JP3815827B2 - ポリオレフィン系ラップストレッチフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系ラップストレッチフィルムに関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、特に食品を主体とする小売商品のプレパッケージに使用されているストレッチ包装用として好適な透明性、シール性、粘着性及び柔軟性などに優れたポリオレフィン系ラップストレッチフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、青果物、総菜、精肉、鮮魚等の食品を直接またはプラスチックトレイ等の軽量トレイに乗せ、これらをフィルムでプレパッケージするいわゆる食品包装用ラップストレッチフィルムとしては、ポリ塩化ビニルや低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂の単層品もしくは多層品が使用されている。ポリ塩化ビニルを主成分とする食品包装用ラップストレッチフィルムは、透明性、柔軟性、粘着性、シール性等の食品包装用ラップストレッチフィルムに必要な特性を有している。しかしながら燃焼時の有毒ガスの発生や可塑剤の被包装物への移行等が環境上問題視されている。オレフィン系樹脂の食品包装用ラップストレッチフィルムは環境適性は有しているものの、フィルム同士の粘着性や熱シール性が不足しているため包装されたフィルムがトレイからはずれたりする問題が生じる。さらに商品価値を損なわないためにも、ポリ塩化ビニルを主成分とした食品包装用ラップストレッチフィルムなみの透明性、表面光沢が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリオレフィン系ラップストレッチフィルムの透明性、光沢、シール性、粘着性等の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、透明性、シール性、粘着性及び柔軟性を兼ね備えたポリオレフィン系ラップストレッチフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、透明性、光沢等の光学特性が良好であり、粘着性、シール性に優れたポリオレフィン系のラップストレッチフィルムを得るために、鋭意研究を行った結果、特定の組成の表面層を有する多層構造のフィルムにより上記の課題が解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、基材層及び両表面層の少なくとも3層の構造を有し、両表面層が(a)密度0.890〜0.930g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体95〜45重量%、(b)密度0.860〜0.880g/cm3であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0〜2.5であるエチレン−α−オレフィン共重合体5〜55重量%からなる組成物からなり、基材層がプロピレン系重合体からなるポリオレフィン系ラップストレッチフィルムである。
【0006】
本発明のポリオレフィン系ラップストレッチフィルムでは、両表面層を構成する樹脂組成物の成分として、まず、(b)密度0.860〜0.880g/cm3好ましくは、0.860〜0.875g/cm3であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0〜2.5好ましくは1.2〜2.3であるエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる。このような性状のを表面層の構成成分として用いることにより、得られるラップストレッチフィルムの熱シール性や粘着性を特に優れたものとすることができる。
【0007】
ここで、α−オレフィンとしては、炭素数3以上のものが特に制限なく使用されるが、好ましくは1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数が4〜12のものが好適である。これらのα−オレフィンは単独で使用しても良く、二以上組み合わせて使用しても良い。また、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、1〜50モル%であることが好ましい。
【0008】
また、(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K7112による方法により測定される。かかる密度が、上記範囲を超えると粘着性、熱シール性が劣り好ましくない。一方、該密度が上記範囲より低いものは、製造上困難である。また、かかる(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が2.5より大きい場合、透明性が低下するだけでなく、フィルムブロッキングが発生し巻きだし性が低下して好ましくない。一方、該値が1.0より小さいものは製造が困難である。
【0009】
本発明において(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、上記に加えて、好ましくは、MFR、温度上昇溶離分別(TREF)によるピーク温度、積分溶出量、メルトフロー比に関して下記の諸条件を満足することが効果上好ましい。
【0010】
▲1▼MFR
本発明の(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRは、好ましくは0.1〜20g/10分、さらに好ましくは0.3〜10g/10分である。MFRがこの値にあるものは、特に、フィルム表面のべたつきや、ブロッキングが生じ難く、また、フィルムの光学特性も良好であり好ましい。
【0011】
▲2▼温度上昇溶離分別(TREF)によるピーク温度
本発明の(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fractionation)によって得られる溶出曲線のすべてのピークが、好ましくは0〜50℃であり、さらに好ましくは0〜40℃であり、また該ピークの溶出温度以外の温度において溶出するものが実質的に溶出曲線中に存在するものであってもよい。該ピーク温度が、上記範囲にある場合において、特に、熱シール性や光沢が良好となる。
【0012】
▲3▼温度上昇溶離分別(TREF)による積分溶出量
