JP6976692B2 - 直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムに関し、特に縦一軸延伸フィルムにおいて直線状の引裂き性能とつや消し調の両方を実現したつや消し調縦一軸延伸フィルムに関する。
現在、食品をはじめとする各種の物品の包装には、自動包装機によりフィルムと物品が同時に供給され、充填、包装、封止は連続して行われる。このような包装用フィルムに要求される性能の一つに包装体を構成するフィルムの開け易さ、すなわち易開封性への要求が高まっている。ここでいう易開封性とは、フィルムを一定方向にカットした際に真っ直ぐに引き裂くことができる性質である。包装フィルムの易開封性も物品(商品)の価値を高める訴求要因として重要である。そのため、易開封性の改良が求められている。例えば、所定物性のポリプロピレン及びポリエチレン等を含有したポリオレフィン樹脂組成物から得られた未延伸フィルムを一軸延伸したフィルムが提案されている(特許文献1等参照)。
さらに、前述の易開封性とは別に、高級感があり美麗な包装資材として、光沢フィルムの乱反射を抑制したつや消し調フィルム(マット調フィルム)やパール調光沢フィルムの需要も多い。特に、つや消し調は、物品(商品)の美麗さ等の価値を高める訴求要因としても重要であり、物品に応じたつや消し調が求められている。そこで、各種のフィルムが提案されている(特許文献2,3,4等参照)。
特許文献2のつや消し調のフィルム及び特許文献3のマット調延伸積層フィルムは、ポリプロピレン、プロピレンーエチレン共重合体を含有する。また、特許文献4のマット調延伸積層フィルムは無定型シリカからなる微粒子を含有する。特許文献5のパール光沢を有するポリプロピレン二軸延伸フィルムは炭酸カルシウムを含有する。列記の引用文献のフィルムは延伸または無延伸を問わず、つや消しフィルムは美麗な雰囲気があり高級感が増す。例示の引用文献をはじめ、従来から多用されているつや消し調フィルムを得る方法は、エンボス加工、またはポリプロピレンとポリエチレンのように非相溶樹脂や微粒子を配合する方法である。
そこで、引き裂き性の良さとつや消し調の美麗さを兼ね備えたフィルムの開発が検討されてきた。しかしながら、良好な引き裂き性を備えたフィルムは一軸延伸により製造される。当該製造の延伸時、フィルム原料(または延伸前フィルム)は高い接圧下で一軸延伸の加熱ロールの間を通過する。そのため、非相溶樹脂を配合した組成のフィルムであっても、フィルム表面の微細な凹凸は圧力を受けて潰れてしまい、きめ細かいつや消し調に仕上げることは困難であった。また、微粒子を含有した組成のフィルムであっても、一軸延伸の加熱ロールの間を通過するため表面は平滑化しやすく、さらに微粒子は脱落して機械を汚染しやすい。それゆえ、一軸延伸の製法がつや消し調のフィルムの製造に用いられる例はほとんど無かった。
フィルムの良好な易開封性を求めようとして一軸延伸の製法を採用すると、所望のつや消し調をえることは出来なくなる。逆に、無延伸または二軸延伸の製法を採用してつや消し調のフィルムを製造すると、良好な易開封性が犠牲となる。このように、双方の性質、特性を両立させたフィルムを製造することは困難であった。
特許第3378061号公報 特許第4081599号公報 特許第5159352号公報 特開2003−176400号公報 特許第4226089号公報
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、フィルムの製造に際し、縦一軸延伸の製膜を採用してフィルムの引き裂き性の良さに基づいた易開封性を実現するとともに、フィルム外観のつや消し調の美麗さを兼ね備えた直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムを提供する。
すなわち、第1の発明は、内層部と、前記内層部の第1面部側に設けられた第1外層部と、前記内層部の第2面部側に設けられた第2外層部とを備え、延伸倍率が2〜10倍のロール間延伸の製膜による厚さ10〜100μmの縦一軸延伸フィルムであって、前記内層部は、ポリプロピレン系樹脂と、炭酸カルシウムの微粒子を当該内層部重量の2〜10重量%含有し、前記第1外層部は、(i):プロピレン−エチレンブロック共重合体を60〜100重量%とし、(ii):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFRX)(230℃、2.16kg荷重)が1〜15g/10minであり、(iii):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MWX)と、前記メルトフローレート(MFRX)との積が20×105〜150×105の範囲であり、(iv):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分中のエチレンコンテントが30〜95重量%である、ことを満たし、前記第2外層部はポリプロピレン系樹脂を含有してなり、下記(I)の直進引裂試験における前記縦一軸延伸フィルムの直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)が5mm以内であることを特徴とする直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムに係る。
