JP5536390B2 - 包装用成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、窓孔を有する紙製の封筒状又は箱状の包装用成形体に関する。
従来、封筒やティッシュ箱等の包装用成形体において、紙面に設けられた窓孔を樹脂フィルによって被覆する方法が用いられている。
例えば、窓付き封筒は、表紙に窓を持ち、窓には四角形状の合成樹脂製の透明シートが表紙の裏側から貼り付けられている。窓付き封筒を利用する場合、この封筒内に用紙を入れることにより、用紙に印刷されている送り先を窓付き封筒の窓が透視可能にする。こうした窓付き封筒を用いることにより、封筒の表紙に送り先の住所などを印刷する手間を省くことができる。
窓孔の樹脂フィルムによる被覆は、包装用成形体の内側から樹脂フィルムを被覆する方法と、包装用成形体の外側から樹脂フィルムを被覆する方法が、それぞれ用いられている。
包装用成形体の内側から樹脂フィルムを被覆する方法においては、従来は、樹脂フィルムを、包装用成形体の内側から、前記窓孔の一部又は全部と、その周辺紙部を被覆して、接着材により窓孔周辺部と樹脂フィルムを接着させていた。
しかし、この方法では、出来上がり製品にわずかながら溶剤が残留して臭気が残る。また、ホットメルトや溶剤タイプの接着剤の加工性・操作性の悪さからフィルムを貼り付ける加工速度が上げにくい。接着剤のはみ出しなどの製品不良トラブルやベタつく接着剤のこぼれ対処など加工上のトラブルが発生し易いなどの問題があった。
包装用成形体の外側から樹脂フィルムを被覆する方法においては、窓孔とその周辺紙部のみを被覆すると、上記の問題に加えて、更に、包装用成形体の表面に段差が生じ、また接着剤が可視できる状態となるため見苦しく、製品としての価値が低いものとなる。
そのため、樹脂フィルムに熱接着層を形成すると共に、窓孔を含む紙面全体を被覆し、熱接着によって、樹脂フィルムを紙面全体と一体化する技術が用いられるようになった。
しかし、紙との熱接着性を発現する従来の素材はベタつきやすく、ブロッキングによる不具合を生じるなど加工性に問題が生じるようになった。
特許文献1には、上記不具合を解消すべく、紙と熱接着する熱接着層にエンボス加工を施し、ブロッキングし難くさせる方法も開示されている。しかし、エンボス加工を施した場合、少なからず光拡散性が増し、窓孔の透明性が悪化する。エンボス目を解消するために、樹脂フィルムに熱を加えて、エンボス目を平坦化する等の処方を工程に織り込んで対応する場合もあるが、平坦化には限界があり、また工程数の増加を伴うため、高コスト且つ、低効率である。
また、この様な紙面全体を被覆する方法では、樹脂のコストが高く、また樹脂フィルムを紙から剥離させることが難しく、ゴミの分別が困難になる。
この様に、従来は、包装用成形体の内側から樹脂フィルムを被覆する方法と、包装用成
形体の外側から樹脂フィルムを被覆する方法の何れにおいても深刻な課題が残されていた。
特開平6−143518号公報
本発明者は、窓孔に対して、包装用成形体の内側から樹脂フィルムを被覆する方法について検討を行った。
まず、従来の熱接着層を有する樹脂フィルムを、包装用成形体の内側から、窓孔及びその周辺を被覆する用途に用いた場合は、上述した外側からの被覆時と同様に、ブロッキングによる不具合が生じた。
更に、本発明者は、包装用成形体の内側から被覆した場合に特有の問題、つまり、包装用成形体の窓孔表面に熱接着層が露出した状態となるため、熱接着層の光散乱性がフィルム全体の透視性に大きな影響を及ぼすことを見出した。
光散乱層を有する樹脂フィルムを介して透視対象物を透視する場合、光散乱層と透視対象物との間の距離が、透視性において重要になる。つまり、この距離が大きいほど、透視対象物は不鮮明に観察されるようになる。
樹脂フィルムの熱接着層が包装用成形体の窓孔表面側に配向された場合、たとえ包装用成形体に封入された透視対象物と樹脂フィルムとが接触した状態であっても、樹脂フィルムの膜厚分だけ、熱接着層と透視対象物との間の距離が確保されることとなる。したがって、熱接着層の光散乱性が高い場合は、フィルム全体の透視性が著しく低下することとなる。
この様な現象は、包装用成形体の外側から被覆した場合と比較して顕著に発現するため、例えば、熱接着層に特許文献1の様なエンボス加工が施された場合は、フィルムの透視性は著しく低下する。
エンボス加工を用いない、又は、エンボス粗さを減少する等によって、熱接着層の透明性の向上を図れば、耐ブロッキング性が更に低下し、シワの発生や、フィルムの切断等による不良品が発生する。
仮に、エンボス加工を用いなかったとしても、熱接着層の光散乱性が高い樹脂フィルムを包装用成形体の内側から被覆する用途に用いると、透視性の低下が増幅される。
フィルムの膜厚を減少して、透視性を向上することも考えられるが、強度等のフィルムの特性を損なうことになり得るし、根本的な解決には至らない。
そこで本発明の課題は、樹脂フィルムを、包装用成形体の内側から、窓孔に被覆して、熱接着層と紙面とを熱接着して接合する用途において、樹脂フィルムの透視性及び耐ブロッキング性を共に満たす包装用成形体を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
窓孔を有し、該窓孔を樹脂フィルムによって被覆した紙製の封筒状又は箱状の包装用成形体において、
該窓孔の一部又は全部とその周辺紙部を、表層である熱接着層と基層である未延伸ポリオレフィン層とを積層してなる熱接着性フィルムによって、該包装用成形体の内側から被覆すると共に、該熱接着性フィルムの熱接着層側を前記周辺紙部に熱接着してなり、
前記熱接着層が、下記(A)〜(C)から選ばれる少なくとも1種の共重合体からなることを特徴とする包装用成形体。
(A)シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体
(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体
(C)エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体