本発明の(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、TREFによる溶出曲線から求めた積分溶出量が、溶出温度40℃の時90%以上、好ましくは40℃の時95%以上のものが好ましい。該積分溶出量が上記範囲にある場合においては、特に、熱シール性や粘着性が良好となる。ここで、TREFによる溶出曲線の測定は、周知の技術であって、例えば、Joural of Polymer Science.Vol.126,4217−4231(1981)などの文献に記載されている原理に基づいて実施される。すなわち、まず対象とするエチレン−α−オレフィン共重合体を溶媒中で完全に溶解させる。その後冷却し、該溶媒中に存在させておいて、不活性担体の表面に薄いポリマー層を形成させる。次に温度を連続的に昇温させて、まず低温度で対象エチレン−α−オレフィン共重合体中の非晶成分から溶出させる。溶出温度が上昇するとともに結晶性の高いものが溶出してきて測定は終了する。この各温度での溶出部分の濃度を検出し、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフによって、ポリマーの組成分布を知ることができる。
【0013】
▲4▼メルトフロー比(I10/I2
本発明の(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、10Kg荷重時のMFR(I10)と2.16Kg荷重時のMFR(I2)とのメルトフロー比(I10/I2)が、好ましくは5〜50、さらに好ましくは7〜30である。該メルトフロー比が、上記範囲にある場合において、特に、成形加工性が良好となる。
【0014】
本発明において、上記(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、通常、シングルサイト触媒を用いて重合することができる。また、このようにシングルサイト触媒を用いて重合したものは、熱シール性や粘着性等に優れたものとなり好ましい。ここで、シングルサイト触媒は、活性点が均一な触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物からなるものが使用される。
【0015】
シングルサイト触媒に用いられるメタロセン系遷移化合物としては、例えば、IVB族から選ばれた遷移金属[チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)]にシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオニル基または置換フルオニル基が1乃至2結合しているか、あるいは、これらのうち二つの基が共有結合しており、他に水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アセチルアセトナート基、カルボニル基、窒素分子、酸素分子、ルイス酸基、ケイソ原子を含む置換基、不飽和炭化水素等の配位子を有するものが挙げられる。
【0016】
また、有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム、または鎖状あるいは環状アルミノキサン等が挙げられる。ここで、アルキルアルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等が挙げられる。また、鎖状あるいは環状アルミノキサンは、アルキルアルミニウムと水を接触させて生成される。例えば、重合時にアルキルアルミニウムを加えておき、後に水を添加するか、あるいは、錯塩の結晶水または有機・無機化合物の吸着水とアルキルアルミニウムとを反応させることで得られる。また、上記シングルサイト触媒は、無機物に担持されることもある。シングルサイト触媒を担持させる無機物としては、シリカゲル、ゼオライト、けい藻土等が挙げられる。
【0017】
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等が挙げられ、また、これらの重合は、バッチ法であっても連続法であっても良い。また、重合条件としては、通常、重合温度;−100〜250℃、重合時間;5分〜10時間、反応圧力;常圧〜300Kg/cm2である。さらに、エチレンと共重合される。以上のような製造方法で得られる(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体の具体例としては、例えば、ダウ・ケミカルから市販されている「アフィニティ」、「エンゲージ」等が挙げられる。
【0018】
次に、本発明では、両表面層を構成する樹脂組成物の(a)成分として、JIS−K7112による密度が0.890〜0.930g/cm3であり好ましくは、0.895〜0.920g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体も使用する。それにより、得られるラップストレッチフィルムは、透明性や光沢が良好なものとなる。
【0019】
ここで、α−オレフィンとしては、前記(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体と同様なものが制限なく使用される。その含有量は、1〜50モル%であることが好ましい。
【0020】
(a)成分の密度が上記範囲を超えると、粘着性、熱シール性が劣り好ましくない。また該密度が上記範囲より低すぎるとフィルムの透明性が悪化し、さらにフィルム表面がべたついたり、ブロッキングが生じて好ましくない。
【0021】
また、上記(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、透明性及び光沢の観点から、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0〜2.5さらに好ましくは1.2〜2.3であるのが好適である。その他、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分であるのが成形加工性の観点から好適である。
【0022】
本発明において、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体は、上記密度にある通常の直鎖状低密度ポリエチレン等が制限なく使用可能であるが、特に前記重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0〜2.5の値にあるものを使用する場合においては、シングルサイト触媒を用いて重合したものを用いるのが好ましい。
【0023】
シングルサイト触媒を用いて(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体重合する場合、該シングルサイト触媒としては、前記した(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体で示したものなどが同様に使用される。重合方法も、前記密度のものが得られる公知の方法に従って適宜実施すればよい。
【0024】
