JPH0625332Y2 - 印字装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案はプラテンに沿って移動可能なキャリッジに着
脱可能に装着された活字担持体の活字素子を選択する活
字選択装置を備えた印字装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、この種の装置としては第３，４図に示すように、
プラテン１上の印字用紙１４に印字を行う場合には、ホ
ルダ５を第３図に実線で示す印字位置に配置した状態
で、キャリッジ３をプラテン１に沿って印字位置へ移動
した後、ホルダ５上の活字選択モータ６によって活字担
持体７上の所定の印字素子７ａを選択してプラテン１に
対向配置させ、その活字素子７ａを印字ハンマ８ａによ
って叩打するようになっている。又、ホルダ５を印字位
置から同図に２点鎖線で示す退避位置へ移動して、活字
担持体７を交換するようになっている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、従来装置においては、ホルダ５にキャリッジ
移動方向と直交する前後方向及び下方へ開口する案内溝
１１ａを備えた連結突起１１を設けると共に、鉄板より
なるキャリッジ３の一側には起立片１２を一体に折曲形
成し、起立片１２と案内溝１１ａとの係合に基いて、ホ
ルダ５の両位置間の移動を案内し、かつホルダ５をキャ
リッジ移動方向へキャリッジ３と一体に移動させるよう
になっているため、起立片１２と案内溝１１ａとの間に
ガタ付きが生じてキャリッジ３と活字素子７ａとの間に
位置ずれが生じる。又、キャリッジ３に移動力を付与す
るワイヤ４の一部が起立片１２から離間したキャリッジ
３のほぼ中央に固定されているため、そのワイヤ４を介
してキャリッジ３に、キャリッジ移動方向へ向かう大き
な引張り力を加えると、第４図に２点鎖線で示すよう
に、起立片１２にたわみが生じ、キャリッジ３とホルダ
５との間、即ち、キャリッジ３と活字素子７ａとの間の
位置ずれが増加して、印字ピッチに乱れが生じるという
問題がある。

一方、起立片１２のたわみ発生を防止するために、キャ
リッジ３の剛性を高めると、重量が増加し、駆動力の大
きな駆動源を使用する必要が生じてコストの高騰を招く
おそれがある。

この考案は上記の問題点を解消するためになされたもの
であって、その目的はキャリッジの重量増を伴うことな
く、キャリッジ，ホルダ間の連結部分の剛性をアップし
てキャリッジとホルダとの位置ずれを未然に防止でき、
印字ピッチが乱れることなく精度の良い印字を行うこと
が可能な印字装置を提供することにある。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、この考案においては、キ
ャリッジに対してガイド軸の軸方向に所定の間隔をもっ
て配置され、基端部がガイド軸に揺動可能かつ移動可能
に支持されると共に、活字担持体の着脱を許容するため
にプラテンから離間する退避位置と、印字動作を行うた
めにプラテンに近接する印字位置とにガイド軸を中心に
切換え配置されるホルダと、ホルダ及びキャリッジの何
れか一方に設けられ、キャリッジの移動方向と平行な面
内において開口する連結孔と、その他方に設けられ、キ
ャリッジの移動方向と交差する方向へ突出すると共に、
連結孔に嵌入される連結片とを備え、連結片の嵌入によ
ってホルダとキャリッジとがキャリッジの移動方向に対
して一体移動可能に、かつホルダが退避位置と印字位置
との間を移動可能に連結されるように構成している。

（作用） 従って、連結片の連結孔への嵌合により、キャリッジの
移動時にはホルダとキャリッジとがキャリッジ移動方向
に対して一体に移動され、かつホルダの切換え配置時に
は連結孔内において連結片が移動される。

（実施例） 以下、この考案を具体化した一実施例を第１図及び第２
図に基づいて詳細に説明する。

この実施例の印字装置においては、第１図に示すよう
に、プラテン１が印字装置の筐体（図示略）に対して回
転可能に装着され、そのプラテン１に沿ってガイド軸２
及びガイドレール（図示略）が平行に配設されている。
ガイド軸２及びガイドレールの上にはキャリッジ３が移
動可能に装着されている。このキャリッジ３は金属板材
により断面チャネル状に折曲形成されている。又、プラ
テン１の下方には駆動及び被動のプーリ（図示略）間に
掛装した無端状のワイヤ４がプーリ１と平行に走行可能
に配置され、そのワイヤ４の一部がキャリッジ３の前側
取付部３ａに締付固定されている。そして、駆動プーリ
に連結したキャリッジ駆動モータ（図示略）の作動に基
づきワイヤ４が走行されることにより、キャリッジ３が
プラテン１に沿って往復移動される。

