JP4748827B2 - ストレッチフィルム用軟質フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性、透明性、耐熱性、機械物性に優れ、表面外観が良好でかつ二次加工性にも優れる軟質フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品包装用、表面保護フィルム、粘着テープ、農業用フィルム等の軟質フィルムには、価格、2次加工性及び品質安定性の点から、軟質ポリ塩化ビニル(以下、軟質PVCと略す)が使用されてきた。しかし、近年リサイクル等の環境問題が重要視されてきたことから、塩素を含有した軟質PVCの使用が避けられつつあり、軟質PVCの代替材料としてポリオレフィン系エラストマーを用いたフィルムの開発が積極的に行われている。これらポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリプロピレンやポリエチレン等の結晶性のポリオレフィン成分とエチレン−プロピレン共重合体ゴム(以下、EPRと略す。)やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(以下、EPDMと略す。)のゴム成分とを押出機により混練してなるブレンド法と、高活性チタン触媒を用い重合により両性分を一挙に製造する重合法が知られている。そのうち、ブレンド法で得られる結晶性ポリオレフィン/EPR、EPDMとのブレンドによるフィルムでは、結晶性ポリオレフィンに柔軟性を付与することができるが、透明性が充分でなかったり、またEPDMを使用した場合、架橋しているため引張伸度がでなかったり、フィッシュアイの問題等があり、満足できるものではなかった。
【0003】
一方、重合法により製造されたポリオレフィン系エラストマーは、上記ブレンド法により得られたものと比較して透明性が良好である。かかる重合方法による製造では、第一段階においてポリプロピレン成分を、第二段階においてエチレンとプロピレンの共重合を行う二段階重合法が一般的に行われる。この様な従来から行われている多段階重合法により得られたエラストマーを使用してフィルムを製膜した場合、例えば、特開平6−256539号公報には上記オレフィン系エラストマーを用いて、ストレッチ包装用フィルムを製膜しているが、本発明にて使用されるプロピレン−エチレン共重合体は、製造方法に起因して、メルトフローレート(MFR)に対して、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)で表される分子量分布(Mw/Mn)が狭いため、フィルム製膜時において、溶融張力が不十分であったり、メルトフラクチャー、シャークスキンといった成形不良が起こり易く、成形加工性の点で更なる改良が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、柔軟性、透明性、耐熱性、機械物性に優れ、さらに表面外観が良好で、かつ二次加工性の良好な軟質フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために研究を重ねた結果、特定の成分よりなるプロピレン系ブロック共重合体について、そのメルトフローレート(MFR)と分子量分布(Mw/Mn)が特定の関係にあるものが、優れた柔軟性、透明性、および耐熱性を有し、しかも、表面外観が良く、二次加工性にも優れた軟質フィルムが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、触媒として[A]チタン化合物、[B]有機アルミニウム化合物、[C]有機ケイ素化合物および[D]酢酸ブチル(電子供与体化合物)の存在下で重合する重合体であって
昇温溶離分別法により分別された溶出成分について、溶出温度と溶出成分の積算重量割合との関係を表した溶出曲線における、
100℃以上の溶出成分(以下、高温溶出成分と略す)が、
プロピレン単量体に基づく成分100〜90モル%、
エチレン単量体に基づく成分0〜10モル%とよりなる重合体であり、
100℃未満の溶出成分(以下、低温溶出成分と略す)が、
プロピレン単量体に基づく成分90〜50モル%と
エチレン単量体に基づく成分10〜50モル%とよりなる重合体であり、
該高温溶出成分が1〜70重量%、
該低温溶出成分が99ないし30重量%からなり、
且つメルトフローレイト(MFR)とゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)とより次式(1)で算出されるIが0.57〜1.5の範囲にあり、更に示差走査熱量測定(DSC)で示す最大ピーク温度(Tm)が、150℃≦Tm≦165℃であることを特徴とするプロピレン系ブロック重合体からなるストレッチフィルム用軟質フィルムである。
【0007】
I=log((Mw/Mn)×MFR0.33)(1)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、昇温溶離分別法は、Journal of AppliedPolymer Science;Applied Polymer Symposium 45、1−24(1990)に記述されている方法である。
【0009】
すなわち、先ず、高温の高分子溶液を珪藻土の充填剤を充填したカラムに導入し、カラム温度を徐々に低下させることにより充填剤表面に融点の高い成分から順に結晶化させ、次にカラム温度を徐々に上昇させることにより、融点の低い成分から順に溶出させて溶出ポリマー成分を分取する方法が採用される。具体的には、本発明では実施例で示したように測定装置としてセンシュー科学社製SSC−7300型を用い、溶媒:O−ジクロロベンゼン、流速:2.5ml/min、昇温速度:4℃/Hr、カラム:φ30mm×300mmの条件で測定した値を示している。
