JPH06102689B2 - 光重合性組成物および粘着剤の製造法 - Google Patents

光重合性組成物および粘着剤の製造法

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JPH06102689B2
JPH06102689B2 JP1222082A JP22208289A JPH06102689B2 JP H06102689 B2 JPH06102689 B2 JP H06102689B2 JP 1222082 A JP1222082 A JP 1222082A JP 22208289 A JP22208289 A JP 22208289A JP H06102689 B2 JPH06102689 B2 JP H06102689B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アクリレート系の光重合性組成物に関し、さ
らに詳しくは、光重合により、粘着力および保持力等の
物性のバランスのとれた粘着剤を生産性よく与えること
のできる光重合性組成物に関する。また、本発明は、該
光重合性組成物から粘着剤を製造する方法および粘着剤
(粘着製品)に関する。
〔従来の技術〕
アクリル系粘着剤は、アクリル系ポリマーを主成分とし
ているため、耐光性、耐候性、耐油性などに優れてお
り、プラスチックフィルムや紙などを表面基材としたア
クリル系粘着テープは、粘着力、凝集力などの粘着性
能、および耐熱性、耐候性などの耐老化性能に優れてい
るため、広く使用されている。
アクリル系粘着製品として代表的なアクリル系粘着テー
プを例にとると、該粘着テープは、一般に、アクリル酸
アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸エステル
などのアクリレート系モノマーを主成分とするビニル系
モノマーを、有機溶剤系で溶液重合して得られる粘着剤
溶液、または水系で乳化重合して得られるエマルジョン
を、基材に塗布または含浸し、これを加熱乾燥して製造
されている。
上記の製造方法において、粘着剤溶液を用いる場合は、
基材に塗布または含浸した粘着剤溶液を高温で乾燥する
ために、多くのエネルギーを必要とし、また、溶剤によ
る大気汚染を防止するために、大規模な溶剤回収装置を
必要とする。しかも、溶剤は引火し易いため、安全保持
のために充分な安全装置を必要とする。
一方、エマルジョンを用いる場合は、水を蒸発させるた
めに、溶剤を用いる場合よりも大きなエネルギーを必要
とし、また、性能面でも重合時に混入する乳化剤により
耐水性が低下する。さらに、水溶性モノマーが使用でき
ないため、モノマー種が限定され、粘着テープに要求さ
れる多種多様なニーズへの対応力が弱いという欠点があ
った。
そこで、無溶剤で粘着製品を製造する方法として、光重
合法が提案されている。
例えば、ベリギー特許第675,420号明細書には、モノマ
ーを基材に塗工後、紫外線照射により直接重合する方法
が開示されている。
また、米国特許第4,181,752号明細書には、アクリレー
ト系モノマーを主成分とするビニル系モノマーにベンゾ
インエチルエーテルのような光開始剤を含有させた溶剤
不含の光重合性液状組成物を用い、この組成物に波長30
0〜400nmの紫外線を0.1〜7mW/cm2の光強度で照射して、
上記ビニル系モノマーを重合させることにより、アクリ
ル系粘着テープを製造する方法が開示されている。
これらの方法は、紫外線の光強度を比較的低くすること
により、上記ビニル系モノマーによる重合体の高分子量
化を行ない、それにより粘着力、凝集力などの粘着性能
を高めたものである。そして、この方法によれば、溶剤
を用いることなく粘着テープを製造できるため、前記し
た有機溶剤や水の使用に伴う問題点は解消される。とこ
ろが、この方法では、重合反応速度が遅いため、実用化
するには生産性が悪いという欠点がある。
ところで、一般に、アクリレート系モノマーなどのビニ
ル系モノマーの光重合において、重合反応速度は、光開
始剤量と光強度の積の平方根に比例する。そこで、生産
性を高めるために、光開始剤の添加量を増加したり、あ
