JPH0239395B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はホツトスタンプ方法に係り、特に、被
転写物の表面の所望の区域のみに対して選択的に
表示層を接着し得るホツトスタンプ方法に関する
ものである。

ホツトスタンプは、ホツトスタンプ箔を被転写
物の表面に重ねてその上から熱プレスを施すこと
によりホツトスタンプ箔を構成している表示層を
被転写物の表面に熱接着せしめる転写手法であ
る。

第１図は従来式のホツトスタンプ方法の説明図
である。Ａはホツトスタンプ箔、Ｂは被転写物で
ある。ホツトスタンプ箔Ａは、ベースフイルム１
の片面に離型層２と介して表示層３を形成し、そ
の上に熱溶融性の接着剤層４を形成して構成され
る。上記の表示層３は、例えば顔料を含む印刷イ
ンクにより、若しくは金属の蒸着などによつて所
望の色彩のものとし、美麗な模様を表わすことも
できる。以上のように構成したホツトスタンプ箔
Ａを被転写物Ｂの面上に重ねて置き、例えば図示
のＣ区域に熱プレスを施すと、この区域の接着剤
層４が熱溶融し、この区域の表示層３を被転写物
Ｂの面上に接着する。

以上の説明から容易に理解できるように、ホツ
トスタンプ方法は被転写物表面の所望の区域にの
み選択的に表示層を接着せしめることもできる。

上記のホツトプレスは、平板型のホツトプレス
機を用いて行なうこともでき、ロール式のホツト
プレス機を用いて行なうこともできる。第２図は
ロール式のホツトプレス機の一例の構造の説明図
である。ホツトロール５は支柱６によつて支承さ
れ、加圧手段（図示せず）によつて下方に押圧さ
れる構造である。スライドテーブル７はその上面
に被転写物Ｂを取りつけて往復矢印Ｄのごとく往
復駆動される。ホツトスタンプ箔Ａはドラム８に
巻きつけられていて矢印Ｅのごとく巻き取られて
被転写物Ｂの上面に供給される。前記のホツトロ
ール５は赤外線ヒータ９を備えていて400℃以下
の任意の温度に加熱し得る構造である。

上記のようなロール式ホツトプレス機を用い、
加熱されたホツトロール５によりホツトスタンプ
箔Ａを被転写物Ｂに押しつけながら、被転写物Ｂ
を取りつけたスライドテーブル７を移動させると
ホツトプレスによる転写が行われる。

上述のロール式ホツトプレス機は平板形のホツ
トプレス機に比して連続作業に適して作業性が良
い。しかし、上述の構造機能から容易に理解でき
るように、被転写物の全面にホツトスタンプを施
す作業には適しているが被転写物の所望の個所の
みに選択的にホツトスタンプを施すには不適で、
極めて単純な形状の所望区域のみにホツトスタン
プを施すことは可能であるが転写所望区域の形状
が複雑であると選択的に転写することができな
い。

平板形のホツトプレス機を用いる場合、所望の
形状に形成した凸版の押型を用いることによつて
所望区域のみに選択的にホツトスタンプを施すこ
とができるが、数10Kg／cm²の高圧で加圧しなけれ
ばならないため部分的な押圧によつて被転写物の
表面に段つき状の変形を生じたり、被転写物の周
囲がダレる形に変形したりする虞れがある。ホツ
トプレスに際しては押型を200℃〜300℃に加熱し
て行なう場合が多いので、被転写物が合成樹脂な
どであつて熱可塑性を有しているときは上述の変
形を避け難い。

本発明は上述の事情に鑑みて為され、高い押圧
力を必要としないため被転写物に変形を生じる虞
れが無く、その上、ロールプレス機を用いて選択
的に所望区域のみに表示層の転写を行なうことも
できるホツトスタンプ方法を提供することを目的
とする。

上記の目的を達成するため、本発明のホツトス
タンプ方法は、ホツトスタンプ箔の接着剤層を被
転写物に対し熱接着性の無い材料で構成し、か
つ、被転写物の面上の所望の区域に前記接着剤と
相溶性の良いインキの薄層を形成した後、被転写
物の上にホツトスタンプ箔を重ねて加熱押圧する
ことにより、インキを塗布した区域のみに対して
選択的に表示層を接着することを特徴とする。

次に、本発明の一実施例について、第３図乃至
第６図を参照しつつ説明する。

本実施例は第３図に示す透光性の基板に、第４
図に示すごとく木目模様のホツトスタンプを施す
ものである。この第４図の部材は更にこの表面に
第５図のごとく文字板１０，１１など印刷してス
クータ用の計器盤を製作するための半製品であ
る。

被転写物である基板（第３図）には角窓１２，
１３や計器取付用の丸孔１４，１５を穿つてある
ので、これらの窓部や孔部は別段の手段を施さな
くても表示層の転写が行なわれないが、本例は文
字盤の文字列の部分を透光性のままに残して裏側
から照明できるように第４図に示す扇形状の部分
１６，１７には木目状のホツトスタンプ表示層を
接着せしめないようにしなければならないという
作業条件における実施例である。

本実施例においては、被転写物である基板を半
透明のポリカーボネート合成樹脂で構成する。ま
た、ホツトスタンプ箔Ａは（第１図参照）ポリエ
ステルのベースフイルム１の片面に離型層２を介
して木目模様のグラビア印刷による表示層３を形
成し、その上に、ポリカーボネート製基板に対し
て熱接着性の無いアクリル樹脂系の接着剤層４を
形成して構成する。

