JP3557688B2 - 短冊状導電性粉末とその製造方法および用途 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、短冊状担体粉末の表面を金属酸化物型の導電層で被覆してなる短冊状導電性粉末とその製造方法および用途に関する。本発明の短冊状導電性粉末は高い透明性を示し、これを用いて透光性の導電膜や導電性シート (紙、フィルム等) 、繊維、成形体などを形成することができ、各種材料に導電性、帯電防止性、または半導体性を付与するために利用できる。
【0002】
【従来の技術】
電気絶縁性の有機または無機高分子に導電性を付与する手段として、導電性粉末を混合したり、その表面に導電性塗料を塗布もしくは含浸させて複合材とする方法がある。この目的に使用する導電性粉末として、カーボン系、金属系、金属酸化物系、有機高分子系、有機界面活性剤系などの材料があり、その形状は微粉末状、粒状、針状、長繊維状、偏平状等である。
【0003】
このような導電性粉末は実際に導電性付与の目的で工業的に利用されているが、▲1▼加工性に劣る(微粉末状および球状、導電性有機高分子系) 、▲2▼混合・分散性、充填性に劣る (針状、繊維状、偏平状) 、▲3▼導電化複合材の表面平滑性が良くない (針状、繊維状) 、▲4▼白色化および有色化ができない (カーボン系、導電性有機高分子系) 、▲5▼形状有害性がある (針状、繊維状) 、▲6▼環境安定性 (湿度・温度依存性) に劣る (有機界面活性剤系) 等の問題があるため、用途が限定されているのが実情である。
【0004】
白色化、有色化が可能な導電性粉末として、白色を呈する無機化合物からなる担体粉末の表面に、酸化アンチモンを含む酸化錫からなる導電層を有する、表面被覆型の導電性粉末が知られている。具体的には、白色の担体として二酸化チタン粉末 (特開昭56−416035号および同56−114215号各公報) 、繊維状チタン酸カリウム粉末 (特公昭61−26933 号公報) 、針状酸化チタン粉末 (特開昭63−233016号公報) 、雲母粉末 (特開昭63−285119号公報) が使用されている。
【0005】
担体として二酸化チタン粉末を用いた上記表面被覆型の導電性粉末は、それ自体の白色度が高く、粉体の電気抵抗値も10Ω・cm以下と優れている。しかし、この導電性粉末は、形状が球状であるため、電気絶縁性の有機または無機高分子に混合して導電性を発現させるためには、50wt%以上の充填量を必要とし、媒体となる高分子の特性を著しく低下させる。
【0006】
一方、担体粉末が繊維状または針状である導電性粉末は、その形状効果により、球状粉末より少ない充填量で導電性は得られるが、媒体の高分子との混合時における折れ、均一分散の困難性の問題に加え、導電化複合材の表面平滑性の問題もある。また、繊維または針状という形状由来の有害性も指摘されている。
【0007】
担体粉末が雲母のように偏平状であると、導電性付与に必要な導電性粉末同士の接触が面接触 (球状、繊維状、繊維状では点接触) となり易く、導電性能は、繊維状、針状には及ばない。また、偏平状の担体として一般に使用される天然雲母は、そのへき解性を利用して偏平状とするため、粒度分布が広く、形状が不規則 (角ばった状態) となり、導電接触性の低下を招く。また、不純物 (Fe等) を含むため白色度が低く、白色の導電性材料の担体にはあまり適さない。
【0008】
特開平6−135719号公報には、偏平状粉末の1種である短冊状六チタン酸カリウム多結晶性粉末を担体粉末とする表面被覆型の導電性粉末が記載されている。この導電性粉末は透明性を備え、透明電極、透明な帯電防止膜、透明発熱体、内外装材料などに利用できる。短冊状、即ち、細長い薄片状という担体粉末の形態により、針状に近い形状効果 (高い導電接触性) を発揮できる。そのため、担体が球状または雲母のような偏平状である場合に比べて少ない充填量で、電気絶縁性の有機または無機高分子に導電性を発現させることができる。しかも、この短冊状の担体粉末は、雲母に比べて粒度分布が狭く、針状・繊維状の場合の形状由来の有害性がない。
【0009】
しかし、担体粉末の六チタン酸カリウムが耐酸性に劣るため、酸性の媒体に対しては適用できないという問題がある。また、表面被覆する酸化錫と担体粉末との密着性が低いため、表面被覆量を多くする必要があり、表面被覆量を多くしても、媒体との混合過程で被覆の一部が剥がれるため、導電性を十分に高めることができない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述した▲1▼〜▲6▼の問題点を持たず、しかも比較的少量の充填量で材料に導電性を付与することができ、かつ透明性もしくは白色性の高い導電性粉末とその製造方法を提供することである。