(I)直進引裂試験は、前記縦一軸延伸フィルムを製膜時の流れ方向に300mmの長辺、幅方向に100mmの短辺の長方形状に切り出し、一方の短辺端より内側に10mmと110mmの距離に短辺と平行な100mm間隔の直線を引き、他方の短辺の中間部分において短辺から長辺と平行に内部へ10mmの間隔で170mmの2本の切れ込みを入れて幅10mmの舌片部を有する試験フィルムを得て、前記試験フィルムをアクリル樹脂板に固定し、前記試験フィルムを前記アクリル樹脂板とともに引張試験機に固定し、かつ前記試験フィルムから前記舌片部を180°の対向位置に捲って引張試験機に固定し、引張速度1000mm/minで120mmの距離分、前記舌片部の切れ込み方向に引き裂き、引き裂き前の前記舌片部の幅(L1)と、引き裂き終えて前記試験フィルムの内部側に食い込んだ前記舌片部の幅(L2)を求め、下記(fi)式のとおり引き裂き前の前記舌片部の幅(L1)と引き裂き後の前記舌片部の幅(L2)との差を直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)として求める。
Figure 0006976692
の発明は、前記縦一軸延伸フィルムは、(i):JIS K 7136(2000)に準拠した測定のヘーズが50〜95%であり、(ii):JIS Z 8741(1997)に準拠した入射角60°の測定の光沢が10〜40%であり、(iii):JIS K 7361−1(1997)に準拠した測定の全光線透過率が75%以上であることを満たす第の発明に記載の直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムに係る。
の発明は、前記第2外層部にシール層部が積層される第1又は2の発明に記載の直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムに係る。
第1の発明に係る直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムによると、内層部と、前記内層部の第1面部側に設けられた第1外層部と、前記内層部の第2面部側に設けられた第2外層部とを備え、延伸倍率が2〜10倍のロール間延伸の製膜による厚さ10〜100μmの縦一軸延伸フィルムであって、前記内層部は、ポリプロピレン系樹脂と、炭酸カルシウムの微粒子を当該内層部重量の2〜10重量%含有し、前記第1外層部は、(i):プロピレン−エチレンブロック共重合体を60〜100重量%とし、(ii):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFRX)(230℃、2.16kg荷重)が1〜15g/10minであり、(iii):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MWX)と、前記メルトフローレート(MFRX)との積が20×105〜150×105の範囲であり、(iv):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分中のエチレンコンテントが30〜95重量%である、ことを満たし、前記第2外層部はポリプロピレン系樹脂を含有してなり、(I)の直進引裂試験における前記縦一軸延伸フィルムの直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)が5mm以内であるため、縦一軸延伸の製膜を採用してフィルムの引き裂き性の良さに基づいた良好な易開封性を実現するとともに、外観のつや消し調の美麗さを兼ね備え、さらにつや消し調でありながら視認性の確保が可能なフィルムを得ることができる。
の発明に係る直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムによると、第の発明において、前記縦一軸延伸フィルムは、(i):JIS K 7136(2000)に準拠した測定のヘーズが50〜95%であり、(ii):JIS Z 8741(1997)に準拠した測定の光沢が10〜40%であり、(iii):JIS K 7361−1(1997)に準拠した測定の全光線透過率が75%以上であることを満たすため、指標を組み合わせの評価により、多面的にフィルムの外観、質感等が把握可能となる。
の発明に係る直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムによると、第1又は2の発明において、前記第2外層部にシール層部が積層されるため、つや消し調を有したままシール層部に由来する機能性を備えることができる。
第1実施形態の直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムの断面模式図である。 第2実施形態の直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムの断面模式図である。 直進引裂試験を表す第1模式図である。 直進引裂試験を表す第2模式図である。 直進引裂試験を表す第3模式図である。
図1の概略断面模式図から把握されるように、直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルムは、内層部10と、内層部10の第1面部11側に設けられた第1外層部20と、内層部10の第2面部12側に設けられた第2外層部30とが備えられており、内層部10が第1外層部20及び第2外層部30に挟まれる構造である。当該構造から把握されるように、直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム(縦一軸延伸フィルム1)の両面はいずれも外層部として機能する構造である。
