JPH06148408A - 光制御シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶表示素子に用いた場合に正面方向が充分
明るくなるような集光性と、ある程度の視野角度範囲内
であれば均等に明るく見えるという拡散性とを兼ね備え
た光制御シートを提供する。 【構成】 一方の面が、マクロ的に規則的な波型をなす
か、もしくは、横断面略三角形の多数の山部が平行に形
成され、ミクロ的にはその波型に微細な凹凸加工もしく
は光拡散用の塗装が施されている構造面であり、他方の
面は光学的に平面であるか、もしくは該平面に微細な凹
凸加工が施されている、光制御シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、パーソナルコンピュ
ータやワードプロセッサなどの液晶ディスプレー、液晶
カラーテレビなどを構成する液晶表示素子光源装置に用
いる光制御シートに関する。

【０００２】

【従来技術および解決すべき課題】液晶表示画面は自家
発光性を有しないので、視認性を高めるためには他から
の照明を必要とし、そのため、液晶表示素子の背面から
光を当てる光源ユニット（以下バックライトユニットと
いう）が考案された。

【０００３】バックライトユニットは、その開発当初に
おいては螢光ランプなどの光源を液晶表示素子の背面に
直接配した構造をとっていたが、最近では全ユニットの
厚みを薄くして機器の小型化を図るために、光源を液晶
表示素子の少なくとも一側面に配したエッジライト方式
という構造をとることが多い。

【０００４】エッジライト方式の面状光源装置は、図６
に示す基本構造を有する。すなわち、この装置では、光
源としての螢光管(1) は、透明板からなる導光板(2) の
一側面に配されている。導光板(2) の背面には塗料のド
ットパターン(4) が形成されている。ドットパターン
(4) は、側面の螢光管(1) から入射した光を、画面のど
の位置からも均等に出射させるために導光板(2) の背面
に形成された光散乱性の印刷パターンであり、疑似光源
と呼ばれるものである。導光板(2) の後側には反射板
(5) が配されている。

【０００５】螢光管(1) から発せられた光線は、導光板
端面(3) より導光板内部に進入し、その背面のドットパ
ターン(4) によって乱反射され、導光板表面より前方へ
出射される。導光板(2) の表面より出射された光線の各
出射角度における強度分布、すなわち出射光パターン
(6) を図７に示す。図７では、出射光のほとんどは、導
光板(2) の法線方向から大きくはずれた方向へ出射さ
れ、またその分布も著しく急峻である。このため、通
常、導光板(2) の法線方向より観察する使用者にとって
は液晶表示画面が非常に暗い画面となってしまう。

【０００６】この欠点を克服するため、図８に示すよう
に、導光板(2) の表面上に光拡散シート(7) を設置する
方法が考案された。光拡散シート(7) は、透明なガラス
またはプラスチックシートの表面に無機または有機の光
拡散剤を塗布したものや、透明プラスチックシートの表
面にマット加工やシボ加工などにより粗度Ｒａ＝１００
〜１５０μｍ程度の微細なランダム凹凸面を形成したも
のである。この光拡散シート(7) を使用した場合の光線
の各出射角度における強度分布、すなわち出射光パター
ン(8) を図８に示す。図８では、図７に比較して法線方
向への光線の出射が増加していることが分かる（特開昭
６０−４６５０３号公報参照）。

【０００７】しかしながら、光拡散剤を用いた光拡散シ
ート(7) では、使用者に不用な方向への光線の出射が依
然として多く、また、光拡散シート(7) と導光板(2) の
界面での乱反射による光線の損失も無視できない。その
ため、これをバックライト方式の液晶表示素子の照明装
置に用いた場合、正面方向への出射光量があまり多くな
い。また、ランダム凹凸面を形成した光拡散シートで
は、光拡散剤を用いたシートよりは集光性に優れるが、
最近のバックライトの高輝度化等の要求に対しては完全
なものとはいえない。

【０００８】さらにこれらの欠点を改善する方法とし
て、前記光拡散シートに代え、図９に示す構成のプリズ
ムシート(9) を用いることが試みられている。プリズム
シート(9) は片面に多数の小さなプリズムを並列状に並
べたものであり、これに入射した光線を屈折あるいは反
射させる機能を有する光学機能シートである。このプリ
ズムシート(9) を用いた場合の光線の各出射角度におけ
る強度分布、すなわち出射光パターン(10)では、図１０
に示すように、法線方向への光線の出射が著しく増加し
ている。

