JPH061837A - シクロヘキサン環を有するポリエステルカ−ボネ−ト樹脂 - Google Patents
シクロヘキサン環を有するポリエステルカ−ボネ−ト樹脂Info
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- JPH061837A JPH061837A JP18630692A JP18630692A JPH061837A JP H061837 A JPH061837 A JP H061837A JP 18630692 A JP18630692 A JP 18630692A JP 18630692 A JP18630692 A JP 18630692A JP H061837 A JPH061837 A JP H061837A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明の目的は、シクロヘキサン環を有し熱
成形性に優れた、新規なポリエステルカーボネート樹脂
を提供することである。 【構成】 式〔1〕、〔2〕、〔3〕で示される構造単
位、式〔1〕、〔3〕で示される構造単位、式〔2〕、
〔3〕で示される構造単位からなる3種類の様態があ
り、各構造単位の不規則な配列よりなる還元粘度が0.
10〜3.0(25℃、0.5/dlクロロホルム)の
シクロヘキサン環を有するポリエステルカーボネート樹
脂。 【化1】 【化2】 【化3】
成形性に優れた、新規なポリエステルカーボネート樹脂
を提供することである。 【構成】 式〔1〕、〔2〕、〔3〕で示される構造単
位、式〔1〕、〔3〕で示される構造単位、式〔2〕、
〔3〕で示される構造単位からなる3種類の様態があ
り、各構造単位の不規則な配列よりなる還元粘度が0.
10〜3.0(25℃、0.5/dlクロロホルム)の
シクロヘキサン環を有するポリエステルカーボネート樹
脂。 【化1】 【化2】 【化3】
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なポリエステルカー
ボネート樹脂に関する。
ボネート樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、主鎖中に炭酸エス
テル構造を持つポリマーであって、通常 2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノ
ールA)のような二価フェノールとホスゲンのような炭
酸誘導体との反応により製造され、対衝撃性に優れ、か
つ吸湿性が小さく熱に安定であるなどの特性を有する優
れたプラスチックである。近年、樹脂の用途開発にとも
ない、ポリプロピレンなどの他の公知の樹脂に混合して
樹脂の性質を改良することができるなどの新規な構造や
機能を有するポリカーボネート樹脂が研究されている。
例えば、特開平1−172424には、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、または4,4’−ビシクロヘキサン
ジオール炭酸誘導体と反応させて製造したポリカーボネ
ート樹脂が開示されており複屈折を改良したものであ
る。しかし、物性値などは明確でない。また、本出願人
は1,4−シクロヘキサンジオール、および/もしくは
4,4’−ビシクロヘキサンジオールを炭酸誘導体と反
応させて製造しシクロヘキサン環が全てトランス体のポ
リカーボネート樹脂を特開平3−273025で提案し
たが、融点が289℃以上、分解温度が307℃以下で
あり融点を持たないものもあるため熱成形は困難であっ
た。
テル構造を持つポリマーであって、通常 2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノ
ールA)のような二価フェノールとホスゲンのような炭
酸誘導体との反応により製造され、対衝撃性に優れ、か
つ吸湿性が小さく熱に安定であるなどの特性を有する優
れたプラスチックである。近年、樹脂の用途開発にとも
ない、ポリプロピレンなどの他の公知の樹脂に混合して
樹脂の性質を改良することができるなどの新規な構造や
機能を有するポリカーボネート樹脂が研究されている。
例えば、特開平1−172424には、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、または4,4’−ビシクロヘキサン
ジオール炭酸誘導体と反応させて製造したポリカーボネ
ート樹脂が開示されており複屈折を改良したものであ
る。しかし、物性値などは明確でない。また、本出願人
は1,4−シクロヘキサンジオール、および/もしくは
4,4’−ビシクロヘキサンジオールを炭酸誘導体と反
応させて製造しシクロヘキサン環が全てトランス体のポ
リカーボネート樹脂を特開平3−273025で提案し
