JPH06218938A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸引手段の大型化に伴うコストアップを招く
ことなく、インク吸収体を有するキャップ部材を介して
記録ヘッドのインク吐出口からインクを確実に吸引する
ことを可能としたインクジェット記録装置を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 インク吸収体に、記録ヘッドのインク吐出口
とキャップ部材のインク吸引口とを連通させる連通孔部
を穿設するように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、記録ヘッドのインク
吐出口を密閉するキャップ部材を備えたインクジェット
記録装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクジェット記録装置において
は、記録ヘッドのインク吐出口から画像情報に応じてイ
ンク滴を吐出し、記録媒体上に画像を記録するように構
成されている。その際、上記インクジェット記録装置
は、非印字時に記録ヘッドのインク吐出口内のインクが
乾燥するのを防止するため、記録ヘッドのインク吐出口
をキャップ部材によって密閉するようになっている。ま
た、上記キャップ部材を吸引手段に接続することによっ
て、キャップ部材を介して記録ヘッドのインク吐出口内
のインクを吸引し、インク吐出口の乾燥インクによる目
詰まり等を防止するように構成されている。

【０００３】しかし、上記インクジェット記録装置の場
合には、記録ヘッドのインク吐出口をキャップ部材によ
って単に密閉しているのみであるため、非印字状態の時
間が長くなると、キャップ部材によって記録ヘッドのイ
ンク吐出口を密閉しても、インク吐出口内のインクが乾
燥してしまうという問題点があった。また、上記インク
ジェット記録装置の場合には、記録ヘッドのインク吐出
口をキャップ部材によって密閉したままの状態で、記録
ヘッドのインク吐出口からインクを吐出するダミー噴射
を行なう場合があるが、このダミー噴射時において記録
ヘッドのインク吐出口から吐出されたインクがキャップ
部材の内面で跳ね返り、記録ヘッドのインク吐出口面を
汚損し、インクの吐出不良が発生するという問題点もあ
った。さらに、キャップ部材を介して記録ヘッドのイン
ク吐出口内のインクを吸引する際に、インクが垂れて記
録ヘッドのインク吐出口面に付着してインク吐出口面を
汚損し、やはりインクの吐出不良が発生するという問題
点もあった。

【０００４】そこで、この問題点を解決するために、特
開昭５７−１１７９６５号公報や特開昭６０−７１２５
９号公報、あるいは特開昭６０−１５９０５８号公報等
に開示された技術が既に提案されている。

【０００５】上記特開昭５７−１１７９６５号公報に係
るインクジェット記録装置の場合には、インクジェット
ヘッドとこのヘッドのインク吐出口に対するキャップを
具え、前記キャップの前記吐出口に対向する側にインク
吸収体を配置すると共に、前記吸収体にインクの回収系
を接続するように構成したものである。

【０００６】また、上記特開昭６０−７１２５９号公報
に係る吐出回復方法は、オリフィスから液体を吐出して
飛翔的液滴を形成し、記録を行なう記録ヘッドと、オリ
フィス面に接し液体を吸収する吸収体を有するキャップ
で前記オリフィス面をキャッピングするとともに、前記
キャップ内の液体吸収体によって液体を吸収する以外
に、前記キャップが前記オリフィス面から解放された状
態で前記吸収体を介して空吸引を行なうように構成した
ものである。

【０００７】さらに、上記特開昭６０−１５９０５８号
公報に係るキャッピング装置の場合には、オリフィスの
周囲を密閉し、負圧によりインク吸引回復を行なうキャ
ッピング装置において、キャップ側にインク吸収体を設
けるとともに、このインク吸収体をオリフィス下部にお
いてオリフィス面に接触させ、圧縮されるように構成し
たものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
の場合には、次のような問題点を有している。すなわ
ち、上記提案に係るインクジェット記録装置等の場合に
は、いずれも基本的にキャップのインク吐出口に対向す
る側にインク吸収体を配置するように構成したものであ
るが、こうした場合には、インク吸収体がキャップの吸
引口を塞いでいるため、吸引動作時において吸収体およ
び吸収体に保持されているインク等が抵抗となり、図７
に示すように、インクの吸引に必要な負圧をインク吐出
口に安定かつ正確に与えることができず、目詰まり回復
時等の吸引動作時においてインク吐出口からインクを確
実に吸引することができないという問題点を有してい
る。

【０００９】この問題点を解決するためには、キャップ
を介してインク等を吸引する吸引手段として、大型のも
のを使用することも考えられるが、こうした場合には、
コストアップを招くという問題点が新たに生じる。