(請求項2)
前記熱接着層と未延伸ポリオレフィン層との間に、ポリオレフィンからなる中間層を有し、該中間層よりも、前記未延伸ポリオレフィン層の融点が高いことを特徴とする請求項1記載の包装用成形体。
(請求項3)
前記熱接着性フィルムのHaze値が、20%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の包装用成形体。
(請求項4)
前記周辺紙部の熱接着部位が、破線状又はドット状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装用成形体。
本発明によれば、樹脂フィルムを、包装用成形体の内側から、窓孔に被覆して、熱接着層と紙面とを熱接着して接合する用途において、接着剤を使うことなく窓孔を有する紙にフィルムを貼り付けた成形体を得ることができ、残留する溶剤の臭気もなく、当該成形体を加工するに於いても接着剤を用いないので加工速度を上げることにも繋がり、さらに、熱接着における耐ブロッキング性が向上され、トラブルや不良の発生が抑制される。
また、本発明によれば、樹脂フィルムの透視性に優れた包装用成形体が提供される。
さらに、本発明によれば、熱接着部位を線状、破線状又はドット状にする事で、使用後の紙との分離が容易で且つきれいな分別が可能な包装用成形体が提供される。
本発明の一実施形態に係る包装用成形体の要部断面図 熱接着部位の形成例を示す図 包装用成形体の一例を示す図
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装用成形体の要部断面図である。
図1において、1は包装用成形体であり、熱接着性フィルム2、及び窓孔を有する紙3から形成されている。熱接着性フィルム2は、熱接着層21、中間層22、基層23を積層させて形成されている。また、熱接着性フィルム2は、紙3に設けられた窓孔30とそ
の周辺紙部31を被覆し、周辺紙部31と熱接着性フィルム2の熱接着層21とは熱接着により接合されている。
本発明に用いる紙3としては特に制約は無く、汎用の紙を用いることができるが、用途によっては薄すぎると目的を果たさなくなり、厚すぎるとコスト高になることがあるので用途に応じた厚さが好ましい。
具体的には、封筒なら、坪量にして10g/m以上が好ましく、15g/m以上ならより好ましく、20g/m以上であれば十分な強度を保てるので特に好ましい。ティッシュ用紙箱なら、箱として使うためより厚い紙が好ましく、坪量にして20g/m以上が好ましく、25g/m以上ならより好ましく、30g/m以上であれば十分な強度を保てるので特に好ましい。
窓孔30の形成としては、特に制約は無いが、ティッシュ用紙箱としてはティッシュの取り出しを目的として窓を形成し、封筒用としては内部可視のための窓として適宜の箇所に適宜の大きさで設けることが好ましい。
次に本発明に用いる熱接着性フィルムについて説明する。
熱接着性フィルムは、少なくとも、表層である熱接着層と基層である未延伸ポリオレフィン層とを積層してなり、必要に応じて、中間層を設けることもできる。
熱接着層の材料は、下記(A)〜(C)から選ばれる少なくとも1種の共重合体からなる。
(A)シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体
(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体
(C)エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体
また、熱接着層の材料は、常温では固体で、未延伸ポリオレフィン層(基層)の融点以下の熱接着加工で、窓孔30の周辺紙部31への熱接着性が発現できれば好適に機能を発現する。
また、熱接着層21表面にコロナ処理を施すことで表面の極性を増加させ、窓孔30の周辺紙部31への接着性を上げることも好ましい。
本発明の熱接着性フィルムの熱接着層21を構成する(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
シングルサイト触媒とは、実質的に、均質な重合活性点によって構成された触媒を指称し、具体的には、メタロセン系遷移金属化合物(いわゆるカミンスキー触媒)、あるいは、非メタロセン系遷移金属化合物(ブルックハルト系触媒、フェノキシイミン系錯体等)と、助触媒(メチルアルミノキサンや硼素化合物等)から構成される重合触媒を用いることができる。最も好ましいシングルサイト触媒としては、メタロセン系遷移金属化合物を主成分とするメタロセン触媒を挙げることができる。メタロセン触媒として、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、あるいは、その置換体等の非架橋型メタロセン触媒を使用することもできる。
本発明に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが好適である。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。エチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、5〜40重量%が好ましく、より好ましくは7〜35重量%である。α−オレフィンの含有量が少ない場合、フィルムの衝撃強度、及び低温ヒートシール性が得られず、多すぎる場合は、耐ブロッキング性が損なわれる。α−オレフィン含有量は、13C−NMR法によって計測される。
エチレン・α−オレフィン共重合体を得るためのシングルサイト触媒を用いた重合は、基層23のプロピレン・α−オレフィン共重合体の項で述べる方法と同様の方法によって行うことができる。
