JPH0617231B2 - 針状導電性酸化チタン及びその製造方法 - Google Patents

針状導電性酸化チタン及びその製造方法

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JPH0617231B2
JPH0617231B2 JP62281515A JP28151587A JPH0617231B2 JP H0617231 B2 JPH0617231 B2 JP H0617231B2 JP 62281515 A JP62281515 A JP 62281515A JP 28151587 A JP28151587 A JP 28151587A JP H0617231 B2 JPH0617231 B2 JP H0617231B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、その表面に酸化錫及び酸化アンチモンから成
る導電層を有する針状導電性酸化チタン及びその製造方
法に関する。針状導電性酸化チタンは、プラスチック
ス、ゴム、繊維などの導電性付与剤或は帯電防止剤とし
て、更には電子写真複写紙、静電記録紙などの記録材料
の支持体用導電性付与剤として有用なものである。
〔従来の技術〕
導電性付与剤としては、アンチモンを固溶した酸化錫粉
末、二酸化チタン粉末の表面に酸化錫或は酸化錫と酸化
アンチモンから成る導電層を被覆した導電性粉末などが
知られており、最近では表面が酸化第2スズで覆われた
繊維状チタン酸カリウムを主成分とする白色導電性物質
が特公昭61−26933号で提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
導電性付与剤は、その形状が球状であるより針状(繊維
状も含む)或は棒状である方が、またそれ自身の粉体抵
抗値が小さい程すなわち導電性が高い程樹脂、ゴムなど
の媒体への配合割合を小さくしても所望の導電性の樹脂
製品、ゴム製品が得られる。これまで市販されているア
ンチモン固溶酸化錫粉末、二酸化チタンの表面に酸化錫
及び酸化アンチモンから成る導電層を有する導電性粉末
などは、それ自体の粉体抵抗は1〜10Ωcmと、非常に
優れた導電性を示すものであるが、球状粉末であるため
に、このものを樹脂、ゴムなどの媒体に配合して所定の
導電性を付与するためには、媒体に対して50%以上の
量の粉末を配合する必要がある。このために導電性樹
脂、導電性ゴムなどの製品の強度低下を来たし、また経
済的でないといった問題をかかえている。
このような問題を解決するために、例えば繊維状チタン
酸カリウムの表面に酸化錫の導電層を被覆した白色導電
性物質が最近提案されている。このものは形状の点では
問題ないものの、粉体抵抗値が高く、かつ強度の点でも
満足できないものであり、導電層を酸化錫と酸化アンチ
モンの組成に変えても含まれるカリウム成分の影響で粉
体抵抗値が、せいぜい50〜100Ωcm程度のものしか
得られないという問題がある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、針状導電性物質の導電性付与剤としての
優秀性に着目して針状酸化チタンを基体物質とし、その
表面に導電層を被覆することを検討した。その結果、
(イ)従来法で得られる既知の針状酸化チタンは、その
製造原料に由来するアルカリ金属、アルカリ土類金属、
リン化合物などの不純物を必然的に含有しており、これ
らは、水浸出などの手段では除去されないこと、(ロ)
これらの不純物が特定量以上残存しているものに導電層
を被覆しようとしても酸化チタン表面への被覆層の形成
が困難であったり、また導電層を形成できても良好な導
電性が得られないこと及び、(ハ)これらの不純物は酸
処理及びまたはアルアリ処理で除去可能なことなどの知
見を得て本発明を完成したものである。
すなわち、本願の第1の発明は、不純物含有量3重量%
以下の高品位酸化チタンの表面に酸化錫及び酸化アンチ
モンから成る導電層を有することを特徴とする針状導電
性酸化チタンであり、第2の発明は、針状酸化チタンを
酸及び又はアルカリで処理して不純物含有量が3重量%
以下の高品位酸化チタンとした後、その表面に酸化錫及
び酸化アンチモンの水和物から成る被覆層を形成させ、
分別、焼成することを特徴とする針状導電性酸化チタン
を製造する方法である。
本発明において、針状酸化チタンとは針状のものの他繊
維状、柱状、棒状、その他類似形状のものも包含する。
本発明の針状導電性酸化チタンは、長さ1〜10μm、
長さ対直径の比(軸比)が3以上好ましくは10以上の
高品位酸化チタンを基体物質とし、その表面に酸化錫及
び酸化アンチモンから成る導電層を有するものである。
基体物質である針状酸化チタンは、無水物換算で不純物
含有量が3重量%以下の、すなわちTiO2純度97%以上
望ましくは98%以上の高品位のものであり、特に不純
