JPH06191197A - 転写シール及びその製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリーン印刷作業において図柄層が転移粘
着剤層と完全に一致し、転写後において図柄層を被転写
体に強固に接着させる。 【構成】 透明又は半透明である支持シートと、該支持
シートの上に印刷して乾燥した所定のパターン形状であ
る単層又は複数層の図柄層と、図柄層よりも平面形状が
大きい粘着剤層とを備え、粘着剤層と図柄層とが重なる
ように離型シートを貼り付け、図柄層のパターン形状以
外の周辺粘着剤層を粘着剤吸収剤と接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、図柄層が転移粘着剤層
と完全に一致している転写シール及びその製造法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の転写シールは、離型紙の上に粘着
剤を介して貼着した紙基材の上に所定の図柄を印刷した
後に印刷部分だけを半抜き加工したり、剥離紙に塗布し
た水溶性樹脂の上に図柄印刷及びニス塗りしてから該樹
脂を水で溶解して印刷部分だけを残している。これらの
転写シールは、半抜き加工や水溶性樹脂を塗布すること
でコスト高となり、しかも複雑なパターンの加工が技術
的に困難である。

【０００３】 シール製造の改良法は、特開昭６１−１
３２３９９号などで既に数多く提案されている。この改
良法では、比較的製造コストが安いけれども、粘着剤層
の塗布・乾燥後に図柄層を形成するため、その乾燥時に
後加熱される粘着剤層に図柄層の溶剤が浸透しやすく、
印刷済みの粘着剤が後加熱で変性して自己粘着性フィル
ムから被転写体への転写が困難になる場合があった。

【０００４】 これに対して、本発明者は、特開平２−
８８２８５号において、自己粘着性フィルム上に所定の
パターン形状である透明の保護層を印刷して乾燥し、該
保護層の範囲内でインク層及び粘着剤層を順次形成する
シール製造法を提供している。この製造法では、保護層
及びインク層の乾燥後に粘着剤層を形成することによ
り、得た転写シールは粘着剤の接着力が殆ど低下しな
い。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】特開平２−８８２８５
号などで使用するスクリーン印刷法では、たとえパター
ン形状を完全に一致させても、環境温度や作業時刻の差
異によってシルクスクリーンがランダムに伸縮しやす
く、個々の作業者による作業手順の違いなどによっても
微妙な差異が発生する。このため、層重ねの際に、イン
ク層又は保護層と粘着剤層との平面形状を完全に一致さ
せることがきわめて困難であり、これは特開昭６１−１
３２３９９号の印刷法でも同様である。

【０００６】 前記のように、層重ねの際に図柄層と粘
着剤層との間にわずかでもずれが生じ、粘着剤層が保護
層又はインク層の周辺から露出していると、転写後の図
柄層がべとつき、そこに埃が付着して非常に見苦しくな
る。また、図柄層の周辺に粘着剤層が存在しないなら
ば、転写後において図柄層が剥がれやすく、納品後にユ
ーザーからクレームが起ることになる。

【０００７】 本発明は、個々の転写シール製造法に存
在する前記の問題を改善するために提案されたものであ
り、図柄層及び転移粘着剤層の平面形状が完全に一致し
ている転写シールを提供することを目的としている。本
発明の他の目的は、スクリーン印刷作業において図柄層
及び転移粘着剤層を容易に一致させることができる転写
シールの製造法を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る転写シール１は、図４に示すように、
透明又は半透明である支持シート２と、該支持シートの
上に印刷して乾燥した所定のパターン形状である図柄層
３と、図柄層３よりも平面形状が大きい粘着剤層４とを
備える。転写シール１において、図柄層３のパターン形
状以外の周辺粘着剤層１４は接着力が低下している。

【０００９】 転写シール１を製造するには、支持シー
ト２の上にまず粘着剤吸収剤５（図３）を塗布する。粘
着剤吸収剤５は、一般に粘度が低くて粘着剤４と類似し
た成分からなり、通常支持シート２の表面全体に薄く塗
布し、その厚みは通常約１〜５０μｍである。