【００１０】そこで、この発明は、上記従来技術の問題
点を解決するためになされたもので、その目的とすると
ころは、吸引手段の大型化に伴うコストアップを招くこ
となく、インク吸収体を有するキャップ部材を介して記
録ヘッドのインク吐出口からインクを確実に吸引するこ
とを可能としたインクジェット記録装置を提供すること
にある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
画像情報に応じてインク吐出口からインク滴を吐出し
て、記録媒体上に画像の記録を行う記録ヘッドと、この
記録ヘッドのインク吐出口を密閉するキャップ部材と、
このキャップ部材の内部に設けられたインク吸収体とを
備え、上記キャップ部材に形成されたインク吸引口を介
してインク吸収体が吸引したインクを吸引除去するよう
にしてなるインクジェット記録装置において、上記イン
ク吸収体に、記録ヘッドのインク吐出口とキャップ部材
のインク吸引口とを連通させる連通孔部を穿設するよう
に構成されている。

【００１２】

【作用】この発明においては、インク吸収体に、記録ヘ
ッドのインク吐出口とキャップ部材のインク吸引口とを
連通させる連通孔部を穿設するように構成されているの
で、キャップ部材に設けられたインク吸引口から記録ヘ
ッドのインク吐出口内のインクを吸引して、記録ヘッド
のインク吐出口の目詰まり等を防止する際に、インク吸
収体に穿設された連通孔部を介して、記録ヘッドのイン
ク吐出口とキャップ部材のインク吸引口とを連通させる
ことができ、記録ヘッドのインク吐出口に所定の負圧を
作用させることができる。

【００１３】

【実施例】以下にこの発明を図示の実施例に基づいて説
明する。

【００１４】図２はこの発明に係るインクジェット記録
装置の一実施例を示すものである。

【００１５】図２において、１は記録ヘッドを示すもの
であり、この記録ヘッド１は、その下端面に形成された
インク吐出口から画像情報に応じてインク滴を吐出し、
画像の記録を行うようになっている。上記記録ヘッド１
は、図示しない記録ヘッドキャリッジに一体的に取り付
けられており、この記録ヘッドキャリッジは、図示しな
い駆動手段によって矢印方向に沿って移動可能となって
いる。上記記録ヘッド１は、駆動手段によって図中右方
向の記録位置へと移動され、この記録位置において画像
の印字を行うようになっている。そして、上記記録ヘッ
ド１は、画像の印字動作が終了した後、駆動手段によっ
て図２に示すキャッピング位置へと移動され、記録ヘッ
ド１は、そのインク吐出口がキャッピング手段２によっ
てキャッピングされるように構成されている。こうする
ことによって、上記インクジェット記録装置は、非印字
時に記録ヘッド１のインク吐出口をキャップ部材によっ
て密閉し、記録ヘッド１のインク吐出口内のインクが乾
燥するのを防止するようになっている。

【００１６】上記キャッピング手段２は、図２に示すよ
うに、記録ヘッド１のインク吐出口をキャッピングする
ゴム等の弾性材料からなるキャップ３を備えており、こ
のキャップ３は、合成樹脂等からなるキャップホルダー
４の上端部に装着されている。上記キャップホルダー４
は、キャッピング手段２の水平方向に沿って架設された
ステージ５に、上下方向に移動自在に装着されている。
また、このキャップホルダー４は、その外周に遊嵌され
たコイルスプリング６によって上方に突出する方向に付
勢されているとともに、当該キャップホルダー４は、そ
の下端部がステージ５上に固着されたストッパー７によ
って上方への移動が規制されている。そして、上記キャ
ップホルダー４は、ステージ５から上方に所定量だけ突
出した状態で停止するようになっているとともに、キャ
ップ３が記録ヘッド１のインク吐出口面に当接した状態
で、キャップホルダー４がコイルスプリング６の弾発力
に抗して下方に移動し、キャップ３が記録ヘッド１のイ
ンク吐出口面に密着するように構成されている。なお、
上記コイルスプリング６は、キャップホルダー４のフラ
ンジ部４ａとストッパー７との間に介在されている。