【０００９】しかしながら、この場合、出射光の指向性
が強すぎるため視野角度が非常に狭く、使用者の位置が
僅かでも移動すると、観察される輝度は急激に低下す
る。また、このプリズムシート(9) には光線を散乱させ
る効果が全くないため、導光板(2) に印刷されたドット
パターン(4) が明瞭に視認されてしまい、プリズムシー
ト(9) は単品で使用せずにほかの拡散性を持つシートと
併用しなければならないなどの欠点を持つ。

【００１０】さらに、プリズムシート(9) を図１０のよ
うな配置で使用した場合、導光板(2) の表面とプリズム
シート(9) の平滑面とが部分的に光学密着を起こし、光
線出射強度の均一性が著しく低下する。

【００１１】この発明は、上記の点に鑑み、液晶表示素
子に用いた場合に正面方向が充分明るくなるような集光
性と、ある程度の視野角度範囲内であれば均等に明るく
見えるという拡散性とを兼ね備えた光制御シートを提供
することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この発明による光制御シ
ートは、上記目的を達成すべく工夫されたもので、従来
の拡散シートタイプの光制御シートとプリズムシートタ
イプの光制御シートの各長所をそのまま生かし、かつ、
短所を互いに補い会うものである。

【００１３】すなわち、この発明による光制御シート
は、一方の面が、マクロ的に規則的な波型もしくは多数
の平行な山部からなり、ミクロ的にはその波型もしくは
多数の平行な山部に微細な凹凸加工もしくは光拡散用の
塗装が施されている構造面であり、他方の面は光学的に
平面であるか、もしくは該平面に微細な凹凸加工が施さ
れているものである。

【００１４】この発明による光制御シートにおいて、規
則的な波型または平行状の山部よりなるマクロ構造面
は、集光機能に寄与する。また、微細な凹凸面もしくは
光拡散塗装面よりなるミクロ構造面は、光拡散機能に寄
与する。

【００１５】マクロ構造面としては、以下のようなもの
が例示される。

【００１６】ａ）例えば横断面正弦波型のような規則的
な波型、ｂ）例えばプリズムシート（頂角９０度）のよ
うに、横断面略三角形の多数の山部が平行に形成されて
いる面。

【００１７】ａ）およびｂ）の何れの場合でも、規則的
な波型または平行状の山部の最大深さは好適には２０〜
１０００μｍ、さらに好適には２０〜３００μｍであ
る。

【００１８】この深さが２０μｍ未満であると、賦形の
精度が低下する恐れがあり、また１０００μｍを越える
と、シート全体の厚みが厚くなり過ぎ、光源装置全体の
小型化の妨げになる恐れがある。規則的な波型または平
行状の山部の相互間ピッチは、好適には２０〜３５００
μｍ、さらに好適には３０〜１０００μｍである。

【００１９】また、規則的な波型または平行状の山部の
最大傾斜は好適には３０度以上、さらに好適には３５度
以上である。

【００２０】拡散機能に寄与するミクロな形状として
は、一般的なマット加工で得られる微細な凹凸が好適で
ある。

【００２１】マット加工で得られる凹凸の粗度Ｒａは３
０μ以下であることが望ましい。この粗度が３０μを越
えると拡散性が強くなり過ぎ、集光性が低下する恐れが
ある。

【００２２】マット加工の方法としては金属ロールや金
型にマット形状を賦形しておき、それを用いてシート成
形を行ったり、あるいは規則的な波型または平行状の山
部のマクロ構造面を賦形したシートに対してサンドブラ
ストを施したりという方法が好適に行われる。その他の
方法でも結果的にマット調の表面形状が得られれば適用
できる。

【００２３】規則的な波型または平行状の山部のマクロ
構造面に施される塗装は、該構造面に拡散機能を持たせ
るものであり、光拡散性を持つ有機または無機の微粒子
や、樹脂組成物などが塗布される。塗布物としては、平
均粒径２〜５０μｍの、光吸収性の少ないガラスビーズ
等が特に好適である。

【００２４】構造面の反対側の片面は概ね平面であれば
よい。概ね平面とは、光学的に平面であるか、もしくは
該平面に微細な凹凸加工が施されている面をいう。この
凹凸加工の代表例はマット加工である。マットの粗度お
よび加工方法は特に限定されない。

【００２５】光制御シートの材質は透明なプラスチック
であれば特に限定されないが、透明性の特に優れたポリ
カーボネート、ポリメチルメタクリレートなどが好適で
ある。シートの全体厚みは好ましくは２．０ｍｍ以下、
さらに好ましくは０．１〜０．５ｍｍである。全体厚み
が２．０ｍｍを越えると光源装置全体の厚みが厚くなり
過ぎる恐れがある。