【００１０】 次に、所定のパターン形状の図柄層３
を、粘着剤吸収剤５を塗布した支持シート２の上に印刷
し、加熱処理又は紫外線照射などで硬化・乾燥させる。
図柄層３は、単一又は下地層を含む複数層であり、例え
ば印刷後に約２０〜１００℃で約１０〜３０分間乾燥す
ると好ましい。

【００１１】 支持シート２は、該シートを通して図柄
層３が見えるように透明又は半透明であることを要し、
熱変形しにくいポリエチレンフィルムなどであると好ま
しい。

【００１２】 図示しないけれども、まず保護層を図柄
層３の一部として形成してもよく、該保護層はオーバー
コート層又はクリアートップ層とも称し、転写後に図柄
インク層の色彩が見えるように透明又は半透明である。
この保護層の範囲内において、図柄インク層を印刷して
硬化・乾燥させればよい。

【００１３】 一方、図２に示すように、剥離性を有す
る離型シート６の上に図柄層３よりも平面形状が大きく
なるように粘着剤を塗布し、得た粘着剤層４は支持シー
ト２の製作枚数が少ない場合には離型シート６の全体に
塗布してもよい。粘着剤層４は、一般に粘着性及び腰切
れが良好な感圧性接着剤が好ましく、例えばこれをシル
クスクリーン印刷で形成し、その厚みは通常約３０〜８
０μｍである。

【００１４】 図２の離型シート６は、粘着剤層４と図
柄層３とが重なるように支持シート２に貼り付ける（図
３参照）。この貼り付け状態を数分間から半日程度維持
させ、図柄層３のパターン形状以外の周辺粘着剤層１４
を吸収剤５中へ移行させる（図４参照）。

【００１５】

【作用】本発明方法では、平面形状の大きい粘着剤層４
を形成した離型シート６を支持シート２に貼り付け、該
支持シート上に図柄層３が印刷されている。この貼り付
けにより、図柄層３の表面と接触する転移粘着剤層４ａ
は本来の接着力を維持し、一方、図柄層３のパターン形
状以外の周辺粘着剤層１４は、支持シート２の表面に塗
布した粘着剤吸収剤５と接触して該吸収剤の中へ移行す
る。

【００１６】 この結果、周辺粘着剤層１４の部分は、
前記の貼り付けで離型シート６から支持シート２には転
移するけれども、適宜の被転写体７（図５）への接着力
が低下する。転写シール１を適宜の被転写体７に押し付
けた際に、本来の接着力を有する粘着剤層４ａと完全に
一致する図柄層３は被転写体７へ転移するけれども、接
着力が低下した周辺粘着剤層１４は支持シート２に残存
する（図６参照）。粘着剤層４ａと周辺粘着剤層１４と
の境界は、粘着剤４の腰切れが良いことによって明確に
分離する。

【００１７】

【実施例】本発明を図面に基づいて説明すると、図４は
本発明方法に係る転写シール１を示す。本発明における
転写シール１の製造には、厚さ約５０〜２００μｍのポ
リエチレンフィルムやポリ塩化ビニルフィルムなどであ
る透明の支持シート２を用い、該シートの表面は平滑で
あって通常の離型紙に比べて熱変形しにくい。

【００１８】 支持シート２の表面全体には、まず粘着
剤吸収剤５（図３）を厚さ約１〜５０μｍ塗布して熱風
加熱によって乾燥し、該粘着剤吸収剤は一般に粘着剤４
と類似した成分からなる。したがって、例えば粘着剤層
４がアクリル系の感圧接着剤であるならば、粘着剤吸収
剤５もアクリル系樹脂製である。

【００１９】 粘着剤吸収剤５を塗布した支持シート２
の上には、まず保護層を図柄層３の一部として形成して
もよい。この保護層は、例えば透明又は半透明のウレタ
ン系樹脂であり、透明の支持シート２の上にスクリーン
印刷する。印刷した保護層は、加熱又は紫外線照射によ
って硬化・乾燥する。

【００２０】 この保護層の範囲内において、単一又は
下地層を含む複数層である所定のパターン形状の図柄層
３を印刷して硬化・乾燥させる。図柄層３は、例えば種
々の色彩を有する２液のウレタン系樹脂であり、印刷後
に約２０〜１００℃で約１０〜３０分間熱風加熱によっ
て硬化・乾燥する。図柄層３は、一般に１色で約４０μ
ｍ、２色で約８０μｍ程度の厚さになる。