たが、融点が289℃以上、分解温度が307℃以下で
あり融点を持たないものもあるため熱成形は困難であっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、構造単位にシクロヘキシレン基を有する
新規なポリエステルカーボネート樹脂を提供することで
ある。すなわち、熱成形性を有し、他の公知の樹脂、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタク
リレート、ABS、ポリアミド類、ポリアクリレート
類、ポリカーボネート類、ポリエチレンテレフタレート
の様なポリエステル類、またはポリフェニレンオキシド
類などと混合し、これら樹脂の機械的強度および熱成形
性の改良を図るとともに新しい性質を付加することがで
きるポリカーボネート樹脂およびその製造法を提供する
ことである。
問題点に鑑み、構造単位にシクロヘキシレン基を有する
新規なポリエステルカーボネート樹脂を提供することで
ある。すなわち、熱成形性を有し、他の公知の樹脂、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタク
リレート、ABS、ポリアミド類、ポリアクリレート
類、ポリカーボネート類、ポリエチレンテレフタレート
の様なポリエステル類、またはポリフェニレンオキシド
類などと混合し、これら樹脂の機械的強度および熱成形
性の改良を図るとともに新しい性質を付加することがで
きるポリカーボネート樹脂およびその製造法を提供する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特願平3
−89337にシクロヘキサノールのポリエステルカー
ボネート樹脂を提示したが、これは融点が204〜31
7℃、分解温度が284℃以上で少し熱成形性に劣る。
そこで、さらに検討を重ねた結果、より熱成形性に優れ
たポリエステルカーボネート樹脂を見いだし本発明に至
った。
−89337にシクロヘキサノールのポリエステルカー
ボネート樹脂を提示したが、これは融点が204〜31
7℃、分解温度が284℃以上で少し熱成形性に劣る。
そこで、さらに検討を重ねた結果、より熱成形性に優れ
たポリエステルカーボネート樹脂を見いだし本発明に至
った。
【0005】本発明のポリエステルカーボネート樹脂は
つぎの(1)〜(2)に示す様なものである。 (1). 式〔1〕
つぎの(1)〜(2)に示す様なものである。 (1). 式〔1〕
【化7】 で示される構造単位および式〔2〕
【化8】 で示される構造単位の一方もしくは両方と式〔3〕
【化9】 で示される構造単位の組み合わせからなり、各構造単位
の配列が不規則である還元粘度が0.1〜3.0(25
℃、0.5g/dlクロロホルム)のシクロヘキサン環
を有するポリエステルカーボネート樹脂。 (2). 式〔3〕で示される構造単位の割合が20〜
95モル%である(1)記載のシクロヘキサン環を有す
るポリエステルカーボネート樹脂。
の配列が不規則である還元粘度が0.1〜3.0(25
℃、0.5g/dlクロロホルム)のシクロヘキサン環
を有するポリエステルカーボネート樹脂。 (2). 式〔3〕で示される構造単位の割合が20〜
95モル%である(1)記載のシクロヘキサン環を有す
るポリエステルカーボネート樹脂。
【0006】本発明のポリエステルカーボネート樹脂は
3種類の様態があり、第1の様態として、式〔1〕、
〔2〕、〔3〕で示される構造単位の不規則な配列で構
成されているもの、第2の様態として式〔1〕、〔3〕
で示される構造単位の不規則な配列から構成されている
もの、そして、第3の様態として式〔2〕、〔3〕で示
される構造単位の不規則な配列から構成されているもの
がある。
3種類の様態があり、第1の様態として、式〔1〕、
〔2〕、〔3〕で示される構造単位の不規則な配列で構
成されているもの、第2の様態として式〔1〕、〔3〕
で示される構造単位の不規則な配列から構成されている
もの、そして、第3の様態として式〔2〕、〔3〕で示
される構造単位の不規則な配列から構成されているもの
がある。
【0007】本発明のポリエステルカーボネート樹脂
は、還元粘度0.10〜3.0(25℃、0.5 g /
dlクロロホルム)、融点163〜222℃、分解温度
302℃以上の物性値を有する。
は、還元粘度0.10〜3.0(25℃、0.5 g /
dlクロロホルム)、融点163〜222℃、分解温度
302℃以上の物性値を有する。
【0008】本発明のポリエステルカーボネート樹脂の
製造法を式〔1〕、〔2〕、〔3〕で示される構造単位
からなるポリエステルカーボネート樹脂で説明する。ま