物としてのリン化合物含有量がP2O5換算量で1重量%以
下望ましくは0.5重量%以下であり、かつナトリウム、
カリウム、亜鉛、アルミニウムなどの原子価3以下の金
属の化合物の含有量が酸化物換算量で0.2重量%以下望
ましくは0.1重量%以下であることが重要である。リン
化合物含有量が前記範囲より多すぎると、基体物質表面
の導電層は不連続な被膜となり好ましくない。また原子
価3以下の金属の化合物含有量が前記範囲より多すぎる
と、連続した均一な導電層の被膜が形成されるものの、
所望の導電性の針状導電性酸化チタンが得られ難くな
る。基体物質表面に形成される導電層は、酸化錫の中に
アンチモンが固溶した構造をとり、実質的には酸化錫と
酸化アンチモンから成る。導電層中の酸化錫の量は、基
体物質に対しSnO2として1〜50重量%望ましくは5〜
30重量%である。この範囲より少なすぎると連続した
導電層の形成が困難となり、所望の導電性が得られな
い。また、多すぎても量の増加に応じた導電性向上が期
待できないので経済的でない。導電層中の酸化アンチモ
ンの量は、酸化錫(SnO2)に対し、Sb2O3として5〜30
重量%望ましくは10〜25重量%である。この範囲よ
り少なすぎると所望の導電性が得られ難くなり、また多
すぎても導電性が低下したり、酸化アンチモンによる着
色が強くなったりするので望ましくない。
本発明の針状導電性酸化チタンは、従来の球状の導電性
粉末に比べて、樹脂バインダーに対しより少ない配合量
で高い導電性が得られるので、経済的に有利なものであ
る。また、このように少ない配合量でよいことから、バ
インダーの強度低下を起こすことなく、所望の導電性プ
ラスチック、導電性塗料とすることができる。更に、高
濃度の導電性塗料としたときは、薄い塗膜にしても所望
の導電性が得られる。特に、本発明の導電性酸化チタン
は、その表面に酸化錫と酸化アンチモンから成る導電層
を有する繊維状チタン酸カリウムに比べて強度が高いの
で、樹脂媒体に配合、分散させる際の負荷によっても折
れ難い。従って、本来の針状性を保持し、導電層の剥離
が発生しないので導電性低下の少ない安定した導電性を
もつプラスチック、塗料、繊維などが得られる。尚、針
状導電性酸化チタンの配合量は、顔料濃度で表して5〜
70重量%、望ましくは20〜70重量%(樹脂100
重量部に対して該針状導電性酸化チタンの配合量は25
〜233重量部である)が適当である。前記の樹脂とし
ては、その目的、用途などに応じて選択され、特に限定
されるものでなく種々の公知のものを使用し得るが、プ
ラスチック組成物用としては、例えば、ポリアミド、ポ
リアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、変成ポリフェ
ニレンオキサイド、変成ポリフェニレンエーテルなどの
汎用エンジニアリング・プラスチックス、ポリエーテル
サルフォン、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、
ポリアミドビスマレイミド、ポリエーテルイミド、ポリ
イミド、フッ素樹脂などの特殊エンジニアリング・プラ
スチックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、AS樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性汎用樹脂、
エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹
脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂
を挙げることができ、また、塗料組成物用としては、例
えばアルキッド系、アクリル系、ビニル系、エポキシ
系、ウレタン系、ポリエステル系等の油性系樹脂、アク
リル系エマルジョン酢酸ビニル系エマルジョン等のエマ
ルジョン系樹脂、水溶性アルキド系、水溶性アクリル系
等の水溶性系樹脂などを挙げることができる。
このように、本発明の導電性酸化チタンは、針状であ
り、しかもその強度にも優れているために、樹脂媒体に
適量配合して導電性を付与するだけでなく、成型物、塗
膜などの強度をも向上させ得ることから導電性の強化プ
ラスチック、導電性繊維、導電性塗料としたり、更に該
塗料を紙などの絶縁性基体に塗布することにより、該基
体上に軽くて密着性に優れた導電性塗膜を形成させて静
電記録紙、電子写真複写紙、静電防止塗膜などとするこ
とができる。
本発明の針状導電性酸化チタンの製造方法においては、
まず長さ1〜10μm、軸比3以上好ましくは10以上
の針状酸化チタンを酸及びまたはアルカリで処理して、
不純物含有量を3重量%以下とする。特に、リン化合物
含有量をP2O5として1重量%以下望ましくは0.5重量%
以下に、原子価3以下の金属の化合物含有量を酸化物と
