JP3561559B2 - ポリエチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性が優れ、さらに耐熱性およびに透明性の良好である樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン系樹脂は物性や加工特性が優れており、フィルム、シート等の幅広い用途に使用されているが、更なる用途の拡大を目的として各種特性の付与の要求がある。この様な要求に対応するために、共重合化や他種の材料の添加等の検討がこれまでに行われている。なかでも、柔軟性の付与は重要な課題であり、ポリエチレン系樹脂にエチレン・プロピレンゴムなどの軟質成分を加えて柔軟性を付与する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な配合の樹脂を用いて製造した成形品は柔軟性が向上するものの、耐熱性の低下やブリードによる透明性の低下等の問題が発生していた。さらに耐熱性の改良の目的でポリプロピレンを併用した場合には、ポリプロピレンの分散不良のために透明性が低下するという問題があった。
【0004】
従って、本発明は、柔軟性、耐熱性および透明性の良好なポリエチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために研究を重ねた結果、ポリエチレン系樹脂に特定のプロピレン系ブロック共重合体を配合することにより、柔軟性および耐衝撃性を保持しつつ、透明性の改良された樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(1)エチレンを主成分とし、密度が0.88〜0.95g/cm3であるポリエチレン系重合体60〜99重量%、並びに(2)ポリプロピレン成分3〜60重量%、エチレンに基づく単量体単位を15〜50モル%、及びプロピレンに基づく単量体単位を85〜50モル%含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分97〜40重量%からなるプロピレン系ブロック共重合体1〜40重量%よりなることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物である。
【0007】
本発明のエチレンを主成分とするポリエチレン系重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば低密度ポリエチレン、エチレンとC 〜C10のαーオレフィンとの直鎖状共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーエチルアクリレート共重合体、エチレンーメチルメタクリレート共重合体、エチレンーメチルアクリレート共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーグリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。また、これらのポリエチレン系重合体は、1種類もしくは2種類以上の混合物であっても良い。
【0008】
これらの中でも、エチレンとC 〜C12のαーオレフィンとの直鎖状共重合体を用いたものが、透明性および耐熱性を考慮する場合最も好ましい。この場合、αーオレフィンの代表例としては、ブテンー1、4ーメチルペンテンー1、ヘキセンー1、オクテンー1、デセンー1、ドデセンー1などが挙げられる。
【0009】
また、上記各共重合体において、エチレンに対する共重合成分の含有量は、1〜40モル%、好ましくは1.3〜20モル%が好適である。
【0010】
本発明のエチレンを主成分とするポリエチレン系重合体の密度は、0.88〜0.95g/cm 、好ましくは0.90〜0.94g/cm 、さらに好ましくは0.91〜0.94g/cm である。密度が0.88g/cm 未満の場合には、得られるポリエチレン系樹脂組成物より成る成型品の柔軟性はあるものの、耐熱性が低下するので好ましくない。一方、密度が0.95g/cm を越えるものは透明性が低下するために好ましくない。
【0011】
本発明のプロピレン系ブロック共重合体のポリプロピレン成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分それぞれの成分割合は、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が99〜30重量%である。
【0012】
上記ポリプロピレン成分が1重量%よりも少ないとブロック共重合体粒子が粘着し易くなり製造が困難となる。一方ポリプロピレン成分の割合が70重量%を越えると、成形品の柔軟性が低下し、所期の目的とする組成物を得ることができない。該ポリプロピレン成分は、得られるポリエチレン系樹脂組成物より得られる成型品の柔軟性、機械的強度および耐熱性を勘案すると、3〜60重量%さらに好ましくは5〜50重量%の範囲である。
【0013】
前記のポリプロピレン成分は、耐熱性に影響を及ぼさない範囲でエチレンとの共重合体であっても良い。エチレンの添加量は、10モル%未満、より好ましくは5モル%未満である。
【0014】
一方、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が30重量%未満のときは柔軟性に劣り、99重量%を越えると、ブロック共重合体粒子が粘着し易くなり製造が困難となり好ましくない。該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分は、得られるポリエチレン系樹脂組成物よりなる成型品の柔軟性および耐熱性を勘案すると、97〜40重量%さらに好ましくは95〜50重量%の範囲である。
【0015】