ず、式〔6〕で示される4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸ビス〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘ
キシル)メチル〕を次式で示すように、4,4’−ビフ
ェニルジカルボン酸ジクロリドと過剰のトランス−1,
4−シクロヘキサンジメタノールをピリジンの存在下で
反応して製造した。
製造法を式〔1〕、〔2〕、〔3〕で示される構造単位
からなるポリエステルカーボネート樹脂で説明する。ま
ず、式〔6〕で示される4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸ビス〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘ
キシル)メチル〕を次式で示すように、4,4’−ビフ
ェニルジカルボン酸ジクロリドと過剰のトランス−1,
4−シクロヘキサンジメタノールをピリジンの存在下で
反応して製造した。
【化10】
【0009】続いてこれを溶媒の1,2−ジクロロエタ
ン中、酸受容体であるピリジンの存在下、式〔4〕で示
されるトランス,トランス−4,4’−ビシクロヘキサ
ンジオール、および式〔5〕で示されるトランス−1,
4−シクロヘキサンジオールとを混合し、式〔7〕
ン中、酸受容体であるピリジンの存在下、式〔4〕で示
されるトランス,トランス−4,4’−ビシクロヘキサ
ンジオール、および式〔5〕で示されるトランス−1,
4−シクロヘキサンジオールとを混合し、式〔7〕
【化11】 で示されるクロロギ酸トリクロロメチルと反応させるこ
とで製造した。(次式)
とで製造した。(次式)
【化12】
【0010】式〔1〕、〔3〕からなるポリエステルカ
ーボネート樹脂を製造するときは式〔5〕で示されるト
ランス−1,4−シクロヘキサンジオールを、式
〔2〕、〔3〕からなるポリエステルカーボネート樹脂
を製造するときは式〔4〕で示されるトランス,トラン
ス−4,4’−ビシクロヘキサンジオールを上記製造法
において使用しなければよい。
ーボネート樹脂を製造するときは式〔5〕で示されるト
ランス−1,4−シクロヘキサンジオールを、式
〔2〕、〔3〕からなるポリエステルカーボネート樹脂
を製造するときは式〔4〕で示されるトランス,トラン
ス−4,4’−ビシクロヘキサンジオールを上記製造法
において使用しなければよい。
【0011】以上の製造法ではクロロギ酸トリクロロメ
チルの代りにホスゲンを使用してもよい。反応温度は2
0〜100℃、反応時間は特に限定しないが、好ましく
は1〜5時間である。クロロギ酸トリクロロメチル、ホ
スゲンの使用量は、ジオール成分の合計と等モルまた
は、やや過剰である。また、金属酸化物等のエステル交
換触媒の存在下に、上記のジオールと炭酸ジアリールエ
ステルとを200〜300℃で4〜10時間反応させる
方法でも製造できる。これらの方法において分子量調整
剤をジオールに対し1〜10モル%必要により添加する
ことができる。分子量調整剤としては一価のフェノー
ル、例えばフェノール、p − ターシャリーブチルフェ
ノール、p − クミルフェノールなどをあげることがで
きる。また、溶媒としてジクロロメタン、クロロベンゼ
ンのようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン
などの芳香族炭化水素、この他にエーテル系のテトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等がある。また、ピリジン以外
の酸受容体として、具体的にはトリエチルアミン、1,
8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンな
どの3級アミン、水酸化ナトリウムのような無機塩基、
炭酸ジアリールエステルとしては炭酸ジフェニルなどを
あげることができる。
チルの代りにホスゲンを使用してもよい。反応温度は2
0〜100℃、反応時間は特に限定しないが、好ましく
は1〜5時間である。クロロギ酸トリクロロメチル、ホ
スゲンの使用量は、ジオール成分の合計と等モルまた
は、やや過剰である。また、金属酸化物等のエステル交
換触媒の存在下に、上記のジオールと炭酸ジアリールエ
ステルとを200〜300℃で4〜10時間反応させる
方法でも製造できる。これらの方法において分子量調整
剤をジオールに対し1〜10モル%必要により添加する
ことができる。分子量調整剤としては一価のフェノー
ル、例えばフェノール、p − ターシャリーブチルフェ
ノール、p − クミルフェノールなどをあげることがで
きる。また、溶媒としてジクロロメタン、クロロベンゼ
ンのようなハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン
などの芳香族炭化水素、この他にエーテル系のテトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等がある。また、ピリジン以外
の酸受容体として、具体的にはトリエチルアミン、1,
8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンな
どの3級アミン、水酸化ナトリウムのような無機塩基、
炭酸ジアリールエステルとしては炭酸ジフェニルなどを
あげることができる。
【0012】式〔3〕で示される構造単位のモル比は2
0〜95モル%であることが好ましくそれ以下の範囲で
はやや熱成形性に劣り95%以上ではシクロヘキサン環
の特徴が弱くなる。ポリエステルカーボネート分子中の
構造単位〔1〕、〔2〕、〔3〕のモル比は、ジオール
成分を変化させたときの収率が82〜94%であり大き
な変化はないので各ジオール成分の反応性に大差ないと
考えられ、各ジオール成分〔4〕、〔5〕、〔6〕のモ
ル比と、対応する各構造単位〔1〕、〔2〕、〔3〕の
モル比は一致していると考えられる。
0〜95モル%であることが好ましくそれ以下の範囲で
はやや熱成形性に劣り95%以上ではシクロヘキサン環
の特徴が弱くなる。ポリエステルカーボネート分子中の
構造単位〔1〕、〔2〕、〔3〕のモル比は、ジオール
成分を変化させたときの収率が82〜94%であり大き
な変化はないので各ジオール成分の反応性に大差ないと
考えられ、各ジオール成分〔4〕、〔5〕、〔6〕のモ
ル比と、対応する各構造単位〔1〕、〔2〕、〔3〕の
モル比は一致していると考えられる。
【0013】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定さ
れるものではない。
説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定さ
れるものではない。
【0014】
【実施例】実施例で得られたポリエステルカーボネート
樹脂の物性は以下の方法で測定した。 還元粘度:クロロホルムを溶媒として25℃、0.5
g/dlの濃度で測定した。 融点(Tm):偏光顕微鏡にホットステージ(メトラー
社製FP−82)を装着して毎分3℃の昇温温度で測定
した。 分解温度(Td):セイコー電子工業社製TG/DTA
−220型を用い毎分10℃の昇温温度で測定し、重量
減少5%の温度を測定した。 ガラス転移温度(Tg):セイコー電子工業社製DSC
−200型を用い毎分5℃の昇温温度で測定した。な
お、収率はジオール成分を基準として求めた理論収量で
ポリエステルカーボネート樹脂の収量を割ることにより
算出した。
樹脂の物性は以下の方法で測定した。 還元粘度:クロロホルムを溶媒として25℃、0.5
g/dlの濃度で測定した。 融点(Tm):偏光顕微鏡にホットステージ(メトラー
社製FP−82)を装着して毎分3℃の昇温温度で測定
した。 分解温度(Td):セイコー電子工業社製TG/DTA
−220型を用い毎分10℃の昇温温度で測定し、重量
減少5%の温度を測定した。 ガラス転移温度(Tg):セイコー電子工業社製DSC
−200型を用い毎分5℃の昇温温度で測定した。な
お、収率はジオール成分を基準として求めた理論収量で
ポリエステルカーボネート樹脂の収量を割ることにより
算出した。
【0015】実施例1 式〔1〕、〔2〕、〔3〕で示される構造単位からなる
ポリエステルカーボネートの製造: 1) 4,4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(トラ
ンス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチ
ル〕、式〔6〕の製造。 冷却器をつけた300mlのナスフラスコに4,4’−
ビフェニルジカルボン酸(23.3g、0.1mol)
と塩化チオニル120mlおよびピリジン1mlを入
れ、80℃で12時間反応させた。反応終了後、過剰の
塩化チオニルなどを減圧下留去して得られた粗結晶を、
n−ヘプタンで再結晶し4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸ジクロリドを18.1g得た。続いて冷却器、攪拌
機をつけた300mlの三ツ口フラスコにトランス−
1,4−シクロヘキサンジメタノール7.4g(0.0
5mol)、ピリジン6ml、テトラヒドロフラン(以
下、THFと略記する。)100mlを入れて加熱還流
下攪拌した。これに4,4’−ビフェニルジカルボン酸
ジクロリド4.8g(0.017mol)をTHF50
mlに溶かした溶液を60分で滴下して、加熱還流下5
時間反応を行った。反応終了後この反応液をろ過した、