して0.2重量%以下望ましくは0.1重量%以下に調整す
る。針状酸化チタンは、例えば特公昭47−44974
号に記載されているように、ルチルTiO2と塩化ナトリウ
ムのようなアルカリ金属塩及びオキシ−リン化合物とを
混合し、次に725〜1000℃で焼成して得られた
り、また特公昭45−18370号に記載されているよ
うにTiO2源、亜鉛化合物、アルカリ金属化合物及び燐酸
化合物を混合して焼成して得られる。このようにして得
られる針状酸化チタンは普通、焼成の後水浸出などの手
段で可溶性塩が除去されるが、完全な除去は困難であ
り、例えば特公昭47−44974号の方法で得られる
針状酸化チタンの場合、アルカリ金属を酸化物として3
〜4重量%、リン化合物をP2O5として4〜6重量%含有
しているのが普通である。本発明においては、このよう
な不純物含有の針状酸化チタンを酸及びまたはアルカリ
で処理してリン化合物及び原子価3以下の金属の化合物
を上記範囲の量にまで除去してTiO2純度を97%以上に
する。なお、針状酸化チタンが長いものと短いものの混
合物として得られる場合は、分級処理などを施して長い
ものを選別して使用するのが望ましい。使用する酸とし
ては、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸などの無機酸が適当であ
り、普通これらの酸の1〜50%水溶液を用いる。アル
カリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
10〜50%水溶液を用いる。酸処理或はアルカリ処理
は、針状酸化チタンを前記酸溶液或はアルカリ溶液に投
入し、1〜3時間攪拌すればよく、必要に応じて50〜
90℃に加熱しながら攪拌してもよい。酸或はアルカリ
のそれぞれ単独処理で所望の品位の酸化チタンが得られ
るが、望ましくは酸処理とアルカリ処理とを組み合せる
方が高品位の酸化チタンが得られ易い。
本発明においては、次に、以上のように処理して得られ
た高品位の針状酸化チタンを水性懸濁液とし、この中に
塩化錫及び塩化アンチモン溶液を加えて塩化錫及び塩化
アンチモンを分解させて該酸化チタンの表面に酸化錫と
酸化アンチモンの水和物から成る被覆層を形成させる。
塩化錫及び塩化アンチモンの塩酸水溶液を用いる場合
は、添加後アルカリ水溶液を加えて中和することによ
り、酸化錫と酸化アンチモンの水和物から成る被覆層が
形成されるが、望ましくは該懸濁液のpHを2〜6に保持
するように、該塩酸水溶液と同時にアルカリ水溶液を加
えて中和し、分解して酸化錫と酸化アンチモンの水和物
からなる被覆層を形成させる。塩化錫及び塩化アンチモ
ンのアルコール溶液或はアセトン溶液を用いる場合は、
該懸濁液を予め40℃以上望ましくは70〜90℃に加
熱しておき、この中に該アルコール溶液或はアセトン溶
液を加えて加熱加水分解させることにより酸化錫と酸化
アンチモンの水和物から成る被覆層を形成させる。該懸
濁液中の針状酸化チタンの濃度は50〜300g/望
ましくは100〜200g/が適当である。塩化錫及
び塩化アンチモン溶液中の塩化錫の濃度は、針状酸化チ
タンに対し酸化錫をSnO2として1〜50重量%望ましく
は5〜30重量%の割合で被覆するのに必要な量であ
り、塩化アンチモンの濃度は、SnO2に対し酸化アンチモ
ンをSb2O3として5〜30重量%望ましくは10〜25
重量%の割合で被覆するのに必要な量である。中和剤と
して使用するアルカリ水溶液のアルカリとしては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩やアン
モニアなどを使用すればよい。
酸化錫及び酸化アンチモンの水和物で被覆された針状酸
化チタンを分別、洗浄した後必要に応じて乾燥し、その
後400〜800℃望ましくは500〜700℃の温度
で焼成して酸化錫及び酸化アンチモンの水和物を酸化錫
及び酸化アンチモンからなる導電層とした後、通常の粉
砕処理を施して針状導電性酸化チタンとする。焼成時間
は焼成温度によって異なるが、普通30分〜10時間望
ましくは1〜3時間が適当である。
〔実施例〕
(針状酸化チタンの製造) 特公昭47−44974号明細書に記載の方法に従って
針状酸化チタンを製造した。すなわち微粒子含水二酸化
チタンをTiO2として4重量部、塩化ナトリウム4重量部
及びリン酸水素ナトリウム(Na2HPO4・2H2O)1.重量部を均
一に混合してルツボに入れ、電気炉にて825℃で3時
間焼成した。その後焼成物を水中に投入して1時間煮沸
した後濾過、洗浄して可溶性塩類を除去した。このよう
にして得られた針状酸化チタンは長さ3〜5μm、直径
0.05〜0.07μmのものであり、このものの成分を分析し
た結果不純物としてナトリウム分をNa2Oとして3.8重量
%、リン分をP2O5として4.4重量%含み、TiO2純度は91.