メタロセン系エチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリエチレン社製の商品名「カーネル」や「ハーモレックス」、デュポンダウ社製商品名「アフィニティー」等が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体は、1種又は2種以上混合して使用することもでき、また、他のポリエチレン、特には高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることも好ましい態様である。
また、本発明に使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体は、下記の特性を満たす共重合体であることが望ましい。
ある程度MFR(190℃、21.18N荷重)が大きい方が温熱接着加工時に紙の繊維の隙間に食い込んで、高い接着を得られるなどの利点が発現するので好ましく、具体的には0.1g/10分以上が好ましく、1g/10分以上であればより好ましく、4g/10分であれば十分に食い込むので特に好ましい。また、ある程度は小さいほうが、製膜加工性が安定するので好ましく、具体的には20g/10分以下が好ましく、15g/10分以下であればより好ましく、10g/10分以下であれば加工性が安定するので特に好ましい。なお、MFRの測定は、JIS−K6921−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して行う。
本発明で用いるエチレン・αエチレン共重合体の密度は特に制限は無いが、紙との熱接着により包装用成形体を製造せしめるに於いて、ある程度低いほうが低温熱接着を可能とせしめたり、高い接着を得られるなどの利点が発現するので好ましく、具体的には0.925g/cm以下が好ましく、0.915g/cm以下であればより好ましく、0.905g/cm以下であれば、低温熱接着でも十分な熱接着を得られるので特に好ましい。また、ある程度は高いほうが、ブロッキングによる加工性不具合を抑制できるので好ましく、具体的には0.870g/cm以上が好ましく、0.880g/cm以上であればより好ましく、0.885g/cm以上であれば好適に加工できるので特に好ましい。なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書の低密度ポリエチレンの場合に準拠して測定する(23℃)。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体を構成する樹脂成分には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
本発明の熱接着性剥離フィルム2の熱接着層21は、(B)エチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることもでき、エチレン・酢酸ビニル共重合体は、チューブラー方式によるものであってもオートクレーブ方式によるものであってもよい。
エチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は、紙との熱接着に於いて、ある程度大きい方が低温熱接着を可能とせしめたり、高い接着を得られるなどの利点が発現するので好ましく、具体的には3重量%以上が好ましく、5重量%以上であればより好ましく、7重量%以上であれば、低温熱接着でも十分な熱接着を得られるので特に好ましい。また、ある程度は小さいほうが、ブロッキングによる加工性不具合を抑制できるので好ましく、具体的には30重量%以下が好ましく、25重量%以下であればより好ましく、20重量%以下であれば好適に加工できるので特に好ましい。
エチレン・酢酸ビニル共重合体のMFR(190℃、21.18N荷重)は、ある程度大きい方が熱接着加工時に紙の繊維の隙間に食い込んで、高い接着を得られるなどの利点が発現するので好ましく、具体的には1g/10分以上が好ましく、2g/10分以上であればより好ましく、4g/10分であれば十分に食い込むので特に好ましい。また、ある程度は小さいほうが、製膜加工性が安定するので好ましく、具体的には20g/10分以下が好ましく、15g/10分以下であればより好ましく、10g/10分以下であれば加工性が安定するので特に好ましい。
本発明の熱接着性剥離フィルム2の熱接着層21は、(C)エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(EEA)を用いることもできる。
エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(EEA)は、エチレンとアクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステルを共重合成分とする共重合体であり、これらのエチレンとの共重合割合としては、(メタ)アクリル酸コモノマーが5重量%以上〜50重量%未満であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量%、更には15〜40重量%である。5%未満の場合は、十分な接着力が得られず50%を超えると樹脂としての取扱いが困難になりやすい。
本発明の熱接着層21は表面にコロナ処理を施すことにより、紙への接着強度が向上し、一体化して窓孔を有する包装用成形体と出来る。
コロナ処理の条件としては、JIS K 6768に準拠するぬれ張力が、36mN/m以上であることが好ましく、38mN/m以上であればより好ましく、40mN/m以上であれば十分な接着を得易くなるので特に好ましい。
熱接着層が、上記(A)〜(C)から選ばれる少なくとも1種の共重合体から形成される熱接着フィルムであれば、耐ブロッキング性が向上し、また接着性にも優れるため、例えば特許文献1に用いられるようなエンボス加工を施すことなく良好な包装用成形体を得ることができる。また、熱接着層表面の光散乱性が低いため包装用成形体の窓孔に用いた場合に透視性が高く、さらに、表面がベトつかない効果を発揮する。
本発明ではフィルム製膜時の加工安定性付与などの必要に応じて、熱接着層と基層との間に、中間層を設けることもできる。
中間層は、ポリオレフィンを主成分とするものが好ましく挙げられ、具体的にはポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどを上げることができる。