【0011】
より具体的な本発明の目的は、二酸化チタン粉末の表面に酸化錫系の導電層を形成した表面被覆型の導電性粉末について、従来の球状粉末より少ない充填量で、しかも酸化錫系導電性の被覆量を多くせずに十分な導電性を付与できるように改良することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために研究を重ねた結果、担体粉末として、短冊状二酸化チタン粉末 (特願平5−307733号<特開平7− 157312 号公報として公開>参照) を使用し、その表面を酸化アンチモンを含む酸化錫で代表されるような金属酸化物型の導電層で被覆した表面被覆型の導電性粉末が、短冊状という形状により高い導電性付与効果を示し、前述した短冊状六チタン酸カリウムを担体とする場合の問題点がなく、分散性、透明性または白色性、表面平滑性に優れていることを見出した。
【0013】
ここに、本発明は、平均長さ1〜100 μm、平均幅 0.2〜20μm、平均厚み0.01〜2μmの短冊状二酸化チタン粉末の表面を、金属酸化物型導電層で被覆してなる、短冊状導電性粉末であって、この導電層が導電性粉末の1〜40wt%の量を占めることを特徴とする短冊状導電性粉末である。
【0014】
本発明の導電性粉末は、前記の短冊状二酸化チタン粉末を懸濁させた水中で、前記導電層の金属酸化物を構成する金属の塩化物を含有する塩酸酸性水溶液とアルカリ水溶液とを混合することにより、この塩化物を加水分解させ、次いでこの加水分解物で表面被覆された前記粉末を回収し、焼成することにより製造することができる。
【0015】
本発明の短冊状導電性粉末は、塗膜形成成分を含有する溶液中に分散させることにより導電性塗料化でき、それにより透光性または白色もしくは有色の導電膜の形成に利用できる。本発明の短冊状導電性粉末はまた、有機または無機高分子中に混練して分散させることにより、導電性成形材料として、フィルム、シート、繊維、立体成形品を含む各種形態の導電性成形体の製造に利用することもできる。
【0016】
通常の二酸化チタン粉末は球状粉末である。これに対し、本発明で担体粉末として用いる二酸化チタン粉末は、平均長さ1〜100 μm、平均幅 0.2〜20μm、平均厚み0.01〜2μmの短冊状の二酸化チタン粉末である。短冊状とは、長さ>幅>厚みの関係にある薄片状の形状を意味する。
【0017】
この短冊状二酸化チタン粉末の粒子形状が、平均長さで100 μm、平均幅で20μm、または平均厚みで2μmを超えると、光透過率が低下し、薄膜化した時の透光性が低下する。また、この粉末の平均長さが1μm未満または平均幅が0.2 μm未満であると、短冊状の形状効果を十分に発揮できず、導電性付与に多量の充填量が必要となる。平均厚みが0.02μm未満であると、粉末の機械的強度が弱く、塗料化または高分子との混合時に折損し易くなる。好ましくは、平均長さ5〜50μm、平均幅 1〜10μm、平均厚み0.05〜1μmである。本発明で用いる短冊状二酸化チタン粉末は、(株)クボタよりTXAX−ST なる商品名で市販されている。
【0018】
このような短冊状二酸化チタン粉末は、前述した特願平5−307733号明細書に記載されているように、メルト法で合成した繊維状の二チタン酸カリウム結晶を酸水溶液に浸漬して結晶中のカリウムイオンの実質的に全量を溶出させ、この浸漬中または浸漬後に湿式粉砕を行い、次いで脱水・乾燥し、さらに焼成することにより製造することができる。
【0019】
この短冊状二酸化チタン粉末の製造法について、次に簡単に説明する。まず、原料の繊維状二チタン酸カリウム結晶は、加熱によりTiO2を生成するチタン化合物と、K2O または加熱によりK2O を生成するカリウム化合物とを、TiO2/K2O のモル比が 1.5〜2.5 となる比率で混合し、この混合物を加熱溶融し、溶融生成物を冷却 (好ましくは指向性冷却) して凝固させることにより生成させることができる。この方法を本発明ではメルト法という。
【0020】