【００２１】 一方、図２に示すように、剥離性を有す
る離型シート６の上に一般に腰切れの良い粘着剤４を印
刷し、この粘着剤層は一般に図柄層３よりも平面形状が
かなり大きい。粘着剤層４は、例えばアクリル系の感圧
接着剤をシルクスクリーン印刷で形成し、その厚みは通
常約３０〜８０μｍである。

【００２２】 離型シート６は、一般に紙やプラスチッ
クなどのシートの片面を剥離剤で処理し、該剥離剤は高
級アルキルビニルエステル共重合体，シリコン樹脂，パ
ラフィン類などである。また、離型シート６は、それ自
体を剥離性を有する素材で形成してもよい。

【００２３】 図３に示すように、図２の離型シート６
を図１の支持シート２と対向させ、粘着剤層４の中に図
柄層３とが完全に入り込んで重なるように貼り付ける。
この貼り付け状態をそのまま約半日程度維持すると、図
柄層３のパターン形状以外の周辺粘着剤層１４が吸収剤
５中へ移行する。

【００２４】 こうして得た転写シール１は、図４に示
すように、透明又は半透明である支持シート２と、単一
又は複数層の図柄層３と、図柄層３よりも平面形状が大
きい粘着剤層４と、支持シート２とほぼ同じ大きさの離
型シート６とからなる。転写シール１において、図柄層
３のパターン形状以外の周辺粘着剤層１４は接着力が低
下している。

【００２５】 転写シール１を使用する場合には、離型
シート６を剥がして被転写体７（図５）の上へ載せ、支
持シート２の裏側から押圧するだけで図柄層３だけを被
転写体７に容易に転写できる。図６に示すように、転写
後の支持シート２には、図柄層３のパターン形状以外の
周辺粘着剤層１４が残る。

【００２６】 本発明の転写シール１では、転写すべき
図柄層３と転移粘着剤層４ａとが完全に一致し、転写し
た図柄層３（図５）において裏側周辺にも粘着剤４ａが
確実に存在する。このため、転写シール１は、複雑なパ
ターン形状の図柄層３であっても確実に転写でき、被転
写体に多少の凹凸があっても転写後に剥離することが少
ない。

【００２７】次に本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。 実施例 支持シート２は、厚さ７０μｍのポリエチレンフィルム
からなる。透明な支持シート２の表面全体に、まず粘着
剤吸収剤５を厚さ４μｍ塗布して熱風加熱によって乾燥
する。

【００２８】 用いる粘着剤吸収剤５は下記の成分を含
有する。 アクリル共重合樹脂（スリーボンド製） ２６.０重量％ アルコール系有機溶剤 ４.４重量％ 脂肪族・芳香族系有機溶剤 ６９.３重量％ その他 ０.３重量％

【００２９】 粘着剤吸収剤５を塗布した支持シート２
の上に、所定のパターン形状である図柄層３をシルクス
クリーン印刷で形成して硬化・乾燥させ、その厚みは４
０μｍである。図柄層３は、種々の色彩を有する２液の
ウレタン系樹脂であり、印刷後に約８０℃で約３０分間
熱風加熱で硬化・乾燥する。

【００３０】 一方、前記の図柄層３の印刷作業と並行
して、剥離性を有する離型シート６の上に粘着剤層４を
シルクスクリーン印刷で形成する。離型シート６は、そ
の片面をシリコン樹脂で処理した厚さ１２５μｍのポリ
エステルフィルムである。

【００３１】 本発明で用いる粘着剤４は以下の成分を
含有する。 アクリル共重合樹脂（スリーボンド製） ４５.８重量％ アルコール系有機溶剤 ４.４重量％ 脂肪族・芳香族系有機溶剤 ４９.５重量％ その他 ０.３重量％

【００３２】 この粘着剤層４は、一般に図柄層３より
もがかなり大きいパターン形状に定め、その厚みは４０
μｍである。粘着剤層４は、印刷後に約８０℃で約３０
分間熱風加熱によって硬化・乾燥する。