本発明において、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体の配合割合は、(a)成分:(b)成分=95:5〜45:55重量%、好ましくは90:10〜60:40重量%、さらに好ましくは80:20〜65:35重量%である。(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体の配合量が上記値より多いとフィルムの透明性、光沢が悪化し、さらにフィルムのブロッキングが発生して好ましくない。(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体配合量が上記値より少ないとシール性、粘着性が低下して好ましくない。
【0025】
本発明のポリオレフィン系ラップストレッチフィルムにおいて、基材層はプロピレン系重合体により構成される。プロピレン系重合体としては、例えば、プロピレンの単独重合体あるいはプロピレンとエチレンまたは(および)炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体等が挙げられる。プロピレンに基づく単量体単位の含有量が60%より大きいものが好ましい。
【0026】
その製造方法については、特に限定されるものではなく、一般的には、いわゆるチタン含有固体状遷移金属成分と有機成分を組み合わせて用いられるチーグラー・ナッタ触媒を用いて、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、気相重合等の重合方法で一段または多段で重合することによって得ることができる。なお、これらのプロピレン系重合体は、2種以上のものを用いても良く、さらにこれらのプロピレン系重合体に少量(一般には配合量として40重量%まで)のエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体等を添加しても良い。このようなプロピレン系重合体は、上記に加えて、好ましくは、MFR、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)による熱的特性、パルス法NMRによる特性に関して、下記の条件を満足することが好ましい。
【0027】
▲1▼MFR
本発明のプロピレン系重合体のMFRは、好ましくは、0.1〜20g/10分、さらに好ましくは0.3〜10g/10分である。MFRが上記範囲にある場合において、特に、フィルムの成形性やフィルムの透明性が良好となる。
【0028】
▲2▼DSCによる熱的特性
本発明のプロピレン系重合体は、DSCから求めた融点が、好ましくは130〜165℃であり、さらに好ましくは135〜162℃であることが熱シール性の観点から好適である。また、本発明のプロピレン系重合体は、DSCから求めた融解熱が、好ましくは5〜50J/gであり、さらに好ましくは8〜30J/gである。該融解熱が、上記範囲の場合においては、特に、柔軟性が良好となる。
【0029】
▲3▼パルス法NMRによる特性
本発明のプロピレン系重合体は、Multiple−Pulse Magnetic Resonance on Some Crystalline Polymers (Polymer Journal、Vol 3、No.4、p448−462(1972);K.Fujimoto,T.Nishi andR.Kado)に記載のパルス法NMRで求めた、結晶成分(I)、拘束された非晶成分(II)および拘束されない非晶成分(III)の中で、非晶成分(III)の重量分率(III)/[(I)+(II)+(III)]が、好ましくは0.3〜0.8、さらに好ましくは0.45〜0.7である。該非晶成分の重量分率が、上記範囲にある場合には、特に、熱シール性や柔軟性が良好となる。
【0030】
本発明のポリオレフィン系ラップストレッチフィルムにおいて、以上説明した両表面層、及び基材層を構成する樹脂には、それぞれ一般に使用されている添加成分、例えば、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、核剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、着色剤、ガス吸着剤、香料等を添加することができる。
【0031】
また、基材層と各表面層の間には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、他の中間層を介在させても良い。かかる中間層としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンーエチレンランダム共重合体、炭素数4以上のプロピレンーαオレフィン共重合体、炭素数3以上のエチレンーαオレフィン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体等からなる層などが挙げられる。
【0032】
本発明のポリオレフィン系ラップストレッチフィルムの製造方法は、特に制限されるものではない。例えば、必要に応じて造粒した各層樹脂を、それぞれ個別の押出機により、各層の樹脂を融点以上で押し出し、多層ダイスに内で積層させフィルム状に押し出す方法によって製造される。多層フィルムの工程は、混練工程と製膜工程とに分けて行う必要はなく、混練の押出機の先端にダイスをつけて直接成形してもよい。多層押出によるフィルムの成形は、Tダイキャスト法やインフレ吹き上げ法、インフレ吹き下げ法があるが何れにも好適に使用できる。こうして得られた多層フィルムは、未延伸であってもよく、また、製膜後一軸もしくは二軸に延伸してもかまわない。延伸倍率は、面積倍率で50倍以下にすることが好ましい。本発明のポリオレフィン系ラップストレッチフィルムの厚みは、好ましくは5〜30μmであり、さらに好ましくは8〜20μmである。さらに各表面層の厚みは、基材層の厚みの5〜50%が好ましく、10〜40%であることがより好ましい。
【0033】
【発明の効果】
本発明のラップストレッチフィルムは、焼却時に塩素ガス等の有毒ガスを発生しないポリオレフィン系フィルムとして、軟質ポリ塩化ビニルフィルムに匹敵する透明性、熱シール性、粘着性を有するものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0035】
(1)測定方法
(a)MFR
JIS K7210に準じて測定した。エチレンーα−オレフィン共重合体は、190℃、2.16Kg荷重で、プロピレン系重合体は、230℃、2.16Kg荷重で行った。
【0036】
(b)TREFによるピーク温度及び積分溶出量の測定
TREFによるピーク温度及び40℃における積分溶出量の測定は、センシュー科学社製の自動TREF装置SSC−7300ATREFを用いて、次の条件で行った。
【0037】
溶媒 : オルトジクロルベンゼン
流速 : 150ml/時間
昇温速度: 4℃/時間
検出器 : 赤外検出器
測定波数: 3.41μm
カラム : センシュー科学社製「パックドカラム30φ」、30mmφ×300mm
濃度 : 1g/120ml
注入量 : 100ml