るいは光強度を高くして、重合反応速度を速くすると、
得られる重合体の分子量が低下し、粘着テープの粘着力
と凝集力とのバランスを高水準に保持することができな
い。したがって、実際に、光重合法により粘着テープを
製造するには、光照射ゾーンを極端に長くするか、ある
いはラインスピードを遅くする必要があり、そのため
に、莫大な設備コストを要したり、生産効率が悪いなど
の問題があり、実用化が困難である。
Radcure'86(Baltimore)要旨集P.12-29には、光重合法
による粘着テープの製造において、生産性と粘着性能と
を同時に満足させるために、熱可塑性ポリマーとモノマ
ーとの複合化、反応性ポリマーとモノマーとの複合化、
ホットメルト性ゴムと多官能モノマーとの複合化等の研
究例のあることが報告されている。しかしながら、実用
化できるまでの充分な成果は報告されていない。
また、特公昭60-28318号公報には、(メタ)アクリロイ
ル基を分子内に有するプレポリマーに特定の連鎖移動剤
を配合してなる光硬化型接着剤組成物が開示されてい
る。この方法では、(メタ)アクリル酸エステルなどの
低重合体に反応性を有する(メタ)アクリロイル基を1
個以上末端または側鎖に導入したものを使用しており、
プレポリマーの製造および(メタ)アクリロイル基の導
入などの複雑な工程が必要である。
このように従来の光重合による粘着剤製造技術では、粘
着性能と生産性とを同時に高水準に保持する点では未だ
不充分である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、光重合法により粘着剤を製造する方法
において、粘着性能と生産性とを高水準に保持したアク
リル系粘着剤を製造することができる新規な光重合性組
成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、該光重合性組成物を用いた光重合
法による粘着剤の製造法と粘着剤を提供することにあ
る。(なお、本発明において、粘着剤とは、粘着テープ
などの粘着製品を含む意味で使用する。) 本発明者は、先ず、アクリレート系モノマーを主成分と
するモノマー成分と光開始剤とからなる組成物に、1分
子中に2つ以上の不飽和二重結合を有する架橋性モノマ
ーを配合して、光照射を行なったところ、架橋したポリ
マーを得ることができた。しかし、実用化に見合った反
応速度(高速反応)で光重合を行なうために、光強度や
光開始剤の添加量を調節して実施した場合に、ポリマー
主鎖長の短いポリマーしか得ることができず、架橋性モ
ノマーによる架橋は部分的な架橋体を与えるだけであっ
て、高性能の粘着特性を得ることができなかった。
そこで、さらに連鎖移動剤を添加して、高速反応条件で
光重合を行なったところ、高性能の粘着剤が得られるこ
とを見出した。連鎖移動剤は、通常、重合度の調節剤と
して利用されており、分子量を低下させる機能を有して
いるため、前記架橋性モノマーを含む組成物に連鎖移動
剤を添加すると、分子量がさらに低下して性能劣化を引
き起こすと考えられたのである。したがって、架橋性モ
ノマーと連鎖移動剤とを組合わせることにより、高性能
の粘着剤が光重合法により得られることは、予期できな
いことであった。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったも
のである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、 (a) 炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸
アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステル
からなる群から選択される少なくとも1種のアクリレー
ト系モノマー60〜100重量%および該アクリレート系モ
ノマーと共重合可能なビニル系モノマー0〜40重量%を
含むモノマー成分100重量部、 (b)光開始剤0.001〜5重量部、 (c)1分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有し、ア
クリレート系モノマーと共重合可能な架橋性モノマー0.
