JP2744051B2 - アクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テープもしくはシートの製造方法 - Google Patents

アクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テープもしくはシートの製造方法

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JP2744051B2 JP1057383A JP5738389A JP2744051B2 JP 2744051 B2 JP2744051 B2 JP 2744051B2 JP 1057383 A JP1057383 A JP 1057383A JP 5738389 A JP5738389 A JP 5738389A JP 2744051 B2 JP2744051 B2 JP 2744051B2
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    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D4/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, based on organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond ; Coating compositions, based on monomers of macromolecular compounds of groups C09D183/00 - C09D183/16

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、アクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テ
ープもしくはシートの製造方法に関する。
(従来の技術) アクリル系粘弾性製品として、例えば、アクリル系粘
着テープが広く知られている。アクリル系粘着テープ
は、粘着力、凝集力などの粘着性能及び耐熱性、耐候性
などの耐老化性能に優れ汎用されている。
この種のアクリル系粘着テープは、一般に、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルを主成分とするビニル系モ
ノマーを、有機溶剤系で溶液重合又は水系で乳化重合し
て得られる粘着剤溶液又はエマルジョンを、基材に塗布
又は含浸し、これを加熱乾燥して製造されている。
上記の製造方法において、粘着剤溶液を用いる場合
は、塗布又は含浸した粘着剤溶液を高温で乾燥するため
に多くの乾燥エネルギーを必要とする。また溶剤による
大気汚染を防止するための大規模な溶剤回収装置を必要
とし、さらに溶剤は引火し易いため、安全保持のための
充分な安全装置を必要とする。
エマルジョンを用いる場合は、有機溶剤は用いない
が、水を蒸発させるために溶剤を用いる場合よりも更に
大きな乾燥エネルギーを必要とする。また性能面でも重
合時に混入する乳化剤により耐水性が悪く、さらに水溶
性モノマーが使えないため、使用できるモノマー種が限
定され、粘着テープに要求される多種多様なニーズへの
対応力が弱いという欠点があった。
かかる欠点を除去する方法として、米国特許第4,181,
752号明細書には、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを主成分とするビニル系モノマーに、ベンゾインエチ
ルエーテルのような光重合開始剤を含有させてなる光重
合性液状組成物に、波長が300〜400nmで光強度が7mW/cm
2以下の紫外線を照射して上記ビニル系モノマーを重合
させることにより、アクリル系粘着テープを製造する方
法が開示されている。
この方法は、紫外線の光強度を比較的低強度とするこ
とにより、上記ビニル系モノマーにより重合体の高分子
量化を行ない、それにより粘着力、凝集力などの粘着性
能を高めたものであるが、重合反応速度が遅く、実用化
するには生産性が悪いという欠点がある。この場合、重
合反応を途中で止めて時間を短かくすると、残存モノマ
ーが多くなり粘着性能、特に凝集力が低下する。
(発明が解決しようとする課題) 一般に、上記ビニル系モノマーの光重合反応速度は、
重合開始剤量と光強度の積の平方根に比例する。そこ
で、重合反応速度を速くし、生産性を高めるために、光
重合開始剤を増やすか或いは光強度を高くすると、得ら
れる重合体の分子量が低下し、粘着テープの粘着力と凝
集力とのバランスを高水準に保持することができない。
このように従来の光重合技術では、アクリル系粘着剤、
及びアクリル系粘着テープもしくはシートの緒物性と生
産性とを、同時に高水準に保持することはできなかっ
た。
本発明は、上記の問題を解決するものであり、その目
的とするところは、高い分子量を有し、諸物性に優れた
アクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テープもしくは
シートを、高い生産性でもって製造する方法を提供する
ことにある。
(課題を解決するための手段) 本発明のアクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テー
プもしくはシートの製造方法は、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルを主成分とするビニル系モノマーに、分
子中に不飽和二重結合を有する開裂型の光重合開始剤と
分子中に不飽和二重結合を有しない開裂型の光重合開始
剤とを含有させてなる光重合性液状組成物に、光を照射
することを特徴とし、そのことにより上記の目的が達成
される。