特に透明性を要する場合、一般に密度が低いポリエチレンが好ましく、具体的には0.940g/cm未満が好ましく、0.935g/cm未満がより好ましく、0.930g/cm未満であれば十分な透明性を得ることができるので特に好ましい。
さらに、本発明の中間層には、他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
本発明において、基層は、未延伸ポリオレフィンから形成される。具体的には、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどを挙げられ、且つ、これらによって形成される基層は、未延伸の状態で用いられる。
特許文献1も含めた従来の技術常識では、ブロッキングの惹起は、熱接着層の性質によって誘発されるものと考えられ、この知見に基づいて樹脂フィルムの改良が行われてきた。
これに対して、本発明者は、ブロッキングを惹起する要因について、熱接着層のみでなく、基層(熱接着層と反対側の表層)についても鋭意検討を行った。その結果、延伸フィルムを基層に構成することにより、必要以上に表面平滑性が向上してブロッキングが誘発されること、及び、ポリエチレンテレフタレートのような極性の高い素材を基層に構成することがブロッキングを誘発していることを見出して本発明を完成させた。
つまり、本発明では、非極性であるポリオレフィンを未延伸の状態で基層に用いることで、ブロッキングの誘発を抑えて耐ブロッキング性が向上される。従って、透明性の悪いエンボス加工を熱接着層に施す必要がない。
また、本発明において、基層は、熱接着層よりも融点が高く、前記中間層を設ける場合は、中間層よりも融点が高いことが好ましい。
これにより熱接着性フィルムと紙とを熱接着する加工において、この基層を設けることで、熱による変形を抑制できることや、より高温での加工を可能とさせて紙との接着強度を上げることができる。
基層の構成としては、中間層を設ける場合は中間層の成分よりも融点が高いことが好ましく、具体的には10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いとより好ましい。これらを満たし易い成分として、密度の高いポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを好適に用いることができる。密度の高いポリエチレンとしては具体的には中間層との選定との組み合わせにもよるが、0.920g/cm以上が好ましく、0.930g/cm以上であればより好ましく、0.940g/cm以上であればさらに好ましく、0.950g/cm以上であれば十分な耐熱性が期待できるので特に好ましい。
ポリプロピレンを用いる場合は、通常のチーグラー触媒によるポリプロピレンでもシングルサイト触媒を用いて得られるプロピレン・αオレフィン共重合体いずれでも選択できる。
本発明に使用されるプロピレン・α−オレフィン共重合体としては、プロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンのランダム共重合体が使用される。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
プロピレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの単位の量は、通常は0.5〜12重量%、好ましくは1〜10重量%である。α−オレフィン単位が多い場合、フィルムの剛性が低下し、傷が付きやすくなり、少なすぎる場合は、しなやかさ、透明性が損
なわれる。プロピレン単位及びα−オレフィン単位は、13C−NMR法によって計測することができる。
本発明に用いられるプロピレン・α−オレフィン共重合体は、シングルサイト触媒によって得られる。シングルサイト触媒とは、実質的に、均質な重合活性点によって構成された触媒を指称し、具体的には、メタロセン系遷移金属化合物(いわゆるカミンスキー触媒)、あるいは、非メタロセン系遷移金属化合物(ブルックハルト系触媒、フェノキシイミン系錯体等)と、助触媒(メチルアルミノキサンや硼素化合物等)から構成される重合触媒を用いることができる。最も好ましいシングルサイト触媒としては、メタロセン系遷移金属化合物を主成分とするメタロセン触媒を挙げることができる。メタロセン触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化し得る助触媒と、必要により添加される有機アルミニウム化合物とからなる触媒が用いられる。
メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。具体的には、アルキレンビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、あるいはその置換体、例えばメチレンビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−アルキルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4Hアズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。また、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用でき、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることができる。
メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは、重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