縦一軸延伸フィルム1の製造に際し、内層部10、第1外層部20、及び第2外層部30を形成する溶融樹脂はTダイ等から吐出されるとともにロール間延伸を通じて製膜される。従って、本発明のフィルムは、一方方向の引き裂きの良さを考慮した実質的に縦方向の一軸延伸フィルムである。縦一軸延伸フィルム1の製造時、ロール間延伸の倍率は2ないし10倍である。延伸倍率が2倍を下回る場合、一軸延伸由来の真っ直ぐな引き裂き(直進引裂性、直進カット性)が生じにくい。また、延伸不足による外観不良が生じやすい。延伸倍率が10倍を上回る場合、延伸量が多くフィルム自体の光線透過が悪化し視認性の低下が問題となり得る。そこで、つや消し調でありながら視認性を確保する点を考慮してロール間延伸の倍率は2ないし10倍とした。ただし、製膜時の不可抗力として他方向の延伸が含まれる場合もある。順に各層部の構成樹脂を説明する。
内層部10は、縦一軸延伸フィルム1の本体部分となり、つや消し調(マット調)と隠蔽性(透過しにくさ)を有する真珠様光沢等の乱反射を担う。内層部10はプロピレン系樹脂であり、プロピレン単独重合体のホモポリプロピレンの他に、プロピレンとα−オレフィンとの重合によるランダム共重合体、ブロック共重合体等の一種あるいは複数種から選択される。プロピレン以外のオレフィンは、エチレン、他に炭素数4ないし18の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンである。
内層部10には、炭酸カルシウムの微粒子15がプロピレン系樹脂中に添加される。炭酸カルシウムは安価であり食品添加物等としても使用されており、食品等の包装を想定すると好ましい。炭酸カルシウムの微粒子の平均粒径は約0.1ないし3.0μmである。炭酸カルシウムの微粒子が内層部のプロピレン系樹脂中に存在し、その後の縦一軸延伸を経た場合、炭酸カルシウムの微粒子は変形することなく留まる。ただし、同微粒子の周囲に縦長の隙間が生じ、当該内層部10の内部に微細な空間が形成されると考えられる。
炭酸カルシウムの微粒子の配合量は、当該内層部10重量の2ないし10重量%である。内層部10の厚さ、真珠様光沢及び全光線透過の具合、フィルムの用途等に応じて設定される。2重量%を下回る場合、配合量が少なく、所望のつや消し調、真珠様の光沢具合等を得ることができない。10重量%を上回る場合、微粒子量が過剰であることから包装材として使用した際の内容物の視認性が低下して好ましくない。また、内層部10自体の強度低下が問題となる。
縦一軸延伸フィルム1の両外層部20,30は炭酸カルシウムの微粒子を含有しない組成である。それゆえ、炭酸カルシウムの微粒子は内部へ封じ込められ、フィルム表面への露出は回避され、表面からの脱離のおそれは無くなる。よって、つや消し調の実現と品質安定化が図られる。
第1外層部20は、内層部10の光学特性を生かすとともに、最外表面としてのフィルム内層部10を保護し、つや消し調の美麗さを発揮する層部である。第1外層部20は、(i)プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とする。プロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレンとα−オレフィンとの重合によるブロック共重合体の一種あるいは複数種から選択される。プロピレン以外のオレフィンは、エチレン、他に炭素数4ないし18の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン等である。その上で、プロピレン−エチレンブロック共重合体の採り得る形態は種々であるため、さらに次の(ii)、(iii)、及び(iv)が加えられ、良好な物性が規定される。
(ii)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFRX)(230℃、2.16kg荷重)は1ないし15g/10minの範囲である。当該範囲は製膜の都合から必要とされる範囲である。メルトフローレートが低下すると、外観不良や成形性の悪化につながる。また、高くなりすぎると、ブロッキングや成形性の悪化につながる。そこで、前記の範囲が好ましく、さらには、2ないし10g/10minの範囲がより好ましい。後記の実施例におけるメルトフローレート(MFRX)の測定は、JIS K 7210−1(2014)のA法に準拠する。
(iii)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分に含有される樹脂成分の重量平均分子量(MWX)が求められる。そして、前出のメルトフローレート(MFRX)との積(P){(P)=(MWX)×(MFRX)}は、20×105ないし150×105の範囲である。重量平均分子量(MWX)は、キシレン中へ溶解する樹脂成分のエラストマー成分を意図する。ゆえに、プロピレン−エチレンブロック共重合体の樹脂中のエラストマー成分量が判明する。メルトフローレート(MFRX)は前述のとおり成形性の良否に係わる。そこで、両値の積(P)により、双方の性質が同時に把握されて出来上がるフィルム性能の良否に役立つ。
具体的には、両値の積(P)が20×105よりも少ない数値となる場合、縦一軸延伸フィルム1のつや消し調が低下する。また、両値の積(P)が150×105よりも多い数値となる場合、プロピレン−エチレンブロック共重合体のエラストマーの性質が強まって粘度が高まる。そして、フィッシュアイ等と称される外観不良が生じやすくなる。この点が加味され、前出の両値の積(P)の範囲が規定される。