【0010】
本発明において、高温溶出成分は、プロピレン単量体に基づく成分100〜90モル%、好ましくは100〜95モル%及びエチレン単量体に基づく成分0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%である。上記エチレン単量体に基づく成分が10モル%を越える場合、得られる軟質フィルムの耐熱性が低下するため好ましくない。
【0011】
上記高温溶出成分は、プロピレン単独重合体より構成されるか或いは主としてプロピレン単独重合体より構成され、これに上記エチレン含量を満足する量のプロピレン−エチレンランダム共重合体を含有することにより構成される。プロピレンエチレンランダム共重合体を含む場合、上記高温溶出成分の各割合は、該プロピレン単独重合体とプロピレン−エチレンランダム共重合体との平均組成として表される。
【0012】
また、本発明において、低温溶出成分は、上記の測定条件にて昇温分別した結果、100℃未満で溶出される成分であって、プロピレン単量体に基づく成分90〜50モル%、好ましくは85〜45モル%及びエチレン単量体に基づく成分10〜50モル%、好ましくは15〜45モル%であることが本発明の目的を達成するために必要である。すなわち、プロピレン単量体に基づく成分の含有割合が90モル%を越え、エチレン単量体に基づく成分の含有割合が10モル%未満である場合、得られるフィルムの柔軟性が十分でなくなり好ましくない。一方、プロピレン単量体に基づく成分の含有割合が50モル%未満で、エチレン単量体に基づく成分の含有割合が50モル%を越える場合、得られるフィルムの透明性が十分でなくなり好ましくない。
【0013】
上記低温溶出成分は、主としてプロピレン−エチレンランダム共重合体より構成されるが、本発明の他の条件を満足する範囲内でプロピレン単独重合体を含んでいても良い。この場合、上記低温溶出成分の各割合は、該プロピレン単独重合体を含んだ平均組成として表される。
【0014】
本発明のプロピレン系ブロック共重合体は、高温溶出成分が1〜70重量%、低温溶出成分が99〜30重量%である。
【0015】
高温溶出成分が1重量%より少なく、低温溶出成分が99重量%を越える場合、得られるプロピレン系ブロック共重合体粒子が粘着し易くなり製造が困難となる。また、フィルムにした際の耐熱性が充分でなくなり好ましくない。一方、高温溶出成分の割合が70重量%を越え、低温溶出成分が30重量%未満の場合、得られるフィルムの柔軟性、透明性が低下し、初期の目的の組成物を得ることができない。高温溶出成分、低温溶出成分の割合は、柔軟性、透明性、耐熱性、機械物性等を勘案すると、高温溶出成分が3〜60重量%さらに好ましくは5〜50重量%、低温溶出成分が97〜40重量%さらに好ましくは95〜50重量%の範囲である。
【0016】
さらに、本発明で使用されるプロピレン系ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)と、ゲルパーミエーション・クロマトグラフによる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)とより次式(1)で算出されるI値が0.57〜1.5の範囲になけらばならない。
【0017】
I=log((Mw/Mn)/MFR0.33)(1)
I値が0.57未満であるときは、メルトフラクチャー、シャークスキンといった外観不良が生じやすく、また製膜時においてネックインが生じやすくなり、製膜性が悪化するため好ましくない。また、I値が1.5を越える場合、得られる軟質フィルムにおいて低分子量物がブリードしやすくなり好ましくない。I値は、製膜性、得られるフィルムのブリード状態を勘案すると、好ましくは0.60〜1.4、更に好ましくは0.65〜1.3である。
【0018】
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体は、示差走査熱量測定(DSC)で示す最大ピーク温度(Tm)が、150℃≦Tm≦165℃であることが一層好ましい。具体的には、セイコー電子工業(株)製DCS200を用い、熱流速示差走査熱量測定法によって、230℃で5分間溶融し、降温速度10℃/分で冷却後、昇温速度10℃/分で測定される融解を示す吸熱ピーク温度(Tm)が150℃〜165℃の範囲内にあるプロピレン系ブロック共重合体である。
【0019】
また、本発明の軟質フィルムを構成するプロピレン系ブロック共重合体は、上記示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が、150℃未満の場合、得られる軟質フィルムの耐熱性が劣る。また、融点(Tm)が165℃を越えるようなプロピレン系ブロック共重合体を得ることは、一般に困難であり工業的でない。
【0020】
更に、本発明の軟質フィルムを構成するプロピレン系ブロック共重合体は、重量平均分子量が8万〜150万であることが好ましく、より好ましくは8万〜120万、さらに好ましくは8万〜100万の範囲が好適である。すなわち、重量平均分子量が8万未満の場合は、I値が0.57〜1.5の範囲にある場合でも、溶融張力が低下し製膜性が低下してしまうので好ましくない。また、重量平均分子量が150万を越える場合には、製膜時において機械に負荷がかかるため、製膜速度を上げることができず好ましくない。
【0021】