本発明において、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを主成分とするビニル系モノマーは、一般に、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル100〜60重量%と、こ
れと共重合可能な他のビニル系モノマー0〜40重量%と
からなる。そして、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルとしては、アルキル基の炭素数が1〜14、好ましくは
4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いら
れ、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イ
ソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどが好適
に用いられる。
また、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと
共重合可能な他のビニル系モノマーとしては、一般に、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、N−置換アクリルアミ
ド、ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリ
ドン、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリ
ルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが用い
られる。また、ガラス転位温度の低い重合体が得られ
る、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ポリエチレ
ングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコール
アクリレートなどのビニル系モノマーも用いることがで
きる。
本発明においては、例えば、アクリル酸2−エチルヘ
キシル99〜85重量%とアクリル酸1〜15重量%とからな
るビニル系モノマーの組合わせが好適である。
本発明においては、先ず、上記のビニル系モノマー
に、分子中に不飽和二重結合を有する開裂型の光重合開
始剤と分子中に不飽和二重結合を有しない開裂型の光重
合開始剤とを含有させて光重合性液状組成物を調製す
る。
分子中に不飽和二重結合を有しない開裂型の光重合開
始剤(以下、この光重合開始剤を飽和開始剤と呼ぶ。)
としては、従来一般に用いられている通常の光重合開始
剤が用いられる。
このような飽和開始剤には、例えばメトキシアセトフ
ェノン、2,2-ジメトキシ‐2-ヘェニルアセトフェノンな
どのアセトフェノン系、ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンゾインイソプロピルエーテルなとのベンゾインエーテ
ル系、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系、そ
の他ハロゲン化ケトン、アシルホスフィンオキシド、ア
シルホスフォナートなどがある。
さらに、飽和開始剤には、水酸基などの反応性の官能
基を有するフェニル(2-ヒドロキシ‐2-プロピル)ケト
ン:別名2-ヒドロキシ‐2-メチル‐1-フェニルプロパン
‐1-オン〔ダロキユアー1173:西独メルク社製〕や4-(2
-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ‐2-プ
ロピル)ケトン〔ダロキュアー2959:西独メルク社製〕
などのヒドロキシアルキルフェノン系がある。特に、ヒ
ドロキシアルキルフェノン系の飽和開始剤は、活性が高
くしかも組成物への溶解性が良く、本発明において好適
に用いられる。
また、分子中に不飽和二重結合を有する開裂型の光重
合開始剤(以下、この光重合開始剤を不飽和開始剤と呼
ぶ。)としては、上記した水酸基などの反応性の官能基
を有する飽和開始剤に、不飽和二重結合を有する不飽和
化合物を反応させて得ることができる。この場合、飽和
開始剤としては、上記の不飽和化合物を反応させても活
性が低下しないものが好ましい。
このような飽和開始剤としては、前記したようなヒド
ロキシアルキルフェノン系の飽和開始剤などがあり、か
かる飽和開始剤の水酸基と反応する不飽和二重結合を有
する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル系化合物
やアリル系化合物がある。上記飽和開始剤と不飽和化合
物との反応は、エステル化反応やエーテル化反応で行わ
れ、場合によっては、多官能イソシアネート、多官能エ
ポキシ、エピクロルヒドリンなど反応性を有する多官能
の化合物を介して反応が行われる。
具体的には、前記したようなヒドロキシアルキルフェ
ノン系の飽和開始剤と(メタ)アクリル酸をエステル化
反応させることにより不飽和開始剤を得ることができ
る。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをジ
イソシアネート化合物に結合させ、これにヒドロキシア
ルキルフェノン系の飽和開始剤を付加反応させることに
より不飽和開始剤を得ることができる。また、イソシア
ネートアクリルにヒドロキシアルキルフェノン系の飽和
開始剤を付加反応させることにより不飽和開始剤を得る
ことができる。
このようにして得られた不飽和開始剤としては、フェ
ニル(2-アクリロイルオキシ‐2-プロピル)ケトン、4-
(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロ
キシ‐2-プロピル)ケトン、或いは4-(2-ヒドロキシエ
トキシ)フェニル(2-ヒドロキシ‐2-プロピル)ケトン
・イソシアネートエチルメタクリレート付加反応物等が
好適に用いられる。
本発明においては、前記のビニル系モノマー100重量
部に対して、不飽和開始剤と飽和開始剤との合計量が0.