シングルサイト触媒によって得られるプロピレン・α−オレフィン共重合体は、市販されているものを使用することもでき、例えば日本ポリプロ株式会社製のプロピレン−エチレンランダム共重合体、商品名「ウィンテック」(ウィンテックは日本ポリプロ社の登録商標)等が挙げられる。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィン共重合体は次の特性を有するものが望ましい。
プロピレン・α−オレフィン共重合体のMFR(230℃、21.18N荷重)は、1〜20g/10分、好ましくは2〜20g/10分である。MFRの測定は、JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して行う。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィン共重合体は、示差走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が120〜165℃、好ましくは130〜150℃が望ましい。Tmが上記範囲未満の場合には剛性が低下しやすく、好適な耐ブロッキング性が得られにくく、また、上記範囲を超える場合にはしなやかさが損なわれる傾向がある。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.5〜3.5、さらに好ましくは1.8〜3.3である。Mw/Mnの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行うことができる。
プロピレン・α−オレフィン共重合体は、上記成分にジベンジリデンソルビトール誘導体、有機リン酸金属塩、有機カルボン酸金属塩、高密度ポリエチレン等の核剤を添加するのが好ましく、核剤を配合することによって透明性を向上することができる。添加量は、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%程度が望ましい。高密度ポリエチレンは、添加によって、同時に加工安定性を改良することができる。
従来、ポリプロピレンを二軸延伸製膜法で製膜するに於いて、核剤を添加して、光沢を向上させる手法は一般的であるが、もともと、二軸延伸製膜過程において光沢を発現させているので、核剤をさらに付与しても、それ以上の光沢の付与は僅かなものでしかなかった。これに対して、シングルサイト触媒によって得られるプロピレン・α−オレフィン共重合体に核剤を添加することにより、顕著に光沢感が向上させることができる。これは、インフレーション成形が空気による冷却固化工程のため、徐冷となり、球晶が成長して光沢発現を妨げることがある成形方法のため、核剤での結晶の微細化による光沢感発現の効果の余地が大きい為とシングルサイト触媒によるプロピレン・α−オレフィン共重合体で更に顕著になると考えられる。
本発明のプロピレン・α−オレフィン共重合体には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
添加剤の配合は、樹脂組成物を調製する任意の段階で必要に応じて配合される。溶融混練は、例えば粉末状、ペレット状等の形状の各成分を一軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、小型バッチミキサー、連続ミキサー、ミキシングロール等の混練機を使用して行なわれる。混練温度は、一般に180〜270℃である。
本発明の熱接着性フィルムの製造方法は、特に制約は無いが、熱接着層、中間層、基層までを、複数の押出機及び共押出多層ダイを用いてのインフレーション成形あるいはTダイ成形で共押出フィルムと製膜する製造方法が好適である。
本発明におけるインフレーション成形法としては、熱接着層、中間層、基層を、共押出
多層環状ダイ付きの複数の押出機により溶融させてチューブ状にして押出し、ブロアなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後、ガイド板を経てピンチロールにて折り畳み、引取機にて引き取る方法によって得ることができる。
また、肉厚比は特に制限は無いが熱接着層はある程度厚いほうが熱接着機能を適切に発現でき、基層がある程度厚いほうがフィルムとしての機能を十全に発現できるので、基層/熱接着層=50/50〜99/1程度が好ましく、60/40〜97/3程度はより好ましく、70/30〜95/5であれば物性のバランスが特に好ましい。
中間層を設ける場合は、機能を付与するためにはある程度の厚さが必要で、全層に対して層比で5%以上が好ましく、10%以上であればより好ましく、20%以上であれば特に好ましい。
この成形方法で使用できる成形機、冷却リング、ブロア、ガイド板、ピンチロール、及びフィルムの引取機などは一般に使用されているものを使用することができる。
本発明における熱接着性フィルムを成形する条件としては、本発明で特定する特性が得られる限り特に限定しないが、成形温度は170〜250℃、好ましくは170〜200℃、成形速度は10〜300m/分、好ましくは50〜200m/分が好適である。
熱接着層表面に、熱接着性機能強化のためにコロナ処理を施すこともできる。
コロナ処理の条件としては、JIS K 6768に準拠するぬれ張力が、36mN/m以上であることが好ましく、38mN/m以上であればより好ましく、40mN/m以上であればさらに好ましい。
本発明の熱接着性フィルムは、紙製の包装用成形体の窓孔の一部又は全部とその周辺紙部を、包装用成形体の内側から被覆すると共に、該熱接着性フィルムの熱接着層側を前記周辺紙部に熱接着されて用いられる。熱接着する手法に特に制限は無く、公知の方法を用いることができる。
資源リサイクルの上で、包装用成形体の使用後に、熱接着性フィルムと紙とが容易に分離できることが好ましい。
従来、紙部に設けられたミシン目に沿って、封筒本体から樹脂フィルムを含む切り取り部を切り取る手法も提案されている(例えば、特開2006−103797号公報、及び特開2008−56320号公報)。しかし、上記のような切り取り線から切り取っても、紙と樹脂フィルムは接合されたままであり、紙と樹脂フィルムを分離するものではなく、資源リサイクルを完遂するためには不十分な手法と言える。