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体は、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分が一分子鎖中に配列したいわゆるブロック共重合体の分子鎖及び/またはポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のそれぞれ単独よりなる分子鎖とが、ミクロに混合されているものが、良好な透明性を得るために好ましい。
【0022】
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体には、ポリプロピレン成分および/または、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分に、プロピレン系樹脂組成物の物性を阻害しない限り、他のα−オレフィンが少量、例えば5モル%以下の範囲で共重合されて含まれていてもよい。
【0023】
本発明で使用されるプロピレン系ブロック重合体の製造方法は、本発明の要件を満たす限り特に限定されるものではなく、公知の製造技術の条件を適宜調整して得ることが可能である。例えば、以下の方法で得ることができる。
【0024】
下記触媒成分[A]、[B]、[C]および[D]
[A]チタン化合物
[B]有機アルミニウム化合物
[C]有機ケイ素化合物
[D]酢酸ブチル(電子供与体化合物)
の存在下にプロピレンを重合した後、プロピレンとエチレンとのランダム共重合を下記の条件で行う方法である。
【0025】
上記チタン化合物〔A〕は、オレフィンの重合に使用されることが公知のチタン化合物が何ら制限なく利用される。中でも、プロピレンの重合に使用した場合に高立体規則性の重合体を高収率で得ることのできるチタン化合物が好ましい。これらチタン化合物は担持型チタン化合物と三塩化チタン化合物とに大別される。担持型チタン化合物の製法は、公知の方法が何ら制限なく採用される。例えば、特開昭56−155206号公報、同56−136806号公報、同57−34103号公報、同58−8706号公報、同58−83006号公報、同58−138708号公報、同58−183709号公報、同59−206408号公報、同59−219311号公報、同60−81208号公報、同60−81209号公報、同60−186508号公報、同60−192708号公報、同61−211309号公報、同61−271304号公報、同62−15209号公報、同62−11706号公報、同62−72702号公報、同62−104810号公報等に示されている方法が採用される。具体的には、例えば四塩化チタンを塩化マグネシウムのようなマグネシウム化合物と共粉砕する方法、アルコール、エーテル、エステル、ケトン又はアルデヒド等の電子供与体の存在下にハロゲン化チタンとマグネシウム化合物とを共粉砕する方法、又は溶媒中でハロゲン化チタン、マグネシウム化合物及び電子供与体を接触させる方法が挙げられる。
【0026】
また、三塩化チタン化合物としては公知のα、β、γまたはδ−三塩化チタンが挙げられる。これらの三塩化チタン化合物の調製方法は、例えば、特開昭47−34478号公報、同50−126590号公報、同50−114394号公報、同50−93888号公報、同50−123091号公報、同50−74594号公報、同50−104191号公報、同50−98489号公報、同51−136625号公報、同52−30888号公報、同52−35283号公報等に示されている方法が採用される。
【0027】
次に有機アルミニウム化合物〔B〕は、オレフィンの重合に使用されることが公知の化合物が何ら制限なく採用される。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−nプロピルアルミニウム、トリ−nブチルアルミニウム、トリ−iブチルアルミニウム、トリ−nヘキシルアルミニウム、トリーnオクチルアルミニウム、トリ−nデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム類;ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド等のジエチルアルミニウムモノハライド類;メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムハライド類などが挙げられる。他にもモノエトキシジエチルアルミニウム、ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコキシアルミニウム類を用いることができる。
【0028】
さらに、有機ケイ素化合物〔C〕は、オレフィンの立体規則性改良に使用されることが公知の化合物が何ら制限なく採用されるが、ケイ素原子に直結した原子が3級炭素である鎖状炭化水素であるか、または2級炭素である環状炭化水素などの嵩高い置換基を有する有機ケイ素化合物が、得られるポリプロピレン成分の立体規則性をより高くし、良好な耐熱性を発現するため好ましい。具体的にはジt−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、ジt−アミルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物を挙げることができる。中でもt−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランが特に好ましい。またこれらの有機ケイ素化合物は複数種を同時に用いることも可能である。
【0029】
さらに、本発明においては、電子供与体化合物として酢酸ブチルを用いる。また、前記有機ケイ素化合物[C]と酢酸ブチル(電子供与体)を組み合わせて用いることが、本発明のプロピレン系ブロック共重合体を得るためには好ましい態様である。
【0031】
本発明で用いられるチタン化合物[A]、有機アルミニウム化合物[B]、有機ケイ素化合物[C]及び酢酸ブチル(電子供与体化合物)[D]の組み合わせは、