0重量%であった。
なお、微粒子含水二酸化チタンは、TiO2として200g
/の濃度の四塩化チタン水溶液を30℃に保持しなが
ら水酸化ナトリウム水溶液で中和してコロイド状の非晶
質水酸化チタンを析出させ、このコロイド状水酸化チタ
ンを70℃で5時間熟成しその後120℃で乾燥して得
られたルチル形の微少チタニアである。
(棒状酸化チタンの製造) 特公昭45−18370号明細書に記載の方法に従って
棒状酸化チタンを製造した。すなわち微粒子含水二酸化
チタンに対し、その含有チタン分のTiO2換算量基準で亜
鉛化合物、アルカリ金属化合物及び燐酸化合物を夫々Zn
Oとして1.2重量%、K2Oとして0.55重量%及びP2O5とし
て0.5重量%添加したのち、このものを900℃で1時
間焼成した。その後焼成物を水中に投入して1時間煮沸
した後濾過、洗浄して可溶性塩類を除去した。このよう
にして得られた棒状酸化チタンは長さ2〜3μm、直径
0.2〜0.3μmのものであり、このものの成分を分析した
結果不純物として亜鉛分をZnOとして1.1重量%、カリウ
ム分をK2Oとして0.35重量%、リン分をP2O5として0.45
重量%含み、TiO2純度は95.7重量%であった。
なお、微粒子含水二酸化チタンは次のように製造したも
のである。すなわち、硫酸チタン溶液を通常の方法で加
水分解し、得られた二酸化チタン水和物を濾過し、これ
を水で洗浄したものに濃アンモニア水を添加して含有硫
酸分を中和してpHを7とした。この水和物を濾過し、水
で洗浄して水和物中のH2SO4含有量を0.5重量%以下とし
た。次いで前記の脱硫酸水和物に濃塩酸を添加してpHを
2に調整して解膠させて微小チタニアゾルを得た。
実施例1 前記の方法で得られた針状酸化チタンを次のようにアル
カリ処理をした。
(アルカリ処理) 針状酸化チタンを水中に投入して水懸濁液とし、この中
に水酸化ナトリウム水溶液(200g/)を添加して
系のpHを13.0に調整した。その後90℃に加熱して2時
間攪拌し、次に塩酸水溶液(100g/)を添加して
系のpHを7.0に調整した後濾過し、濾液の比抵抗が50
μSになるまで洗浄した。引続き次のような酸処理をし
た。
(酸処理) 得られた濾過ケーキを再び水中に投入して水懸濁液とし
た後塩酸水溶液(100g/)を添加して系のpHを1.