【００１７】また、上記ステージ５は、キャッピング手
段２のフレーム８に上下動可能に保持されている。すな
わち、このステージ５は、その両端部に直交するように
突設されたロッド９、９を備えており、当該ロッド９、
９の外側面には、２個の突起１０、１０が上下方向に沿
って突設されている。このステージ５の突起１０、１０
は、キャッピング手段２のフレーム８に設けられた凹溝
１１に嵌合されており、ステージ５は、この凹溝１１に
嵌合された突起１０、１０を介して、キャッピング手段
２のフレーム８に上下方向に沿って摺動自在に取り付け
られている。しかも、上記ステージ５のロッド９、９
は、その内側面にカムフォロワーとしての突起１２が内
側に向けて突設されており、この突起１２は、偏心カム
１３のカム溝１４に嵌合されている。そして、上記ステ
ージ５は、偏心カム１３を回転軸１５によって回転駆動
することによって、当該偏心カム１３のカム溝１４と係
合するカムフォロワーとしての突起１２を介して、上下
方向に沿って移動可能となっている。

【００１８】さらに、上記キャップ３、キャップホルダ
ー４及びキャップピストン部材１６には、図２に示すよ
うに、キャップ３に穿設された吸引口３１を介して、キ
ャップ３内とキャップキャップシリンダー部材１８のシ
リンダー部１９内とを連通するように、吸引用通路２１
が直線状に穿設されている。しかも、上記キャップキャ
ップシリンダー部材１８のシリンダー部１９は、当該キ
ャップキャップシリンダー部材１８に穿設された吸引用
通路２２及びチューブ２３を介して、吸引手段としての
吸引用ポンプ２４に接続されている。

【００１９】そして、上記吸引ポンプ２４によってキャ
ップ３を介して記録ヘッド１のインク吐出口１ａ内のイ
ンクを吸引し、インク吐出口１ａの乾燥インクによる目
詰まり等を防止するようになっている。また、上記キャ
ップ３内には、図１及び図３に示すように、非印字状態
におけるインク吐出口１ａ内のインクの乾燥、ダミー噴
射時におけるキャップでのインクの跳ね返り防止、及び
キャップを介して記録ヘッド１のインク吐出口１ａ内の
インクを吸引する際のインク除去等を目的として、イン
クを吸収するためのインク吸収体３０が嵌合状態で配設
されている。

【００２０】上記キャップ３は、図１及び図３に示すよ
うに、ゴム等からなる弾性材料によって、一端面が全面
開口した厚さの比較的薄い直方体状に形成されており、
このキャップ３の全面開口部と対向する天井部３ａに
は、図１及び図４に示すように、その中央部に吸引口３
１が開口されている。このキャップ３の吸引口３１は、
例えば直径が１ｍｍ程度に設定されており、キャップホ
ルダー４等に穿設された吸引用通路２１を介して、吸引
ポンプ２４に接続されている。上記キャップ３の内部に
は、インクを吸収するためのインク吸収体３０が嵌合状
態で配設されている。このインク吸収体３０としては、
例えば、吸水率が８０％程度と高い旭化成（株）製の商
品名「サンファイン」が用いられる。また、上記インク
吸収体３０は、図１に示すように、その表面がキャップ
１の開口部から若干内側に位置するように厚さが設定さ
れている。

【００２１】ところで、この実施例では、上記インク吸
収体に、記録ヘッドのインク吐出口に相対する面と前記
キャップの吸引口とを連通する孔部が設けられている。

【００２２】すなわち、上記インク吸収体３０には、図
１及び図５に示すように、記録ヘッド１のインク吐出口
１ａに相対する面と前記キャップ３の吸引口３１とを連
通する孔部３３が穿設されており、この孔部３３は、キ
ャップ３の吸引口３１よりも若干直径が大きく設定され
ている。上記キャップ３の吸引口３１を直径１ｍｍとし
た場合、インク吸収体３０の孔部３３は、例えば、これ
より若干大きな直径１．５〜２．０ｍｍ程度に設定され
る。

【００２３】以上の構成において、この実施例に係るイ
ンクジェット記録装置の場合には、次のようにして、イ
ンク吸収体を有するキャップ部材を介して記録ヘッドの
インク吐出口からインクを確実に吸引可能となってい
る。すなわち、上記インクジェット記録装置において
は、図２に示すように、記録ヘッド１を図中右方向の記
録位置へ移動させ、記録ヘッド１のインク吐出口１ａか
ら画像情報に応じてインク滴を吐出することによって、
図示しない記録媒体上に画像の印字が行われる。そし
て、上記インクジェット記録装置は、装置の使用開始時
やインクカートリッジを交換した時などに、記録ヘッド
１のインク吐出口１ａをキャップ３によって密閉した状
態で、この記録ヘッド１のインク吐出口内のインクを、
キャップ３の吸引口３１を介して吸引するようになって
いる。