(1)担持型チタン化合物−トリアルキルアルミニウム−有機ケイ素化合物−酢酸ブチル
(2)三塩化チタン化合物−ジエチルアルミニウムモノハライド−有機ケイ素化合物−酢酸ブチル
(3)三塩化チタン化合物−トリアルキルアルミニウム−有機ケイ素化合物−酢酸ブチルおよび、
(4)担持型チタン化合物−三塩化チタン化合物−トリアルキルアルミニウム−有機ケイ素化合物−酢酸ブチル
の組み合わせが、他の製造条件との組み合わせにおいて本発明のプロピレン系ブロック共重合体の構成を満足するために好ましい。
【0032】
本発明においては、上記の各成分の存在下における本重合に先立ち、前記チタン化合物〔A〕を上記の〔B〕および〔C〕、または〔B〕および〔D〕、または〔B〕、〔C〕および〔D〕の存在下にα−オレフィンの予備重合を行うことが、得られるプロピレン系ブロック共重合体の低分子量成分の生成量を低減し、成形品とした場合のベタツキを抑えることができるために好適である。さらに必要に応じて上記〔B〕、〔C〕、〔D〕を用いたそれぞれの組み合わせ系に加え、一般式(i)で示されるヨウ素化合物〔E〕
〔E〕ヨウ素化合物 R−I (i)
(但し、Rはヨウ素原子または炭素数1〜7のアルキル基またはフェニル基である。)
の存在下にα−オレフィンの予備重合を行うことが、得られるプロピレン系ブロック共重合体の低分子量成分の生成量をより一層低減し、フィルムとした場合のベタツキをさらに抑えることができるためにより好ましい態様となる。
【0033】
本発明の予備重合で使用される前記〔A〕、および〔B〕、さらに必要に応じて使用される〔C〕及び/または〔D〕、またさらに必要に応じて使用される〔E〕の各触媒成分の量は、触媒成分の種類、重合の条件に応じて異なるため、これらの各条件に応じて最適の使用量を予め決定すればよい。好適に使用される範囲を例示すれば下記の通りである。
【0034】
予備重合に使用される有機アルミニウム化合物〔B〕の使用割合はチタン化合物〔A〕に対してAl/Ti(モル比)で0.1〜100、好ましくは0.1〜20の範囲が、また必要に応じて使用される有機ケイ素化合物〔C〕および、カルボン酸エステル類またはエーテル類より選ばれる少なくとも1種類の電子供与体〔D〕の使用割合はチタン化合物〔A〕に対して〔C〕/Ti(モル比)、〔D〕/Ti(モル比)で0.01〜100、好ましくは0.01〜10の範囲が、それぞれ好適である。また、必要に応じて使用されるヨウ素化合物〔E〕の使用割合はチタン化合物〔A〕に対してI/Ti(モル比)で0.1〜100、好ましくは0.5〜50の範囲が好適である。
【0035】
本発明の予備重合で好適に使用し得るヨウ素化合物を具体的に示すと次のとおりである。例えば、ヨウ素、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨードベンゼン、p−ヨウ化トルエン等である。特にヨウ化メチル、ヨウ化エチルは好適である。
【0036】
前記触媒成分の存在下にα−オレフィンを重合する予備重合量は予備重合条件によって異なるが、一般に0.1〜500g/g・Ti化合物、好ましくは1〜100g/g・Ti化合物の範囲であれば十分である。また予備重合で使用するα−オレフィンはプロピレン単独でもよく、該プロピレン系ブロック共重合体の物性に悪影響を及ぼさない範囲で、例えば5モル%以下の他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1等をプロピレンと混合することは許容される。また予備重合を多段階に行い、各段階で異なるα−オレフィンモノマーを予備重合させることもできる。各予備重合の段階で水素を共存させることも可能である。
【0037】
該予備重合は通常スラリー重合を適用させるのが好ましく、溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの飽和脂肪族炭化水素若しくは芳香族炭化水素を単独で、又はこれらの混合溶媒を用いることができる。該予備重合温度は、−20〜100℃、特に0〜60℃の範囲が好ましい。予備重合時間は、予備重合温度及び予備重合での重合量に応じ適宜決定すればよい。予備重合における圧力は限定されるものではないが、スラリー重合の場合は、一般に大気圧〜5kg/cm2G 程度である。該予備重合は、回分、半回分、連続のいずれの方法で行ってもよい。
【0038】
前記予備重合に次いで本重合が実施される。本重合は前記予備重合で得られた触媒含有予備重合体の存在下に、先ずプロピレンの重合が行われ、次にプロピレン−エチレンのランダム共重合が実施される。また、各触媒成分は予備重合時に添加されたものをそのままの状態で使用することもできるが、チタン化合物以外は本重合時に新たに添加して調節するのが好ましい。
【0039】
本発明の本重合で使用される前記〔A〕、〔B〕、〔C〕および、〔D〕の各触媒成分の量および重合条件は、触媒成分の種類に応じて異なるため、これらの触媒成分の種類に応じて最適の使用量および重合条件を予め決定すればよい。好適に使用される触媒成分の量および重合条件を例示すれば下記の通りである。
【0040】
本重合で用いられる有機アルミニウム化合物〔B〕は、前述のものが何ら制限なく使用できる。有機アルミニウム化合物の使用量は触媒含有予備重合体中のチタン原子に対し、Al/Ti(モル比)で、1〜1000、好ましくは2〜500である。
【0041】
本重合で用いられる有機ケイ素化合物〔C〕は既述の化合物が何ら制限なく採用される。本重合で用いる有機ケイ素化合物の使用量は触媒含有予備重合体中のチタン原子に対し、Si/Ti(モル比)で0.001〜1000、好ましくは0.1〜500である。
【0042】