0に調整し、90℃に加熱して2時間攪拌後濾過し、濾
液の比抵抗が50μSになるまで洗浄した。
以上のようにして処理された針状酸化チタンの成分を分
析した結果ナトリウム分はNa2Oとして0.01重量%、リン
分はP2O5として0.29重量%であり、TiO2純度は98.5重量
%であった。
次に、上記の高品位の針状酸化チタンを水に投入して濃
度100g/の懸濁液とし、70℃に加熱した後この
中に塩化スズ(SnCl4・5H2O)46.5g及び塩化アンチモン(S
bCl3)6.7gを6N−塩酸水溶液300mlに溶解した溶液
と10%の水酸化ナトリウム水溶液とを該懸濁液のpHを
2〜3に維持するように60分間にわたって並行添加し
て針状酸化チタンの表面に酸化錫及び酸化アンチモンの
水和物から成る被覆層を形成させた。その後濾過し、濾
液の比抵抗が50μSになるまで洗浄した後120℃で
一昼夜乾燥して電気炉にて600℃で1時間焼成してSn
O2として16重量%、Sb2O3として3.5重量%から成る導電
層で被覆された針状導電性酸化チタンを得た。
比較例 実施例1において、アルカリ処理及び酸処理をしないこ
と以外は同様に処理した。得られた針状の導電性酸化チ
タンを電子顕微鏡写真で観察したところ基体物質の針状
酸化チタンのまわりに遊離物が多数認められ、連続した
被膜が得られていなかった。
試験例1 前記実施例1及び比較例で得られた針状導電性酸化チタ
ン更に参考例Aとしての酸化錫及び酸化アンチモンから
成る導電層で被覆されたチタン酸カリウム繊維市販品
(大塚化学製WK−100S)並びに参考例Bとしての
酸化錫及び酸化アンチモンから成る導電層で被覆された
球状酸化チタン粉末市販品(三菱金属製W−1)につい
てその粉体抵抗(Ωcm)を次の方法で測定し、第1表の
結果を得た。
(粉体抵抗の測定) 試料粉末を100kg/cm2の圧力で成型して円柱状圧粉
体(直径18mm、厚さ3mm)とし、その直流抵抗を測定
し下記の式から粉体抵抗を算出した。
試験例2 実施例1、比較例及び参考例の各種の導電性物質を次記
組成の塩化ビニル樹脂組成物に対し第2表に記載の割合
で配合した後2本ロールを用い160℃で7分間混練し
た。その後ロールからシートを取り出し、これを100
kg/cm2の圧力をかけて縦10cm、横10cm、厚さ0.1cm
のシートに成形した。デジタルオームメーター(R−5
06型、川口電気製作所製)でこのシートの電気抵抗を
測定し、下記の式から体積抵抗率及び表面抵抗率を算出
して第2表及び第3表の結果を得た。
(樹脂組成物の組成) 塩化ビニル樹脂(ゼオンEP103、日本ゼオン社製)
3000g 可塑剤(D.O.P.) 90g 安定剤(ラウレート系有機錫、KS-20、共同薬品社製)3
0g 安定剤(マレエート系有機錫、M-101D、東京ファインケ
ミカル社製) 90g ステアリン酸カドミウム 15g 試験例3 実施例1及び参考例Bの導電性物質の各12gをヘキサ
メタリン酸ナトリウムを0.5重量%含有する脱イオン水
12g及びガラスビーズ26gと混合した後ペイントシ
ェーカー(Red devil社 #5110)に入れて30分
間振とうしてそれぞれのミルベースを調製した。
次に、各ミルベースにそれぞれの顔料濃度が第4表のも
のになるようにポリビニルアルコール(10重量%水溶
液)を所定量加え、攪拌、混合して塗料を調製した。こ
の塗料をアート紙(10cm×10cm)に乾燥膜厚が6μ
mとなるように塗布し、1時間放置後80℃で1時間乾
燥して試験紙を作成した。試験例2と同様の方法でこの
試験紙の電気抵抗を測定し、同様に表面抵抗率を算出し
て第4表の結果を得た。
試験例4 実施例1及び参考例Bの導電性物質の各20gをアクリ
ル樹脂(アクリディックA−165−45、固形分45
重量%、大日本インキ化学工業製)30.6g、トルエン−
ブタノール混合溶液(混合重量比1:1)16.4g及びガ
ラスビーズ50gと混合した後ペイントシェーカー(Re
d devil社、#5110)に入れて30分間振とうして
それぞれのミルベースを調製した。
次に、各ミルベースにそれぞれの顔料濃度が第5表のも
のになるように上記アクリル樹脂及び上記トルエン−ブ
タノール混合溶液をそれぞれ所定量加え、攪拌、混合し
て塗料を調製した。この塗料をアート紙に乾燥膜厚が2
0μmとなるように塗布し、40時間自然乾燥して試験
紙を作成した。試験例2と同様の方法で電気抵抗を測定
し、同様に表面抵抗率を算出して第5表の結果を得た。
試験例5 実施例1及び参考例Bの導電性物質の各57.6gをオイル
フリーアルキド樹脂(ベッコライト46−118、固形
分60重量%、大日本インキ化学工業製)24g、ソル
ベッソ#100(芳香族系溶剤)とセロソルブアセテー