前記のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分中におけるプロピレンに基づく単量体単位及びエチレンに基づく単量体単位のそれぞれの含有割合は、エチレンに基づく単量体単位10〜60モル%、好ましくは15〜50モル%であり、プロピレンに基づく単量体単位90〜40モル%、好ましくは85〜50モル%、ある。エチレンに基づく単量体単位の含有割合が10モル%未満であり、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が90モル%を越える場合、得られるポリエチレン系樹脂組成物よりなる成形品の柔軟性が十分でなくなり好ましくない。一方、エチレンに基づく単量体単位の含有割合が60モル%を越え、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が40モル%未満である場合、得られる樹脂組成物の透明性が十分でなくなり好ましくない。
【0016】
さらに、本発明で使用されるプロピレン系ブロック共重合体のメルトインデックスは0.5〜50g/minの範囲であることが好ましい。メルトインデックスが0.5g/10min未満のときは流動性低下するために成形性が劣る傾向にあり、50g/10minを越えるときには、耐衝撃性改良効果が低下する傾向にあるために好ましくない。
【0017】
また、本発明に使用されるブロック共重合体は、ゲルパーミエーション・クロマトグラフによる重量平均分子量と数平均分子量との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5であることが、成形時の成形加工性と低分子量成分のブリードをなくするために好ましい。
【0018】
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体には、ポリプロピレン成分、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分に、プロピレン系樹脂組成物の物性を阻害しない限り、他のα−オレフィンが少量、例えば5モル%以下の範囲で共重合されて含まれていてもよい。とくに、本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体を重合により良好な流動性を有する粒子状で得ようとする場合には、ブテン−1成分を0.01〜5重量%、さらに0.04〜3重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0019】
本発明で使用するプロピレン系ブロック共重合体は、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分が一分子鎖中に配列したいわゆるブロック共重合体の分子鎖及び/またはポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のそれぞれ単独よりなる分子鎖とが機械的な混合では達成できない程度にミクロに混合しているものと考えられる。
【0020】
本発明で使用するブロック共重合体は、公知方法によって製造できる。特に好適に採用される方法を例示すれば次の方法である。
【0021】
即ち、下記成分A及びB、または、さらにCおよび/またはD
A.チタン化合物
B.有機アルミニウム化合物
C.電子供与体
D.一般式(i )
R−I(i )
(但し、Rはヨウ素原子又は炭素原子数1〜7のアルキル基又はフェニル基である。)
で示されるヨウ素化合物
の存在下にプロピレンを0.1〜500gポリマー/g・Ti化合物の範囲となるように予備重合を行って触媒含有予備重合体を得て、次いで該触媒含有予備重合体の存在下に 1−ブテンの重合及びプロピレンの重合を経てプロピレンとエチレンとの混合物のランダム共重合を順次行って高分子量の粉状物を得、さらに有機過酸化物で分解する方法が好適である。
【0022】
かかる製造方法は、特開平5−320468号公報等に詳述されており、本発明において上記プロピレン系ブロック共重合体は、該方法に準じて製造するのが好ましい。
【0023】
本発明において、上記のポリエチレン系重合体成分とプロピレン系ブロック共重合体成分よりなる組成物中のプロピレン系ブロック共重合体成分の割合は1〜40重量%である。該プロピレン系ブロック共重合体成分の割合が1重量%未満の場合、すなわちポリエチレン系重合体成分の割合が99重量%を越えた場合、柔軟性及び耐熱性の改良効果が十分でない。また、該プロピレン系ブロック共重合体成分の割合が40重量%を越えた場合、すなわちポリエチレン系重合体成分の割合が60重量%未満の場合、耐熱性及び透明性の改良効果が頭打ちとなり好ましくない。柔軟性、耐熱性、透明性の改良効果を考慮するとさらに、ポリエチレン系重合体成分97〜70重量%、プロピレン系ブロック共重合体成分3〜30重量%であることが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の樹脂組成物の特性を阻害しない範囲でポリプロピレンを配合することが可能である。ポリプロピレンの配合割合は、上記樹脂組成物100重量部に対し、1〜40重量部好ましくは2〜30重量部である。ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体、プロピレンの90%モル以上とエチレンまたはプロピレン以外のα−オレフィン、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−メチル−1−ペンテン等の1種以上の10モル%以下とのランダム共重合体もしくはブロック共重合体が好適に使用できる。
【0025】
さらに、本発明の樹脂組成物の特性を阻害しない範囲でエラストマーを配合することが可能である。エラストマーの配合割合は、上記樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部である。エラストマーはとくに限定されるものではなく、例えば、エチレン・プロピレン共重合体(EPR,EPDM)、エチレン・ブテン−1共重合体(EBM)、プロピレン・ブテン−1共重合体(PBM)等のオレフィン系軟質樹脂、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水添スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SEBS)等公知のものが制限無く使用することができる。