本発明で用いられる酢酸ブチル(電子供与体)の使用量は触媒含有予備重合体中のチタン原子に対モル比で0.001〜1000,好ましくは0.1〜500である。
【0043】
上記本重合は、先ず、プロピレンの重合が実施される。プロピレンの重合は、プロピレン単独または本発明の要件を満足する範囲内でのプロピレンと他のα−オレフィンの混合物を供給して実施すればよい。プロピレン重合の代表的な条件を例示すると、重合温度は、80℃以下、更に20〜70℃の範囲から採用することが好適である。また必要に応じて分子量調節剤として水素を共存させることもできる。更にまた、重合はプロピレン自身を溶媒とするスラリー重合、気相重合、溶液重合等の何れの方法でもよい。プロセスの簡略性及び反応速度、また生成する共重合体の粒子性状を勘案するとプロピレン自身を溶媒とするスラリー重合が好ましい態様である。重合形式は回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でもよい。更に重合を水素濃度、重合温度等の条件の異なる2段以上に分けて行うこともできる。
【0044】
次に、プロピレンとエチレンのランダム共重合が行われる。プロピレンとエチレンのランダム共重合は、プロピレン自身を溶媒とするスラリー重合の場合には前記プロピレン重合に引き続いてエチレンガスを供給することで、また気相重合の場合はプロピレンとエチレンの混合ガスを供給することで実施される。
【0045】
プロピレンとエチレンのランダム共重合の重合温度は、80℃以下、好ましくは、20〜70℃の範囲から採用される。また、必要に応じて分子量調節剤として水素を用いることもでき、その際の水素濃度は多段階に変化させて重合を実施することもできる。
【0046】
プロピレン重合に続くエチレンとプロピレンのランダム共重合において特定の触媒を選択することにより、目的とする分子量分布、結晶性分布等を有するプロピレン系ブロック共重合体を1段階で製造することができるが、本発明のプロピレン系ブロック共重合体を得るための他の方法としては、ランダム共重合を多段で行い、各段階で水素濃度およびエチレン濃度等の重合条件を変化させる方法が挙げられる。かかる多段共重合において、前記した高温溶出成分、低温溶出成分の割合を重合条件によって適宜調節して共重合が実施される。
【0047】
プロピレンとエチレンのランダム共重合は回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でもよく、重合を多段階に分けて実施することもできる。また、本工程の重合は、スラリー重合、気相重合、溶液重合のいずれの方法を採用してもよい。
【0048】
本重合の終了後には、重合系からモノマーを蒸発させ本発明のプロピレン系ブロック共重合体を得ることができる。このプロピレン系ブロック共重合体は、炭素数7以下の炭化水素で公知の洗浄又は向流洗浄を行うことができる。
【0049】
本発明に使用するプロピレン系ブロック共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、塩素補足剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、銅害防止剤、難燃剤、核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、無機充填剤等を添加して混合した後、押出機でペレットにして用いてもよい。また、上記添加剤に加えて有機過酸化物も添加し、本発明の要件を満足する範囲で分子量の調節を行ってもよい。
【0050】
本発明に使用するプロピレン系ブロック共重合体を分解する際に使用する有機過酸化物としては、公知の化合物を何等制限なく用いることができるが、代表的な物を例示すると、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)−ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール;t−ブチルパーオキシ−ピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類等を挙げることができる。
【0051】
上記したプロピレン系ブロック共重合体と有機過酸化物の混練は、一般的には、プロピレン系ブロック共重合体の融点且つ有機過酸化物の分解温度以上の温度で公知の混練装置を使用して行われる。例えば、スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロール等を用いて、160〜330℃、好ましくは、170〜300℃で混練する方法を採用することができる。また、溶融混練は、窒素ガスなどの不活性ガス気流下で行うこともできる。なお、溶融混練前に公知の混合装置、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を使用して予備混練を行うこともできる。
【0052】
本発明の軟質フィルムの厚みは、フィルムの製膜性及び機械物性を勘案すれば10〜200μm、好ましくは20〜180μmであるが、延伸や積層等の方法により適宜調節できるものであり、限定されるものではない。
【0053】
本発明に使用するプロピレン系ブロック共重合体は、本発明の要件を満足する限り、他樹脂を添加して軟質フィルムを得ることができる。例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、メタロセン触媒により得られるポリプロピレンやポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン系エラストマー、ポリブテン、プロピレン−ブテン共重合体、ワックス、石油樹脂等を得られるフィルムの物性を損なわない範囲内で添加して用いることも可能である。