このメルト法の生成物は、繊維状の二チタン酸カリウム結晶を含む塊状物である。この塊状物を酸水溶液に浸漬して、結晶中のカリウムイオンの実質的に全量を溶出させると共に、浸漬中または浸漬後に湿式粉砕を行う。浸漬に用いる酸水溶液としては、無機酸 (例、塩酸、硫酸、硝酸など) が好ましいが、有機酸 (例、スルホン酸類) も使用できる。「カリウムイオンの実質的に全量を溶出」とは、浸漬後のカリウムイオン含有量が2wt%以下、好ましくは1wt%以下であることを意味する。
【0021】
カリウムイオンの溶出により繊維状結晶には層状の空隙が生成するので、湿式粉砕を行うと、繊維は容易に薄片状に解体して、短冊状形状の二酸化チタン水和物の粒子が得られる。この粒子を回収し、脱水・乾燥後、焼成 (好ましくは 500〜1000℃) を行うと、本発明に用いる短冊状二酸化チタン粉末を得ることができる。この時のメルト法合成時のTiO2/K2O のモル比や、溶出後の湿式粉砕の条件等によって、得られた短冊状二酸化チタン粉末の粒子形状を制御することができる。
【0022】
本発明の導電性粉末は、上記の短冊状二酸化チタン粉末を担体粉末とし、これを金属酸化物型の導電層で表面被覆したものである。導電層を構成する金属酸化物としては、従来より導電材料として使用されている各種の金属酸化物を使用することができる。このような金属酸化物の例としては、▲1▼酸化錫、▲2▼ドープ金属としてSbおよび/またはInを含有する酸化錫、▲3▼ドープ金属としてSnを含有する酸化インジウム、ならびに▲4▼Al、V、Cr、Mn、Co、Ga、Ge、Hfなどの1種もしくは2種以上のドープ金属を含有する酸化亜鉛などが挙げられる。
【0023】
導電層を構成する金属酸化物として好ましいのは、Sbおよび/またはInを含有する酸化錫と、Snを含有する酸化インジウム (一般にITOと略称される) であり、特に好ましいのはSbを含有する酸化錫 (以下ATOと略記する) である。ドープ金属 (例、酸化錫中のSbおよび/またはIn、或いは酸化インジウム中のSn) の含有量は特に制限されないが、全金属に対するドープ金属の原子%で、酸化錫においては30原子%以下、酸化インジウムにおいては15原子%以下、酸化亜鉛においては30原子%以下であることが好ましい。
【0024】
金属酸化物型の導電層による担体粉末の表面被覆は、得られた導電性粉末全体の重量の1〜40wt%を導電層が占めるように行う。この導電層による被覆量が1wt%未満であると導電性はほとんど付与されず、40wt%を超えて被覆しても、それに見合う導電性の向上は見られない。導電層の量は好ましくは5〜30wt%である。
【0025】
担体粉末の導電層による表面被覆は、従来の表面被覆型導電性粉末の場合と同様に実施できる。即ち、水中に担体粉末を懸濁させ、この懸濁した担体粉末の存在下で、導電層を構成する金属酸化物の金属の塩化物 (金属酸化物がATOである場合、塩化錫とドープ金属となる塩化アンチモン) を含有する塩酸酸性水溶液とアルカリ水溶液とを混合すると、これらの金属塩化物が加水分解し、金属水酸化物が担体粉末の表面に析出して、粉末表面を被覆する。上記のATOのように2種以上の金属塩化物を使用した場合には、2種以上の金属水酸化物の共沈物が担体粉末の表面に析出する。従って、原料の各金属塩化物の使用割合によって、共沈した水酸化物中のドープ金属の割合を調整することができる。
【0026】
金属塩化物の塩酸酸性水溶液とアルカリ水溶液との混合は、水性媒質のpHが1.0〜7、特に 1.5〜2.0 の範囲内となるように行うことが好ましい。この加水分解によって得られた、金属水酸化物で表面被覆された担体粉末を回収し、所望により水洗および乾燥した後、大気中で焼成 (好ましくは 400〜800 ℃) すると、金属水酸化物が酸化物に変化し、短冊状二酸化チタン粉末が導電性金属酸化物で表面被覆された本発明の短冊状導電性粉末が得られる。
【0027】
本発明の短冊状導電性粉末は、塗膜形成成分を含有する溶液中に分散させることにより塗料化して、導電性塗料として導電膜の形成に使用することができる。塗膜形成成分は、有機系と無機系のいずれでもよく、自然もしくは加熱乾燥型、熱硬化型、紫外線もしくは電子線硬化型などのいずれの種類のものでもよい。塗膜形成成分が透明膜を形成するものであれば、この塗料により透光性の導電膜を形成することができ、塗膜を厚くすれば白色の導電膜が形成される。また、着色顔料もしくは染料を共存させて、着色導電膜を形成することも可能である。好ましい塗膜形成成分としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アルキッド樹脂などの有機樹脂、ならびにエチルシリケートなどのアルコキシシランなどが例示される。
【0028】