【0026】
また、本発明の樹脂組成物の製造を行う場合は、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、銅害防止剤、難燃剤、造核剤、顔料等を配合することができる。
【0027】
本発明において、ポリエチレン系樹脂組成物は、必要に応じて上記原料等を配合した後に混合および溶融混練することにより得られる。溶融混練の方法はとくに限定されないが、例えば、スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどを用いて、160〜300℃、好ましくは、180〜270℃の温度下に行うのがよい。また、この溶融混練は、窒素ガスなどの不活性ガス気流下で行うこともできる。なお、溶融混練前に公知の混合装置、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等が何ら制限無く使用することができる。
【0028】
さらに、本発明においては、上記樹脂組成物の各成分等は必要に応じて各成分を配合した後に混合を行い、直接成形機に投入し成形することにより、成形体を得ることも可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明のポリエチレン系樹脂組成物の構成成分であるポリプロピレン系ブロック共重合体は、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分が一分子鎖中に配列したいわゆるブロック共重合体の分子鎖及び/またはポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のそれぞれ単独よりなる分子鎖とが機械的な混合では達成できない程度にミクロに混合している。
【0030】
従って、ポリエチレン系樹脂に該ブロック共重合体を混合した場合に、ポリエチレン系樹脂と相溶性のあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の分散効果により、相溶性の劣るポリプロピレン成分を分散できていると考えられる。
【0031】
その結果、本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、優れた柔軟性、耐衝撃性、耐熱性および透明性を備えており、各種の分野で使用することが可能である。
【0032】
例えば、フィルム用途としてはラップフィルム、ストッチレフィルム、シュリンクフィルム、シーラント用フィルム、サイジングフィルム、粘着テープ、ラベルフィルム、マーキングフィルム、マスキングフィルム、農業用フィルム、医療用フィルム等、シートとしては文具シート、咬合シート、デスクマット、農業用シート等、成形体としては化粧箱、化粧袋、包装箱、包装袋、食品容器、雑貨部品、玩具等に好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
以下の実施例において用いた測定方法について説明する。
【0035】
1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量1万以下の割合ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。ウォーターズ社製GPC−150Cにより、O−ジクロルベンゼンを溶媒として135℃で行った。用いたカラムは、東ソー製TSK gel GMH6−HT、ゲルサイズ10〜15μmである。較正曲線は標準試料として重量平均分子量が950、2900、1万、5万、49.8万、270万、675万のポリスチレンを用いて作成した。
【0036】
2)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位およびプロピレンに基づく単量体単位それぞれの割合の測定方法およびポリブテン成分の割合の測定方法。
【0037】
13C−NMRスペクトルのチャートを用いて算出した。即ち、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位およびプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合は、ポリマー(Polymer)29巻(1988年)1848頁に記載された方法により、ピークの帰属を決定し、次に、マクロモレキュールズ(Mcromolecules)第10巻(1977年)773頁に記載された方法により、エチレンに基づく単量体単位およびプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合を算出した。次いで,プロピレンに基づいて単量体単位中のメチル炭素に起因するピークと、ポリブテン成分中のメチル炭素に起因するピークとの積分強度比からポリブテン成分の重量と割合を算出した。
【0038】
3)ポリ1−ブテンのアイソタクティシィティーの測定
13C−NMRにより測定を行い、ポリマー・ジャーナル(Polymer J.)第16巻(1984年)716〜726頁に基づいて行った。
【0039】
4)メルトインデックス
JIS K7210に準じて測定した。
【0040】
5)曲げ弾性率
JIS K7203に準じて測定した。
【0041】
6)ヘイズ値
JIS K6714に準じて測定した。
【0042】
ヘイズの測定は、熱処理しないもの及び80℃のオーブンにて2時間熱処理したものについて行った。
【0043】
7)熱収縮率の測定
フィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に100mmの目盛りを記入し、80℃のオーブンにて2時間熱処理した後に取り出し、目盛りの寸法を測定した。熱収縮率の算出は下式に基づいて行った。
【0044】