【００２６】この光制御シートの製造方法としては、押
出成型、射出成型、カレンダー成型、加熱プレス等、通
常シートを成型する方法が限定なく適用できる。

【００２７】

【実施例】この発明を実施例により具体的に説明する。

【００２８】実施例１ 図１および図２において、光制御シート(11)の一方の面
(12)は、マクロ的に横断面正弦波型であり、ミクロ的に
はその波型にマット加工により微細な凹凸が施されてい
る構造面である。他方の面(16)にはマット加工により微
細な凹凸加工が施されている。

【００２９】実施例２ 図３および図４において、光制御シート(14)の一方の面
(15)は、マクロ的に横断面直角三角形の頂角を有する多
数の山部が平行に形成されたプリズム面であり、ミクロ
的にはその山部にガラスビーズが塗装され、他方の面(1
7)は光学的に平面である。

【００３０】実施例１、２および比較例１〜４に用いる
シートの材質、製造方法、得られた光制御シートの形状
をそれぞれ表１にまとめて示す。

【００３１】

【表１】 表中、ＰＣはポリカーボネート樹脂、ＰＭＭＡはポリメ
チルメタクリレート樹脂を意味する。

【００３２】実施例および比較例の各光制御シートを、
図６に示す片側エッジライト方式のバックライト装置の
導光板(2) の上、ドットパターン(4) を有する３ｍｍの
導光板(2) に光制御シートの他方の面(16)もしくは(17)
が接触するように、かつ、光制御シートの一方の面(12)
もしくは(15)の横断面正弦波の頂部もしくはプリズムシ
ートの稜線が螢光管(1) と平行になるように配置した。

【００３３】実施例および比較例の各光制御シートにつ
いて、法線方法の輝度、法線方向の５０％以上の輝度を
有する角度範囲、および発光外観の評価結果を表２に示
す。

【００３４】

【表２】 実施例１の光制御シート(10)を用いた場合、導光板(2)
の表面より出射された光線の各出射角度における強度分
布、すなわち出射光パターン(13)を図５に示す。図５で
は、出射光は導光板(2) の法線方向を中心としてその周
囲に十分な角度範囲で分布していることが認められる。

【００３５】

【発明の効果】本発明による効果は以下に挙げるとおり
である。

【００３６】(1) 一方の面が、マクロ的に規則的な波型
をなすか、もしくは横断面略三角形の多数の山部が平行
に形成されたものであるので、従来の拡散剤練り込みタ
イプやランダム凹凸タイプのものに比べ、集光機能を向
上させ、法線方向の輝度を上昇させることができる。

【００３７】(2) ミクロ的にはその波型もしくは山部に
微細な凹凸加工もしくは光拡散用の塗装が施されている
ので、光拡散機能を向上させ、従来のプリズムシートタ
イプのものに比べ、視野角度を広角化することができ
る。

【００３８】(3) したがって、本発明による光制御シー
トを使用することにより、従来輝度不足や拡散性不足の
ために複数枚使用していた光制御シートの枚数を減らし
たり、バックライトの駆動電力を低減させたりすること
ができる。また本発明の光制御シートにより、液晶表示
装置のみならず、店舗、家屋、事務所等施設照明におけ
る薄型面状発光照明装置の実現も可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による光制御シートの一例を示す横断面
図である。

【図２】図１中のＡ部拡大図である。

【図３】本発明による光制御シートの一例を示す横断面
図である。

【図４】図３中のＢ部拡大図である。

【図５】本発明による光制御シートを用いた場合の出射
光特性を示す概略図である。

【図６】エッジライト方式の面状発光装置を示す斜視図
である。

【図７】導光板単体での出射光特性を示す概略図であ
る。

【図８】従来技術による光拡散シートを用いた場合の出
射光特性を示す概略図である。

【図９】プリズムシート斜視図である。

【図１０】プリズムシートを用いた場合の出射光特性を
示す概略図である。

【符号の説明】

１：螢光管 ２：導光板 ３：導光板端面 ４：ドットパターン ５：反射板 ６：出射光パターン ７：光拡散シート ８：出射光パターン ９：プリズムシート １０：出射光パターン １１：光制御シート １２：一方の面 １３：出射光パターン １４：光制御シート １５：一方の面 １６：他方の面 １７：他方の面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の面が、マクロ的に規則的な波型も
   しくは多数の平行な山部からなり、ミクロ的にはその波
   型もしくは多数の平行な山部に微細な凹凸加工もしくは
   光拡散用の塗装が施されている構造面であり、他方の面
   は光学的に平面であるか、もしくは該平面に微細な凹凸
   加工が施されている、光制御シート。