JPH06251918A - 磁石およびその製造方法ならびにボンディッド磁石 - Google Patents

磁石およびその製造方法ならびにボンディッド磁石

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JPH06251918A
JPH06251918A JP5056579A JP5657993A JPH06251918A JP H06251918 A JPH06251918 A JP H06251918A JP 5056579 A JP5056579 A JP 5056579A JP 5657993 A JP5657993 A JP 5657993A JP H06251918 A JPH06251918 A JP H06251918A
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Tetsuto Yoneyama
哲人 米山
Tomomi Yamamoto
智実 山本
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TDK Corp
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/059Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2
    • H01F1/0596Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2 of rhombic or rhombohedral Th2Zn17 structure or hexagonal Th2Ni17 structure

Abstract

(57)【要約】 【目的】 R含有量の少ない組成(0.5〜8原子%)
で低コスト化をはかり、しかも保磁力を低下させない。 【構成】 R(Rは希土類元素の1種以上であり、Sm
を必須として含む)、T(TはFe、またはFeおよび
Coである)、NおよびBを含有し、R217x (x
は1.5〜4である)相と、T2 B相および/またはT
3 B相とを含む磁石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類磁石およびその
製造方法と、ボンディッド磁石とに関する。
【0002】
【従来の技術】高性能希土類磁石としては、Sm−Co
系磁石やNd−Fe−B系磁石が実用化されているが、
近年、新規な希土類磁石の開発が盛んに行なわれてい
る。
【0003】例えば、Sm2 Fe17とNとの化合物であ
るSm2 Fe172.3 付近の組成で、4πIs =15.
4kG、Tc =470℃、HA =14Tの基本物性が得ら
れること、Znをバインダとするメタルボンディッド磁
石として10.5MGOeの(BH)max が得られること、ま
た、Sm2 Fe17金属間化合物へのNの導入により、キ
ュリー温度が大幅に向上して熱安定性が改良されたこと
が報告されている(Paper No.S1.3 at the Sixth Inter
national Symposium on Magnetic Anisotropy and Coer
civity in Rare Earth-Transition Metal Alloys,Pitts
burgh,PA,October25,1990.(Proceedings Book:Carnegie
Mellon University,Mellon Institute,Pittsburgh,PA
15213,USA) )。
【0004】上記報告のボンディッド磁石に用いられて
いる磁石粒子は、ほぼ単結晶粒子となる程度の粒径を有
するものであり、その保磁力発生機構はニュークリエー
ションタイプである。このため、磁気特性が粒子の表面
状態の影響を受け易い。すなわち、粉砕時の機械的衝撃
や粒子の酸化等により磁石粒子表面には欠陥が生じ、こ
の欠陥により磁壁が発生するが、ニュークリエーション
タイプの磁石では結晶粒内に磁壁のピンニングサイトが
ないため容易に磁壁移動が起こるので、保磁力が劣化し
易い。このため、上記提案に示される磁石は高い磁気特