熱収縮率(%)=100(mm)―熱処理後の寸法(mm)/100(mm)プロピレン系ブロック共重合体製造例1
(予備重合)
攪拌機を備えた内容積1リットルのガラス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを挿入した。反応器内温度を20℃に保ち、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド18.5mmol、及び三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社「TOS−17」)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三塩化チタン1g当たり3gとなるように30分間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロピレンを精製ヘプタンで4回洗浄した。分析の結果、三塩化チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合されていた。
【0045】
(本重合)
工程1:1−ブテンの重合
攪拌機を備えた内容量1リットルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを挿入した。反応器内温度を20℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロライド18.15mmol、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、予備重合で得られたチタン含有ポリプロピレンを三塩化チタンとして22.7mmol加えた後、1−ブテンを三塩化チタン1g当たり15gとなるように2時間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。1−ブテンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで置換し、チタン含有ポリ1−ブテン重合体を得た。分析の結果、三塩化チタン1g当たり14gの1−ブテンが重合されていた。
【0046】
工程2:プロピレンの重合およびプロピレン−エチレンの共重合
内容積2リットルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、液体プロピレン1リットル、ジエチルアルミニウムクロライド0.70mmolを加え、オートクレーブの内温を70℃に昇温した。チタン含有ポリ1−ブテン重合体を三塩化チタンとして0.087mmol加え、70℃で60分間のプロピレンの重合を行った。この間水素は用いなかった。次いでオートクレーブの内温を急激に55℃に降温すると同時にエチルアルミニウムセスキエトキシド(Et Al (OEt) )0.50mmolおよびメタクリル酸メチル0.014mmolの混合溶液を加え、エチレンを供給し、気相中のエチレンガス濃度が15mol%となるようにし、55℃で120分間のプロピレンとエチレンの共重合を行った。この間のエチレンガス濃度はガスクロマトグラフで確認しながら15mol%を保持した。
【0047】
この間水素は用いなかった。重合終了後、未反応モノマーをパージし、粒子性の重合体を得た。重合槽内及び攪拌羽根への付着は全く認められなかった。収量は140gであり、全重合体の重合倍率は7370g−ポリマー/g−三塩化チタンであった。
【0048】
また、別に上記のプロピレンだけの重合を行った結果、上記70℃、60分間で、三塩化チタン1g当たり、1030gのプロピレンが重合されていた。結果を表1に示した。
【0049】
次に、得られた重合体30kgに、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを表2に示す割合で添加し、また、酸化防止剤を0.2phr添加し、ヘンシェルミキサーで1分間混合した後、φ65mm単軸押出機で230℃の条件で溶融混練し、表2に示したMIとMw/Mnのペレットを得た。
【0050】
プロピレン系ブロック共重合体製造例2−1〜2−3
製造例1の1−ブテンの重合に於いて、1−ブテンの重合量を三塩化チタン1g当たり、50gとし、プロピレンとエチレンの共重合をエチレンガス濃度がそれぞれ8モル%となるようにした以外は製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0051】
プロピレン系ブロック共重合体製造例3
製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重合を60℃で10分間とし、プロピレンとエチレンの共重合をエチレンガス濃度が12モル%となるようにした以外は製造例1と同様の操作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重合倍率は240g−PP/g−TiCl であった。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0052】
プロピレン系ブロック共重合体製造例4
製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重合を70℃で3時間とし、プロピレンとエチレンの共重合をエチレンガス濃度が15モル%となるようにし、55℃で90分間行った以外は製造例1と同様の操作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重合倍率はそれぞれ3000g−PP/g−TiCl であった。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0053】
プロピレン系ブロック共重合体製造例6
製造例1の本重合において1−ブテンの重合を行わなかった以外は製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。さらに製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0054】