【００３３】 図３に示すように、離型シート６を支持
シート２と対向させ、粘着剤層４の中に図柄層３とが完
全に入り込んで重なるように貼り付ける。この貼り付け
状態をそのまま約半日維持し、図柄層３のパターン形状
以外の周辺粘着剤層１４を吸収剤５中へ移行させる。

【００３４】 こうして得た転写シール１は、図４に示
すように、透明である支持シート２と、複数層の図柄層
３と、該図柄層よりも平面形状が大きい粘着剤層４と、
支持シート２とほぼ同じ大きさの離型紙６とからなる。
転写シール１において、図柄層３のパターン形状以外の
周辺粘着剤層１４は接着力が低下している。

【００３５】

【発明の効果】本発明に係る転写シールでは、図柄層の
パターン形状以外の周辺粘着剤層が吸収剤の中へ移行す
ることにより、被転写体において図柄層と転移粘着剤層
とが完全に一致し、該図柄層において裏側周辺に粘着剤
が確実に存在する。このため、この転写シールは、微細
で複雑なパターン形状の図柄層であっても確実且つ完全
に転写できる。

【００３６】 この転写シールは、図柄層と転移粘着剤
層との間に全くずれがないので、転写後に粘着剤が保護
層又は図柄層の周辺から露出せず、転写図柄層がべとつ
いたり埃が付着したりせずにきわめて美麗である。ま
た、図柄層はその周辺までに粘着剤層が存在することに
より、転写後において図柄層が被転写体に強固に接着さ
れて剥がれることがない。

【００３７】 本発明方法では、平面形状の大きい粘着
剤層を有する離型シートを支持シートに貼り付ける。こ
の貼り付けにより、図柄層の表面と接触する粘着剤層の
部分だけが本来の接着力を維持し、転写シールを適宜の
被転写体に押し付けた際に被転写体へ転移する。一方、
図柄層のパターン形状以外の周辺粘着剤層は、離型シー
トから支持シートには転移するけれども、適宜の被転写
体への接着力が低下することにより、転写シールを被転
写体に押し付けても支持シートに残存する。

【００３８】 本発明方法において、粘着剤層の平面形
状は図柄層のそれよりも十分に大きく、離型シートと支
持シートの貼付け作業は容易である。また、支持シート
における図柄層の印刷作業と、離型シートにおける粘着
剤層の塗布作業を並行して行なうことができ、従来の一
連の作業工程に比べて作業能率を倍近く高めることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図柄層を印刷した支持シートの一例を示す平
面図である。

【図２】 粘着剤層を形成したシートの一例を示す平面
図である。

【図３】 図１の支持シートと図２の離型シートとを対
向配置した状態を示す概略断面図である。

【図４】 本発明に係る転写シールの一例を示す概略断
面図である。

【図５】 本発明の転写シールから転移させた図柄層を
示す被転写体の平面図である。

【図６】 転写後の支持シートを示す平面図である。

【符号の説明】

１ 転写シール ２ 支持シート ３ 図柄層 ４ 粘着剤層 ４ａ 転移粘着剤層 ５ 粘着剤吸収剤 ６ 離型シート １４ 周辺粘着剤層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明又は半透明である支持シートと、該
   支持シートの上に印刷して乾燥した所定のパターン形状
   である単層又は複数層の図柄層と、図柄層よりも平面形
   状が大きい粘着剤層とを備え、図柄層のパターン形状以
   外の粘着剤層の接着力を低下させることにより、被転写
   体に押し付けた際に図柄層のパターン形状以外の周辺粘
   着剤層は支持シートに残り、図柄層だけを被転写体に転
   移させる転写シール。
2. 【請求項２】 剥離性を有する離型シートの上に図柄層
   よりも平面形状が大きい粘着剤層を形成するとともに、
   透明又は半透明である支持シートの上に粘着剤吸収剤を
   塗布してから、所定のパターン形状である単層又は複数
   層の図柄層を印刷して乾燥し、次に粘着剤層と図柄層と
   が重なるように離型シートを貼り付け、図柄層のパター
   ン形状以外の周辺粘着剤層を粘着剤吸収剤と接触させる
   転写シールの製造法。