01〜2重量部、および (d)連鎖移動剤0.01〜2重量部 とを含む光重合性組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記光重合性組成物に光を照射
して、前記モノマー成分および架橋性モノマーを共重合
させることを特徴とする粘着剤の製造法、および該製造
方法で得られた粘着剤(粘着製品)が提供される。
以下、本発明の構成要素について詳述する。
(モノマー成分) 本発明で使用するモノマー成分は、炭素数1〜12のアル
キル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよびメタ
クリル酸アルキルエステルからなる群から選択される少
なくとも1種のアクリレート系モノマー60〜100重量%
および該アクリレート系モノマーと共重合可能なビニル
系モノマー0〜40重量%を含むものである。
アクリレート系モノマー アクリレート系モノマーとしては、アルキル基の炭素数
が1〜14、好ましくは4〜12のアクリル酸アルキルエス
テルまたはメタクリル酸アルキルエステルが用いられ、
具体例としては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メ
タ)アクリル酸イソボロニルなどを挙げることができ
る。
また、ガラス転位温度の低い重合体を形成するアクリレ
ート系モノマー、例えば、テトラヒドロフルフリルアク
リレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリ
プロピレングリコールアクリレート、フッ素アクリレー
ト、シリコンアクリレートなども用いることができる。
これらは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わ
せて用いる。粘着性と凝集性のバランスなどから、通
常、ホモポリマーのガラス転位温度が−50℃以下のアク
リル酸アルキルエステルを主成分とし、コモノマーとし
て、低級アルキル基の(メタ)アルリル酸エステルや下
記のビニル系モノマーを用いることが好ましい。
ビニル系モノマー また、アクリレート系モノマーと共重合可能な他のビニ
ル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、N−置換アクリルアミド、ヒドロキシエチル
アクリレート、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、イ
タコン酸、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシ
エチルメタクリレートなどが挙げられる。
これらのビニル系モノマーは、1種または2種以上を組
合わせて使用できるが、全モノマー成分中における使用
割合が40重量%を越えると、アクリル系粘着剤としての
粘着特性などが低下するので、好ましくない。
(光開始剤) 光開始剤としては、紫外線硬化性インキや塗料などの分
野で用いられている通常の光開始剤であれば使用できる
が、光重合反応を充分に完結させるためには、いわゆる
水素引き抜き型よりも開裂型のものの方が好ましい。ま
た、光冷気活性が高く、酸素による活性阻害の少ないも
のが好ましい。
光開始剤の具体例としては、例えば、4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピ
ルケトン〔ダロキュア−2959:メルク社製〕;2−ヒドロ
キシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン〔ダロキ
ュア−1173:メルク社製〕;メトキシアセトフェノン、
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの
アセトフェノン系;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ
インイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル
系;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系;その
他、アシルオキシムのエステル類、ハロゲン化ケトン
類、ヒドロキシアルキルスチレンのオリゴマー類、アシ
ルホスフィンオキシド、アシルホスフォナートなどを挙
げることができる。
(架橋性モノマー) 本発明で用いる架橋性モノマーは、エポキシアクリレー
ト、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート
等の不飽和二重結合を1分子内に2個以上有するもので
ある。
架橋性モノマーの具体例としては、例えば、ヘキサンジ
オールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステ
ルアクリレート、ウレタンアクリレートなどがある。
架橋性モノマーは、前記モノマー成分100重量部に対し
て、0.01〜2重量部含有させることにより、光重合反応
の過程で重合体分子間に架橋結語が生じ、粘着剤(粘着
製品)の耐熱性が向上する。また、架橋性モノマーと連
鎖移動剤とが協働して、実用化に見合った反応速度(高
速反応)で光重合を行なっても、粘着力および保持力に
優れた粘着剤を得ることができる。
架橋性モノマーの配合割合が、過小であると、保持力が
低下し、過大であると、粘着力および保持力が低下する
傾向を示す。
(連鎖移動剤) 本発明でしようする連鎖移動剤としては、分子中に1個
以上のチオール基またはジスルフィド基を有するものが
好ましい。
連鎖移動剤の具体例としては、例えば、ブチルメルカプ
タン、ラウリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン
類;チオグリコール酸、チオグリコール酸アルキルエス
テル、エチレングリコールジチオグリコレート、ペンタ
エリスリトールテトラキスチオグリコレート、メルカプ
トプロピオン酸、メルカプロプロピオン酸エステル、1,
4−ブタンジオールジチオプロピオネート、ペンタエリ
スリトールテトラキスチオプロピオネート、フルフリル
メルカプタン、4−アミノチオフェノール、ステアリル
メルカプタン、3−メルカプト−2−メチルプロピオン
酸、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、3,3′
−ジチオジプロピオン酸、tert−ブチルジサルファイ
ド、ジフェニルサルファイド、ベンジルジサルファイ
ド、フルフリルジサルファイド、ジスタミン酸塩等が挙
げられる。
連鎖移動剤は、モノマー成分100重量部に対し、0.01〜
2重量部の割合で用いられる。連鎖移動剤の配合割合
が、過小または過大であると、粘着力および保持力のバ
ランスのとれた粘着剤を得ることが困難である。
(その他の添加剤) また、本発明においては、光重合性組成物に、増粘剤や
チキソトロープ剤、増量剤や充填剤などの通常用いられ
る添加剤を配合してもよい。
増粘剤としては、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴ
ム、天然ゴムなどがある。
チキソトロープ剤としては、コロイドシリカ、ポリビニ
ルピロリドンなどがある。
増量剤としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレー
などがある。
充填剤としては、ガラスバルン、アルミナバルン、セラ
ミックバルンなどの無機中空体;ナイロンビーズ、アク
リルビーズ、シリコンビーズなどの有機球状体;塩化ビ
ニリデンバルン、アクリルバルンなどの有機中空体;ポ
リエステル、レーヨン、ナイロンなどの短線維;などが
ある。
(粘着剤とその製造方法) 本発明の光重合性組成物は、光重合することにより粘着
剤として、例えば、粘着テープをはじめ、感熱接着剤シ
ート、建築用や自動車用などのシーリング材、防振材な
ど種々の粘着製品の製造に有用である。
本発明の光重合性組成物を用いて粘着剤(粘着製品)を
製造するには、通常、この組成物中に溶存する酸素を除
去するために、窒素ガスなどの不活性ガスでパージする
か、あるいはフェニルジイソデシルホスファイト、トリ
イソデシルホスファイト、オクタン酸第一錫などの酸素
除去能のある化合物を添加する。酸素除去能のある化合
物の添加により、雰囲気の酸素濃度がある程度高くても
充分な重合(硬化)を実現できる。
粘着剤として、例えば、粘着テープを製造する場合は、
光重合性組成物を剥離紙、剥離型枠などの上に塗布また
は注入するか、あるいはプラスチックフィルム、紙、セ
ロハン、布、不織布、金属箔などの基材に塗布または含
浸する。前者の場合には、基材のない粘着テープが得ら
れる。粘着製品として、シーリング材を製造する場合に
は、光重合性組成物を剥離性の細長い型などに注入す
る。
光重合性組成物を型枠や基材などに塗布、含浸または注
入する際に、作業が円滑に行なわれるように、増粘剤や
チキソトロープ剤で増粘することが好ましい。増粘方法
としては、このほかに、例えば、紫外線を少量照射し
て、予めモノマー成分の一部を重合させる方法もある。
この光による部分重合は、反応容器中を不活性ガスでパ
ージしておく必要があるが、光照射により短時間で簡単
に重合が開始され、照射の停止と共に反応を停止できる
ため、組成物(シロップ)を目的の粘度に容易に増粘す
ることができる。
また、両面粘着テープを製造する場合には、従来の粘着
剤は、比較的粘度が高いために、基材への含浸が困難で
あったが、本発明の光反応性組成物は低粘度の反応性シ
ロップであるために、基材に容易に含浸させることがで
き、しかも片面からの光照射によっても粘着テープとす
ることができる。したがって、本発明の光重合性組成物
は、両面粘着テープの製造に適している。