性が得られにくい。また、加熱により磁石粒子表面が酸
化すると保磁力が著しく劣化するため、キュリー温度が
高いにもかかわらず、実際に使用する際には加熱に対す
る安定性が低い。しかも、粒子表面状態の悪化による磁
気特性劣化は不可逆的であるため、高温下で使用された
場合、回復不能なダメージを受ける恐れがある。
【0005】なお、上記報告に示されるボンディッド磁
石は、Znをバインダとして用いたメタルボンディッド
磁石である。メタルボンディッド磁石の磁石粒子は、成
形時に高温の溶融金属と接することにより表面が溶融す
るため、粒子表面が平滑化されて磁壁の発生が抑えられ
ると考えられ、このため上記報告ではメタルボンディッ
ド磁石を用いていると推察される。しかし、メタルボン
ディッド磁石は樹脂ボンディッド磁石に比べ成形性に劣
り、比重が大きいため適用分野が狭い。また、バインダ
としてメタルを用いた場合でも、ボンディッド磁石とし
た後に生じた磁石粒子表面の欠陥、例えば酸化による表
面状態悪化は防止することができず、磁気特性劣化を抑
えることができない。
【0006】一方、バインダとして樹脂を用いる樹脂結
合型ボンディッド磁石は、成形性に優れ、また、比重が
小さいため、各種用途に汎用されている。しかし、樹脂
結合型ボンディッド磁石では、成形時の温度が低いため
磁石粒子表面の平滑化を行なうことができず、粒子の表
面欠陥による保磁力の低下が避けられない。
【0007】ニュークリエーションタイプの磁石には、
上記したように磁石表面状態の影響を受け易い問題があ
るが、急冷法により作製されたNd−Fe−B磁石のよ
うに極めて微細な結晶粒をもつピンニングタイプの磁石
では、磁石粒子表面で発生した磁壁が結晶粒表面でピン
ニングされて移動が阻止されるため、磁石粒子の表面欠
陥の影響を受けない。そこで、Sm2 Fe17系合金を急
冷法により作製し、これを窒化させれば、磁石粒子の表
面欠陥の影響を受けず、しかも窒素添加により、飽和磁
化、キュリー温度、異方性エネルギーなどが改良された
磁石が得られると考えられる。しかし、急冷法により作
製されたSm2 Fe17系合金は、組織が極めて緻密であ
り、合金中に空孔が少なく密度が高いので、十分に窒化
することは困難である。このため、本出願人は、急冷合
金に水素吸蔵熱処理を施した後に窒化熱処理を施すこと
により、窒化を容易にする方法を提案している(特願平
3−78541号)。
【0008】ところで、Sm2 Fe17−N系磁石をさら
に低コストで製造するためには、高価な希土類元素の含
有率を低減することが有効である。しかし、希土類元素
量を減らすと、特に希土類元素量を10原子%以下とし
た場合には保磁力が著しく低くなってしまうため、磁石
としての安定性が不十分となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、安価でしかも高保磁力の磁
石およびその製造方法と、この磁石の粉末を用いたボン
ディッド磁石とを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(13)の本発明により達成される。 (1)R(Rは希土類元素の1種以上であり、Smを必
須として含む)、T(TはFe、またはFeおよびCo
である)、NおよびBを含有し、R217x(xは
1.5〜4である)相と、T2 B相および/またはT3
B相とを含むことを特徴とする磁石。 (2)Rを0.5〜8原子%、Nを0.7〜20原子
%、Bを30原子%以下含有し、残部が実質的にTであ
る上記(1)の磁石。 (3)Tの一部をM(MはAl、Ti、C、Si、P、
V、Cr、Mn、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、G
e、Ni、W、CuおよびAgから選択される少なくと
も1種である)で置換した上記(1)または(2)の磁
石。 (4)Mを10原子%以下含有する上記(3)の磁石。 (5)SmがR全体の50原子%以上を占める上記
(1)ないし(4)のいずれかの磁石。 (6)R217x 相の平均径が50〜5000A であ
り、T2 B相およびT3 B相それぞれの平均径が50〜