(iv)として、プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分に含有される樹脂成分のエチレンコンテントは30ないし95重量%の範囲である。エチレンコンテントは、キシレン可溶分の樹脂成分に占めるエチレン骨格の割合を相対化した指標である。例えば、赤外線(IR)スペクトルのエチレン単位に由来する吸光度とプロピレン単位に由来する吸光度に基づいて算出することができる。キシレン可溶分に含有される樹脂成分のエチレンコンテントを考慮することにより、フィルムの外観等の把握に役立つ。
キシレン可溶分中のエチレンコンテントは少ない数値であるほど、キシレン不可溶分であるポリプロピレン成分との相溶性が増してつや消し調(マット調)を呈するには不十分となる。このため、良好なつや消し調を呈するため、キシレン可溶分のエチレンコンテントを適度とする必要がある。キシレン可溶分中のエチレンコンテントが30重量%を下回る場合、フィルムのつや消し調は不足しやすくなる。キシレン可溶分中のエチレンコンテントが95重量%を上回る場合、内層部10のポリプロピレン系樹脂との相溶性が低下する。さらに、フィッシュアイ等と称される外観不良が生じやすくなる。この点が加味され、前出のキシレン可溶分中のエチレンコンテント量の範囲が規定される。
第2外層部30は、第1外層部20とともに最外表面としてのフィルム内層部10を保護する層部である。第2外層部30はポリプロピレン系樹脂を含有する組成であり、前記の内層部10にて開示と同種のポリプロピレン系樹脂から選択される。第2外層部30の樹脂の選択に際し、内層部10の樹脂との相溶性が勘案される。第2外層部30は、第1外層部20よりも厳密な樹脂組成等は要求されず、比較的自由にポリプロピレン系樹脂から選択される。むろん、表裏の区別なく共通とするために第1外層部20と第2外層部30を同一の樹脂組成とすることもできる。
最終的に出来上がる縦一軸延伸フィルム1のつや消し調等の光学物性について、次の3つの指標の組み合わせにより示される。光学物性の指標を組み合わせて評価することにより、多面的にフィルムの外観、質感等が把握可能となる。
(i)について、縦一軸延伸フィルム1のJIS K 7136(2000)に準拠して測定したヘーズは、50ないし95%の範囲である。ヘーズはフィルムの曇りを示す指標であり、縦一軸延伸フィルム1の第1外層部20側の落ち着いた風合いが表現される。本発明の目的であるつや消し調の程度を左右する指標である。ヘーズ値が50%を下回る場合、所望のつや消し調を得るに至らない。ヘーズ値の95%は事実上の上限と考えられる。そこで、前記の範囲が規定され、より好ましいヘーズ値は60ないし90%である。
(ii)について、縦一軸延伸フィルム1のJIS Z 8741(1997)に準拠して測定した光沢は、10ないし40%の範囲である。光沢はフィルム表面の照りやぎらつき等を示す指標であり、表面の光沢を抑えて上品さを演出することができる。本発明のフィルムはロール間一軸延伸によるフィルム製造である。延伸時の相互のロール間の押圧力により潰され平滑化する。そのため、製法に起因して平滑化に伴って光沢は強まる。そこで、適切に光沢の程度を把握する指標が必要となる。実施例の測定に際し入射角60°とし、縦方向(延伸方向または流れ方向:MD)と横方向(幅方向:TD)の両方を測定した。一方の光沢が40%を上回る場合、光沢の抑制につながらないため不適格である。下限については規定されないものの、フィルムの性質上10%程度となる。そこで、前記の範囲が規定される。
(iii)について、縦一軸延伸フィルム1のJIS K 7361−1(1997)に準拠して測定した全光線透過率は75%以上である。全光線透過率はフィルム全体の光の通り具合の指標である。全光線透過率の数値の高低は、縦一軸延伸フィルムを包装用に使用した際の内容物の見栄えを左右する。つや消し調が強すぎると、内容物の視認性が悪くなり包装資材として好ましくない。そこで、縦一軸延伸フィルムの全光線透過率は75%以上が好ましく、さらには80%以上が好ましい。
従って、縦一軸延伸フィルムについて、つや消し調のヘーズ、光沢、全光線透過率の三つの指標が重ねられる。そこで、縦一軸延伸フィルムはつや消し調を発揮しながらも、表面の照り等の光沢は抑えられ、さらに、内容物の視認も確保される理想的なフィルムに仕上がる。特に、本発明の縦一軸延伸フィルムにあっては、引き裂き性の良さに基づいた易開封性を実現する上でロール間一軸延伸は必須である。その代わり、延伸時の相互のロール間の押圧力による平滑化ゆえに光沢の影響は不可避である。そこで、本発明の縦一軸延伸フィルムは、各層の構成樹脂成分の選択とヘーズと光沢の指標を用いることにより、所望の性質を備えたフィルムに仕上がる。
縦一軸延伸フィルム1の引き裂き性の良さに基づいた易開封性の良否判断に際し、直進引裂試験(I)において、直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量は5mm以内である。直進引裂試験(I)について、図3ないし5の模式図を用い説明する。
縦一軸延伸フィルム1は、フィルムの製膜時の流れ方向(MD)に300mmの長辺51、幅方向(TD)に100mmの短辺52の長方形状に切り出され試験フィルム50となる。一方の短辺52側端より試験フィルム50の内側に10mmと110mmの距離に短辺52と平行となる100mm間隔の直線が引かれる。他方の短辺52の中間部分において、短辺52から長辺51と平行に試験フィルム50の内側に向けて10mmの間隔で170mmの切れ込み53,53が2本入れられる。そこに幅10mmの長尺の舌片部55が形成される(図3(a)参照)。舌片部55は捲られて逆向きに折り返される(図3(b)参照)。