本発明の短冊状導電性粉末はまた、有機または無機高分子中に分散させて導電性の成形材料として利用することもできる。この成形材料を成形することにより、フィルム、シート、テープ、繊維、立体成形品などの任意の形状の導電性成形体を得ることができる。このような成形材料に用いる有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン樹脂などが挙げられる。また、無機高分子の例は各種の含水珪酸塩鉱物である。
【0029】
導電膜および導電性成形体のいずれを形成する場合にも、本発明の導電性粉末の細長い短冊状という形状により、球状粉末や偏平状粉末に比べて少ない充填量で必要な導電性を付与することができる。導電性粉末の充填量は、必要な導電性のレベルに応じて異なるが、通常は10〜50wt%、好ましくは15〜40wt%の範囲内である。導電性粉末の充填量が少ないため、粉末の充填による材料特性の劣化が少ない。
【0030】
また、針状もしくは繊維状粉末に見られるような、混合中の粉末の折損や均一分散が困難といった問題が軽減され、形状由来の危険性もない。さらに、担体粉末が、六チタン酸カリウムではなく、化学的により安定な二酸化チタン粉末であるので、本発明の導電性粉末は酸性環境下でも使用でき、また表面被覆の担体粉末への密着性が高く、混合中の表面被覆の剥がれによる導電性の低下が少ない。そのため、比較的少ない充填量で確実に所定の導電性を材料に付与することができる。
【0031】
本発明の導電性粉末を含有する導電膜および成形体は、帯電防止材料として有用である他、導電性のレベルによっては導電材料または半導性材料として利用することもできる。
【0032】
【実施例】
次に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
【0033】
【実施例1】
平均長さ37μm、平均幅4μm、平均厚み0.2 μmの短冊状二酸化チタン粉末[(株) クボタ製、TXAX−ST、K含有量約 0.6wt%] 100 gを0.3 L の水に加えて攪拌下に分散状態に保持し、90℃に加熱した。この加熱・分散状態を保持しながら、SnCl4 30gとSbCl3 4.5 gとを含む塩酸酸性水溶液と150 g/L のNaOH水溶液とを、水相のpHが2〜4になるように30分間かけて同時に滴下し、水酸化錫と水酸化アンチモンとの共沈物を上記粉末の表面に析出させた。この粉末を濾別した後、再び水中に分散させて水洗し、濾過により回収した。その後、回収した粉末を100 ℃で乾燥し、次に600 ℃大気中にて1時間で焼成して、Sbを含有する酸化錫 (ATO) で表面被覆された短冊状二酸化チタン粉末を得た。
【0034】
この導電性粉末の収量は115 g、導電層の表面被覆量は15wt%であり、粉末の体積電気抵抗率 (100 kgm2の加圧下、以下同じ) は9Ω・cmであった。
この導電性粉末30gを、メチルエチルケトン600 gとシクロヘキサノン150 gとからなる混合溶媒中にポリエステル樹脂100 gを含有する樹脂液と混合し、サンドミル (ガラスビーズ径1mm) で30分間分散させて、透光性の導電塗料を得た。これを厚さ75μmのポリエステルフィルム上に膜厚5μmになるように塗布し、150 ℃で乾燥して透光性の導電膜を形成した。この導電膜中の導電性粉末の充填量は23wt%、表面抵抗値は4×106 Ω/□、全光線透過率は86%であった。
【0035】
【比較例1】
担体粉末として、平均長さ40μm、平均幅5μm、平均厚み0.2 μmの短冊状六チタン酸カリウム粉末[(株) クボタ製、TXAX−SA、K含有量約13.5wt%] 100 gを用いて、実施例1と同様にしてATOで表面被覆し、導電性粉末を得た。但し、塩酸酸性水溶液中のSnCl4 量は34g、SbCl3 含有量は5gと、実施例1よりやや多くした。得られた導電性粉末の収量は119 gであり、その導電層の表面被覆量は20wt%と実施例1より多かったが、粉末の体積電気抵抗率13Ω・cmであって、導電性は実施例1より低下した。
【0036】
この導電性粉末を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルム上に透光性の導電膜を形成した。導電性粉末の表面被覆量が多い (膜中の導電性粉末の充填量は同じ) にもかかわらず、得られた導電膜の表面抵抗値は3×107 Ω/□と実施例1より低く、全光線透過率は85%であった。
【0037】
【比較例2】