次いでろ液を減圧濃縮し、得られた残査を1リットルの
酢酸エチルに溶かして3N塩酸で3回、1N水酸化ナト
リウムで3回、さらに水で洗浄した。得られた酢酸エチ
ル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤をろ別
し溶媒を減圧下留去して残った粗結晶をメタノールで再
結晶して4,4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(ト
ランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチ
ル〕3.1g(収率36.9%)を得た。融点は17
2.6〜174.3℃であった。この化合物の構造は、
IRとNMRで確認した。
ポリエステルカーボネートの製造: 1) 4,4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(トラ
ンス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチ
ル〕、式〔6〕の製造。 冷却器をつけた300mlのナスフラスコに4,4’−
ビフェニルジカルボン酸(23.3g、0.1mol)
と塩化チオニル120mlおよびピリジン1mlを入
れ、80℃で12時間反応させた。反応終了後、過剰の
塩化チオニルなどを減圧下留去して得られた粗結晶を、
n−ヘプタンで再結晶し4,4’−ビフェニルジカルボ
ン酸ジクロリドを18.1g得た。続いて冷却器、攪拌
機をつけた300mlの三ツ口フラスコにトランス−
1,4−シクロヘキサンジメタノール7.4g(0.0
5mol)、ピリジン6ml、テトラヒドロフラン(以
下、THFと略記する。)100mlを入れて加熱還流
下攪拌した。これに4,4’−ビフェニルジカルボン酸
ジクロリド4.8g(0.017mol)をTHF50
mlに溶かした溶液を60分で滴下して、加熱還流下5
時間反応を行った。反応終了後この反応液をろ過した、
次いでろ液を減圧濃縮し、得られた残査を1リットルの
酢酸エチルに溶かして3N塩酸で3回、1N水酸化ナト
リウムで3回、さらに水で洗浄した。得られた酢酸エチ
ル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤をろ別
し溶媒を減圧下留去して残った粗結晶をメタノールで再
結晶して4,4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(ト
ランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチ
ル〕3.1g(収率36.9%)を得た。融点は17
2.6〜174.3℃であった。この化合物の構造は、
IRとNMRで確認した。
【0016】2) 重縮合反応。 冷却器を付けた100 mlの三ツ口フラスコに4,
4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(トランス−4−
ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕1.19g
(2.40mmol)、トランス,トランス−4,4’
−ビシクロヘキサンジオール0.06g(0.30mm
ol)、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール
0.03g(0.30mmol)、ピリジン1mlおよ
び1,2−ジクロロエタン(以下、DCEと称する)5
mlを入れて攪拌した。次いで、この液をマントルヒー
ターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメ
チル0.33g(1.7mmol)をDCE2mlに溶
かした溶液を20分間で滴下し、加熱還流下3時間反応
を行った。得られた反応液を放冷した後メタノール30
0mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物
を熱メタノール中で洗浄し、次いで乾燥して1.25g
(収率92.2%)のポリエステルカーボネート樹脂が
得られた。このポリエステルカーボネートの構造は、I
Rスペクトルで確認した。このポリエステルカーボネー
トは、還元粘度0.48(25℃、0.5g/dlクロ
ロホルム)、分解温度329.1℃、融点202.3〜
212.9℃、ガラス転移温度133.9℃であった。
また、このポリエステルカーボネート樹脂のクロロホル
ム溶液をガラス板上にキャストし乾燥したところ透明な
ポリエステルカーボネート樹脂のフィルムが得られた。
また、ガラスプレートに該樹脂をのせ、220℃に熱
し、溶融した後に冷却しても良好なフィルムが得られ
た。