【００２４】上記インクジェット記録装置において印字
動作が終了すると、記録ヘッド１は、図２に示すよう
に、図示しない駆動手段によってキャッピング位置へと
移動される。上記記録ヘッド１がキャッピング位置へ移
動すると、キャッピング手段２のステージ５が偏心カム
１３を回転駆動することによって上方に移動し、このス
テージ５上にキャップホルダー４を介して取り付けられ
たキャップ３が、図６に示すように、記録ヘッド１のイ
ンク吐出口面１ａ’に当接する。そして、上記キャッピ
ング手段２のステージ５を偏心カム１３を回転駆動する
ことによって更に所定量だけ上方に移動することによっ
て、キャップ３を記録ヘッド１のインク吐出口面１ａに
圧接させた状態で、ステージ５が停止する。

【００２５】次に、吸引ポンプ２４によって記録ヘッド
１のインク吐出口１ａ内のインクを、キャップ３を介し
て吸引する。その際、上記キャップ３内に装着されたイ
ンク吸収体３０には、記録ヘッド１のインク吐出口１ａ
に相対する面と前記キャップ３の吸引口３１とを連通す
る孔部３３が設けられているので、この吸引動作時にお
いてインク吸収体３０がインクを吸引保持している場合
でも、上記孔部３３を介してキャップの内部に直接吸引
力を作用させることができ、図７に示すように、インク
の吸引に必要な負圧を吐出口に安定かつ正確に与えるこ
とができ、目詰まり回復時等の吸引動作時において、イ
ンク吸収体３０が吸引保持しているインク及び記録ヘッ
ド１のインク吐出口１ａ内からインクを確実に吸引する
ことができる。

【００２６】図８はこの発明の他の実施例を示すもので
あり、前記実施例と同一の部分には同一の符号を付して
説明すると、この実施例では、吸引口及び孔部の位置が
異なるようになっている。

【００２７】すなわち、この実施例では、記録ヘッド１
が水平方向にインク滴を吐出して画像の記録を行なう場
合に、インクを吸収するインク吸収体３０には、その下
方にインクが滞留するため、インク吸収体３０の下部に
インク吸引口３１に対応した孔部３３が形成されてい
る。

【００２８】その他の構成及び作用は、前記実施例と同
様であるので、その説明を省略する。

【００２９】なお、前記実施例では、インク吸収体に設
けられる孔部が、インク吸引口に対応した位置に、当該
インク吸引口の直径よりも若干大きく形成した場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、イン
ク吸収体に設けられる孔部として、インク吸引口に対応
した位置に、当該インク吸引口の直径よりも小さな孔部
を複数形成するようにしても良い。

【００３０】また、インク吸収体に設けられる孔部とし
ては、インク吸収体のインク吸引口に対応した位置及び
それ以外に部分に複数個形成し、これらの複数個の孔部
をインク吸収体に形成された連通部を介してインク吸引
口に互いに連通させるようにしても良い。

【００３１】

【発明の効果】この発明は以上の構成及び作用よりなる
もので、吸引手段の大型化に伴うコストアップを招くこ
となく、インク吸収体を有するキャップ部材を介して記
録ヘッドのインク吐出口からインクを確実に吸引するこ
とを可能としたインクジェット記録装置を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１はこの発明に係るインクジェット記録装
置の一実施例を示す要部構成図である。

【図２】 図２はこの発明に係るインクジェット記録装
置の一実施例を示す構成図である。

【図３】 図３はこの発明に係るインクジェット記録装
置の一実施例を示す要部斜視図である。

【図４】 図４はキャップを示す正面図である。

【図５】 図５はインク吸収体を示す斜視図である。

【図６】 図６はこの発明に係るインクジェット記録装
置の一実施例を示す構成図である。

【図７】 図７はこの発明の一実施例の作用を示すグラ
フである。

【図８】 図８はこの発明の他の実施例におけるキャッ
プを示す正面図である。

【符号の説明】

１ 記録ヘッド、１ａ インク吐出口、３ キャップ、
３０ インク吸収体、３１ インク吸引口、３３ 連通
用の孔部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像情報に応じてインク吐出口からイン
   ク滴を吐出して、記録媒体上に画像の記録を行う記録ヘ
   ッドと、この記録ヘッドのインク吐出口を密閉するキャ
   ップ部材と、このキャップ部材の内部に設けられたイン
   ク吸収体とを備え、上記キャップ部材に形成されたイン
   ク吸引口を介してインク吸収体が吸引したインクを吸引
   除去するようにしてなるインクジェット記録装置におい
   て、上記インク吸収体に、記録ヘッドのインク吐出口と
   キャップ部材のインク吸引口とを連通させる連通孔部を
   穿設したことを特徴とするインクジェット記録装置。