続いて、試験フィルム50はアクリル樹脂の板部材60に固定され、試験フィルム50は板部材60とともに引張試験機の固定台部61に固定される。図3(b)のとおり、舌片部55は試験フィルム50から180°の対向位置(逆向き)に捲られ、舌片部55の末端部は引張試験機の掴持部62(チャック)に固定される(図4(a)参照)。各部の固定後、掴持部62は1000mm/minで120mmの距離分、舌片部55の切れ込み方向に引っ張り上げられ、試験フィルム50の引き裂きが進む(図4(b)参照)。
当該直進引裂試験(I)において、はじめに当該試験フィルム50の引き裂き前(引き裂き開始時点)の舌片部55の幅(L1)が計測される。これについては10mmである(図5(a)参照)。そして、引き裂きを終えて試験フィルム50の内部側に食い込んで引き裂きが進んだ舌片部55の幅(L2)が計測される(図5(b)参照)。当然ながら、直進引裂性が良好であれば当初の幅(L1)の10mmのまま引き裂きは終了する。もし、ここで、極端に幅(L2)が狭まるまたは広がるようであれば、真っ直ぐな引き裂きは期待できない。つまり、引き裂き性の良さに基づいた易開封性は担保されない。そこで、式(fi)のとおり、引き裂きの前の幅(L1)と後の幅(L2)の差が、直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)として求められる。引き裂きの前後では、当初の幅(L1)の10mmよりも広くなる場合も狭くなる場合もある。幅変化量(D)を求める式(fi)では絶対値としている。
Figure 0006976692
そこで、良品の縦一軸延伸フィルムの幅変化量(D)は5mm以内でなければならない。幅変化量(D)が5mm以内であれば、ほぼ当初の切れ込みのまま連続していることになり、抵抗無く引き裂きが可能となる。逆に幅変化量(D)が5mmを越えてしまうと真っ直ぐな引き裂きは困難となり、本発明の所望とする引き裂き性の良さに基づいた易開封性を実現できない。それゆえ、幅変化量(D)を5mm以下とする規定は意味を持つ。
縦一軸延伸フィルム1の全体の厚さは特には規定されない。一般的なフィルム製品と同様であり、10ないし100μmの厚さである。第1外層部20、内層部10、第2外層部30の各層の厚さの比率は、順に1:2:1ないし1:20:1の比率の範囲である。縦一軸延伸フィルム自体の厚さ、または各層の厚さの比率は、所望の用途、つや消し調の風合い等が勘案されて適切に設定される。前記の各層の厚さの比率から理解されるように、縦一軸延伸フィルム1に占める内層部10の厚さの比率は大きい。
これまでに説明した縦一軸延伸フィルム1は単独で包装資材として使用されることに加え、主として他のフィルムと積層(ラミネート)されて各種の包装資材に加工される。図2の概略断面模式図はつや消し調複合フィルム5の例である。縦一軸延伸フィルム1の第2外層部30の最外面32側に、他のフィルムとしてのシール層部40が積層される。シール層部40の樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種樹脂であり、さらには、これらの樹脂フィルムの積層物(ラミネート)のフィルムも含められる。こうして両フィルムの組み合わせとしてつや消し調複合フィルム5は形成される。シール層部40を縦一軸延伸フィルム1に積層する方法は限定されず、ドライラミネート、押出しラミネート、またはホットメルトラミネート等の公知の方法が目的に応じて採用される。
本発明の縦一軸延伸フィルム1及びシール層部40のフィルムには、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、着色剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
[使用原料]
実施例1ないし17及び比較例1ないし13の直進引裂性シーラントフィルムの作製に際し、各層を形成する原料樹脂として、次の樹脂「PP1」ないし「PP7」のポリプロピレン系樹脂、「PE1」、「PE2」のポリエチレン樹脂から選択し、表1ないし表7の配合量(重量%)に基づいて調製した。樹脂PP1ないしPP5については、後出のとおりキシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MWX)とキシレン可溶分中のエチレンコンテントを測定し、特定の物性の樹脂として表す。
(PP1):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:7g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:4.83×105
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:43.8重量%
PP1の(MWX)と(MFRX)の積(P):34×105
(PP2):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:7g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:18.8×105
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:73.4重量%
PP2の(MWX)と(MFRX)の積(P):132×105