1000A である上記(1)ないし(5)のいずれかの
磁石。 (7)R(Rは希土類元素の1種以上であり、Smを必
須として含む)、T(TはFe、またはFeおよびCo
である)およびBを含有しR217相とT2 B相および
/またはT3 B相とを有する結晶化合金に窒化処理を施
す工程を有することを特徴とする磁石の製造方法。 (8)R、TおよびBを含有する原料合金に熱処理を施
すことによりR217相とT2 B相および/またはT3
B相とを析出させて結晶化合金を製造する工程を有する
上記(7)の磁石の製造方法。 (9)前記熱処理が保持温度の相異なる2回の熱処理を
含む上記(8)の磁石の製造方法。 (10)前記原料合金を液体急冷法またはメカニカルア
ロイ法により製造する上記(8)または(9)の磁石の
製造方法。 (11)前記結晶化合金に水素吸蔵処理を施した後に前
記窒化処理を施す上記(7)ないし(10)のいずれかの
磁石の製造方法。 (12)上記(1)ないし(6)のいずれかの磁石の製
造に用いられる上記(7)ないし(11)のいずれかの磁
石の製造方法。 (13)上記(1)ないし(6)のいずれかの磁石の粉
末とバインダとを含有することを特徴とするボンディッ
ド磁石。
【0011】
【作用および効果】本発明の磁石は、Nを含有するため
キュリー温度が高く、熱安定性に優れる。また、Nを含
有することにより高い飽和磁化が得られ、Sm2 Co17
磁石の3〜4倍にも及ぶ巨大な異方性磁場を有するた
め、高い保磁力が得られる。また、Nd−Fe−B系磁
石に比べ耐食性が良好である。磁気特性の向上は、Nの
添加により侵入型の固溶体が形成され、Fe原子同士
や、Fe原子と希土類元素原子との距離が最適化される
ためであると考えられる。
【0012】そして、本発明の磁石は、R217x
とT2 B相および/またはT3 B相とを含むため、R含
有率を低くした場合でも高い保磁力が得られる。これは
下記の理由によると考えられる。
【0013】液体急冷法により製造されたR217x
磁石は、ボンディッド磁石などに適用されるときには粒
子径数十マイクロメーター程度まで粉砕され、磁石粒子
とされる。この磁石粒子は、径が数百オングストローム
程度のR217x 結晶粒を多数含む組織構造を有す
る。前記粉砕の際には、粒子表面に生じた欠陥が原因と
なって磁石粒子内に磁壁が発生するが、この磁壁は磁石
粒子内でピンニングされるので高保磁力が得られると考
えられる。しかし、R含有率が低い場合には、軟磁性の
T相(α−Fe相、Fe−Co相)が多量に析出してし
まう。T相の体積が小さければ、隣接する硬磁性R2
17x 相がT相のスピン反転を抑えることができるが、
T相の析出を制御することは難しく、T相は偏析して体
積が大きくなるので、T相中に磁壁が発生してしまい、
角形性や保磁力の低下が生じる。
【0014】一方、本発明の磁石では、Bを添加するこ
とによりT相の替わりにT2 B相および/またはT3
相を析出させる。T2 B相やT3 B相は、Coを所定量
含むときには硬磁性を示すが、通常、軟磁性である。し
かし、T2 B相やT3 B相は数百オングストローム程度
と非常に小さい結晶粒として析出するため、T2 B相や
3 B相のスピン反転は、隣接する硬磁性R217x
相との間の磁気的相互作用により抑えられる。このた
め、R含有率低減による保磁力低下は殆ど認められな
い。また、T2 B相やT3 B相を含むことにより、残留
磁束密度が向上する。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成を詳細に説明
する。
【0016】本発明の磁石は、R(Rは希土類元素の1
種以上であり、Smを必須として含む)、T(TはF
e、またはFeおよびCoである)、NおよびBを含有
する。
【0017】Rの含有量は好ましくは0.5〜8原子
%、より好ましくは1〜6原子%である。
【0018】Nの含有量は好ましくは0.7〜20原子
%、より好ましくは2〜14原子%である。
【0019】Bの含有量は好ましくは30原子%、より
好ましくは10〜25原子%である。
【0020】そして、残部が実質的にTである。T中に
おけるCoの含有率は好ましくは50原子%以下であ