担体粉末として天然白雲母粉末 (山田雲母工業所製、平均粒径30μm、平均厚み0.6 μm) 100 gを用いて、実施例1と同様にしてATOで表面被覆し、導電性粉末を得た。得られた薄片状の導電性粉末の収量は114 gであり、粉末の体積電気抵抗率19Ω・cmであった。この導電性粉末を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルム上に透光性の導電膜 (導電性粉末の充填量は実施例1に同じ) を形成したところ、導電膜の表面抵抗値は9×109 Ω/□、全光線透過率は86%であった。
【0038】
【比較例3】
担体粉末として、球状の二酸化チタン粉末 (平均粒径6.2 μm) 100 gを用い、実施例1とほぼ同様にしてATOで被覆し、表面被覆量17wt%、体積電気抵抗率5Ω・cmの導電性粉末116 gを得た。この球状の導電性粉末を用いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム上に透光性の導電膜 (導電性粉末の充填量は60wt%) を形成したところ、導電膜の表面抵抗値は5×109 Ω/□、全光線透過率は68%であった。
【0039】
【比較例4】
担体粉末として、針状の酸化チタン粉末100 gを用い、実施例1とほぼ同様にしてATOで被覆し、表面被覆量20wt%、体積電気抵抗率15Ω・cmの導電性粉末118 gを得た。この針状の導電性粉末を用いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム上に透光性の導電膜 (導電性粉末の充填量は50wt%) を形成したところ、導電膜の表面抵抗値は3×107 Ω/□であった。
【0040】
【実施例2】
金属塩化物としてSnCl2 2gとInCl3 22gを含有する塩酸酸性水溶液を使用した以外は実施例1に従って、Snを含む酸化インジウム (ITO) で表面被覆された短冊状導電性粉末115 gを得た。この粉末の表面被覆量は15wt%、体積電気抵抗率は12Ω・cmであった。この短冊状導電性粉末を用いて、実施例1と同様にしてポリエステルフィルム上に透光性の導電膜 (導電性粉末の充填量は実施例1に同じ) を形成したところ、導電膜の表面抵抗値は1×106 Ω/□、全光線透過率は84%であった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の導電性粉末は、短冊状の担体粉末の材料が二酸化チタンであるため、短冊状の六チタン酸カリウム粉末を担体とする場合に比べて、少ない表面被覆量で高い導電性を発揮することができる。しかも、短冊状という形状効果により、球状粉末に比べて少ない充填量で材料に導電性を付与することができ、繊維状または針状粉末に比べて、均一分散性や表面平滑性に優れており、形状由来に危険性もない。これらの総合的な効果により、比較的少ない表面被覆量および粉末充填量で、材料に均一、確実、かつ安全に高い導電性を付与することができる。また、本発明の導電性粉末は透明性が高く、透光性の導電膜およびフィルムを形成することができ、白色化あるいは自由に着色することも可能である。
Claims (5)
- 平均長さ1〜100 μm、平均幅 0.2〜20μm、平均厚み0.01〜2μmで、長さ>幅>厚みの関係を満たす短冊状二酸化チタン粉末の表面を、金属酸化物型導電層で被覆してなる、短冊状導電性粉末であって、この導電層が導電性粉末の1〜40wt%の量を占めることを特徴とする短冊状導電性粉末。
- 前記短冊状二酸化チタン粉末が、メルト法で合成した繊維状の二チタン酸カリウム結晶を酸水溶液に浸漬して結晶中のカリウムイオンの実質的に全量を溶出させ、浸漬中または浸漬後に湿式粉砕し、脱水・乾燥、焼成することにより製造された粉末である、請求項1記載の短冊状導電性粉末。
- 前記短冊状二酸化チタン粉末を懸濁させた水中で、前記導電層の金属酸化物を構成する金属の塩化物を含有する塩酸酸性水溶液とアルカリ水溶液とを混合することにより、この塩化物を加水分解させ、次いでこの加水分解物で表面被覆された前記粉末を回収し、焼成することを特徴とする、請求項1または2記載の短冊状導性粉末の製造方法。
- 塗膜形成成分と、請求項1または2記載の短冊状導電性粉末とを含有することを特徴とする導電性塗料。
- 有機または無機高分子中に請求項1または2記載の短冊状導電性粉末が分散していることを特徴とする、導電性成形材料。
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