この場合、カラム内に試料溶液を145℃で導入した後、2℃/時間の速度で10℃まで除冷して試料ポリマーを充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を上記条件で昇温することにより、各温度で溶出してきたポリマー濃度を赤外検出器で測定した。
【0038】
(c)重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の測定
GPC(ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフ)法によって測定した。GPC−150(ウオーターズ社製)により、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、135℃で測定した。使用したカラムは、TSK gel GMH6−HT(東ソー製)、ゲルサイズ10〜15μmである。校正曲線は標準試料として重量平均分子量950、2900、1万、5万、49.8万、270万、675万のポリスチレンを用いて作成した。
【0039】
(d)メルトフロー比(I10/I2
メルトフロー比の測定は、JIS K7210に準じて、190℃、10Kg荷重での値(I10)と190℃、2.16Kg荷重の値(I2)の比(I10/I2)によって行った 。
【0040】
(e)DSCによる融点、融解熱の測定
セイコー電子工業(株)社製示差走査熱量計(DSC200)により、予熱230℃で5分・降温速度10℃/min・折り返し温度30℃・昇温速度10℃/minの条件下で得られた熱分析曲線から測定した。
【0041】
(f)パルス法NMR
日本ブルカー(株)製,PC−120装置を用いて、測定周波数20MHzにて観測核を1Hとして、測定パルス系列をソリッドエコー法を用いて、測定温度30℃、パルス繰り返し時間5秒、積算回数200回で測定した。得られた磁化減衰曲線を対数プロットし、文献 K.Fujimoto,T.Nishi and R.Kado,Polym.J.,Vol.3,448−462(1972)に記載の方法で、成分分離を行い、各成分の分率を求めた。
【0042】
(g)密度
JIS 7112に準じて測定した。
【0043】
(h)ヘイズ
JIS K7105に準じて測定した。
【0044】
(i)グロス
JIS K7105に準じて測定した。
【0045】
(j)粘着力
幅15mm・長さ60mmのフィルムの片端同士を10mmにわたって重ね合わせ、23℃下・2.5kPaの圧力で圧着し、圧着部分がチャック中央になるように、チャック間距離50mm・クロスヘッド速度50mm/minで引張応力を測定して粘着力とした。
【0046】
(k)熱シール性
リンゴを2個を発砲スチロール製のトレイにのせ、ARC製ハンドラッパー(205−U)を用い、熱板の温度を80℃にしてラッピング後、シール部分のシール性を2段階評価した。
【0047】
○:シール部分の密着性が良好
×:シール部分の密着性が不十分
(l)フィルム外観
フィルムを300m巻き付けた内径3インチの紙管に鉄棒を通して固定し、手動にて巻きだして、フィルムの外観を2段階評価した。
【0048】
○:巻きだし性が良好
×:ブロッキングが発生し、巻きだし性が不十分
また、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体、(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体、及びプロピレン系重合体として使用した樹脂を以下に示した。
【0049】
[(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体]
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼:ウルトゼックス1520L(三井石化製)
密度=0.915
MFR=2.3g/10分
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=2.7
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲2▼:スミカセンFA102(住友化学製)
密度=0.925
MFR=0.8g/10min
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=3.4
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲3▼:アフィニティPL1880(ダウケミカル製)
密度=0.902
MFR=1.0g/10min
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=2.0
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲4▼:ウルトゼックス3520L(三井石化製)
密度=0.935
MFR=2.1g/10分
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=2.7
[(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体]
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼:エンゲージEG8100(ダウケミカル製)
密度=0.870
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=2.0
MFR=1.0g/10min
TREFピーク温度 30℃
40℃におけるTREF積分溶出量95%
10/I2=7.8
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲6▼:アフィニティPF1140(ダウケミカル製)
密度=0.895
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=2.0
MFR=1.6g/10min
TREFピーク温度 60℃
40℃におけるTREF積分溶出量 12%
10/I2=7.4
・エチレン−α−オレフィン共重合体▲7▼:タフマーS4030(三井石化製)
密度=0.862
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)=4.6
MFR=0.4g/10min
TREFピーク温度 20℃
40℃におけるTREF積分溶出量 99%
10/I2=5.3
[プロピレン系重合体]
・プロピレン系重合体▲1▼:PER T310E(トクヤマ製)
プロピレン単位の含有量=79mol%
MFR=1.5g/10min
融点=152℃
融解熱=12J/g
パルス法NMR (III)/[(I)+(II)+(III)]=0.63
・プロピレン系重合体▲2▼:PER T310J(トクヤマ製)
プロピレン単位の含有量=85mol%
MFR=1.5g/10min
融点=154℃
融解熱=19J/g