る。
【0021】Rの含有率が前記範囲未満であると保磁力
が低下し、前記範囲を超えると残留磁束密度が低下して
しまう。Sm以外のRとしては、Y、La、Ce、P
r、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu等の1種以上を用いることができる。S
mの比率が低いと結晶磁気異方性が低下するため、R中
のSm量は50原子%以上であることが好ましい。
【0022】Nの含有率が前記範囲未満となると、キュ
リー温度の上昇、保磁力の向上および飽和磁化の向上が
不十分であり、前記範囲を超えると残留磁束密度が低下
する。
【0023】上記各元素を除いた残部が実質的にFeで
あるか、あるいはFeおよびCoであるが、残部中のC
oの含有率が前記範囲を超えると残留磁束密度が低下す
る。
【0024】なお、本発明の磁石中には、必要に応じて
元素M(MはAl、Ti、C、Si、P、V、Cr、M
n、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Ge、Ni、W、
CuおよびAgから選択される少なくとも1種である)
が含有されていてもよい。Mは、保磁力向上および結晶
成長抑制などの作用を示す。Mの含有量は、好ましくは
10原子%以下、より好ましくは0.1〜10原子%で
ある。なお、Cは、BやNのサイトを置換して入る傾向
を示す。
【0025】本発明の磁石は、R217x 相と、T2
B相および/またはT3 B相とを含む。xは1.5〜4
であり、xが前記範囲未満であるとN含有による効果が
殆どなく、前記範囲を超えるNを含有させることは比較
的困難であり、また、特性の低下を招く。
【0026】R217x 相の平均径は50〜5000
A 程度であることが好ましい。R217x 相の平均径
が前記範囲を外れると十分な磁気特性が得られなくなる
傾向にある。また、T2 B相やT3 B相の平均径は50
〜1000A 程度であることが好ましく、50〜400
A 程度であることがより好ましい。T2 B相やT3 B相
の平均径が前記範囲未満であるとアモルファス相が混在
する傾向にあり、前記範囲を超えていると高保磁力が得
られなくなる傾向にある。これら各相の存在およびその
寸法は、透過型電子顕微鏡などにより確認することがで
きる。
【0027】なお、T2 B相とT3 B相との比率は特に
限定されないが、T3 B相は飽和磁束密度がより高いた
め好ましい。
【0028】本発明の磁石のキュリー温度は、組成によ
っても異なるがR217x 相では430〜470℃程
度、T3 B相では530℃程度、T2 B相では800℃
程度である。
【0029】以下、本発明の磁石の製造に好適な方法を
説明する。
【0030】本発明の製造方法では、R、TおよびBを
含有しR217相とT2 B相および/またはT3 B相と
を有する結晶化合金に、窒化処理を施して磁石化する。
【0031】前記結晶化合金を製造する方法は特に限定
されないが、例えば液体急冷法を用いることが好まし
い。液体急冷法を用いる場合、R、TおよびBを含有す
る溶湯状合金を、105 ℃/秒程度以上の速度で急速に
冷却することにより急冷合金を得る。用いる液体急冷法
は特に限定されず、単ロール法、双ロール法、アトマイ
ズ法等の各種方法から適宜選択すればよいが、量産性が
高く、急冷条件の再現性が良好であることから、通常、
単ロール法を用いることが好ましい。単ロール法を用い
る場合の急冷条件は特に限定されず、合金の組成などに
応じて適宜設定すればよいが、通常、ロール周速は1〜
50m/s 程度とすることが好ましい。単ロール法により
得られる急冷合金は、通常、薄帯状である。薄帯の厚さ
は特に限定されないが、通常、10〜200μm である
ことが好ましい。厚さが前記範囲未満の薄帯は作製する
ことが困難であり、厚さが前記範囲を超える薄帯では、
十分な冷却速度を得ることが困難である。
【0032】液体急冷法を用いた場合、冷却条件を適宜
選択することによりR217相とT2 B相および/また
はT3 B相とを共に有する結晶化合金を得ることが可能
であるが、冷却条件によってはアモルファス状態あるい
