を55部/45部としたこと以外は実施例2と同様にして、延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
[比較例3]
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1a)に替えてプライムポリプロE601(プライムポリマー製、MFR=0.9g/10分、プロピレンブロック共重合体)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、延伸積層フィルムを得た。評価結果を表2に記す。
Figure 0005159352

Claims (4)

  1. プロピレン系重合体(A)から形成される基層と、
    該基層の片面または両面に積層された、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)90〜60重量%とエチレン系重合体(b−2)10〜40重量%とを含む樹脂組成物(B)から形成される層と
    を有する延伸積層フィルムであって、
    該プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)が、
    メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)が0.1〜20g/10分の範囲にあり、
    融点が145〜170℃の範囲にあり、
    下記(1)〜(3)を満たす室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)90〜70重量
    %と
    下記(4)〜(6)を満たす室温n−デカンに可溶な部分(Dsol)10〜30重量%

    から構成されることを特徴とする延伸積層フィルム;
    (1)Dinsolのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた分
    子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5
    (2)Dinsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が0.5モル%未満
    (3)Dinsol中のプロピレンの2,1−挿入結合量と1,3−挿入結合量との和が
    0.2モル%以下
    (4)DsolのGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5
    (5)Dsolの135℃デカリン中における極限粘度[η]が1.5〜4.0dl/

    (6)Dsol中のエチレンに由来する骨格の含有量が15〜40モル%。
  2. 前記プロピレン・エチレンブロック共重合体(b−1)が、メタロセン触媒の存在下で重合されて得られることを特徴とする請求項1に記載の延伸積層フィルム。
  3. 前記エチレン系重合体(b−2)が、密度(ASTM D1505)が0.910〜0.970g/cm3の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の延伸積層フ
    ィルム。
  4. 前記基層の厚みが、フィルム全体の厚みに対して80〜90%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の延伸積層フィルム。
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