【0054】
本発明において、上記プロピレン系ブロック共重合体をフィルムに製膜する方法は、公知のフィルム製膜法が特に制限されるものではなく採用できる。その際の製膜温度は、フィルムの製膜性、樹脂の熱劣化等を考えると、通常、200〜300℃、好ましくは220〜270℃であるのが好ましい。フィルムの製膜方法としては、Tダイによる無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、あるいはカレンダー製膜やインフレーション製膜等のあらゆる製膜方法が使用できる。
【0055】
また、上記のようなプロピレン系ブロック共重合体を単層で用いる他にポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、メタロセン触媒により得られるポリプロピレンやポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン系エラストマー等の他樹脂との押出ラミネーションあるいは多層共押出製膜により多層(2〜5層)化して使用することもできる。
【0056】
なお、本発明の軟質フィルムは、柔軟性、透明性、機械物性に優れ、樹脂自体の製膜性が良く、且つ、二次加工性にも優れている。通常、後述する方法で測定した応力緩和値が40〜80%、好適には45〜80%であるのが一般的である。こうした応力緩和値を有するフィルムは、延伸時の表面状態が良く、また、延伸時の成形加工性も良好である。従って、かかる軟質フィルムの特性は、表面保護フィルム、粘着基材フィルム、ストレッチフィルム等の延伸して使用する用途において好適である。
【0057】
【発明の効果】
本発明の軟質フィルムは、柔軟性、透明性、耐熱性、機械物性に優れ、表面外観が良く、かつ、二次加工性にも優れているため、従来の軟質PVC、熱可塑性エラストマーが用いられている種々の分野に好適に用いることができる。例えば、包装用ストレッチフィルム、ラップフィルム、シュリンクフィルム、シーラント用フィルム、粘着テープ、マーキングフィルム、ダイシングフィルム、表面保護フィルム、鋼鈑・合板保護フィルム、自動車保護フィルム、農業用フィルム、医療用フィルム、建材関連フィルム等に好適に用いることができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例に於いて用いた測定方法について説明する。
【0059】
1)ポリプロピレン成分の測定
(株)センシュー科学社製、SSC−7300型を用い、以下の測定条件により行った。
【0060】
溶媒 ;O−ジクロロベンゼン
流速 ;2.5ml/min
昇温速度 ;4.0℃/Hr
サンプル濃度 ;0.7wt%
サンプル注入量;100ml
検出器 ;赤外検出器、波長3.14μm
カラム ;φ30mm×300mm
充填剤 ;Chromosorb P 30〜60mesh
カラム冷却速度;2.0℃/Hr
2)プロピレン含有量、エチレン含有量の測定
JEOL GSX−270を用い、13C−NMRスペクトロメーターを用いて測定した。
【0061】
3)メルトフローレイト
ASTM D−1238に準拠した。
【0062】
4)重量平均分子量及び、分子量分布
G.P.C(ゲルパーミューションクロマトグラフィー)法により測定した。センシュー科学社製SSC−7100によりo−ジクロロベンゼンを溶媒として135℃で行った。使用したカラムはShodex製UT807、806Mである。校正曲線は標準試料として、重量平均分子量が950、2900、1万、5万、49.8万、270万、490万のポリスチレンを用いて作成した。
【0063】
5)融点(Tm)の測定
セイコー電子工業(株)製DCS200を用い、熱流速示差走査熱量測定法によって、230℃で5分間溶融し、降温速度10℃/分で冷却後、昇温速度10℃/分で測定される、融解を示す最大吸熱ピーク温度の頂点の位置を求めた。
【0064】
6)引張弾性率
JIS K7127 試験速度20mm/minに準拠した。
【0065】
7)引張強度、引張伸度
JIS K6782に準拠した。
【0066】
8)透明性(ヘイズ値)
JIS K6714に準拠した。
【0067】
9)応力緩和測定
短冊状に切り出した試験片を10%延伸し、10分間保持する。10分後の応力を測定し、延伸時の最大応力値との関係から求める。
【0068】
応力緩和値=(最大応力値−10分後の応力値)/最大応力値
10)耐熱性試験
口径100mmφのガラス製円筒容器の上部をフィルム(厚み 100μm)で包装して、フイルムの上に10gのアルミ球をのせて100〜180℃の高温室で30分間放置し、フィルムの変形状態を観察した。測定温度は5℃間隔で行い、フィルムが溶融して大きく変形する温度を測定した。
【0069】
製造例1−1
(予備重合)
撹拌機を備えた内容積1リットルのガラス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を20℃に保ち、酢酸ブチル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド18.5mmol、及び三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三塩化チタン1g当たり3gとなるように30分間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロピレンを精製ヘプタンで4回洗浄した。分析の結果、三塩化チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合されていた。
【0070】
(本重合)