001〜5重量部の割合で含有されるのが好ましい。この
含有量が0.001重量部よりも少ないと、光重合開始剤が
光エネルギーにより初期に消費されるために、モノマー
が残存しやすく、得られるアクリル系粘着剤にモノマー
の臭いが残るだけでなく、凝集力が低下する。一方、含
有量が5重量部よりも多くなると、重合反応速度は速く
なるが、光重合開始剤の分解臭が激しくなり、また得ら
れる製品の性能が低下し、ばらつきも大きくなる。した
がって、目標とする重合体の分子量に応じて不飽和開始
剤と飽和開始剤との合計の含有量は調節される。重合体
の重量平均分子量は、約30〜100万に調節するのが好ま
しく、約50〜100万に調節するのがさらに好ましい。
さらに、不飽和開始剤と飽和開始剤との比率は、前者
が1〜80重量%に対し後者が99〜20重量%の範囲とする
のが好ましい。不飽和開始剤の比率が80重量%よりも多
くなると、光強度が比較的低い場合に、重合体に高度の
ゲル化が起こり粘着力が低下する。一方、不飽和開始剤
が1重量%よりも少ないと、従来技術と同様に重合反応
速度が遅く、生産性が悪くなる。
本発明に用いる光重合性液状組成には、上記の不飽和
開始剤及び飽和開始剤とともに、光架橋剤を含有させる
のが好ましい。このような光架橋剤としては、ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリ
コールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、その他エポキシアクリレート、ポリ
エステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどがあ
る。
かかる光架橋剤は、前記ビニル系モノマー100重量部
に対して、一般に、5重量部以下含有させることによ
り、光重合反応の過程で重合体分子間に架橋結合が生
じ、アクリル系粘着テープもしくはシートとした場合
に、粘着特性である、高温での凝集力及び保持力が向上
する。
また、本発明に用いる光重合性液状組成物には、増粘
剤やチキソトロープ剤、増量剤や充填剤などの通常用い
られる配合剤を添加してもよい。増粘剤としては、アク
リルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどがあり、チキソ
トロープ剤としては、コロイドシリカ、ポリビニルピロ
リドンなどがある。また、増量剤としては、炭酸カルシ
ウム、酸化チタン、クレーなどがあり、充填剤として
は、ガラスバルン、アルミナバルン、セラミックバルン
などの無機中空体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、
シリコンビーズなどの有機球状体、塩化ビニリデンバル
ン、アクリルバルンなどの有機中空体、ポリエステル、
レーヨン、ナイロンなどの短繊維がある。
上記の光重合性液状組成物を用いてアクリル系粘着剤
を製造する際には、この組成物中に溶存する酸素を除去
するために、窒素ガスなどのイナートガスでパージされ
る。また、イナートガスでパージせずに、フェニルジイ
ソデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、
オクタン酸第一錫などの除酸素効果のある化合物を添加
してもよい。
そして、粘着テープを製造する場合は、上記液状組成
物を、剥離紙または基材の一面に塗布した後、光を照射
する。上記基材としては、例えば、プラスチックフィル
ム、紙、セロハン、布、不織布、金属箔等が挙げられ
る。前者の場合は基材のない粘着テープが得られる。
上記液状組成物を、剥離紙または基材の一面に塗布す
る際には、塗布が円滑に行われるように、先に述べた増
量剤やチキソトロープ剤で塗布が容易となる粘度まで増
粘するのが好ましい。液状組成物を増粘する方法として
は、上記増粘剤又はチキソトロープ剤によるほか、例え
ば紫外線を少量照射して、予めビニール系モノマーを一
部重合させる方法も採用される。
上記液状組成物の塗布又は含浸或いは注入には、空気
(酸素)と接触しないように工夫された塗布又は含浸装
置、或いは注入装置が用いられる。塗布又は含浸或いは
注入後もイナート化されたボックス内を通され、紫外線
や可視光線などの光の照射が上記ボックス内の石英ガラ
スやパイレックスガラスやホウ酸ガラス越しに行われ
る。また、イナート化されたボックスを用いずに、離型
性を有するポリエステルフィルムで剥離紙や基材に塗
布、含浸され、或いは解放型に注入された液状組成物の
表面を一時的にカバーし、空気(酸素)との接触を防止
して光の照射を行なってもよい。この場合は、前記液状
組成物に、除酸素効果のある前記化合物を添加しておく
のが好ましい。
照射する光としては、通常、紫外線が用いられる。こ
の場合、紫外線ランプとしては、波長300〜400nm領域に
スペクトル分布を持つものが用いられ、その例としては