トの混合溶液(混合重量比2:1)24g及びガラスビ
ーズ100gと混合した後ペイントシェーカーに入れて
20分間振とうしてそれぞれのミルベースを調製した。
次に、各ミルベースにそれぞれの顔料濃度が第6表のも
のになるようにオイルフリーアルキド樹脂(スーパーベ
ッカミンJ−820、固形分60重量%、大日本インキ
化学工業製)、オイルフリーアルキド樹脂(スーパーベ
ッカミンL−105、固形分60重量%)、ソルベッソ
#100とセロソルブアセテートとn−ブタノールの混
合溶液(混合重量比1:1:1)をそれぞれ所定量加
え、攪拌、混合して塗料を調製した。この塗料をブリキ
板に乾燥膜厚が20μmとなるように塗布し、1時間放置
後220℃で10分間焼付けして試験板を作成した。試
験例2と同様の方法で電気抵抗を測定し、同様に表面抵
抗率を算出して第6表の結果を得た。
試験例6 実施例1及び参考例Bの導電性物質をそれぞれ次記組成
のポリプロピレン樹脂組成物に対し第7表に記載の割合
で配合した後2本ロールを用い180℃で15分間混練
した。その後ロールからシートを取り出し、これを10
0kg/cm2の圧力をかけて縦10cm、横10cm、厚さ0.1
cmのシートに成形した。このシートの電気抵抗を試験例
2と同様に測定し、同様に体積抵抗率を算出して第7表
の結果を得た。
実施例2 前記の方法で得られた棒状酸化チタンを攪拌下に3%の
弗酸水溶液で1時間処理した後濾過し、濾液の比抵抗が
50μSになるまで洗浄した。このようにして処理され
た棒状酸化チタンの成分を分析した結果亜鉛分はZnOと
して0.02重量%、カリウム分はK2Oとして0.01重量%、
リン分はP2O5として0.25重量%であり、TiO2純度は98.3
重量%であった。
次に、上記の高品位棒状酸化チタンの表面を実施例1と
同様にしてSnO2として16.0重量%、Sb2O3として3.5重量
%から成る導電層で被覆して棒状導電性酸化チタンを得
た。
この棒状導電性酸化チタンについて試験例1の方法に従
って粉体抵抗を測定したところ14.5Ωcmであった。ま
た、試験例2の方法に従って体積抵抗率及び表面抵抗率
を測定したところ第4表に示す結果が得られた。
〔発明の効果〕 本発明は、従来法で製造される針状酸化チタンを予め酸
及びまたはアルカリで処理して、該酸化チタンの不純物
を除去し、高品位の酸化チタンとすることにより、その
表面に被覆される酸化錫及び酸化アンチモンから成る導
電層を連続した被膜として形成することができる。しか
も、このようにして得られる本発明の針状導電性酸化チ
タンは、酸化錫及び酸化アンチモンの導電層を被覆した
チタン酸カリウム繊維よりも粉体抵抗が著しく小さく、
また樹脂組成物に配合しても非常に優れた導電性を付与
するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−209002(JP,A) 特開 昭56−120519(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不純物としてのリン化合物がP2O5換算量で
    1重量%以下及び原子価3以下の金属の化合物が酸化物
    換算量で0.2重量%以下であり、長さが1〜10μm、
    軸比が3以上である高品位針状酸化チタンの表面に酸化
    錫及び酸化アンチモンから成る導電層を有することを特
    徴とする針状導電性酸化チタン。
  2. 【請求項2】長さが1〜10μm、軸比が3以上である
    針状酸化チタンを酸及びまたはアルカリで処理して、不
    純物としてのリン化合物がP2O5換算量で1重量%以下及
    び原子価3以下の金属の化合物が酸化物換算量で0.2重
    量%以下である高品位針状酸化チタンとし、この高品位
    針状酸化チタンの水性懸濁液に塩化錫及び塩化アンチモ
    ン溶液を加えて塩化錫及び塩化アンチモンを分解させて
    該酸化チタンの表面に酸化錫と酸化アンチモンの水和物
    から成る被覆層を形成させ、次に被覆された酸化チタン
    を分別、焼成することを特徴とする針状導電性酸化チタ
    ンの製造方法。
  3. 【請求項3】不純物としてのリン化合物がP2O5換算量で
    1重量%以下及び原子価3以下の金属の化合物が酸化物
    換算量で0.2重量%以下であり、長さが1〜10μm、
    軸比が3以上である高品位針状酸化チタンの表面に酸化
    錫及び酸化アンチモンから成る導電層を有する針状導電
    性酸化チタンを、樹脂100重量部に対して、10〜3
    00重量部配合して成ることを特徴とする導電性樹脂組
    成物。
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