キャリッジ３の内側には、金属板材により折曲形成され
たホルダ５がキャリッジ３と所定の隙間をもって配置さ
れている。このホルダ５は、その基端部にてガイド軸２
に揺動可能かつ移動可能に支持されている。そして、ホ
ルダ５がガイド軸２を中心に揺動されることにより、ホ
ルダ５は第１図に実線で示すようにプラテン１に近接し
て対向する印字位置と、同図に２点鎖線で示すようにプ
ラテン１から離間する退避位置との両位置に切換え配置
可能になっている。

活字選択装置としての活字選択モータ６はホルダ５の一
側面に固着され、その出力軸６ａがホルダ５を貫通して
プラテン１側に突出されている。活字担持体を構成し、
外周に沿って多数の活字素子７ａを有する花弁形活字ホ
イール７は、出力軸６ａに着脱可能に装着されている。
又、ホルダ５の上部に設けた折曲部５ａには、活字素子
７ａを叩打する印字ハンマ８ａを備えたソレノイド８が
固定されている。更に、キャリッジ３の上部に配設した
カセットホルダ（図示略）には印字リボン１３を収容し
たリボンカセット９が装着され、その印字リボン１３の
一部分が活字素子７ａとプラテン１との間を走行可能に
配置されている。又、ホルダ５の一側部には、ホルダ５
の配置位置を切換えるための操作レバー１０が固着さ
れ、上方へ突出している。

連結孔３ｂはキャリッジ３の下部中央に設けられ、キャ
リッジ３の移動方向と平行な水平面内において開口して
いる。又、連結片５ｂはホルダ５の下部に形成され、下
方、即ちキャリッジ３の移動方向と交差する方向へ突出
されると共に、連結孔３ｂ内において前後方向へ移動可
能に嵌入されている。連結孔３ｂ及び連結片５ｂの左右
方向の幅はほぼ同じ大きさに設定され、連結片５ｂの連
結孔３ｂに対する嵌入によって、ホルダ５とキャリッジ
３とがキャリッジ３の移動方向に対して一体移動可能に
なっている。

さて、この実施例の印字装置により印字を行うために、
まず、ホルダ５を第１図に実線で示す印字位置に配置し
た状態でキャリッジ駆動モータが駆動されると、その動
力がワイヤ４を介してキャリッジ３に伝達され、キャリ
ッジ３がプラテン１に沿って移動される。又、連結孔３
ｂに対する連結片５ｂの嵌入により、ホルダ５がキャリ
ッジ３と一体に移動される。そして、キャリッジ３が所
定の印字位置まで移動された後、活字選択モータ６によ
り所定の活字素子７ａが選択されてプラテン１に対向配
置され、次いで印字ハンマ８ａにより活字素子７ａが叩
打されると、印字リボン１３を介して印字用紙１４に印
字が行われる。

又、活字ホイール７を交換するには、キャリッジ３の停
止状態において、ホルダ５を印字位置から後方へ回動さ
せる。これに伴い、連結孔３ｂ内において連結片５ｂが
前方へ移動され、退避位置までのホルダ５の切換え配置
が許容される。そして、ホルダ５の退避位置配置状態に
おいて、活字ホイール７を出力軸６ａから取り外すこと
により、別のものと交換することができる。