ケミカルランプ、ブラックライトランプ(東芝電材
(株)の商品名)、低圧、高圧、超高圧水銀ランプ、メ
タルハライドランプ等がある。前二つのランプは、比較
的、低い光強度を得るために用いられ、後四つのランプ
は、比較的高い光強度を得るために用いられる。そし
て、光強度は、被照射体までの距離や電圧の調節によっ
て、一般に光強度が5〜300mW/cm2程度で、その時の照
射時間は0.5〜5分程度である。この程度の重合反応時
間で、残存モノマーが約0.5重量%以下の製品の性能に
悪影響を及ぼさない程度に、重合反応を実質的に完結さ
せることができる。
紫外線などの光の照射により、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルを主成分とするビニル系モノマーが重合
し、かくしてアクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テ
ープもしくはシートが得られる。なお、光の照射は、一
定の光強度で行ってもよく、二段階以上に分けそれぞれ
の光強度を変えて照射し、アクリル系粘着剤の物性をさ
らに精密に調節することもできる。
(作用) 本発明において、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを主成分とするビニル系モノマーに、分子中に不飽和
二重結合を有する開裂型の光重合開始剤(不飽和開始
剤)と分子中に不飽和二重結合を有しない開裂型の光重
合開始剤(飽和開始剤)とを含有させてなる光重合性液
状組成物に光を照射すると、これらの光重合開始剤が開
裂してラジカルが生じ、上記ビニル系モノマーが速やか
に重合し、残存モノマーが極めて少ない高分子量のアク
リル系粘着剤が生成する。
このように重合体の高分子量化が図れる作用機構は必
ずしも明らかではないが、分子中に不飽和二重結合を有
する開裂型の光重合開始剤(不飽和開始剤)が存在する
と、開始剤の開裂によりラジカルが生じこのラジカルか
らポリマー分子が伸びていくときに、不飽和の二重結合
があることによりこの不飽和開始剤がビニル系モノマー
と共重合し、その点からまたある確率でポリマー分子が
伸びていきT型のポリマー構造が得られるためと考えら
れる。
このため、開始点から反応停止点までの長さが、従来
の分子中に不飽和二重結合を有しない開裂型の光重合開
始剤(飽和開始剤)のみの場合と同じように短くても、
ポリマー分子にはT型のポリマー構造が存在するため、
全体として重合体が高分子量になるものと考えられる。
(実施例) 以下、本発明の実施例及び比較例を示す。
実施例1〜6 不飽和開始剤(GI-10)の合成 飽和開始剤である4-(2-ヒドロキシエトキシ)フエニ
ル(2-ヒドロキシ‐2-プロピル)ケトン〔ダロキュアー
2959〕5gとイソシアネートエチルメタクリレート7gとを
メチルエチケトン20gに溶解し、これに触媒としてブチ
ル錫ジラウレート0.02gを添加し、これを120℃で2時間
加熱して反応させた。この反応液中の溶媒をエバポレー
ターで蒸発させて淡黄色の固体の反応物12gを得た。
この反応物について赤外吸収スペクトルを見たとこ
ろ、2250cm-1の位置のイソシアネートによる吸収が消失
しており、また、ゲル透過クロマトグラフィーの溶離チ
ャートを見たところ、原料の飽和開始剤及びイソシアネ
ートエチルメタクリレートのピークは消失しており、高
分子側に付加物のピークが確認された。この反応物は、
4-(2-ヒドロキシエトキシ)フエニル(2-ヒドロキシ‐
2-プロピル)ケトン・イソシアネートエチルメタクリレ
ート付加反応物〔化学式:CH2CH(CH3)COOCH2CH2NHCOOC6
H4COC(CH3)OH〕と同定され、不飽和開始剤であることが
確認された。この不飽和開始剤をGI-10と呼ぶ。
光重合性液状組成物の調製 2−エチルヘキシルアクリレート97重量部及びアクリ
ル酸3重量部に、不飽和開始剤として上記で得られたGI
-10を0.3重量部、飽和開始剤としてフエニル(2-ヒドロ
キシ‐2-プロピル)ケトン〔ダロキュアー1173〕を1重
量部、光架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレート
をそれぞれ、0重量部(添加なし)、0.05重量部、0.07
重量部、0.10重量部、0.20重量部、0.30重量部を添加
し、撹拌機で撹拌して均一に混合して、6種類の光重合
性液状組成物を調製した。
粘着テープの製造 上記の光重合性液状組成物を窒素ガスでパージして溶
存する酸素を除去し、この液状組成物を剥離剤で処理し
た透明ポリエステルフイルム上のナイロン不織布に含浸
させ、その上を上記と同じフイルムでカバーし、これを
アプリケーターの絞りロールに通して厚みを均一にし
た。次いで、これに超高圧水銀灯を用いて、光強度10mW
/cm2(波長365nm中心)で重合反応を行い、膜厚180μm