パルス法NMR (III)/[(I)+(II)+(III)]=0.53
実施例1
表面層を構成する樹脂組成物として、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼を90/10の重量比で混合し、単軸50mmφ押出機にて温度200℃で溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を第一層及び第三層の押出機から、プロピレン系重合体▲1▼を第二層の押出機から、第一層:第二層:第三層=1:4:1の吐出量で環状多層ダイスに押し出し、200℃で環状多層ダイス内で積層して、フィルム状に押し出した。次いで、溶融円筒状フィルムの内部にエアーを吹き込み、冷却水をオーバーフローさせたマンドレルに接触させて水冷固化させ、ドラフト比67・ブローアップ比1.5・引き取り速度20m/minで引き取り、厚さ13μmのインフレーションフィルムを得た。得られたフィルムを評価し、表1に示した。
【0050】
実施例2〜4
表1に示すように(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼の配合割合を変えた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0051】
実施例5
表面層を構成する樹脂組成物として、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲2▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼を80/20の重量比で混合した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0052】
実施例6
表面層を構成する樹脂組成物として、(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲3▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼を80/20の重量比で混合した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0053】
実施例7
基材層を構成する樹脂として、プロピレン重合体▲2▼を用いた以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0054】
比較例1
表2に示したように、表面層を構成する樹脂として(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼を第一層及び第三層の押出機からから、プロピレン系重合体▲1▼を第二層の押出機から、第一層:第二層:第三層=1:4:1の吐出量で環状多層ダイスに押し出し、200℃で環状多層ダイス内で積層して、フィルム状に押し出した以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。フィルムの粘着力及び熱シール性が不十分であった。
【0055】
比較例2
表2に示すように、表面層を構成する樹脂組成物として(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼の配合割合を40/60とした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。透明性、光沢が悪化し、フィルムの巻出し性が不十分であった。
【0056】
比較例3
表2に示すように、表面層を構成する樹脂組成物として(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲4▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲5▼の配合割合を80/20とした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。熱シール性及び粘着力が不十分であった。
【0057】
比較例4
表2に示すように、表面層を構成する樹脂組成物として(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲6▼の配合割合を80/20とした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。熱シール性及び粘着力が不十分であった。
【0058】
比較例5
表2に示すように、表面層を構成する樹脂組成物として(a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲1▼と(b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体▲7▼の配合割合を80/20とした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示した。透明性、光沢が悪化し、フィルムの巻出し性が不充分であった。
【0059】
【表1】
Figure 0003815827
【0060】
【表2】
Figure 0003815827

Claims (5)

  1. 基材層及び両表面層の少なくとも3層の構造を有し、両表面層が(a)密度0.890〜0.930g/cm3のエチレン−α−オレフィン共重合体95〜45重量%、(b)密度0.860〜0.875g/cm3であり、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0〜2.5であるエチレン−α−オレフィン共重合体5〜55重量%からなる組成物からなり、基材層がプロピレン系重合体からなるポリオレフィン系ラップストレッチフィルム。
  2. (a)エチレン−α−オレフィン共重合体が、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.0〜2.5のものである請求項1記載のポリオレフィン系ラップストレッチフィルム。
  3. プロピレン系重合体のMFRが0.1〜20g/10分である請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィン系ラップストレッチフィルム。
  4. (b)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRが、0.1〜20g/10分である請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系ラップストレッチフィルム。
  5. (a)成分のエチレン−α−オレフィン共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系ラップストレッチフィルム。
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