はこれに近い微結晶状態となっていることがある。これ
らの場合、急冷合金に熱処理を施すことにより、R2
17相とT2 B相および/またはT3 B相とを析出させる
ことができる。この熱処理の条件は特に限定されず、上
記したような各相が出現するように適宜設定すればよい
が、例えば、550〜850℃にて0.005〜200
時間の熱処理を施すことが好ましい。また、R217
の析出する温度とT2 B相やT3 B相の析出する温度と
が同程度である組成の場合には一回の熱処理を施せばよ
いが、通常はこれらの析出温度が異なるので、保持温度
の異なる相異なる少なくとも2回の熱処理を施すことが
好ましい。また、熱処理により核発生させた後、温度を
変えて結晶を成長させる構成としてもよく、このような
場合、熱処理は3回以上となることがある。
【0033】なお、2回以上の熱処理を施す場合、一回
目の熱処理後に一旦常温付近まで降温する必要はなく、
続いて2回目以降の熱処理を行なうことができる。
【0034】この熱処理は、不活性ガス雰囲気等の非酸
化性雰囲気、還元性雰囲気、真空中等で行なうことが好
ましい。
【0035】このような熱処理を施す場合には、アモル
ファス状の原料合金を用いることができるので、原料合
金の製造にメカニカルアロイ法を用いることができる。
メカニカルアロイ法では、R、T、B等の原料金属の粉
末や、R、T、Bを含む鋳造合金に機械的な歪力を加え
てアモルファス状の原料合金を製造する。このアモルフ
ァス状の原料合金に上記した熱処理を施せば、前記結晶
化合金を得ることができる。
【0036】結晶化合金には窒化処理が施されるが、合
金中への窒素の侵入を容易にするためには、結晶化合金
に水素吸蔵処理を施した後に窒化処理を施すことが好ま
しい。水素吸蔵処理を施せば、単ロール法などにより得
られた薄帯状の合金を粉砕することなく均質に窒化する
ことができる。これは、水素吸蔵処理により合金中に微
細なガス通路が形成され、続く窒化処理の際に、このガ
ス通路を通って窒素が合金の深部まで侵入するためであ
ると考えられる。
【0037】水素吸蔵処理では、水素ガス雰囲気中で熱
処理することにより結晶化合金に水素を吸蔵させる。こ
の際の熱処理温度は350℃以下、特に100〜300
℃とすることが好ましく、温度保持時間は0.5〜24
時間、特に1〜10時間とすることが好ましい。また、
水素ガスの圧力は、0.1〜10気圧、特に0.5〜2
気圧とすることが好ましい。水素吸蔵の際の雰囲気は、
水素ガスだけに限らず、水素ガスと不活性ガスとの混合
雰囲気であってもよい。この場合の不活性ガスとして
は、例えばHeまたはAr、あるいはこれらの混合ガス
が好ましい。なお、薄帯状等の形状の結晶化合金に水素
吸蔵処理を施してもよく、結晶化合金を粉砕してから水
素吸蔵処理を施してもよい。
【0038】水素吸蔵処理後、結晶化合金に窒化処理を
施して本発明の磁石とする。窒化処理では、窒素ガス雰
囲気中で熱処理することにより、結晶化合金を窒化す
る。窒化処理の際の保持温度は350〜650℃、特に
400〜550℃とすることが好ましい。ただし、この
際の温度は水素吸蔵処理の温度よりも高いことが好まし
い。また、温度保持時間は、0.5〜200時間、特に
2〜100時間程度とすることが好ましく、窒素ガスの
圧力は0.1気圧程度以上とすることが好ましい。磁石
中のN量は、ガス分析法により測定することができる。
【0039】なお、生産性を高くするために、水素吸蔵
処理後、結晶化合金から水素を放出させずに続いて窒化
処理を施すことが好ましい。この場合、結晶化合金中の
水素は窒化処理の際の加熱により放出され、窒化後の磁
石中に水素は実質的に含まれない。
【0040】ただし、水素吸蔵処理後、結晶化合金から
水素を放出させ、次いで窒化処理を施してもよい。この
場合、水素を吸蔵している結晶化合金に減圧雰囲気中で
熱処理を施すことにより水素を放出させることができ
る。この場合の熱処理温度は200〜400℃とするこ
とが好ましく、温度保持時間は0.5〜2時間とするこ
とが好ましい。また、圧力は1×10-2Torr以下、特に
1×10-3Torr以下とすることが好ましく、Arガス雰
囲気中で熱処理することが好ましい。