本発明者は、一定の強度を有し、且つ簡便に剥離可能な、熱接着性フィルムと紙と熱接着について鋭意検討した。そして、熱接着層の成分が前述の(A)〜(C)であれば、熱接着部位の形状に以下の工夫を施すことで、一定の強度を有し、且つ簡便に剥離可能な熱接着が可能となることを見出した。
図2に、熱接着部位の形成例を示した。この様に、紙との接合部全面を熱接着するよりも、図2(a)に示すような線状とし、部分的に熱接着部位Aを形成することが好ましい。更に、上記線状よりも、図2(b)に示すような破線状に熱接着部位Bを形成すると、紙とフィルムとの接着強度を得た上で、分離時に簡便に分離できるのでより好ましい。さ
らに、図2(c)に示すように、ドット状に熱接着部位Cを形成する方法も、広い面積にわたり一定の強度を得た上で、簡便に剥がせるので、より好ましい。
熱接着部位の形成を以上の様な構成とすることで、使用後の紙との分離が容易で且つきれいな分別が可能な包装用成形体が提供される。
この様な熱接着は、表面に線状、破線状やドット状の突起を有する面状のシールバーを用いて熱シールせしめたり、同様に表面に線状、破線状やドット状の突起を有する熱ロールを用いて対面するゴムロールとニップする方法などを選択することで行うことができる。
前記面状のシールバー及び前記熱ロールの温度は、熱接着が発現させられれば特に制約は無いが、低すぎると熱接着が発現しないので、80℃以上が好ましく、90℃以上であればより好ましく、100℃以上であれば、十分な接着が期待できるので特に好ましい。また、温度が高すぎるとフィルムが変形や損傷したりすることがあるので、150℃以下が好ましく、140℃以下であればより好ましく、130℃以下であれば特に好ましい。
また、包装用成形体において、前記熱接着性フィルムのHaze値(JIS K 7136に則った一般的な測定に基づく)が、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。この条件を満たすことにより、熱接着性フィルムに対してほとんどの人が透視性を強く感じ取ることができる。
本発明の包装用成形体の用途としては、窓付き封筒の他に、ティッシュ箱を好ましく例示できる。従来のティッシュ箱においては、接着剤でフィルムを貼着させていたため、フィルム端部から接着剤がはみ出し、はみ出した接着剤がティッシュを傷つける。これを回避するために、接着部をフィルム端部まで形成させない方法が用いられているが、この場合、ティッシュ取り出し時等において、フィルム端部が箱の内面から浮いて捲り上がり、捲り上がったフィルム端部によってティッシュが傷つく問題を生じる。この問題を軽減するために、フィルムを柔軟性に富んだ材質で形成する方法が用いられているが、フィルムの柔軟化はコスト増に繋がり、更に、柔軟なフィルムは形状が不安定であるため、ティッシュ箱の成形時において取扱いが困難であり、不良品の発生率が高い問題を生じる。これに対して、本発明の熱接着性フィルムを用いれば、フィルムの端部まで接着を行っても、端部から溶剤がはみ出すことはないため、ティッシュを傷つけることがない。フィルムの端部まで接着を行うことによる効果は、窓付き封筒の場合においても得られる。つまり、封入物を封筒に出し入れする際に、封入物がフィルムの端部に引っかかることを防ぐ効果が得られる。
本発明において、熱接着性フィルムによる窓孔の被覆は、窓孔の一部とその周辺紙部を被覆するものであってもよく、この様な被覆によって得られる包装用成形体の一例を図3に示した。
図3において、2つの熱接着性フィルム2、2は、それぞれ窓孔30の一部とその周辺紙部を被覆して包装用成形体1を構成している。
上記の様な構成は、例えば、包装用成形体1が、ティッシュ箱の場合に特に有効である。つまり、従来のティッシュ箱においては、窓孔を被覆するフィルムには切り線が設けられ、該切り線によって生じる間隙を介してティッシュを取り出すように構成されていたが、切り線の形成は、工程数の増加や、切れ線部位と窓孔との位置ずれによる不良品の発生等の問題を生じていた。これに対して、上記の様な構成であれば、2つの熱接着性フィルム2、2の間に形成される間隙を介してティッシュを取り出すことができるため、切り線
を形成する工程が不要であり、生産性が向上し、且つ安定する効果が得られる。
また、上記の様な構成を、従来の接着剤を用いた接着によって形成しようとした場合、2つの熱接着性フィルム2、2の間から接着剤がはみ出し、はみ出した接着剤がティッシュを傷つける等の問題を生じるが、上述した様に、本発明の熱接着性フィルムであればフィルムの端部まで接着を行っても、端部から溶剤がはみ出すことはないため、接着部位の形成が容易であり、2つの熱接着性フィルム2、2の間から接着剤がはみ出してティッシュを傷つけることもない。
以下、実施例に従って、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例で使用した樹脂、成形機は以下の通りである。
<使用樹脂・成形機>
(1)樹脂
基層:
・WFX6:日本ポリプロピレン社製のシングルサイト触媒によるプロピレン・α−オレフィン共重合体(未延伸)、MFR=2g/10分、融点=125℃
・HE30:日本ポリエチレン社製、MFR=0.3g/10分、密度=0.92g/cm
・PB260:二村化学工業社製、二軸延伸製膜加工したポリプロピレンフィルム(厚さ20μm、幅840mm)
・テフレックスFT:帝人デュポンフィルム社製、二軸延伸製膜加工したポリエチレンテレフタレート(厚20μm、幅840mm)
中間層:
・HE30:上記の基層で示したものと同一のものを使用。
熱接着層:
・KF260T:日本ポリエチレン社製、シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体、MFR=2g/10分,密度=0.903g/cm
・ノバテックLV570:日本ポリエチレン社製のエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、MFR:15g/10分、酢酸ビニル(VA)含有量:20重量%