これらの塗布、含浸または注入作業は、空気(酸素)と
接触しないように工夫された装置が用いられる。
型枠や基材などに塗布、含浸または注入後、光重合性組
成物は、不活性ガスで置換されたボックス内を通され、
石英ガラスやパイレックスガラス、ホウ酸ガラスごしに
紫外線や可視光線などの光の照射が行なわれる。また、
不活性ガス雰囲気中でなくても、型枠や基材などに塗
布、含浸または注入された光重合性組成物の表面を離型
性を有するポリエステルフィルムなどの光透過性フィル
ムでカバーすることにより、空気(酸素)との接触を防
止して、光の照射を行なってもよい。この場合は、酸素
除去能のある化合物を添加しておくことが好ましい。
光としては、通常、紫外線が用いられる。紫外線ランプ
としては、通常、波長300〜400nm領域にスペクトル分布
をもつものが用いられるが、具体例としては、ケミカル
ランプ、ブラックライトランプ(東芝電材(株)の商品
名)、低圧、高圧、超高圧水銀ランプ、メタルハライド
ランプ、マイクロウエーブ励起水銀ランプ等がある。前
二つのランプは、比較的低い光強度を得るために用いら
れ、後四つのランプは、比較的高い光強度を得るのに用
いられる。
従来、高分子量のポリマーを得たい場合には、比較的低
強度のランプで長時間照射していたが、本発明の光重合
性組成物を用いると、高強度のランプで短時間の照射に
よっても高分子量が得られるため、生産性の観点から、
高強度ランプを使用することが好ましい。
光強度は、被照射体までの距離や電圧の調節によって、
一般に、5〜300mW/cm2程度とし、照射時間は0.3〜5分
程度とする。
紫外線などの光の照射により、アクリレート系モノマー
を主成分とするモノマー成分と架橋性モノマーとの共重
合が行なわれ、粘着剤(粘着製品)が得られる。
なお、光の照射は、一定の光強度で行なってもよいが、
二段階以上に分けてそれぞれの光強度を変えて照射する
ことにより、粘着剤の物性をさらに精密に調節すること
もできる。
〔作用〕
アクリレート系モノマーを主成分とするモノマー成分と
光開始剤からなる組成物に、架橋性モノマーを添加した
だけでは、実生産に見合う高速反応条件で光重合を行な
うと、生成するポリマーの主鎖長が短くなり、部分的な
架橋体が得られるのみである。ところが、モノマー成
分、光開始剤および架橋性モノマーを含み、適当な光照
射条件で、ゲル分率が30〜100%となるような高架橋体
を生成する組成物に、連鎖移動剤を添加すると、粘着特
性に優れたポリマーを生成することができる。架橋性モ
ノマーが過小の領域では、連鎖移動剤の添加は逆効果で
あり、性能の高い粘着剤を得ることはできない。
連鎖移動剤は、通常、重合度を低下させると考えられて
いたので、本発明における架橋性モノマーと連鎖移動剤
との併用効果は驚くべきことである。
〔実施例〕
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具
体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限
定されるものではない。
〈物性の評価〉 粘着テープの物性測定 実施例または比較例で得られた両面粘着テープについ
て、次の測定方法により、粘着力および保持力、あるい
は重量平均分子量、残存モノマー量を測定した。
(1)粘着力 両面粘着テープの片面に厚さ25μmのポリエステルフィ
ルムに貼り付けて幅25mm、長さ300mmの粘着テープと
し、これを#280番の紙ヤスリで研磨されたスチール板
に、テープの一端から長さ100〜120mm部分を、2kgのロ
ーラで一往復させて貼り付け、30分のエージングの後
に、23℃、65%RHの条件で、このテープの他端をインス
トロン引張試験機で300mm/分の速度で180度角の反対方
向に剥離し、その時の抵抗力を引張試験機で測定し、粘
着力(g/25mm幅)とした。
(2)保持力 両面粘着テープの片面に厚さ100μmのアルミニウム箔
を貼り付けて幅25mmの粘着テープとし、これを#280番
の紙ヤスリで研磨されたスチール板に、テープの一端部
を接着面積が幅25mm、長さ25mmとなるように2kgのロー
ラーで一往復させて貼り付け、このテープの他端に1kg
の重りを固定し、これを40℃の雰囲気温度で吊し、テー
プと共に重りが落下するまでの時間を測定して、保持力
(時間)とした。
(3)重量平均分子量 ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法
により、標準ポリスチレンを基準として測定した。テト
ラヒドロフランを溶離剤とし、流量1ml/分で、検出は屈
折率計であった。なお、重量平均分子量は、架橋性モノ
マーを添加しなかった場合についてのみ測定した。
(4)残存モノマー量 ポリエチレングリコール(ガスクロ工業(株)社製商品
名20M)を担持したchromosorb−wを酸処理した分離カ