(PP3):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:2.5g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:10.1×105
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:59.9重量%
PP3の(MWX)と(MFRX)の積(P):25×105
(PP4):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:2.5g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:4.35×105
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:51.8重量%
PP4の(MWX)と(MFRX)の積(P):11×105
(PP5):プロピレン−エチレンブロック共重合体
メルトフローレート:2.5g/10min
キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量:3.96×105
キシレン可溶分中のエチレンコンテント:40.8重量%
PP5の(MWX)と(MFRX)の積(P):10×105
(PP6):ホモポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製,商品名「FL203D」,MFR:3.0g/10min)
(PP7):プロピレン−エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製,商品名「WFW4M」,MFR:7.0g/10min,融点:125℃)
(PE1):高密度ポリエチレン(京葉ポリエチレン株式会社製,商品名「FX501」,MFR:0.04g/10min,密度:950kg/m3
(PE2):低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン株式会社製,商品名「R300」,MFR:0.35g/10min,密度:920kg/m3
また、炭酸カルシウム(平均粒径1.1μm)を使用した。
各樹脂のメルトフローレートの測定は、JIS K 7210−1(2014)のA法に準拠し、ポリプロピレン系樹脂については230℃、2.16kg荷重の条件とし、ポリエチレン系樹脂については、190℃、2.16kg荷重の条件とした。
[キシレン溶解]
樹脂PP1ないしPP5のそれぞれ5ないし6gをキシレン中で還流溶解し、冷却後に遠心分離してキシレン可溶分液を分取した。キシレン可溶分液をさらに濃縮し、ここにメタノールを添加して析出、沈殿した。この析出物を濾過して回収し、乾燥した。こうして、各樹脂に対応するキシレン可溶分の試料を得た。
〈重量平均分子量の測定〉
キシレン可溶分の重量平均分子量(MWX)は、Agilent社製,PL−GPC220を使用し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。そして、重量平均分子量(MWX)とメルトフローレート(MFRX)との積(P)も算出した。
〈エチレンコンテントの測定〉
キシレン可溶分のエチレンコンテントの測定に際し、社団法人日本分析学会 高分子分析懇談会編集 高分子分析ハンドブック(2013年5月10日,第3刷) 412〜413ページに記載のエチレン含有量の定量方法(IR法)に従い各樹脂のエチレンコンテントを測定した(単位:重量%)。
[直進引裂性シーラントフィルムの作製]
実施例1ないし18及び比較例1ないし13の直進引裂性シーラントフィルムの作製は、表1ないし表7に示した樹脂種(前記参照)とその配合割合(重量%)に基づく。実施例及び比較例のフィルムは第1外層部20、内層部10、及び第2外層部30を備える3層構造とした(図1参照)。そこで、第1外層部、内層部、及び第2外層部に対応する原料樹脂のペレット等を押出機に供給し、供給原料を溶融、混練して一度に三層共押出Tダイフィルム成形機とこれに続くロール間縦一軸延伸機により製膜した。延伸倍率は、各表に記載の縦方向(流れ方向,MD)の倍率とした。ただし、比較例12の製膜に際し、縦一軸延伸を省略した。
[直進引裂性シーラントフィルムを用いたつや消し調複合フィルムの作製]
つや消し調複合フィルムの作製に際し、実施例1の直進引裂性シーラントフィルムの第2外層部の表面に、シール層部として無延伸キャストポリプロピレンフィルム(フタムラ化学株式会社製,商品名「FHK2#20」,厚さ20μm)を積層した。フィルム同士の積層に際し、接着剤(ドライラミネート接着剤)は、主剤(東洋モートン株式会社製,TM−329)を17.2重量%、硬化剤(同社製,CAT−8B)を17.2重量%、及び酢酸エチル65.6重量%を混合して調製した。前記調製の接着剤(固形分)の塗布量は4g/m2とした。こうして、実施例18のつや消し調複合フィルムを作製した。
[厚さの測定]
直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム(縦一軸延伸フィルム)について、厚さ測定器(株式会社東洋精機製作所製)を用い測定して全層厚さ(μm)を求めた。
[光学物性の測定]
ヘーズの測定は、JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH−4000)を使用し、全実施例及び比較例について測定した(単位%)。
光沢の測定は、JIS Z 8741(1997)に準拠し、光沢計(スガ試験機株式会社製,UGV−5P)を使用し、入射角60°において全実施例及び比較例について測定した(単位%)。なお、光沢は流れ方向(MD)と幅方向(TD)の両方について測定した。