4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(トランス−4−
ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕1.19g
(2.40mmol)、トランス,トランス−4,4’
−ビシクロヘキサンジオール0.06g(0.30mm
ol)、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール
0.03g(0.30mmol)、ピリジン1mlおよ
び1,2−ジクロロエタン(以下、DCEと称する)5
mlを入れて攪拌した。次いで、この液をマントルヒー
ターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメ
チル0.33g(1.7mmol)をDCE2mlに溶
かした溶液を20分間で滴下し、加熱還流下3時間反応
を行った。得られた反応液を放冷した後メタノール30
0mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物
を熱メタノール中で洗浄し、次いで乾燥して1.25g
(収率92.2%)のポリエステルカーボネート樹脂が
得られた。このポリエステルカーボネートの構造は、I
Rスペクトルで確認した。このポリエステルカーボネー
トは、還元粘度0.48(25℃、0.5g/dlクロ
ロホルム)、分解温度329.1℃、融点202.3〜
212.9℃、ガラス転移温度133.9℃であった。
また、このポリエステルカーボネート樹脂のクロロホル
ム溶液をガラス板上にキャストし乾燥したところ透明な
ポリエステルカーボネート樹脂のフィルムが得られた。
また、ガラスプレートに該樹脂をのせ、220℃に熱
し、溶融した後に冷却しても良好なフィルムが得られ
た。
【0017】実施例2〜3 4,4’−ビフェニルジカルボン酸ビス〔(トランス−
4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕、トラ
ンス,トランス−4,4’−ビシクロヘキサンジオー
ル、およびトランス−1,4−シクロヘキサンジオール
の成分比を変える以外は、実施例1に準拠して行った。
なおジオール成分の合計量は3mmolとする。その成
分比と得られたポリエステルカーボネートの物性値を表
1に示す。
4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル〕、トラ
ンス,トランス−4,4’−ビシクロヘキサンジオー
ル、およびトランス−1,4−シクロヘキサンジオール
の成分比を変える以外は、実施例1に準拠して行った。
なおジオール成分の合計量は3mmolとする。その成
分比と得られたポリエステルカーボネートの物性値を表
1に示す。
【0018】実施例4 式〔1〕、〔3〕で示される構造単位からなるポリエス
テルカーボネートの製造:冷却器を付けた100 ml
の三ツ口フラスコに4,4’−ビフェニルジカルボン酸
ビス〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシ
ル)メチル〕0.74g(1.50mmol)、トラン
ス,トランス−4,4’−ビシクロヘキサンジオール
0.30g(1.50mmol)、ピリジン1mlおよ
び1,2−ジクロロエタン(以下、DCEと称する)5
mlを入れて攪拌した。ついで、この液をマントルヒー
ターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメ
チル0.33g(1.7mmol)をDCE2mlに溶
かした溶液を20分間で滴下し、加熱還流下3時間反応
を行った。得られた反応液を放冷した後メタノール30
0mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物
を熱メタノール中で洗浄し、ついで乾燥して0.99g
(収率88.6%)のポリエステルカーボネートが得ら
れた。このポリエステルカーボネート樹脂の構造は、I
Rスペクトルで確認した。このポリエステルカーボネー
トは、還元粘度0.47(25℃、0.5 g /dlク
ロロホルム)、分解温度311.2℃、融点191.4
〜221.9℃、ガラス転移温度140.2℃であっ
た。
テルカーボネートの製造:冷却器を付けた100 ml
の三ツ口フラスコに4,4’−ビフェニルジカルボン酸
ビス〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシ
ル)メチル〕0.74g(1.50mmol)、トラン
ス,トランス−4,4’−ビシクロヘキサンジオール
0.30g(1.50mmol)、ピリジン1mlおよ
び1,2−ジクロロエタン(以下、DCEと称する)5