ラム、および水素炎イオン検出器を有するガスクロマト
グラフ(GC-6A;島津製作所製)を用いて測定した。な
お、測定試料は、粘着剤試料100mgを5ccの酢酸メチルに
溶解した溶液から2ccを採取し、この溶液2ccと、2−エ
チルヘキシルメタクリレートを酢酸メチルに溶解した内
部標準液2ccを混合して調製した。
[実施例1〜5] 2−エチルヘキシルアクリレート97重量%およびアクリ
ル酸3重量%からなるモノマー成分100重量部に、光開
始剤としてベンジルジメチルケタールを1重量部を添加
し、さらに架橋性モノマーとしてヘキサンジオールジア
クリレート、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン
を、それぞれ第1表に示す割合で添加し、撹拌機で撹拌
して均一に混合し光重合性組成物を製造した。
得られた光重合性組成物を窒素ガスでパージして溶存酸
素を除去してから、剥離剤で処理した透明ポリエステル
フィルム上のナイロン不織布に含浸させ、その表面を上
記と同じフィルムでカバーし、これをアプリケーターの
絞りロールに通して厚みを均一にした。次いで、これに
超高圧水銀ランプ(オーク社製、ジェットキュアJL-130
0)を用いて、光強度25mW/cm2(波長365nm中心)で、60
秒間照射した。
残存モノマー量は、0.05%以下であった。このようにし
て、膜厚220μmの両面粘着テープを製造した。
物性の測定結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、本発明の光重合性組成物を
用いると、高い光強度で、60秒間という短時間の光照射
により、粘着力および保持力共に高度にバランスのとれ
た粘着テープの得られることが分かる。
[比較例1] 2−エチルヘキシルアクリレート97重量%とアクリル酸
3重量%からなるモノマー成分100重量部に、光開始剤
としてベンジルジメチルケタールを1重量部を添加した
光重合性組成物を使用し、架橋性モノマーおよび連鎖移
動剤を添加しなかったこと以外は、実施例1〜5と同様
にして両面粘着テープを作成した。得られた粘着剤の重
量平均分子量は19.4万、残存モノマー量は0.05%以下で
あった。両面粘着テープの粘着力は、1300g/25mm幅であ
ったが、保持力(40℃)は、0.1時間以下であり、通常
の粘着テープとしては使用できないものであった。
[比較例2〜6] 光重合性組成物中に、さらに架橋性モノマーとして、ヘ
キサンジオールジアクリレートをそれぞれ0.05、0.07、
0.2、0.5重量部添加したものを用いた以外は、比較例1
と同様にして両面粘着テープを作成した。
その結果を第2表に示す。
第2表からは、架橋性モノマーを使用しない場合(比較
例1)には、保持力の低い粘着テープしか得られず、ま
た、架橋性モノマーを使用しても、連鎖移動剤を併用し
ない場合には、保持力が低く、かつ、架橋性モノマーの
配合割合が高くなるにつれて粘着力も大幅に低下するこ
とが分かる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、高い光強度で、短時間の照射によって
も、光重合法を採用して粘着力および保持力といった粘
着剤に必要な物性のバランスがとれた粘着製品を製造す
ることができる。
また、照射ゾーンを短くでき、溶剤の使用や回収が不必
要であるなど、設備費や生産コストを低減できる。
さらに、膜厚の製品が1回の塗工と光照射によって製造
できるので、高性能、高機能の製品を短時間で製造する
ことが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)炭素数1〜12のアルキル基を有する
    アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキ
    ルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の
    アクリレート系モノマー60〜100重量%および該アクリ
    レート系モノマーと共重合可能なビニル系モノマー0〜
    40重量%を含むモノマー成分100重量部、 (b)光開始剤0.001〜5重量部、 (c)1分子中に2つ以上の不飽和二重結合を有し、ア
    クリレート系モノマーと共重合可能な架橋性モノマー0.
    01〜2重量部、および (d)連鎖移動剤0.01〜2重量部 とを含む光重合性組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の光重合性組成物に光を照射
    して、前記モノマー成分および架橋性モノマーを共重合
    させることを特徴とする粘着剤の製造法。
  3. 【請求項3】請求項2記載の製造方法で得られた粘着
    剤。
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