全光線透過率は、JIS K 7361−1(1997)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH−4000)を使用し、全実施例及び比較例について測定した(単位%)。
[直進引裂性試験]
前掲の図3ないし5に開示の直進引裂性試験(I)に従った。製膜により得た実施例1ないし18及び比較例1ないし13の直進引裂性シーラントフィルムについて、各フィルムの製膜時の流れ方向(MD)に300mmの長辺、幅方向(TD)に100mmの短辺の長方形状に切り出して各実施例及び比較例に対応した試験フィルムとした。一方の短辺側端より試験フィルムの内側に10mmと110mmの距離に短辺と平行となる100mm間隔の直線を油性ペンにより書いた。他方の短辺の中間部分において、短辺から長辺と平行に試験フィルムの内側に向けて10mmの間隔で170mmの切れ込みを2本入れた。結果、同箇所に幅10mmの長尺の舌片部を形成した。舌片部を捲って逆向きに折り返した。
続いて、試験フィルムをアクリル樹脂の板部材に固定し、試験フィルムを板部材とともに引張試験機の固定台部に固定した。舌片部を試験フィルム50から180°の対向位置に捲り舌片部の末端部を引張試験機の掴持部に固定した。各部の固定後、掴持部は1000mm/minで120mmの距離分、舌片部の切れ込み方向に引っ張り上げて試験フィルムを引き裂いた。
直進引裂試験(I)において、はじめに試験フィルムの引き裂き前(引き裂き開始時点)の舌片部の幅(L1)を計測した。舌片部の幅(L1)は10mmとみなすことができる。そして、引き裂きを終えて試験フィルムの内部側に食い込み引き裂きが進んだ舌片部の幅(L2)も計測した。そこで、前出の式(fi)のとおり、引き裂きの前の幅(L1)と後の幅(L2)の差を求め(絶対値)、直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)とした。幅変化量(D)が5mm以内に収まったか否かを確認した。幅変化量(D)が5mm以内を「○」、5mm超過を「×」として評価した。
結果は表1ないし表7のとおりである。上から順に、第1外層部(20)、内層部(10)、及び第2外層部(30)の樹脂種、延伸倍率(倍)、厚さ(μm)、ヘーズ(%)、光沢(MD)及び(TD)(%)、全光線透過率(%)、及び直進引裂性(良否)を示す。さらに、表8において、実施例18のつや消し調複合フィルムの結果も示す。
Figure 0006976692
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[結果・考察]
〈延伸倍率〉
製膜時に縦一軸延伸を行っていない比較例12は直進引裂性が劣る。また、延伸倍率が10倍の比較例13では全光線透過率が低下した。次に、実施例1、実施例13ないし17の延伸倍率によると、3種の光学物性のいずれも良好であり、しかも直進引裂性も良い。ゆえに、ロール間延伸は2ないし10倍、さらには3ないし8倍が好ましい。
〈第1外層部〉
(i)第1外層部はプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とし、その好ましい量は過半数ないし全量(60ないし100重量%の割合)である。実施例8と比較例4の比較から、プロピレン−エチレンブロック共重合体の量が少ないほど光沢が強まる傾向にある。
(ii)各実施例の第1外層部の主成分となるプロピレン−エチレンブロック共重合体について、各樹脂のメルトフローレート(MFRX)は、いずれも1ないし15g/10minを満たす。ゆえに前記のメルトフローレートの範囲は好ましい範囲と考えられる。
(iii)キシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MWX)とメルトフローレート(MFRX)との積(P)に関し、20×105〜150×105の範囲内の樹脂PP1、PP2、PP3を使用の実施例はいずれも好ましい光学物性を示した。これに対し、当該範囲から外れた樹脂PP4、PP5を使用の比較例1と2については光沢が強まった。従って、前記の積(P)の範囲が適切である。
(iv)実施例に使用した樹脂のキシレン可溶分のエチレンコンテントはいずれも30ないし95重量%の範囲内にある。この点を加味し、キシレン可溶分のエチレンコンテントの範囲は好ましい範囲と考えられる。
〈内層部〉
内層部中のポリプロピレン系樹脂と炭酸カルシウムの関係について、炭酸カルシウムの無配合の比較例10では、ヘーズ値が少なくつや消し調になり難い。また、12重量%を超過する比較例11ではつや消し調は高まるものの、全光線透過率が下がることから視認性の低下が問題となる。そこで、実施例9,10を勘案して、内層部中の炭酸カルシウム量は、当該内層部の重量当たり2ないし10重量%が好例の範囲である。
〈光学物性〉
光学物性は機械測定の数値とともに、作製したフィルムを目視により確認しつや消し調、光沢、光の透過具合を踏まえて範囲の絞込みを行った。ヘーズ値について、比較例10の数値では、フィルムのつや消し具合が少ない。そこで、適度な曇り具合を呈する実施例5を基準に他の物性を考慮して50%をヘーズ値の下限とした。ヘーズ値の上限は実施例10より95%とした。よって、ヘーズ値は50ないし95%の範囲となる。