・NUC−6225;日本ユニカー社製エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)MFR5g/10分、エチルアクリレート(EA)含有量:13重量%
・XM138:日本ポリエチレン社製、線状低密度エチレン
(2)押出成形機
押出機:住重モダンマシナリー社製 3種3層共押出成形機
押出機径:φ65mm
ダイス口径:350mm
押出機設定温度:180℃
ダイス設定温度:190℃
(実施例1)
表1に示す配合、層比で、製膜した。その際、押出速度100kg/h、チューブ巾800mmとなるように調整し、インラインで熱接着層面にコロナ処理を施し、インラインスリットで耳を切り落として最終製品780mm巾のフィルム製品を得た。3種3層機で2層構成フィルムを製膜した。バブルの外層をKF260T(熱接着層)とし、残りの2層(基層)を同一のHE30(未延伸)として製膜した。しかる後、アウトラインスリットで50mm幅にスリットした。
枚葉の窓枠のついた厚紙を用意し、上記フィルムを窓部にあて、図2(a)に示した線状のシールバーを押し当て、融着せしめ、成形体を得た。
<評価>
得られた成形体について、以下の項目で評価を行った。
1.耐ブロッキング性
包装用成形体と熱接着性フィルムとの熱接着時における耐ブロッキング性を、以下の基準で評価した。
○:ブロッキングの発生無し、△:ブロッキングの発生やや有り、×:ブロッキングの発生有り
2.溶剤臭
包装用成形体と熱接着性フィルムとを熱接着した直後において、臭気を以下の基準で確認した。結果を表1に示した。
○:溶剤臭無し、△:溶剤臭僅かに有り、×:溶剤臭有り
3.Haze値
得られた包装用成形体におけるフィルム窓について、JIS K 7136に則った一般的な測定に基づいてHaze値を測定した。結果を表1に示した。
4.透視性
得られた包装用成形体をモニターに使用してもらい、包装用成形体に文字が印刷された紙を封入し、フィルムで被覆された窓孔を介して、文字の鮮明さを以下の基準で評価した。評価に当たっては20人のモニターにサンプルを渡し、感性として最も近い項を選んでもらい、その人数を表1に示した。
○:鮮明である、△:やや不鮮明である、×:不鮮明である
5.剥離性
厚紙からフィルム部分を手で引き剥がし、剥離性を評価した。評価に当たっては20人のモニターにサンプルを渡し、感性として最も近い項を選んでもらい、その人数を表1に示した。
◎:殆ど紙剥けなく好適に分割できた、○:わずかに紙剥けしたが概ね良好に分割できた、△:紙剥けしたが分割できた、×:フィルムが途中で一部ちぎれた
以上の評価結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、全てフィルムが千切れることなく、フィルムと厚紙を分割することができた。これは、後述の接着剤を用いてフィルムと厚紙を接着せしめた比較例でフィルムが千切れる事例が発生したことと異なり良好である。接着剤を用いると、接着剤が厚紙に浸透して紙との接着が強固にならざるを得ないのに対し、熱融着では、フィルムの表面と厚紙の表面とのみが融着点を形成していることが良好に作用したためと考えられる。
20人中14人は分割時に紙の表面が剥けて、フィルムに付着しはしたが、6人が剥いた分はフィルムに僅かに紙が付着しただけだった。これも後述の比較例と異なり、僅かな紙剥けですんでいる例が6件あったことは、融着がフィルムと厚紙のそれぞれ表面のみで形成している点が好適に寄与したためと考えられる。
(実施例2)
熱接着層にノバテックLV570を用いた以外は実施例1と同様に成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、全てフィルムが千切れることなく、フィルムと厚紙を分割することができた。また、20人中15人は分割時に紙の表面が剥けて、フィルムに付着しはしたが、5人が剥いた分はフィルムに僅かに紙が付着しただけだった。
(実施例3)
熱接着層にNUC−6225を用いた以外は実施例1と同様に成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、全てフィルムが千切れることなく、フィルムと厚紙を分割することができた。また、20人中15人は分割時に紙の表面が剥けて、フィルムに付着しはしたが、5人が剥いた分はフィルムに僅かに紙が付着しただけだった。
(実施例4)
表に示す通り、基層にWFX6(未延伸)を用い、HE30からなる中間層を設け、表1に示す層比とした以外は実施例1と同様に成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、全てフィルムが千切れることなく、フィルムと厚紙を分割することができた。また、20人中12人は分割時に紙の表面が剥けて、フィルムに付着しはしたが、8人が剥いた分はフィルムに僅かに紙が付着しただけだった。
(実施例5)
シールバーの形状を、図2(b)に示す破線状にした以外は実施例4と同様に成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、全てフィルムが千切れることなく、フィルムと厚紙を分割することができた。また、20人中9人はフィルム表面に紙の跡が僅かに残るのみで、紙剥けすることなく、非常に良好に剥がれた。7人は僅かに紙剥けしたが、良好に分割できた。4人は、紙剥けはしたものの、紙とフィルムは分割できた。
(実施例6)
シールバーの形状を、図2(c)に示すドット状にした以外は実施例4や5と同様に成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、全てフィルムが千切れることなく、フィルムと厚
紙を分割することができた。また、20人中16人はフィルム表面に紙の跡が僅かに残るのみで、紙剥けすることなく、非常に良好に剥がれた。7人は僅かに紙剥けしたが、良好に分割できた。4人は紙剥けはしたものの、紙とフィルムは分割できた。
熱融着の融着点を点にすることで、引き剥がし時のフィルムと厚紙の破壊界面が、融着されている部分のみで生じる確立が高まったためと考えられる。