上記のように、この実施例では連結孔３ｂとほぼ同じ左
右幅の連結片５ｂがその連結孔３ｂ内に嵌入されている
ので、従来例における起立片１２と案内溝１１ａとの係
合とは異なり、キャリッジ３の移動に伴うキャリッジ３
とホルダ５との間のガタ付きを未然に防止でき、両者
３，５を確実に一体移動させることができる。又、連結
片５ｂ及び連結孔３ｂの連結部分は、キャリッジ３とワ
イヤ４との接続部分に近接して設けられているため、ワ
イヤ４の引張り力をキャリッジ３やホルダ５に確実に伝
達して動力損失を少なくすることができる。又、連結片
５ｂがキャリッジ移動方向と同一方向に所定の幅をもっ
て形成され、その側縁がキャリッジ移動方向と平行な面
内に形成した連結孔３ｂの内側縁に係合されて両者５
ｂ，３ｂが連結されるため、特にキャリッジ３の移動方
向の反転時に、ワイヤ４を介してキャリッジ３に大きな
引張り力が加えられ、かつ、その引張り力と反対方向の
ホルダ５の慣性力がキャリッジ３に加えられても、連結
片５ｂが変形することはない。この結果、キャリッジ３
及び活字素子７ａの間の位置ずれを防止でき、印字ピッ
チの乱れることのない精度の良い印字を行うことができ
る。

更に、この実施例では、単に連結片５ｂを連結孔３ｂに
嵌入するという簡単な構成により連結部分の剛性を高め
ているので、剛性確保のためにキャリッジ３やホルダ５
の板厚を増加してキャリッジ３全体の重量を増加させる
必要がなく、よって、駆動力の大きなキャリッジ駆動モ
ータを使用する必要がなくて製造コストの高騰をも防止
することができる。

尚、この考案は前記実施例に限定されるものではなく、
例えば、ホルダ５側に連結孔を設けると共に、その連結
孔に嵌入する連結片をキャリッジ３側に設けたり、キャ
リッジ３をタイミングベルトを介して移動するように構
成したりする等、この考案の主旨を逸脱しない範囲で各
部の構成を適宜に変更して実施することができる。

考案の効果 以上詳述したように、この考案によれば、キャリッジの
重量増を伴うことなく、キャリッジ及びホルダの連結部
分の剛性を高めることができ、キャリッジとホルダとの
位置ずれを未然に防止でき、印字ピッチの乱れることの
ない精度の良い印字を行うことができるという優れた効
果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの考案を具体化した一実施例を示
し、第１図は印字装置の部分破断側面図、第２図はキャ
リッジの部分破断正面図である。第３図は従来例の印字
装置の部分破断側面図、第４図は同じくキャリッジの部
分破断正面図である。 １……プラテン、３……キャリッジ、３ａ……連結孔、
５……ホルダ、５ａ……連結片、６……活字選択装置と
しての活字選択モータ、７……活字担持体としての活字
ホイール、７ａ……活字素子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プラテン（１）と平行に配置されたガイド
   軸（２）と、同ガイド軸（２）上にてその軸方向へ移動
   可能に装着され、断面チャネル状に形成されたキャリッ
   ジ（３）と、そのキャリッジ（３）に着脱可能に装着さ
   れ、かつ多数の活字素子（７ａ）を有する活字担持体
   （７）と、その活字担持体（７）上の活字素子（７ａ）
   を選択する活字選択装置（６）とを備えた印字装置にお
   いて、 前記キャリッジ（３）に対して前記ガイド軸（２）の軸
   方向に所定の隙間をもって配置され、基端部が前記ガイ
   ド軸（２）に揺動可能かつ移動可能に支持されると共
   に、前記活字担持体（７）の着脱を許容するためにプラ
   テン（１）から離間する退避位置と、印字動作を行うた
   めにプラテン（１）に近接する印字位置とに前記ガイド
   軸（２）を中心に切換え配置されるホルダ（５）と、 前記ホルダ（５）及びキャリッジ（３）の何れか一方に
   設けられ、キャリッジ（３）の移動方向と平行な面内に
   おいて開口する連結孔（３ｂ）と、 その他方に設けられ、キャリッジ（３）の移動方向と交
   差する方向へ突出すると共に、前記連結孔（３ｂ）に嵌
   入される連結片（５ｂ）とを備え、 前記連結片（５ｂ）の嵌入によってホルダ（５）とキャ
   リッジ（３）とがキャリッジ（３）の移動方向に対して
   一体移動可能に、かつホルダ（５）が退避位置と印字位
   置との間を移動可能に連結されるように構成したことを
   特徴とする印字装置。