光沢の数値は延伸の倍率、第1外層部の樹脂組成、炭酸カルシウムの添加量等によりばらつく。しかしながら、数値が低いほど照りやぎらつき感は抑えられ、美麗なつや消し調を呈する。そこで、フィルムにおけるつや消し調を実現する観点から光沢は10ないし40%の範囲となる。また、全光線透過率については、視認性確保とつや消し調を両立させる観点から比較例13では不十分であった。そこで、同例を上回る数値を採用して75%以上とした。
〈つや消し調複合フィルム〉
表8は実施例18のつや消し調複合フィルムである。同例の直進引裂性シーラントフィルムの第2外層部の表面にシール層部を備えた構造においても、各種の光学物性は良好であり、しかも、直進引裂性試験も良好であった。
[まとめ]
一連の実施例及び比較例の検証よって、縦一軸延伸の製膜を採用しながらもつや消し調の美麗さや高級感を備えて直進引裂性シーラントフィルムを作製することができた。そこで、各種の包装資材用途の需要に適する。特に、真っ直ぐな引き裂きが容易となるため、開封し易さの付加価値も伴う。加えて、直進引裂性シーラントフィルムはつや消し調複合フィルムとすることが可能となるため、さらに各種の機能を備えた資材としても柔軟に対応できる。
以上のとおり、本発明に規定した要素を含む直進引裂性シーラントフィルムは、良好な引裂性とつや消し調を備える。さらに、当該直進引裂性シーラントフィルと他のフィルムとの積層によっても引裂き性とつや消し調を保持する。そこで、各種物品の包装資材等への汎用性が高く、開封の利便性に優れたフィルムとしての活用が期待できる。
1 直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム(縦一軸延伸フィルム)
5 つや消し調複合フィルム
10 内層部
11 第1面部
12 第2面部
15 炭酸カルシウムの微粒子
20 第1外層部
30 第2外層部
40 シール層部
50 試験フィルム
51 長辺
52 短辺
53 切れ込み
55 舌片部
L1 引き裂き前の舌片部の幅
L2 引き裂き後の舌片部の幅
MD 縦一軸延伸フィルムのフィルム製膜時の流れ方向
TD 縦一軸延伸フィルムのフィルム製膜時の幅方向

Claims (3)

  1. 内層部と、前記内層部の第1面部側に設けられた第1外層部と、前記内層部の第2面部側に設けられた第2外層部とを備え、延伸倍率が2〜10倍のロール間延伸の製膜による厚さ10〜100μmの縦一軸延伸フィルムであって、
    前記内層部は、ポリプロピレン系樹脂と、炭酸カルシウムの微粒子を当該内層部重量の2〜10重量%含有し、
    前記第1外層部は、
    (i):プロピレン−エチレンブロック共重合体を60〜100重量%とし、
    (ii):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体のメルトフローレート(MFRX)(230℃、2.16kg荷重)が1〜15g/10minであり、
    (iii):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分樹脂の重量平均分子量(MWX)と、前記メルトフローレート(MFRX)との積が20×105〜150×105の範囲であり、
    (iv):前記プロピレン−エチレンブロック共重合体の20℃におけるキシレン可溶分中のエチレンコンテントが30〜95重量%である、ことを満たし、
    前記第2外層部はポリプロピレン系樹脂を含有してなり、
    下記(I)の直進引裂試験における前記縦一軸延伸フィルムの直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)が5mm以内である
    ことを特徴とする直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム。
    (I)直進引裂試験:前記縦一軸延伸フィルムを製膜時の流れ方向に300mmの長辺、幅方向に100mmの短辺の長方形状に切り出し、一方の短辺端より内側に10mmと110mmの距離に短辺と平行な100mm間隔の直線を引き、他方の短辺の中間部分において短辺から長辺と平行に内部へ10mmの間隔で170mmの2本の切れ込みを入れて幅10mmの舌片部を有する試験フィルムを得て、前記試験フィルムをアクリル樹脂板に固定し、前記試験フィルムを前記アクリル樹脂板とともに引張試験機に固定し、かつ前記試験フィルムから前記舌片部を180°の対向位置に捲って引張試験機に固定し、引張速度1000mm/minで120mmの距離分、前記舌片部の切れ込み方向に引き裂き、引き裂き前の前記舌片部の幅(L1)と、引き裂き終えて前記試験フィルムの内部側に食い込んだ前記舌片部の幅(L2)を求め、下記(fi)式のとおり引き裂き前の前記舌片部の幅(L1)と引き裂き後の前記舌片部の幅(L2)との差を直進引裂性の切れ込み幅の幅変化量(D)として求める。
    Figure 0006976692
  2. 前記縦一軸延伸フィルムは、
    (i):JIS K 7136(2000)に準拠した測定のヘーズが50〜95%であり、
    (ii):JIS Z 8741(1997)に準拠した入射角60°の測定の光沢が10〜40%であり、
    (iii):JIS K 7361−1(1997)に準拠した測定の全光線透過率が75%以上である
    ことを満たす請求項に記載の直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム。
  3. 前記第2外層部にシール層部が積層される請求項1又は2に記載の直進引裂性つや消し調縦一軸延伸フィルム。
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