(比較例1)
表に示す通り、HE30のみを用いる以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムを溶剤式の接着剤を用いて厚紙に接着し、成形体を得た。接着剤の塗布形状は、図2(a)に示す線状とした。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、フィルムが少しちぎれてしまい、フィルムと厚紙が良好に分別できないものが8件発生した。また、残りの12件はフィルムと厚紙の分別は叶ったが、全て紙剥けしてしまい、紙剥けが無い、または紙剥けが僅かですんだ例は無かった。
これは、接着剤が紙に浸透し、はがす際に厚紙の接着剤が浸透した部分まで破壊されてはがされるためと考えられる。
(比較例2)
表に示す通り、接着剤にホットメルトタイプのものを用いた以外は比較例1と同様にしてフィルムを得、厚紙に接着し、成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
剥離性の評価結果からわかるように、フィルムが少しちぎれてしまい、フィルムと厚紙が良好に分別できないものが5件発生した。また、残りの15件はフィルムと厚紙の分別は叶ったが、全て紙剥けしてしまい、紙剥けが無い、または紙剥けが僅かですんだ例は無かった。
(比較例3)
基層となる基材として、二軸延伸製膜加工したポリプロピレンフィルム(PB260)を使用し、熱接着層を線状低密度エチレン(XM138)として、押出機に装着したTダイから、樹脂温度240℃、実効ダイス巾1100mm、冷却ロール表面仕様 ミラー調、肉厚が15μmにて、溶融押出しした。
次いで、押出ラミネート装置の基材の繰出部より基層を繰り出し、この片面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥後塗布面と、Tダイからフィルム状に溶融押出しした熱接着層との間をオゾン処理し、冷却ロールと圧縮ゴムロールで圧着ラミネートし、インラインスリットで耳部を切り落として800mm巾とし、さらに積層されたフィルムの樹脂層の表面にコロナ放電処理を施し、積層フィルムを得た。
これの総厚35μm程度の薄肉となるラミネート成形機の巻き姿では端部の揃いが悪く、耳高や荷扱い時の耳折れが生じるので、スリッターで二次スリットをかけて、端部を切除して780mm巾の積層フィルムとした。
しかる後、アウトラインスリットで50mm巾のスリット製品としようとしたが、ラミ上がり原反のブロッキングが強く、原反の繰り出し部で破れが発生し、スリット製品を得ることができなかった。
このことから、延伸フィルムを基層に使用することによりブロッキングが誘発されることがわかる。
(比較例4)
基層を二軸延伸製膜加工したポリエチレンテレフタレート(テフレックスFT)とした以外は比較例3と同様にして、積層フィルムを得た。
これの総厚35μm程度の薄肉となるラミネート成形機の巻き姿では端部の揃いが悪く、耳高や荷扱い時の耳折れが生じるので、スリッターで二次スリットをかけて、端部を切除して780mm巾の積層フィルムとした。
しかる後、アウトラインスリットで50mm巾のスリット製品としようとしたが、ラミ上がり原反のブロッキングが強く、原反の繰り出し部で破れが発生し、スリット製品を得ることができなかった。
(比較例5)
押出ラミネートの冷却ロール表面仕様をDUCマット調とした以外は比較例3と同様にして、積層フィルムを得た。
これの総厚35μm程度の薄肉となるラミネート成形機の巻き姿では端部の揃いが悪く、耳高や荷扱い時の耳折れが生じるので、スリッターで二次スリットをかけて、端部を切除して780mm巾の積層フィルム製品とした。
しかる後、アウトラインスリットで50mm巾のスリット製品としたが、比較例3と異なり、ブロッキングが緩和され、良好にアウトラインスリットできた。
枚葉の窓枠のついた厚紙を用意し、得られたフィルムを窓部にあて、図2(a)に示した線状のシールバーを押し当て、融着せしめ、成形体を得た。
得られた成形体について実施例1と同様の項目について評価を行い、結果を表1に示した。
マット調(エンボス)の表面としたことによりブロッキングは緩和されたが、Haze値が80%と半透明のフィルムとなってしまった。
Figure 0005536390
1:包装用成形体
2:熱接着性フィルム
21:熱接着層
22:中間層
23:基層
3:紙
30:窓孔
31:窓孔の周辺紙部

Claims (4)

  1. 窓孔を有し、該窓孔を樹脂フィルムによって被覆した紙製の封筒状又は箱状の包装用成形体において、
    該窓孔の一部又は全部とその周辺紙部を、表層である熱接着層と基層である未延伸ポリオレフィン層とを積層してなる熱接着性フィルムによって、該包装用成形体の内側から被覆すると共に、該熱接着性フィルムの熱接着層側を前記周辺紙部に熱接着してなり、
    前記熱接着層が、下記(A)〜(C)から選ばれる少なくとも1種の共重合体からなることを特徴とする包装用成形体。
    (A)シングルサイト触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体
    (B)エチレン・酢酸ビニル共重合体
    (C)エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体
  2. 前記熱接着層と未延伸ポリオレフィン層との間に、ポリオレフィンからなる中間層を有し、該中間層よりも、前記未延伸ポリオレフィン層の融点が高いことを特徴とする請求項1記載の包装用成形体。
  3. 前記熱接着性フィルムのHaze値が、20%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の包装用成形体。
  4. 前記周辺紙部の熱接着部位が、破線状又はドット状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装用成形体。
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