一方、第６図に示すようにポリカーボネート合
成樹脂製の基板の面に扇形状の部分１６，１７を
除いてアクリル樹脂系のインキ１８（本図におい
ては読図の便宜上、破線ハツチングを附す）を塗
布する。本実施例では扇形状部分１６，１７以外
の区域の光の透過を完全に防止するためアクリル
樹脂系インキに黒色顔料を混合し、印刷技法を用
いて基板の上に前述した形状の薄層を形成する。
本発明を実施に適用する場合、基板に対して接着
性を有し、かつホツトスタンプ箔の接着剤に対し
て相溶性の良いインキを用い、ホツトスタンプの
表示層を転写しようとする区域のみに適宜の方法
（例えば印刷、吹付、捺印など）で塗布すればよ
い。

以上のようにして、被転写物である基板の表面
に第６図のごとく接着剤と相溶性の良いインキ１
８を塗布した後に乾燥させて接着剤と相溶性の良
い薄層を形成し、その上に前述のようにアクリル
樹脂系接着剤を用いたホツトスタンプ箔を重めて
熱プレスを施す。

上記の熱プレス操作は平板上ホツトプレス機を
用いてもよく、また、第２図に示したようなロー
ル式のホツトプレス機を用いてもよい。前述のご
とく扇形状部分１６，１７にはアクリル樹脂系イ
ンク１８を塗布していないので、この部分に加熱
と押圧とを加えても接着剤層４は被転写物Ｂの表
面に接着されず、従つてこの部分には表示層３３
が転写されない。このため、本発明の方法によれ
ばロール式のホツトプレス機を用いて全面に加熱
押圧を加えても所望の区域のみに選択的にホツト
プレス転写を行なうことができる。

また、扇形状部分１６，１７以外の面には接着
剤４と相溶性のよいアクリル樹脂系インキ１８を
塗布してアクリル樹脂系の薄い被膜を形成してあ
るので、従来式の方法におけるような高圧（数10
Kg／cm²）を加えなくても良好な転写が行われる。
本実施例においては、平板式のホツトプレスを用
いる場合、１〜２Kg／cm²の加圧で良好な転写が行
われる。またロール式ホツトプレス機を用いる場
合は上記と同等の加圧によつて良好な転写が行わ
れ、径100φ、長さ300mmのロールを230〜240℃に
加熱して全圧力68Kgで加圧すると良好な結果が得
られる。上記のように従来技術に比して数10分の
１の低圧で足りるので、加圧によつて被転写物に
変形を生じさせる虞れが無い。

次に、本発明のホツトスタンプ方法の応用例に
ついて説明する。前述の実施例と同様にして第６
図のようにアクリル樹脂系インキ１８の被膜を形
成した後、扇形状部分１６，１７に透光性の白色
ビニール塗料（図示せず）を塗布、印刷若しくは
捺印した後に前例と同様にしてホツトスタンプ箔
を用いてホツトプレスを行なう。この応用例によ
れば扇形状部分１６，１７に表示層３の被転写物
が行われないことの確実性が更に良くなる。上記
の応用例の変形例として、白色ビニール塗料の塗
布区域を扇形状部分１６，１７に限らず、完成品
の状態（第５図）において計器板面１０，１１を
形成する区域に拡大してもよい。前述の応用例を
実地に適用する場合、表示層の転写を望まない区
域に塗布するインキは被転写物に対する接着性が
良く、しかもホツトスタンプ箔の接着剤に対して
相溶性の無いインキを用いる。

以上詳述したように、本発明を適用すると、高
い押圧力を必要としないので被転写物に変形を生
じさせる虞れが無く、その上、平板形ホツトプレ
ス機又はロール式ホツトプレス機のいずれか任意
のホツトプレス機を用いて被加工物の表面の所望
の区域のみに選択的に表示層の転写を行なうこと
ができるという優れた実用的効果が得られる。

なお、上記の実施例は、合成樹脂板を被転写物
としたものについて説明したが、本発明はこのよ
うな例に限定されるものではないこと勿論であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はホツトプレス方法を説明するための概
要的な断面図、第２図はロール式ホツトプレス機
の構造機能の説明図、第３図乃至第６図は本発明
の一実施例の説明図で、第３図は被転写物の加工
前における平面図、第４図はホツトスタンプ施工
を完了した状態における被転写物の平面図、第５
図は被転写物の最終製品状態の平面図、第６図は
ホツトスタンプ施工の途中の状態における被転写
物の平面図である。 １……ホツトスタンプ箔のベースフイルム、２
……同離型層、３……同表示層、４……同接着剤
層、５……ロール式ホツトプレス機のホツトロー
ル、６……同支柱、７……同スライドテーブル、
８……同ドラム、９……同赤外線ヒータ、１０，
１１……計器板、１２，１３……角窓、１４，１
５……丸孔、１６，１７……扇形状部分、１８…
…アクリル樹脂系インキ、Ａ……ホツトスタンプ
箔、Ｂ……被転写物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベースフイルムの表面に離型層を介して表示
   層を形成してその上に熱溶融性の接着剤層を形成
   してホツトスタンプ箔を構成し、上記ホツトスタ
   ンプ箔の接着剤層側の面を被転写物の表面に当接
   せしめ、該ホツトスタンプ箔のベースフイルム側
   から被転写物に向けて加熱押圧するホツトスタン
   プ方法において、前記ホツトスタンプ箔の接着剤
   層を被転写物に対し熱接着性の無い材料で構成
   し、かつ、被転写物の面上の表示層を接着しよう
   とする区域のみに前記接着剤と相溶性の良いイン
   キの薄層を形成した後、被転写物にホツトスタン
   プ箔を重ねて加熱押圧を施すことにより、被転写
   物の面上の所望の区域に対して選択的に表示層を
   接着することを特徴とするホツトスタンプ方法。