プロピレン系ブロック共重合体比較製造例1,2
製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンとエチレンの共重合をエチレンガス濃度をそれぞれ25モル%及び2モル%となるようにした以外は製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。さらに製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0055】
【表1】
Figure 0003561559
【0056】
【表2】
Figure 0003561559
【0057】
実施例1〜4
住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA201(MI=2g/10min、密度=0.92g/m 、ブテンー1含量=11.4wt%)(表中*1)に、製造例1で得られたプロピレン系ブロック共重合体のペレットを表3に示す割合で混合した後、φ65mm押出機にて溶融混練し、50トン射出成形機にてシリンダ温度230℃、金型温度40℃の条件で、曲げ試験片を製造し、室温にて1週間放置した後に測定を行った。また、φ40mmTダイ押出機にてシリンダ温度240℃、ロール温度40℃の条件で、厚み100μmのフィルムを作成した。このフィルムを室温にて1週間放置した後にヘーズ測定を行った。さらに、80℃での熱収縮率の測定を行った。結果を表3に示した。
【0058】
実施例5〜11
住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA201(表中*1)に、製造例2―1、2−2、2−3及び3で得られたプロピレン系ブロック共重合体のペレットを表3に示す割合で混合および溶融混練し、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表3に示した。
【0059】
実施例12
住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンα)FZ201(MI=2g/10min、密度=0.91g/m 、4ーメチルペンテンー1含量=12.4wt%)(表中*2)に、製造例3で得られたプロピレン系ブロック共重合体のペレットを表3に示す割合で混合および溶融混練し、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表3に示した。
【0060】
実施例13〜15
出光石油化学製線状ポリエチレン(モアテック)0434N(MI=4g/10min、密度=0.92g/m 、ブテンー1含量=10.6wt%))(表中*3)及び住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA102(MI=1g/10min、密度=0.93g/m 、ブテンー1含量=7.2wt%)(表中*4)に、製造例3及び4で得られたプロピレン系ブロック共重合体のペレットを表3に示す割合で混合および溶融混練し、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表3に示した。
【0061】
比較例1〜4
住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA201(表中*1)、住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンα)FZ201(表中*2)、出光石油化学製線状ポリエチレン(モアテック)0434N(表中*3)及び住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA102(表中*4)単体のペレットを用いて、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表4に示した。
【0062】
比較例5〜7
住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA201(表中*1)及び住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンα)FZ201(表中*2)に、比較製造例1及び2で得られたブロック共重合体のペレットを表4に示す割合で混合および溶融混練し、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表4に示した。
【0063】
比較例8〜10
住友化学工業製線状ポリエチレン(スミカセンL)FA201(表中*1)及び出光石油化学製線状ポリエチレン(モアテック)0434N(表中*3)に、日本合成ゴム製エチレンープロピレン共重合体EP07P(MI=1g/10min、エチレン含量74wt%)及び日本合成ゴム製エチレンープロピレン共重合体EP02P(MI=4g/10min、エチレン含量74wt%)のペレットを表4に示す割合で混合および溶融混練し、実施例1と同様の方法で試験を行った。結果を表4に示した。
【0064】
【表3】
Figure 0003561559
【0065】
【表4】
Figure 0003561559

Claims (1)

  1. (1)エチレンを主成分とし、密度が0.88〜0.95g/cm3であるポリエチレン系重合体60〜99重量%、並びに(2)ポリプロピレン成分3〜60重量%、エチレンに基づく単量体単位を15〜50モル%、及びプロピレンに基づく単量体単位を85〜50モル%含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分97〜40重量%からなるプロピレン系ブロック共重合体1〜40重量%よりなることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
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