の6種類の両面粘着テープを製造した。この時の照射時
間(重合反応時間)はいずれも1分であった。
粘着テープの物性測定 上記の6種類の粘着テープについて、次の測定方法に
より、粘着剤の重量平均分子量(光架橋剤の添加がない
場合のみ測定)、残存モノマー量、粘着力、保持力を測
定した。その結果を第1表にまとめて示す。
(1)重量平均分子量 ゲル透過クロマトグラフィーにより、標準架橋ポリス
チレンを基準とし、テトラヒドロフランを溶離剤とし、
検出は屈折計を用いて測定した。
(2)残存モノマー量 ポリエチレングリコール(20M)を担持したchromosor
b Wを酸処理した分離カラム、及び水素炎イオン化検出
器を有するガスクロマトグラフ(GC-64、島津製作所
製)を用いて測定した。なお、測定用試料は、粘着剤試
料100mgを5ccの酢酸メチルに溶解した溶液から2ccを採
取し、この溶液2ccと、2−エチルヘキシルメタクリレ
ートを酢酸メチルに溶解した内部標準液2ccとを混合し
て調製した。
(3)粘着力 前記の両面粘着テープの片面に厚さ25μmのポリエス
テルフィルムに貼り付けて幅25mm、長さ300mmの粘着テ
ープとし、これを#280番の紙ヤスリで研磨されたスチ
ール板に、テープの一端から長さ100〜120mm部分を、2k
gのローラで一往復させて貼り付け30分間エージングし
た後、23℃、65%RHの条件で、このテープの他端をイン
ストロン引張試験機で300mm/minの速度で180度角の反対
方向に剥離し、その時の剥離抗力を測定し、粘着力(g/
25mm幅)とした。
(4)保持力 前記の両面粘着テープの片面に厚さ100μmのアルミ
ニウム箔を貼り付けて幅25mmの粘着テープとし、これを
#280番の紙ヤスリで研磨されたスチール板に、テープ
の一端部を接着面積が幅25mm、長さ25mmとなる様に2kg
のローラーで一往復させて貼り付け、このテープの他端
に1kgの重りを固定し、これを40℃の雰囲気温度で吊
し、テープと共に重りが落下するまでの時間を測定し、
保持力(時間)とした。この保持力は粘着剤の凝集力を
示す指標である。なお、最大150時間で測定を打切っ
た。
比較例1〜6 実施例1〜6の光重合性液状組成物の調製において不
飽和開始剤GI-10の0.3重量部及び飽和開始剤ダロキュア
ー1173の1重量部に替えて、飽和開始剤ダロキュアー11
73のみを1.3重量部用いること、及び粘着テープの製造
において膜厚が200μmであること以外は、実施例1〜
6と同様に行った。その結果を第1表にまとめて示す。
(発明の効果) 上述の通り、本発明方法は、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルを主成分とするビニル系モノマーに、分子
中に不飽和二重結合を有する開裂型の光重合開始剤と分
子中に不飽和二重結合を有しない開裂型の光重合開始剤
とを含有させてなる光重合性液状組成物に、光を照射す
るものであって、それにより上記のビニル系モノマーが
速やかに重合し高い分子量を有する重合体が生成し、高
い分子量であるため、諸物性に優れたアクリル系粘着剤
が得られる。しかも、光重合反応が速まるので製造のラ
イン速度が高まり生産性が向上する。
さらに、本発明方法は、有機溶媒や水性媒体を使用し
ないので、多くの乾燥エネルギーを必要とせず、また溶
剤回収装置や特別な安全装置も必要としない。また、重
合反応が速く行われるため、光照射ゾーンを長く設ける
必要もない。それゆえ、製造コストが安価になるという
利点がある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
    成分とするビニル系モノマーに、分子中に不飽和二重結
    合を有する開裂型の光重合開始剤と分子中に不飽和二重
    結合を有しない開裂型の光重合開始剤とを含有させてな
    る光重合性液状組成物に、光を照射することを特徴とす
    るアクリル系粘着剤の製造方法。
  2. 【請求項2】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
    成分とするビニル系モノマーに、分子中に不飽和二重結
    合を有する開裂型の光重合開始剤と分子中に不飽和二重
    結合を有しない開裂型の光重合開始剤とを含有させてな
    る光重合性液状組成物を、剥離紙または基材の一面に塗
    布した後、光を照射することを特徴とするアクリル系粘
    着テープもしくはシートの製造方法。
JP1057383A 1989-03-09 1989-03-09 アクリル系粘着剤、及びアクリル系粘着テープもしくはシートの製造方法 Expired - Fee Related JP2744051B2 (ja)

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