【0041】なお、このような方法の他、アンモニアガ
ス中で熱処理する方法や高圧窒素ガス中で熱処理する方
法などを用いても、合金中へ窒素を容易に侵入させるこ
とができる。
【0042】本発明の磁石の形状に特に制限はなく、薄
帯状や粒状等のいずれであってもよいが、ボンディッド
磁石等の磁石製品に適用される場合には、所定の粒径に
まで粉砕されて磁石粒子とされる。
【0043】ボンディッド磁石に適用する場合、磁石粒
子の平均粒子径は、通常、2μm 以上とすることが好ま
しいが、十分な耐酸化性を得るためには、平均粒子径を
好ましくは20μm 以上、より好ましくは30μm 超、
さらに好ましくは35μm 以上とすることがよい。ま
た、この程度の粒子径とすることにより、高密度のボン
ディッド磁石とすることができる。平均粒子径の上限は
特にないが、通常、1000μm 程度以下であり、好ま
しくは200μm 以下である。なお、この場合の平均粒
子径とは、篩別により求められた重量平均粒子径D50
意味する。重量平均粒子径D50は、径の小さな粒子から
重量を加算していって、その合計重量が全粒子の合計重
量の50%となったときの粒子径である。
【0044】ボンディッド磁石は、磁石粒子をバインダ
で結合して作製される。本発明の磁石は、プレス成形を
用いるコンプレッションボンディッド磁石、あるいは射
出成形を用いるインジェクションボンディッド磁石のい
ずれにも適用することができる。バインダとしては、各
種樹脂、各種金属等のいずれであってもよい。樹脂バイ
ンダの種類は特に限定されず、エポキシ樹脂やナイロン
等の各種熱硬化性樹脂や各種熱可塑性樹脂から目的に応
じて適宜選択すればよい。金属バインダの種類も特に限
定されないが、亜鉛を用いることが好ましい。また、磁
石粒子に対するバインダの含有比率や成形時の圧力等の
各種条件にも特に制限はなく、通常の範囲から適当に選
択すればよい。ただし、結晶粒の粗大化を防ぐために、
高温の熱処理が必要な方法は避けることが好ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0046】下記表1に示される磁石サンプルNo. 1〜
3を作製した。
【0047】まず、表1に示される組成の合金インゴッ
トを溶解により製造し、各インゴットを小片に砕いた。
得られた小片を石英ノズルに入れて高周波誘導加熱によ
り溶解して溶湯状とし、単ロール法により急冷して、厚
さ約30μm 、幅5mmの薄帯状の急冷合金とした。な
お、冷却ロールの周速度は45m/s とした。X線回折の
結果、得られた急冷合金はアモルファス状であることが
確認された。
【0048】次に、急冷合金にArガス雰囲気中で熱処
理を施した。熱処理は保持温度を変更して2回行なっ
た。1回目の熱処理は保持温度650℃にて5分間行な
い、常温まで降温せずに、続いて2回目の熱処理を保持
温度700℃にて5分間行なった。1回目の熱処理後に
X線回折を行なったところ、準安定相であるT3 B相が
析出していることが確認された。また、2回目の熱処理
後のX線回折により、さらにSm217相が析出してい
ることが確認された。
【0049】次に、結晶化した合金を約50μm 径まで
粉砕し、水素ガス雰囲気中で250℃にて1時間熱処理
を施して水素を吸蔵させ、さらに、窒素ガス雰囲気中で
450℃にて60時間熱処理を施して窒化させ、磁石サ
ンプルとした。
【0050】これらのサンプルの磁気特性を測定した。
結果を表1に示す。
【0051】なお、比較のために、Sm含有量が多く、
かつBを含有しないサンプル(No.4)と、Sm含有量
が少なく、かつBを含有しないサンプル(No. 5)と、
窒化処理を施さなかったサンプル(No. 6)も作製し
た。これらについても同様な測定を行なった。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。すなわち、本発明のサンプルNo. 1〜3
では、Sm含有量が2.5〜5原子%と著しく少ないに
も拘らず、R含有量が10原子%であるNo. 4と同等の
保磁力 iHc が得られており、しかも、No. 4に比べ残
留磁束密度Br が著しく高い。一方、Sm含有量がNo.