mlを入れて攪拌した。ついで、この液をマントルヒー
ターで90℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメ
チル0.33g(1.7mmol)をDCE2mlに溶
かした溶液を20分間で滴下し、加熱還流下3時間反応
を行った。得られた反応液を放冷した後メタノール30
0mlに注ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物
を熱メタノール中で洗浄し、ついで乾燥して0.99g
(収率88.6%)のポリエステルカーボネートが得ら
れた。このポリエステルカーボネート樹脂の構造は、I
Rスペクトルで確認した。このポリエステルカーボネー
トは、還元粘度0.47(25℃、0.5 g /dlク
ロロホルム)、分解温度311.2℃、融点191.4
〜221.9℃、ガラス転移温度140.2℃であっ
た。
【0019】実施例5 式〔2〕、〔3〕で示される構造単位からなるポリエス
テルカーボネートの製造:冷却器を付けた100 ml
の三ツ口フラスコに4,4’−ビフェニルジカルボン酸
ビス〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシ
ル)メチル〕0.74 g(1.50mmol)、トラ
ンス−1,4−シクロヘキサンジオール 0.17g
(1.50mmol)、ピリジン1mlおよび1,2−
ジクロロエタン(以下、DCEと称する)5mlを入れ
て攪拌した。ついで、この液をマントルヒーターで90
℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメチル0.3
3g(1.7mmol)をDCE2mlに溶かした溶液
を20分間で滴下し、加熱還流下3時間反応を行った。
得られた反応液を放冷した後メタノール300mlに注
ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物を熱メタノ
ール中で洗浄し、次いで乾燥して0.94g(収率9
4.4%)のポリエステルカーボネートが得られた。こ
のポリエステルカーボネート樹脂の構造は、IRスペク
トルで確認した。このポリエステルカーボネートは、還
元粘度0.53(25℃、0.5g /dlクロロホル
ム)、分解温度304.1℃、融点190.7〜21
5.9℃、ガラス転移温度133.2℃であった。ま
た、このポリエステルカーボネート樹脂のクロロホルム
溶液をガラス板上にキャストし乾燥したところ透明なポ
リエステルカーボネートのフィルムが得られた。また、
ガラスプレートに該樹脂をのせ220℃に熱し、溶融し
た後に冷却しても良好なフィルムが得られた。
テルカーボネートの製造:冷却器を付けた100 ml
の三ツ口フラスコに4,4’−ビフェニルジカルボン酸
ビス〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシ
ル)メチル〕0.74 g(1.50mmol)、トラ
ンス−1,4−シクロヘキサンジオール 0.17g
(1.50mmol)、ピリジン1mlおよび1,2−
ジクロロエタン(以下、DCEと称する)5mlを入れ
て攪拌した。ついで、この液をマントルヒーターで90
℃に保ち、還流下にクロロギ酸トリクロロメチル0.3
3g(1.7mmol)をDCE2mlに溶かした溶液
を20分間で滴下し、加熱還流下3時間反応を行った。
得られた反応液を放冷した後メタノール300mlに注
ぎ、析出した沈澱物をろ過した。このろ過物を熱メタノ
ール中で洗浄し、次いで乾燥して0.94g(収率9
4.4%)のポリエステルカーボネートが得られた。こ
のポリエステルカーボネート樹脂の構造は、IRスペク
トルで確認した。このポリエステルカーボネートは、還
元粘度0.53(25℃、0.5g /dlクロロホル
ム)、分解温度304.1℃、融点190.7〜21
5.9℃、ガラス転移温度133.2℃であった。ま
た、このポリエステルカーボネート樹脂のクロロホルム
溶液をガラス板上にキャストし乾燥したところ透明なポ
リエステルカーボネートのフィルムが得られた。また、
ガラスプレートに該樹脂をのせ220℃に熱し、溶融し
た後に冷却しても良好なフィルムが得られた。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明により新規なポリエステルカーボ
ネート樹脂を提供することができた。本発明のポリエス
テルカーボネート樹脂は融点が163〜222℃、分解
点が302℃以上であり熱成形性に優れている。また、
透明性の良い膜を作ることもできる。このように、本発
明のポリエステルカーボネート樹脂はそれ自体で有用な