2置換を施した2リットルのオートクレーブに、液体プロピレンを1リットル、ジエチルアルミニウムクロライド0.70mmol、酢酸ブチル0.07mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.07mmol、水素を気相中の濃度が3mol%になるように加え、オートクレーブの内温を45℃に昇温した。予備重合で得られたチタン含有ポリプロピレンを三塩化チタンとして0.087mmol加え、45℃で30分間のプロピレンの重合を行った(工程1)。次にエチレンを、気相中のエチレンガス濃度をガスクロマトグラフで確認しながら3mol%となるように供給し、60分間の重合を行った(工程2)。次いで気相中のエチレンガス濃度を9mol%に維持するように供給して60分間の重合を行った(工程3)。
【0071】
未反応モノマーをパージし、ポリマーを得た。得られたポリマーは70℃で1時間乾燥した。次に酸化防止剤、熱安定剤、塩素補足剤、を添加して混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0072】
製造例1−2
製造例1にて得られたポリマー10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを0.03重量部添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0073】
製造例1−3
製造例1にて得られたポリマー10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを0.1重量部添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0074】
製造例2
製造例1の本重合の工程1に於いてプロピレンの重合時間を60分間とし、工程3に於いて気相中のエチレンガス濃度が13mol%を維持するようにエチレンを供給して60分間のランダム共重合を行った以外は製造例1と同様の操作を行った。得られたポリマーに10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素補足剤、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを0.03重量部添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0075】
製造例3−1
製造例1の工程1に於いて、気相中のエチレンガス濃度を0.5mol%に維持するように供給して、プロピレン重合時間を30分間とし、工程3に於いて気相中のエチレンガス濃度が13mol%を維持するようにエチレンを供給して60分間の重合を行った以外は製造例1と同様の操作を行った。得られたポリマーに10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素補足剤、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを0.03重量部添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0076】
製造例3−2
製造例3にて得られたポリマー10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素補足剤、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを0.07重量部添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0077】
製造例4
製造例1の本重合の工程1に於いてプロピレンの重合時間を90分間とした以外は製造例1と同様の操作を行った。得られたポリマー10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素補足剤、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを0.03重量部添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0078】
製造例5
製造例1の本重合の工程1に於いて水素を気相中の濃度が10.00mol%になるように加えた以外は製造例1と同様の操作を行った。得られたポリマーに10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤添加して、混合した後、30mmφ押出機を用い250℃で押出してペレットを得た。結果を表1に示した。
【0079】
比較製造例1−1、1−2
製造例1の工程に於いて、重量平均分子量400万、分子量分布5.3のプロピレン系ブロック共重合体を重合し、得られたポリマーに酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、有機過酸化物として、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼンを0.03重量部(比較製造例1)、0.2重量部(比較製造例2)添加して造粒を行った以外は製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0080】
比較製造例2