1〜3と同様に少なく、かつBを含有しないNo. 5で
は、 iHc が著しく低くなってしまっている。
【0054】サンプルNo. 1〜3についてX線回折を行
なった結果、Sm2173 相、T3 B相および若干の
T相が存在していた。また、透過型電子顕微鏡により観
察した結果、Sm2173 相の平均結晶粒径は100
〜200A であり、T3 B相の平均結晶粒径は50〜2
00A であった。一方、No. 4および5ではT3 B相お
よびT2 B相のいずれも認められなかった。
【0055】なお、上記した元素Mを添加したサンプル
を作製したところ、表1に示されるサンプルとほぼ同等
の磁気特性が得られた。
【0056】次に、これらのサンプルをそれぞれエポキ
シ樹脂と混合した後、プレス成形し、さらに硬化のため
の熱処理を施してコンプレッションボンディッド磁石と
した。エポキシ樹脂は磁石粒子100重量部に対し2重
量部とした。プレス成形の圧力保持時間は10秒間と
し、印加圧力は8000kgf/cm2 とした。また、樹脂硬
化のための熱処理は、150℃にて1時間行なった。こ
れらのボンディッド磁石では、用いた磁石粒子に応じた
磁気特性が得られた。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(Rは希土類元素の1種以上であり、
    Smを必須として含む)、T(TはFe、またはFeお
    よびCoである)、NおよびBを含有し、R217x
    (xは1.5〜4である)相と、T2 B相および/また
    はT3 B相とを含むことを特徴とする磁石。
  2. 【請求項2】 Rを0.5〜8原子%、Nを0.7〜2
    0原子%、Bを30原子%以下含有し、残部が実質的に
    Tである請求項1の磁石。
  3. 【請求項3】 Tの一部をM(MはAl、Ti、C、S
    i、P、V、Cr、Mn、Zr、Hf、Nb、Ta、M
    o、Ge、Ni、W、CuおよびAgから選択される少
    なくとも1種である)で置換した請求項1または2の磁
    石。
  4. 【請求項4】 Mを10原子%以下含有する請求項3の
    磁石。
  5. 【請求項5】 SmがR全体の50原子%以上を占める
    請求項1ないし4のいずれかの磁石。
  6. 【請求項6】 R217x 相の平均径が50〜500
    0A であり、T2 B相およびT3 B相それぞれの平均径
    が50〜1000A である請求項1ないし5のいずれか
    の磁石。
  7. 【請求項7】 R(Rは希土類元素の1種以上であり、
    Smを必須として含む)、T(TはFe、またはFeお
    よびCoである)およびBを含有しR217相とT2
    相および/またはT3 B相とを有する結晶化合金に窒化
    処理を施す工程を有することを特徴とする磁石の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 R、TおよびBを含有する原料合金に熱
    処理を施すことによりR217相とT2 B相および/ま
    たはT3 B相とを析出させて結晶化合金を製造する工程
    を有する請求項7の磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱処理が保持温度の相異なる2回の
    熱処理を含む請求項8の磁石の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記原料合金を液体急冷法またはメカ
    ニカルアロイ法により製造する請求項8または9の磁石
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記結晶化合金に水素吸蔵処理を施し
    た後に前記窒化処理を施す請求項7ないし10のいずれ
    かの磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし6のいずれかの磁石の
    製造に用いられる請求項7ないし11のいずれかの磁石
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし6のいずれかの磁石の
    粉末とバインダとを含有することを特徴とするボンディ
    ッド磁石。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10261515A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Seiko Epson Corp 異方性ナノコンポジット磁石およびその製造方法
JPWO2005040047A1 (ja) * 2003-10-27 2007-11-22 アクア・エナジー株式会社 還元水素水の製造方法とその製造装置

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