ものであるが、他の公知の樹脂、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ABS、
ポリアミド類、ポリアクリレート類、ポリカーボネート
類、ポリエチレンテレフタレートの様なポリエステル類
またはポリフェニレンオキシド類などと混合し、これら
樹脂の機械的強度および熱成形性の改良を図るとともに
新しい性質を付加することも可能である。
ネート樹脂を提供することができた。本発明のポリエス
テルカーボネート樹脂は融点が163〜222℃、分解
点が302℃以上であり熱成形性に優れている。また、
透明性の良い膜を作ることもできる。このように、本発
明のポリエステルカーボネート樹脂はそれ自体で有用な
ものであるが、他の公知の樹脂、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ABS、
ポリアミド類、ポリアクリレート類、ポリカーボネート
類、ポリエチレンテレフタレートの様なポリエステル類
またはポリフェニレンオキシド類などと混合し、これら
樹脂の機械的強度および熱成形性の改良を図るとともに
新しい性質を付加することも可能である。
Claims (3)
- 【請求項1】 式〔1〕 【化1】 で示される構造単位および式〔2〕 【化2】 で示される構造単位の一方もしくは両方と式〔3〕 【化3】 で示される構造単位の組み合わせからなり、該構造単位
の配列が不規則である還元粘度が0.1〜3.0(25
℃、0.5g/dlクロロホルム)のシクロヘキサン環
を有するポリエステルカーボネート樹脂。 - 【請求項2】 式〔3〕で示される構造単位の割合が2
0〜95モル%である請求項1記載のシクロヘキサン環
を有するポリエステルカーボネート樹脂。 - 【請求項3】 式〔4〕 【化4】 で示されるトランス,トランス−4,4’−ビシクロヘ
キサンジオールおよび式〔5〕 【化5】 で示されるトランス−1,4−シクロヘキサンジオール
の一方もしくは両方と式〔6〕 【化6】 で示される4,4’−ビフェニルジカルボン酸ビス
〔(トランス−4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)
メチル〕と組み合わせてなるジオール成分をクロロギ酸
トリクロロメチル、ホスゲンもしくは炭酸ジアリールエ
ステルと反応させることを特徴とする還元粘度が0.1
〜3.0(25℃、0.5g/dlクロロホルム)であ
るシクロヘキサン環を有するポリエステルカーボネート
樹脂の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18630692A JPH061837A (ja) | 1992-06-19 | 1992-06-19 | シクロヘキサン環を有するポリエステルカ−ボネ−ト樹脂 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18630692A JPH061837A (ja) | 1992-06-19 | 1992-06-19 | シクロヘキサン環を有するポリエステルカ−ボネ−ト樹脂 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH061837A true JPH061837A (ja) | 1994-01-11 |
Family
ID=16186023
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18630692A Pending JPH061837A (ja) | 1992-06-19 | 1992-06-19 | シクロヘキサン環を有するポリエステルカ−ボネ−ト樹脂 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH061837A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012091218A1 (ko) * | 2010-12-29 | 2012-07-05 | 서울대학교산학협력단 | 유연성과 탄성이 우수한 자가 복원 가능 폴리에스터수지 및 그의 제조방법 |
-
1992
- 1992-06-19 JP JP18630692A patent/JPH061837A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012091218A1 (ko) * | 2010-12-29 | 2012-07-05 | 서울대학교산학협력단 | 유연성과 탄성이 우수한 자가 복원 가능 폴리에스터수지 및 그의 제조방법 |
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