製造例1の工程1に於いて、気相中のエチレンガス濃度を1.5mol%に維持するように供給して、プロピレン重合を60分間行った。次に気相中のエチレンガス濃度を13mol%に維持するように供給して60分間の重合を行った。得られたポリマー10kgに、酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕捉剤、有機過酸化物として、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼンを0.03重量部添加して造粒を行った以外は製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
【0081】
【表1】
Figure 0004748827
【0082】
実施例1〜3
製造例1−1、1−2、1−3にて得られた樹脂を40mmφTダイ押出機(ダイス幅40cm)にてシリンダー温度240℃、ロール温度40℃の条件でフィルム厚み100μmのフィルムを製膜し、得られたフィルムが、外観評価を良好なものを○、若干メルトフラクチャーの発生するものを△、メルトフラクチャーの発生するものを×で評価した。また、得られたフィルムを長手方向(MD)、幅方向(TD)にそれぞれ10mm幅の短冊状に切り出し試験片とし、引張弾性率、引張強度、引張伸度、応力緩和の測定を行った。さらに50mm角に切り出した試験片からヘイズを測定した。ネックインの評価は、得られたフィルム幅を測定して下記の方法にて求めた。
【0083】
ネックイン(cm)=ダイス幅(40cm)−フィルム幅
結果を表2に示す。
【0084】
実施例4
製造例2にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0085】
実施例5、6
製造例3−1、3−2にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
【0086】
実施例7
製造例4にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0087】
実施例8
製造例5にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0088】
比較例1
比較製造例1−1にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0089】
比較例2
比較製造例1−2にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0090】
比較例3
比較製造例2にて得られた樹脂を用い、実施例1と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0091】
比較例4
バナジウム触媒を使用して製造したMFRが1.8g/10minでエチレン単位が88モル%のエチレン−プロピレンゴム(EPR)50重量%、MFRが2.0g/10minのポリプロピレン(融点 160℃)を50重量%の割合でブレンドした後、30mmφ押出機にて混練し、得られたペレットを40mmφTダイ押出機にてシリンダー温度240℃、ロール温度40℃の条件でフィルム厚み100μmのフィルムを製膜し、実施例1と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0092】
比較例5
比較例4に使用したEPRを30重量%、ポリプロピレンを70重量%の割合でブレンドし、比較例3と同様の操作によりフィルムを製造した。結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
Figure 0004748827

Claims (3)

  1. 触媒として[A]チタン化合物、[B]有機アルミニウム化合物、[C]有機ケイ素化合物および[D]酢酸ブチル(電子供与体化合物)の存在下で重合する重合体であって
    昇温溶離分別法により分別された溶出成分について、溶出温度と溶出成分の積算重量割合との関係を表した溶出曲線における、
    100℃以上の溶出成分が、
    プロピレン単量体に基づく成分100〜90モル%、
    エチレン単量体に基づく成分0〜10モル%とよりなる重合体であり、
    100℃未満の溶出成分が、
    プロピレン単量体に基づく成分90〜50モル%と
    エチレン単量体に基づく成分10〜50モル%とよりなる重合体であり、
    100℃以上の溶出成分が1〜70重量%、
    100℃未満の溶出成分が99ないし30重量%からなり、
    且つメルトフローレイト(MFR)とゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)とより次式(1)で算出されるIが0.57〜1.5の範囲にあり、更に示差走査熱量測定(DSC)で示す最大ピーク温度(Tm)が、150℃≦Tm≦165℃であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体からなるストレッチフィルム用軟質フィルム。
    I=log((Mw/Mn)×MFR0.33 (1)
  2. 重量平均分子量が8万〜150万である請求項1記載のプロピレン系ブロック共重合体からなるストレッチフィルム用軟質フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のプロピレン系ブロック共重合体を、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、メタロセン触媒により得られるポリプロピレンやポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン系エラストマーからなる群より選ばれた1種以上の樹脂と押出ラミネーションまたは多層共押出製膜したストレッチフィルム用軟質フィルム
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